『今日はなんの日?』





 その日、僕の目覚めはなかなか訪れてくれなかった。
 体は軽い。
 確実に朝なのに目の前が真っ暗なままなのだ。
 それになんだか暖かくていい匂いがする……ついでに息苦しい。

「えへへ、おはよー」
「うううう、そ、その声は……ちっ、千恵ちゃん!?」
「そうだよー」

 頭の上から声がした。その声の主も判明した。
 美佐木千恵(みさきちえ)という近所に住んでる年下の女の子だ。

 親同士が仲良しだから普通にこの家にも出入りしてくる。
 ちょうど思春期真っ盛りらしく、異性への興味が尽きないと言っていたけどまさかここに侵入してくるなんて……エロ本隠しといてよかった。
 じっとしてれば可愛い女の子っていうだけなんだが、ちょっと悪戯が過ぎるな。
 懲らしめてやりたいけど……まだ視界は真っ暗のままだ。

「ふっふー。朝からあたしと一緒なんて嬉しいでしょ」
「でも、なんだか、僕苦しいんだけど……」
「苦しいの? どうしてー」

 ちょっとわざとらしい不思議声のあと、暗闇の中でムニッとした感触が移動した。
 柔らかくて温かい、そしてこすれる。
 なにかで顔面を圧迫されているのは理解した。

「あのさ、まさかとは思うけど千恵ちゃんのせい?」
「ピンポーン。そうかも」
「そうかもっていうか確定だろ。僕の目の辺りにやわらかいのが押し付けられてるんだけど、これって、その、千恵ちゃんの……おっぱいじゃ!?」
「ブッブー! それおっぱいじゃないかもよ?」

 そしてまた僕の上でケタケタ笑う彼女の声がする。
 急に圧迫感が消えて目の前が明るくなる。

 スパッツ。黒い見せパン、5分丈のスパッツが視界の大半を占めた。
 そして笑顔の千恵ちゃんは、結んだ髪が逆さに垂れ下がっていた。

「あはっ、正解はおしりでしたー!」
「えっ」

 絶句した。今まで顔面騎乗……されていたらしい。
 年下の女の子に寝込みを襲われて、顔にお尻をぐりぐりされていたなんてエッチ過ぎるじゃないか! 僕のお腹の少し下あたりに手をついた千恵ちゃんが四つん這いのままこちらを覗いている。

「千恵ちゃん、とにかくどきなさい!」
「きゃっかでーす!」

 その言葉が終わると同時に千恵ちゃんの小ぶりなお尻が勢いよく顔に打ち下ろされた。

「うぶっ、んううううーーーーっ!!」
「うりうりうりっ、おにいちゃん苦しいんだ? おもしろーい」

 ぽすんぽすんと小刻みに顔を打ち付けられるたびにベッドが沈んでまた浮き上がる。

(苦しいけど、興奮する……こんなの好きじゃないはずなんだけど)

 女の子にアソコに強制的にキスされているような屈辱感。悔しいはずなのに興奮してしまう自分に戸惑っていた。実は僕と千恵ちゃんとの身長差はそれほどない。
 それ故になかなかこの状況をひっくり返すこともできないのだけれど。

「ねえ、これなぁに?」
「はっ!?」

 無邪気なお尻攻撃に身を任せているうちに、自らの肉体の変化に気づけずにいた。
 自分でもわかるほどしっかり勃起しちゃってる。
 このままじゃ誤解されてしまう!

「これは……ちが、うんだ……べつにね、そんな……」
「どうしておちんちん大きくなるの? プニプニしていーい?」
「え、だめだよっ!」

もきゅっ。

「ふあああああああっ!!」
「うふふっ、なにがだめなのー?」

 断りなど無視して少女の手がペニスを強く握りしめる。
 細い指先がトランクスに食い込み、震えるペニスをしっかり掴んだ。

「クニクニしちゃおーっと」
「触るの駄目、揉んじゃ駄目ええええ!!」
「わかんなーい。
 このままカチカチになってからどうなるんだっけー」

 小動物の頭を撫でるように、少女の手のひらが亀頭をくるくる撫で回す。
 それはあまりにも確信犯的な男を喜ばせる動きだった。

「雑誌で読んだもんねー」
「な、なにをっ!?」
「おしえませーん」

 ぺろっと舌を出しながら千恵ちゃんが笑ってる。
 いつのまにか腰が少し浮かされていて、いたずらっぽい笑顔たっぷりでペニスを弄り回す少女の姿が目に入ってくる。
 あんなにコネ回されたら気持ちよくなっちゃうよおぉぉ!

「このおちんちんどうなっちゃうのかなー」
「あうっ、ああ、ち、千恵ちゃ、しってるくせに!!」
「ふふ、あたし知ってるけどぉ、
 やっぱり忘れちゃったなー……どうなるんだっけー♪」

ニュチュウウウウ!

「ひあああああああああああああ!!」

 千恵ちゃんのほっそりした指が、手のひら全体がパンツの中に入り込んできた。
 しっかりと指先にカウパーを絡めてから感じやすい急所を的確に責めてくる。

「ほらほら、おちんちん大喜び!」
「そんな、し、してないよおおおお!」
「嘘ついちゃ駄目。
 おにいちゃんのかわいいところ、いっぱい見せてね」

 滑り込んだ指先がそのまま急所を捕まえたまま、別の指が下腹部を優しく撫でたり這い回ったりしてきた。

「あ、ああああ、ああああ、それえええええ!!」

 妖しい刺激のせいで腰が勝手に跳ね上がる。
 千恵ちゃんは素早く体位を入れ替え、浮き上がった僕の腰に膝を差し込み、膝枕みたいにして固定した。

「おちんちんさんこんにちはー」
「だ、だめっ、みないで……」
「じいーーーーーっ!」

 恥ずかしがる僕の顔とペニスを交互に見据えてから、千恵ちゃんがニパッと微笑む。これは良くないことを考えてる女の子の表情! そして彼女の顔がゆっくり亀頭に近づいてきた。

(やばい、このまま……フェラなんてされたら!)

 勝手に興奮してしまう。整った顔立ちの女の子が、好奇心たっぷりに顔を寄せてくるのだから。しかもこの角度は絶対に気持ちいいやつで――、

「最後にトドメ。ちゅっ♪」

 思っていたより優しいキスだった。
 でもそれは強烈だった。

 思い描いていた快感を優しく包み込むような慈愛のキス。
 僕にとってそれはこの上なく我慢しづらい一撃で、自分の意志に関係なく下半身全体が震えはじめてしまう。

 イく、出るッ……
 我慢しなきゃいけないのに、ここの射精したら
 恥ずかしくてこのあとお説教できなくなっちゃうのにいいいぃっ!!

「ひぐっ、あ、ああああ、だめだあああああああーーーっ!!」

ビュクビュクビュクウウウッ!!

 耐えに耐えたあと、やはり僕は射精してしまった。
 年下の女の子に寝込みを襲われ、手コキとキスで完全敗北。

「ちゃんと思い出したよ。気持ちよくなるとミルク出るんだよね。
 うんうん、いっぱいでたぁー!
 あははははははははは! でも出し過ぎじゃない?」

 射精後もビクンビクンと脈打ちが止まらないペニスを人差し指でツンツンしながら彼女が笑う。僅かな刺激が適度な余韻となって、僕の全身を拘束する。

「はぁ、はぁ、あ、それ、で、今日はどうして僕の部屋に?」
「あっ、そうだった!
 おにいちゃん誕生日おめでとう」

 ぐったりする僕の頬に千恵ちゃんがやさしくキスをしてくれた。
 よくよく聞いてみると、おはようのキスだけじゃ物足りないかと思って気持ちよくなる悪戯をプレゼントしてくれたということだった。

 サプライズ過ぎる誕生日のプレゼント、確かに受け取った、
 でも僕は最後のキスだけで良かったんだけどね。





『今日はなんの日?』(了)










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