『生徒会長にバトルファックでリベンジするために侵入した男』





 東京郊外。私立白鳥女学院高等学校は二十数年前この地に新設された。
 以前は都内にあった同校がまるごと地方に移設されたのだ。
 生徒個人へのきめ細やかな教育をモットーにしているこの学舎は、小学校から大学までの一貫教育で名高いお嬢様学校である。

 その中等部の生徒会長である静香は今日も生徒会室で黙々と業務をこなしていた。
 容姿端麗かつ学力も優秀。
 空手などの格闘技もそこそこ嗜んでいるという。
 同級生からも下級生からも慕われている学園のアイドル的な存在。

 休日に外を歩けば必ず男性に振り向かれるほどの美貌の持ち主だが、学園の慎ましい制服に身を包んでいてもその美しさが損なわれることはなかった。
 腰まで伸びた長い髪は絹糸のように柔らかく、見る者を魅了する。
 大きな瞳は優しげに相手を見つめ、口元は常に笑顔を絶やさない。
 スラリとしたスタイルに不似合いな大きめの胸は、校舎の内外で羨望の眼差しに晒されているが本人はいたって気にする様子もない。

 そんな彼女のもとへ一人の女子生徒が息を弾ませて駆けてきた。

「たっ、大変です会長!」
「あら晴香さんどうされたのですか?」

 静香の視線の先で呼吸を乱しているのは彼女の同級生・上杉晴香である。
 書記を務める彼女は優秀な静香の補佐役でもある。
 そんな晴香が困り顔で静香に打ち明ける。
 話を聞きながらうなずく静香の表情が次第に険しいものになってゆく。

「会長申し訳ありません。
 水際で食い止められなかったのは私のせいです!」
「侵入者ですか。この学園に再び賊が……」

 静香は表情を変えず忌々しげにつぶやく。頭に浮かぶのは数ヶ月前に撲滅したはずのロリコン集団の首領。当時の侵入者のほとんどは雑魚に等しかったが、一人だけここへたどり着いた猛者がいた。
 先程の晴香からの報告の中に今回の賊の特徴も含まれており、話を聞く限りその男に間違いない。

「すみません、すみません……」
「いいのですよ。晴香さんは彼に襲われ、
 逃げ出すことができたのですね。本当によかったですわ」

 怯える晴香の肩を抱きながら静香は思いを馳せる。
 足腰が立たなくなるほど叩きのめして、性的に蹂躙してから撃退したのだが、改心を期待して情けをかけたのが災いしてしまったのかもしれない。
 そうならば晴香は悪くない。全て自分のせいだと静香は考える。

 静香は瞬時に頭を働かせ、巡回中の妹に命じて学園内の警備を手薄にした。

 なぜ警戒を解くように指示を出したのか……
 不安そうに自分を見つめる晴香に対して静香は微笑む。

「大切なあなた達をこれ以上危険に晒すわけには参りません」
「ですが会長、このままでは……」
「侵入者を放置するのは危険とおっしゃりたいのでしょう?
 ですからここへおびき寄せ、直々に私が手打ちにしてあげるのです」

 今度こそ逃さない。二度と逆らえぬよう粛清する必要がある。
 静香は晴香に対して安全な出入り口から帰宅するように命じた。
 そして再び一人きりになった部屋の中で胸元をわずかに緩めた。

「ロリコン集団の生き残り……
 不埒な真似などできないようにしてあげますわ」

 穏やかな瞳のまま、静香はほんの少しだけ唇の端を歪めて肩を震わせた。

 このあとこの部屋は戦場になる。
 そして自分は生き残るだろうという武者震いだった。

 果たして、何も知らずに一人の男がこの部屋へと向かっていた。





 誰もいない廊下を駆け抜ける。
 警備が妙に手薄なのは気になるがこちらとしても無駄な戦いは避けたいので好都合だ
 目的の部屋まであと少しでたどり着く。
 誓いを果たすまで気を抜くことなく走り続ける。

 俺は数ヶ月前にこの学園の生徒会長に敗れた。
 格闘技で圧倒するつもりが予想外に会長である静香は手強かった。

 やがて彼女は警報装置の前に陣取り、俺に妥協案を提示してきた。
 自分とあるスポーツで競い合って勝利したらこの場は見逃してやる、と。
 俺はその提案に乗った。乗るしかなかった。
 さすがに警報装置で退路を塞がれてはたまったものではない。

 しかし相手の提案に乗ったのが間違いだった。
 今ならわかる。
 俺は自分で選んだつもりでいたけど、静香に誘導されていたのだ。

 静香はバトルファックを挑んできた。
 セックスによる一本勝負。

 美貌の生徒会長のみずみずしい肉体に触れられる……男の本能として一瞬気が緩んだのは事実。
 その結果、俺はその戦いに敗れてしまった。
 静香は格闘技のみならず、ベッドの上でも完全に俺のプライドを粉砕したのだ。

 年下の女子校生に性的に弄ばれる屈辱を味わった。
 戦いの中で不覚にも静香のことを魅力的だと感じてしまい、悔しさが快感にすり替えられてしまった。

 そうなってからの展開は一方的だった。
 何度も快感を与えられ、弱点を網羅され、集中的に責められて射精を強制された。
 気絶するまで弄ばれたあとで解放されたものの、終わってみれば俺は女性恐怖症になりかけていた。
 男として立ち直れないかと思った。

 恐怖を克服するリハビリは辛く厳しいものだったが俺はここへ戻ってきた。
 今度こそ彼女を、静香を性技で倒すために。

 見覚えのある部屋の前にようやくたどり着いた。
 目の前に両開きの扉がある。
 相変わらず偉そうな作りだ。
 この向こうに静香がいる。
 緊張感が走るが負けはしない。

 思い切って扉を開けると……そこにはあの日と同じ静香がいた。

「やはりあなたでしたか。
 ようこそお兄様。ずいぶんお早い到着でしたね」

 大きめの机に浅く腰掛けた静香が微笑んでいる。
 制服姿で白のハイソックス……あの日と同じ服装だが前よりも色気が増しているような印象だった。

 片足を浮かせ、太ももの内側がちらりと見えるような体勢に思わず視線が乱れそうになる。
 こちらの視線に気づいたのか、上品に両脚を揃えた彼女が俺を見据えておだやかな表情を浮かべながらゆっくり歩いてきた。
 身構える俺の2メートルほど手前で静香は止まった。

「再びお迎えできて光栄ですわ」

 目を細め、右手の人差指を唇に当てるような仕草。
 わずかに唇から伸びた舌先がチロチロと指をなめあげる様子に目を奪われた。

(指を男に見立てたフェラを見せつけてるつもりか)

 淫らな炎を宿す少女の瞳を睨みつけ、俺は言葉を返す。

「警備が薄かったのはお前のせいだな。俺がここに来るように仕向けたのか」
「ふふ、それは当然ですわ。
 そして私の前に姿を見せた以上、お兄様の逃走は許しません」

 余裕たっぷりに静香は振る舞う。
 警備会社へ繋がっているであろう小さなリモコンを手の上に乗せて、こちらへ見せつけながら。

「フン、また助けを呼ぶつもりか」
「いいえ。これはあくまでも保険。
 お兄様が素直に勝負を受けてくだされば呼びませんわ」
「くそっ、俺に負けるつもりはないってことか!」

 苛立ちの混じった声で俺は言う。
 しかし彼女は全く気にする様子もなく小さく鼻を鳴らした。

「まあ、そうですわね。一度勝たせていただいてますし。
 こんなものに頼ることなく今日もお兄様を返り討ちにしてあげますけど」
「今の言葉を忘れるなよッ」

 不遜極まりない視線を睨み返すと、静香はフッと笑った。

「さて今日はどうなさいますか?
 格闘技でもバトルファックでもお好きな方でけっこう。
 もちろん両方でも構いませんけど」

 格闘技で屈服させてから犯すという手もあるが、無駄なリスクは避けたい。
 それ以上に今は性技で静香を圧倒したい。
 今日の目的はあの日失った誇りを取り戻すことなのだから。

「ベッドへ上がれ。ヒイヒイ言わせてやる」
「うふふ♪ そうですか……バトルファックで勝負ですね。
 ええ、かまいませんですとも。
 私もちょうどそのような気分でしたので」

 まるで俺の言葉を予想していたかのようだった。
 ここに至っても静香は上品な笑みを浮かべたまま余裕の表情をしている。
 一度肌を合わせた相手に負けることなど考えていない自信が窺える。
 この年頃の女性なら少しは動揺してもいいはずなのに静香は全くうろたえない。
 憎らしいほどの余裕が俺へのプレッシャーとなり、得体のしれない悔しさに思わず歯ぎしりしてしまう。
 だが俺はこの日のために自分を鍛えてきた。
 今日こそこいつのアヘ顔を拝ませてもらう。

「やる気は十分といったお顔ですね。楽しみです」

 そう言いながら彼女は部屋の奥にある大きめのベッドへと俺をいざなう。
 恥ずかしそうに背を向けながら制服を脱いできれいに畳んでいく。

 あらわになった静香のボディラインに目を奪われる。
 真っ白な肌となめらかな曲線が相変わらず美しい。
 それでも俺の気持ちは浮足立っていない。
 これなら戦える。
 俺は落ち着いて衣服を脱いだ。

「先攻はお兄様でよろしいですわ。さあどうぞ」

 お互いに向き合いながらベッドの上で膝立ちになる。
 そっと静香が片膝を立て、そのまま後ろへ倒れる。M字開脚である。

「ふふふ……」

 足の付根に生える陰毛はきれいに処理されており、ピンク色をした秘所は処女のそれにしか見えない。
 思わず凝視してしまう。
 以前はあれに負けたのだ……あの蜜壺に挿入する前に何度も抜き取られ、挿入後は気絶するまで弄ばれた。
 記憶とともに静香の名器ぶりを意識させられてしまう。

「どうしましたか?」
「……なんでもない」

 静香はタイマーをセットしてこちらへ見せる。
 タイマーのカウントは5分。
 先攻と後攻に分かれてターン制で相手をイかせるのだ。
 勝敗は自分の口から相手に降参するか、絶頂しすぎて気絶するまで交わるかの二つしかない。

「お互いに準備は整ったな」
「まあ素敵……
 気を抜いたら見惚れてしまいそうですわ」

 静香は視線を落として品定めするようにペニスを見つめている。
 すっかり反り返ったモノを見ても怖気づいた様子はない。

「今から五分間、お好きなように。
 万が一、私が達してしまっても次の五分間は責めさせていただきま……きゃっ!」

 説明が終わる前に俺は静香に飛びかかる。
 これ以上待てないほど高揚している。
 押し倒されながら静香はタイマーのボタンを押した。

「んぅ、ん、ちゅ、ちゅう……んんっ!?」

 迷わずに唇を奪う。戸惑う表情や不意打ちに乱れる呼吸すら美しい。
 そして肌は相変わらず極上の感触と上品な香りだ。
 若い女性の魅力を凝縮したような静香の体は気を抜けばこちらが溺れてしまいそうになる。
 先走りそうになる気持ちを抑えながら愛撫を重ねる。
 さすがの静香も突然のキスに目を白黒させているようだ。

「あ、あはああぁぁ、はずかし、い、そんな……」

 以前は弱点だった太ももの内側を触ると、予想通り彼女の体がビクッと跳ね上がる。
 可愛らしい喘ぎ声とともに少しずつ上り詰めていく静香。

「あぁんっ、感じてきちゃう!」
「そのバストも犯してやるッ」
「ふ、あぁっ! 赤ちゃんみたいに、乳首を……うふ、ふふふ、え……あっ!」

 乳首に吸い付き、舌先で転がす。
 反対の手で空いているバストと脇腹を愛撫する。

「あんっ、ああああ、お兄様! そこは、触っちゃだめ、ですぅ……」

 手のひらが降りていった先はすでに潤っていた。
 指先でワレメを探してなで上げる。

チュ、プ……

「ひいっ、あああ、そこばかり、なんで、うあ、ああああ!」

 膣口に指先を入れてかき混ぜる。
 クリトリスを撫でると静香は背中を震わせた。
 効いてる!
 俺の愛撫は確実にヤツの性感を高めてる。

「こ、この、淫らな手付き、いったいどれだけの少女を毒牙に……
 危険ですわお兄様!
 断じて負けられません、でも、でっ、あああ!!」

 いける!
 このまま先に静香をフィニッシュさせてしまえば、このあとの責めを五分耐えきれば俺の勝ちはほぼ確定となる。
 女は一度イってしまえばその後は連続絶頂しやすくなる。
 それに男のテクニックで絶頂したあとの静香に責められても恐れることはない。

 俺は勝利を確信した。
 しかし、指先をもう一段階先へ深く突き刺してやろうと思った時、無情にもタイマーが鳴り響いた。
 もう少しだったのに……俺は舌打ちした。

「はぁ、はぁ、ここまで、ですわ。
 危なかったです……ずいぶん腕を上げましたね、お兄様」
「……っ!」

 演技が混じっていない静香の本気の喘ぎがひどく色っぽく感じた。
 肌を伝う汗や唇の艶やかさに不覚にも興奮させられてしまった。

 このまま追い打ちをかけてイかせてしまいたいが、それは明らかな不正。
 社会的な制裁を受けるわけには行かないので欲望を押し殺す。


 一分間のインターバル。


 俺は静香を開放し、自ら仰向けになった。
 静香は自分のターンに備えて呼吸を整え俺の脚の間へ座り込んだ。
 ルールには従わねばなるまい。
 天井を見ながら俺も呼吸を整えていると、静香がタイマーを俺に見せた。

「今から五分間、お兄様の心の準備はよろしくて?」
「ああ」
「では参ります。
 いけませんね、これを忘れてました」

 静香はポンと手を打ちサイドテーブルの引き出しから小瓶を取り出した。
 中身の液体はトロリとしており静香の手のひらの上に引き伸ばされる。

クチュ……チュク、ヌチュ……

 明らかにローションだ。
 指先に絡みつく粘液が細い糸を引いている。

「お前、それを使うのか……!」
「ええ。強いお兄様が相手ですもの。
 少しくらい手の滑りが良くなったところで私に勝つのは容易いのではなくて?」
「くっ、それは、そうだが! 俺の時も使わせてもらうからな!!」
「ええ、どうぞ。お兄様のターンが来ればの話ですけどね」
「言わせておけば……」
「ふふふ、それ以外は問題ありませんね。では始めましょう」

 言葉が終わると同時にタイマーが作動し、静香の手が股間へ伸びてきた。
 俺は歯を食いしばる。
 こいつの手を気持ちいい。
 無防備に食らうわけにはいかない。

「あらあら、そんなに怯えなくても宜しいのに」
「くっ……」
「さあ、たっぷりしごいてあげましょうか。
 ゆっくり感じてくださいね。
 指先で優しくフワリと包んであげる……うふふ」

 上品な微笑みのあとで亀頭が指に絡まれて見えなくなる。
 人差し指から順番に美しい指先がまとわりついてくる。
 中指……そして小指としっかりと掴まれた瞬間、背筋がゾクゾクするほどの快感が流し込まれた!

「うっ、ああぁッ!」
「いい声。
 それにひさしぶりのおちんちん、お兄様素敵です……」

 わずかに興奮の色を肌に浮かべながらつぶやく静香。
 その手付きは緩慢で、ゆったりと感触を確かめるだけのように見える。

 だがこの指が責めたてているのは俺の性感帯そのもの。
 神経を直接撫でられているようなとんでもない刺激だった。

「まだ先走りも出ていませんね。
 少しは我慢が利くようになったのかしら」
「うあ、ま、まだまだぁ!」
「お兄様が我慢しても感じちゃう弱いところは今も同じかしら?」
「!?」
「ふふふふふ、一度手合わせしたお相手の弱点はしっかり記憶しておりますわ?」

 妖しく微笑む静香の指先が俺の弱点付近をかすめる。
 必死で歯を食いしばり、平静を装う。悟られるわけにはいかない。

 思えば前回はこの手コキだけで数回射精させられたのだ。
 本人は魔法の指と言っていた。
 その大層な呼び名に偽りはなく、静香の指は極上の凶器。
 我慢汁が滲む先端を撫で回す手のひらは天女の羽衣のような優しさで、楽器を奏でるように俺の口から情けない声を簡単に絞り出す。

「お兄様、必死に堪えている表情がとっても可愛いです」
「か、わいい……?」
「ええ、懸命に歯を食いしばってる。
 快感を打ち消そうとしてる。
 無駄なのに」

 ふふっ、と静香が笑う。
 その笑顔は思わず見惚れてしまいそうなほど美しい。
 だが今回はまだ耐え凌いでいる!
 俺は強くなったんだ。
 気を抜けば達してしまいそうになる指技に必死で堪える。
 時計を見ればまだ一分……長針の進みがおそすぎる!!

「ぐあ、ああぁ、くそっ!」
「ようやく悶え始めましたね。ヌルヌルが増えてきました」

 静香に言われて気づく。俺は無意識に腰をよじり始めていた。

「くっ……」
「指でイかせてしまう前に、静香の舌先でもお兄様を味わって差し上げますわ」
「なっ! やめろ!!」

 それは追い打ちをかけるのに充分な一言だった。
 こんなことを言われては、嫌でも静香のフェラを想像してしまう。



 俺の言葉を聞いた静香は上品な笑みを浮かべてから煽るように唇を軽く舐め回した。

「うふ……」

 真っ赤な舌先がトロリとした唾液を口元に行き渡らせる。
 形が整った小さな唇に咥えこまれた時のことを思い出す。
 あの時は瞬殺だった。接近を許したことで美貌に釘付けになり、無防備な状態で責めを受けた瞬間に爆ぜた。

「ご褒美の時間ですよ。お兄様」
「うっ、うううっ!」

 見つめているだけで危険とわかっていても目が離せない。
 静香に見つめられているとドキドキしてくる。
 戸惑っている間にも静香の整った顔が股間へ近づいてゆく。
 上品なラインを描く唇がキュッとすぼまり、粘膜に優しく触れようとしていた。

「あ、あっ、待っ……!」
「待ちませんわ。んちゅ、ちゅるるる、レロォ……♪」

 閉じたままの唇からチロチロと舌先が見え隠れした。
 チュッと先端に挨拶のキスをしてから尿道をツプツプと舐めあげ、周囲をねっとり味わいはじめる。
 あまりのエロさに見ているだけで射精しそうになった。

(かわいいボウヤ♪ さあ、静香のお口へいらっしゃい?)

 触れ合った部分からそんな言葉が奏でられているように、静香の口づけは完全に俺をおかしくし始めていた。
 わずかに開かれた口の中へ、ゆっくりと亀頭が飲み込まれてゆく。

ズリュ……ヌリュウウウウウ~~~~~……

 ゆっくり吸い込まれ、包み込まれ、美少女の唾液で粘膜が犯されていく。

「うああああああああああああ~~~~~~ッ!!」

 悶え始めた俺を見ても彼女が慌てることはなかった。
 あくまでもゆっくりと緩慢に俺を捕食していく。
 まるで唇で締め付けながらペニスに解けない魔法をかけられているようだった。
 それは刺激を感じやすくする魔法、逃げる力を奪い取る魔法、咥えこんだ男を虜にする魔法など……

ヌチュ、ズリュウウウ~~~、ヌチュ……

 静香は品定めするように俺を弄ぶ。
 喉の奥まで一気に吸い込まれ、ゆっくりとまた吐き出される。
 そして再び飲み込まれ、今度は喉奥をキュッと締め付けてきた。

(あ、あああぁぁ! 腰が、溶けるゥ……)

 つるつるした唇の感触から熱くぬめった口内へ切り替わるとそこは天国だった。
 美少女の唾液をたっぷりまぶされて従順に調教されたペニスが甘い刺激に耐えられるはずもない。
 わずか数往復だけで俺は射精間近へ追い込まれてしまった。
 軽く痙攣し始めてきた俺を観察しながら静香がフェラをやめる。

「ぷは……ふふふふ、腰が浮き上がってきましたよ。お兄様」
「だ、だって! うあっ、あああああっ!!」
「もっと我慢しないと男子失格ですよ?」

 そしてまた深く咥えこまれ……なかった。
 亀頭を左手で包みながら根本から裏筋までをゆっくりとした先で刺激される。
 それもまた天国だった。

 しかも魔法の指による小刻みな手コキが根元と先端に与えられている。
 むしろこの刺激のほうが厄介だったのかもしれない。

 ペニスの根本がバイブレーションに包まれ、先端は細く長い指によってカリカリと引っかかれていた。
 裏筋は優しくほじられ、手のひらで揺らされてくすぐられる。
 同時に竿も上下にしごかれて射精を促されていた。
 これらの責めを巧みに併用してくるのだからたまらない。
 たまらず体をひねった方へと彼女の手が追従してくる。
 逃げられない。

(悶えても逃しませんよ? お兄様)

 クスッと笑った静香の口元からそんな言葉が出てきそうだった。

 ペニスのみに与えられた三点責め。
 静香の責めは一秒ごとに確実に俺を射精へ導いていた。

(それでもまだ俺は耐える。ここでイかされたら負ける!)

 腰をガクガクさせながらも耐え忍ぶ。
 ここでの射精は危険だ。
 ターンの単発で負けるだけではなく連鎖イキさせられかねない。
 さっきとはまるで立場が逆転してしまったが堪えるしかない。

 それから俺は何度も腰を跳ね上げ、うめき声をあげた後でようやくタイマーが鳴りひびいた。静香は残念そうに息を吐きながら俺自身を解放した。
 それでも音が切れるギリギリまで舌先がカリにまとわりついていた。

「うっ、うううぅぅ、ああああああ!!!」
「チュル……チュッ、チュププ……ふふ♪ クスクス……」
「は、はなせえええっ!」

レロォ……チュ、ポンッ……!

「クスッ、じゃあまたあとでね♪」
「あはううううっ!!」

 最後に名残惜しそうに音を立てる静香の口元。離れる瞬間にキュウウウっと唇を締め付けられ、カリ首を弄ばれたペニスがビクビクと痙攣し始めたが、なんとか我慢する。
 やばかった……今のは本当にイきかけた。

「はぁ、はぁ、はぁはぁ……!!」
「ふぅ……残念ですわ。
 このターンでお兄様を仕留めることができなくて」

 呼吸が整わない俺を見つめながら彼女は続ける。

「次の静香のターンではもっと気持ちよくして差し上げますね」
「何を言ってやがる。今度は俺がお前を、責める番だぞ」
「そうですね。楽しみです。ふふふ」

 不敵に笑う静香を見て俺は歯噛みする。

(もうお前のターンなんかこねえよ!)

 自分を奮い立たせるために俺は心のなかで吠えた。
 ピンチのあとにチャンスあり。
 次は俺の攻撃だ。

 先程と同じく一分間の休憩時間が与えられ、俺は精神統一に務めた。
 しかし静香によって興奮させられた心と体は収まる様子を見せなかった。
 短時間で射精間近まで高められ、時間いっぱいまで引き伸ばされたのだから当然だ。

(肉体はともかく精神は回復した……と思いたい。せめて表情だけは!)

 静香に隙を見せるような真似はしたくなかった。

 しかし……

(う、うううっ! なんだこれ……)

 それから十数秒後にタイマーが動き出してからの五分間、俺は明らかに集中力を欠いていた。
 静香の体に触れると先程の手コキとフェラの感覚が蘇ってきてしまうので、効果の薄い責めしかできないのだ。
 自分でもわかる……これでは彼女に回復されてしまう。

(責めろ、やつの弱点を! 太ももの内側と、クリトリスと、それに……ッ)

 焦りを生じた指先に感じてくれるほど相手は弱くなかった。
 あっという間に俺の持ち時間は失われ、再び静香のターンになる。

「気持ちよかったですわ。お兄様」

 軽く息を弾ませながらも余裕綽々といった様子で静香が微笑む。
 一分間のインターバルのあとは静香の攻撃だ。
 賞味六分間で俺の肉体は回復し始めていた。
 しかし逆にメンタルが弱くなっているような気がした。
 チャンスに責めきれなかったことは大きい。

「さて、先程の続きをしましょうね」

 ゆらりと体を起こした静香が自分が横たわっていたベッドを指差す。

(このままではやられる……どうする!?)

 俺を挑発してきた静香の自信は本物だ。
 次の5分で勝負を決めに来るだろう。
 手コキなのか、フェラなのか、それとも……
 どんな責めをされるにしても俺にとって長いターンになりそうだった。



「お兄様。こちらへおいでください」

 膝立ちのまま彼女は言った。
 ベッドへ大の字になるよう俺に指示を出してきた。
 ルール上仕方ないので俺は仰向けになる。

「なにをするつもりだ……」
「静香の指と舌で磨き上げたおちんちんを、次はここへお迎えしたいのです」

 見上げると目が合う。
 すっかり落ち着いた様子で静香は微笑んでいる。
 左手の人差し指がバストの胸の膨らみをトントンと示していた。

(し、静香のおっぱいに……)

 未だに彼女は着衣のままだ。俺の視線を追うように、静香が制服のブラウスのボタンを優雅に一つだけ外してみせた。

(あの胸に……!?)

 隙間から見える肌の色は刺激的だった。
 それは深い谷間を予想させるのに充分だった。
 無意識にゴクリとつばを飲み込む。

「そろそろ初めて宜しいですか。お兄様」
「あ、ああ……」

 俺の同意を経てタイマーが作動する。
 そしてすぐにブラウスの隙間にペニスの先端が押し込まれた。

「ではいきますね? うふふふ」

ふにゅっ……

「ああああああああああああっ!!」

 胸の間へと導かれ、挟まれた瞬間に腰がとろけた。
 挿乳前から興奮させられていた。
 おかげで先端が敏感になっていたことも事実だし、静香の胸が予想通りに暖かったのも認める。でもこの柔らかさは異常だ!

ぽにゅんっ、ぷにゅ……

「ま、まってくれ! あう、あがああああああああああっ!!」
「私の胸、柔らかいでしょう。ふふふふ」

 吸い込まれる。最初にそう思った。
 肌に吸い付いたおっぱいが形を変えずに俺をはじき出そうとしたと思ったら、今度は吸い付きまくって逃さないような動きに変わるのだ。

「なんだよこれっ、このおっぱい、うあっ、あああぁぁ!」
「もっと溺れてくださいね」

 静香はさりげなくボタンをもう一つ外す。
 柔肌がもろに露出して、それを見たせいでペニスが一段階硬さを増した。

「ちゃんと我慢できるレベルに手加減してあげますから」
「な、なんで、そんなこと、をううぅぅ!」
「だって楽しみたいじゃないですか。五分間もあるんですよ」

 静香の言う通り手加減されていたのだろう。
 その後、決して責めの手が緩んだ気配はなかったが、俺はなんとか耐え続けた。

 じっくり味わうことを許された彼女のテクニックは特殊だった。
 まず胸の谷間に深くペニスを突き刺すことを強要される。
 しっかり突き刺した後で、身動きが取れなくなった俺自身をギュッと挟み込んですぐに力を抜き、そのままストンと落とされた。

「あああああああああああーーーーーーっ!!」

 その時俺は必ず声を上げさせられた。
 自然落下するおっぱいとの摩擦によって、下半身が何度もとろけてしまうからだ。
 二度目の落下の時、静香は自らの谷間に唾液をトロリと垂らしてくれた。
 おかげで滑りが良くなって更に俺の喘ぎ声も大きくなった。

 だがそれはあくまでも片方だけの話。
 たゆんと落下したバストが持ち上がるときに違う責めを俺に与えてくる。

「お兄様にはたっぷり楽しんでいただかないとね? クスッ」

 そんなことを言いながら、静香のバストは俺を離さない。
 根本まで落ちた柔肉の塊が左右から圧迫される。

「ああああああああああっ、し、締まるううううぅぅぅ!!」
「うふふふ、気持ちいいですか?」

 静香の手のひらが、指が間接的にペニスを扱き上げるのだ、
 おっぱいの中で悶え苦しみながら俺は更に追い詰められる。
 今度はギュッと包み込まれたまま扱き上げられた。

「お兄様、カチカチですね」
「あっ、あっ、あっ!」
「それにお歌も上手ですね? クスクスッ」

 笑いながら下から上へ円を描くように、静香はバストを不規則に動かし続ける。
 おっぱいの中でペニスがシェイクされる快感。
 しかも終りが見えない円運動。

 それがやがて終わるころにはペニスが再び亀頭だけ包まれている状態となり、極上の柔らかさを伴う自由落下の刑に処せられる、

 一見同じに見えるが異質な快感を生み出すパイズリに、俺は静香の思うままに喘がされてしまう。

「こ、腰が……うあああ、あっ!」
「勝手に跳ね上がってますね。いやらしい……
 でも、こんな技でお兄様をノックアウトできるかしら?」

 持ち上がる時の窮屈さで焦らされ、ストンと落とされる時の開放感でイキかける。
 その繰り返しは男の防御力を崩すのに最適な技だった。
 甘い毒をじわじわとキスで飲まされ、自分が無抵抗にされていくのを感じる。

 静香はそれを繰り返した。時間いっぱいまで焦らすように、最初に宣言したとおり俺が耐えきれるギリギリを見切って責め続けたのだ。

 やがてタイマーが鳴り響き俺は開放された。
 だが今度はさっきのターンと違って、指先一本すら動かせないほどスタミナを奪いつくされていた。

「次はお兄様のターンですね」
「はぁ、はぁっ、ま、まだ……」
「ええ、まだ勝負はついていませんね。
 残念ですわ。おっぱいだけだとお兄様を責めきれませんでした」

 わざとらしくがっかりしながら彼女は言った。
 俺にもわかる。いつでも俺を仕留めることができたくせに。
 悔しいがこのままなぶり殺しにされるなんて御免だ。

 インターバルの一分間、俺は全身に残った力をかき集めることに専念した。
 だがそんななけなしの抵抗すら静香は許してくれないようだ。

「次の時間はこちらへお迎えしちゃおうかしら?」
「ッ!!」

 こちらを見つめながら静香がスカートをちらりと捲りあげる。
 白い太ももに目を奪われ、その奥のショーツに目が釘付けになった。

 集中力を乱された俺は、うまく回復ができたと言えない状況のまま静香への攻撃を開始しなければならなかった。




 俺の手が、指先が静香の肌が触れる。
 こちらの攻撃ターンゆえに彼女からの接触はない。
 しかしそれでも俺の背中に冷たい汗が流れる。

(こいつの体に触ってるだけで、どうして俺のほうが……ッ!)

 指先の一点しか触れていないはずなのにしっかり感じる滑らかさ。
 薄っすらと汗ばむ白い肌に魅了されかけていた。
 開始のタイマーが鳴る直前まで俺は気持ちと体を鎮めていた。
 だが静香のパイズリで弄ばれた肉棒は未だに熱く、二分前と同じ硬さを保っている。」 それどころか亀頭には彼女の舌先の感触が残り、指先でしごかれた場所は未だにしごかれ続けているような余韻がある。

 快感の三重奏。静香の性技、パイズリとフェラと手コキが確実に俺を蝕んでいる。こちらが主導になった今でも肌に触れているだけで与えられた甘い刺激を思い出してしまうほどに。

(このままじゃ駄目だ! クソッ!!)

 俺は半ば自棄気味になって屹立した肉棒を静香の秘所に押し付けた。

「あんっ、おちんちん硬い……」

 亀頭の弾力と熱さに驚いた静香が喘ぐ。
 それさえも演技かどうかわからない。
 俺には考える余裕もなかった。
 そのせいで、迷わずに腰を思い切り前に突き出してしまったのだが――、

ずっちゅううううううううう!!!

「うあああああああああああああっ!!」

 その情けない声が上がったのは俺の口からだった。
 脚を開かれて挿入されることを予測していた静香は目をつむっていた。
 快も不快もないような表情。それから数秒後、きゅっと口を結び、しばらくなにかに耐えるようにしてからゆっくりと目を開く。

「あ、が……なんだ、これ……」
「ふふっ、動けませんか? 不思議ですね」

 静香は自分の正面で震えている俺を見つめ、フッと笑う。
 今ならこいつが何をしたのかわかる。挿入の瞬間、膣口をきつく締めていたのだ。
 おかげでこちらはカウンター気味にキツい膣内へ挿入した刺激をもろに浴びてしまったのだ。

(こいつの膣内、熱い……まとわりついてくる肉がうねって、これ……ッ)

 挿入した先で俺を待ち受けていたのは男の暴発を誘う甘美な罠だった。
 キツい入り口をかき分け、奥深くまで差し込まれた途端に肉棒の耐久力を一気に奪い去るような襞のざわめきを感じた頃にはもう遅い。
 柔らかなオンナの触手によってがんじがらめにされたペニスは全方位から快感にさらされた。

「お、お前、こうなることがわかってて!」
「なんのことでしょう?」

キュウウッ!

「うあああっ、し、締めるなあああぁぁ!!」
「クスクスクス♪ でも挿入されてるだけでも私へダメージを与えてくるなんてさすがですわ」

 本当か嘘かわからないようなことを静香は口にする。
 だが俺が快感に絡め取られていることだけは事実。このまま自分から動いたら射精してしまうのではないかという焦りが俺を硬直させていた。

 そのままゆっくりと時間が過ぎてゆく。本来なら腰を前後にピストンさせて静香の膣内をかき混ぜて責めるべきなのに何もできない。

 にらみ合いのような状態が数十秒続いてから、静香が俺の首に腕を回してきた。

「な、なにを……うっ!」

 腕の力だけでグイッと引き寄せられた。
 上半身が折れて、ピッタリと静香の体に俺は重なってしまう。

 まるで恋人同士のセックスみたいに正常位での倒れ込みに胸が高鳴る。
 真下にいるのは学園内でも屈指の美少女。
 ドキドキするなというほうが無茶だろう。
 その細腕の力が増して、俺の左耳に彼女の口が密着した。

「お兄様のおちんちん、このまま食べてあげたい……」
「ッ!!」

 はっきりと彼女はそうつぶやいた。
 不覚にも膣内にとらわれている肉棒がピクンと反応した。
 まるでそうしてほしいとでもお願いするように。

(静香に、食べられる……だ、駄目だ! このまま射精させられたら!!)

 いつしか俺の責めるターンは耐えるターンへと変化していた。
 拘束されているわけではない。
 抱きつかれているだけだから振りほどくことは容易い。

 それなのに何もできないまま俺の持ち時間が経過してタイマーが鳴り響いた。

「な、なに……!」
「ふふっ、残念。攻守交代のお時間ですね」

 しかし、ペニスを膣内から引き抜こうとしたが腰が動かない!?
 仕方なく体をどかそうとして自らの肉体の異変に気づく。

(し、しまっ……くそ、やられた!)

 手足にうまく力が入らないのだ。
 静香の膣内に挿入したまま快感をキープされたおかげで、射精をしない代わりに甘く痺れたままジワジワと責め続けられたのだ。

 そんな俺にゆっくりと静香の長い脚がまとわりついてきた。

「どういうつもりだ! ルール違反じゃないのか?」
「もちろん離れてもよいのですけど、そこはそれ。
 お互いに合意があれば良いと思いませんか」

 美脚が腰に絡みついて離れることを拒んでいた。
 まるで蜘蛛に襲われた羽虫のように、俺はみっともなくもがいてみせるのだが、そうすると膣内で甘やかされているペニスが射精に近づいてしまう。

 インターバルでの射精はノーカウントだとしても、快感にまみれた体で次の彼女の責めを耐えきることは難しい。自然と俺は動けなくなってしまう。

「しかし……」
「再挿入が面倒ですからこのままで構いません。
 その代わり私の持ち時間を一分減らしていただいてけっこう」

 悪い条件ではない、と思った。
 静香と接触する時間が減るなら我慢できるかもしれないからだ。

「いいだろう。ちゃんと約束は守れよ」
「もちろんですわ。では今から四分間は私が責める時間ですわ」

 タイマーをセットし直した静香がにっこり微笑む。
 思わず見とれてしまうほどの美しさと色気にゴクリとつばを飲んだ。
 悔しいが至近距離だとその綺麗さが際立って見える。

 静香の持ち時間である一分間と引き換えにインターバルなしでバトルを継続する。
 悪い話ではないように思えた。

「本当に四分でいいんだな? その後、俺はお前を五分責めるぞ」
「それでけっこうですわ。記録しておきましょうか」
「……わかった」

 俺が小さくうなずいて同意したことを認めてから静香が目を細める。
 圧倒的に不利な状況に追い込まれてしまったことに俺は気づけなかった。

「では責めやすい体勢へ変えさせていただきましょうか。それっ」

クチュウウウッ!

 局部が結合したまま体を捻られ、膣内でペニスが強くこすりつけられた。
 同時にタイマーが作動する。

「うああああっ!」
「ふふっ、まだ我慢ですよ。お兄様」

 ヌルリとした感触でペニスの表面を削られたようだった。
 膣内でしゃぶられたペニスに数秒遅れで極上の心地よさが伝わってくる。
 静香の名器は凶悪だった。思わず声が上げてしまうほどに。

「はぁ、はぁっ……」
「さすがですね。お兄様は我慢強い方ですね」

 俺を褒め称える見え透いたお世辞に余裕が滲み出ている。
 静香はこちらの状況を正確に把握しているに違いない。

 恥ずかしいほどヒクついたまま残り時間3分強を耐え凌ごうとする俺に余裕はない。
 静香は俺の両手を掴み、バンザイさせた。

「ここからは趣向を変えて、お兄様を操り人形にしてあげようかなと思いまして」
「にっ、人形!?」
「ええ、なんでも私の言うことを聞いてくださるかわいいお人形に」
「バカな……俺がお前の思いどおりになるわけ無いだろう!」
「不利な賭け事ほど興奮するものです。そういう勝負をしませんか」

 からかうように静香はいう。しかしこれはどちらにとって不利なのか。
 もしかして俺が有利なのか? わからない……
 戸惑う俺を畳み掛けるように静香が顔を寄せてきた。

「お兄様、静香の体を好きにしてみたくないですか」
「ッ!?」

 妖しく囁かれて思わず反応してしまう。
 こいつ自身が「好きにされること」を望んでいるならまだしも、それは非常に困難に思えた。
 何よりこいつは俺を憎んでいるはず。

 でもまさか望んでいるのか……いや、ありえない。
 様々な憶測が俺の頭の中を駆け巡り、考えがまとまらない。
 静香が何を求めているのかもわからない。

 だが魅力的な提案だ。
 美貌の生徒会長を支配できるという点において俺にメリットが有る。

「では……」

ヌチュウウ、クチュッ!

「うあああっ!」

 ゆっくりと腰をくねらせる静香。
 まるで蛇のようにしなやかなラインを描く腰使いに魅了されかけてしまう。
 その淫らな動きを見ていれば誰でも興奮してしまうだろう。

「ねえお兄様、今日はずいぶん長く我慢できていますよね」

 同じ動作を何度か繰り返してから耳に軽くキスをされる。
 その刺激に歯を食いしばる俺に頬ずりしながら彼女は言った。

「静香の手コキ、フェラ、パイズリ、それに挿入まで……以前と違って、今なら我慢できると思っているのでしょう」
「……」

 そのとおりだった。
 確かにこいつの言うとおり、今回は長く耐え続けている。
 あの日、敗北を喫した時から比べて俺は格段に我慢強くなった。

 だがそれが何だというのだ?

「お兄様が強くなられたことは事実……
 でも、ダメージは確実にお兄様の体に蓄積されている」
「ッ!!」
「ふふ、だからこそ限界も近いことでしょう。
 今から我慢できなくして、一気に精を吐き出させてあげますわ」

 すると不敵に笑う静香の膣内の感触が一変した。

「んっ、あ、うあああっ!」
「ふふっ」

 ゆったりとした腰の動きだけでなく、それに連動した膣内のざわめきが強力だった。
 まるでペニスに吸い付きながらニュグニュグと咀嚼してくるような動きだ。
 しっかり咥えこまれた俺自身をねっとり舐め回し、逃げ場所を与えない無慈悲な快楽責めに腰がよじれてしまう。

「くっ、これしき……」
「逃しませんわ」

レロォ♪

「あああっ!」

 真っ赤な舌先が俺の弱点を捉え、膣内と同様にクネクネとうねりだす。
 たまらず悶絶した俺の乳首に唇を這わせ、静香は容赦なく追い打ちをかけてくる!

「チュプ、チュルルル……」
「やめ……あ、ああっ!」」
「静香のお口とオマンコ、気持ちよくてたまらないですか。ふふふ」

 上品にほほえみながらも平然と卑猥な言葉を口にする静香のギャップがたまらない。
 俺は答えることはできない。
 気を抜いたら持っていかれる……射精するだけでなく、今まで耐え抜いてきたもの全部奪われてしまう気がした。

「~~~~~~~~~~~~ッ!!」
「あらあら、無理に意地を張るからおちんちんが悶えてますよ。いいこいいこしてあげますね~」

 足の指先まで力を入れて踏ん張る俺をあざ笑いながら、その言葉通りにうごめく静香の名器。

(チ、チンコの先が、膣奥で舐められて……あ、ああああっ、きもちいいいいい!!)

 チュクチュクと揉み込まれながら確実に追い詰められていく。
 しっかりと根本を締め付けたまま、膣奥に招き入れた亀頭を、裏筋を、鈴口を……名器が甘く噛み締めている。

「もっと素直になって? お兄様」

 その直後、軽く口づけされた俺は恥も外聞もなく俺は叫んだ。
 そうしなければおかしくなってしまうほどこの責めは気持ちいい。
 静香の口づけにも気を許してしまいそうで情けなかった。

 悔しいが認めざるを得ない。
 何かしらの手を打たなければ一分も経たないうちにこのまま屈してしまうのは目に見えていた。

「お兄様かわいい……全てが自分の思い通りになるというのは気持ちが良いものですね」

 薄目を開けて確認すれば、必死の思いで耐えしのぐ俺を見守る穏やかなほほえみがあった。

(きれいだ……俺はこいつに、また負けちまうのか……)

 一瞬よぎった弱気な心を静香は見逃さなかったのだろう。

 真っ白な手のひらがそっと伸びてきて、俺の首筋に触れた。
 もう片方の手のひらは脇腹へと添えられている。

「お兄様、そろそろ終わりにしましょうね」
「う、うううう、いっ、嫌だ!!」
「あら、まだ心が折れていないのね。
 でも密着した状態で静香の手に全身愛撫されたら我慢できますかぁ?」

ツツ……

 ゆっくりと動き出す白い手。
 左右が不規則に、なおかつ俺を確実に喜ばせるために急所を責めまくる淫らな指技。

「くっ、うう、う……!」
「ふふ、ここがいいのかしら?」

 俺は隠していたつもりだったが、感じやすい場所は完全にバレていた。
 手のひら愛撫なら耐えやすい場所には確実に指先が、指先なら刺激が不十分なところへは複数の指が舞い降りて俺を悩ませる。

「やめろ、やめ……んああああっ!」
「さすがにちょっと意地悪でしょうか。もお兄様には今日しっかりと引導を渡しておかないと。
 この先も学園に乱入されては困りますから」
「なっ……」
「もっと体を感じやすくさせて、きっちり調教してあげますわ」

クキュ……

 軽く乳首をつねられ、俺は喘いだ。
 同時にペニスも甘噛みされたから耐えきれなかったのだ。

「あああああああああーーーーーっ!!」
「もう少しだけ我慢ですよ。お兄様」

 すでに膣内ではペニスが悲鳴を上げ続けている。
 溢れ出る我慢汁のせいでますますなめらかにうごめく静香の腰使いを邪魔できない。

 もしも静香が本気になっているならすでに俺は射精している。
 わざとギリギリで踏みとどまるように仕向けられているとわかっていても抗えない。

「お、お前は、まさか、俺を壊すつもりなのか……」

 俺の問いかけに静香が微笑む。

「ええ、そうですわ。
 セックスで私に勝つことはできないと心に刻んで差し上げます。
 また静香以外でイけない身体にしちゃいますね。
 さあ私の目を見て下さい……」

 言われるがままに静香の目を見る。
 吸い込まれるような大きな瞳だ。

(きれいだ……)

 じっと見つめられているだけで心が裸にされていくのを感じる。
 無言の美少女に俺は無防備にされていく……すると彼女が口を開いた。

「お兄様、お兄様は強いですね……
 私に抱かれてまだ射精していない、強い男性です」

 静香に褒められている。
 敵に褒められてもなんとも思わないはずなのに、今はなぜかうれしい……

 もっと褒められたい、もっと静香に認められたい。

 すると彼女は悲しげに目を伏せた。

「でもこのままだと切ないですね?
 気持ちよく射精したい……
 もっと思い切り静香を穢したい、
 自分のものにしたい……そうですよね、お兄様」

 同意を促されて無意識にコクリとうなずいてしまった。
 静香は目を開き、真っ直ぐにこちらを見つめ返してくる。

「じゃあこのまま射精してしまいましょう。
 思い切り出せばその勢いで静香は達してしまうかもしれませんよ」

 俺の腰を挟み付けていた静香の両脚が緩んだ。
 これなら突き上げることだってできる。

「さあどうぞ。好きにしてくださって結構です」
「し、しかし……」
「お兄様のテクニックで静香がイけばお兄様の勝ち、イかなくても気持ちいいのは確実……
 何も迷うことなどないのでは?」

 静香がベッドに片膝を付きわずかに腰を浮かせた。
 その瞬間、俺は思い切り腰を突き上げようとしていた。
 だが迷う。
 このまま責めていいのか。
 俺はなにかとんでもない間違いを犯しているのではないだろうか。

「お兄様の楽園はすぐそこですよ。迷っていても静香のほうからこうして腰をくねらせてしまえば……」

クニュッ……

「ひあああっ!」
「ね? 素直になっちゃいましょう。お兄様」

 目の前のクビレにその思いすらかき消された。
 見惚れるほどの笑顔と巧みな腰使いで亀頭を刺激されてはたまらない。

「いっ、いくぞ!」
「あんっ♪ お兄様激しい……ッ」

 女子校生の膣内めがめて思い切り突き上げる。

 何度も何度も!

 静香も喘いでいる。これなら勝てる!
 そう思った矢先だった。

ギュッ、キュウウウウッ……

「んはああああああああっ!?」
「ほぉら、きもちいい♪ ジワぁって広がってくるでしょう? もう一度感じてくださいな」

 静香は笑っていた。
 冷静に俺の腰の動きを見切りながら膣圧を変えてきたのだ。

 挿入する時は緩く、引き抜く時は強く。
 タイミングをあわせて俺が感じやすい場所を的確に刺激してくる。

 おかげで俺が静香を責める時は手応えが少なく、引く時に強い刺激を与えられてしまう。
 責めようとすればするほど深みに嵌っていく……
 バトルファックにおいては最悪の循環だ。

「もう我慢できませんね。限界ですね。恥ずかしく叫びながらイってください。
 静香のオマンコ気持ちいい……気持ちいい、僕のおちんちん負けちゃううううって!」

 この動きの繰り返しが一気に俺のスタミナと闘争心を削り取る。
 かわりに植え付けられたのは快楽への渇望だった。

(いっ、イキたい! このまま出したい、射精したい! あっ、ああああ~~~~~!!))

 だがそんなことが言えるはずもなかった。
 放っておいても負けてしまう。でも自分から負けに行くなんてありえない。

「もうひと押しですね。ならばこれで終わりです♪」

 俺の気持ちを見透かしたように、静香が絶妙のタイミングで上体を倒して密着してきた。
 豊かなバストが潰れ、柔らかさに心臓が包まれたようだった。
 ピッタリと折り重なった状態で静香を感じながら、俺はいよいよ逃げ場を失った気がした。

 整った顔立ちの静香が唇を寄せてきた。

(……ちゃんとおねだりできたら、とびきり優しく抱きしめてあげる)

 甘美な囁きに思わず腰を突き上げてしまうと、

ヌチュウウウウウウウウウウウウッ!

 俺を待ち受けていたのは静香のカウンター技だった。
 ピストンするために跳ね上げた腰の動きを完全に受け止める迎え腰。
 無効化された攻撃力を上乗せした膣内の締め付けが快感となって襲いかかる!

「あっ、あああああっ!」
「クスクスクス♪ お兄様、もうイっちゃって?」

 防御を考えていなかったペニスを降参させるのに充分な一撃。
 そしてトドメとなる一言に俺は、

ビュクビュクビュクビュクビュクウウウウウッ!!

「うああああああああああああああああっ!!」

 ガクガク震えながら俺は静香の脚にしがみつき、狭い膣内へと精を遡らせた。
 同時に静香は俺を抱きしめ、唇を奪いながら腰をクネクネと動かし始めた。

(駄目だ、抜き取られ……吸い取られてく……!)

 手足の自由をコントロールされたまま射精が続く。
 一度や二度の射精では落ち着かず、そのまま連続射精が始まった。

チュウウウウウッ♪

 キスをされると力が抜けて感度が上がる。
 そしてまた射精してしまう。

 静香は硬いままのペニスをしゃぶり溶かすように前後左右に腰を振る。
 その間ずっと悶えながら唇を奪われ、頭の中に彼女の存在を染み込まされた。

「すごい量……静香の寸止めが効きすぎてしまったようですね」

 やがて俺が動けなくなったのを見計らってから静香が体を起こした。
 魔性の名器に搾り尽くされ、ようやく引き抜かれたペニスは溺れ死んだように小さくなっている。

 ここでようやくタイマーが鳴り響いた。

 俺はもう立ち上がれそうにない。指先一つ動かせないほど消耗していた。

「お、おれの……」
「ええ、お兄様の一方的な射精負ですわ」

 容赦なく敗者である俺を打ちのめす一言。

 だが何も考えることができない。
 静香に与えられた快感のせいで思考がまとまらないのだ。

 ものすごい疲労感に押されて意識が遠のいてゆく。

「それにしてもずいぶん感じてくださったのですね、お兄様」

 勝ち誇った様子で静香が俺にビデオカメラの画面を見せる。
 そこにはだらしなく射精したまま動けなくなった俺の姿がはっきりと記録されていた。

「お望みでしたら今回のリベンジを受け付けますがどうされます?
 もっとも、万に一つもお兄様に勝ち目はないと思いますけど」

 優越感に満ちた顔で静香が笑っている。

 もはや怒りは感じないが、意地が悪い……と思った。

 俺は彼女に逆らう気力まで、全て奪い取られてしまったのだから。





(了)





(2020.06.25 更新)



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