『やっと口説き落とした彼女と過ごす夏』

 
 今年の夏はいつもと違う。ついに念願だった恋人ができたのだ。
 しかも僕より年上で、大人っぽい女性。
 気配り上手で待ち合わせの時間に遅れることなんてほとんど無くて、ほらきた!

「お待たせ。今日はどこへ連れて行ってくれるの?」

 にこやかに微笑む彼女に僕は今日も見とれてしまう。
 黒髪のボブカット。
 リボンみたいな髪留めで耳が隠れていないのもポイント高い。
 涼し気なブラウスから覗く白い腕と、紺色のミニスカートから伸びた美脚に思わず目を奪われてしまう。

 彼女の名前は小田林育代(やすよ)さん。いくよと読んで叱られたことがある。
 本人は古風な名前だから名前で呼んでほしくないという。
 本人の意志は最大限尊重する。

「まずは食事に行こうかなと。その後で少し買い物でもしませんか」
「うん、べつにそれでかまわないよ」

 こちらの提案に彼女は同意してくれた。
 ニッコリ笑ってから隣に寄り添ってくれる。かわいいなぁ……
 ヒールを履いてるせいもあって身長はほとんど変わらないけど可憐だ。

 育代さんは職場の先輩で、僕が中途入社したときから憧れていた。
 一目惚れだったのかもしれない。
 そこでしばらくしてから思い切って一生懸命口説いてみた。
 彼女になってほしいと切り出してみたら、あっさりオッケーしてくれた。
 どう見ても高嶺の花という印象なのに思った以上に純粋というか、素朴な印象だった。

 それから僕たちは食事を済ませ、しばらく歩いた。
 手をつないでみようと思ったけど指が触れたところで僕は自分から手を引っ込めた。
 すると彼女の方からギュッと手を握ってこう言ってきた。

「最初は積極的だったのに、最近よそよそしくない?」
「え」
「付き合い始めてから遠慮してるっていうか。私の気のせいならいいんだけど」

 空いている方の手で髪をかきあげながら彼女は続ける。
 見え隠れするうなじや首筋の白さにドキッとさせられる。
 そして僕の方をじっと見つめてから、妖しく微笑んでみせた。

「こう見えても結構一途な方だと思うよ。
 恋人にならこんなことだってできちゃうんだから」
「!?」

 周囲を一瞥してから彼女は僕の手を引いて、ビルとビルの隙間へと体を滑り込ませた。
 ちょうど死角となるスペースで正面から僕に抱きついてきたのだ。
 さらに大胆にも左手で僕のベルトを緩めて手のひらをするりと――、

(や、やす……あっ! あああああーーーーーーーーッ!?

クチュウウゥゥ♪

 じっと僕を見つめたままなのに、どうしてこんなに的確に……!
 彼女の指はしっかりと亀頭を捉えて、しかも優しく転がしていた。

「あ……ああぁ……!」
「痴女っぽいことだってできるんだよ。ふふ♪」

 同時進行でズボンをするりと脱がせ、完全にペニスが露出する。
 気持ちよさと恥ずかしさでパニック状態になる。

(やば、やばいって! これじゃあ周りから丸見え……えっ?)

 次の瞬間、信じられないことが起きた。
 あらわになったペニスを隠すように彼女は僕に密着して、そこから器用に太ももで挟み込んできたのだ。
 すでに我慢汁を吐き出し始めていたところをスベスベの脚で挟み込まれ、捕獲されてしまった。
 しかもこれ、とんでもなく気持ちいいぞ……

「うふっ、挟まれちゃったね。私の脚の間でビクビクしてるよ」
「な、どうして、こんなっ、ああああぁぁっ!」

 言葉を遮る意地悪な快感。ペニスを挟んだ太ももをこすり合わせるように、彼女がその場で小刻みに背伸びを繰り返してきた。
 薄手のストッキング越しに行われる淫らな素股によってペニスがますます硬さを増してゆく。
 しかも吐き出した粘液が潤滑剤となってますます凶悪な快感を呼び起こす。

「誰かに見られちゃうと思うと恥ずかしくて刺激的でしょ。
 これならただ抱き合ってるだけにしか見えないし」

 たしかにそのとおりなのだが、この刺激は強すぎる!
 正面から抱きつかれたまま彼女に力を吸い取られているみたいで、だんだん腰砕けになっていくのがわかる。
 両手を首に回し、しっかりと僕を見つめたまま彼女は腰をくねらせる。
 時々ひねりを加えるように左右にグラインドされると天国だった。
 こらえていても喘いでしまうほど気持ちいい!!

「でも射精しちゃったらさすがにバレちゃうかもね?」

 息も絶え絶えの僕に彼女は言った。
 その微笑みにはわずかに嗜虐性がにじみ出ており、同時にそれはいつもの彼女にはないギャップが備わっていた。
 惜しげなく与えられる素肌の体温と甘い声、そして美しい顔立ちに魅了される。
 それを感じたのか、彼女からの責めがさらに激しく変化した。

きゅっきゅっきゅっきゅ!

「うあっ、ああっ、だめ、それだめええええ!」
「いっぱい我慢して見せて……男の子が頑張ってる時の顔、好き♪」

 僕を抱きながら彼女が小刻みに太ももを締め付けてくる。
 ヒクンヒクンと弾力性のある脚がペニスを締め上げ、射精を強制してくる。
 あえてキスすることもなく僕をじっと見つめ、快感の度合いを測っているのだ。

(だ、大好きな人に見つめられて、気持ちよくされて、尽くされてるうううぅぅ!)

 ジリジリと神経が焼かれていく。 
 もはや我慢などできるはずもなく、限界はすぐに訪れた。

ビュクウウッ、ドピュッ、ピュルルル!

「あはっ、ドクドクいってる……おちんちんだけじゃなくて、体全体がこんなに震えて可愛い」

 声を出さないようにしながら何度も僕は吐き出した。
 彼女は嬉しそうに僕を見つめながら玉袋に残った精液を最後の一滴まで搾り尽くすように美脚でペニスを責め続けた……。


「ど、どうだった?」
「やりすぎです……」

 反射的に応えてしまった。
 憧れの女性に蹂躙されてスタミナを奪いつくされ、指先一本すら動かせない。

「えっ! こういう刺激を求めてたんじゃなかったの!?」
「僕はエッチしたいなんて、一言も……」
「どうしよ……やだ、誤解されちゃう」

 急に恥ずかしそうにモジモジし始める彼女。

「あのね、じつは野外プレイは恥ずかしくて、でも元カレから求められることが多かったからつい……」

 元カレという部分は少し気になるが、今は深追いしない。
 ひとつだけ確実にわかったのは彼女の性技が僕にとって有効であること。
 気持ちよすぎて足腰が立たなくされてしまったのだから。

「その、許してくれますか?」

 不安そうにこちらを見つめる彼女に向かって小さく頷いてみせた。
 許すも何も、完全に骨抜き状態にされてしまった僕に選択肢は残されていない。


『やっと口説き落とした彼女と過ごす夏』(了) ※後日改稿予定


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