『妖精の砂時計 ~フェアリーの淫らな罠~』
この「帰らずの森」には魔物が出ると言われている。
一見すると普通の森にしか見えないこの地域は、人の気配が感じられない緑の迷宮だ。
日中だというのに常に立ち込めている霧のせいで薄暗く感じる。
視界もあやふやで、数時間前から目的の場所どころか自分が入ってきた森の入り口すら探せずにいた。
(まいったな……日が暮れるまでに引き上げるつもりだったのに)
もともと僕は冒険者というわけではない。
高額報酬に惹かれ、この場所にある薬草を探しにここへきただけだ。
その結果、見事に遭難かけているというわけだ。
(さっきからずっと同じ場所をぐるぐる回っている気がする)
厄介な霧意外にも方向感覚を狂わせる何かが立ち込めている気がする。
実際にそうなのだろう。だんだん不安になってきた。
所持品である方位磁石がでたらめな方向を指すのも気にいらない。
出発前までは正確に機能していたのに。
(森の中で磁界が狂うなんて話も聞いていなかったぞ。クソッ!)
僕ばかりが苦労している。イライラしてきたぞ。
近くに落ちていた手のひらより少し大きめな木の実を拾い、誰もいない木々の隙間に思い切り投げた。
ブンッ!
だが乱暴に放り投げたはずのそれが空中でピタリと止まった。
例えるなら、えらく頑丈な蜘蛛糸みたいな何かに受け止められたようだ。
そう思ったのも束の間、
「もうっ! 何するのよっ」
近くで小さな声がした。
姿は見えない。
でもそれは確実に女の子の声だった。
ひゅんっ!
次の瞬間、空中で静止していた木の実が僕に向かって飛んできた!
「おわああっ!?」
慌てて首をひねって回避する。
するとまた小さな声が、今度は近くから聞こえた。
「ふん、乱暴なニンゲンね。避けずに当たればよかったのに」
さっきまで何もなかったはずの空間に、羽を生やした小さな女の子がぼんやりと姿を表してきた。
これはまさか……、
「妖精!?」
おとぎ話に出てくるような、半透明の女の子だった。
緑色のショートカットで、青い布を身にまとって胸と腰を隠している。
水色っぽい透明な羽の周りがキラキラ輝いて見えた。
「さん付けしてよね! 妖精さんって呼んでほしいわ」
「そ、そうか……ごめんね」
目線の高さに浮かんでいる彼女は、ちょっとお怒りの様子だった。
距離にすれば3メートルほど離れたところにふわりと浮かんで警戒している。
「ちょっとニンゲン! どのタイミングで声をかけようかと迷っていたら、
いきなり私の方に投石してきたからびっくりしたわ!」
「石じゃないけどね……僕は言葉が通じることに驚いてるよ。ちっちゃいキミ」
「ちっちゃくないし!!」
いや、間違いなく僕よりは小さいぞ。
不機嫌な彼女はルゥと名乗った。
森に迷い込んだ僕を物陰からずっと見ていたという。
妖精が実在していたことに驚きつつ彼女と対話してみる。
基本的には穏やかで、好奇心が強くて人間は嫌いじゃないと昔読んだ本に書かれていた気がする。
森の中で迷っている人を助けてあげるのが彼女たち共通の役目らしい。
それが本当なら今の僕にとってこの上なくありがたいのだけど。
「あなたは何をしているの?」
「僕は薬を作るためにマンドラゴラを探しているんだ。キミ、知らないか」
「あー、今は無理だねー」
「えっ」
「時期が悪いと思うのよ」
「……」
絶句。あっさり旅の目的を否定されてしまった。
ルゥは少々困った様子で僕に教えてくれた。
目的の薬草は季節的に見つけるのが難しいと。
「そんなにションボリしないでよ! 試しに私が近くを探ってみるね」
「おねがいします……」
そして数分後、残念ながら該当するものは見当たらなかった。
ルゥは申し訳無さそうに言った。
「とにかくあなたは早く帰ったほうがいいと思う」
「それができないんだ」
僕は素直に事情を説明した。出口の方向がわからない、と。
「つまり迷子ってことね!」
「そう、だね……」
「じゃあ妖精の神様に頼んでみれば?」
「妖精の神様!?」
「願いごとには対価が必要だけど……あっ、そこ座っていい?」
ルゥはそう言いながら僕の方にちょこんと腰を掛けた。
重さはそれほど感じないけど羽が僕の耳に当たるとくすぐったい。
神様へお願いするための報酬はどれくらい必要なのかを尋ねてみた。
「う~ん、お金でいうなら2億フェアリルぐらいかな」
「億ッ!? てゆーかフェアリルって何」
まず数字のデカさに驚いた。フェアリルは妖精通貨。
ルゥの話によると人間界の貨幣価値にすれば十分の一程度の額らしい。
でも残念ながら僕はそんな大金を持ってないし見たこともない。
「はぁ~、無理だよ。
今の僕には用意できない。他になにか救済策はないのかな……」
「たぶんあるよ」
「あるんだ!?」
「うん。あなたはニンゲンでしょ?
だからエナジーを私たちに提供してくれればいいと思う」
ルゥが言うには森の中で暮らす彼女たちに欠乏しているものがある。その中にエナジーと呼ばれるものがあって、人間の男性が豊富に持っているものらしい。
「エナジーか。それは何のことを指してる?」
「いわゆるセーエキね」
「精液!?」
「つまり私とエッチなゲームをすればいいってコト!」
ルゥは僕の肩から飛び降りて、顔の前でフワリと浮かんでみせた。
◆
「妖精さんとエッチ……」
「ふふっ♪」
ルゥはその場でくるりと一回転してみせた。
キラキラした鱗粉が撒き散らされる。
(きれいだな……)
両手を後ろに組んで僕に向かってニコニコしている彼女は、近くで見るとなかなか整った顔をしてる……っていうか、アイドル並みにかわいい!
緑髪のショートカットはよく見るとウェーブがかかっていて柔らかそうだし、露出している肌はスベスベしてて触りたくなる。
(でもエッチなんて、どうやってするんだろう? 体のサイズが合わないし)
予想外の対価を求められて僕は頭がパニックになっている。
そして何故か急にドキドキしてきた。
欲情とは違う、恋慕のような感情。
僕はルゥを好きになりかけている、のだろうか。
そして妖精さんとエッチできる機会なんて普通ならありえないし、非常に貴重な体験だしできれば味わってみたい。
「あー、エッチなこといっぱい考えてる顔だー!」
「ぐぬっ……そりゃあ、ね?」
「ニンゲンの男の人だもんねー。元気がいいんだね。うふふふふ♪」
ルゥがまた僕の前でくるりと回ってみせた。
羽の部分を除けば全身で約20センチ程度。
顔だけじゃなくて手足や胸、腰つきなどパーツも全て美しかった。
「妖精さんってきれいなんだね」
「きゃはっ、口説いてくれるんだ? そういうの久しぶり。うれしいなぁ」
「でもさ、どうやって、その、キミとエッチ……するの?」
「あー! ちゃんと手順があるの。説明するね!」
すると、両手を広げた彼女の顔の脇に、ポンッと音を立てて小さな砂時計がいくつも現れた。数にすれば十五個くらいか。
「それは?」
「妖精の砂時計っていうの。ニンゲンのエナジーを溜め込むことができるから、神様にお願いする時に使えるんだよ」
「へぇ……」
確かに砂時計だ。こんなに小さく精巧に作れるものなのかと感心する。
そして彼女から、僕がエナジーを捧げるためのゲームを提案された。
ルールをまとめるとこうなる。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【妖精の砂時計ゲーム ルール】
僕の勝利条件はルゥと交わって満足させて、
エナジーポイントを得ること。
ルゥが満足する尺度は僕が射精を我慢した時間によるポイント制。
合計10000ポイント貯めれば神様にお願いして森から脱出できる。
我慢すればするだけ高得点をゲットできる!
(例)我慢した時間によって得点は分刻みで倍増する
一分めは 1ポイント
二分めは 2ポイント
三分めは 4ポイント
四分めは 8ポイント
五分めは16ポイント
六分めは32ポイント
七分めは64ポイント
八分めは128ポイント
九分めは256ポイント
十分めは512ポイント
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
だいたいこんな感じ。
言われたとおりの内容を近くの木にナイフで刻みつける。
「この条件だと……おおっ、14分耐えきれば一発クリアだ!」
「わぁ、すぐに計算できるんだ! すごいね~」
「まあね。僕は計算するの速いほうだからさ!」
パチパチと手を叩く彼女を見ながら少しだけ得意げな気分になる。
「ふふふ♪ 私からの提案を了承してくれたと解釈していいのかな?」
「ああ、僕はこれでかまわない」
わずか十数分の我慢で安全に元の世界へ帰れるなら安いものだ。
「じゃ、下準備を始めないとね!」
「えっ」
「お互いに体の大きさが違うでしょ?
だから合わせるための準備。そこへ座ってくれる?」
言われたとおりに近くに座る。
足を伸ばして両手を後ろについたまま動かないでほしいと言われた。
「これでいいのかな? 手足を投げ出してるような姿勢だけど」
「うんうん、それでオッケー! じゃ、いくよぉ……」
静かに目を閉じて、ルゥは僕に向かって呪文を唱えた!
彼女の体がほのかに輝き出す。
『……双方の理解、精奪の義、異界の神、
門をつなげ、精神を重ね、ここに交わる、顕現せよ……』
◆
ルゥが呟いている声が小さくて内容はよくわからなかったけど、すぐに微弱な痺れが僕の全身を包み込んだ。
つま先までルゥと同じ光りに包まれて、彼女と一体化したような気持ちになる。
「なんだこれ、麻痺したみたいに感覚が消えてく……」
同時に体が動かせなくなった。
動かす意志があるのに指先に伝わらない、と表現すればよいだろうか。
痛みや不快感はないものの、肉体と精神が繋がっていないような不安感はある。
「どんな気分?」
呪文の詠唱を終えた彼女が目の前に浮かんでいる。
「い、いや……体がうまく動かせなくて」
「そう。でも意識はしっかりしてるでしょ」
「してるけど、これが下準備ってやつなのか」
「ううん、まだよ。ここからが本番」
僕の目の前で彼女は両手を開いてみせた。
ルゥの手のひらがピンク色の輝きだす。
「すぐに終わるから我慢してね」
「えっ、なにを……」
「あなたの力を体から抜き出してあげる。えいっ♪」
魔力のこもった両手をルゥは僕の胸に押し当てた。
何の抵抗もなく彼女の両腕が僕の心臓付近に入り込んできた!
ヌプッ……ぎゅ……
「あああっ!」
ルゥの両手が僕の中にあるなにかを抱きしめている。
僕の大切な部分を直接手のひらで――、
ニュプッ……
「うあ、ああああっ!」
「こらぁ! あんまり力を入れないでラクにしてて」
「ごめ、ん、うあ、でもこれ、あっ、あああーーーーっ!!!!!!」
叫ばずにいられなかった。
今まで味わったことのない虚脱感に一瞬気が遠くなる。
冗談抜きで目の前が真っ暗になった。
痛みはないけど得体のしれない不安感で胸が一杯になる。
(やはり身を任せてはいけなかったのではないか……)
一瞬よぎる後悔。可憐な姿のせいで忘れがちだけど、妖精は神の使いではなく、どちらかと言えば魔物寄りの存在なのかもしれない。
好奇心旺盛でいたずら好きな性格というのは単なる伝承で、実は人間に害をなす存在だとしたら僕は……
「はい、おわりっ!」
ルゥの声がはっきりと頭に響いた。
それにつられて目を見開く。
「なっ……」
「私と同じサイズになっちゃったね」
何をされたかわからないうちに、僕の目の前に彼女が立っていた。
相変わらず僕は尻餅をついたような姿勢のままで動けない。
でも人間サイズになったルゥが微笑んでいるのは事実だ。
(こうしてみるとやっぱりかわいいな……これから僕は彼女とゲームするんだ)
できないと思っていたことが現実味を帯びてきて不安が消し飛ぶ。
そしてまた僕はドキドキしてきた。
ルゥの柔らかそうな髪に触れたい!
真っ白な肌をもっと近くで見てみたい。
妖精さんとキスもしてみたい……
しかし立ち上がろうとしたけど動けなかった。
「あ、あれ……ど、どうして……?」
「ふふーん♪ うまく動けないよね。これ、そういう魔法だから」
「なっ……!」
「キミの体はそのままで、意識だけ肉体から抜き出したんだよ」
動けない僕を見下ろしながら彼女は続ける。
「言い換えれば、キミの感覚全てをおちんちんに集中させたの。
こう言えば安心してもらえる?」
「安心しないけど!?」
にっこり微笑むルゥ。僕の心中は穏やかではなかった。
ルゥが僕の背中に回って耳元をサワサワしてきた。
ただ指先で触れられてるだけでとんでもなく気持ちいい……
「キミの全身を縮める魔法もあるけど、あれはすごく魔力を消費しちゃうし。
その逆はもっとひどいからやりたくないんだよねー」
「逆っていうのは……」
「私が人間サイズになること。
キミ的にはそっちのほうが興奮しちゃうのかな?」
指先の巧みなタッチでゾクゾクしているところへ、さらに甘い声で囁かれる。
人間サイズになったルゥとエッチできるならしてみたいけど……
「まあどっちでもいいよね。
キミが私に気持ちよくされちゃうことに変わりはないわけだし」
今もサイズ感は同じわけで、彼女のいうとおりだ。
「さっきも言ったけど今のキミは精神体そのもの。
しかも妖精魔法で縛られてるから自分で動くことはできない」
背後から正面に回り、膝立ちになったルゥが右手を僕の顎に添えた。
そのままツゥーっと顎の先を指で撫でられた。
「ぐっ……!」
相変わらず僕は彼女を見上げることしかできない。
本当なら自分から彼女に触れたいのに!
「ね? 頑張っても身動き一つできないでしょ。
今からたっぷり犯されちゃうのにね~」
(お、犯さ、れる……!?)
ルゥの目の奥に淫らな色がにじみ出ているように見えた。これから僕とエッチすると言ったけど、これは一方的に僕を弄り回そうとするいたずらっ子の目だ!
◆
「じゃあそろそろ始めるね」
彼女がぱちん、と指を鳴らすと砂時計の一つがくるりと反転した。
サラサラと砂が流れ始める。
一分めがスタートした。
「意識はあるけど動けないっていうの、結構屈辱的だよね。
でも触られたらいっぱい感じちゃうの……こんなふうに」
「意識はあるけど動けないっていうの、結構屈辱的だよね。
でも触られたらいっぱい感じちゃうの……こんなふうに」
ルゥは軽く羽ばたいて僕の脚を割って入り込んだ。
柔らかい胸にペニスが触れて気持ちいい……
ぬるううぅぅぅ~~~~♪
「はう、うううううっ! きもちいい……ッ」
ルゥはそのまま上半身を前後にスライドする。
ぷにぷにバストに押しつぶされたペニスから我慢汁が溢れる。
それが潤滑剤となってさらに凶悪になったバストが僕の性感を高める。
「ね? おちんちんだけじゃなく、ほかのところも敏感でしょ?」
「んあ、ど、どうして……」
「ふふふ♪ ゆっくり理解すればいいと思うよ~」
ルゥの両手が僕の脇の下を通って、背中をぎゅっとしてきた。
ミントのような髪の香りと柔らかさに思わずため息が漏れる。
「今のキミは思念体。魂そのものってワケ。
大切な部分を直接この手のひらで弄ばれているんだよ。
私に抗えるわけ無いじゃん?」
しっかりと僕を抱きしめ、彼女の手が背中を這い回る。
同時になめらかなラインを描く彼女のおなかが僕自身を圧迫してくる。
まさに全身でルゥを味わっている……妖精さんの体をリアルに感じていた。
「すべすべの妖精さんの手のひらで~」
魔力が乗った指先が僕の両耳を捉えた。
耳穴をキュポキュポと責めたり、耳たぶをそろ~っと撫でてきたり……
「うっ、うぁっ、うあああ……」
悶える僕を見つめながら、ルゥは片方の手を股間へ潜り込ませる。
そして自らの愛液を指先に絡めてから肉棒を握り、
「こちょこちょクリクリ、すりすりシュッシュ♪」
「くひいいいっ!!」
耳責めと同時進行でペニスをしごかれる。
それも妖精の愛液混じりの淫らな手付きで、亀頭を優しく剥かれていく。
(こんなの続け、られたらだめだ、がまんなんて、できないっ!)
ペニスをひとしきり嫐ったあと、彼女は余裕たっぷりに両手を使って僕の下半身全体を撫で回してきた。
くまなく全身を撫でられ、僕は彼女のテクニックに夢中になってしまう。
「あら?」
ひとつ目の砂時計がまばゆく輝き出す。
そしてふたつ目の砂時計が反転した。
「んふふ、とりあえずひとつめクリアおめでとー」
サラサラと砂が流れ始める。
二分めがスタートした。
もちろん彼女が責めの手を緩めることはない。
甘ったるい声で僕を誘惑しながら感じやすい場所を増やしてくる……
「気持ちいいのがどんどん魂に吸い付いてくるでしょ?」
「これ、ま、まだ一分……!?」
「そうだよ~、あきらめちゃお? 私と1万回エッチしよーよ♪」
「だっ、だれがっ! うあああああっ」
「ふふっ、どこまで我慢できるかなぁ」
なめらかな手付きで背中を撫でられ、胸を押し付けられた場所では快感がうずき、彼女の吐息を鼻先に浴びれば心が揺れた。
ルゥは僕の股間に顔を寄せて、ペニスをそっと口に含んだ。
「おちんちんのお口にチュ♪
裏筋のところは、性感帯が全部集中してる感じ? 念入りに嫐ってあげる~」
今の自分は全身が性感帯で、どこを触られても等しく感じてしまうはずなのに……
視覚効果のせいなのか興奮は段違いだった。
丹念にペニスを舐め上げられ、いたずらに乱される。
ルゥの口の中は熱くて、僕はそのまま溶かされてしまいそうだった。
◆
ひとつ、またひとつと砂時計が光に満たされてゆく。
この森から脱出するためのポイントが増えていくけど、快感はもっと速いペースで増えていく!
それだけ僕が我慢していることに違いないんだけど……
すでにいくつ目かわからない。
目の前にある砂時計がまばゆく輝き出す。
そしてまたあたらしい砂時計が反転した。
「そろそろ我慢できなくなったでしょ? おちんちん入れちゃおうかな」
ルゥは興奮しきった様子で僕にまたがってきた。
柔らかい髪が僕の顔に触れる。
両腕を首に回して正面から僕と見つめ合う。
「待っ……」
「覚悟はできた?
この状況で挿入されたら間違いなく天国行きだよ~」
ヌチュ……
対面座位での挿入。思い切り奥まで繋がってしまう。
主導権は彼女のままゆっくりと僕は飲み込まれていく。
「あはぁっ、硬いよぉ……いっぱい優しくしてあげるからね?」
「あああああーーーーーーーーーっ!!」
言葉通りに優しく撫でられるような刺激。
妖精の膣内は果てしなく柔らかくて、僕の魂を舐め溶かすようにクニュクニュと繊細な動きを繰り返してくる。
ペニスの先端が子宮口へたどり着く頃にはすっかり射精寸前になっていた。
(あああっ、イくっ! 出ちゃうううううう!)
「まだイっちゃだめ!」
「でもっ」
「いっぱいオマンコでしゃぶり尽くして、気持ちよくしちゃうんだから!」
パンパンパンパンパンパンパンパンッ!
「あんっ、きもちいい……♪ おちんちんもっとちょーだい」
「は、はげしすぎるううう!」
「うるさいなぁ~」
パアアァァ……
ルゥは魔力を乗せた手のひらで僕を抱きしめ、全身を撫で擦る。
射精感が少しだけ遠のいた。
「我慢しやすくしてあげる。今度はぐるぐる~♪」
「んひいいいいいっ!」
妖精のオマンコに無理やり挿入され、腰を前後左右に振られると自分ではどうすることもできない。
ただひたすら快感だけが積み重なって、射精したい欲望と彼女への愛情が混じった気持ちになる。
「イくっ、でる、これで、イッたら本当におかしくなるぅ……!」
「なっちゃえなっちゃえ♪ 妖精さんのオマンコで気持ちよくなっちゃお?」
「ほら、ぴゅっぴゅ~」
「ああああああっ! 囁かないで」
「ぴゅっぴゅっぴゅ~~~、恥ずかしいお顔でイっちゃえー!」
クニュッ……♪
膣内で裏筋をえぐるような甘く強い締付け。
感じやすい部分への的確な責めがトドメとなって、ついに我慢できなくなった。
ビュルッ、ドピュウウウウウウウウウウッ!!
僕は盛大に爆ぜた。同時に脱力してしまう。
ルゥの膣内に命をそのまま吸い取られる……そんなイメージ。
「あああああああああああああっ、あああーーーーっ! 出るッ、出てるううう!!」
「ふふふふっ、もっと搾り出してあげるよぉ~」
射精中だというのにルゥが膣内を締めながら腰をくねくねと振りまくる。
この追撃の微振動が強烈で、体の芯まで溶かされたみたいに気持ちよくて、
ビュルッ、ビュウウウッ!
全く我慢できずにそのままイかされてしまった。
(ルゥとのえっち、こんなに、きもちよくて、はげしくて、病みつきになる……)
感じすぎて痙攣している僕を抱きながら彼女は笑う。
その表情がとても可愛らしくて見惚れてしまう。
「もっと、せ、責めて……」
「えー、いいのぉ? やっちゃうよ♪」
ちゅっちゅっちゅっちゅ♪
ルゥはおねだりしてきた僕を笑わずに、キスしながら全身を擦りつけてきた。
そのしなやかな体の感触に慣れることなどできず、僕は悶え続けた。
(もっと捧げる、ルウになら搾り尽くされても、いい……)
全身の気だるさよりも快感が圧倒的に上回っている。
僕は彼女に抜かずの三連発を捧げてしまった……
◆
「砂時計の記録は13個……きゃっ、すごーい!」
少し落ち着いた頃、ルゥは僕の目の前ではしゃいでいた。
聞けば新記録だという。
ここまで我慢強い人間は初めてだとも言われた。
射精をしたことで魔法も途切れ、僕たちは元通りのサイズ感に戻っている。
目の前に可愛らしいサイズの妖精が浮かんでいるわけだが……
「いっぱい我慢できたからご褒美あげるね」
突然彼女が距離を詰めてきた。
ちゅっ……
小さな手のひらを僕の顔に添えて、しっとりと目を瞑ってのキス。
気持ちが高まると同時に視界がぼやける。
「これは妖精魔術『降り積もる甘い記憶(スイートメモリーフォール)』……うふふふ、どうなっちゃうんだろうね?」
唇から流し込まれた魔力に抗う間もなく、その効果はすぐに現れた。
(あ、あれ……僕、どうしちゃったんだろう……)
ルゥを見ているだけで恥ずかしくなる。
さっきよりも彼女が魅力的に見える。
かわいいだけじゃなくて綺麗で、可憐で、愛しく思えてきた。
あっという間にペニスの硬さも復活して、すぐに彼女とエッチしたい気持ちになる。
もう大好きでたまらない。
魔法の効果だとしても彼女が好きだ……。
「ルゥ、おねがい……もっと僕を……!」
「クスクスッ♪ じゃあさっきの続き、エッチしよっか?」
そしてまた魔法がかけられ、僕の魂が体から引き抜かれた。
目を開けるとまた同じサイズのルゥがいて……
「今度はどんなふうにされたい?」
飛び切りの笑顔で彼女は僕を誘惑する。
ゆっくり首に腕を回し、甘いキスをされる……本当にたまらない。
「さっきみたいにして……」
「いいよぉ~。いっぱい愛してあげる♪」
動けないまま自分から彼女を求め、快感を与えてくれと何度もおねだりしてしまう。
そんな僕を受け入れ、彼女はリクエストに応え続けてくれた。
(ハァ、ハァ、あと、残り約2000……これなら……)
もう一度さっきと同じことをすればいい。
同じだけ我慢できればいいんだとこの時の僕は思っていた。
◆
じつはゲームを始める前の段階で彼女の勝ちは確定していた。
計算が速いと口では彼を褒め称えながら、ルゥは心の中でほくそ笑んでいた。
(あーぁ、クリアする前に計算しても全部無駄にされちゃうのに。
これだからニンゲンって扱いやすいのよね~)
彼がこの場所で迷うこと自体が異常なのに問題をすり替えることに成功した。
この森は一度入り込むと自力で脱出できないという噂。
磁石が効かない森だという事実。
(妖精魔法で結界を作ってましたなんていまさら言えないし、それよりも何度も通ってもらえるように調教したほうがいいよね?)
じつは全てが彼女が仕掛けた罠だった。
近年、妖精族は繁殖力が低くなっている。
種族繁栄のために人間を拉致して気絶するまで搾精するのがルゥの役目だ。
しかし、妖精神からの指示に工夫を重ねた結果、一度きりの搾精で使い物にならなくするよりもニンゲンたちが自発的に射精を求めるよう仕向けることにした。
結果は大成功だ。
今回のニンゲンの精も上質で、恋慕の情を抱かせることによって種族保存のために必要なエキスがたっぷりと含まれていた。
◆
最初のゲームで、僕は8191ポイントを獲得したんだけど……
そこから先がとても長かった。
時間しておそらく二週間近くかかったんじゃないかと思う。
滞在中は何故かお腹も減らず、ひたすらエッチをしていた。
ルゥと交わっていると自然に体が回復していく。
でも残りの2000ポイント近くを得るために、結局150回近くルゥと交わり、おねだりしながら再戦を繰り返した。
連続で90回以上抜き取られてから精力を一日ためて、決死の覚悟で挑んだ日が特にひどくて、ギブアップするまで一分以内に何回もイかされた。
もっと早い時は30秒程度で抜かれてしまい、1ポイントも得られぬまま再戦を繰り返した。
最初の射精のあとにかけられた魔法『降り積もる甘い記憶』が効いていたのだと思う。
僕はそれを自力で解除することができなかった。
(おかげで今もルゥに心を奪われたままだ……)
彼女が植え付けた快感と記憶に何度も犯され、思い出した快楽にまた溺れ、どんどんルゥへの恋心が積み重なっていく。
彼女の体でイけばイくほどルゥに弱くなっていく自分が惨めで、悔しくて、でもやめられなかった。
射精するたびに彼女は褒めてくれる。
そしてまた僕を魅了する魔術を重ねがけしてくれる……抜け出せないループ、まるで罠に引っかかった獲物のようにもがいてみても無駄だった。
厄介な魔法「スイートメモリーフォール」のせいで快感は抜けきらず、じわじわと彼女の虜にされていく。
でも今日は別れの日。
「もう行くんだ?」
「うん、元の世界へ戻るよ」
優しい彼女は僕の記憶も消してあげようかと言ってくれた。
でも僕はそれを固辞した。彼女との記憶は、正直消したくない。
「ずっといてくれてもいいのに」
「いや、さすがにそれは……」
最後の最後まで誘惑するつもりなのかと僕が言うと、ルゥが下を向いた。
ちょっとさみしそうな表情を見て胸が痛む。
でも僕たちはここで別れないと。
「ルゥ、さよなら」
「そうだね。でもあなたとはまた会えそうな気がする」
「もう会わないよ」
「そう。じゃあ今までのお礼にこれあげる」
そう言ってルゥはパタパタと僕の胸元に寄り添って、何かをポケットにねじ込んでから笑顔で送り出してくれた。
でも……それから一週間もしないうちに僕は彼女のことばかり考えていた。
お別れの時に彼女からもらったお礼を見ていたら我慢できなくなった。
彼女がポケットに入れてくれたどんぐりに魔法がかかっていたとは思えないけど、それを見ながらあの日のことを思い出した。
ルゥに会いたい。
また妖精の淫らなゲームを味わいたい。
僕は自分の足であの森へ向かうことにした。
(了)