『試合直前に控室で誘惑されたせいで実力が出せなくなってしまった男子代表候補のお話』



4年に一度開催されるバトルファック選手権。その最終選考となる予選当日、残り少ない代表枠を勝ち取るためにトールは控室でイメージトレーニングを行っていた。今日の対戦相手は新人バトルファッカーだと聞いている。いかに短時間でノックアウトできるかが選考基準となるだろう。トールは軽い運動をこなしながら相手と自分の勝ちパターンを思い浮かべる。その時、ふいに控室のドアがノックされた……



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 ここは国内屈指の規模を誇る青海バトルファックスタジアム。
 一年間に数万回以上の試合が行われるこの場所の地下で、一人の男が目をつぶってイメージトレーニングを行っていた。

「まいったな、過去の記録が全くあてにならない……」

 一人きりの個室、選手控室でつぶやく彼のリングネームはトール、本名は夜師田亨(よしだとおる)と言う。

 今日は世界大会への切符を賭けた大切な一戦だ。
 そのために一年間がむしゃらに頑張ってきた。
 代表選考会に残るため、バトルファックで勝利を重ねてきた。

 トールの戦歴は10戦6勝3敗1引き分け。
 バトルファックは女性が有利と言われて久しい中で、この数字は男子にしてみれば悪くない。
 なぜなら対戦相手のほとんどが彼より年上の実力者であり、3敗しているのは王者級の選手だけだった。
 しかしそれ以外は下馬評を覆してトールは勝利を収めてきた。
 彼は一昨年デビューしたばかりの若手であり、期待の新人のひとりなのだ。

 そして苦難の末に迎えた最終選考、今日の相手は新人女子だという。
 トールの力を推し量るためのパートナー。
 その相手の名前と戦績は判明している。

 リングネームは樫野ミリア(かしのみりあ)。本名は秘匿。年齢はトールよりも一つ下ながら5戦全勝。こちらは女子の中でも正真正銘のホープだが、審査員にしてみれば経験で上をいくトールが勝つのは当たり前であり、その勝ち方が求められているのだ。

(期待の新人か。こいつに勝つとして、どう立ち回るべきか)

 手元にある資料、ミリアの顔写真を見ながら彼が悩んでいるのはその一点だった。いまさら同年代に負けるイメージなど全く持てないが、できるだけ早く試合を終わらせ、圧倒的勝利を印象付けるにはどうすればよいのだろう。相手としても本気を出してくることもないだろう。勝っても負けても彼女の結果には影響はないのだから。

【戦績 樫野ミリア 5戦5勝0敗】

結果 対戦相手 決まり手    試合時間

○ 芦屋ユウト フェラチオ KOタイム 2:45(2R)
○ 豊岡ヒカル パイズリ KOタイム 1:34(2R)
○ 八米コウタ 騎乗位 KOタイム 2:21(3R)
○ 明石カイト 足コキ KOタイム 2:15(2R)
○ 長田シュン キス手コキ KOタイム 2:52(1R)

「どれが必殺技なのかわからないじゃないか。何が得意なんだ、こいつは」

 ミリアは色白で細身の選手だった。そのせいなのか胸だけはかなり大きく見える。
 黒髪ショートでくりくりした大きな目が可愛らしく、現役女子高生と言っても差し支えないほど幼い顔立ちに見えた。対戦成績をじっくり見る。有名な男子選手はいなかったが5試合すべてがKO勝ちなのは素晴らしいと感じる。ただし勝ち筋が曖昧だった。参考資料の動画を見ても不自然なほど相手が弱体化していた。八百長ではないのかと疑問を持ったが、そういった事実はないと記載されている。

「何か裏がありそうだ。だからと言って俺は負けない。ただ油断するべきではない。バトルファックは何が起こるかわからない」

 一寸先は闇。この界隈にふさわしい格言だ。
 昨日までの王者がМ堕ちして姿を消してしまうなんてことも頻繁に起きる。
 生き残っていくだけでも大変な世界なのだ。

 トールが改めて気を引き締めなおした時だった。
 控室のドアが三回ノックされた。

「誰だ? こんな時に」

 ドアに背中を向けたまま彼は考える。大会関係者の急な知らせかもしれないが、試合前の選手に対して無礼ではなかろうか。メンタルを整えてる最中に声をかけられても反応する義務はない。だがここはあえて度量の深さを自分自身に言い聞かせるため、トールは椅子から立ち上がった。

 ドアノブに手をかけ、深呼吸をしてから対応する。

 開いたドアの向こうにいたのはキャスケット帽をかぶった黒髪の女性。トールよりも少しだけ背が低く、真っ白な肌をした美形だが、大会関係者ではなさそうだ。そして何より面識もない。

「おじゃましまーす」
「おい、何を勝手に……あ、ああああっ!?」

 部屋に足を踏み入れ帽子を脱いだ女性を見てトールは絶句した。
 対戦相手の樫野ミリアがにっこりと微笑んでいたのだ。
 
「なにか勘違いされてるみたいだけどミリアじゃないよ」
「!?」
「あいつは妹。私は姉だから。はいこれ!」

 訝しがるトールの気持ちを察したのか、女性は自らを対戦相手の姉だと名乗り、持っていた花束を差し出した。ピンクやオレンジの花を押し付けられた彼が慌てて受け取る。

「樫野ミリア選手の、お姉さん……?」
「そ。樫野マリア」

 さらに彼女はトールのファンだという。普通はこういう時は妹を応援するものだ。

(怪しいけど本当なのかな……ところでここのセキュリティどうなってんだ?)

 試合関係者しか入れないはずのスペースゆえに守衛が黙っていない気がするのだが、目の前にいるマリアはかなり美形だし、思わず気が緩んでしまったのかもしれないとトールは判断した。もちろん後でクレームを入れるつもりだが。

「それで、妹のために俺の情報を探りに来たのか?」
「あー、やっぱりそう思う?」
「お引取り願おうか」
「ちょ、違うってば。スパイと言えばそうだけど、私はキミの味方よ」

 するとマリアは突然トールに抱き着いて唇を重ねてきた!
 やわらかい唇を何度も押し当てられ、音を立てながらキスが繰り返される。
 先ほど渡された花の香りとも違う甘い匂いに包まれながら、大胆な行動にトールは目を白黒させる。

(なっ、なんだこのキス……情熱的すぎるだろ)

 拒もうとしても難しかった。
 しっかりと腕を背中に回されており、ハグされたまま時間が経過していく。
 悪意は感じないが、なぜか自分の心臓の音がどんどん大きくなっていくのを彼は感じていた。

 やがて長いキスにも終わりが来る。
 彼女がゆっくり顔を離すと、顔を真っ赤にしたトールがフラフラになりかけていた。

「まだ意識ある? トール選手のキスってすごく優しいね」
「そりゃどうも……」
「うん、キミのキス好きかも。応援ファックしてあげる!」
「お、応援ファック!? でもどうして……」
「昨日ミリアと喧嘩しちゃったのよ。だからあの子の情報をリークしてあげようかと思って」

 未だに信じられない言葉だが、筋はそれなりに通っている。

「たしかに厄介な相手だとは思っている」
「ミリアのこと? そうだよねー。ようやく攻略したと思ったら誘い込まれていたなんてショックかも」

 うんうんと頷きながらマリアが言う。
 男に屈辱を与えながら圧勝するのが妹は好きだと教えてくれた。
 そしてマリアもそういった行為は嫌いではないのだろう。
 言葉の端々に滲み出している気がした。

「せめてアンタの妹がどれくらいの強さなのかわかれば」
「じゃあ試してみる?」
「えっ」
「たぶん私とミリアの体はそんなに変わらないと思うなー」

 魅力的な提案ではある。彼女の言うとおり双子なら共通点も多いはずだ。

「いいのか?」
「何が?」

 キョトンとした目で返され、トールのほうが逆に戸惑ってしまった。

「もしかして自分が卑怯なことしてると思って悩み始めちゃった?」
「まあ、うん、そう、かな……」
「だったら全部私のせいにしちゃえばいいじゃん」

 多少の後ろめたさはある。
 試験前に解答用紙をもらってしまったかのような感覚だ。

「じゃあありがたく研究させてもらうとしよう」
「いいよ。そのかわり気持ちよくしてよね」
「わかった」

 しかしできれば交わるのは避けたいという気持ちもあった。
 試合前に心と体を乱すような真似はしたくないのだ。
 そんな慎重な気持ちも、次の瞬間には吹き飛ぶことになる。

「よいしょっと」
「っ!!」

 トールの目の前で彼女はさっさと服を脱ぎだしてしまった。

(な、なんだ……めちゃめちゃスタイルいいぞ)

 あっという間にブラとショーツだけの下着姿になる。
 しかも彼好みの、レースでできた薄紫の下着だった。

「どうしたの?」
「いや……」

 心配そうにマリアがつぶやくと、トールは慌てて首を横に振った。
 真っ白な陶器のような肌に見とれてしまったのだ。全体的にほっそりした体ではあるがとても綺麗で、特にキュッとくびれた腰つきが魅力的だった。
 さらに、大きな胸の谷間にある二つのほくろもセクシーだ。思わず引き込まれる。あの谷間で挟まれたら素人ならただではすむまい。

「ふふっ、じゃあオッケーということでいいかな……こっちにおいで……」

 相手が自分に見とれているのを感じたのか、先ほどまでよりも余裕たっぷりにトールを誘惑するマリア。花の蜜に吸い寄せられる虫のように広げられた細い腕の中へトールが迷い込む。

「はい、よくできました♪ いいこいいこしてあげる」

 そして再びキス。ぎゅっと抱きしめられながら、ダンスをするように部屋の隅へ押されていく。やがて休息用に準備されている簡易ベッドのフレームに、トールの左足のふくらはぎが当たった。

「んふ、キミって甘いキスがとっても上手だねー!」

 マリアはそう言いながら彼をベッドへいざない、優しく座らせた。
 少し目線が上の状態でさらに唇を重ね甘いムードを作り出していく。

(おかしい、この俺がペースを乱されるなんて……)

 プロ選手なのだから言うまでもなくトールは一般人よりもセックス巧者だ。彼とてひたすら受け身というわけではなく、時折プロのテクニックで彼女の情熱的な攻勢をさばいていた。しかし、

(でもどうして……集中力が途切れるんだ? この甘い香りのせいか……)

 間違いなく押され気味ではあった。普段のトールであったなら返り討ちにしてもおかしくない状況であり、ましてや対戦相手の姉というだけで素人のマリアに後れを取ることなどありえない。一方的に興奮させられベッドに押し込まれたというのが現状だ。

「いろいろ味わってみて♪」

 ペロリと舌を出しながら彼女が微笑む。そして彼にもう一度キスをしてから、ベッドに腰かけた状態のトールに正面から抱き着いた。

(た、対面座位~~~~~ッ!!)

 それは彼女の存在を思い切り感じ取れる距離。
 マリアは妖しく目を細めながらトールの左耳に口を寄せる。

「私のバスト、味わってみよっか?」

 その直後、柔らかな塊が彼の顔に押し当てられた。弾ませるように適度な間隔で、胸の感触を刻み付けるようにトールの顔を抱きしめる。ムニュムニュと顔中を撫でまわされるたびに、マリアのお尻の下で窮屈になったペニスが反応してしまう。

「もしかしておちんちん感じてる?」
「こ、これはっ!」
「ふふ、私はかまわないよ。じゃあ次はこっちのお口にもキスさせて?」

 左右のバストを何度も交互にトールの顔に押し付けてから、マリアがペタンと床に腰を下ろし、ゆっくりとトールのトランクスに手をかけた。

(なっ! は、はずかしいぞ……)

 バトルではないとはいえ素人にリードされている状況。
 バトルファッカーとしては許しがたい現状。
 だがトールの体は素直に次の刺激を求め始めていた。

 妹の樫野ミリアとほとんど同じ雰囲気。
 マリアは非常に整った顔立ちをしていた。
 その中でも特に、プルンと魅力的な唇がむき出しになったペニスへ近づいてくる。

「えへっ、はじめまして♪ ファーストキスもらっちゃうね。はむ、ぷちゅ……」

 ゆっくりとエレガントに、閉じたままの唇で先端を迎え入れ、

「レロォ……んふ、もうカチカチだねぇ」

 招き入れた後、自分の唾液をなじませるように舌の先でペニスの敏感な場所を舐め上げた。制止する間もなく、彼女がペニスを何度も口に含み、舐めたり吸ったりしながらトールを喘がせていく。フェラを続けながら、流れるような動作で彼の両手を握り、指と指を絡めあう。やがて口元だけで肉棒を固定しながらペニスを味わい始めた。

(ノ、ノーハンドだと!)

 これが素人のテクニックなのかとトールは内心舌を巻く。
 もしかしたら樫野姉妹が性技に長けているだけなのかもしれないが。

「んっ、んふ、ぅんっ、んふふふ♪」

 柔らかな唇で表面を刺激しながら、舌が巻き付き、ジュルジュルと音を立てながら吸い付きで我慢汁を搾り取ろうとする。

 マリアの顔が前後に揺れるたびに甘い香りが強まってくるように感じる。
 同時にペニスの感度もじわじわと上がっていく。
 のけぞりながら全身に快感を逃がしてトールは甘美な刺激を克服しようとした。

「ちゅ、ぽっ……んふふぅ、おちんちんキレイになったね!」

 晴れやかな顔で彼女はトールを正面から見つめていた。
 いつの間にかトールは天井を仰がされていた。
 フェラを我慢している間にベッドへ押し倒されていたのだ。
 そして彼の目の奥を見つめながら、マリアはスルリと下着を脱ぎ去った。

「私も脱いじゃった。これでフェアな状態だよね」
「あ、ああああっ!」

 いつの間にかトールは全裸にされていた。必死でフェラに耐えている最中に脱がされたのだろう。彼の両手を封じたままノーハンドフェラをしながら、マリアは邪魔が入らないと判断してその手を解放していた。

「フェラチオ、気持ち良すぎて脱がされてるのに気づけなかったなんて恥ずかしい?」
「ううっ、くそ……」
「じゃあ次はお待ちかねのおっぱいだよ」

 マリアがぐいっと状態をそらす。トールの視界に広がる紡錘型のバストは重力に逆らわず、魅惑的な形を保ったまま彼を誘惑していた。

(くっ、乳首までこんなにきれいだなんて!)

 目の前にあるバストはミルクのように白く、乳輪は小さめで、先端の桃色のつぼみは思わず口に含みたくなるほど可憐な形をしていた。そして胸の谷間でひっそりと主張している二つのほくろにも目が行く。

「んふふふふ、見つめすぎ。可愛いお顔になってるよ」

 そういいつつ、マリアは両手を彼の顔の脇について、肘を曲げる。
 甘い香りのバストが遠慮なくトールの顔に押し付けられた。
 そして、ぱふっと包まれたまま優しく撫でまわしてくる。
 刺激としては強くなくても、そのいやらしい動きはたまらなく目の毒だった。

(うあっ、あああぁぁ! なんだよこのじらし方は!)

 マリアはこれもミリアの得意技だという。そう言えばパイズリで倒された男子選手がいたことを彼は思い出した。

 柔らかなバストで顔を撫でまわされているうちにトールのペニスは硬さを増し、この胸に包み込まれたいとうれし涙を流し続ける。無意識に体がビクンビクンと跳ね上がるのを見て、マリアはパフパフ責めを中断した。

 そして立ち上がり、ベッドの上に正座をする。彼の腰を引き寄せて膝の上に抱え、目の前で揺れるペニスをそっとつかんで胸の間へ導いた。

(あ……っ!)

 トールは声も出せずに歓喜した。望んでいた通りの展開、ペニスをあの胸に包み込まれたいという欲求が満たされたのだから。

「できるだけやさしくするからね」

 普段なら屈辱すら感じさせる言葉。しかしトールは身を任せてしまう。
 そして硬すぎるペニスに最適なパイズリが始まった。

 まとわりつかせるように、甘く優しく。トールの喘ぎに合わせて緩急をつけながら、じわりじわりと射精への抵抗力をはぎ取っていく。とろけるような肉のうねりにあらがうこともできず、快感に流されるようにトールは自分から腰を突き上げてしまう。

「このままフィニッシュしたい?」
「ううっ、ま、まだだ……」
「いい感じだね。流石はプロってところかな」

 その後もパイズリは続き、マリアの乳圧をトールはたっぷりと味わい続ける。勝手に腰が跳ね上がっても彼女はうまく体位を調節してその動きを封じ込めてしまう。

「そろそろわかってもらえたかな。これもミリアの得意技だよ」

 ぎゅううっとペニスが左右から圧迫された。胸の谷間の内側にある二つのほくろを見つめながらトールは首を横に振る。プロとしての意地はまだ残っている。そのささやかな抵抗はマリアを大いに喜ばせた。

「体中に力がみなぎってるね。それ、今から解除してあげる……」

 自らのバストで骨抜きになりつつある彼をマリアは解放する。
 こねまわされたペニスが熱を発している。
 トールは彼女に魅了されたように、大の字になったまま動けなかった。
 その彼に添い寝をするような体勢でマリアが囁き始める。

「もっとリラックスして……そう……あなたはかわいい赤ちゃんと同じ……」
「んっ、あ、ああぁぁ!」
「おちんちんも限界。このままやさしく撫で続けてあげる」

 いきり立つ股間に、彼女の手のひらがそっとかぶせられた。

「き、きもちいいいっ! ああっ、出ちまう……!」
「ダメ。もう少し我慢しよ?」
「うっ、ううう……」

 半泣きになりながらトールは首を縦に振る。足の指先まで力を込めて射精を耐えようとしていた。その脇で彼をやさしく見続けながらマリアは指先で彼を翻弄していた。
 手のひらをそっとかぶせたまま時折指を少しだけ動かす。それだけでトールは面白いようにあえいでしまうのだ。

「私にファックされたい?」

 甘い誘惑。反射的にペニスがビクンと震えた。
 左半身を重ねるように、ぺたりとくっつけながら彼女が再びささやく。

「私の膣内にいれたい? おちんちん硬いけど、私の膣内に入って抱きしめられたらもうおしまいかもよ……」
「う、あああっ、入れた、い、入れたいっ!」
「ニュルニュルのおまんこで、おちんちんハグされたい?」
「して、してっ、してほしいっ!」
「どうしよっかなー」

 そっと手のひらが離れる。

「あああああ……」
「今のまま挿入しちゃったら、あっという間に射精しちゃうと思うけど」

 そして触れるか触れないかのタッチで、再び手のひらが股間を覆い隠した。

 彼女の絶妙なタッチとささやきのせいでトールはもう射精のことしか考えられない!
 それなのに焦らすように甘くささやかれ、ペニスはさらに硬く反応してしまう。

「私はどちらでもいいよ? おまんこでも、オッパイでも、おちんちんをやさしくノックアウトしてあげられるから……どっちがいい?」
「う、くっ……」
「それともまだがんばれそう?」
「ぁう……」

 もう限界だった。しかしバトルファッカーにとってパイズリで射精するのは屈辱だ。その快感と引き換えに何週間分もの鍛錬を無にしてしまうことだってある。

 しかしそれ以上に魅力的なのはこの美女へ挿入……プライベートならトールのほうからおねだりしてしまいたくなる提案だが今は大切な試合前、ここで気力と体力を使いきるわけにもいかない。

「うあっ、ああああーーーーーっ!!」

 葛藤する彼が無意識に手を伸ばした先、そこにあったのは――、

「わかった。このおちんちんはオッパイに負けたいんだね」

 彼の手がバストに触れたので、マリアはそう判断した。添い寝の状態から身を起こし、真上から彼に覆いかぶさる。そして彼の顔の真上で魅惑のバストを揺らし、

「大好きなオッパイだよー? このままお顔を撫でまわしてあげるね」
「あ、あああーーーーっ!」

 やわらかく、いやらしく、彼の顔を愛撫する。それは刺激的だったがトールが求めた快感から少しだけ遠い。お預けしたままひたすら彼の欲求をもてあそんでいるだけだ。

(じれったい、なんでチンコに触ってくれないんだよおおおおぉぉぉ!!)

 勝手に腰を跳ね上げてみても虚しく空を切るだけだった。
 快感によって動きを封じられたまま左右に首を振りまくるトールをあやすように、体をくねらせてマリアは彼を追い込んでいく。しかもペニスには触れず、バストの感触だけでトールの性感を支配しているのだ。

「どう? 気持ちいいでしょー」
「うあああぁぁぁぁ……」

 じれったくてたまらない。射精欲求だけが加速度的に膨らんでいく。

「今は出しちゃってもいいんじゃない? 試合じゃないんだから」

 さらに甘ったるい声でマリアがささやいた。

「一度出してスッキリしてから試合に臨むのは男子の常套手段でしょ。その分、すこし動きにキレがなくなるけど」

 魅惑のバストで顔を撫でながら、マリアは指先をそろりと股間へ伸ばし、ペニスの先端をカリカリと爪の先で甘く引っ掻いた。

(あああああああああああーーーーーっ!!)

 本能的に腰が跳ね上がる。それを見ながらマリアが失笑する。

「アハハハッ! おちんちんには触れてもらえずに、試合前におねだりさせられちゃうなんて恥ずかしいね!」
「たのむ、さわってくれ! イかせてくれれえええええ!」
「ンフフ、いいよ。どうやってイキたい?」
「い、い、挿入(いれ)てくれっ!」
「オーケー♪ じゃあお望み通り――」

 とどめとばかりにマリアはささやき、舌先をトールの耳穴にねじ込んだ。

(このまま気持ちよくイっちゃいなさい)

 耳穴にチュプチュプと舌を突き刺されているうちに、脳内に彼女の声が響いたような気がした。

「ひゃぐっ、ち、ちが、そうじゃな、あ、あああ、でもっ! イくうううううう!!」

ビュクンッ、ドクッ、ドクドクドクッ!

 耳の穴に舌を突き刺され、トールはついに爆ぜてしまう。それは彼自身、信じられない量の吐精だった。トールは直接触れられずに骨抜きにされたペニスが何度も白濁を捧げるのをぼんやりと見つめていた。

「気持ちよかった?」
「あ、ああ……」
「満足してくれた何より。私の胸の感触、忘れないでね?」

 そう言われてトールは首を縦に振るしかなかった。バトルファックなら完封負け。圧倒的な敗北だ。しかもまだ股間はしびれたようにズキズキと脈打っており、このまま追撃されたら間違いなく連続射精してしまうだろう。それ以上に欲求不満がすごい。

(マリアとセックスしたかった……そうすれば俺だって負けなかったのに)

 自分でも見苦しいと思いつつトールは頭の中で言い訳を重ねた。
 その表情を見つめながらマリアは微笑んでいる。

「フフ、もっと刺激が欲しい? でもそれはまた『あとで』にしましょうネ」

 彼女は言い聞かせるようにトールを抱きしめ、軽いキスを何度も与えた。
 そのたびに熱に浮かされたような、恋心に似た気持ちになってしまうトール。

 ようやく焦らし責めから解放されたペニスはヒクンヒクンと震えながら小さくなろうとしていた。まさにマリアに搾り尽くされたといってよい状態だった。

「試合頑張ってね」

 トールが自ら身を起こせるようになると、マリアはさわやかな笑顔を残して部屋を出て行った。







 トールはその後、試合に向けて精神統一を再開した。
 控室にはそのあと邪魔は入らなかった。

「大丈夫だ、もう俺は冷静だ」

 最終選考のリングへと向かう通路で何度も自分へ言い聞かせる。
 さっきのことはいったん忘れる。
 今は目の前に集中だ。

「控室では不覚を取ったが、あれはただ油断していただけで……なんて自分に言い訳しても仕方ないか」

 そして会場へ到達。先に待っていたのは対戦相手である樫野ミリア。
 資料通りの身長であり、黒髪、髪形、間違いないのだが、

(わかっていたことだが、妹もこんなにスタイルがいいのか……)

 初対面なのになぜかドキドキしてしまう。
 基本的に彼が対戦相手に欲情することは少ない。
 どんなに美麗な相手でもお互いにバトルファッカーだと認識するからだ。
 しかし今日はすこし違う。
 特にあの胸が気になってしまう。
 頭の中で無意識に先ほどまで肌を重ねていたマリアを思い浮かべてしまうのだ。

(くそっ、試合前に俺としたことが! ここで自分を責めても仕方ないが、切り替えなきゃいけないぞ)

 戸惑いをぬぐえないまま、開始1分前のブザーが鳴り響く。
 その瞬間、いい感じで頭の中が切り替わった。

「よしっ、いくぞ!」

 両手で自分の顔をはたき、気合を入れた。
 リング中央へ向かう。
 その様子を見ていた相手がニヤリと微笑んだ。

「じゃあ続きしよっか?」

(な、なんだこいつのしゃべりかた……まるで……)

 相手の第一声、それが彼の体と心を締め上げる。
 目の前にいるのはマリアじゃない。妹のミリアなのだ。
 それなのになぜこんな気持ちになるのだろう。

 だがその直後、彼は気づいてはいけない事実を知ってしまう。

「あっ! なんで、おま、マリア? いやそんなはずが……」

「さあ? なんのことかしら」

 樫野ミリアの肌は陶器のように白かった。
 そして、見事な紡錘型をした胸の谷間に見覚えのある二つのほくろが見えた……

「さっきのイキ顔、なかなか可愛かったよ。トール、今度はみんなが見ている前で骨抜きにしてあげる」

 二人の背後で試合開始のブザーが鳴り響いた。








『試合直前に控室で誘惑されたせいで実力が出せなくなってしまった男子代表候補のお話』 (了)





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