『地味子が淡々と迎撃してくる』




第一話 出会って1秒セックス2秒

 これは飽くまでも例え話。

 慣れ親しんだ普通のカレーが好きなヤツが居たとする。好きな店に通ってトッピングしたり調味料で味変するのだけど、それだけじゃ物足りず、入りづらそうな雰囲気の店で本格的なインドカレーを食べたくなることだってあるだろう。

 それとほぼ同じで、俺が地味子とヤルのも悪くないかと思ったのは本当に単なる気まぐれであり、一度限りの戯れのはずだった。

 俺はセックスが好きだし、今まで何度も年上年下に関わらず学園の女子たちや学園外にいるセフレともやりまくってきた。もはやラジオ体操レベルで回数をこなしている。

 不思議なことに軽いノリの女と気が合う。
 見た目の問題ではない。
 清楚系もギャルも本質は同じ。「会う・即・ヤる」的な意味で。

 いわゆる類は友を呼ぶというやつなのだろう。お互いに惹かれ合ってしまうものだからホテルへ行くまでの時間が短くて助かる。
 恋愛とか余計なやり取りをしないで済むのは本当にありがたい。
 激しくぶつけ合うようなセックスは、肉食獣が己の武器が錆びつかないように硬いもので牙を研ぐ行為に似ている。

 そんな俺が学園内で、うちのクラスの片隅でひっそりと毎日を過ごしているコイツに声をかけたのは単なる気まぐれだった。


「お前っていつも一人で本読んでるだけの毎日じゃね?たまには体を動かさないといけないと思うぜ。今から俺と一緒にセックスなんてどうよ?」

 俺の前で目を丸くしてるオンナはまさに地味子。
 申し訳ないが名前さえ覚えてない。

 だが俺は彼女には以前から目をつけていた。

 まず姿勢がいい。
 背筋がビシッとしてる女はたいてい抱くと乱れる。

 それと黒髪。なぜか名器が多い。

 あと身長が高くないのもいい。
 抱きやすいし、何より中身が詰まっているということなのだから。


「えっ」

 ページをめくっていた手を止めて地味子が俺を見つめている。
 目が潤んでる。泣きそう。それに顔が一気に赤くなった。

(脈アリだなっ!)

 すかさず俺は相手の手を握って立ち上がらせ、グイグイと手を引いて教室を出た。
 授業なんて関係ない。この時間がもったいない。

 戸惑う地味子の手を引いて俺たちは学園の門を出た。





 行きつけのホテルへ到着。そして一番豪華な部屋を選んだ。
 これは俺流の初対戦相手への礼儀。
 せめて地味子にいい思いをさせてやろうと思って。

 部屋に入ると彼女はキョロキョロと中を見回していた。ラブホの室内は一種独特のイメージだ。見慣れないものが多いのだろう。

 俺は自ら服を脱ぎ、同じように地味子の服を脱がせていく。驚いたことに悲鳴一つも上げず、震えや怯えもなく彼女は俺のすることを受け入れた

 最近経験したことがないほどじつにスムースだった。挿入するまでは。



ビクビクビクッ!

「ひあああああああっ!!」

 部屋に響くのは俺の声。
 まだ一時間も経っていないのにすでに射精は三度目だ。

 腰が痺れて姿勢を維持できない。思わず前へ倒れ込む。


「だ、大丈夫?」

 耳元で地味子の声がした。
 とても優しくて疲弊した体に染み渡る声。


「一生懸命なんだね。私のためにありがとう」

(ちがう、お前のためじゃねえ!)

 全ては俺の欲求を満たすためだ。お前は偶然今日ここににいるだけのパートナーに過ぎない。

 不意に頭を撫でられた。下になった地味子が細い指で俺の髪を手櫛のようにすきながら頭皮を優しく撫でてくる。


(くそっ、コイツ俺を犬や猫みたいなペットのように扱いやがって……お、おい、その手つきをやめろ、癖になるほど気持ちいいじゃねえか……)

 髪をなでていた手が背中に回り、もう片方は耳や首筋に触れてくる。
 名医の触診のような地味子の手のひらのおかげで全然体が休まらない。

 体を震わせて刺激に耐える俺の耳元で声がした。


「まだ続けるの?」

 思わず身を任せてしまいたくなりかけていたところに煽りの一言。

(お、俺じゃあ自分を満足させられないからもうセックスを終わりにしろってか? なんだよそれ、絶対強者の上から目線ってやつかよ!)

 本人そのつもりがなかったとしても許せない。

 男として負けられない。気力を振り絞って俺は身を起こす。


「あたりめえだろが! 俺はまだこんなもんじゃねえんだ」

 背中に全然力が入らないことに気づく。こんなことは今までなかった。
 だがそれでも腰を打ち付ける。

ぱぁんっ!

 あっ、まずい。さっきよりもこれは早く射精しちまうかも。

 突き刺した瞬間の跳ね返りが半端ない。
 拒絶されてるわけじゃない。
 それは感じるが、入門許可が降りていない。
 その状態で敵地に突入した俺を容赦なく迎撃する暴力的な快感だった。


「くうっ……うおおおおおおおおおおっ!」

 腰を突き出しても全て受け止められ、触手に絡まれたようなざわめきが亀頭全部をくすぐりぬいてくる。膣内の奥を目指すのがこんなに大変だと感じたことはない。

 処女だから? ちがうな、破瓜の様子はなかった。

 じゃあコイツはヤリマンなのか。それも違う気がする。


(まさかこいつ、俺よりもセックスの才能があるんじゃないのか)

 スポーツでも芸術の世界でも本人が自覚していないだけですごい才能を秘めている場合がある。セックスにもそれはあり得るわけで……

 まさに鉄壁。誰も知らない彼女だけの才能なのだ。
 迎え入れた男の責めをいなして優しく翻弄する魔性。

 それを今俺は目の当たりにしてるのかもしれない。
 負けたくはない。

 でもこいつの膣内は具合が良すぎる!

ぱんっ……

 さっきよりも力が感じられなくなった俺の腰使い。正常位だというのに貫く感覚が乏しかった。だが腰を打った直後、今まで聞いたこともない可愛らしい声が俺の下でこぼれた。



「きゃんっ♪」

 俺の下で天才がキュッと目を瞑っていた。
 嬉しそうに、恥ずかしそうに手のひらを俺の肩や胸に置いたまま小さく震えている。

 絶頂が近そうという様子でもないが、セックスを楽しんでいる表情。
 俺といっしょにいる時間を悪く思っていないという証。

 それら全てが可愛すぎて、俺は次の腰使いを完全に忘れてしまう。


「い、今、お前」

「あ……聞こえちゃった? やだ、恥ずかしいよ。こういう時どうすればいいの」

 薄っすらと涙を浮かべながら地味子が見上げてくる。



「え……っと、それは……ぬおっ!?」

 突然ぎゅうううっと抱きしめられた。

 細い腕から信じがたい力で引き寄せられ、俺は再び彼女の上で突っ伏してしまう。

 同時に膣内もきつく俺を締め上げてくる。まずい、これはたまらなく気持ちいい。精一杯、男としてイキがっていたのに全部抱きしめられてどうでも良くなってしまうほど反則的な心地よさ。

 沈黙。お互いの肌でお互いの心臓の音がはっきりわかってしまう。

 やがて彼女は両手で俺の顔を抱きしめ、挟み込んだまま囁いてきた。


「そっか。こんな風に抱きしめ合えばいいんだね」

「え……」

「向かいあってたら男の子は強がるしか無いもんね」

 急に恥ずかしくなる。こいつ、地味子のくせに気づいてたのか!


 いつしか膣内の締め付けも穏やかになっていた。
 それでも俺は射精に導かれていた。

 静かで優しくて、いつ始まったのかもわからないような時間。

 地味子に抱かれながら俺のハートに火がついた。





第二話 突撃しても砕かれる

 考えてみればもともと無理がある。
 地味子と俺。異性と交わった経験値は雲泥の差。

 何も知らない処女もしくはそれに似たような女が目の前にいるのだ。
 時間を掛けずに男の力で快楽漬けにして服従させてやるつもりだった。


(なのにどうして、俺はさっきから動けずに居るんだ……)

 正直なところ悔しかった。だがそれ以上に心地よい。完全に想定外だ。

 しかしその気持ちは地味子に知られたくなかった。処女同然の女に手玉に取られているような気持ちにさせられたくないのだ。

クチュウウゥゥゥ……

(ま、まただっ! 耐えろ~~~!!)

 ベッドの上では俺が上。地味子が下。ここまではいい。
 だが自分から腰を振る気になれない、コイツの膣内はやばい。
 何がやばいのかといえば、危機感を感じなくなるほど気持ち良くて離れられないから。

 自慢じゃないが俺のモノは硬い。
 大抵の女子は見ただけで驚き、何かを期待して目がとろける。

 そして俺が軽くおっぱいでもクリトリスでも愛撫してから適当なタイミングで挿入すれば貫かれた瞬間に昇天する。
 そこまでが俺の中での確定シナリオなのだが地味子にはそれが通じない。

 無知ゆえの反応だと俺は考えた。男の体に慣れていない女子にありがちな戸惑いが性的な防御壁になっているのだと誤認した。

 俺が脱衣して初めてチンコを出した時こそ興味津々といった様子でじっと見つめていたが、コイツは自分からは触れようとはしなかった。

 さわれと命じられて初めておずおずと手を伸ばしたけど、握りしめることすらせず指先で硬さを確かめただけ。
 その様子から相手がなすがままのマグロ女だと思い込んだ。

 あの時、気がつくべきだった。
 ためらいがちにペニスに触れた指先が妙に心地よかった違和感に。
 セックスに対するコイツの潜在能力の高さに。


「どうして私に声をかけたの?」

 抱きついたまま地味子が小さな声で問いかけてくる。
 先程よりも幾分緊張感が抜けた声で、何の前触れもなく不意打ちで腟内をざわめかせながら。

くちゅ、きゅっ、きゅ……ッ……


「ば、馬鹿! その締め付けはやめろッ」
「ごめんなさい」

 素直に謝ってから多少は締め付けが和らいだが、それでも具合が良すぎる。
 じっとしてても勝手に男を射精させてしまうのではないかと思う。
 だから地味子にとってペニスを締め上げるのは無意識の行為なのだろう。

ずちゅっ、ずちゅうっ!

 自分の意志ではない腰振りだった。
 膣内でじっとしてたらペースを持っていかれるという焦り。

「そのままじっとしてろよ」

「ウン……」

 コクリと頷く地味子に、俺が弱っているところを見せたくない。照れ隠しの意味で自分から抱きつくと彼女は嬉しそうに顔を緩めた。


「はぁんっ♪」

 そしてまたあの声。噛みしめるように儚く、エロく耳に残る地味子の喘ぎ。

くちゅんっ、くちゅっ♪

(くっ、ま、またかよ! チンコが溶けちまいそうだ……)

 少し遅れて膣口が嬉しそうに俺を締め付けてくる。

 我慢を要する甘い刺激に歯を食いしばる俺。


「チャ……あなたは女の子に不自由してないって聞いてるけど」

「今お前、チャラ男って言おうとしたな。地味子のくせに!」

 俺の言葉にキョトンとした顔をする地味子。


「地味って、私のこと?」

「ああそうだよ! お前みたいな地味めなやつに――」

 好みじゃないし単なる遊びだよと言いかけて俺は気づく。

 結び目を解いたせいで少しクセが残っているもののふわりとした黒髪。
 毎日ちゃんと手入れしていることは明白だ。
 それに肌が全然荒れてないどころか、化粧してないのにとんでもなくスベスベしてやがる。

 胸の大きさだって控えめだと思っていたけど形は崩れてないし柔らかでエロい。
 腰のクビレは見つめているとおかしな気持ちになるほどラインがいい。

 本格的にまずい、欲情しちゃいけない相手なのにだんだん可愛く見えてきた。


「あなたにとって地味な見た目の女の子は駄目なの?」

「……」

 何も言い返せねえ。今度は絶対バレる。
 今さら嘘を吐くのがバカバカしくなるほど見とれちまってる。

 じっと顔を見つめたままの俺に地味子は食い下がってきた。


「ねえ、教えて欲しい。どうして私とセックスするの? それともあなた、本当は地味な子が好きなのかな」

 だったら嬉しいなという表情で俺を見上げてきやがる。
 控えめな仕草で物欲しそうにする視線は即刻やめろ。そいつは俺に効く。

きゅ、うううぅぅ……ッ!

「こうするんだっけ?」

「なっ! 待てよ、ちょっ、あ、あああーーーーー!!」

ビュクウウウッ!!

 見つめられながらの二度目の不意打ちで俺は果てた。

 経験値はたしかに俺のほうが上だとわかるのだが基本的なスペックがぜんぜん違うということに俺が気づいたのはそこから二度の射精を終えてからのことだった。





第三話 弓兵と恐竜

 意図的に膣内を締められ、連続でイかされて放心する。
 目の前にいるのは少し余裕の笑顔を見せる地味子。

 混濁する意識の中で俺は少しだけ前の自分を思い出していた。


 相手は地味子。男性経験は一時間前まで皆無。
 せいぜい男と手を握ったことがあるかないか程度でキスまで進んでないのは事前に集めた情報と照らし合わせて間違いない。


「痛かったら素直に言えよ。少しは加減してやるから」

「う、うん。優しいんだね」

 これは入室直後のことだ。
 地味子が照れくさそうに俺を見つめてシャツの端を遠慮がちに握っていたのが随分遠い昔に感じる。

 部屋に入ってからも彼女はうつむいたままだった。
 仕方がないので俺がリードするわけだが、肌を合わせる相手に少しはサービスしておかねばなるまい。顎クイしながら余裕を見せつける。


「俺に任せればいい。初めては何でも緊張するものだからな」

 ここまでは強引に連れて来れたけど、相手はクラスメイト。
 レイプしたいわけじゃない。
 少し優しくしておけば後でそれが必ず効いてくる。
 特に地味子みたいに真面目なやつの場合は。


「そうだね。こんなに突然ホテルに連れてこられるなんて思ってなかったから」

 ぎこちなく笑いながらも自分から上着を脱ごうとしだす地味子。さり気なくそれを手伝ってやると視界の端で彼女の胸が揺れるのが見えた。

(おっ、案外いいものをもってるんじゃないかコイツ)

 ブラウス越しに感じたおっぱいは少なくとも男の視線を誘導するレベルの形の良さがある。ちょっと楽しみが増えたな。

 ここまで、戸惑いながらも流れに身を任せている様子を見て地味子はエッチ自体は好きなのかもしれないとその時の俺は確信していた。


 自慢じゃないが俺のペニスは硬い。そして他人と比べたことはないがそれなりに大きいらしい。以前相手にした女がヒイヒイいいながら褒めてくれたのを思い出す。

(俺は肉食獣、いやティラノザウルスみたいな……は言い過ぎか。でもガツガツしてるのはイメージ的に似てるかも)

 ティラノ。恥ずかしくて口には出せないが挿入前はその凶暴な恐竜を思い浮かべるようにしてる。こころなしかペニスが硬くなるのだ。
 相手を蹂躙してやるのだ。イメトレは大切。

 そんな俺のモノが地味子に突入したら結果は秒で終わるだろう。地味子は俺に食い尽くされて終わり。真面目そうな仮面が外れたらどんな表情を見せてくれるのか。


 その前提のもとで俺はベッドの上での行動を設定した。
 脱がせたらすぐに入れる。間髪入れずに征服する。
 多少の愛撫はあっても悪くないが速攻で決める。

 実際はキスこそなかったものの地味子のバストを愛撫して、少し吸い上げ、乳首を転がしてやった。軽く相手に一声鳴かせてから無造作に挿入してしまったのだが、今考えるとこれは悪手だったかもしれない。

 反省してる。だが結果的には同じことだ。

 膣内に突撃した時点で俺は違和感を覚えていたのだから。


ズチュウウウウウウウウウッ!

「なっ! これは……ッ」

 勝手に声が出た。挿入直後に俺の背筋にゾワッと快感が駆け抜けた。

(地味子が腰を? いや、しっかり俺が両手で抑えてる。ありえない。正常位で反撃してくるとは)


「え、えっ、え? 何かおかしいの私」

 声を噛み殺して地味子を見ると、不思議そうにこちらを見ていた。
 まさか無意識の行動なのか。だとしたらやばい!

 亀頭が、先端が柔らかな無数の槍……サイズ的には爪楊枝の先みたいなものででペニスの表面をクニュクニュとやられるように感じているのだ。

 そこに痛みはなく、ただひたすら気持ちいい刺激が四方八方から襲いかかってくる。裏筋もカリも尿道も、ヤワヤワと刺激されつつすぐに次弾が装填され、浅くえぐられる。

 そう、これは槍ではなくて弓だ。地味子の膣内の動きは男が侵入すると自動的に攻撃してくる弓兵のようなもの。一つ一つは弱い刺激だが途切れなく積み重なってゆく快感がじわじわと表面から染み込んでくる。
 そして弓兵の全員が矢じりの先に毒を塗っている。毒にも種類があり、こちらの感度を上げてきたり麻痺状態にしてくるもの、あとは我慢している力をゆっくりと奪い取ってゆくもの。
 しかもそれが奥へ行くとそれが急激に強くなる感じ。

 こうしている間にもペニスが攻撃されている。じっとしているだけでも暖かくて心地よく、抜け出せない沼みたいな地味子の膣内。
 その中で一部の女子からは絶賛されている俺のチンコが無残に攻略されていく。我慢しているのにその防御を剥がされ、むき出しのボディに媚薬を擦り込まれ、腰振りさえ満足にできなくされていた。


(このままじゃイかされちまうっ!)

 たまらず腰を引く。ペニスを引き抜くときにキツめの膣口にカリが引っかかり、思わずイキかけた。自分でもわかる。呼吸が荒い。

 なんとか顔を上げると、目の前にいたのは顔を赤くしてM字開脚している地味子。その足の付根で物欲しそうにわななく膣口が見える。よく見たらパイパンだった。


「き、きれいに処理してるんだな。ツルツルだ」

 素直にそう思い、指先でクリトリスの輪郭をなぞると彼女の体がピクンと震えた。剃毛する時のカミソリの跡もほとんどないし、純粋にきれいなものだと思ってしばらく見とれてしまった。

(この膣内で俺のペニスは、ティラノみたいに硬かったはずのチンコが揉みくちゃにされてイキかけたんだ……)

 男としては緊急事態だ。特に圧倒するはずだった相手に後れを取った。しかし、地味子の膣内はそんな悔しい気持ちになれないほど心地よすぎた。あと数秒、腰を引くのが遅れていたら俺は本気で夢中になっていたかもしれない。


「毛が薄いのは生まれつきだからあまり言わないで欲しい」

 ちょっと落ち込んだ声でつぶやく地味子に慌てて謝罪する。
 膣内の凶暴さから想像できないいじらしさを見せる彼女を抱き寄せ頭をなでた。


「濡れやすい体質か」

「ぁんっ、そんなの、わからないよぉ……」

 さらにまたウブな言葉を俺に返してくる地味子。
 俺が相手した今までの女性たちにはありえない回答。

 かわいい、抱きたい、もっと地味子に溺れたい。
 そんな感情がムラムラと湧き上がってくる。

 気づけばすっかり地味子のペースだ。
 こちらがリードするつもりだったのに。

 しかも本人は無自覚と来てる。屈辱的なのに心地よすぎて逆らえない。
 地味な見た目と性的技巧のギャップに精神を攻撃されているようだった。




「地味子、お前いい女だな……ちょっと本気出す!」

 回想を終えた俺はようやく自らの過ちを受け入れることができた。

 コイツは強敵だ。セックスに関しては未完の大器。

 今からでも遅くはない。攻略作戦を変更しなければならない。




第四話 デートしてから豹変する作戦

 その次の日から俺は地味子と交際することになった。
 もちろんこれも作戦だ。

 聞けば地味子は今まで男と付き合ったことがないらしい。
 当然だな。地味なんだし。

 まずは心を解して俺からの責めに対して無防備にしてしまおうというのが狙いだ。

 そんなわけで、俺は地味子と駅で待ち合わせをしていたのだが。

(じ、地味子なりにおしゃれしてきやがった……)

 現れたやつの姿を見た俺は素直にそう思うしかなかった。

 ベレー帽にニット、それに厚手のスカート。普通すぎるんだが似合っている。
 今まではやたら露出の多い女ばかり相手にしてきたから新鮮に映る。

 そんな彼女と二人、テーマパークへ向かっていた。
 こんなところに来るのは久しぶりだ。

 ムカつくことに、案外楽しい時間だった。


「魔法の国と魔法の海! 楽しかったね」
「ああ、そうだな」

 閉園間際まで遊んでしまった。もちろんこのあとはラブホへ直行である。
 テーマパークとラブホは切り離せない関係だ。じつに便利。

「今日のアトラクション、あなたはどっちが好き?」
「別に俺はどっちでも……」
「嘘ついてる! 海のほうが好きだよね」

 魔法の海。ちょっと大人向けで静かなスペースだからたしかに好みだった。

「それよりも、だ」
「わかってるよ。エッチするんでしょ? 今日も」

 強引に話を戻そうとしたら食い気味に地味子のほうから切り返してきた。
 わかっているなら話は早い。

 だが少しだけ気を使ってやるか。今回の作戦は雰囲気も大切だからな。

「エッチはイヤか?」
「ううん。でも、私より先にあなたがイっちゃったら来週もデートしてほしいな」

 こ、こいつ、調子に乗ってやがる! いらんことを思い出してニヤつきやがって!

 頭に血が上った俺は地味子の手を強く握った。

「その勝負受けて立つ!」
「ふふっ、来週もデートできるなんて幸せかも」

 すでに勝ったつもりか。
 マジでわからせてやらないといけないな。

 入室してすぐに荒々しく服を剥ぎ取ってやった。しかし地味子は動じない。
 まさかこのまま俺が無事に帰すとでも思っているのか?

 徹底的に犯す。隣室から苦情が出るくらいアンアン言わせてやる!

「いいか地味子、今日の俺は今までとは違うんだ」
「そうなの?」

 ひん剥かれて丸裸にされてもまだ余裕かよ。たまげたぜ。

 軽く愛撫してから秘所が潤ってることを確認して俺は膣口に亀頭をあてがう。

 もう許さねえぞ。覚悟しろ地味子。


「くらえっ! ダイナマイトピストン」

 いきなり深く挿入して激しく前後に腰を振る。
 どんな女でも秒でアヘ顔を晒す腰使いを解禁した。

どちゅどちゅどちゅっ!

 今日の俺に迷いはない。一気に決める。
 こっちが感じてしまう前にやつを沈めてやるんだ。

 そう、この、絡みついてくる名器を、え、あっ、なんだコレ!?

 嘘だ、前よりもヤバ、やばいって、こんなの!


ドピュドピュドピュウウウウウウウウウウッ!

「ぐああああああああああああああっ!!」

 気づく前にイかされていた。
 しかも射精してから下半身が痺れだす時間差攻撃。

 地味子の膣は俺の攻撃を受け入れ、受け止め、反撃してきた。

ビュクッ

「んあっ……」

 しかも俺をいたわるように包み込んだまま我慢すらさせない追撃。

 腟内が渦巻いて、硬くなったままのペニスをしゃぶり尽くしてくる。

 優しい、何度も撫でられて、そのたびに漏らしちまうほど気持ちいい……


「クスッ、この間より早くなかった?」

 地味子の声を聞きながら、俺は悔しさに体を震わせる。
 それでも気持ちいい。まだ続いてる。

 ヤツの手で頭を撫でられながら、覆いかぶさるようにしてベッドへ沈んでしまう。




第五話 説得で武装解除を試みる

 責めていたはずが責められていた。
 いや、違う。これは自滅しただけだ。
 責め手を見誤ったのだ。そこは認めようじゃないか。

 数分間放心していた俺はようやく落ち着きを取り戻した。
 そして約束を思い出す。

「この俺が来週もオンナとデートだと……」

 今まではどんな女でも一撃必殺ならぬ一穴一回と心に決めていた。
 すでにその前提は覆されていたけどそれでも悔しい。

 さらに地味子と連続デートという状況にどこか喜んでいる自分がいる。
 ますます悔しい。


「あ、あのね! 一度だけじゃなくてもいいよ」
「ん?」

 ワナワナと震えている俺を気遣っているつもりか。
 地味子はオドオドしながら語りかけてきた。

「まだ時間いっぱいあるし、このあともエッチして私を満足させてくれたら来週はデート無しでお休みにしても構わないけど」

 かわいそうだからチャンスをあげるよ、と小さく笑いながら地味子が言う。

 言うに事欠いてかわいそうって言ったのかお前。

「そ、それはつまり……俺に情けをかけてるってことになるんじゃないのか」

 さすがに俺の表情変化に気がついた地味子は自分の発言の不用意さに気づいて慌てて取り繕い始める。

「そういうつもりじゃないけど、敗者復活戦があってもいいじゃない?」

「敗者……俺が?」

 おそらく悪意などまったくないナチュラルな煽り。
 これも地味子の特性なのか。

 俺はこめかみをヒクヒク痙攣させながらかろうじて平静を装う。

 いや、やっぱり無理だ。

「ふ・ざ・け・る・なああああああああああ!!」

「きゃあっ!?」

 ガバっと身を起こし、無理やり地味子の足を広げる。
 M字どころじゃない、Y字だ!

 すると膣口から俺が吐き出した大量の精液が見えた。

 これも屈辱。
 だが今は甘んじて受けよう。


「今度こそ思い知らせてやる。ヒイヒイ言っても絶対やめないからな!!」

 大きく開いた地味子のアソコめがけて再び突入。

 俺はさっきと違う角度、斜めに腟内を突き上げた。
 片足を持ち上げての測位に近い体勢。
 このまま四つん這いまで持っていって陵辱してやる。

 細かく体位を変えて色んな所を突きまくり、地味子の性感を開発しながら感じさせようとするのだが……

「うおおおおおおおおおおおおお」

 激しく動き続ける俺を見つめながら地味子は頬を赤く染めていた。
 ただそれだけ。

 聞こえてくるはずの喘ぎ声が聞こえない。

 なぜだ? どうしてこんなに落ち着いてやがるんだ!


クチュウウウウウウッ!

「んぎいいっ!?」

 次の瞬間、ヤツの膣内が急に狭くなった。
 まずい、動けない。下手すればこのまま俺が先にイっちまう。

 チラリと地味子の顔を見つめ直す。わ、笑ってやがる!


「これはわ、わざとやってるのか?」
「うん」

クチュウウッ

 応えるようにさらにペニスを締め上げてくる地味子。

 くそっ、気持ちいい……

 しかもタイミングが絶妙だ。会話しながら俺が腰を引いて突き刺せば、もう一度同じように締め付けてくる。その締め付けがクリティカルヒット。
 慣れない体位なのに即時対応してきやがった。

クチュッ、クチュウウ……

「んあっ、ま、なんでこんな……ま、まて、お前……いつこんな技を」

「技? 知らないけど、あなたの好きなところっていうか、気持ちよさそうにしてくれるところがなんとなくわかってきたというか」

「俺が教えてないのに、どうして……そんなことが、あ、ああっ、ヒイイイイイ!」

ドピュウウウウウウウウッ!

 ほんの一瞬、クネクネと腰を動かしてきやがった。
 膣内のコリコリした場所に導かれ、内部で裏筋がいやらしく舐められた。

(やばい、出ちまう、ま、待て俺ッ、耐えろ!)

 歯を食いしばるけど無理。
 俺の顔をじっと見ながら地味子はもう一度腰をくねらせた。

「ふふっ、やっぱりこれがいいんだ?」

 あっさりと導かれた射精。腰から下に力が入らなくされていた。
 まだ一時間も経ってないのに、俺は再び地味子の柔らかな体の上に沈み込んでしまうのだった。



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