『失われたサクセスストーリー』


【登場人物紹介】

主人公 コウジ(本名 舵谷虎治 かじたにこうじ)
 約一年前からバトルファックを始める。元バスケ部。金髪のアスリート。チャラ男っぽい外見だがセックスの実力はかなりのもの。ほっといても女性にモテる。性技を極めてさらにモテ男の高みを目指そうとしている。
 Cランク最上位(今季 8勝 3敗 2引き分け)
 最優秀新人賞獲得。私立強栄学園の3年生。体育科。廊下で偶然すれ違った時にユイのことを知った。


ヒロイン ユイ(本名 太刀華夕衣 たちばなゆうい)
 普段はポニーテールにしてセルフレームのメガネをかけている地味子だがバトルファック歴3年。
 コウジと同じ私立強栄学園に通っている2年生。家政科。
 だが、彼のことはよく知らない。学園内では天然ボケを装っている。





第1章 下剋上の決意

 ここはBF(バトルファック)スタジアム。ネーミングライツの関係で二年に一度名前が変わる会場には今日も多くの参加者が訪れていた。ここでの男女比は選手も観客も5対5であり、全員が厳正な抽選で選ばれている。入場チケットは転売禁止で身元確認まである。

 それは普段の生活では許され難い性癖を解放する場であるからだ。淫らな欲望が渦巻くリング周辺で、ある者は男が女を蹂躙する姿を想像し、またある者はその逆を望む。そして勝敗を予想して賭け行為を生業とする者も居る。興行収入は回を増す事に増加傾向にあり、近い将来国民的スポーツになるのは間違いないだろう。

 そして今日は恒例となった交流戦。この試合で下位の選手が上位の選手に勝利した場合はそのままお互いのランクが入れ替えとなる。
 バトルファック協会主催の公式試合でもあり、上を狙うチャレンジャーにとってまさにボーナスステージだが、挑戦される上位者にとっては過酷な試練になりうる。格下相手に勝って当たり前の勝負でどこまで観客を魅せられるか。そのプレッシャーは決して小さくないだろう。

 ともあれ、バトルファックにおいて下剋上ができる数少ない機会である。規格外の新人が上位の選手に勝ってしまうという事態も十分に考えられる(実際にそれでランクアップした選手もいる)。

 そんな緊迫感もあってチケットの倍率も普段より高く、抽選に漏れた場合も有料放送で楽しむ観客が多いと言われている。各試合のオッズはすでに発表されている。

 次の試合は注目のカードのひとつであり、そのせいなのか会場内の熱も高まってきている。試合開始を待つ人々でざわめくリングサイドの十数メートル下、地下構内にある選手控室で一人の青年が目を閉じて呼吸を整えていた。

(集中しろ。精神統一だ……できる、おれはできる!)
 自己暗示をかけながら自らを鎮め、適度な緊張を保ち続けている彼のリングネームはコウジと言う。本名は舵谷虎治(かじたにこうじ)。ここ数年確実にバトルファックの名選手を生み出している新設校・私立強栄学園の3年生である。

 もともと運動神経の良かった虎治はバスケ部で主将を務めていた。しかし夏の大会予選敗退後に突然その役目を放り出し、バトルファックの世界へと足を踏み入れたのだ。ちょうどバスケに飽きていたというのもあるだろうが、それ以上に彼自身も確信していたのかもしれないが競技としてのバトルファックとの相性が非常に良かった。公然と美しい女子選手とのセックスできることに加えて、わずかであってもファイトマネーが入ることも励みとなって、半年も経たぬうちに頭角を現した。そして新人として異例の速度でCランク入り。虎治は間違いなく今年度期待の星と言えよう。

 不意にドアが開く。いや、彼は知っていた。ドアが開く前に予測できたのだ。
 所属するジムの会長が顔を出すことも空気の流れや足音で感じとっていた。集中力が高まっている。今日の彼はすこぶる調子が良い。

「おう、そろそろ時間だ。いけるか? コウジ」

「すぐにでも始められるぜ!!」

 二つ返事で応え、ギラギラした目で真っ直ぐに相手を見つめ返して不敵に笑う。ジムの会長も鷹揚に頷く。コウジの言葉に嘘はなさそうだ。

「すっかり戦士の顔になりやがって。俺が何も言わずとも気合い充分だな!」

「当然だよ。俺がこの日をどれだけ待ちわびていたことか」

 立ち上がったコウジの背中に武者震いが走った。
 そう、彼は待ちわびていたのだ。自らが大きく飛躍する機会を。2階級上の選手とやり合うには順調に勝ちを重ねても一年かかる。
 だが今回はクジ運さえも味方につけることができた。
 これから戦う相手はAランク最下位。下剋上に最適の相手。もしもこれに勝てば大ニュースになる。
 CからAへのランクアップは間違いなく彼の知名度を上げるだろう。

「コウジ、今日もお前に期待していいみたいだな!」

 会長の言葉に彼は静かに頷き、自信たっぷりの足取りで控室を出た。

 地下構内の廊下をコウジはできるだけゆっくり歩いた。
 自らの高ぶる気持ちを抑え、勝負への爆発力を高めるために。
 だがこの階段を登りきればすぐにリングだ。
 思った以上に早足になっていると彼も自覚していた。
 研ぎ澄まされた視線の先にロープが、そして対戦相手が見えてくる。
 彼は挑戦者サイドだから青コーナーだ。選手によってはそれだけで軽い屈辱感を覚えてしまうだろうが、今の彼にとってはどうでも良いことだった。


 対戦相手はすでにリング上にいる。
 彼女のリングネームはユイ。
 Aランク最下位 今季 3勝 6敗 4引き分け
 昨年度BF女神審査で入賞(美乳部門2位)
 身長 159センチ 45キロ
「サイレントスリー(=静寂の三名)」の一人に数えられている選手だ。Aランク下位の三名はほとんど順位が動かない。上に行く実力がないのだろう。そこでこの不名誉な二つ名が付いたというわけだ。

(澄ました顔をしやがって。すぐに辱めてやるぜ)

 コウジはクールな視線で彼女を見据える。つややかな黒髪のポニーテール、それと同様に真っ黒な瞳。肌は白く、背はそれほど高くはない。だがコウジも長身とは言えない身長なので二人にはそれほど体格の差はない。
 赤いタンクトップと、その下に黒いスポブラ、そして三分丈のレギンスも黒。ごく普通の試合用コスチュームだがユイの佇まいのせいなのかエレガントに見えた。
 じっと見つめていると、相手が先にペコリと頭を下げた。

「ユイです。コウジくんよろしくね」

 名前を呼ばれ、右手を差し出された。細い指先を一瞥してからコウジが返す。

「違う。お前より年上だからコウジさん、だ」

「どうして……私の年齢を知っているの?」

「ああ、同じ学園だからな。アンタ、太刀華だろ。普段は髪を二つにくくって地味なふりをしている」

「エッ!!」

 コウジの言葉を聞いたユイはあからさまに動揺して、耳打ちするように低い声で彼に語りかけてきた。

「……えっと、あのね、学園にはナイショにしてくれます? 私あんまり目立ちたくないから。お願いを聞いてくれるならこの試合、負けてあげてもいいけど」

「あ?」

 ユイにしてみれば精一杯のお願いを口にしたつもりだったが、それは彼にとってはナチュラルな上から目線。その一言にコウジはキレた。

「俺はそんな弱みに付け込むような真似はしねーよ!」

「じゃあ私を脅すつもりはない、と?」

「あたりめーだ! 全力で潰してアンタのランクを奪ってやるよ」

 コウジとユイのやりとりは最後のほうで大きめの声になった。そのせいでリングサイドの観客たちには試合前の挑発パフォーマンスだと受け取られてしまったようだ。

 ざわめく観客の声に、チッと舌打ちをしてコウジは青コーナーへ向かった。ユイも不安そうに自分のコーナーへ向かった。
 ゴングが鳴る1分前まで互いに呼吸を整えてから、ふたりはあらためてリング上で向かい合う。2メートル程度あいた中間にレフェリーが割って入り、ユイに尋ねる。

「フリーにするか、セレクトにするか?」

 ここでいうフリーとは自由対戦のことで、選手たちはゴングと同時に体をぶつけ合うプロレスのようなスタイル。1ラウンド10分で最大6ラウンドまで戦う。

 セレクトとは先行後攻を決めて15分ずつじっくり相手を攻めていくスタイルだ。最初の攻守で勝負がつかない場合は30分後からフリーに切り替わる。

 上位ランク同士の戦いではフリーが一般的であり、初級から中級まではセレクトのほうが試合として成立しやすい。見せ場を作りやすいという意味だ。

「挑戦者におまかせします」

 静かに目をつむってユイが答えた。これは格上として定番のセリフである。
 あくまでも上位の者が下位の者に胸を貸すという立場を取るのが暗黙のルール。

 続いてレフェリーがコウジのほうに目をやると、

「ではセレクトで頼む」

 迷いなくコウジが宣言したのでレフェリーは頷いた。

「ではユイ選手とコウジ選手、どちらが先攻するのか」
「コイントスで」

 これにもすかさずコウジが答える。

「わかった。裏が出たら挑戦者先攻でいいな」

「「はい」」

 コウジとユイの声が重なり、すぐにコインが弾かれて宙を舞う。
 落ちてきたコインがレフェリーの手のひらで見せたのは裏側の模様だった。

「俺が先だな」

 表情を変えずにコウジは冷淡につぶやいたが、彼は心の中でガッツポーズした。
 我に秘策あり。これで自分が試合を有利に進められると。

 開始十秒前となりカウントダウンが始まる。
 ユイもすでに目を開いており、コウジを見つめている。
 静かなプレッシャーを彼に与えながら開始を待つ。

カァーン!

 そしてゴングが鳴った途端、閃光のようにコウジが動いた。

「きゃっ!」

 あっという間にユイの背後をとり、足を掛けて倒す。反射的に体を捻ってマットに手をついたユイの細い腰めがけてコウジがガッチリと覆いかぶさる。

「なんだ、反応遅いじゃねえかAランク様よぉ!」

 四つん這い状態のユイに荒々しい言葉を使いながら、丁寧にタンクトップを外し、黒いスパッツとショーツまでずらして性器を露出させていく。
 ここまでわずか数秒。彼の手際の鮮やかさに観客が驚きの声を上げた。

「そんなっ、いきなり――!」

 格下とは思えないコウジの速攻にユイの秘所が湿り気を増した。それを指で軽くなであげ、挿入可能と判断したのだろう。自らペニスを彼女の膣口に押し当てた。

「一気に決めさせてもらう。先手必勝ってやつだ!」

ずちゅううううううっ!

 コウジの意思に呼応して、一瞬で隆起した立派なモノがユイの肉襞をかき分け内部へ侵入してゆく。

「あっ、あはぁんっ!」

 ビクッと背筋がのけぞり美しい黒髪が揺れた。艶のあるユイの喘ぎにつられそうになる自分を諌め、コウジはやっとの思いで声を噛み殺す。

(すんなり挿入できたけど、これは、襞の絡みつきがやべぇ……)

 さすがはAランクの膣内だとコウジは舌を巻く。
 内部の蠢きだけでなく、暖かくなめらかな肌触りが男をしっかりと誘惑してくる。
 それ以上に彼女がスタイル抜群であることも思い知らされた。
 細い腰を手のひらでホールドしているだけでもわかる。
 女性らしい丸みを保ちつつ、しっかり鍛えられているユイの体は筋肉の塊だ。
 しなやかに跳ね返してくる弾力が心地よい。
 それに加えてこの名器ぶり。腰を突けばしっかりと受け止め、引こうとすれば名残惜しそうに追いすがってくる。並の男なら欲情してこのまま射精してしまうだろう。
 だが堪えられないほどではないとコウジは安堵した。
 そしてゆっくりと送り腰を開始する。

ずりゅっ、ずにゅっ、ずりゅっ……

 ひと擦りするたびに先端からペニス溶かされていくようだった。だがこの体勢なら刺激を自分で調節できる。
 ユイはじわじわと降り積もっていく快感に耐えるしかない。
 スタート直後の四つん這いファックは男性有利の極みとも言える体位なのだ。

「やんっ、あっ、そこっ、はぁぁぁん!」

「知ってるぜ。アンタ、いつもバックで負けてるよな!」

「はぁ、はぁんっ、あはぁ、どうして、それをっ!?」

「今日の相手が格上だからな。ちゃんと研究してきたんだよ。オラアアッ!」

ズンッ!
 言葉で追い詰めながら時々腰を深く突き刺せばユイの背中がビクンと跳ねる。
 彼が使っている技は「抽送三浅一深」。浅めの挿入で焦らしつつ、時々深いところを抉って翻弄してゆく。リズムと快感を同時に女体へ刻み込むテクニックだ。
 次第にユイのきれいな肌が朱色に染まっていく。
 彼の技は確実にランク上位者を興奮させている。

「きゃふっ、すごいっ、ゴリゴリきてりゅうううっ!」

 コウジは腰を打ち付けそのまま静止していた。ユイの感じやすい場所を探り当て、亀頭の先端で腟内を舐め回すためだった。

(すげぇ、こいつの中、チンコの突き上げで脱力させてもカウンターが必ず、キュンキュン締め上げてくる!)

 ユイはマットに付いた手のひらに力が入らず、すでに肘まで突いて彼の責めを受け入れていた。このペースならポイントを取れるとコウジは考えていたのだが。

「はぁ、はぁ、くそっ、まだかよ……」

 気づきたくなかったが、受け流されていた。ユイは喘ぎながらも防御姿勢になっているのだ。

「すごいっ、コウジ、くんっ、もっと奥に来て! 思い切り突いて~~~!!」

「ハンッ、マットに顔を押し付けられておねだりかよ、格下の俺に見下されて、這いつくばって恥ずかしくないのか?」

「そんなっ、あはぁぁっ! 言われなくても、はう、は、はずかしいよぉぉ……」

 コウジは決して馬鹿ではない。これがユイからの挑発だと頭では理解していた。そして演技であることも見抜いているのだが、腰の動きを今更止めることはできない。時計を見ればすでに10分が経過していた。彼の持ち時間はあと5分未満だ。

「じゃあイけよ!」

 大きく深呼吸。そして腹筋を締め上げ、攻撃力を高めたペニスでユイの最奥を貫く。

ズンッ!

「やっ、あああああ! ま、まだここから硬くできるなんて!」

 そして着弾と同時にがっちり掴んだ腰を左右に捻りながら追撃。
 コウジの激しい腰使いにユイは甘い声を上げてしまう。

「イけっ、イっちまえ!! そうしないと俺が――」

 躍動感のあるピストン運動を続けながらコウジが吠える。
 ユイが目をギュッと瞑り、淡い吐息を美しい口元からこぼした瞬間だった。
 カリ首を包み込むようにユイの腟内が収縮した。その甘い刺激がきっけかとなってコウジは盛大に爆ぜた。

ビュルルルッ、ビュル~~~!!

「ハァ、くそっ、我慢しきれなかった。でもさすがにこれなら……」

 相打ち覚悟の同時絶頂。本当は一方的に責めきる覚悟だったが仕方ない。それでもコウジは確かな手応えを感じていた。真下で声も出せずに快感に痺れ、喘いでいるユイとの同時絶頂だ。
 格上相手にこの内容ならば誰も文句は言うまい。

 だが満足そうに息を吐くユイの様子を見てコウジの表情が険しくなる。
 体が震えていない。白い背中が波打っていない。

(何だァ、この違和感……おかしい。まさか、俺のほうがハメられたのか!?)


 呼吸は乱れているがユイはあきらかに余裕がある。
 不意に彼女が振り向いた。瞳は潤んでいるものの口元には笑みをたたえている。

「はぁん、すごかったよ……コウジくん。ところで、こういう話は聞いたことある? ランクの壁っていうんだけど」

「な、なんだよそれ……」

 まだコウジの持ち時間内だが射精直後で身動きできない。追撃するために挿入したままだがクールタイムは必要だ。必然的に会話を続けるユイの言葉が耳に入ってくる。

「2つランクが違うとね、十倍かける十倍で……百倍強いってことになるんだって」

「つまり自分は俺より百倍強いと言いたいのか!」

「そういうわけじゃないけど、Bランク以上の選手は『そうあるべき』って常に教えられてるの」

 ユイが語ること全てがコウジの聞いたことのない話だった。普通のことを言われているようにも感じるが、どこか人を見下したような印象を受ける。

「俺は負けねえ……お前なんかに、ランクなんかに負けるもんか!」

 コウジが吠えた時、攻守交代を告げるブザーが会場内に鳴り響いた。

「危なかったぁ~。でもここからは私の番だね」

 妖艶に微笑みながら、ユイは四つん這いの体勢から抜け出す。


第2章 華麗なる反撃

立ち上がって乱れた髪を整えてから彼の両肩に手をかけた。

「うっ……」

 正面からユイに見つめられ、コウジは思わず息を呑む。
 快感を凌いだせいなのか、トロリと蕩けた彼女の視線が淫らでたまらなかった。

(お、俺は今からこいつに責められるのか)

 相手にダメージが有るはずなのに彼は心理的に追い詰められていた。
 それは整った彼女の顔立ちのせいだけではなく――、

(なんだ、これ、普通のおっぱい……じゃないのか)

 目の前にあるそれは「きれいなお椀型」というだけは美しすぎるラインだった。きめ細やかな肌も、先端に見える桃色の蕾も、彼女の全てから目が離せなかった。
 爆乳でも超乳でもない巨乳未満のおっぱいなのに妙に惹かれてしまう。

「言い忘れたけどね、私のおっぱい……今は美乳ランク1位だよ」

 美乳で一番だった人が休養しているから暫定なんだけどね、とユイは付け加えたが彼の耳にはそれがとても遠くに聞こえた。

(なんだよ、これ、さっきまで俺はこんなヤバいモノに気づかなかったのか……!)

 畏怖。それとも憧憬なのか、彼自身にもよくわかっていない。淡い桃色の乳首は処女と言われれば信じてしまうほど尊く、触れることすら戸惑ってしまう。だけど見つめているだけでしゃぶりつきたくなる。
 そっと手を伸ばして触れれば逆にペニスに反応が返ってきた。このまま揉み続けていたら自分が先に達してしまう。そう覚悟する程のまさに官能的なおっぱい。

「えいっ」

ふるんっ

 ユイが背中をそらした。魅惑の膨らみがわずかに揺れた。ただそれだけでじゅうぶん目の毒、ため息が出そうになる。凝視していたコウジがやっとの思いで視線を上げればユイの笑顔が待ち構えていた。

「目をそらし続けないと思わず吸いたくなっちゃう乳首なんだって。聞いてる?」

ふにゅっ……

「うあああああっ!」

 ユイは美乳を揺らしながら、適当にコウジの顔に擦りつけた。しかもほんの少し、軽く接触した程度だったが破壊力は凄まじい。

(ぐっ、なんで俺、これじゃあ童貞みたいじゃねえか!)

 一瞬でフル勃起、鍛え上げたコウジの腹筋に張り付くのではないかと言うほどペニスが反り返ってしまった。間違いなく射精寸前に追い込まれたのだ。ユイはくすくすと笑いながら再び自慢のバストを惜しげなく彼の鼻先に突きつける。
 当然のようにコウジの視線が釘付けになる。

「あぁ~あ、魅(み)ちゃった♪ ちゃんとお話してるんだから聞いてくれないと私が困っちゃう。しょうがないなぁ……鎮めてあげるからおいで?」

 コウジの顔が抱きしめられた。ユイのほっそりした両腕が彼を抱きしめ、甘い雰囲気が優しく包み込んでゆく。
 鼻先にあった乳首を彼の口元へと導く。自然な流れのようにコウジはその清らかな蕾を口に含もうとした。
はむっ……

「よしよし、上手だよ~」

 チュ、と音を立てて彼のおでこにユイがキスをする。
 それだけでコウジの理性は溶け落ちた。

(はぁはぁ、こ、こんなピンク色の、乳首ッ! キレイで、あまくて、見てるだけでチンコが……あう、ううっ!)

 彼は必死になって美乳に溺れた。両手でその膨らみをつかもうとしたが、ユイにあっさり手首を掴まれ阻まれた。その代わり彼女は膝立ちになったまま上半身を左右にスイングしつつ、コウジの顔を美乳でいやらしく撫で回し、時々ピタリと動きを止めて乳首を吸わせてくれる。
 ゆっくり時間を掛けて組み伏せられてゆく。このおっぱいに夢中になるのは危険とわかっていても興奮したコウジには止めることができなかった。

「ほらぁ、もっとじっくり見ていいよ。今はコウジくんだけのおっぱいなんだから」

 気づけば彼はマットに大の字に横たわっていた。
 天井が見える。

(手足に力が入らない……まずい、しっかり気を張っていないと!)

 選手としての本能が警鐘を鳴らしていた。だがそれ以上に今の彼にはこの上なく美しいおっぱいとその持ち主の笑顔が眩しく感じられた。


 コウジの前で微笑むユイ=太刀華夕衣は学園内では控えめで目立たぬ存在と言ってよいだろう。じつのところコウジが彼女の存在に気づいたのは偶然だった。
 ある日、彼は次の授業のために教室移動をしていた。その際に女子の一群と廊下ですれ違った時に視界の端に入った下級生がユイだった。太刀華夕衣はポニーテールでもなく、制服の着こなしもきわめて普通だし真面目そうなメガネをかけていた。

 しかし何気ない立ち振舞の中に只者ではないオーラを感じたコウジは、すれ違いざまにわざと持っていたテキストを床に落としたのだが、落ちるより速く彼女はそれを手で掴んでみせたのだ。その時のユイはそのままお辞儀をして立ち去った。だがコウジは覚えている。敏捷性、洞察力、そして地味子のふりをしても隠せない美しい所作。たった数秒程度のやり取りだったものの、よく観察してみれば非常に整った顔立ちをしていることもわかった。コウジの野生の勘とも言える直感は、彼女の正体をこの時見抜いていたのだ。
 遠い記憶に思いを馳せていた彼にユイが優しく語りかける。

「コウジくんどうしたんですか? あの時と同じお顔になってますけど?」

「ッ!!」

「ええ、私も思い出しましたよセンパイ♪」
 彼女に自分の頭の中を見透かされたようだった。コウジは急に恥ずかしさがこみ上げてきて、よく考えもせずに言葉を発してしまう。

「おっ、お前なんかに、俺は負けねえッ!!」

「そうですか。でも……」

ふにゅううぅぅっ!

 視界が遮られる。またもや美乳の圧迫によって左目が蹂躙された。コウジは知らないうちにユイに添い寝されていた。通称「女神固め」。彼の左側でユイが横向きになって彼の顔を抱き上げ、柔らかな太ももが上半身をマットに抑え込んでいる状態。

「んぷぅっ!」

 コウジはもがこうとした。無理やり左を向かされたまま授乳のように圧迫、そこから左目に続いて口元、そして右目も塞がれる。最後にユイは彼を抱きしめ、きゅっと脇を締めながら彼の顔全体をおっぱいで撫で回した。

「ここはバトルファックの会場ですからね。格下は格上をリスペクトしなきゃいけないんですよ」

ふにゅんっ、ぷにゅううっ……

 そしてまた重圧。なかなか途切れないパフパフ攻撃によって顔中を蹂躙され、コウジの意識が混濁する。感じるのは彼女の体温と汗の匂い、そしておっぱいの感触。

「んっ、あああぁぁ……!」

「ほら、なんて言えばいいかわかります? 私はセンパイよりランクが上なんですよ」

「はぁっ、くそっ、まだ俺は」

「残念。違います。わからせてあげますね」

 言葉で辱められると逆らえなかった。呼吸はできる、全身の拘束もほとんどされていない、でも外せない!
 せめてこの甘苦しい女体の檻から意識をそらしたい。
 コウジは必死の思いで戦意を絶やさぬよう自分に活を入れるのだが――、

ちゅぷううっ!

 ユイは片方のおっぱいを持ち上げ、彼の口の中へ強引に乳首を挿入した!

「~~~~~ッ!!!!!!!!」

 突然口の中に現れた桃色の乳首。本能的にコウジはその魅惑の果実の蕾を口にしてしまう。

「うふふ、お目々とお口を順番に潰させてもらいました。どうです? 私のおっぱいはおいちぃでしゅか~」

「んふぅっ、んぷ、うっ、あああーーー!」

「クスッ、赤ちゃんなら喋れなくても仕方ないですね」

 気づけばコウジは目を瞑っていた。さらに一生懸命乳首を吸い上げていた。

(あ、甘いッ! 味なんて、あるはずないのに、こいつのおっぱいは、あああっ!)

 チュッチュと音を立てるたびにユイのおっぱいを美味しく感じてしまう。股間はすでに限界まで固くなっており、次の刺激を待ちわびている。
 ユイは自慢の胸に夢中になりつつあるコウジを見つめながら口元だけでなく、左右のまぶたにもおっぱいを落とす。ぷっくり膨らんだ清純な乳首が彼の眼球をコリコリと刺激する。
 そしてまた口元へ運べば待ちかねていたようにコウジは吸引を再開する。

 コウジはおっぱいのことしか考えられない。
 柔らかくて、甘くて、いつまでも感じていたい。
 吸えば吸うほど好きになる。

 両目のまぶたにこのおっぱいが擦りつけられるたびに視界がぼんやりして心が蕩けていくようだ……

 やがてコウジは一瞬、ここがリング上であることを忘れて意識を手放してしまう。

スゥ~~~~~ッ……

 そのタイミングを狙っていたかのようにユイの手のひらがコウジのペニスをそっと撫で始める。

「うふ、試合中に呆けちゃ駄目ですよ」

 自然に腰が浮き上がりおねだりしてしまう。しかもそれは彼にとって無自覚の行為。

「この撫で方をするとね、男の子はみんな無理やり素直にさせられちゃうんですよ」

 ユイは手のひらのくぼみでペニスの頂点を軽く包み、そっと左右に揺さぶる。その動きに応じるようにコウジの腰が円を描き出す。

「そこまでしちゃうんだ。コウジくん、そろそろこっちが苦しいんじゃない?」

 クスクス笑いながらユイは優しげな手つきで股間を嫐ってゆく。

『なんということでしょう! 挑戦者いきなりピンチです! ユイ選手の授乳手コキホールド「魅乳階段」が決まってしまいましたああああ~~~!!』

 リングサイドからはコウジに対する落胆と、それ以上に大きなユイへの称賛が歓声となって湧き上がる。しかしそれらはコウジの耳には届かない。
(気持ちいいっ、腰がとろけて、おかしくなっちまう!)

 絶妙な力加減で肉体を弄ばれ、無意識に彼女の手のひらを求めてしまうコウジ。

「もう夢中かな? ふふ、体は応えてくれるのにね。お耳はもう聞こえてないか。じゃあ次はぁ……」

 ユイは一度愛撫をやめ、彼の股間に人差し指と中指をそ~~~っと伸ばしてゆく。Vサインのような指先の間でカリ首を挟み込んでから、クネクネとした動きを彼にお見舞いした。

クニュクニュクニュッ、キュッ! ギュウウウ……

 柔らかい紙をハサミで切るように、最後は二本の指でカリ首を締め上げながら根本までスライドさせた。

「はうああああああああああっ!!」

「すぐに射精しないように手加減しないといけないですよね。これなら少しは我慢できそう?」

 手元を見ずに行うそれは射精を許さない的確な指圧だった。コウジはユイの技巧に悶絶する。恍惚とした表情で乳首を吸わされながら下半身だけが焼けるように熱くなってゆく。

(で、で……出ないいいいいいっ!)

 おっぱいで顔を塞がれている彼には自分が何をされているのか見ることはできない。一度射精してしまえばダウン扱いだが冷静になれる。しかしユイのテクニックがそれを許さない。興奮だけが上積みされ焦らされてゆく。しかもおっぱいから抜け出せない。

「精液出したいのにせき止められて苦しいよね。このままイきたい? でもおっぱいを感じたまま手コキされたら男の子はたぶん十秒くらいしか正気を保てないよ」

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