『進級してから約一ヶ月が経った学園内で起きた出来事について』




登場人物の紹介。

【大里悠太 おおさとゆうた】
・身長167センチ
・メカクレ系男子
・趣味はゲーム、カード集め
・女子と話すのは得意ではない
・童貞


【三郷愛美 みさとまなみ】
・身長158センチ
・黒髪セミロング、ハーフアップにしている
・かつては運動部に所属していた
・胸の大きさを気にしている
・経験豊富





 放課後。一人の男子生徒が同じクラスの女子生徒と向かい合っていた。
 彼の名前は【大里悠太 おおさとゆうた】という。良くも悪くも平均的な学園生。

 教室で帰る支度をしていた女子に向かって男子は勇気を振り絞って声をかけた。
 そして誰もいなくなった特別棟の一室へ連れてくることができたのだが――、


「は? 今なんて言ったの」

 彼の目の前で、呼び出された女子【三郷愛美 みさとまなみ】は不思議そうに首を傾げてそう言った。


「ひ、一目惚れなんです!」

「いきなりそういうの言われても困るんだけど」

 食い気味に愛美にそう言い返された悠太はガックリと肩を落としてつぶやく。


「僕じゃやっぱりだめですか」

「そうじゃなくて! 呼び出されてこんなところに連れてこられて、しかも一目惚れとか言われちゃったら驚くでしょう。あと理由が分かんないから……ちょっと考えさせて」

 自分を全否定されたのではないと理解した悠太はオドオドしながら視線を上げた。
 愛美は先程と同じように首を傾げ、片方の手のひらを顎に当てて彼を見ていた。

(やっぱり三郷さんってすごくかわいい……)

 彼女の視線を独占していることに気づいて悠太は見とれてしまう。
 窓から差し込む日差しを受けてキラキラと輝く髪。
 意思の強さがそのまま現れたような大きな瞳、小さくきれいに整った鼻や口、胸がそんなに大きすぎないのもいい。ほっそりとした体つきなのに運動神経抜群で引き締まった脚など最高に魅力的だ。悠太は愛美に対してならいくらでも賛辞を送ることができそうだった。

 そんな彼をじっと見つめながら愛美が再び口を開いた。


「つまり、あなたは私の見た目が気に入ったから告白したってこと? どんな性格なのかもわからないのに、私はあなたのことを知らないかもしれないのに。路上でナンパしたことあるの? なさそうだけど。実際に私はあなたのことを全然知らないんだけど、同じ学園に通ってるというだけでそこまで大胆になれるわけ?」

 愛美が比較的早口だったせいもあって悠太は自分が責められているような気持ちになってしまい、またもやがっくりと項垂れ、その場に膝をついた。


「……ごめんなさい。生意気なこと言ってごめんなさい。僕みたいに教室の空気みたいな存在が告白とかありえないですよね。あははははは」

「待って待って! 泣き笑いしながら土下座であやまらなくていいから! 今のはちょっと言い過ぎたわ」

 膝から崩れ落ちて謝罪の頭突きで床に穴を開けそうな勢いの悠太を見て慌てる愛美。
 彼女は自分の言葉の強さに気づいていない。
 男女問わず無意識に相手を圧倒して泣かせてしまうことが時々ある。

 そして今回も自分の言い方がまずかったと反省したのか、しゃがみ込んで彼と目線を合わせ、そのまま抱き上げるようにしてゆっくり立たせた。


「この特別棟の教室って、奥にもう一つ準備室があるのは知ってる?」

「え」

 立ち上がらせた悠太に向かって愛美が言った。
 彼女はくるりと背を向けて教室の奥へと歩いてゆく。
 悠太もそれにつられて歩いてゆく。
 大きな黒板の脇にドアノブがある。


「こっちへきて。さっきの返事と言うか……誰にも聞かれたくないから続きはあっちでしましょう」

 愛美は躊躇せずに「準備室」へと入ってゆく。
 悠太もそれに続いた。


「ここなら誰もこないよね」

 手慣れた様子で準備室の鍵を内側からかける愛美。聞けば彼女は文化部に所属していたこともあり、部活で特別棟をよく利用していたという。そのおかげで部屋の仕組みに詳しいらしい。


「当たり前だけど私たちしかいないからゆっくり納得いくまで話し合えるわ」

「あの……」

 戸惑う彼に構わず愛美は距離が詰めてきた。
 悠太は完全に密室状態になったことに驚き身動きが取れない。

 身を固くしたままの彼を見つめ、髪をかきあげながら愛美が笑う。

「いくらなんでも緊張しすぎでしょ」
「ええええっ!? だ、だってこんな近ッ」
「なぁに?」

 鼻先が触れ合う距離まで一気に近づいて小さな声でささやく


「そういえばあなたの名前は?」

「お、大里悠太です」

「ふぅん、ユータくん……手っ取り早くお互いのことを知る方法があるの。性格を知るのは時間がかかるかもしれないけど、体の相性ぐらいはすぐに分かるから」

 愛美はそう言い放つと、彼の両肩に手を置いた。それからゆっくりと目を瞑り、自分の顔を彼に近づけてゆく。

「えっ、あ、あの僕にも心の準備というものが……んぐぅっ!?」

チュ……

 悠太の言葉を遮るように愛美が唇を重ねてきた。

(う、うそっ、三郷さんとのキス!?)

 悠太にとってそれはファーストキスだった。大好きな愛美といつか仲良しになれたらという思いはあったのだが、こういった形で叶えられるとは予想していなかった。

 愛美の香りに包まれる。唇の柔らかさを思い知らされる。愛美は相変わらず目を瞑ったまま、自分の唇の感触をたっぷり味わわせるために何度もチュッチュと音を立てて彼を貪っている。

 やがて彼が陶酔しきった頃、ようやく愛美は唇を解放した。
 静かに目を開けてニッコリと彼に微笑みかける。


「最初に言うべきなんだろうけど……私に告白してくれてありがとう。すっごく勇気がいるもんね。だからこれは頑張ったご褒美」

「ふあ、あああ、三郷さんと……」

「あ、愛情とかそういうのは別だから! 勘違いしないでよねッ」

ニュルンッ

「んっ!? んふぅ、んんんうううううう~~~~!!」

 彼を抱きしめたまま愛美が再びキスをした。
 しかも舌先を彼の口の中へ侵入させるディープキス。

 ジュルジュルと音を立てながら唇や舌先を吸われ、悠太は目を白黒させながら呼吸を乱されてしまう。快感に震えながら抗おうとしても無駄だった。どうしていいのかわからずに伸ばした彼の指先をふわりと包み込む愛美。そこから指と指を絡めあって恋人握りをしてやると、彼の手のひらがじわりと湿り気を増した。

(は、は、激しいっ、こんなにされたら僕、おかしくなるうううう!)

 悠太の興奮は一気に最高点に達してしまう! ガクガクと震えだした彼の様子を感じた愛美はクスクス笑いながら片方の手を彼の股間へと伸ばした。

(へぇ、立派じゃん……おちんちん大きいんだね)

 ズボンの上から彼自身をなぞる。指の先で何度か形を確かめ、上下に手のひらを往復させてやんわりと刺激してゆくと悠太の全身が硬直してゆくのがわかる。

 男子を興奮させることに喜びを覚えながら愛美はディープキスを続けながらその動作を繰り返した。悠太にとってそれは強すぎる刺激であり、オナニーとは比べ物にならない快感であった。

(あ、ああああ、きもちいいっ、三郷さんの手も、唇もエロすぎて!)

 悠太が無意識に腰をカクカクと振り始めてからしばらくして愛美がようやく手の動きを緩めた。しかし自由にされた彼にとっては寸止めされたのに等しくて自然と切ない溜息がこぼれてしまう。


「一目惚れした女の子の手でいきなり撫で回されて気持ちいい? それとも幻滅しちゃうのかな」

「はぁ、はぁ、はぁ、み、三郷さん……すごいぃぃ……」

「んふっ、ひとつわかっちゃった♪ カリカリされて焦らされるのが好きみたいね」

 上目遣いで彼を見つめながら愛美がいたずらっぽく手を動かし始める。手のひらを上に向け、三本の指先を踊らせて彼の先端をくすぐるようにして責める。

「あふううっ!

 チョロチョロとカリ首を引っ掻かれて悠太の顔がビクッと跳ね上がった。
 本能的に逃げ出そうとする彼の体を愛美はもう片方の手で引き寄せた。

「逃さないよ~。こんなに感じちゃうなんてエロすぎじゃない? ずっとこうされたいと思っていたんじゃないの」

「ち、ちがっ、あっ、ああああーーーーーーっ!」

 否定しようとして言葉を紡ごうとしても遮られてしまう。
 悠太はこの時、愛美の技巧に完全に屈してしまう自分を恥ずかしく感じていた。
 それでも浴びせ続けられる快感には抗えない。


「そろそろナマで触っちゃおうかな~」

 愛美は彼の首筋に軽いキスをまぶしながら、ゆっくりとズボンのベルトを外し、ファスナーを緩めていった。すると釣り上げられた魚のように元気よく彼のペニスがズボンから飛び出した。

(は、はずかしいいいっ!)

 悠太は赤面した。股間がひんやりとした空気に触れ、自らが今どんな状況なのかを瞬時に感じ取った。しかしどうすることもできない。愛美に抱かれてキスをされ、手コキでここまで高ぶってしまった自分を否定できずに居た。


「わっ、すごいドロドロ……ちょっと興奮しすぎじゃない? うふふふ」

ヌチュリ……

「んあああああっ!」

「おちんちん溶けちゃいそうだね。このまま私の手の中で出しちゃおっか」

 愛美の手のひらで包み込まれたペニスは嬉しそうに震え続けていた。
 蕩けきった獲物を手の上で転がしながら彼女は笑う。
 このまま優しくしごいてやればあっという間に果ててしまうだろう。
 そしてきっと彼もそれを望んでいる。

(まあ、どんなふうに鳴いてくれるのか私も見てみたいし♪)

 ぺろりと小さく舌なめずりをしてから、愛美は彼に聞こえるようにクチュクチュと音を立てながら手を動かしはじめる。程なくして手のひらに脈動が伝わってきた。このまましごけば射精してしまうという前兆。

 愛美はそっと手を離し、指先をまとめて鬼頭のみ責めることに切り替えた。

「うあっ、ああぁぁ……!」

 首を横に振りつつ、うわ言のようにじれったさを訴えてくる悠太を観察しながら静かに指先を這わせる。人差し指を中指の間に先端をはさみ、親指でグリグリと裏筋を舐めてやるとますます声が大きくなる。ねっとりと吸い付くような指使いでキュプキュプと水音を立て、時間を掛けて彼を辱めてゆく。

 やがて堪えきれなくなった悠太は、両手でぎゅっと彼女の顔を抱きしめるようにしながら全身を震わせて降参してしまう。


「いい、い、いくううっ!」

ドプッ、ドプ、ドピュウウウッ!

 たっぷり焦らされたせいで何度も腰が震え、そのたびに悠太を断続的に射精させられてしまう。
 爆ぜる直前に愛美はペニスから手を離して彼のイキ顔を興味深そうに見つめていた。


「くすっ、早いね。でもいい顔してる。もっといじめたくなっちゃう」

 射精による律動が収まりかけた頃、愛美は悠太を床に寝かせて覆いかぶさるようにして彼を抑え込んでいた。

(な、なにを……)

 悠太は戸惑う。まさに女性上位。
 この後自分がどうなってしまうのか予測できなかった。
 彼女を見上げながら不安と興奮が絶え間なく襲いかかってくるのだ。


「今度はこっちでかわいがってあげる。あなたマジメそうだもんね。女の子の太ももに挟まれたことなんて無いでしょ」

 愛美は自らスカートを捲りあげて彼を挑発する。
 薄い紫色のショーツが目に入り、悠太はドキッとしてしまう。

 真っ白な彼女の素肌に不釣り合いなそれは、大人っぽくて非常に扇情的で視線が釘付けになってしまう。さらに愛美は美脚で男子生徒の間では特に有名。


「やだ、また大きくしてる……そんなに私に搾り取られたいの? ヘンタイ」

「ちがうっ、ちがうんです僕はあああああっ」

「お望みどおりにしてあげる。いくよ~~~~……えいっ」

「ま、待って三郷さ、んんんんんっ、あああーーーーっ!」

クチュウウウッ♪

 硬さを保ったままのペニスが温かいものに包み込まれる。それが愛美の太ももであることに気づいて、悠太はますます興奮してしまった。


「おちんちん熱いね……さっきと比べてどうかな」

 愛美はそのままゆっくりと足を前後に動かし始める。すでにヌルヌルになっている肉棒が清廉な彼女の太ももの内側で擦られ、ますます滑りを帯びてしまう。だが彼にはその衝動を止められない。


「き、きもちいいいっ!」

「ふふふふ♪」

 悠太の言葉に気を良くした愛美はそのまま彼の望む刺激を与え続ける。


「おちんちんすっかり私の魅力にメロメロって感じだね、恥ずかしい人」

「は、恥ずかしくいけど、き、気持ちよくて、ドキドキしちゃいます!」

「あはっ、女の子みたいなこと言ってる~! かわいいなぁ♪」

 自分に組み敷かれて悶えながら喘ぐ悠太を見ているうちに、愛美自身もじわじわと気分が高まってきた。

(またキスしちゃおうかな……喜んでくれるよね?)

 ドキドキしながらゆっくりを顔を寄せ、彼の顔を両手で挟み込む。


「ユータくん……」

 名前を呼ばれた悠太は信じられない思いで目を見開く。目の前に愛美がいる。
 しかも自分の名前を呼びながら瞳を閉じて、キスをしようとしている!

 愛美の予想以上にその行為は彼を喜ばせた。

ツウゥゥ……

 たっぷりと唾液を絡ませたキスを終えて愛美は彼を見下ろす。


「キスされるたびに体がフニャってしちゃうんだ? またひとつわかっちゃった♪」

 ペニスを太ももで捕獲したまま彼に口づけを与えたのは正解だったと愛美は思う。
 微細な変化を見逃さず、自分を好きだという男をコントロールできたからだ。

 悠太の意識はすでに天国へ旅立っているような状況だ。大好きな彼女と密着したままこれでもかというほど快楽漬けにされ、しかもその快感が継続しているのだ。


「ねえ、私の脚の間でおちんちんがまたバッキバキになってるんですけど?」

「ごめん、なさい……」

「あやまらなくていいよ~。それだけ私に夢中ってことなんでしょ。こんなことで感じてくれるなんて、女として自信持っちゃっていいのかなーって」

 悠太はうっとりと彼女を見上げていた。
 ただでさえ魅力的だった彼女に告白しただけでこんなことになるなんて。

 気持ち良すぎてもう何も考えられない。

 自分を抱きながら笑う彼女に向かって悠太は思いつく限りの褒め言葉を並べた。

 突然こんなことをしてくれるなんて最高すぎる、今日が世界の終わりでも構わない、生まれ変わっても自分にはあなたしか見えない、などなど。

 しかし、ほぼ無意識で紡ぎ出したその言葉は愛美に予想外の衝撃を与えた。


「ば、馬鹿っ! いきなりどうして、そんな恥ずかしくなるようなことばかり喋りだしてるの。もう黙りなさいって……んちゅうううっ!」

「ッ!?」

 顔を真赤にしながら愛美は悠太の唇を奪う。
 今まで一番番情熱的なキスだった。

「……ご褒美はここで終わり。今から罰ゲームだから、もうイっちゃいなさい! 変なこと言い出せなくなるくらい搾り取ってやるんだから」

 貪るようなキスが長く続き、悠太の意識が飛かける前に愛美が顔を離す。
 口元をキュッと閉じたまま恨めしそうに彼を見つめていた。
 それが照れ隠しなのか怒りなのかは悠太にはわからない。

 ただその直後、悠太の股間に快感の波が押し寄せてきた!

ぱちゅぱちゅぱちゅっ!

 床の上に彼を抑え込んだまま愛美が激しく腰を使い始めた。
 彼の首に両腕を回して、抱きついて腰から下を波打たせる。
 さらに、

「ほらほら、もう我慢しなくていいよ~。私の脚の間で枯れるまでおちんちんいじめてあげる。イっちゃいなさい? そこからもう一度イかせてあげる。何度でも何度でも、あなたが恥ずかしいことを言わなくなるまでずっと……ふふふふふ」

 大好きな彼女に甘く囁かれてしまい、悠太の忍耐力が一気にゼロになる。


「んはああ、ああっ、いくうううううううううう!!」

ドピュウウウウウウウウウウウウウウウッ!!

 愛美の腰使いが止まるまで、悠太はじつに十数回もの射精をしてしまうのだった。


 そして。

「わかったでしょ? 私はあなたが思うような可憐でかわいらしい女の子じゃないの。これに懲りたら二度と軽々しく一目惚れだなんて言わないことね」

 部屋の掃除を終え、後始末を終えた愛美は悠太を見つめながら言い放つ。
 彼女にしてみればこれは相手を諦めさせるための儀式。

 自分を幻滅させるためにした行為なのだが、


「……すごい」

「は?」

「ますます好きになっちゃいました。こんな事されたら」

 悠太には逆効果だった。キラキラした目で愛美を見つめ、最初のときよりも熱っぽく彼女への褒め言葉を語り始める始末。あまりの恥ずかしさに愛美は耳まで真っ赤になってしまう。


「うそでしょ!? 早く目を覚ましなさいよドM!!」

 ついに根負けした愛美は、彼に背を向けて準備室から出ていった。

 この日の出来事がきっかけで、学園を卒業した後も付き合い続け、ついには結ばれてしまうことになるとは夢にも思わない二人だった。





(了)





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