『デザイアダンジョン 英雄譚 ~リリムの誘惑とその対策について 2』
ここは「欲望の迷宮」。
数多の冒険者達が最深部にある財宝を求め懸命に挑んでいる。
今日も一人の冒険者が駆け足で第二階層の最奥へと向かっていた。彼は非常に心優しい冒険者として酒場でも噂になっている人物だが苦戦している。
より正確に言うならば「ある事情」のせいで第三階層へ進めずに居た。
「あれ? おにいちゃん!」
第二階層の一番奥でふわりふわりと浮かんでいるのはリリムだ。
一般的な認識では下級淫魔に間違いないのだが、この冒険者にとっては天敵だった。
何度挑んでも勝ち筋が見えない。
それどころかどんどん遠ざかっていく。
以前戦った時の記憶が曖昧なのも厄介ごとの一つだった。
ただそれは彼のせいではなく、リリムが施した弱体化の呪いと記憶操作によるものなのだが……冒険者自身はその事に気づけない。
「もー! 怖いお顔してどうしたの~? 今日もわたしと遊ぼうよ」
甘ったるい口調でリリムが近づいてくる。
相手を全く恐れていない様子なのが見てわかる。
そこで彼はグッと剣を握り締めた。
今日こそは彼女を倒すという意思を秘めながら。
冒険者の闘志を感じ取ったリリムは彼の間合いに入る直前で動きを止めた。
「やる気なの? そっかー。じゃあしょうがないね。よし、始めよう!」
ぱん、と手を叩いてリリムがニッコリ笑う。
すると気合い充分だった彼の気持ちに変化が訪れた。
ただぼんやりとリリムを見つめてしまう。
可愛らしい顔立ちや魅力的な体に見とれてしまう。
すでに彼の間合いだ。剣で薙ぎ払えば確実に当たるのにそれができない。
彼の変化をじっと観察しながらリリムはゆっくりと、目の前で浮かんだまま大きく脚を開き始めた。
「ほぉら、はやくおいでよ? うふふふふ」
さらに誘うように両手を大きく広げ、彼を抱きしめようとしていた。
見るからになめらかなリリムの肌を見せつけられ、冒険者は戸惑いながらもフラフラと吸い寄せられてしまう。
かろうじて剣を握り締めたままだがそれを振り抜く様子は相変わらずない。
そして自ら彼女の間合いに入り込んでしまう。
「おにいちゃん今日も舐めてくれるんでしょ。わたしの足の指♪」
リリムは自分の脚が彼に触れる距離になってから優しく語りかけた。
カラァーン……
彼女の言葉が耳に入るとすぐに冒険者は握りしめていた剣を手放してしまった。
リリムは足を伸ばしてそっと彼の顔をなでている。
顎の先から首筋を丁寧に舐めるように、足の指を這わせながら彼を魅了していく。
「最初から素直に言えばよかったのに。おにいちゃん、ここへ来たの何回目だっけ? わたしあんまり記憶力良くないからわかんないけど」
とぼけた様子のリリムだが口元はにやけていた。
彼と逢うのは7回目。
その間にたっぷり魅了して自分への恋慕を刻みつけている。今はその感情を彼にじわじわと思い出させている途中だ。
うっとりした目でリリムを見つめる彼の体にはかつての戦いで施されたキスマークが無数に浮かび上がっていた。
「すっかり染み込んじゃってるねー。わたしの淫紋」
ツゥー……と足の先をすべらせ、今度は彼の股間を弄び始めるリリム。
冒険者の喘ぎ声を感じながら、淫魔のすべすべした手が装備品を剥ぎ取り、あっという間に彼を無防備な状態にしてしまった。
「そろそろ思い出してきた? きょうも会えたね、おにいちゃん♪」
彼女の言葉に冒険者は小さく頷く。耳をくすぐる甘いボイスと股間を弄んでいる彼女の脚が気持ちよくてたまらない。
そんな愉悦の表情を浮かべながら冒険者はリリムのなすがままに操られていた。
可愛らしく微笑み、それを見せつけられながらの足コキはリリムに心を奪われた彼にとってこの上ない快感となる。
リリムもそれをわかっているからこそ彼を焦らすような愛撫をやめることはない。
「そろそろスッキリしちゃう? お手伝いしてあげるー」
余裕たっぷりに彼のペニスを足の裏で撫でながら性感をどこまでも高めてゆく。
すでに冒険者の膝は震えだしており、自力で立っていることすら難しい状況になっていた。
リリムは魔力を使って彼の手足をしばり、その場に強制的に膝立ちにさせた。
両足で彼のペニスをはさみ、正面から彼の目を見つめて命令する。
「はい、ドッピュン♪」
ビュクウウッ!
掛け声とともに精液がリリムの足裏にほとばしる。射精の最中もクチュクチュと音を立てながら足の指で冒険者を弄び、精を抜き取りながら魅了を重ねてゆく。
「気持ちよかったでしょ。じゃあ言う事聞いてもらおうかな~」
すっかり脱力した冒険者の手足を縛る魔力を解放すると、彼は背中から大の字になって倒れ込んだ。そこへ近づいて軽くおでこにリリムがキスをすると冒険者はバネ仕掛けのように立ち上がった。
「キスマークはもういっぱいだからぁ、今日は首輪つけてあげる~」
背後にあった宝箱からリリムが取り出したのは「隷属の首輪 Lv1」だった。
これをつけられた人間は、一度だけ彼女の言うことを効かなければならない誓約が科される。
リリムは手慣れた様子で彼の首にその禍々しい首輪を巻きつけ、最後に魔力を通して鍵をかけた。
「完了っと。これでもうおにいちゃんは……ふふふふふ、なんでもないよ。また遊びに来てね」
チュッと軽く投げキッスをしてからリリムが指を鳴らす。
その直後、冒険者は淡い光を伴って地上へ転送された。
◆
それから二日後。前回同様に冒険者は第二階層の奥を目指していた。それが純粋に冒険のためなのか、何か他の意味があるのかは彼自身にもわからない。ただ心の奥に義務感のようなものだけがあった。
「あっ、早ーい! もう来てくれたんだ。ちゃんと首輪もつけて」
クスクス笑い出すリリムを見ながら冒険者は羞恥で顔を真っ赤に染めた。
この魔物は自分のことをよく知っている。そして彼自身も……
前回の記憶が曖昧な理由はわからないが、冒険者はリリムに呪いをかけられたと思っていた。見慣れないアイテムを自分が身に着けていたからだ。
地上で教会に立ち寄り解除を試みたが失敗。自ら力づくで外そうと試みたのだが不思議な力に邪魔されてどうしても外すことができなかった。
「うんうん、はずれないよねー。だってそれ呪いのアイテムだし」
やはり呪いだったのかと冒険者は落胆した。
でもそれならなぜ解呪できない? 新たな疑問が頭に浮かぶ。
「おにいちゃんの魔力を使って張り付いてるからね。わたしでもきっとはずせないよー」
リリムが言うには取り付けられた相手が承諾した場合は呪いのアイテムではなくなるという。つまりこれは彼自身が望んだ結果なのだ。
「そんなことよりもぉ、今日もいっぱい楽しも?」
愕然とする冒険者の前でリリムは数日前と同じように脚を開き、蠱惑的な目で彼を見つめてきた。冒険者はその光景を見ただけで脱力してしまう。
全身が熱い……と彼は戸惑うが、リリムにしてみれば当然の成り行き。
彼が自分の前に来たのはこれで8回目。そろそろ完全魅了に近い状態。
普段の彼の力はリリムの前では1割程度しか出せないはずなのだから。
「わたしが怖い? そんなことないよー。こっちへ来てぇ、おにいちゃん」
リリムが優しく言葉をかけるたびに外せない首輪がほのかに光を放つ。
同時に冒険者の心と体にも甘い感覚が駆け巡るのだ。
彼は自分でも理由がわからないままリリムの前にひざまずいた。
「あはっ、簡単に言うこと聞いちゃうよね。それつけてるんだもん。しかたないよ」
リリムは冒険者にこの状況に対する言い訳を与えて安心させようとしている。
おにいちゃん、本当は強いんだけど、わたしの前では赤ちゃんと一緒……
いっぱい可愛がってあげるから身も心も委ねて……
いつもみたいにわたしを褒めて? そうすれば気持ちよくなれるよ……
見え透いた言葉の裏に邪悪なものを感じとることはできるのだが、リリムに取り付けられた首輪の効果のせいで冒険者は混乱するばかりだった。
「さあおにいちゃん、わたしのアソコを舐・め・て♪」
リリムは開いた脚を自分の手を使ってさらに大きく広げた。
つるつるした彼女のアソコを見せつけられた冒険者の目が釘付けになる。
ピンク色の襞がフルフルと蠢き自分を誘っている。
彼は朦朧とする意識のままリリムに吸い寄せられ秘所を舐める。
ひと舐めするごとに気が遠くなるような感覚が彼を包み込んでゆく。
「んっ、きもちいいよ。おにいちゃん上手だね」
リリムは満足そうにつぶやき、突然ブルッと小さく体を震わせた。
秘所を舐め続けていた彼の味覚に異変が起きる。甘い蜜のような愛液にちょっぴり塩気のある味わいが混じってきたのだ。
「あはぁっ、舐められるのが気持ちよすぎて少し出ちゃった……それも飲んでね?」
魔力を宿したリリムの目がピンク色に光る。
冒険者の心を絡め取る魅了の魔術を行使しているのだ。その結果、口にしたものが何なのかすら特に疑問を感じずに彼はリリムへの奉仕を続けてしまう。
やがて満足したリリムは彼の顔を抱きしめ、そっと自分から引き離す。悲しげな表情をする冒険者を見てクスッと笑い、彼を立たせたままふわりと股間へ顔を寄せた。
「上手にペロペロできたご褒美だよ。わたしも舐めてあげる」
はむっ……
静かに目を瞑ったままリリムは彼のペニスを咥えこんだ。
リリムの舌使いに冒険者は喘ぐ。予想外に激しく唇でしごかれ、舌で舐られ、あっという間に射精寸前まで追い込まれてしまった。
屹立したペニスを丁寧に舐めあげてからリリムは少し距離を取った。
「大きくなったね。じゃ、今度は足でシコシコしてあげる!」
宙に浮いたままリリムが彼の股間へ足を伸ばす。真っ白ですべすべした足の裏でやさしくペニスの先端を撫でてゆく。それはまるで薄皮を剥くような繊細さで彼の性感帯を優しく刺激してゆく。
何度も対戦するうちに冒険者の弱点をリリムはしっかり把握していた。
亀頭を磨くようにクニュクニュと親指で弄んでから爪の先で裏筋を下から上に向かって刺激する。
指先を軽く曲げたまま左右からカリを挟んで扱き上げると冒険者は背筋をビクビクさせながら喘いだ。
親指と人差指の間に亀頭をはさみ、もう片方の足で睾丸を刺激してやると彼は前かがみになった。
「イっちゃえ、よわよわおちんちん♪」
的確な愛撫によって、彼のペニスはあっという間に限界点を突破してしまう。
射精の直前にリリムは冒険者の股間を強めに踏みにじった!
ドピュウウウウウウウウッ!!
激しく飛び散る精液をその足で受けながらリリムは笑う。
「ふふっ、いっぱいでたね」
あまりの快感に、がっくりと膝をついた冒険者を見下ろしながら、リリムが軽く指を鳴らすと、冒険者の体は糸が切れたように再びその場に崩れ落ちた。
リリムの指鳴らしと同時に魅了の魔力から解放された彼の意識は戦う前よりもクリアになっていた。だが徹底的に弄ばれたせいもあって体力は底をつく寸前だった。
そして彼は自己嫌悪に悩まされた。リリムの言いなりになっていた自分の情けない記憶だけがはっきり残っている。
それが呪いのアイテムのせいなのか、自発的なものなのか……
ただ確実なのは目の前のリリムを見ていると胸が高鳴り、興奮が収まらなくなるということだった。
リリムは仰向けになった冒険者にピタリと体を預けて覆いかぶさった。
彼の目の前にリリムの整った顔が迫っていた。柔らかな体を感じる。重さはそれほど感じないが、意識すればするほどドキドキしてしまう。
「足でシコシコされてスッキリしたでしょ。じゃあ次はわたしとオマンコしようねー」
にっこり微笑みながらリリムが軽く腰を浮かせ、すぐに沈めてきた。
ズチュウウウッ!
可愛らしい彼女の顔を見つめながら、冒険者は悶絶する。
リリムに挿入されてしまった!
挿入するとすぐに膣内の襞が彼自身に絡みついてくる。射精したばかりで敏感なペニスが彼女の膣内に収められてしまったのだ。しかも抵抗する体力は奪われ、冒険者にできることは限りなく少なかった。
「おにいちゃんのおかげでエッチな気分になっちゃった。いっぱい出していいからね」
密着した状態、すぐにでもキスできそうな距離で彼女と抱き合っている。
その興奮からなのか無意識に彼は腰を突き上げてしまう。
「うふふ、反撃してるつもり? じゃあわからせてあげる。えいっ」
リリムは余裕の表情で彼の腰使いを包み込み、逆に自分の腰を打ち付けて彼の抵抗をそのまま打ち消す。
冒険者が悶えながら逃げようとしても無駄だった。たっぷり精を吐き出してしまったあとで回復が追いつかない。そしてつややかで柔らかい肉体を擦りつけられると満足に身動きすることすら難しかった。
ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅっ♪
倒れ込み騎乗位で弄ばれたペニスは再び射精寸前まで高められてしまう。
しかもいつの間にか彼の体はリリムと一緒に浮遊していた。
「空中で犯してあげる。どう? 気持ちよすぎてやばいでしょ。リリムの膣内に囚われたおちんちんが反撃なんてできるわけないよーだ!」
彼女にギュッと抱きつかれたまま冒険者は身悶えするしかなかった。地面に足がついていないのだから踏ん張りも効かない。背中に回された彼女の手のひらが冒険者を刺激してくるのもたまらない。
このままではまた精を吸いつくされてしまう。
貴重な経験値を彼女に捧げてしまう!
そんな焦りと裏腹に体は興奮しきっており、抗うことができないのだ。
「あはぁっ、今日もいっぱい搾り出してあげるからね。おにいちゃん」
耳元でリリムに優しく囁かれると無条件で脱力してしまう。そうなるように自分の体は作り変えられているのだと彼はこのとき思い出した。
教会で「縁ほどき」をしようと思えばできるのに何故かその気になれないのは彼女に魅了されているせいだ。
そんな言い訳を作ることで彼は無理やり自分を納得させている。
本音を言えば気持ちよくてたまらない。この小悪魔に身を委ねて堕落させられている自分が止められない。
「ねえおにいちゃん、そろそろわたしのモノになってくれない?」
突然の提案だった。リリムが真顔で彼を見つめている。
だがこれは悪魔の契約。
もしも受け入れてしまえば一生自分は彼女の虜になってしまうだろう。
じっと瞳を覗き込んでくるリリムに対して彼は静かに首を横に振った。
「そっかー。じゃあ今日も吸い尽くすしかないね。最後はわたしとキスしよっか?」
彼の答えに残念そうな表情もせずにリリムが言う。そしてギュッと強く抱きしめ直してから、リリムは顔を近づけて冒険者の唇を奪った!
ぷちゅうううぅぅぅ~~~
リリムの全身が淡く光っている。
ドレイン技だと冒険者はすぐに気がついたもののどうすることもできない。
刹那の甘美な体験と引き換えに全てを差し出してしまう自分。
このままでは経験も、技能も、記憶も吸い出されてしまう。
「抵抗しても無駄だよ~」
キスをされながら頭の中に響くリリムの声を聞き、甘くとろけるような唇と膣内の感触をたっぷり味わいながら、彼は盛大に射精してしまう。
ドピュドピュドピュウウウッ!!
足コキの時のように一度では終わらない射精だった。
なぜならリリムは彼に刻みつけた淫紋の力を使っている。
隷属の首輪よりも深く、何度も何度も快楽漬けにした相手の魔力をもとにして行うリリムのドレイン技は魅了された対象にとっては厄介極まりないものだった。
冒険者の体は少しずつ力を奪われ、同時に今まで以上の快楽を与えられ続けていた。
ちゅううっ、ちゅぷ、ちゅるるるる、じゅるんっ!
リリムは終盤になるまで彼の唇を貪った。やがてそれにも飽きる頃、冒険者のレベルは一桁前半にまで搾り取られていた。
「あはっ、お口の中にもたくさん淫紋を刻みつけちゃった♪ 今度きた時はキスだけでイかせてあげるからね」
彼女がパチンと指を鳴らすと、冒険者の体が光りに包まれた。
リリムに敗北してしまったせいで地上へと転送されるのだ。
前回と同じく経験も、力も、記憶も奪われてしまった。
それでも彼の表情はどこか満足そうだった。
『デザイアダンジョン 英雄譚 ~リリムの誘惑とその対策について 2』(了)