『教育実習期間を終えた童顔の女子大生が年下の彼氏を作ってしまうお話』



 天気の良い日曜日だった。

「久しぶりにミサキねえちゃんのところへ行こうかな」

 友だちと出かける予定が相手の都合で急に潰れてしまった少年・レンは自分の部屋でつぶやく。

 ここで言うミサキとは、彼の家の隣に住んでいる女性を指す。
 血縁関係はなく年齢の離れた幼馴染のような存在。

 正確には実咲(ミサキ)と言った。レンのお隣さんである太刀華家の長女である。
 実咲には妹が一人いる。
 だがレンと実咲の妹・夕衣(ゆうい)とは性格的に合わないので交流が少ない。
 たまに出会った時に挨拶を交わす程度だ。
 しかも二年前から夕衣は自宅から離れて全寮制の学園へ通い始めた。

 そんなこともあって、実咲は妹がいなくなった寂しさを埋めるようにレンのことを可愛がっていた。
 彼女より背が低かったレンも今では背が伸びてお互いの身長差はなくなった。

 それでも実咲にとっては弟のような存在である。
 面倒見が良い実咲は彼のことが可愛くて仕方なかった。

 一方でレンにしてみれば優しくてきれいなお姉さんが身近にいるのは密かな自慢だった。
 いつも笑顔で接してくれる年上の女性に淡い恋心を抱くのは当然であろう。

 初恋の相手は誰かと聞かれたならレンはまっさきに彼女を思い浮かべるだろう。
 自分に良くしてくれる実咲との他愛ない会話は思春期の彼にはとって刺激的だった。

 実咲はすでに成人しているが童顔で、彼女の妹と比べたら身長も高くない。
 中学生女子と言われれば大抵の人は信じてしまうだろう。

 そんな実咲に、クラスの女子とはぜんぜん違う色気をレンは感じてしまう。
 美しくて可愛らしい自分だけのお姉さんを独占する時間が彼は好きだった。



 だがその日、普段と違う様子のミサキを見てレンは目を大きく見開いた。

「あ、レンくん! 久しぶりね。元気してた?」

 部屋に通されたレンが目にしたのは大人っぽい女性だった。
 髪をアップにして薄化粧をしている実咲。
 白のブラウスと紺色のスカート。 リクルートスーツなどという言葉はレンの頭の中には存在しない。
 控えめなのに色っぽく、それはまるで彼が通っている学園で見かける美人教師。
 いや、こんなに美しい教師は彼の学校にも存在しないだろう。

「なっ、どうしたのミサキねえちゃん、いつもとぜんぜん違うっていうか」

「うふふ、ありがと。でもそこはいつもよりキレイって言ってくれないと!」

 ケラケラ笑いながらミサキがそう返すとレンは少しだけホッとした気持ちになる。
 服装は違えどいつものミサキの表情だ。


「もしかして今日はどこかいくの? いつもみたいにパーカー着てないし」

「ううん違うよー。どこもいかないけど、明日から教育実習だからね! 着ていく服をチェックしてたの」

 教育実習。そう言えば実咲は大学生で、そろそろ就職なども考えなくてはいけない時期なのだ。
 そこまで言われれば洞察力に乏しいレンでもわかる。
 それと同時に淡い期待を抱いてしまう。

「その実習ってもしかして僕の学園に来てくれるの!?」

「クスッ、それはどうだろうねぇ~」

 ベッドの上に腰掛けて実咲は意味深な笑みを返す。
 彼の質問には結局最後まで答えてくれなかったが、大人っぽい印象の彼女と話しているだけでレンはいつもより胸がドキドキして満足だった。



 翌日の午後。レンは少し落ち込んでいた。
 ミサキが授業に現れなかったからだ。

 不安になって休み時間に担任の教師にも尋ねてみた。
 すると教育実習生が来る予定はしばらくないと言われた。

 どうやら実咲は他の学園で実習をするらしい。
 それならそれで昨日教えてくれればよかったのに。

 少し不機嫌になりつつも、十分ありえる展開だというのにそこまで頭が回らなかった自分に腹が立ち、あらためてため息を吐いてしまう。

(あーぁ、ミサキねえちゃんの先生姿を見てみたかったなぁ……)

 その日の放課後、彼の足取りはいつもより少しだけ重かった。



 次の休日、レンは実咲に会いに行くことにした。
 お隣さんに会いに行くだからそれほど固い決意も必要ないのだが、普段よりも気合を入れて太刀華家のドアホンを鳴らす。

「おばさんこんにちは。おねえちゃんいますかー」

 実咲の母親はいつものようにレンを通し、彼女が部屋にいることを告げた。
 レンはドキドキしながら実咲の部屋をノックする。
 だが反応がない。

 数秒間待ってから静かに部屋の扉を開けると、実咲はベッドの上で静かに寝息を立てていた。
 パーカーとハーフパンツ姿の無防備な横顔を見ながらレンはホッとする。
 実咲と話ができないことに物足りなさを感じるが、疲れている実咲を叩き起こすのも良くないと思ってそのまま寝かせておくことにした。

 次の日もレンは実咲に会いに行くが、今度は運悪く外出中であった。
 結局レンが実咲に会えたのは月曜の朝だった。

「あら、おはよう! レンくん」

 白いブラウスと紺色のスカート姿で爽やかに微笑む実咲を恨めしそうに睨むレン。

「ねえちゃんおはよ……昨日はどうしていなかったの?」

「教育実習中だからね! カフェで一人で課題に取り組んでいたんだよ。
 私そんなに頭がいいほうじゃないからお休みの日も勉強しないと間に合わないの」

「ふぅん。頑張ってね」

 そっけなくレンはそう告げて実咲に背を向けた。
 本当はもっと話をしたいのに遠慮してしまうのには理由があった。

 先週のことである。彼は学園で噂話を耳にしたのだ。
 うかつにも友人に実咲のことを話してしまったばかりに余計な話を聞かされた。

 その内容は教育実習期間中、担当の教師と実習生が付き合ってしまうであるとか、試験に合格して教師になると自宅から離れた地方に転勤させられてしまうとか……レンにとっては不安が募るありがたくない話ばかりだった。


(ミサキねえちゃんには先生になってほしいけど、会えなくなるなんて嫌だ!)

 次の土日までが長く感じる。
 でも彼は不安と戦いながら平日を過ごし週末を迎えた。
 土曜日の昼過ぎに実咲を訪ねると、実咲だけでなく誰一人居なかった。

 何度かドアホンを鳴らしてから肩を落とし、仕方がないので家の前で待つことにした。
 天気はどんよりと曇っていてレンの心の中を映しているようだった。

 一時間以上そのまま空を見上げていたら、こころなしか肌寒くなってきた。

 ポツリポツリと雨粒がレンの髪を濡らし始めた。
 そう言えば午後から雨が降る予報だったとぼんやり考え始めた頃、彼の前に傘を差した実咲が現れた。


「レンくん? どうしたの。もしかして、ここでずっと待ってたのかな」

「おねえちゃん……おかえりなさい」

 見上げた先に待ちわびていた彼女の顔があり、レンは思わず微笑んだ。
 実咲にはその表情がとても悲しげに見えたかもしれない。

(よかった、いつものミサキねえちゃんだ……)

 今日の実咲はスニーカーにデニムのスカート、そして赤いパーカーを羽織っていた。
 髪もいつもどおりひとつにくくっているだけのシンプルな装いだ。

「やだ、うち誰も居なかったの? レンくんのおうちで待っててくれればよかったのに」

「……それだとまた会えなくなると思って」

「ちょっと、濡れてるじゃない。風邪引いちゃうよ! 早く中に入って」

 少し慌てた様子で実咲は家の鍵をガチャガチャと開けた。
 その小さな背中が振り返って彼の手を引く。

(ミサキねえちゃん、やっぱりやさしいなぁ……)

 心が温まってくると同時にあの噂話の不安が蘇ってくる。

 こんなに優しくて可愛い実咲のことを他の男性が放っておくことはないだろう。
 教育実習先でも人気ものになってるかもしれないし、うわさ話みたいに担当の先生と仲良くなってるかもしれない。

 それ以前に自分が知らないだけで彼氏がいるのかもしれない。
 レンは生まれてはじめて溢れ出す嫉妬心に押し流されていた。

 無意識に実咲の手を強く握り返してしまう。
 すると彼女もそれに応えてくれた。それが嬉しくてたまらなかった。


 手を引かれたままリビングでソファに座らされ、少し待っていると目の前にマグカップが置かれた。

「レンくん、ココア好きだよね? ほら飲んで。体があたたまるよ」

「……」

 青いのが自分で、赤いのが実咲。
 少し離れて置かれているカップを近づけたくなる。

 出されたココアをすすりながらしばらく沈黙が続いた。 実咲はレンの顔を覗き込みながら申し訳無さそうにつぶやいた。


「最近遊んであげられなくてごめんね。実習が忙しくて今日も――」

「……ゃだ」

「えっ」

「おねえちゃんと離れ離れになるのイヤだ!」

 隣りに座っている実咲に向かってレンが急に身を乗り出す。
 実咲は彼をしっかりと抱きしめた。
 レンは実咲のぬくもりを感じながら胸の内を明かす。

「そっかぁ、そんな話をされたんだね」

「うん。ホントかどうか知りたくて」

「私がレンくんを心配させていたんだね……もう、馬鹿ね。
 私はどこへ行ったりもしないよ。実習が終わればいつもどおりの大学生に戻るだけだもん」

 実咲の言葉を聞いたレンの顔がほころんだ。


「ホントに? 実習先で彼氏ができたり、先生になったら遠くに行かされたりしないの?」

「ええー、そんなのナイナイ!
 今は忙しくて彼氏どころじゃないし、遠くに行くのも好きじゃないよ」

 そこまで話してからフッと息を吐いて実咲は小さく言った。


「でも実習中に同い年の男の人から言い寄られたことはあったけどね……んっ、どうしたの?」

 実咲は抱きしめているレンの体が細かく震えていることに気づいた。
 部屋の中は寒くないはずだと気付き、からかうようにレンの耳元でささやく。


「クスッ、もしかしてヤキモチ焼いてるのかな~?
 私に彼氏ができたら取られちゃうとか。ふふっ、さすがにちょっとうぬぼれすぎかしら」

 その言葉が終わる前にレンは実咲のことをソファに押し倒した。

「きゃああっ! レ、レンくんどうしたの急に」

「僕、ミサキねえちゃんを誰にも渡したくない」

「ッ!?」

「おねえちゃんがいないと駄目なんだ。今日までずっと待ってて、それがわかった」

ギュウウウウウッ!

 レンはますます強く彼女を抱きしめた。
 実咲にしてみれば軽い痛みさえ感じる強さだったがそれほど苦痛ではなかった。

 しばらく彼の好きにさせつつ、やんわりと体勢を入れ替えた。


「はぁんっ! わかった、わかったから!」

「ミサキねえちゃん……」

 少し距離を置いたことで冷静になったレンはどうして良いのかわからず視線をさまよわせる。
 その仕草が実咲にとっては新鮮で、彼に対する庇護欲と悪戯心を同時に刺激した。

「レンくんは私のこと好きなんだ?」

「うっ、うん……好き。すごく好き、大好き!」

「じゃあ、もっと私と仲良くなりたい?」

「なりたい!」

「わかった。今よりも仲良くなっちゃおうか。私の部屋に行こう?」

 ゆっくり立ち上がった実咲は、素早く玄関まで行って鍵をかけてから、戸惑うレンの手を引いて自分の部屋へと向かった。







 実咲はレンと二人で階段を登り、部屋に入るとすぐにベッド脇にある灯りをつけた。
 ぼんやりとした白熱球みたいなLEDである。
 カーテンを閉めたままの薄暗い室内に灯る暖かな光のせいで、レンは慣れ親しんだこの空間がいつになく幻想的に思えてきた。

(いつもはミサキねえちゃんといっしょにゲームしたり本を読んだりしてたけど、今日はこれから)

 しかしその先の言葉を、これからの展開を彼はうまく想像できなかった。
 ようやく恋心を抱いたばかりの段階だから仕方のないことだった。

 それよりも彼には気になることがある。
 さきほどは勢いで実咲のことを好きと言わされてしまったがあれで良かったのだろうか。

 おそらく告白したからと言ってすぐにオッケーというわけでもあるまい。
 嫌われてはいないと思うけれど彼女からは自分に対する思いを聞いていないのだ。

(おねえちゃんは僕のことが好きなのかな。こ、恋人みたいに扱ってくれるんだろうか。それとも今まで通りの関係が良いのかな……)

 グルグルと頭の中で疑問がうずまき、レンを苦しめていた。
 どうしたら良いのかわからず黙り込む彼の背中を実咲が静かに抱きしめた。

「レンくん、私と仲良くなりたいんだよね?」

「うん、なりたいよ」

「今までよりも、もっと仲良くなりたいんだよね?」

「うん……でも、どうしたらいいのかわからなくて……」

「そういう時はね、こうするといいよ」

 実咲はひとつ深呼吸をしてから、レンを抱きしめる力を強くした。
 彼女の行動にびっくりしたレンはそのまま硬直する。
 実咲の柔らかな体を背中いっぱいに感じる。
 それがとても心地よくて体から力が抜け落ちていく。

 その場に崩れ落ちるようにして膝をつく。
 実咲はその動きに合わせるように彼を抱きしめ続けた。

「くっついてると心臓がドキドキして苦しくなってきちゃうよね」

「うっ、うん! これ、すごく恥ずかしい……」

「どうして?」

「ミサキねえちゃんが近くて、それで、なんか気持ちよくて……動けなくなっちゃう」

「素直なレンくん、かわいい♪ ここから先は私が教えてあげる」

 呼吸を乱し始めた彼をいたわるようにしつつ実咲は立ち上がり彼の正面へと回った。
 レンはあらためて自分と実咲の距離を感じて赤面した。

 実咲がクスッと笑う。その表情がたまらなく愛しくて胸がいっぱいになる。
 そっと差し伸べられた手を握ると実咲は優しく彼をベッドへといざなう。

 言葉がなくてもどうすればいいのか自然にわかる。
 レンは彼女に導かれるままベッドに腰を掛け、そのまま押し倒された。


「きれいなお肌してる」

 実咲の手が彼のシャツを首までめくりあげ、露出した胸やお腹をそっと撫でた。
 女の子の細い指先が自分に触れているだけでたまらなく心地よい。

「ふああぁぁぁ! み、ミサキねえちゃん……」

「優しくしてあげるからだいじょうぶ。静かに感じて?」

 悶えるレンに向かって微笑む実咲がおでこをコツンとぶつけてきた。
 痛みはない。ただの接触に心が高ぶる。

 彼女のなにげない行動全てが彼を興奮させていた。
 異性に体を触れられた経験など彼には皆無なのだから当然だ。

「あはっ、ごめんね。くすぐったいよね」

 そう言いながらも実咲は手を休めない。
 悶えながら身をくねらせ、必死で声を押し殺すレンを楽しげに観察しながら彼女のいたずらは続く。

(おねえちゃんの手、気持ちよすぎて逆らえない! おかしくなっちゃうよおぉぉぉ~)

 そのまま数分間愛撫が続きレンはすっかり参ってしまった。
 同時に彼が着ていた服も脱がされ、トランクスと靴下を残して全裸に近い状態になっている。

「どんな気分?」

「もうだめ、きっ、きもちよすぎて、うごけない……」

「ふふふふ、じゃあそろそろレンくんも私の体も触ってみようか」

「え、いいの?」

「もちろんいいよ。私も仲良くなりたいから」

 実咲はその言葉の後で、着ているシャツをゆっくりと脱ぎ始める。
 真っ白な素肌とともに現れた薄紫のブラを見てレンはゴクリとつばを飲み込んだ。

 初めて見る女性の、恋心を抱いている相手の下着姿は美しすぎた。
 視線が釘付けになると同時に彼の股間は張り裂けんばかりに膨張してしまう。

「お・い・で レンくん♪」

 両手を広げて彼を誘う実咲。
 少し照れたような笑顔と、初めて見た女性のボディラインの美しさにレンは魅了されてしまった。

 二人きりの部屋で溢れんばかりの色気を浴びたレンは遠慮がちにブラの上からバストを揉みしだいた。
 それは見た目以上に柔らかで、触れた先から指先が沈んでいく。
 パットが入っていないということなど彼にはわからない。

「すごい……」

「ふふっ、何が?」

「ミサキねえちゃんのおっぱい、こんなにエロくてきれいで、やわらかいなんて!」

「ありがとう。でもねレンくん、女の子に触る時はもっと優しくしなきゃ駄目。嫌われちゃうよ」

 そう言われてレンはなにか悪いことをしてしまったと考えて慌てて手を引っ込める。


「ご、ごめん! どうすればいい……?」

 実際のところ実咲は痛みを感じてなどいない。ただ彼をからかってみただけなのだ。

 オロオロする年下の少年をねっとりと眺めながら、自らブラのホックを外してゆく……

(ね、ねえちゃんの胸が!)

 レンの視線は一点に釘付けになっていた。
 ブラが外され、あらわになった実咲の乳首は薄桃色で清らかなものに見えた。

 そんな彼の視線をたっぷり浴びながら実咲は手を背中で組んで胸を軽く揺らす。


ふるんっ

「ッ!」

 レンはその光景を見せつけられて、素直に実咲のバストに触れてみたいと願った。


「エッチする時はね、自分がしてほしいことを相手にしてあげればいいんだよ」

「?」

「レンくんが一番触って欲しいところは……ここかな?」

 実咲は背中で組んでいた右腕を伸ばし、トランク過ごしに彼のペニスを指先でなぞる。
 すでに小さなシミが浮き出ていた部分に人差し指で触れてから、クリっと小さくひねりを加えた。

「んあっ、な、なんで、わかるの!?」

「うふふふふふ、ナイショ♪」

 上半身が裸になった実咲がゆらりと身を起こして、両腕で彼の顔を抱きしめる。

 レンの視界いっぱいに実咲のバストが広がりやがて密着した。
 手のひらで感じた柔らかさの数倍以上の心地よさを顔いっぱいで感じたレンは思わず実咲に抱きついてしまう。

「あんっ、レンくん激しいよぉ」

「はぁ、はぁっ、だ、だって、こんなこと!」

「慌てないで。力を抜いて、私を信じて。気持ちよくしてあげるからね」

 レンを抱きしめ、パフパフ状態を維持したまま実咲は指先で彼の耳や首筋を舐め回す。
 ゾクゾクした快感が彼の全身を包み込むがどうしようもない。
 顔全体をおっぱいに擦りつけたままレンは未知の快感に身悶えする。

「例えばこうやって、優しく手のひらで……」

 首筋から肩、背中を撫で回す実咲の手がレンをますます興奮させた。
 自分の胸に溺れ、すでに恍惚とした表情の彼を見ながらゆっくりと上半身すべてを攻略してゆく。
 脇の下から腕を通して密着したまま首筋にキスをしたり、左右の腕を丹念になで上げてからの恋人握り。

「全身を撫でられたら気持ちいいよね?」

 もはやレンは答えられない。
 実咲に顔を覗き込まれ、探られるような視線に対しても恥ずかしすぎて正視できなかった。

(ミサキねえちゃんの手が、気持ちよすぎて何も考えられないよぉ……)

 身動きできなくなった彼をベッドに横たえ、実咲は彼のトランクスを脱がせてしまう。
 ペニスはすっかり仕上がっていた。
 実咲からの刺激を待ちわび、彼のお腹に張り付かんばかりに膨らんだ肉棒を見て彼女が笑う。

「少しいたずらしちゃおうかな~」

クチュッ……

 手のひらに唾液を垂らしてから実咲は震える肉棒の先端を優しく包みこね回す。
 力をほとんど加えずに軽くひねりこむだけの手コキだがレンに対しては効果は抜群だった。

 すぐにくぐもった声を上げて腰をモジモジとくねらせ始める。
 その様子が可愛くてたまらない実咲はさらに手コキをエスカレートさせた。

 指先で輪っかを作って先端をくぐらせ、皮を優しく剥いてしまうとピンク色の亀頭が露出した。
 そこへ顔を近づけて先ほどと同じように唾液を垂らす。
 そして敏感な亀頭には触れず、唾液の表面張力を使うような刺激でますます彼を追い詰めていった。

「あっ、ああああああああああああーーーー!!」
「敏感なおちんちんが女の子の手のひらに包まれちゃうね」
「やめてっ、は、はずかしいよおおお!」
「ちゃんと見てて。こうされたら我慢できなくなっちゃう? ふふっ、恥ずかしいかな~」

 言葉責めを交えながら年下の少年を開発してゆく。
 反対の手で睾丸を包み、ヤワヤワと刺激しながら性感を高める。
 今度は先端ではなくカリ首より下を重点的に責めだした。

 数分前とは異なる刺激に悶えるレン。
 今回は自分でするオナニーによく似た刺激だから少しは耐えられそうだと最初は感じていたのだが――、

(な、なんでっ!? こんなにきもちいいの、はじめて、あ、あああ、やばいっ!)

 スベスベした女性の手のひらにたっぷり垂らされた唾液のせいで我慢が効かない。
 極上のローション手コキに似た実咲のテクニックのせいでペニスが一回り太くなってしまった。

「も、もうやめ、はずかしいっ、ミサキねえちゃんっ」

「ふふふふ、そうなんだ? でも気持ちいいでしょ。
 レンくん、このままもっと恥ずかしくなっていいんだよ……
 私もいい感じに興奮してきちゃったから、もっと気持ちいいこと教えてあげるね」

 実咲は立ち上がってレンの腰をまたいで見せつけるようにショーツを脱ぎ始めた。
 その小さな布があっさり脱ぎ捨てられ、自分の顔の脇にパサリと落ちてきた時になってレンはこれから何が起きるのかを把握した。


「ま、まさか……」
「うん、卒業しちゃお? レンくん。私のアソコでおちんちんを包み込んでギューってしてあげる」

 実咲がゆっくりと腰を落としてきた。
 その真下にあるのが膨らみきった自分のモノであるとレンもわかっていた。

「私とひとつになれるんだよ」
「えっ」
「大好きな人とぴったりくっつくだけじゃなくて、
 心の中や体の中まで入り込めたら気持ちいいと思わない?」

 美咲はゆっくりと諭すようにレンの頭の中へ言葉を染み込ませてゆく。
 緩やかな口調だがその内容は生々しく、思春期の彼の想像力を超えた淫らな欲望を含んでいた。

(お、おねえちゃんとひとつに……包み込まれたら、気持ちいいのかな)

 美咲の中に自分の一部が入り込むことに興奮してしまう。

 性的な知識が乏しいレンでもわかる。自分はこれから童貞を捨てるのだ。
 しかも大好きな実咲によって。

「まずは気持ちよくなるおまじない♪」

 実咲が片膝をついた。ピンク色の膣口がレンの先端に迫っていた。
 剃毛済みの実咲の秘所にレンの視線が釘付けになる。

「私のここでおちんちんをペロンってしちゃうね」
「え、えっ、えええっ!」

ニュルルル~~~~ッ

 パックリと開いて潤っている実咲自身にペニスが触れた途端、彼の背中がビクンと跳ねた。

「ふああああっ! はぁはぁはぁ……ああああああああ!!」

クニュウゥゥゥ

 接触してから美咲は軽く腰を捻り、ペニスの裏筋を文字通り自分の膣口で舐め上げた。

「ちょっと刺激が強すぎたかな? ふふふふ……童貞クンだもんね」
「おねえちゃ、きもち、よすぎて……」
「そのまま感じてていいよ。今からもっと深いところまで連れて行ってあげる」

 ちらりと彼を見てから実咲は時間を掛けて腰を落としてきた。

ずちゅ、ずぷっ、ずにゅ……

(あ、あついいいいっ!)

 ペニスが飲み込まれていく感覚が心地よすぎて動けない。
 その上、実咲の膣内はペニスよりも熱く潤っており、先ほど彼がされた手コキよりも格段に繊細で、その上とても淫らで気持ちよすぎた。

「童貞クンのおちんちんすごく、硬い……ッ」
「み、みさきねえちゃんっ、ぼく、僕ッ!」
「んふふふ……ちょっといたずらしちゃおうかな」

クプッ、キュウゥッッ!

「ああああああーーーー!!」

 粘膜だけでペニスの皮が再びむき出しにされ、そのまま包み込まれて締め付けられた。

「これ好き?」

「んう、すき、すきいい、うあっ、お、おねえちゃん……」

 はじめての彼にもわかる極上の刺激。
 敏感なペニスの先端を包み込み、粘膜で愛撫してくる優しさに逆らえない。
 腟内が優しくペニス全体を撫でながら出し入れを繰り返し、焦らしてくるのだからたまらない。

「気持ちよすぎて不安になっちゃう?
 おちんちんはね、女の子に触られたり包み込まれたりすると感じるしかなくなっちゃうの。
 だからいっぱい悶えていいんだよ。レンくんが可愛くなっちゃうところいっぱい見せてね」

 手のひらでレンの顔を撫でながら実咲が言う。
 そうしているうちにペニスの根本までがすべて実咲の膣内へと収まった。

「卒業おめでとう。どんな気持ち?」

「す、すごいよ、ねえちゃんのオマンコの中が、うあっ、また動いてるううう!」

「ふふふふ、ちゃんと感じてくれてるんだね。嬉しいなぁ」

 意識して膣内を動かしながら実咲は愉悦に浸る。
 年下の少年に快感を教え込みながら自分も気持ちよくなれるのだから最高だ。

 硬く尖った少年のペニスが自分を求めて切なく震えているのだ。
 それを独り占めにして、この先も好きにできると思うだけで美咲は絶頂しそうになってしまった。

「女の子のこともっと知りたい? お勉強してみる?」
「うんっ、うん!」
「いいお返事。せっかくだからおねえちゃんの気持ちよさをもっとおちんちんで覚えちゃおうか?」

キュッ、キュウウウ~~

「ふあっ、ああああ~~~っ!」
「まだよ。我慢してね」

 実咲は膣内でペニスの根本を締め上げ、ゆっくり腰を上げていく。
 すると強めになで上げるような感触を残したままペニスが抜けそうになる。
 そのまま抜ける直前まで腰を上げてから今度は一気に急降下。

「はい、ここで……ストン!」

ずちゅんっ!

「んはああああああああああああーーーー!!」

「クスクスッ、まだ出しちゃ駄目だよ~」
「まって、おねえちゃん、まっ」
「だぁめ♪」

キュプウウウウッ!

 再びペニス全体を飲み込んだ実咲は、戒めるように膣圧を高めてカリと裏筋あたりを締め上げた。

「おちんちんコリコリしてて気持ちいいねぇ~?」
「んひいいいいっ! だ、だめ、でちゃう、でちゃうよおおおお!」

 ジタバタともがくようにして実咲に手を伸ばすレン。
 不慣れな刺激、しかも快感に対してこの少年は無防備過ぎた。

「キスしたくなっちゃうね。レンくんの頑張ってるお顔大好きだよ」
「して、して、おねがい! おねえちゃあぁぁん!」

チュッ……

「あ、ふぅ」

 全身がしびれ、特に腰から下はもはや彼女の虜になりかけていた。

「やだ、そんなトロ顔されたら私も興奮してきちゃうよ。しかも可愛い声まで出されたら」

 レンが伸ばした手をしっかりつかみ、指先を絡ませた状態でベッドに押さえつけた。

「少しの間、おねえちゃんが好きに動いてもいーい?」
「うん、いいよ……大好きだから」
「ありがと。じゃあお言葉に甘えて」

クイッ、クイッ、クイッ!

「うあっ、ああっ、あああーーーー!」
「おちんちんを抜くときは力を抜いて、もう一度差し込むときだけオマンコを締めてるのわかる?」
「わかるっ、なにこれ、なんで、こんなことっ」
「もっと気持ちよくなってね」

 健気に我慢する彼の顔を眺めながら幾分緩やかに腰を捻ってやると今度は可愛らしく悶え始めた。
 実咲はその声を聞きながら自分自身も絶頂することを考え始めている。

「あんまり焦らすのも可哀想だから、これでおしまいにしよっか? えいっ」

ずりゅんっ!

「あっ、ああ、うあああああああああっ!!」

 そしてもう一度、限界まで腰を上げてからの急降下。
 抜け落ちる寸前から膣内への再入場を強制されたペニスはもう耐えられそうにない。

「強めに締め付けたらもう出ちゃうよね。ふふっ、じゃあ……」

 必死の形相で快感に耐える彼に向かって実咲は囁いた。


「レンくん、私とキスしようよ。さっきよりも激しくて、甘くとろけちゃうやつ」

「え……」

「ファーストキス、ちゃんと奪ってあげるよ。だから……私とキスしながら、オマンコにぎゅーってされて気持ちよくなって、イっちゃお?」

 すぐにでもキスができる距離での誘惑に、レンの忍耐力が決壊してしまった。

「で、でるうううううううううううううううーーーー!」

「あ、もうだめ? じゃあキスしちゃうね」

チュッ、ジュルルルル、プチュ♪

(おかしくなる、こんなの、おねえちゃんのことしか、あたまに……!)

 口づけをされ、ペニスを深く飲み込まれ、全身をきつく抱きしめられながら少年は思う。
 自分の大好きな実咲と一つになっていることに。
 心を重ね、体を飲み込まれ、憧れの女性に包み込まれている幸せを全身で味わい尽くす。

ビュクンッ、ドクンッ、ビュルルルッ!

 気づけば彼は射精していた。
 あまりの心地よさに脳が耐えきれず、実咲に抱かれながら失神しかけていた。

「あはっ、すごい量……そんなにキスしたかったんだ?」

「ふ、あぁ……おねえ、ちゃん……」

 視線をさまよわせるレンを抱きしめ、彼の両頬に手のひらを添えながら実咲が笑う。

「ちゃんと最後まで出せたから、ご褒美あげる」

チュッ♪

 天使のような微笑みで彼に優しくキスをすると同時に、

クチュウウウウウウゥゥゥゥ……

「んっ、んふううう!?」
「ふふ♪」

 膣内で震えるペニスを甘く弄んでみせた。
 腕の中でクタクタになった彼を抱きしめながら、ミサキは何度もキスを繰り返す。

 すっかり大人しくなった彼を見つめながら彼女は言う。

「赤ちゃんみたいに甘えてる。
 かわいいなぁ♪……レンくんの初めて、いっぱいもらっちゃった」

 こうして初体験の相手としてはこの上ない彼女に犯されながらレンは童貞を卒業した。







 それから約一時間後。

 実咲に添い寝されながら、落ち着いた頃にレンが口を開いた。
 その表情には決意がみなぎっていた。

「ミサキねえちゃん、さっき僕がヤキモチ焼いてるって言ってたでしょ」

「うん、言ってた」

「これから僕はもう誰にも嫉妬しないから」

 怒ったように言い切る彼に対して今回は実咲が慌てた。

 少しやりすぎてしまっただろうか。
 もっとソフトに初体験させるべきだったのではないか。
 後半は自分の性癖に従って翻弄してしまったのは失敗だったのではないか。

「え、えっ、やだよ! もう妬いてくれないなんて」

 ミサキは慌てる。半泣きになっていたかもしれない。
 これからもご近所同士付き合っていかなければならないのに早まったのかもしれない。

 だがレンは構わず続けた。


「もう決めたんだ。誰よりも僕がミサキねえちゃんに似合う彼氏になるって」

 そしてレンは彼女に向き直り、真顔のまま思い切り抱きしめた。
 彼にしてみれば照れ隠しの延長でしかない行為だが、今の実咲に対して効果は抜群だった。


「や、やだ、このタイミングでそんな言葉を……
 そんなこと言われたら、ずるいよレンくん、私本気で好きになっちゃう!」

 薄っすらと涙を浮かべながらミサキは震えていた。
 年下の彼からこんな男らしく告白をされるとは思っていなかったのだ。

 いつまでも年下で可愛い男の子だと思っていたレンがいつの間にか男になっていた。

「もっと僕、しっかりするから。もう少しだけ待っててね。ミサキねえちゃん」

「……待てないよ」

「えっ」

「だってレンくん、すごく格好良いよ。
 もう他の女の子には渡したくないから今すぐ私を彼女にして!」

 思いがけず意中の相手から告白されたレンはパニックになるが、今度は実咲は彼が首を縦に振るまで抱きついて離れようとしなかった。



『教育実習期間を終えた童顔の女子大生が年下のショタ彼氏を作ってしまうお話』 (了)










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