『年末に元カレの部屋に乗り込む美少女は少し勘違いしすぎるようです』
年の瀬も迫ったある日、谷月海奈【やづきみな】はスマホの画面を眺めながら難しい顔をしていた。トレードマークの可愛いポニテが不機嫌そうに揺れている。
「既読がつかない。もしかして風邪引いた? それとも無視?」
もともと感情表現が乏しい彼女は独り言も淡々とつぶやく。
メッセージの送り先は舵谷虎治【かじたにこうじ】という彼。いや、元カレ。
もやもやした気持ちのまま海奈は立ち上がり着替え始める。
そして虎治のいる部屋へ乗り込むことにした。
一緒に食べるお菓子を忘れずに。
☆☆☆
ガラッ
いきなり俺の部屋のドアが開いた。何が起きたのか把握できない。
眼の前にいるのは別れたはずなのに頻繁にうちへ遊びに来る元カノ。
そのことについてはもう慣れたのだが、どうも様子がおかしい。
表情は普段と変わらないんだが不機嫌というか。
俺にしかわからないのでうまく説明できないのだが。
「海奈!? どうしてここに」
「ごめんください。失礼します、これ食べる?」
あ、ポッキー持参か……いつもどおりだな。
俺の質問を無視して勝手に俺の隣に座ってきたけど無言。
いつにも増してマイペースすぎないか?
「……」
しばらくお互いに無言。だめだ、やっぱりわからない。
こいつはいつも俺に対して言葉が足りないんだけど、二人でいるうちになんとか解決してしまうあたり付き合いの長さを感じないわけでもないが。
「センパイ、もしかして風邪引いた?」
「いたって健康だが?」
「あっ、そう」
少しだけ表情が緩んだ気がする。
いや、変わってないか。顔つきで判断してはいけない。
これは比較的やばい状況だと思う。早急に何とかしたいと考えてるうちに、海奈が突然上着を脱ぎ始めた。
「お、おい待て、いきなり脱ぎだすんじゃない! せめて事情を話せ」
「却下。今年もあとわずか」
「言われなきゃぜんぜんわからないぞ!?」
「問答無用。やっていいこととわるいことがある!」
少しムッとしながら海奈はシャツを脱ぎ去ってしまう。
ふよんっ
目の前で柔らかそうに胸が揺れる。
春先までFカップだった形の良いバストは順調に成長しているように見える。
(いや、そうじゃない! こいつの気持ちを聞き出さなきゃ、いけない……ぅお)
揺れる美乳に目を奪われているうちに、彼女がずいっと迫ってきた。
顔が極限まで近い。海奈の前髪が鼻先に触れるくらいに。
「……センパイ、どうして素直に言ってくれないの」
「は?」
「元カノがここまでしているというのに」
「待て、素直さについては俺よりもお前のほうが、問題だと思……うぷっ!?」
目の前が真っ暗になる。
そして暖かくて柔らかいものに顔が埋め込まれた。うん、これは好き……
「たしかに私も最近優しくなかった。ごめんね」
後頭部を抱かれ、ギュッと押さえられた俺は呼吸すらままならぬままフルフルと首を左右にふる。自分でも情けないくらい弱々しい抵抗だと思う。
「フニャってなったね。やっぱり甘えたかったみたい」
どこか満足そうな声が頭上に降り注ぐ。自分の部屋で可愛らしい美少女に抱かれていると思うとドキドキしてしまう。少し汗ばんだ彼女の肌はとても肌触りが良くて、このままずっと顔を埋めていたくなるほど魅力的だ。
(うっ、これじゃいつもとおなじ流れに……ああああーーーっ!)
股間に快感がじわりと滲み出す。
海奈の手がペニスを優しくつかんだ。
俺の股間をサワサワと撫で始め、彼女はつぶやく。
「こっちはどう? フニャってしてたら怒るけど」
(やめろ、今の俺に、優しくするな……気持ち良すぎて、駄目だ……!)
じつはバストに顔を埋められた時点でムクムクと膨らみ始めていた。
それが手のひらの刺激によって決定的なものになる。
「ふふふ、大丈夫みたいだね~。元気ないい子、いつもみたいにしてあげる」
俺の顔を抱いたまま海奈は手首を返し、逆手でペニスを刺激し始める。
甘くしびれるような快感が急激に増大していく。
柔らかなバストの中で呼吸を乱せばより深く彼女の体温や匂いを味わってしまう。
甘ったるい蜜のように俺の中で彼女の香りが広がり、ますます抵抗できなくなる。
海奈の指先がソロリソロリと肉棒の先端をくすぐり、特に裏筋周辺を念入りに刺激して俺を喜ばせにかかってくる。
「んうっ、うあああ、み、海奈ぁ……どうして……ふああ!」
かろうじて顔を上げた俺に向かって彼女が微笑んだ。
「センパイは黙ってエッチな声を出してればいいと思う」
そしてまたぐいっと自分の胸に俺を埋め、魅惑の手コキが再開する。
胸の柔らかさと指先が紡ぐ快感を同時に味わわされるとどうにもならない。
小さくうめきながら俺はその指さばきを受けるしかなかった。
やがてため息をひとつ吐きながら彼女がつぶやいた。
「素直じゃない彼氏を持つと困る……きっと来年も同じ」
おっぱいの間で呼吸するたびに俺の頭の中が彼女で満たされていく。
艶めかしい肌の感触と芳しい香りが濃縮され、俺を惑わす。
「もっと私に甘えていい。手のひらの虜になって、センパイ」
俺は再び胸の中で弱々しく首を左右に振るが、彼女はお構い無しで手コキとぱふぱふを継続する。我慢汁で彼女の手がますます滑らかに動くようになると、そっと俺の顔を持ち上げてキスをしてきた。
チュ……
(ああああぁぁぁ……柔らかい、気持ちいい……)
軽い口付けだけで心がほろりと溶けていくようだった。
海奈はゆっくりと俺の目の前に乳首を差し出し、吸うように促してくる。
「おっぱいも吸わせてあげる。ほら、遠慮なくどうぞ」
「ううううっ!」
桃色の乳首に舌を這わす。清らかで上品な暖かさに触れると、もう俺は自分を止めることが出来なかった。
チュ、チュプ、チュパ……
感触を確かめるように懸命に吸いまくる。母乳が出るわけではないとわかっていても繰り返してしまう。心が乱されて我慢できない!
「んふ、くすぐったい。赤ちゃんみたい」
片手でぎゅううっと俺を抱きしめながら海奈は手コキを続ける。
下半身から力が抜け落ちていく感覚に耐えきれず、俺はますます強く彼女のバストに夢中になる。
「いっぱい吸ってくれてありがとう。お礼にこっちを甘やかしてあげる」
先っぽが手のひらでふわりと包み込まれ、クニュクニュと弄ばれている。
ときどき指の先がカリ首をコチョコチョとくすぐっているのもわかる。
(ああああぁぁぁ……)
魅惑のバストに溺れながらの手コキはより深く俺を快楽の淵へと誘う。
腰が勝手に動き出すのを止められない。
年下の彼女にしがみつくようにして終わりのない快感にたゆたう。
「私の手はセンパイが気持ちよくなるところをたくさん知ってるよ?」
男にしてみれば途切れない誘惑にさらされ続けているのと同じで、いわば抜け出せない監獄。しかもたっぷり魅了されているから自分では抜け出せない。
やがて全身に震えが広がって蕩けるような感覚に包み込まれた。
腰から下が異常に熱くなり、射精が近いことを知らせてくる。正気が保てない。
ジジ……
海奈の指先でファスナーが降ろされ、肉棒が完全に露出した。
すでにパンパンに腫れ上がり先端からしずくを溢れさせている状態のペニスに最後の仕上げがされようとしていた。
「ちょんっ」
「んふううううううう!!」
いたずらっぽく指先で亀頭が弾かれた。気持ち良すぎる……
「センパイ、そろそろ限界? じゃあイって」
ぎゅっ……
「ッ!?」
やわやわと焦らすように撫でていた手つきから一転して、海奈の手コキが俺を確実に射精させるためのしごきに変化した。
待ち望んでいた瞬間ではあるが、一方的に年下の彼女に導かれることについて抵抗がないわけではない。助けを求めるように強く乳首に吸い付くが、それも逆効果だった。ますます興奮が高まり、ペニスがギンギンに張り詰めてしまう。
「いいい、い、イくっ、海奈、あああぁぁぁーーー!」
「おいで、センパイ♪ 私の手に出して」
その囁きがトドメとなった。
ビュクウウウッ!!
海奈の優しさを感じながらの射精。
清らかなおっぱいを口に含みながら、何度も寄せては引いていく終わりのない快感の津波に狂わされる。
大量の精液が彼女の手の中で絞り取られてゆく。
収まらない精液がゆっくり彼女の腕を伝う。
パンツの中で射精させられなかったのは幸運だった。
チュ……
(センパイだいすき♪)
彼女に抱かれ、おっぱいを味わいながら気を失うほどの快感に揉まれているうちに、どこからか頭の中に海奈の声が染み込んできた。
それから数分後。
興奮が収まリ始めた頃に、俺の髪をなでながら彼女が言う。
「気持ちよかった?」
「う、うん……」
なぜいきなり射精られたのか未だにわからないまま首を縦に振る。
彼女を見上げると入室当初の機嫌の悪さがきれいに消えていた。
相変わらず俺は海奈の胸に抱かれたままだ。
「これからは素直に甘えて欲しい」
その言葉はどこかさみしげだった。
理由はわからないけど、俺は彼女を抱き寄せ優しく唇を奪った。
チュ……
突然のことに目を白黒させて戸惑う彼女。だがこのキスは正解だった。
「あっ、だめ、ずるい……んっ、はぅ……」
チュ、チュッ、チュウゥゥ……
何度か口づけを繰り返す。
すると今度は彼女のほうが脱力してしまった。
ちょっと嬉しい。俺にしてみればリベンジ成功といったところだ。
「俺はお前を寂しくさせたか?」
「ん」
「お前はもう少しはっきりと気持ちを伝える努力をだな……」
俺がそう言えば、海奈は抱きしめられた腕の中で恥ずかしそうに俯いた。
「既読スルーはダメ。」
「してないが!? あ、スマホは電池切れだったわ」
「とにかくすぐに返事しないと駄目。あと浮気も駄目」
「浮気って何!?」
俺ら一応別れてるんですけど。
でも、駄目なんだろうな。
俺だって海奈が他の男といるところは考えたくないし。
「モテる男は細かいところは気にしない」
「お前が思うほど俺はモテないんだが!? そういうお前こそ、どうなんだよ……」
「がんばる」
「何を!?」
耳まで真っ赤になって短く答える彼女をもう一度抱きしめる。
少し遅れて海奈が俺の腰に手を回してきた。
とりあえず今はこれでいい。
海奈の機嫌は完全に治ったみたいだから。
来年はもう少し素直になれたらいいなと思いつつ、窓の外を見ると静かに雪が舞い始めていた。
(了)