【実に簡素な登場人物の紹介】

神山紅葉(=クレハ) 赤っぽい髪 元気 性欲旺盛 実は一途 純愛乙女

野原秋生(=アキオ) 黒髪 冷静 おっぱいに弱い 独占欲強め 束縛男子


【以下本文】



『不可侵カップル ~スポーツの秋~』



 昨日は運動会だったので今日は振替休日。ありがたいもんですな。
 しみじみと適当に雲が散らばる秋空を眺めている俺の隣で、じっとしていられない性格のクレハが大声で言う。

「アキオ、セックスの秋だよ!」
「スポーツだろ。あと声のボリュームもう少し落としてくれ」

 即座にツッコミを入れる。まともに返してはいけない。
 近所から通報される前にピシャッと窓を閉める。防音設備、無し。

 何故こいつが俺の部屋にいるのか。
 これまでも時々尋ねてみたのだが、いつも同じ答えしか返してこない。

 「幼馴染だから!」の一点張りである。
 それでいいのか。おかげで最近では俺から口にすることもなくなった。

 神山紅葉【かみやまくれは】と俺、野原秋生【のはらあきお】は生まれた病院からして一緒だった。親同士もなんとなく仲がいい。普通はどこかのタイミングで関係が途切れるものらしいが腐れ縁にもほどがある。

「お前さ、なんで俺の前ではいつも発情すんの?」
「してない!」
「はぁ……」

 どうやら自覚はないらしい。
 学園ではマジメな印象を振りまいてるのに。
 思春期って個人差があるんだね。

 普通は恥という感性が働いて隠したくてたまらないはずの性欲をこいつは全然隠そうとしない。俺の前だから? そんなの理由になってないし。

 美少女の皮を被ってるけどこいつ本当は男なんじゃないか……と疑った時もある。
 ただ俺がそれを口にしたらいきなりシャツを脱ぎ始めたので慌てて止めた。
 内面を問いただしているのだからもっと理性的に行動して欲しい。見た目はともかく思い切りが良すぎるので、やはり思考が男子よりなのではないだろうか。

「ひどい哀れみの視線を感じる!」
「そういうのには意外と敏感なのな」

 冷ややかに返すと眉を吊り上げたクレハがビシッと人差し指を俺にさしてきた。

「アンタ絶対おかしいよ!」
「お前には絶対に言われたくない」

「こんなにかわいいアタシが誘ってんのに全然なびかないじゃん!?」

 プンスカ怒りながら持参してきたお菓子をバリバリ食べ始める彼女。

「……そういうところだと思うぞ」

 俺はこいつに誘われていたのか。
 残念ながら色気がなさすぎて気づけなかった。
 これでもう少し恥じらいとか女の子らしさがあったら……と思う瞬間が多い。

 見た目はたしかに可愛いのだろう。男子からの人気も常に上位。
 髪もきれいに手入れしてるし服装もおしゃれなのを研究している(らしい)。
 一緒に連れて歩いたらおそらく振り向く男は結構いる。俺はしないけど。

「まあ、なんにせよやることはやるよ!」

シュルシュル……パサリ……

「何してる」
「脱・衣・だ・よっ♪」
「見りゃわかる。その理由を問うている」
「セーックス!」
「さわやかな口調で普通じゃないこと言わないでくれる?」

 子供がお風呂に入る時みたいに鮮やかに服を脱ぎ去るクレハ。
 ショーツと靴下だけを残してる辺りこちらの好みを知り尽くしてる。

 ところでここは俺の部屋なんだけど?

「アタシしってるんだからね。アンタは押しに弱い」

ぷるんぷるんっ!

「む……!」

 見事な形のおっぱいも本体に合わせて偉そうに揺れまくる。
 こいつまたでかくなったんじゃないか。

(押しに弱いか……まあ、そうなんだけど……)

 とりあえず目のやり場に困る。
 文句無しでおっぱいは男を興奮させる。

 それも至近距離で揺れながら……さらに近づけてきた!

「むふっ……おりゃっ、おりゃっ!」

ふるんっ!

「相変わらずグイグイくるね。ポーズ決めるな、褒めてない」

 冷静に、慌てずに、話せば分かる。
 今日もそのうち諦めて服を着るはず。

「どおよ! しっかり見なさいよ、薄目開けてないでさぁ」

「そう言われてもなぁ……」

 まともに見たら持っていかれる(理性が)。
 だから少しだけ見てる。

 やがて心頭滅却中の俺の前でおっぱいの揺れが止まった。

「もー……やっぱダメ? 本当はアタシかわいくないのかな……」

 急に自身なさそうな声を出すクレハ。
 思わず彼女の顔を見る。みてしまった。

(こいつ、涙まで浮かべて……)

 おそらく無意識だろうが、クレハの表情が切なく変化していた。
 今の彼女を見ていると守ってやりたくなる。

(恥ずかしくない訳がない……こいつなりに一生懸命だったのに俺ってやつは)

 不意に訪れた胸がキュウウウっと締め付けられる思い。
 こうなると駄目だ。
 俺のほうが我慢できなくなる。

 気づけば俺は彼女を抱きしめていた。

「きゃあああぁぁぁ!? どしたの急にっ」

「泣かせてごめんな」

 そしてまた抱きしめ直すと、今度は彼女の腕が俺の背中へ回った。

「……えへへ、いいよ」

 そのひとことが可愛らしく感じてたまらない。
 笑顔になったクレハを抱きしめながらベッドの上に転がす。

「ア、アキオ……?」

「お前から仕掛けてきたんだ。文句言うなよ」

 頬を赤く染めて戸惑う様子の彼女は数秒前より儚げで魅力的だった。
 軽く口づけする。

「はぅ……ずるいよ……今のキス」

 うっとりとこちらを見る彼女。
 ほぼ全裸のクレハの手首を押さえ、俺は天井を向いた乳首をそっと口に含む。

「あはぁんっ!」

 ビクッといい反応をする彼女。
 知ってはいたけど今日も乳首が敏感で弱い。

 少し汗ばんだつぼみは俺の口によく馴染む。
 愛でるように乳首周辺を同じように優しくキスする。
 ゆっくり唇で挟んだ突起をそのまま舌の先でくすぐってやる。

「んっ、ん……それすき……エッチな気持ちに、なっちゃうよぉ……」

 膝同士をこすり合わせるようにモジモジしながら彼女が言う。
 声を震わせて快感に悶える様子はどんな男でも夢中にさせてしまうだろう。

(なんてエロい声をだしやがるんだ…・・・)

 当然俺もクレハの魅力にやられていた。元々顔の作りはいいし、スタイルだって部活で鍛えているから引き締まってて最高だと思う。

 本人は最近太ったとか言ってるけど全然にならないレベル。
 てゆーかどこが太ってるんだ?

 おっぱいを堪能した俺はそのままおへそや腰回りを撫で回し、感じやすい首筋なども責めてみたのだが――、

「はぁはぁはぁ……」
「ん? どしたのアキオ」

 クレハ以上に俺のほうが先に限界に達しつつあった。
 頭の中が彼女でいっぱいになり、ぼんやりしてきた。

 押さえ込んでいた彼女の手首がするりと俺から抜け出した。

「あっ! くそっ……」

「ふふ、もうおしまいですかぁ~」

 自由になった彼女の両手がそのまま伸びてきて、俺の顔を抱きしめて柔らかいバストへと誘う。

ぷにゅ、ぽにゅ、むにゅうううぅぅ!

「んぶっ、んんんーーーーー!!」

「あーもうっ、ジタバタしないの! ここからはアタシのターンだね!」

 クスクス笑いながら彼女は俺の頭を撫でる。
 その手つきがまた心地よくて……俺はあっさり脱力してしまう。

「弱点その2 アンタはアタシに弱い!」

 こつんと指先で俺の後頭部を突くクレハ。
 かなり悔しいのだが気持ちよくて動けない。
 俺は彼女に完全に捕まってしまった。
 魅惑のパフパフの前に俺はろくに抵抗できずにいる。

(きもち、いい、こ、これえええ……やわらか、すぎるだろ!?)

 クレハの言う通り俺は彼女に弱い。
 しかし考えてみて欲しい。
 本当に苦手な相手なら自分の部屋に入ることすら許さないのが普通だろう。
 だけど彼女はここにいる。つまり、そういうことなのだ。

「えいっ、えいっ! 墮ちちゃえ!」

むにゅっ、むにゅっ、ふにゅううん!

(く、そ、駄目だ、力が抜けていく……)

 惜しげなく自分の武器を使って俺を骨抜きにしていく彼女。
 俺はもうおっぱいのことしか考えられなくされていた。
 推定Eカップ以上のバストは毎度のことながら簡単に俺を狂わせる。

「すぐに可愛くなっちゃうトコロが好きなんだよね……ふふふ」

 やがてパフパフしながら体を起こし、ゆっくり体勢を入れ替えてくるクレハ。

「……はぁ、ぷは……かわいいとか、いうなっ!」

 憎まれ口を叩く俺の顔を彼女の手がそっと撫でる。

 やめろ、それすごく気持ちいいんだから……

「アキオってさ、本当に素直じゃないけどアタシを好きでいてくれるんだよ。でもどうせなら始めからおねだりしてくれない?」

 クールなふりなんてしなくていいからさー、と彼女は言う。
 相変わらず俺の体は彼女に抱かれて蕩けたままだが意識ははっきりしてきた。

「……そんなこと、できるか!」

「じゃあさせてあげる。恥ずかしさなんて忘れるくらい甘えさせたげるッ」

 クレハはいったん俺を解放してから、角度を変えて再びおっぱいを押し当ててきた!

ぷるんっ……ちゅぷ……

「うっ」

「ほらぁ、やさしく吸って? アタシの赤ちゃん」

 横抱きにされて膝枕。そして唇に押し付けられたのは乳首。
 何も言わずに俺は彼女の言うとおりに清らかなつぼみを味わい始めていた。

チュッチュッチュッチュ……

(どうして……甘く感じるはずなんて無いのに、吸うと甘くてやめられない……)

「おっぱい、おおきくなったんだよ……ほら、どう……?」

むにゅり。

「むぐ……」

「あらら、力が抜けちゃった。これも弱点メモに入れとこうかなぁ」

 俺を横抱きにして真上からささやいてくる彼女の声と穏やかな笑顔。
 そのダブル攻めは大いに俺の心を甘やかした。

「おっぱい好き?」

「えぅ……」

「ちゃんと言って!」

「す、すきぃ……おっぱい、これ、だめになる……」

「えへへ、ちょっと嬉しいな! うりうり♪」

ぽにゅぽにゅっ!

「あああぁぁぁ……」

 俺に問いかけながらさらにおっぱいで心を甘やかしてくるクレハ。
 すでに股間はパンパンに張り詰めている。それなのに全然触ってくれない。
 そのせいで俺は、彼女が先ほどしていたように疼いた下半身を鎮めるように脚をモジモジさせ始めていた。

「苦しそう。ちょっとかわいそうだから……してあげよっか……?」

「!?」

 そっと乳首が離される。大きくて柔らかいバスト越しに見えるクレハの顔は慈愛に満ちていて、揺れる瞳から目を逸らせない。

「このおちんちん、おっぱいに挟んだらどうなるのか見てみたい」

「ッ!!」

 そう言いながら彼女がペニスの先端をツツーっと撫でた。

「あ、いい反応」

 しっかりと見られてしまったので言い訳ができない。恥ずかしさで目を閉じようとしても、彼女はまた同じ指使いで俺をやんわり刺激してくる。

(き、きもちいいっ、その指でなぞられたらそれだけで……!)

 カクカクと震えだす俺の腰を諫めるように彼女の指の本数が増えてゆく。

「私の手も気持ちいいんだ。こうかな? それともこうする?」

 人差し指で先端をクルクルなぞられるのも良かったが、複数の指でカリカリされると本当に射精してしまいそうになる。そしてどうせならクレハの巨乳に包まれて果てたいという衝動が膨らんできた。

「お、おっぱいで……たのむ……」

 ペニスを弄んでいた彼女の指使いがピタッと止まる。

「ふふっ、やっぱりそーなんだ。いいよ♪」

むにゅうううんっ!

「んぶううううぅぅぅっ!?」

 突然視界が真っ暗闇になって柔らかさで意識が支配された。

(おっぱい、おっぱいが……うあっ、ああっ、腰が勝手に動いて……!)

 刺激が足りなくなった下半身が激しく波を打つ。

 再び目の前が明るくなり、ぼんやりしたままの俺を膝枕から解放したクレハは両足の間に座り込んだ。

 さらにそこから俺の腰を持ち上げ、ベッドと尻の間に自分の足を差し込む。

「あ……あっ、ああああ!」

「おちんちんいじめてあげる」

 しっかりと俺の腰を抱えた彼女は自ら手でバストを左右に開き、しっとりと汗ばみ紅潮した柔肉の谷間で肉棒を包み込む。

「さっきのおねだりかわいかったよ。私の中でもっと感じちゃえ」

グニュウウウウ!

 限界まで張り詰めたペニスを包む圧倒的な柔らかさ。来るとわかっていても回避できない押し寄せる快感に俺は情けないほど喜ばされてしまう。しかも……

「アキオが大好きなことしてあげる」

グニュグニュグニュウウウ!

 彼女は両手でおっぱい操り、肉棒をこね回すように左右から激しくシェイクする。
 顔に押し当てられただけで心が蕩けだす魅惑のバストが容赦なく俺を射精へ導こうとしている!

「あ、ああああっ、だめ、ほんとうにだめえええ!」

「いいよ。だめになっちゃえ♪」

 今、きっと俺はだらしない顔になってる。
 それなのに彼女は全く目をそらさず楽しそうにこちらを眺めている。

 無意識に俺は自分の腕で両目を覆い尽くした。だけど快感は止まらない。

「うああああああっ、いっ、イク! でるうううううう!」

ビュルル、ビュルッ、ビュクウウウ!

「あんっ、すごい量だよ!」

 クレハの声を聞きながら暗闇の中で俺は盛大に爆ぜた。
 胸の谷間で押しつぶされたペニスから何度も何度も精がほとばしる。

 そのたびに俺の頭の中では彼女が微笑み、全裸になったふわふわの体で抱きしめられてしまうのだった……


 数分後、ようやく恥ずかしさも一段落した俺はゆっくり体を起こす。全身の力が抜き取られたみたいに気だるい中、スマホをポチポチしてるクレハに気づいた。

「……さっきから何をしてるんだ」
「ナイショ」

 意識を取り戻した俺を見てにっこり微笑む彼女。

 きっと今日の内容をメモしていたに違いない……いつか隙を見て消してやろう。

「ねえ、もうすぐクリスマスだよ」
「ハロウィン飛ばすな」

 しっかりとツッコんだつもりだが無視される。

「あーそうだね! じゃあその時にまたやろ?」

「やるって、な、なにを……?」

「おちんちんいじめ。今度はもう少し我慢できるようになってよね」

 屈託のない笑顔に俺は呆れた。
 やはりスポーツか何かと勘違いしているようだ。

(俺は少なくとも愛情を持てない相手とは体を重ねたくないというのに)

 急に不安になる。
 クレハは誰とでもこんな事をしたいと考えているのではなかろうかと。

 だとしたら……それは許せない。
 俺が独占するしか無い。こう見えて嫉妬深いのだ。

 静かに決意する俺だが、それが杞憂であることを後日知ることになる。

 不可侵カップル。いつでもどこでも二人の世界を生み出してしまう厄介な奴ら。
 学園内でそんな囁きがされていたのを知らなかったのは当事者である俺たちふたりだけだったのだから。






(了)










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