リクエスト作品 『素直になれないバトルファック』
きっかけは些細なことだった。
俺が通う学園では木曜日の午後を使って何かしらクラスで討議を行うことになっている。
今日の議題は合唱コンクールの曲ぎめだった。
俺、御若ダイキ【おわか だいき】は男子のクラス委員。
女子のクラス委員は二条リンカ 【にじょう りんか】というクソ生意気なやつ。
俺とリンカはいわゆる幼馴染なので、お互いに遠慮はない。
「お前さぁ、今日の司会進行はさすがに強引すぎじゃね?」
討議の時間が終わったので俺は言う。
「はぁ? 何いってんの? 30分で結論出さなきゃいけないんだから全員で意見なんて出し合ってる時間ないの。ダイキのほうこそ、そんなことも理解できないわけ?」
わざわざ大きな声で言い返さなくてもいいのに。
おかげで何人か俺たちの言い合いを眺めに集まってきた。
「俺たちはクラス委員だから公平にしないといかんだろ」
「ダイキのやりかたは面倒くさいのよ。みんなもそう思うよね?」
彼女の言葉にうなずくクラスメイトが数名。その他は沈黙。
ほらね、と言わんばかりのドヤ顔。
こいつ、いちいち俺に逆らってくるし男子も女子も味方が多くて取り巻きがうざい。
リンカはビジュアルがいい。ツインテも似合ってるしスタイルもいい。
それは認める。だが性格が良くない!
「気に入らねえ……リンカ、俺の人生邪魔すんな!」
「ダイキは大げさなのよ。クラス委員の仕事にいちいち人生かけないでくれない?」
フンと鼻を鳴らしながら彼女は言う。
ツインテールの片方を指でくるくると巻きながら。
「だいたいなんでいつもお前と一緒なんだよ」
「こっちが聞きたいわ。不人気男子」
去年は保健委員、その前は体育委員、さらにその前は……俺の隣にはリンカが居た。いや、むしろこいつしかいねえ?!
「ま、まあ感謝はしてる……」
俺がクラス委員をやると決めた時に女子側で手を挙げてくれたのはリンカだけだった。
誰だって面倒くさいことはしたくないものだ。
「めずらしく素直ね。ちょっとだけ褒めてあげる」
「お前はそういうところが駄目だと思うぞ!?」
「前言撤回。アンタやっぱり気に入らないわ」
胸を張って俺を指差すリンカの周りで女子どもがクスクス笑ってる。
こいつら楽しんでやがるな。
「リンカ……今日の放課後に時間とれよ」
「は? デートの誘いかしら、うーれーしーいー」
その棒読みが俺をムカつかせる。
周りの奴らが冷やかしてくるが気にせず言い返す。
「そうだよ」
「えっ……は、はぁっ!?」
リンカが目を見開いたところで釘を刺す。
「ただのバトルファックだけどな!」
「それ部活じゃんっ! もったいぶって馬鹿じゃないの?」
そう、クラス委員だけでなく部活までリンカと一緒なのだ。
だが腐れ縁もこういう時は都合がいい。
公開処刑だ(おそらく誰も居ないけど)。
何が何でも今日はこいつをヒイヒイ言わせてやる。
俺なりに気合を込めて挑戦状を叩きつけたのだが、彼女は冷ややかに言い返してきた。
「第二練習場を押さえとくわ。逃げずに来なさいよ。ダイキが言いだしたんだからね!」
俺にくるりと背を向け、教室のドアをピシャリと閉めてリンカはその場から立ち去る。
「あっ、まてよ! 黒板とか教室の清掃がまだ……おいコラ、リンカアアァァァ!!」
叫んでも戻ってくる様子はない。あいつはそういう性格だ。
「きゃはは、ダイキー、女の子を待たせちゃ駄目だよー」
「そうだよー 早く片付けて二条さんのところへ行きなよ?」
「女子どもうるせええっ、あいつの代わりにお前ら手伝えよ!」
俺がそう言うと女子も男子も蜘蛛の子をちらしたように遠ざかっていく。
薄情者が勢ぞろいだぞこのクラス! 仕方がないので俺は一人で後片付けをするのだった。
それから数十分後。俺とリンカはバトルファック部の練習場にいた。
第二練習場は特別棟の空き教室。
申請さえすれば誰でも気軽に借りられる場所だ。
更衣室へ行くのが面倒なので俺はその場で制服を脱いで白いTシャツと黒のハーフパンツに着替えた。
「あーぁ、性懲りもなくアタシに挑んでくるなんてアンタ馬鹿ぁ?」
「て、てめぇ、ナマイキ言うんじゃねえ! 女のくせに!」
「そのナマイキ女に今日も負けちゃう男のアンタが不憫でならないわ」
練習着に着替えたリンカは片方の手を腰に当てながら偉そうにしている。
(言葉は全部ムカつくけどこいつスタイルいいんだよなぁ)
もともとクセが強い髪を最近ではツインテールにしたせいで一部の男子からも人気急上昇中。
気の強そうな目元、整った顔立ち、口を閉じて黙っていれば文句なしの美少女だ。
真っ赤なタンクトップにグレーのショートレギンス姿、それにオープントゥのヨガソックスも彼女のプロプーションを良く見せるのに一役買っている。
だが今はそんな事を考えてる場合じゃない。こいつをわからせてやる時間なのだ。
着替え終わって柔軟体操をしている俺を見ながらリンカがタイマーをセットし始める。
「1ラウンドで充分よね。どーせダイキのスタミナなんてその程度だし」
悔しいがこいつの言うとおりだ。戦績だけで言うならリンカは俺より上。
時々こうして練習試合をするのだがなかなか勝てないのも事実。
それ故に俺は速攻でかたをつけるつもりでいる。
お互いに体をほぐし終えたところで試合開始。タイマーの文字が動き始める。
「行くぜっ!」
俺はリンカとの距離を詰める。練習用なのでマットは3メートル四方だ。
受けにまわると想定していたがリンカは前に出てきた。
ガッ!
「うおおぉぉっ!?」
「バァ~カ。お見通しよ!」
半歩踏み込んだところで長い足が伸びてきて俺の足を引っ掛けた。
勢い余って前転する俺。そこにリンカから追い打ちの膝蹴り。
「いてええっ」
「いいお尻してるじゃん。アハハハッ!」
前のめりになったところで尻を蹴られて俺はマットの外まで転がってしまう。
鈍い痛みをこらえて彼女の前に立つ。するとやつが手招きしてきた!
「組んであげる」
リンカの余裕顔に頭に血が上った俺は姿勢を低くして突進した。
が、それを待ち構えていた彼女が俺の背中を押して勢いを潰し、俺の右足をホールドしてきた。
「アキレスもーらいっ」
「させるかよ!」
体を回転させて振り払う。体を起こそうとしたところで今度は左腕を狙ってくるリンカ。
(関節技で優位に立とうって作戦か! ぜってー負けねえぞ!!)
俺はムキになってリンカを振りほどき、また絡みつかれては抗い続ける。
その攻防が2分近く続いた。
「最初の勢いはどうしたの?」
「はぁ、はぁっ、お前なんかに……ぐおおおっ」
呼吸を整えたくて様子見に回った数秒後、リンカが正面から肩をぶつけてきた。
なんとか踏ん張ってこらえるが正直かなりキツイ……
手四つの体勢でお互いに呼吸を読み合う。
「もっと体幹を鍛えたら?」
耳元でボソっと囁かれた俺は発奮して指に力を込めた。
しかし押し返せない。逆に彼女の手のほうが力が強くなったように感じる。
「くそおおおおっ!」
グググッ……とゆっくり反り返ってゆく俺の背中。
特に利き腕じゃない左手は完全に押し負けており、肩よりも後ろへ追いやられている。
右手はかろうじてお互いの中間にあるものの動きをコントロールされているようにも感じる。
認めたくないが屈辱だ。女に力負けするなんて!
「今日は頑張るわね、ダイキ」
「ぜってー負けねえ! お前に、リンカなんかに……」
「アンタが負けず嫌いなのは知ってるけど……嫌われるのはイヤ……」
「はっ!? いきなり何を言い――」
「アタシはこんなに好きなのに」
「えっ」
リンカの言葉に俺は一瞬、気が抜けてしまった。同時に彼女が俺の左手を強く引っ張った。
「ふっ、隙ありだわっ、はあああっーー!」
バランスを崩された俺は無意識に左足を出してしまう。それを待ってましたと言わんばかりにリンカはその足を払い、俺の右手を離して自分の左肩を俺の胸に当てた。
柔道でいう「支え吊り込み足」という技に似ていた。
支えをなくした俺はそのまま背中からマットに転がされ、おまけにリンカの全体重を上半身のみで受けることになる。
「ぐほおおぉぉっ!」
運悪くみぞおち付近をリンカの肩で圧迫され、呼吸も乱れ激しく悶える俺。
彼女はすぐに上体を起こし、倒れた俺を横に向けて背中に張り付いた。
「相変わらずちょろいね。こうなればこっちのモノだわ……」
スルスルと蛇のように細腕が俺の首に巻き付き、同じように長い脚が俺の腹に巻き付いて臍の前あたりでロックされた。く、苦しい……胴締めスリーパーというやつだ。
「少し痛めつけておこうかな」
グイッ、グイッ!
「がっ、はぁっ、や、め……ッ……」
スリーパーホールドで首を絞めながら俺の腹を胴絞した美脚でグイグイ圧迫して、肺に残った空気を押し出そうとしてくるリンカ。
数秒も経たないうちの俺はますます呼吸が乱れ、弱々しい抵抗しかできなくなってしまう。
「苦しい? 女の子に力負けして悔しいよね~」
「かっ、は、うがァッ!」
このままだと窒息してしまう。
俺は懸命に右手を伸ばし、容赦なく首に食い込む細腕を外そうとしたが指に力が入らない。
クスッと笑う声がかすかに聞こえた刹那、
「えいっ」
リンカが自分の腕に触れていた俺の右手をしっかりと掴んだ。
片腕で首を絞めたまま俺の手首を掴んでから、スリーパーを完全に解除して、俺の腕を首に巻きつけて強引に後ろに引っ張りはじめる。
「がはああぁぁぁっ!」
リンカの細腕が首から抜けてホッとするまもなく、今度は自分の腕がそのまま俺を苦しめることになる。
「技を抜けようとした自分の腕をアタシに利用されちゃうなんて……まじでザァ~コ♪」
さらに彼女はジタバタもがく俺の左手も掴み、自分の体と俺の背中の間に折りたたむことで完全に動きを封じてきた。屈辱のセルフチョークスリーパーの完成だ。
「このままグイーーーっと!」
ギリリイィィッ!
「おっ、ぶ、はあああああああーーーーーっ!!」
ゆっくりと倒れ込み、自分からマットに背中をつけるリンカ。
そうすることで俺の体は弓なりになってますます苦しくなる。
そのまま一分近くが経過した。
スタミナを搾り取られた俺は動けない。
グロッキー状態の俺の呼吸を感じとったリンカが胴締めを解除した。
(せっかく自由になれたけど、これは、だめだ……)
酸素が指先まで回っていないような感覚。
かろうじて呼吸は確保されているが全く身動きが取れない。
そんな俺の体をリンカは抱き起こし座らせる。背中に回って俺の両手を後ろに折りたたみ、自分の胸と腹で固めたまま両手を前に回して抱きしめてきた。
「おちんちん、おっきしてきた?」
「だ、だれが……お前なんかに……」
フウウゥゥゥゥ~~~
「あはああぁぁっ!」
不意に耳に息を吹き込まれた俺は悶える。
「ふふ、感度良好だね」
右肩に彼女の顎が乗っているのを感じる。
あらためてリンカと密着している現状を感じて不覚にもドキドキしてしまった。
「さあ今からナマイキ女がおちんちんをいじめちゃいますよ~」
楽しそうにつぶやくリンカの長い脚が動き始めた。
そして器用に足の指を使って俺のハーフパンツを脱がせにかかってきた!
ズリッ、ズリリ……
「ああっ! やめろっ、やめてくれええ!」
「却下で~す」
彼女はそう言いながら俺の胸辺りでロックしていた両手の人差し指を少しだけ伸ばして、コリコリと乳首を弄び始める。
(あ、ああああ、なんだよこれ……くそっ、きもちいい……)
細い指先が乳首を弾く。そのたびに俺は小さく喘いだ。
パンツを脱がされている危機的な状況だというのに乳首への刺激のせいで気が散ってしまう。
中途半端な快感と引き換えに俺は抵抗力を奪われてしまった。
「ほ~ら、よしよし……ちゃんとパンツを脱げまちたね~」
あっという間に下半身が丸出しにされてしまった。
しかもペニスはありえないほどパンパンに膨らんでいた。
俺の顔が羞恥で真っ赤に染まる。
「うふっ、ビンビンだねぇ」
「うあっ、ああ、あ……ああ、くそぉぉぉ……!」
ジタバタしているつもりだが全く抜け出せない。
俺をむき出しにしたリンカの美脚がゆっくりと左右から肉棒を挟み込んできた。
「大好きなリンカちゃんに抱かれておちんちんもご機嫌でちゅよ~……」
クニュ、クニュンッ
「ぅくっ……!」
声を出さずにいるのが精一杯だった。
リンカの足の裏はすべすべしてて、どうにも気持ち良すぎる。
しばらく上下に往復していた足の動きに変化が現れる。
ツツゥ……
親指の先を折り曲げ、その先端が裏筋をクチュクチュとひっかき始めたのだ。
「ひあああっ!」
「んふっ、かわいい反応♪」
ちょんっ
背筋を反らせて抗う俺を見ながら、リンカの親指が亀頭の先端にキスをした。
そしてそのままクニュクニュと、親指と人差指が撫でるような動きを見せる。
「気持ちいいならもっと叫んでいいんだよ」
「あっ、足なんかに……俺はっ、負けない!」
「そうかなぁ? アタシにはとっても気持ちよさそうに見えるけど」
リンカの足が再びペニスをはさみ、今度は左右別々の動きを見せる。
ゆっくりと円を描き、自転車を漕ぐように肉棒を愛撫する足コキ。
僅かな時間差でジワジワと快感が積み重なってゆく。
「どんどん抵抗する力が弱くなってきたし。おちんちんはもっと硬くなってるし」
彼女の言葉が優しくなっていた。
俺を締め付ける腕の力も緩くなって、乳首を責める指先も丁寧に快感を紡ぎ出している。
「ダイキの体、感じやすくてかわいい♪」
チュッ
首筋にキスをされた俺はたまらず彼女の名を呼んでしまう。
「はぁっ、く、ああぁ……リンカぁ……俺、もう……」
「いいよ。アタシの足でイっちゃお? 優しくしてあげる」
リンカはその言葉通りに俺のペニスをいたわるように足を動かし始めた。
ソロ~リ、スリスリスリ……
「ああああっ、それ、じれったくて……すごく、いい……きもちいいよぉぉ……」
「これ好きだもんね。でもそろそろ出させてあげる」
ふわふわと俺を刺激していた彼女の足がいったん離れ、そして両足でピッタリとペニスをはさみ直した瞬間、
キュウウ……クニクニクニッ!
かかとから足の指先までが強めに肉棒を擦り始めた!
しかも小刻みに、精液をしたから上に押し出すようにバイブレーションをかけながら。
「どう? 気持ちいいでしょ。アタシの足マンコ」
「ひあっ、あ、あひいっ、きもちいいいいい!」
「先っぽ塞いであげるね? 親指でキスしちゃう」
クニュッ……ピチョッ……
「うあああああああああああーーーーーっ、でるううううう!」
ドピュ、ビュックウウウッ!
さんざん焦らされたあとでの強い刺激に俺は耐えきれなかった。
リンカの親指に邪魔されながら飛び散った精液が彼女の足をわずかに濡らす。
「あ、ああぁぁ、イっちまった……リンカの足で……」
「嫌がってたのにいっぱい出たね」
満足そうに囁きながらも、彼女は揉みほぐすようにペニスの表面をスリスリと撫で続けている。
その刺激は絶妙で、背中を抱かれているせいもあって優しくあやされているみたいに感じた俺は彼女の腕の中で甘く蕩けてしまった。
(うっ……な、なんで……やめないんだよぉぉぉ~)
全身に力が入らずリンカに寄りかかったまま身を任せているうちに再び射精感が込み上げてきた。
くすぐったさと恥ずかしさが混じった感情に俺はたまらなくなり彼女に懇願する。
「やめろ、ほんとに出ちまう……やめろ、ほんとに……!」
「知ってる。だから手伝ってあげてんじゃない。まだ出したいんだよね?」
シュッシュッシュッシュ……
規則正しく刻まれていく快感のせいでだんだん俺の体がこわばっていく。
同級生に羽交い締めにされて悔しいのに快感で塗りつぶされていく。
その様子をリンカは楽しそうに眺め、足の動きに変化をつけてきた。
ヌチュウウゥゥゥ……クニッ、クニッ、クニッ……
「あ、あっ、それ、だめなやつ、だからあああああ!」
「また硬くなってきた……しっかり耐えないとすぐにイかされちゃうよ」
リンカにささやかれ、抱かれたままプルプルと震える俺。
腰から下に力が入らずジワジワと射精への階段を登らされていくのが悔しいのに気持ちよくてどうしようもなかった。
(こんな格好で……いやだっ、もうイキたくないのにっ!)
心は抗いたいのに体は言うことを全く聞いてくれない。
なんとかしてこの束縛から逃れたい。
そうしないとまた彼女の思うままにされてしまう。
クニュクニュッ
「ひいいいっ!」
「先っぽ弱いね。ちゃんと鍛えないと」
気持ちを強く持とうとしてもリンカの足の動きにあっさり崩されてしまう。
そしてペニス全体が張り詰めて再び射精可能な状態になった頃を見計らって……
「負けていいきっかけをあげるよ。ダイキ」
甘い声でリンカは囁き、ピンク色の舌を伸ばして俺の首筋をゆっくり舐めあげてきた!
レロォ……プチュッ
「いっぱい出しちゃえ♪」
「ああっ、ああああーーーーーーっ!」
全身が震えた。リンカの優しいキスのせいで。
ネットリと這い回る舌使いは、まるで俺の心をそのままなぞったみたいで……せっかく堪えていた部分が溶け落ちて、彼女の唇に全て吸い取られてしまった。
「まだ耐えるの? じゃあもう一回、ダメ押しで」
悶える俺を抱きしめながらリンカは両足の親指を亀頭に巻き付いてきた。
よく動く指先がクニクニと射精を促してくる。
親指に挟まれて小刻みにゆすられる。
「ひああっ、で、でるっ、あっ、あっ、やばい、また、出っ、うああああーーーーっ!」
ドプッ、ビュクビュク……ビュクン……
背筋を駆け上がる快感とともに俺は叫び、そして果てた。
心臓が早鐘を打ち全身に快感が染み渡ってゆく。
「はぁ、はぁ、こんな……連続で……」
射精が収まってから相変わらず彼女に抱かれたままの俺は自分の情けなさを噛み締めていた。
リンカを組み伏せて自分から挿入するつもりだったのに……ヒイヒイ言わせてからごめんなさいさせるはずだったのに。
勝負開始から10分も経たないうちに二度の射精を味わってしまった。
「そんなに好きなんだ? アタシの足コキ」
俺を後ろから抱きしめたままリンカが笑う。精液まみれの彼女の足が艶めかしく光っていた。
「……」
あまりの悔しさに声も出せない。しかし抱かれる心地よさがその気持を霧散させる。背中に感じるリンカのバストの柔らかさや耳から注ぎ込まれる優しい声に惑わされ続ける。
足コキの魅力の前にすっかり抵抗できなくされた俺の耳に、悪魔の囁きが訪れた。
「このまま入れちゃう?」
「え……」
妖しく微笑みながら彼女は続ける。
「アタシの膣内、今はすごく気持ちいいと思うよ……かわいい声を出してイキまくってるアンタを見てたらアタシも濡れてきちゃった……ここにダイキのおちんちんをゆっくり奥まで入れたらぁ……」
俺が言葉を失う代わりにペニスがビクッと反応した。
正直、挿れたい……リンカとひとつになりたい。
体だけじゃなくてペニスも優しく抱きしめられたい。
そんな衝動が湧き上がってくるのを必死でこらえようとした。
「や、やめ、そういうことっ、いうな!」
「興奮しちゃう? 妄想しちゃうの? こっちはやる気満々みたいだけど」
そう言いながらヌルヌルになった足の裏でスゥゥゥーっと肉棒をなで上げてくるリンカ。
(あ、ああぁぁ、きもちいい……)
本当なら悔しがるべきところなのに足の裏に触れただけでどうでも良くなってしまう。
彼女は俺を抱きながらもう片方の足も使い、ペニスの先端をやんわりと包み込む。
「二回も射精して敏感になった硬いおちんちん、絶対オマンコの中で我慢出来ないよ。ゆ~~~くり挿れて、奥のほうで抱きしめてあげる。今のダイキみたいに」
同時に両手を再び回して俺の前で組み、ゆっくりと上下に動かしてきた。
それはまるで膣内にペニスを迎えたあとに行うピストンのようで、無意識に俺は彼女に騎乗位で犯されているシーンを想像してしまう。
「ああああぁぁぁ~~~~~~~っ!」
「こんなふうに膣内でいっぱいしごいてあげるよ。アタシのオマンコの奥でダイキの感じちゃうところをメチャメチャにしてあげる。甘やかして、撫で回して、たくさんチューしてあげる」
挿入後の話をしつつリンカはゆっくりと足を動かし始めていた。
クチュクチュと卑猥な音を立てながら亀頭を揺らし、まるで膣内で弄ぶように刺激を加えてゆく。
「やめて、おねがいだ、リンカ……俺、またイっちまう……」
快感が腰をよじらせ始める。だけどしっかりと抱きかかえられた俺は彼女に身を任せ、優しく胸元を撫でさする指先とペニスをしごく足の動きに魅了されていた。
「挿れてないのにイっちゃっていいの? またアタシの足に負けちゃうよ」
「うあっ、くそっ、挿れ、たいのにっ、お前の足、気持ち良すぎて……リンカ、リンカァァ……!」
彼女の名前を呼びながら悶える俺の顎に、そっと手を当てて自分のほうを向かせるリンカ。
しっとり潤んだ瞳に見据えられ、俺はねだるように彼女を見つめ返す。
「一緒に気持ちよくなろ? ダイキ」
ちゅうううっ……
柔らかい唇が俺の口をふさぎ、舌先が挿入される。甘い唾液が流し込まれ、口の中を彼女の舌先で蹂躙された。同時にペニスを包んでいた足の先がクニュっと皮をおろし、再び強く挟み付けた瞬間……
「むぐっ、んっ、んん~~~~~~~~~~~~ッ!!」
ビュクッ、ビュク……
情熱的なキスと足コキに耐えきれず、俺は三度目の射精をしてしまう。
リンカはそれでもキスをやめずに足でペニスをいたわりながら乳首を弄び、タイマーが鳴るまで俺の体を自分から離すことはなかった。
試合終了後、短時間でたっぷり搾り取られた俺はしばらく動けずに居た。
その間に彼女が練習場の後始末をすべてやってくれた。
「はぁ、はぁ、おっ、おまえ! 試合中にあれは卑怯だぞっ」
ようやく口が動くようになったので抗議するとリンカは呆れたような目でこちらを見下ろした。
「つくづく甘いわね。今日の言い訳はそれだけ?」
「ちっ……」
悔しいが彼女の言うとおりだ。
何も言い返せずうつむく俺の顔をリンカが覗き込む。
「対戦相手に好きって言われるたびにアンタ負けるわけ? もっと試合に集中しなさいよ」
「偉そうに言いやがって……この嘘つきヤロー!」
精一杯の憎しみを込めて俺は叫ぶ。
とはいえ、さっきまで体を重ねていた相手だ。
本気で憎いわけでもなし。
ましてや相手はリンカ。
気心知れてる幼馴染は大切な存在だ。
何か言い返されても普段通りの俺たちに戻れるだろうと考えていたのだが――、
「……ないもん」
「あ?」
「……あれは、嘘じゃない……もんっ!」
俺をにらみながら眉毛を逆ハの字してるリンカがいた。
こ、こええぇ……目がマジだ。しかも涙まで浮かべて……ん? 涙?
それに、こいつ今なんて言った?
「へっ? ちょっと待て、嘘じゃないって……まさか……」
「ばっ、馬鹿! こっ、こういう時だけ耳が良いのね!! ふんっ」
教室の時と同じようにピシャッとドアを締めて立ち去る彼女。
振り向いた時、俺の目にはリンカの耳がいつになく赤く染まっているように見えた。
一人残された俺は彼女に謝る言葉を考えながらノロノロと着替え始めるのだった。
素直になれないバトルファック(了)