『ずっと大好きだったお姉ちゃんに告白できずにいたら痺れを切らした相手から色んなことを教えられてしまった少年の話』





 年齢、年代を問わず――、好きな女の子を前にすると、性格が切り替わったみたいに素直になれなくなってしまう不器用な男性は多数存在する。

 このお話の主人公である山許翔【やまもと しょう】もその一人だった。

 彼の場合、幼少期から過ごす時間が長かった年上の女性に心惹かれていたのだが、自分自身の甘苦しい気持ちに翔が気づくまでに十年近い年月が必要だった。

 一方で、彼より三つ年上の中邸市華【なかむら いちか】は幼いころから面倒見の良い女性だった。

 小学校時代、市華が翔と出会ったのは同じ通学班に所属していたからである。
 つまりご近所さん。
 始まりはそれほど強いつながりではなかった。

 ある日の朝、市華は通学途中に彼を家まで迎えにいった。

「おはよ、ショウくん」

「うっせー、いちか!」

「そんな言葉遣いしてたらお友達が怖がっちゃうよ」

 来てくれた彼女に向かって悪態をつくのが翔にとっての挨拶みたいなものだったが、さすがにこのままではいけないと思って市華は彼を諌めた。

 そして二人は学校までの長い道のりを歩いてゆく。

「恥ずかしいから毎日迎えにくんなよ!」

「それは無理かなー。私とショウくんは登校班が一緒だから」

 一人っ子である市華は、ことあるごとに自分に反発してくる翔のことが生意気だけど可愛い弟のように思えていた。

「おれ一人でも行けるよ! 学校まで真っ直ぐなんだから」

 通学路は車の通りも激しくないし心配は少ないかもしれない。

 確かに彼の言うことにも一理あるのだが、それでも学校側としては子どもたちの安全に配慮したいのだ。

「もしかして私と一緒に行くのが嫌なの?」

「そうじゃ、ねえけど……ハズいだろ……」

 口ごもる彼を見て市華はニヤニヤしてしまう。
 翔は口下手だが性格が悪いわけではない、と市華は気づいていたので、遠回しにひたすら彼を甘やかすと決めたのだ。

 彼に見えない角度から腕を回し、

「えいっ♪」

 市華は翔の小さな手をふわりと手のひらで包み、握りしめた。

「うわっ! あっ、や、やめろよ……子ども扱いするな」

 翔は真っ赤になりながらも、市華の手を振りほどこうとはしない。

「子どもだからいいじゃない。ショウくんも私も」

 低学年の男子と手を繋ぐ高学年の女子。
 それは周囲の大人たちから見て微笑ましい光景だった。





 少し時が流れた。
 市華が小学校を卒業してから二週間くらい後のこと、

「ひさしぶりだねショウくん♪」

 帰宅途中で呼び止められた翔は緊張して立ち止まった。

「あ、そうか。これ見せるの始めてだよね。大人っぽくなったでしょ? 私」

「い、いちか……?」

 翔は即座に目の前にいる制服姿の女子が彼女であると見抜けなかった。

 きれいに整えた髪を二つにくくった市華は驚くほど美しかった。

「ふ、ふんっ、でもいちかはいちかだろ!」

「それはそうだけど……えいっ♪」

「あっ」

 以前と違って正面から手を握られ、翔は彼女の手の温もりにドキドキしてしまう。

「子ども扱いしてないよ? せっかくだから一緒に帰ろ?」

「やめろよ、恥ずかしいだろ……」

「そう? 私は平気だよ」

 進学したばかりの市華は翔の手を握って歩きながら昔のことを思い出していた。

「ショウくんの身長も伸びてきたね。手も大きくなってる!」

「はんっ、すぐに追い抜いてやるからな!」

「それは楽しみね」

 拗ねた横顔の翔が彼女の手を離すことはなかった。





 やがて翔が進学すると、市華は高校生になっていた。

「ショウくん!」

「あっ、市華……」

 ようやく身長が追いついたと思ったら、市華はさらに大人っぽくなっていた。

(永遠に年の差は埋まらないんだな……)

 そんな事を考えながら、紺ブレザーとチェックのスカート姿の市華を偶然見かけた翔はドキドキしていた。

「女子校の制服ってかわいいと思わない?」

「思わねーよ! 中身は市華だし」

「ふふっ、そうだね。私自身は変わってないから」

 あっさりと肯定されて翔は肩透かしを食らってしまうと同時に、自分が市華に対して昔からずっと素直になれないでいることに気付かされた。

(このままじゃよくない……)

 外見だけじゃなく中身が大人びているのを感じたせいもあって、翔はもう彼女と手をつなぐことはないだろうと直感的にわかっている。

 思い返してみれば彼女はいつでも翔の言葉を否定しなかった。
 それなのに自分は反発してばかりで格好悪い。

 大人になりたい気持ちはあれど、市華にそれを悟られたくない。

「なんだよ……せっかく、俺だって……」

 未だ熟していない彼の葛藤がつぶやきとなって現れた。

「うん? なぁにショウくん」

「なっ! なんでもねーよ! それより市華……か、彼氏とか出来たのかよ」

 特に深い考えはなかった。話題を変えたいだけの一言だったはずなのに、翔の問いかけに対して市華が真剣な眼差しを返してきた。

「気になる?」

「え……」

 足を止めたまま自分の顔を覗き込んでくる市華の表情が翔を不安にさせる。

(本当に彼氏ができたのかな……でも今の市華なら……)

 無意識に翔は視線を落としていた。
 市華はしばらく彼を見つめてから、フッと表情を緩めた。

「どうして彼氏がいるかなんて聞いたの?」

「べ、べつに……」

「残念。やきもち、妬いてるのかなーって思ったのに!」

「ちっ、ちげえよ! ただ、聞いてみただけだしっ」

 本当は問いただしたいのにやはり彼は素直になれなかった。

 彼氏なんていない、と言ってほしかった。
 はっきりと否定してほしかった。

 それなのに市華は思わせぶりな口調で翔の気持ちを揺さぶってくる。

「好きな人は居るよ」

「は!? いるのかよっ」

「知りたい?」

「っ!? べ、別に聞きたくねえし」

「ショウくんは相変わらずだなぁ♪」

 市華の手が伸びてきて、いつかのように翔の手のひらをふわりと包みこんだ。

「あ……」

 久しぶりに感じる少女の手はひんやりしていた。翔はそれがたまらなく不安で、かつての温もりを求めるように無意識に自分から握り返してしまう。

 市華は目線の高さがほとんど同じになった彼を優しく見つめながら言う。

「私が好きな人はね、いつも私のことを想ってくれる人なんだ」

 ひどく曖昧な答えだと翔は感じた。
 市華のことを好きな相手が彼女を思うのは当然だろう。

「それだけじゃわからねえよ……」

「口に出さないと伝わらないよね。でも、なにか感じない?」

 翔の手を揉みほぐすように、市華が両手の指を小刻みに動かし始める。
 強く握りしめた手を再び優しく包みこまれるような安心感。

 それがとても心地よくて、翔はいつしか彼女をうっとりした目で見つめていた。

「わ、わからないよ……」

「そっか。じゃあそろそろ気づかせてあげないといけないよね」

「?」

 意味深な市華の言葉を聞かされても彼は完全に理解できなかった。

「ショウくん、このあと時間ある?」

「あるよ。でも……」

「じゃあ私のおうちへ来る? それから話そうか」

 どうあっても市華はこの場では答えをくれそうにない。

 もどかしい気持ちになりながら、翔は小さく頷いた。





 二人はいったん自宅へ戻り、簡単に着替えを済ませてから翔が市華の家を訪れた。
 幾度となくお邪魔したことのある場所だが妙に緊張する。

 震える指先でインターホンを鳴らすとすぐに彼女が迎えてくれた。

 市華のあとについて階段を登り二階へ、そして翔は彼女の部屋に入る。

「いらっしゃい、うちにくるの久しぶりだね」

「うん……こんな部屋だったっけ」

 自分とは違って整理整頓がされた清潔感のある部屋に翔は驚く。。

「あー、けっこう前だけど模様替えしたから。そこに座って」

 二人がけのソファに腰掛けると、隣に市華が座ってきた。

 肩より少し長い黒髪が揺れると甘い香りがした。


「さっきの質問に答えるね。私に彼氏はいないよ」

「でも好きな人はいるって……」

「うん。いるよ。誰だと思う?」

 そっと彼の膝に手を置く市華。

「そんなの……」

「時間はたっぷりあるから考えてみて」

 しばらくの沈黙。

 その静寂に耐えきれなくなった翔がポツリと呟く。

「こ、この部屋、なんだか暑い……」

「ごめんね。エアコンつけるから」

 立ち上がる市華の背中を翔が視線で追う。

 彼女の部屋着は白い半袖のニットと黒っぽいふわふわのスカートだった。

 見え隠れする白い太ももの裏が見えて彼はドキッとしてしまう。

「あー、今もしかして私のお尻見てなかった? エッチ」

「ち、ちがっ……」

 美脚に見とれていたとは言えず黙り込む彼の隣に座り直すと、市華は言葉を選びながらゆっくりと翔に問いかけてきた。

「ショウくん、逆に考えてみて。もしもキミに好きな人がいたとして、自分の部屋につれてくるのはどんな時だと思う?」

「も、もっと……仲良くなりたい時?」

 飾りっ気のない言葉だが、彼らしい答えだと思いながら市華が微笑む。

「ふふっ、それいいね! じゃあどうすれば仲良くなれると思う?」

 今までの翔なら質問ばかりするなよ、とか言い出しそうなものだが、今の彼は一生懸命答えを紡ぎ出そうとしていた。

「それは……いっぱい話をしたり、手を繋ぐとか」

ぎゅっ

「あっ……いっ、市華!?」

 その答えに被せるように市華が彼の手を握る。

 指と指をしっとりと絡ませる恋人繋ぎ。

「それから? 仲良くなるにはどうするんだっけ」

「え、っと……相手に好きって伝えないと……」

「ふふっ、そうだね」

 すると彼女は首を傾け、翔の肩に預けた。

 甘い髪の香りと僅かな重みを受けた彼の上半身が硬直する。

「いいっ、い、市華ぁ!?」

 しかし彼女は答えない。

 そのかわり、醸し出された甘いムードが翔を包みこんでいた。

「そういえばショウくんは好きな人いる?」

「そりゃ、い、いるよ……」

「じゃあ試しに伝えてみて。練習のつもりでいいから」

 普段よりも小さな声で市華が囁くと、彼が指先に力を込め始めた。


「すす、す、好きだ……市華……」

 それを口にした瞬間、翔の心から何かが抜け落ちた。

「ん」

「好き、好きだよ市華……俺、ずっと前からお前が好きで、こうして一緒にいられるなんて夢みたいで」

 一度口にしてしまえばもう止められなかった。

 翔は今まで溜め込んでいたものをすべて吐き出すように、顔を市華に向けて熱心に語り続けた。

 情熱的な言葉に軽く酔いながら市華が問い返す。

「ねえ、ショウくん」

「な……なに?」

「どうして私の名前をつけたの? 好きって言う練習だけで良かったのに」

 市華が上目遣いで見上げると、彼は耳まで真っ赤にして視線を彷徨わせていた。

「も、もういいだろっ! 意地悪するなよ……」

「じゃあ……ショウくん、私のことが好きだったんだ?」

「っ!!」

 この時になって翔は自分が市華に嵌められたと気づく。

 自分から思い切り告白してしまった……いや、させられたのだ。

 だがもう遅い。

 隠していた気持ちが完全に剥き出しにされてしまったのだから。


「ずっと前から? それはどれくらい前から?」

 ぐいぐいと体を押し当ててくる市華。

 その温もりと柔らかさを感じながら翔は胸の内を全て吐き出してしまうつもりになっていた。

「何年も、前から、一緒に歩いてくれた時から……ずっと、ずっと……」

「へぇ? うふっ、ふふふふ……」

 いたずらっぽく笑い始める彼女を見て翔はムッとした顔で返す。

「ちゅ、中学生になった時もだぞ! 市華が急に大人っぽくなって、俺、本当はすごく焦ったんだ……」

「あー、そっか。私に恋人ができちゃうかもって?」

「くううぅぅぅぅ、あ、ああ、そうだよっ!」

「あのね、私けっこう人気あったみたいよ? 卒業するまでに何回も告白されたし」

 ぼんやりと部屋の隅を見つめるようにして市華が話す。

 翔はその横顔を見てきれいだと思いながらも、胸の中に未だ残っていたモヤモヤを彼女にぶつけた。

「やっぱり! でも、じゃあどうして誰かと付き合わなかったんだ……」

「ショウくんがいたから」

「俺!?」

「うん、そう。だから他の男子はあまり気にならなかったの」

 翔は彼女の言葉に目を大きく見開いた。
 悪態をついたつもりだったのに優しい言葉で返されてしまった。
 そしてなぜか胸の中がじわじわと暖かくなってゆくのを感じていた。

「小学生の頃は弟みたいだなーってくらいにしか思ってなかったけど、毎日顔を合わせてるうちにショウくんがだんだん素直になる回数が増えてきて……かわいいなって気持ちがだんだん好きに変わっていったのかな?」

「じゃ、じゃあ市華が好きな人って……俺?」

「そうだよ。やっと気づいてくれたね」

 市華がにっこり微笑む。

「ちゃんとわかってくれたショウくんに、ご褒美あげないといけないよね」

 そしてしっかり握りしめていた手をほどいて、彼の顎に指を添えた。

「私が教えてあげる……『好き』の伝え方を」

 ゆっくり近づいてくる市華の整った顔立ちに翔は見惚れてしまう。

 その数秒後、二人きりの室内で彼らの呼吸が重なった。

「い、市華……んんっ!?」

「ん……ちゅ……」

 ガチガチに固まった彼の気持ちをほぐすように、市華はゆっくりと唇を押し当て、軽く離れてはまた押し付ける動きを繰り返す。

ちゅっ、ちゅ、ちゅっ……

(ああぁぁぁぁ……!)

 翔はそれだけで全身の力が彼女に吸い出されたみたいになってしまい、自分から市華に抱きついてしまった。

「ふふっ、ドキドキしちゃうよね……」

 呼吸を止めて目をつぶったままの翔をいたわるように市華が言う。

 そして彼の手を握り、自分の胸に導いた。

「私のおっぱい、触ってみる?」

「う、うんっ……」

 彼の右手の指は既に市華の柔らかな胸に沈み始めていた。

(すご、い……こんなの、夢中になっちまう……)

 ニット越しに触れた市華の膨らみが急激に彼の理性を溶かし尽くしてゆく。

「どうかな……あんまり大きくないと思うけど」

 その言葉は翔の耳に届いていなかった。

 彼は一心不乱に指先を動かし、市華の感触を味わっていた。

「優しくしてね」

「はぁっ、はぁっ、う、うんっ!」

「ずいぶんと気に入ってくれたみたいね。ふふふ」

 後ろで遊ばせていた指先でゆっくりと彼の股間を包み、市華は優しくこね回すように肉棒を軽く握りしめた。

「あっ!!!」

「こんなに大きくして、ショウくんは悪い子だね?」

 そう言いながら懲らしめるように先端を撫で回してやると、

「うっ、ご、ごめん、なさい……」

 翔は薄く目を開いて、心から申し訳無さそうに市華を見つめてきた。

「急に素直になっちゃって可愛い! ショウくん、大好きだよ~」

 年下の男子がしおらしくなる様子を見た市華の心臓がドクンと跳ねた。

 そして気づいた時には両足をしっかりと彼の腰にまわして抱きしめていた。

 さらに腕を彼の首へ回し、さっきとはまるで違う熱いキスを振る舞う。

ちゅっちゅっちゅっちゅっ、じゅるるるる~~~!

「んっ、んんーーーーーーーーーーっ!?」

 いつの間にか彼女は翔をソファの上に押し倒していた。

「ぅあ、ああっ! 市華ぁ……激しくされると……」

「おちんちん困っちゃう? それとも、喜んじゃうの?」

「りょ、両方ッ!!」

「じゃあ続けるからね」

 いつしか市華の胸を揉む指の動きが鳴りを潜め、翔は彼女が与えてくれる快感に身を任せていた。

「市華……好きっ、好きだったんだ……本当に……」

「知ってる♪」

 その言葉に応えるように、市華は彼の肌着に手のひらを滑り込ませ、パンパンに膨らんだ亀頭を直に指先で掴む。

「あああ! 市華ぁぁぁ~~~~~~っ!」

 白い指先に囚われた先端はすっかり我慢汁で濡れまくっていた。

「お姉ちゃんを呼び捨てにするなんて生意気だけど今は許してあげる」

しゅっしゅっしゅっしゅ……

 粘液を塗り拡げるように指先をすべらせると、切ない声が翔の口から溢れ出す。

「きもちいいっ、い、い、市華……おねえちゃんっ……」

「えっ?」

「おねえちゃん、ねえちゃんっ、呼び捨てにして、ごめんなさい……」

「っ!? ちょっ、そんなの不意打ちだよ……ショウくんずるいっ!」

ちゅうううぅぅぅ!

「んっ、んむううぅぅぅ!?」

 ペニスを激しくしごきながら、市華は恥ずかしさを隠すように彼の唇を求めた。

 翔がたまらなく愛しくて可愛らしい言葉を連呼することに耐えきれなくなった彼女は、ますます勢いづいて肉棒をこねくりまわして弄ぶ。

「……もう、キスするしかないじゃん。おねえちゃん呼びされるとこんなにドキドキするなんて知らなかったんだからね?」

「ふ、ああぁぁ……」

 突然やってきた激しいキスと手コキによって翔の体は完全に脱力し、ソファからずり落ちている。

「ショウくんがメロメロになってる……可愛すぎて、私、もうダメかも……」

 市華は素速く立ち上がり、片足からショーツを脱ぎ去って彼にまたがる。

「えっ……!」

「ショウくんの初めて、もらっちゃうからね」

 スカートの奥に見え隠れするピンク色の部分に目を引かれながら、翔は彼女の動きをドキドキしながら見守っていた。

(さ、先っぽが……おねえちゃんのアソコに……)

 これから自分が何をされるのかを彼は正確に理解していない。

 それでも相手が市華なら何をされてもいいと思っていた。

「いくよ……」

 ビクビクと震えながら快感でしびれる肉棒に、市華のきれいな足の付根にあるピンク色の唇が近づいてきた。

 自分と同じようにすっかり濡れているその場所に亀頭がペチョリと吸い付いた瞬間、

「あ、うわああああっ!」

クチュ、ヌチュ……

「あんっ、硬いよ♪ ショウくんっ」

「ね、ねえちゃ、入っちゃうぅぅぅぅ~~~!?」

ズチュウウウウウウッ!

 ぬるりとした何かに包みこまれ、彼は悶絶する。

 未体験で不安もあるが、それ以上の興奮感が彼を抑えつけていた。

「あ、あああぁぁ、これ、おねえちゃんに食べられてる……」

「そうだよ。ショウくんは私と繋がっちゃったの。それに」

クプ……

「あはああああああっ!」

「気持ちよくされちゃったんだよ? ふふふっ」

 市華の腰が僅かに沈み、すぐに腰が持ち上げられる。

(きもちいいっ、きもちいいよおぉぉぉぉ!)

 その繰り返しが数回続くと、翔はすっかりおとなしくなっていた。

 敏感なペニスの先端が秘裂に食い込むだけでとんでもない快感が彼に襲いかかる。

 そしてまた引き抜かれる時も天国だった。

 名残惜しそうに市華の内部が彼を抱きしめて優しくこすリあげるからだ。

「少しずつ深いところまで刺さっていくのわかる?」

「わかるっ、あっ、あっ! これっ、きもちよすぎるうううう!」

ずぷ、ぐぷっ、ずにゅ、ずぷぷ……

「ふふ、これが一番奥まで来たら、ショウくんはもうおねえちゃんのモノだよ」

 市華は両手を彼の肩へ置いて、諭すように呟く。

「い、いちかおねえちゃんのモノ……」

「そう。初めての相手は大切にしないといけないんだからね?」

 肉棒は先端から中央までが既に飲み込まれ、何度も同じように出し入れされていた。

(おちんちん、そろそろなじんできたかな……じゃあ、えいっ!)

 そして市華が一気に腰を落とす!

ずちゅうううううううううっ!

 何の前触れもなく根本が見えなくなるほどに肉棒が彼女の中に埋没する。

 気づけば翔は両手で市華の腰を掴んでいた。

「んあっ、あああ、あったかい……! おねえちゃんの膣内、ヌルヌルしてるっ」

 目をしっかり開けて彼女を見上げると、細く、クビレがはっきりした女性らしい腰つきに興奮してしまう!

 何より見惚れてしまうのは自分を見つめる市華の目立った。

 優しくて、愛情に満ちていて、そしてエロい。

「ショウくん、私に犯されてるんだよ」

「お、おか……され?」

「うん。私ね、ずっとおちんちん食べたくてしょうがなかったの。おまんこを自分でクチュクチュしながら、大好きな彼のことを何回も頭の中で犯しまくってたんだ」

「だいすき、な……彼って、そ、それはっ!」

「そう。だから、元気なショウくんをいっぱいちょうだい……」

 再び腰を激しく振り始める市華。

「んあっ、あああーーーーーっ!」

 翔は首を振って悶えるばかりで彼女を振り払うことはできなかった。

 手足の先までじんじんとした快感に犯され、頭の中は彼女のことしか考えられない。

 今自分がされていることが良いのか悪いのかさえも判断できないほど彼の思考は快楽で染め上げられていた。

「はぁんっ、きもち、いいっ、わたしもいっちゃう……」

ずぷっ、ずぷっ、ずぷっ……

「いちかっ、まって、まっ……あああ! いちかああぁぁ!」

 悶えることしか彼にはできない。思考が追いついていかないのだ。

 知識だけはあるものの、セックスというのがこれほど気持ちいいものだとは思っていなかった。

 細い腰がゆっくり上下するのを見つめるうちに、ペニスの奥から何かが湧き上がってくるのを翔は感じていた。

「ああああっ、きもちよすぎてえぇぇぇ! でるっ、でるうううぅぅ!」

「いいの? 出したら赤ちゃんできちゃうかもよ」

 腰を動かしながら市華が妖しく尋ねる。

 射精をすれば妊娠させてしまうかも知れないという恐怖もあるが、翔にとってはそれ以上に彼女との繋がりが大切に思えた。

「そ、それでも、いいっ! いちかと、気持ちよくなれるならっ」

「くすっ、いいんだ? 私のモノになって、赤ちゃんができちゃうかも知れないのに、ずっと恋人同士になってもいいんだね?」

 そう告げた市華は、彼の覚悟を試すように膣内をわざと強く締め上げる。

きゅっ……くきゅううううぅぅぅ!

「あっ、ああああああああああああああああああああ~~~~!」

 童貞だった男性には到底耐えることなどできない甘噛みを容赦なく与え、市華は組み敷いた少年のすべてを奪うようにペニスをたっぷりと甘やかした。

「ほぉら、とんとん♪ おまんこでおちんちんしごいちゃうよ?」

「ひっ、いいっ、きもちいい、きもち、きもちいいいいぃぃぃ!」

「ショウくん、私に愛されて気持ちよくなって……イっちゃえ♪」

「んはあぁぁっ、しめないでえええぇぇ! イくっ、イくうううぅぅぅ!」

どぴゅううううううううううううううううううう~~~~~っ!

 挿入から一分も保たないうちにペニスが爆ぜた。

 徹底的に甘やかされたせいで秒殺だった。

「もう少し搾ってあげるね」

 市華がくねりくねりと腰を揺らすと、

びゅうっ、びゅ……びゅくんっ!

 すっかり従順になったペニスから残り汁が飛び出した。

「またいっぱいでてるね……」

「で、でた……あああぁ、赤ちゃんができちゃう……」

「それでもいいんでしょ?」

「うん、いい……いちかといっしょなら、ずっとしあわせだから……」

 うっとりした目で自分を見上げる年下の彼氏に微笑みながら、市華は顔を寄せる。

「私もだよ♪」

ちゅ……

 落ち着きを取り戻した翔は、彼女も感じまくっていたのだと気づく。

 さらに結合部に僅かな血が混じっていることにも気づいた。

「いちかも、はじめてだったの……?」

「うん、そうだよ……ちゃんと避妊してるから赤ちゃんは嘘だけど、ショウくんが本当に私のことを好きなんだなーってわかったらすごく嬉しい」

 ごめんね、と市華が彼に謝る。

 しかし翔の心の中はひたすら嬉しかった。
 大好きだった市華がずっと自分のことを待っていてくれたのだから。

「僕が、これからもおねえちゃんを幸せにする……浮気とかしないから、悲しませないから……」

 今まで誰とも交わっていなかったことに感謝しながら翔がそう告げると、

「いっぱい幸せにしてね。ショウくん♪」

 市華は涙を浮かべながら彼を強く抱きしめるのだった。



『ずっと大好きだったお姉ちゃんに告白できずにいたら痺れを切らした相手から色んなことを教えられてしまった少年の話』(了)










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