『新人メンエス嬢の上達に翻弄されるベテラン客のお話』
都内某所。風俗街。
今週も連休なので国道に面した表通りは人の流れが激しい。
そんな人混みをかき分けて少し妖しげな雰囲気が立ち込める路地裏へ入る。
俺の行きつけのマッサージ店は今日も元気に営業中だった。
「メンズエステ桃源郷」
風俗情報誌に華やかに紹介されるわけでもなく、なんとなくたどり着いた店。
だがここは本当に男にとっての楽園だった。
特に俺みたいに「女性に翻弄されたい」性癖の男性にとっては。
狭く急な階段を登ると踊り場があって、その左右にドアがある雑居ビル。
その右側が目当ての店だ。
事前に予約を入れてあるので堂々と入店する。
黒服が迎えてくれて名前とコースの確認。
じつは先週までベテラン嬢「呉江(くれえ)さん」が俺の指名相手だったのだが、しばらく彼女が留守にするというので新人の「或葉(あるは)」ちゃんに相手をしてもらうことになった。
「い、いらっしゃいませ! ご指名ありがとうございまひゅっ」
……まだ俺に対する緊張が抜けないみたいだ。
この子は普通に話していても噛む。
でも実力はなかなかのもので、将来この店で指名トップになりうるポテンシャルを秘めている。
綺麗に敷かれたシーツの上に横になる。最初はうつ伏せだ。
「では始めますね」
サービスに入ると慌てた様子もなくなり、こちらもリラックスできる。
そのまま身を任せるのだが……
「どうですか?」
「う、うま……い、いいねっ」
「よかったです」
彼女は一生懸命マッサージをする。それはわかる。わかるのだが、
(き、今日も弱い……じれったすぎて、がまんできなくなる……)
そう、或葉ちゃんは握力が弱い。
そのせいで毎回ツボに食い込む指が優しすぎてくすぐったいのだ。
ヌリュッ、クニュッ……
オイルまみれの手が背中とおしりを這い回る感覚。
メンエスだとなかなかこれは貴重であり、指摘して彼女の良さを潰してしまうのはもったいない。
性感マッサージの店で働いていたのではないかと疑ってしまうほどそのフェザータッチは絶妙だ。
「私、手の力が弱いみたいで少し強めに握れって呉江さんに指導されてるんですけど」
「いやそのままで、いいと、思うよっ、あぅぅ、はあぁっ!」
「わ、わかりました!」
両手を駆使して俺にサービスする彼女だが、前回もその前も俺は彼女のテクニックに骨抜きにされかけていた。
表に返されたときにこの手つきで肉棒に触れられると暴発してしまう。
俺が早いというのもあるけど、それ以上にフェザータッチがたまらなくて我慢が利かなくされてしまうのだ。
(呉江さんはこのことを見抜いていたのかな……)
俺と彼女の相性は悪くないどころか抜群に良いかも知れない。
呉江さんの意地悪たっぷりな焦らしとは対称的な天然素材の焦らしは正直病みつきだ
そのうち四つん這いになるように言われたのでその通りにする。
「この体勢だと牛さんのお乳搾りみたいになるから男の人はとっても恥ずかしがるって言われたのですが」
もちろん恥ずかしい。膝をついてお尻を彼女に向けているのだ。
そして或葉ちゃんは熱心にこちらを見つめてくる。
それこそ毛穴までじっくりと観察してくるように。
(こんな可愛い子に見られるなんて……)
毎回感じる羞恥心。或葉ちゃんはふわふわした金髪で、とても上品な顔立ちなので雑誌の読者モデルみたいな文句なしの美少女。その肌は美白という言葉がよく似合う美しさであり、手袋をした両手の指も細くて長いというおまけつき。
しゅっしゅ……
まるで性の女神が地上に遣わしたのではないかと思う時もある。
天使のフェザータッチがゆっくりと肉棒を掴み、柔らかく撫でしごく。
「お客様はさすがですね。喘ぎ声ひとつあげないなんて」
感心したように彼女は言うが、
(必死で噛み殺してるだけだよおおぉぉぉぉ!)
俺は上半身をずっと力までたまま両手で枕を抱えて顔を押し付けているのだ。
ちなみに下半身はもう脱力させられている。
気を抜けば膝が笑い出しそうになるくらいに。
「ふんふんふ~ん♪」
とろけるような手つきでペニスを包み、キュッと絞ってくるけどそれが優しすぎてますますくすぐったく感じてしまう。
「おちんちんピクピク……ん~、ちゅっ♡」
チロチロ、ペロォ~~~~~~♡♡
「ッ~~~~~~~!!」
不意に睾丸へキスをされ、そのまま舌先が伸びてきてチロチロとシワを伸ばすようになぞられる。
(いつの間にこんな技術を……)
男の最大の弱点である蟻の戸渡りを丁寧に舐められるとそれに応えるように玉袋がキュンとなる。
それを指先でツンツンしながらクスクス笑う或葉ちゃん。
「もっと好きになっちゃいそう……」
ちゅっ♡
「んはああぁっ!」
ついに俺の口から興奮の叫びが引きずり出された。
「好き♡ 好き♡ おちんちん大好き♡♡」
ビクッ、ビクゥッ!
俺に限ったことではないだろうが、男は可愛い女の子の口から出る「好き」という言葉に弱い。
しかもこんな可愛らしい彼女から連呼されたら効果は絶大だ。
「あ、お仕事のことですよ? あとはこのおちんちんも、ですけど♡」
しゅるっ、しゅるるるるる……クニッ♡
「ひいいいっ!」
かわいらしい言葉責めと弱すぎる握り方に悶える。
彼女の手つきは以前よりも洗練されて無駄のない動きなのに、それが男に対する優しさに感じてしまう。
「そ、それええぇぇ……」
「弱すぎますか? でもこれがいいかもって最近思えるようになってきて」
指の先をまとめてクリクリと先端を弄ばれると声が抑えきれなくなる。
もっと優しくしてほしい、指で輪っかを作ってシコシコされたい、手のひら全体を使ってめちゃくちゃに揉み込まれたい……
俺のそんな願望を彼女に伝えたくなる。
ヌリヌリナデナデ……しゅしゅしゅしゅしゅっ!
「あっ、ああああーーーー!」
「これがいいの? うふふふ♡」
優しく甘く男を溶かすムード作り。
これは彼女にしかない武器だ。
そろりそろりと這い回る指先はもどかしさと同時に最高の寸止めになる。
毎回こんなことをされていたら男は彼女の虜にされてしまうだろう。
「ま、まって、その手つき……ちょっとま……」
「ここからは新技です」
そう言いながら或葉ちゃんが持ち手を変える。
いわゆる逆手、小指を上に向けた握り方に。
ぐ、ちゅううぅぅぅっ!!
「はああぁぁぁっ!」
あくまでもゆったりした速度だが先端がわずかに強くコキ下ろされる。
彼女の手が落ちきるとチュポンッと音を立てて皮がいったん戻るのだがすぐに下から剥かれてしまう。その繰り返し。
「皮が余っているお客様には効果てきめんみたいで、私のおまんこの中もこんなふうにフワフワなのかなって思わせちゃうみたいで♡」
上品な口調でそんなエッチなこと言わないでくれええぇぇ!
肉棒を握りこんだ手が抜け落ちる瞬間と戻っきてまた包まれる瞬間、俺は彼女とセックスしているような気分にさせられてしまう。
それも勝ち目のない、一方的なプレイ。
本当にたまらない……これはまずい、男の我慢を台無しにする妙技だ。
「これだけで何度も果てちゃう人だっているんですよ? うふふふ」
実際に味わってる俺でもそう思う。強めにしごいてくれたほうが百倍マシだ。
そして精液を出してもこれはやめませんけど、と彼女が言った。
「あとどれくらい我慢できます? また入れちゃいますよ~~~♡♡」
ぐちゅうううっ、しこしこしこっ、ぷりゅっ……♡♡
「んひいいっ!」
「お客様ならもっと我慢できますよね?」
「と、当然だ!」
「じゃあステージ2です」
そう言いながら彼女は下から上に皮を剥き、露出した亀頭をもう片方の手でぎゅっと握り込む。この上なく優しい握り方で。
「いきますよ? 敏感部分をシコシコシコ~~♡♡」
こしゅっ、こしゅっ、こしゅっ!
訂正する。
さっきはなけなしのプライドが俺に強がりを言わせたが、これは無理。
反撃できない上にやられ放題。
しかもこの手コキは決して男を逃さない。
本人がどれだけ男を苦しめているか無自覚なところがまたヤバイ。
ちゅこちゅこちゅこちゅこ♡♡
小刻みにしごかれる先端から我慢汁が大量に溢れ出す。
だがお構いなしで優しくすり下ろされる。
「もっと続けますね♡」
しゅる~る、しゅる~り……
(こ、これはあああぁぁぁぁ~~~っ!)
ベテランの呉江さんのテクニック!?
だけど弱い、優しい、耐えきれないっ!!
それは上下に動く右手と先端を容赦なくくすぐる左手の複合責めだった。
これを数十秒も続けられればどうにもならなくなる。
「あれれ? なんだかぷっくりしてきました……これって射精寸前なのでは」
「そんな、ことっ……はぁ、はぁああああっ!」
弱々しい声で俺は否定する。
膝を立てたままだがすでに完全に脱力している。
枕にすがりつきながら俺は不規則に背中を震わせていた。
「全身がビクビクしてきた……イっちゃう? イっちゃうんですね?」
悶えまくる俺をじっと見ながら彼女が笑った気がする。
でもこっちはそれどころじゃない。
天使の羽でくすぐられるような刺激を必死に耐えようとするのだが……
「シールに水たまりができちゃいました♡ そろそろ気持ちよ~くしちゃいます! 最後の技は小指だけで先っぽスリスリ~~~」
こしゅっ、しゅっしゅしゅっしゅ♡♡
(だ、だめっ! これイくっ、もうイくしかないっ!)
こちょこちょと亀頭や裏筋をかわいらしく引っ掻いてくる美少女のテクニックに俺は射精を覚悟した。
そして、控えめな音量でタイマーの音が鳴り響く。
「イってください♡ えいっ」
カリカリッ……クピュ♡
鈴口に軽く挿し込まれる指先。
それが合図となり、俺は全身を硬直させた。
「でっ、でるっ……っんぐ、ううう、むうううぅぅぅぅぅ~~~!!」
どぴゅっ、どぴゅうううううぅぅぅぅぅ!
「あはっ♡」
柔らかく肉棒を握りながら或葉ちゃんがゆっくりとしごき続ける。
とぷっ、どぴゅ……
すでに小指のくすぐりからは解放されていたが、柔らかな天使の手コキによって一滴残らず搾り尽くされてしまう。
「か、はぁっ……!」
ドサリ……
或葉ちゃんが完全にペニスから手を離した途端、俺の膝が崩れ落ちた。
「やりすぎちゃいましたね。ごめんなさい♡」
ふきふき……
彼女は何も言わずにタオルでペニスを清めてくれる。
時間いっぱいまで焦らされた射精の余韻でこちらは全く身動きできない。
でも大切に扱われている気持ちになって、俺は無言で彼女の手を握る。
「こ、困りまひゅっ……うぅぅ、恥ずかしいよぉ……」
すでに時間を過ぎているのに急かしてこない。
そして可愛らしい彼女の振る舞いに俺は大満足だった。
「次も、指名するからね……」
「ありがとうございますっ! またのご来店をお待ちしております」
最後の挨拶はきっちりこなす或葉ちゃんだった。
(ここまで!)
20240922 初稿 後日修正予定