「一番くじって難しいの……」
今日の活動予定だったラジオ収録を早めに終えた俺たちは、ユニットのリーダーである星井美希のリクエストもあって国道沿いの大型ゲームセンターに立ち寄った。
「怒ってもしょうがないだろ、美希。どんなくじでも当たり外れは必ずあるんだから」
「だってハニー、絶対おかしいよ! ミキ、さっきからD賞しか出てこないよ?」
俺が育てているユニット「おにぎり☆なの」は、ちょうど先々週からリーダーを春香から美希に変えたばかりだ。
今まで色々試してきたが、今後はヴィジュアルを中心に売り出そうと考えている。
そのためには、アイドルとして圧倒的な存在感を持つ美希の力が必要だった。
しかし小規模とは言え、組織変更はメンバー同士の軋轢を生みだす。
それがずっと気になっていた俺は、仕事の合間を見てメンバー同士が仲良くなれる場所を探していた。
「美希ちゃん! あたし、B賞だったよ!」
「春香がうらやましいの! もう、ミキくやしいの~~~!」
どうやら美希は春香ともうまくやっているようだ。
「ねえ、ハニー! キーホルダーはもういらないの! この中にはきっとアタリが入ってないんだよ!」
「ば、馬鹿! お店の人がこっちを睨んでるぞ!!」
この通り美希は自由奔放な性格なので、たまに俺を焦らせてくれる。
それに俺のことをなぜか「ハニー」と呼ぶ。
「わかった。じゃあ……残りのくじ、全部ミキが買うから!」
「お客様、困ります!」
「ああぁん、もうっ! A賞の『ふわふわクッション』が欲しいの~~!!」
「す、すみませんでした! こら美希、こっちにこいっ!!」
俺は店員さんに頭を下げてから美希を店の外に連れ出した。
彼女にはリーダーシップ以前に、アイドルとしての自覚が足りないようだ。
これは一度しっかりと言うべきだと判断した。
□
店からいったん出た俺たちは、移動で使うバンの中へと入った。
今からお説教タイムだ。
「ハニー、あそこで引き下がっちゃ駄目なの」
「そんなこといっても、美希が暴れだすのがいけないんだぞ!」
「あれくらいいいの! ハニーは変なところで臆病者なの……」
美希は相変わらず頬を膨らませている。
そんなにクッションが欲しかったのかどうかは別として、このままではダメだ。
全く反省の色が見えない。
「何とでも言え。たとえばあそこに悪い記者がいたらどうするつもりだ?」
「スキャンダルってこと? あふぅ」
「あくびするんじゃない!」
性格は非常にマイペースだが、美希の頭の回転は速い。
彼女はレッスンでも営業でも「1を聞いて10を知る」タイプの天才なのだ。
ただしやる気の変化が激しすぎる。
「ああ、そうだ。わかっているなら、もう少しアイドルとしての振る舞いを常に意識しろ、美希」
「……わかったの」
物分りがいいところも美希の長所だ。
でもすぐに忘れるけど。
「ところでハニー、ここはどこ?」
俺の話が終わったのを見計らって、美希が尋ねてきた。
「ここ?……営業車の中だな?」
「そうだよ。車の中で二人きりで何かあったら、思いきりスキャンダルなるになる気がするの!」
「え……ちょ、ちょっと美希! なにを言い出すん……」
「チャンス到来ってやつかな? きゃはっ♪」
いきなり美希が着ている服を脱ぎ始めた!
「んしょ……っと♪」
「こ、こらっ!」
まるでシャワーでも浴びるときのように、俺の目の前でブラジャー姿になった。
特に形のよいバストには、思わず息を呑む。
「何を言ってるかわかんないぞ! 話は終わりだ。じゃ、じゃあ店に戻るぞ」
「待って、ハニー! せっかく二人きりになれたんだから、ゆっくりしていこ?」
ドアに手をかけようとしたとき、美希が俺の肩を掴んだ。
□
「ハニー、こっちを向いて?」
「ば、馬鹿……やめろ。服を着るんだ」
「いいから見るのっ!」
珍しく強い口調の美希に逆らえず、正面から彼女の事を見てしまう。
遠くで見るよりも透き通って見える栗色の長い髪。
常に強気で、相手にインパクトを与える大きな瞳。
思わず見つめてしまう愛らしい顔立ちや、首から肩……バストにかけての美しいライン。
女性として求められる美しさのほとんどを、美希はこの若さにして持っているのだ。
「ミキね、ハニーのためにいつも自分を磨いてるんだよ? だから今日も綺麗でしょ?」
「うっ……う、うん…………」
そんな美希に、正面から問いかけられたらまともな言葉も出ない。
しかも彼女は今、下着姿…………。
(いや、そういう問題じゃない!)
こんなところで俺のアイドルを汚すわけには行かないんだ。
俺は雑念を振り払って、美希をにらみつけた。
「ハニィ♪ そんなに真っ直ぐ見つめられると、ミキ恥ずかしいな?」
「くっ、惑わされないぞ!」
「プロデューサーたるもの、女の子の照れ隠しくらい見抜けないと、いけないと思うな?」
胸元で軽く腕を組んでいた彼女は、軽く微笑んでから左手を静かにあげた。
そして俺の頬に指先が触れて、そのまま唇をそっと撫でた。
「ハニー…………」
「み……!」
まるで魅了されたように俺は微塵も動けない。
彼女がゆっくりと顔を寄せてくる。
その動作がスローモーションのように見えた。
「いただきますなの♪」
美希の唇がとうとう俺の口を塞いだ。
「んぐ…………う……」
そっと触れるだけのキスは、すぐに変化を見せる。
遠慮がちに俺の唇の感触を確かめた後、彼女の左手が俺の首に回った。
「んうううっ!?」
「♪」
しっかりと俺を固定してから、 美希は何度も舌を出し入れしてきた。
浅く深く……角度を変えながら舌先をねじ込んでくる。
何度も俺自身を味わうような情熱的なキスだった。
口付けされるたびに、彼女に心が溶かされていく。
このまま抱きしめたい…………その気持ちが抑えきれなくなってゆく。
(こんなキス、何度もされたら理性が崩壊してしまうぞ!)
俺は脱力しかけた両手に力をこめて、甘い誘惑から逃れようとした。
「美希っ!」
「きゃっ……!」
思い切り突き飛ばしたつもりだったが、美希との距離は数センチしか開かなかった。
あのキスのおかげで頭がボンヤリして、呼吸が整わない。
「ん~、ハニーのキス、ちょっと控えめな味付けだね?」
「み、美希! 俺とお前はアイドルとプロデューサーなんだぞ!?」
「……だから何?」
俺の言葉を聞いて、美希は不思議そうにしている。
絶対わかっているはずなのに……なんでこいつは全然平気なんだ!?
「あうっ……だ、だから! 俺はお前にキスしたり出来ないんだ!!」
「そうなんだね……だからミキのほうからすればいいんだよね?」
「え……?」
「初めからそんなのわかってるの!」
やはり美希は自分なりに俺との関係を理解している!
だが完全に方向性が間違っている。
「だからそうじゃないだろ! 俺は……」
「ううん、これならハニーはミキに対して何もしてないことになるの」
身体が接している時点でアウトだということに美希は気づいていないのだろうか?
いや、きっと気づいているけど無視しているのかも…………
「って、おいっ!」
「だからじっとしててね?」
戸惑う俺を見つめながら、美希の手が俺の股間に触れた。
「でも、ハニーのここ……とってもとっても苦しそう」
「さ、触るな! 美希」
ズボン越しにそっと触れられているだけなのに、1秒ごとに自分が抑えきれなくなる。
美希の優しい手つきと、俺を見つめる視線に身を任せたくなってしまう。
「アイドルとしては、プロデューサーが苦しいときは助けてあげないといけないの」
「あっ、あああぁぁ~~~!」
俺の股間をいたぶる美希の指が、静かにジッパーを下ろし、ベルトを緩めてくる。
数秒後、彼女の目の前で、俺のペニスが剥き出しにされてしまった。
「だからマッサージしてあげるね……」
彼女はキラキラした眼でいきり立つ俺自身を見つめている。
そしてゆっくりと顔を沈めて、さっきと同じように控えめな口付けをした。
「みきいいぃぃぃ~~~~!!」
魚が水面で跳ねるような音と、俺の背筋に快感が駆け抜けるのがほど同時だった。
――数分後。
「きゃはっ♪ ハニーのここ、お口でマッサージされて嬉しそうだよ!」
結局俺は何もできず、美希の口で徹底的に愛撫されていた。
軽くキスをされたあとは、もう完全に彼女のペースだった。
「ほらぁ、まら咥えちゃうの」
「あっ……!」
暖かい美希の口に包まれた瞬間、俺はイきそうになった。
それをなんとか堪えると、今度は彼女の指が肛門付近をくすぐった。
身をくねらせても美希は決して俺を逃がそうとしない。
優しいキスと激しい吸引を交互に織り交ぜて、俺の行動を奪った。
「くっ、そ……!」
俺は無意識に彼女の頭に手を添えていた。
決して強制的にフェラをさせるつもりではなく、むしろ止めるつもりだったのだが…………。
(そんな表面的な我慢なんて、美希の前では無駄なの~♪)
たっぷりと唾液をまぶしながら美希が何度も顔を上下させる。
時折甘く亀頭を噛んだり、指先で棹をしごく。
そして、俺が限界に達しそうになると責め手を緩めるのだ。
この繰り返しにすっかり体力を奪われた頃、美希がゆらりと身体を起こした。
「ミキのお口に抱かれた後は、何をされちゃうんだろうね? ハニー♪」
「お、おいっ!」
美希は車のシートを出来るだけフラットにしてから、俺を優しく横たえた。
そして今までは身につけていたブラとパンティをゆっくりと脱ぎ始めた。
薄暗がりの車内が、まるでビーナス像のように真っ白な美希の肌で照らされたみたいに感じる。
ふっくらとしたバストはおそらくFカップ以上で、しかも桃色の乳首はツンと上を向いている。
ダンスレッスンなどで鍛え上げた身体には余計な脂肪は一切ついていない。
腹筋などはむしろ少し縦に割れているくらいだ。
そして美希の秘所には、彼女の髪と同じく淡い色の毛がひっそりと生えているように見えた。
「ミキね、考えたの」
そっと左手でペニスを掴みながら、美希が俺にのしかかってきた。
「な、なにをだ……?」
「可愛いアイドルの顔と、ハニーの大好きなおっぱいを見せながら、いっぱい気持ちよくなってもらう方法を♪」
自分から可愛いといっても、美希の場合は許される気がした。
この身体に文句をつけられる人間など、おそらく男女関係無く存在しないだろう。
「な、なんだよそれ……ふああぁっ!?」
美希は俺の言葉を遮るようにペニスを自分の身体にこすりつけた。
ぬるりとした感触が俺の先端を舐めまわす。
生暖かさはさっきのフェラと同じだが、こ……これは……!!
「うふっ、これって『セイジョーイ』っていうんでしょ?」
「ちがうぞっ!」
「呼び方なんてどうでもいいの」
俺に呟きながら、美希は左手の動きを早めた。
「うあああぁぁ…………!」
ガムを噛むような音がどんどん大きくなる。
亀頭が熱い何かに包まれ、すぐに解放される。
美希の手の動きによってそれがなされているので、俺にはどうすることもできないのだ。
「ハニーの大事なところ、ミキにちょーだい?」
「ひいいっ!」
さっきのフェラとおなじ生暖かさが一気に広がった。
彼女が急に腰を沈めたのだ。
膣口による美希の愛撫で、俺は一瞬で虜にされてしまった。
「クスッ、こういう時は素直なんだね……」
(美希のあそこ、中がすごくうねってる……!)
燃えるように熱い膣内に包み込まれたペニスから、ドクドクと我慢汁があふれ出す。
はじめは苦しげな顔をした美希だったが、次第に表情が穏やかになってきた。
「きゃうっ! 硬いよ、ハニィ……♪」
彼女の腰がクネクネと前後に蠢く。
「動くな……ヤバい…………!!」
「嬉しくなっちゃう……ミキの身体で感じてくれてるんだよね?」
少女の膣内でこね回される快感。
それはあまりにも甘美な刺激で、俺が身動き取れない様子を見て美希は満足そうだ。
「ふふ、嘘ついでもダメだなの。コリコリしてて、今にも爆発しちゃいそうなんでしょ?」
いたずらっぽい笑顔を見せてから、美希が顔を寄せて囁いた。
「ねえ、ミキと赤ちゃん作ってみる?」
「なっ……! そんなの駄目だ、絶対駄目だぞ!!」
本気とも冗談とも取れない表情の彼女を見て、俺は慌てて首を横に振った。
「冗談なの。それは、ずっと先の未来で……しようね? だから今は気持ちよくなって、ハニー…………」
「み、み……はううぅっ!」
「こんな風にハニーは、ミキのオマンコでいっぱいいっぱいくすぐられちゃうの~」
美希は俺の胸に両手をついたまま、前後に動かしていた腰の動きを切り替えた。
「ほらぁ、腰もゆっくり回してあげる」
「ああぁぁ~、そんなに動かすなっ!」
「でちゃいそう? 今度は反対に回すの」
上半身はそのままに、まるで8の字を描くように腰をグラインドさせる美希。
俺は彼女の下で歯を食いしばって耐えることしかできない。
「あはっ♪ だらしないのハニー。もっともっと我慢強くならないと、毎日ミキの相手は出来ないの」
「くそっ……美希、こんなことされても俺は…………んぐ!」
「……今日はこのまま気持ちよくなって?」
抵抗する俺の口に、美希の唇が押し付けられた。
「ぷあっ……」
「すごく可愛いお顔なの。じゃあ、ミキがもう一度キスしたらそのまま射精していいよ? ミキのお顔を見ながら、ハニーのおちんちんは弾けちゃうの……」
(冗談じゃない!)
次のキスなど待つまでも無かった。
俺の我慢はとっくに限界を超えているのだ。
「み、み、美希いいいぃぃ! もう出すぞ! 早く抜いてくれっ~~!!」
「もう限界? じゃあハニー…………イって~~!! ちゅっ♪」
美希が焦らすように腰を上げた瞬間、俺は激しく痙攣しながら何度も腰を跳ね上げた。
そして優しく何度もキスをされながら、身体中の力が抜け落ちていくのを感じた。
「今日はこれくらいにしておこうね、ハニー♪」
ぐったりとなった俺をタオルで優しく拭きながら、彼女は微笑んだ。
美希の腰使いは、この短い時間で何度も俺を果てさせた。
「な、なあ美希……なんでこんな真似を?」
「先々週、ユニットのリーダーをミキに変えてくれたでしょ? それがね、すっごく嬉しかったの!」
俺の問いかけに、彼女は笑顔で答えた。
だが次の瞬間、声のトーンが下がり、表情も少しだけ曇った。
「でも、ハニーの心はまだ春香の方を向いてたよね?」
「えっ……?」
まさかこいつ、そんなことまで見抜いていたのか!?
たしかに先々週の段階で、新たにリーダーに選ばれて張り切る美希よりも、気丈な振る舞いを見せながら落ち込んでいる春香の方が心配だったのは事実だ。
「だから、今日は何が何でもハニーをミキのものにしたかったの!」
「美希…………」
「でもどうしたらいいか見当もつかなくて、困ってたの。そしたらハニーのほうからミキをホテルに連れ込んでくれたから、手間が省けたの!」
着替え終わった美希は、俺の顔を抱きしめながら犬のように鼻を鳴らした。
「くんくん……もうミキの匂いしかしないね?」
「や、やめろ……美希!」
「浮気しちゃ駄目だよ、ハニー♪ だから、あっちに戻る前にもう一回キスするの!」
美希は軽く俺に口付けると、にっこりと微笑んだ。
俺がこれから育てるビジュアルクイーンは、マイペースに見えて、結構恋愛には情熱的なのかもしれない。
(了)