【20XX年2月15日】


ぼんやりと数日前のニュースを思い出す。



今年は逆チョコがトレンドだとか。

まったく、どれだけ庶民に余計な出費をさせるつもりなのだろう……


「昨日は憂鬱だったなぁ」


別に何かを期待していたわけじゃない。

でも予想通りすぎというか……見事に何もなかった昨日になんとなく腹が立つ。


バレンタインデーの次の日、僕は部屋のベッドに寝転がってテレビを見ていた。



「今年は不景気だったからチョコも売れなかったのだろうな」


「ああ、そのようだ」


「えっ……」


テレビに向かってつぶやいた一言に対して、背後から返事がきた。

そのことに驚き振り返る。

悪魔のようなコスプレをした女の子が僕と同じようにテレビに向かって寝転がっていた!


「なっ、ななな……」


「おどろくな。良くあることだ……」


女の子はそのままフワリと浮き上がり、僕の目の前に着地した。

そして軽く腰に手を当てて微笑む。






(イラスト: でろ さん)



「昨夜の約束どおり、呼ばれてやったぞ。」


「僕は呼んでないぞ!」


「貴様……」


あらためて良く見ると、とても可愛らしい子だ。

角と翼は別として、しっとりとした光沢を放つ深紫の髪、少しツリ目だけどパッチリとした瞳。

胸はBカップぐらいだろうけど、全体的に均整が取れた身体。

その彼女がジト目で僕をにらんでいる!!


「淫魔に恥をかかせる気か!思い出せっ」

クワッ!


「ひいぃっ」

妖しい光を放ちだす彼女の目線をはずせない!

彼女の目が真っ赤に染まると、僕は全てを思い出した。





昨夜、部屋の明かりを消したあとしばらく眠れなかった。

でもそのうち意識が途切れ途切れになって……僕は夢を見た。


夢の中で暗闇に向かってポツリとつぶやいた。

『彼女がほしいなぁ。天使のように可愛い女の子』

『ずいぶんぜいたくな願いだな』

『じゃあ悪魔のような女の子でもいいや』

『それは本当か?』

『うん、可愛ければ何でもいい』

『わかった。では明日、契約の儀式を行うことにしよう』


夢はそこで終わった。

そしてしばらくして朝が来た。




「あ、あの……」


「なんだ?」


そして目の前には女の子がいる。

悪魔のように可愛い女の子が!


「キャンセル……できませんか?」

恐る恐る彼女にお伺いを立ててみる。


「ふんっ、何をいまさら。すでに仮契約は済んでいるのだぞ?」

「仮契約ってなにさ!?」

「お前がそんなことを言い出した時のために、すでに手段は講じている。」


彼女が僕の股間を指差すと、瞬間的にズボンとパンツがストンと床に落ちた!


「うわわわっ」

「恥ずかしがらなくても良いぞ。ほら、ペニスのくびれの辺りを見てみろ……」

言われたとおりに自分のナニを見つめてみる。


「あ、あれっ……なんだこのマークは!」

「それが証だ。お前の身体はすでに一部私のもの。私の身体も一部お前のものだ。」

三角形を二つ重ねたような印がペニスに刻まれている。

女の子はすっと手を上げて、僕に手のひらを見せた。

それは僕のペニスに描かれているものと同じだ。


「この印にはある魔力をこめた。お前を逃がさないためにな。」


「いったいどんな……あふっ!!!」


彼女の手のひらの印がチカッと光った瞬間、ペニスの神経がズキズキと疼きだした!

だがそれは決して不快なものではなくむしろ……


「今から教えてやる。その身体で感じるがいい。」

あきらかに快感だった。

ズキズキした疼きはやがて甘い痺れとなって僕の体中を駆け巡った。

身動きが取れない僕にそっと近づいた彼女は、手のひらをペニスへとゆっくり近づける。


「あっ、いい! なんだか強くなって……く」

「この印同士を近づけると、共鳴する反動でお前の身体に快感が流れる。」


「んあああぁぁ!」

触れられてもいないのに、とんでもない快感が僕を包み込む。

まるで10日間くらいオナ禁していたあとに、大好きな女の子に優しくシコシコされるのと同じくらいの刺激。

ガマン汁がドクドクあふれだし、切なげにペニスが震えている。


「こうやって色んなところを……」

女の子は大きくなったペニスの周囲を指先でクルクルとなぞる。

決して直接触れないように……でも空気越しに亀頭を揉み解すかのように!


「はあぁっっ、さ、さわって!!」


「ダ~メ。」

焦らされて悶絶する僕の身体に寄り添いながら、彼女はくすっと笑った。

その笑顔を見ただけで快感が増幅されてしまう!


でも触れてもいないのにこんなに気持ちいいんだから、直接モミモミされたら……


「やっぱり可愛そうだから触ってやるか。」


ニチュッ


すでにガマン汁でとろとろの僕のペニスに、突然しっとりとした細指が絡みついた!


「あああああああああああぁぁぁぁ!!!」

「おいおい、気持ちいいのはこれからだぞ?」

ピンピンに張り詰めた亀頭に優しく指を這わせる彼女。

その親指は裏筋の部分をググッと押さえ込み、さらに人差し指と中指でクリュクリュと先端を嬲ってくる!

透明なガマン汁を亀頭だけでなく、カリ首から棹全体にコーティングしつつ優しく撫で回す。






僕の腰は彼女の指先に踊らされていた。

ガクガクと震える膝。しかし魔力のせいで座り込むこともできない!



「うあ、んああっ!」

「そらそら……もっと気持ちよくしてやるぞ」


僕の表情を見て、あごの辺りに軽くキスをしてきた!

シコシコされるたびに、体中の神経が射精させてと訴えかけてくる!


「イ、イくー、あっ、あああ……だ、出せない!」

「ふふっ、慌てるな。」


くちゅくちゅくちゅくちゅ……

規則正しく彼女の指で揉まれるペニス。

射精したいのに……僕の意思に反していつまでも射精感がやってこない!?



「ちゃんと私と契約するか?」

「そんなこと……」

「ふむ、まだ抗うか。……心をきっちり折ってやる。」

彼女は空中で素早く印を結んだ。

すると急に僕の手足に力がまったく入らなくなって……

「あっ、く、くそっ……なんで!?」

「ほら、大の字にしてやったぞ。」

何らかの力で押さえつけられているかのように、僕はベッドに大の字に縛り付けられた!

彼女の手のひらから遠ざかったおかげでペニスは若干落ち着きを取り戻そうとしていた。
だが、次の瞬間彼女は僕の両足首を持ち上げた。

さらに彼女の右足が僕の股間をぐにっと踏む。

「な、なにを……」

「さあ、存分に悶えてもらおうか!」

この体勢は……まさか!まさかー!!

ぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐにぐに♪

「ぎゃああああぁぁぁぁ!!!やめっ、おああああぁ!!」

やはりこれは電気アンマ。

身体をひねろうにも動きが封じられている!!

「ふふふふ……はははっははああ!!」

とても楽しそうに足をぐにぐに動かす彼女。

「ぎひっ、ふぁめっ、くっ」

言葉を出すこともままならないまま、僕はなぜかイきそうになってしまった。

ペニスに響く直接的な振動。それにより物理的な刺激。

大事な部分を足で踏まれる屈辱……それも可愛らしい女性に。

なぜ快感で身体がしびれているのかもわからぬまま追い詰められる。

ひとつだけいえるのは、ここでイってしまったら負けだということだ!

「ぐぎぎぎぎ!!」

「ほう、いい顔をする……ではこれならどうだ?」

僕が耐え切ろうとする意思を見せたとたんに、彼女は足の動きをガラッと変えてきた。

くにゅっ、くにっ……くにゅくにゅくにゅ……

「ん……あっ、あああ!!!」

さっきよりもゆっくり足は動いている。

にもかかわらず快感の度合いだけが大きく跳ね上がっている。


「優しく足でクニクニされるとどうだ?」

心なしか彼女の表情も優しい。

不覚にもペニスからはドクドクとガマン汁が流れ、止めることができない!

足指で器用にペニスの先端を撫で回されたり、両足で挟まれてシコシコされる。

じわじわと快感が身体にしみこんでくる。


「は、むぐっ……な、そんなっ」

「ほら、気持ちいいといってみろ?」

言われるまでもなく自然に口が動きそうになった。

気持ちいい、と……この優しい刺激には服従してしまいそうになる。

そんな葛藤をする僕を見ながら、容赦なく彼女は淫らな足の動きを繰り返す。



「あんまり長引かせても可哀想かな」

「えっ?」

僕を見下ろしていた彼女が、すとんと腰を落とした。

大の字になった僕にまたがり、太ももでペニスを挟み込む。


「あっ……」

ふにゅっ!


「お前を一瞬だけ、快楽地獄に落としてやる。」

「な、なにを……んんん!!!」

ぷちゅっ♪

ペニスがすべすべの太ももに挟まれたのと、僕の唇がふさがれたのが同時だった。

ほっそりとしているのに弾力がある彼女の太ももの間で快感の悲鳴を上げるペニス。

奪われた唇に送り込まれる甘い吐息。さらに挿入される舌先。

どちらも僕を魅了するのに十分すぎる威力だった。


ぴちゅっ、くちゅくちゅっ、レロ……

決して逃げられない熱いキスと優しい拘束。

キスをされながらの生殺しスマタに僕は悶絶した!



(イきたい!イきたいイきたい……のに……いいいあぁぁ!!)

必死で腰を動かそうとしても無駄に終わる。

キスをされ続け、意識もぼんやりしてきた……


でもイきたい!

彼女の身体にブチまけたい!

本気でそう念じたときだった……


「フフフッ」

すっと離れる彼女の唇。

相変わらず勝ち誇ったような笑みを浮かべている。


「……さて、もう一度だけ聞くが」

「けけけ契約っ! す、するっ!するから早くー!!」

必死の形相をする僕を見て、彼女は満足そうだった。


「よし、では契約成立だな。」


彼女がパチンと指を鳴らす。

僕は自分の意思とは無関係に立ち上がった。

そのままクルリと背を向けると、僕のペニスは背後から柔らかい両手で包み込まれた。


「可愛い声で鳴かせてやるからな」

棹の部分を薬指と小指でふんわりと握り、はみ出した亀頭の部分を残りの指がまるでクモのように這い回る!


クニュクニュクニュクニュッ

ピチュッ、ピチュピチャピチャピチャ……


「ふあああぁぁ!!な、なにを……ふああああ!!」

身体をよじっても逃がせない快感。

こんなテクニックを味わったことはなかった。


「亀頭だけでイかせてやる。」

ぷくっと僕の先端が膨れ上がり、ジュワッと白い液が滲み出してきた。

だ、だめだもう……


「じっくりと快感を身体に刻んでやるからな。……さぁ、イけ。」

ドプッドプドピュピュピュピュー!!!



人生で一番長い射精。

声を出すこともできず、その快感に酔わされる……

僕の目の前が真っ白になって、そのまま意識が薄れていく……



「どうだ? 私のこと、気に入ってくれたか」

意識を取り戻した僕の前で、彼女は微笑んでいた。


「う、うん……すごい……こんなの初めてだよ」

「ふふっ、今夜からずっといっしょだぞ。」


再び彼女は僕に手のひらを見せてくれた。

そこには先ほど浮かんでいた仮契約のマークの中に、僕の名前が……


「よ、よろしく……」


夢の中で出会った悪魔と同居。

それでも彼女みたいな可愛いこといっしょなら、僕はそれでもいいと思った。








(了)