ようやく梅雨があけた。
先週までとは明らかに雲の形が違う。
空気の流れ、風の色も違って見える。
「また短い夏が始まるのですね」
穏やかな波の音しか聞こえない海岸で女性が一人、両手を空に向けて伸びをしている。
涼しげな白いシャツと膝丈のスカートとサンダル。
いたって地味な服装ではあるが、それが彼女の美しさを引き立てる。
真っ黒なセミロングの髪が夏の日差しを反射してキラキラしている。
「夏の海ってすごくきれい……」
その女性、議員・藤川ユイは晴れ渡った空をみて呟いた。
彼女が言うように東北の夏は短い。
ほんの少しだけ暑い思いをしたあと、秋が来てすぐに冬。
そして見慣れた雪景色。
真っ白な世界も悪くないが、ユイは短くても激しいこの季節のほうが好きだった。
「ねえ、あなたもそう思いませんか?」
「えっ!」
突然振り向いたユイの視線の先には電信柱に隠れた男の姿があった。
二十代前半と思われるその男性はTシャツとジーンズという服装でありながら、どこかこの海の町には似合わない雰囲気をかもし出していた。
彼は東京から取材に来た記者だった。
手には高性能コンパクトカメラが隠されていた。
しばらくして二人は近くの喫茶店に移動した。
ユイはアイスティーを頼み、彼にはアイスコーヒーを勧めた。
「あなたが仕事熱心なのは認めますけど、困ります」
「…………」
ユイの正面に座らされた男性はまだ現実を理解できずにいた。
気配など全く感じさせずに死角で息を潜めていたはずなのに……なぜ気づかれたのだろう?
正確には彼は記者ではなかった。ある写真週刊誌専属のカメラマンだった。
テーブルの上には一冊の写真週刊誌と先ほどまで隠し持っていたカメラが置かれている。
「別に取材はお断りというわけではないのですが、露骨にストーキングされるのはちょっと困ります」
運ばれてきたアイスティーを飲みはじめるユイ。
その何気ない姿さえどこか上質な風格を感じさせる。
いつも隠し撮り専門の彼が真正面からターゲットと向かい合うことは皆無だ。
目の前のカメラを手にとって、彼女の姿を撮りまくるのが彼の生業なのだがユイの雰囲気がそれを許さない。
「先週のあれは勉強会なの。真実を話したところであなたたちは興味ないのでしょうけど」
勉強会、というのは先週彼がスクープした写真に関連する。
ユイが議員仲間と一緒に歩いているのを見かけた彼が何枚か撮った写真が雑誌に掲載された。
それがテーブルに置かれている雑誌のトップ記事だった。
雑誌の発売後、彼は雑誌社から数万円の謝礼と今週この町に滞在するための資金を受け取った。
カメラマンとしての腕を見込まれ、藤川ユイのさらなるスクープショットを期待されている。
「あ、あの……」
「どんな風に記事にされるのか気になりますけど、個人的な感情としては愉快ではないですね」
正面から写真を撮らせてください、と言いかけたときにユイに機先を制された。
彼はしかたなくその一言を飲み込んだ。
そしてしばらくの沈黙。
年齢で言えば少しだけ上の美しい女性。
しかしこの場を支配しているのは紛れもなく彼女であった。
男はここにきて自分がユイに軟禁されているのではないかという錯覚に陥った。
(それにしても本当にきれいな人だ)
彼は素直にそう感じていた。
憂いを含む大きな瞳と長いまつげ。
エアコンの風に揺れるサラサラの髪。
真っ白で細い指先、シャツのすそから見え隠れする素肌など魅力的な部位を上げればきりがない。
事前に手に入れた写真を見る限り、背が低くて幼時体型だと認識していたのだがこれも大間違い。
実物と写真は似て非なるものだと思い知らされた。
とにかくユイの体は細いのだ。
顔立ちにしてもネットで見るメイクばっちりの写真よりも、スッピンに近い今の彼女のほうが美しいと思う。
その美しい女性に対して自分は不快感を与えてしまった。
彼は黙ってうつむいて少しだけ反省した。
そんな彼の様子を察したのか、場の重い空気を切り裂いたのはユイだった。
「そのカメラ、実際にどれくらい私の写真を収めたのです?」
特に怒りを感じさせるでもなく、本当に興味本位といった風にユイは彼に問いかけた。
「だ、だいたい120枚くらいかな……」
「ふーん、すごいですね」
彼はとっさに嘘をついた。
本当の撮影枚数は120枚を大幅に超えている。
雑誌社のためだけでなく、彼は色んな角度からユイの姿をそのカメラに収めていた。
単なるメシの種としてだけでなく、彼女は被写体としても申し分ないのだ。
カメラマンの本能として、美しいものを自分のカメラに残したいと思うのはごく自然なことである。
「ねえ、ダブルアップってご存知ですか?」
「えっ? ダブル……??」
突然の問いかけに彼は言葉に窮した。
目の前にはうっすらと微笑みを浮かべたユイが彼の言葉を待っている。
何か答えなきゃ……とは思うのだが、答えが見つからない。
しばらくしてユイのほうから口を開いた。
「カードゲームとか詳しくないですか?」
仕事ではともかく、彼はあんまり賭け事をするタイプではない。
ユイの言葉を聞いてから静かに首を横に振った。
「まずトランプの山から一枚引いて、カードを伏せます」
「はい……」
「その伏せられたカードの数字が7より大きいか、小さいかを当てるゲームのことです」
数字の大小を当てるだけの単純なゲーム。
それが彼とユイにとって何の意味を持つのか……
「勝てば持ってるコインが二倍になります。負ければゼロですね」
カラン……
ユイの飲んでいるアイスティーの氷が音を立てた。
彼女が何を言いたいのか良くわからないが、彼は黙って相槌を打つしかなかった。
「そのダブルアップゲーム、私としてみませんか?」
「え? ゲームですか……?」
「あなたの持ってる写真を賭けて、あなたが勝てば好きなだけ私のことを撮らせてあげます」
す、好きなだけ……?
その言葉が彼の判断力を鈍らせた。
確かに自分はユイの弱点となりうる写真を何枚か撮っている。
それをなんとかしたいというのが彼女の思惑だろう。
しかしそのために自分の身をかけてユイはゲームを仕掛けてきたのだ。
「ぼ、僕が負けたら……?」
「あなたが負けたらひとつだけ言うことを聞いてもらいます。写真の没収かもしれないし、そうでないかもしれないし?」
悪い話じゃないでしょう、といったふうな視線をユイは彼に送った。
少しだけ考えた末に彼は首を縦に振った。
「交渉成立ですね。場所を変えましょう?」
ユイはテーブルの脇にあった伝票を手に取ると、席を立った。
彼に背を向けてから彼女は密かに小さく笑った。
「ここなら誰にも邪魔されないですわ」
彼が案内されたのは海から少し離れた別荘地のログハウスだった。
聞くところによるとここは彼女の家がいくつか所有している別荘のひとつらしい。
「最近あんまり使ってないけど、それほど汚れてはいないでしょう?」
「は、はぁ……」
大きさで言えば2LDK程度だが、彼女が一人で使うには問題ない広さだろう。
ここに来て彼は大変なことに気づいた。
(あ……僕は今、あの「美しすぎる人」と二人きりだ!)
さっきまでは海辺で彼女に見つかり、仕事が失敗したことやその後の喫茶店での話で頭がいっぱいだった。
しかしダブルアップゲームのことで軽く混乱したままここまで連れてこられてしまったが、間違いなく今はユイと二人きりである。
(ここでこの人を押し倒したらどうなるのだろう)
よこしまな思いが頭に浮かぶ。
だがユイの次の言葉で彼はその妄想を打ち消した。
「暴力とか、へんなことしたら人を呼びますよ?」
チラリと彼女の手に見えたのは小さなリモコンのようなものだった。
おそらく警備会社に直結している非常ベルだろう。
「それで、ここでカードゲームするんですか?」
「いいえ、違います。トランプならどこでもできますし」
彼は気を取り直してゲームの内容を聞いてみた。
「実は、試してみたい技があるのです」
「技って……?」
「そうですね、20分くらいでいいですわ」
「えっ? あの、えええええ!?」
ぱさっ……
突然、ユイがは彼に背中を向けた。
そのまま着ていたシャツを脱ぎ始めたのだ!
カメラマンにとってはとんでもないシャッターチャンスだがそれどころではなかった。
目の前で起こった出来事に驚いたまま彼は固まってしまった。
そのまま彼女はゆっくりとシャツとスカートを脱いで、彼のほうに向き直った。
下着というよりは水着のようなブラとパンティだけの姿。
ユイは着やせするタイプなのか、下着の中の胸もすごく形良く膨らんでみえる。
「今から20分間、あなたの体を私の自由にさせてくれたら全部脱いであげます」
無意識に顔を真っ赤にしている彼を見ながらユイはくすくすと笑った。
「その間、写真も撮っていいですよ。とりあえずスクープになるんじゃない?」
魅了されたように彼女を見つめていた彼の目の色が変わる。
スクープという言葉に彼のカメラマン魂がうずいた。
「ハダカになってくださる?」
「は、はい……」
言われるがままに彼は服を脱ぎだした。
「ベッドの上で仰向けになって脚を開いてくれますか?」
「…………」
美女に命令されるような形で恥ずかしい格好を取る。
これも勝負だと自分に言い聞かせつつ、彼はその言葉に従った。
「勝ち負けはどうやって決めるのです?」
「そうですね……」
ユイは少しだけ考えてから答えた。
「あなたが『参りました』っていったら私の勝ち。あと、逃げ出したり私の言うことに逆らったらあなたの負け」
「どうせ僕に無茶な注文するのでしょう? ずるいや」
「私からの条件はあなたにベッドの上でじっとしていて欲しい……それだけです」
ユイは迷わずに答えた。彼女の言葉には嘘はなさそうだ。
そういいながら彼女はベッドサイドから目覚まし時計を取り出した。
「さっきもいったようにカメラ使ってもいいですよ。じゃあ今から20分、はじめましょう?」
にっこりと微笑むユイを見て、彼はコクンと頷いた。
ベッドの上で大の字になった彼は、これからおきることの全てをカメラに収めようとしていた。
「実はね、こうやって……」
カメラを構える彼を見ながら、ユイは彼の足の間に尻餅をつくような格好になる。
淡いパステルカラーのストライプは年齢よりも彼女を子供っぽく見せた。
(すごい! 藤川議員のこんな姿を撮れるなんて)
何度も何度も彼はシャッターを押した。
下着姿とはいえその光景は男の欲望をそそるには充分なものだった。
「男の人を脚でイかせてみたかったのです」
彼の股間は既にユイの刺激的な体に反応していた。
ほっそりとした右足が彼の硬くなりかけたペニスにそっと触れる。
(うああああぁぁ……!!)
甘い痺れが股間をとろけさせる。
ほんの少し足を乗せられたそれだけで、ユイに全てを捧げたくなってしまう衝動。
だがカメラマンとしての本能が彼を支えていた。
「そのための練習台が欲しかったのですが、なかなか元気のよさそうな男性がいなくて」
そっと乗せられた足が前後にゆっくりとスライドし始めた。
亀頭の表面にぬるっとしたものが浮かび上がる。
「あなたを見たときにピーンときました。タフな感じがしたので」
ユイの小さな親指が早くも浮かび上がった彼の粘液を感じ取り、ぐりぐりと強めに刺激し始める。
滑らかな動きで足指がペニスの先端をつまみこむと、思わず彼の口から嗚咽が漏れた。
「でも、思ったより感じやすいのね?」
ユイの右足だけでなく、今度は左足も参戦してきた。
亀頭の部分を確かめるように左足の裏でなで上げる。
(はぁ、はぁ……包まれたぁぁ!)
彼の両足は既に快感をこらえようと突っ張っている。
ユイはちょうど彼の足の間に胡坐(あぐら)をかくような姿勢になった。
「足で踏まれてるのに気持ちいいでしょう?」
左足と右足を交互に滑らせる。
ペニスの側面を挟み込み、親指や人差し指で男の我慢汁を薄く全体にまぶす。
「これって男の人にとっては屈辱みたいですね……でも」
裏筋の部分を優しく上下に撫でられるととんでもなく心地よい。
無意識にシャッターを切る回数が減っていく。
ユイの甘い足技がカメラマンの彼をゆっくりと蝕んでいく。
「気持ちと体は正反対だってこと、教えてあげます」
少しずつ無口になる彼を見下しながら、ユイは次の攻撃に移った。
時間はまだ一分を過ぎたばかりだ。
「足の指先で先っぽを掴みますね」
彼女は足指をくぱぁ……と開いたまま見せ付けるように彼の顔の前に足を伸ばした。
形の良いユイの美脚を見せ付けられながらの愛撫予告。
(この足でじっくりと嬲られたら……ヤバイ!!)
どんな男でも快感から逃れられないと思わせるには充分な挑発。
彼の視線がユイの顔に向いた瞬間、彼女はペロリと舌なめずりをした!
ゆっくりと足をペニスに近づけてからまるで手コキをするように足指で亀頭を押さえ込んだ。
そのままじんわりと締め付けられながら上下に揺らされるペニス。
キニュウウゥウゥゥ……
(うあ、ぐあああぁぁ、ああああ!)
ゴトンッ
彼が構えていたカメラがベッドの下に落ちた。
だがユイの足で犯されている彼は気づかない。
妖しくうごめく指先が彼の手からカメラを奪いさった。
「シコシコシコシコ……うふふっ、気持ちいいでしょう」
無意識にベッドの端を握って声を押し殺している彼をユイは楽しそうに見つめた。
亀頭と棹を責めている足を少し緩める。
「足の甲でタマタマを持ち上げつつ、踏み潰すとですね……」
今度は今まで責めていなかったペニスの根元のほうに足を忍ばせた。
そして睾丸をコロコロと転がし始めた。
「あ……うううぅぅ」
刺激が一段落した彼は自らの股間に伸びた足を目で追った。
ユイがいたずらっぽい表情でこちらを見ているのがわかる。
(今度は何だ……!?)
指先でチョンチョンされているだけで腰が浮き上がりそうになる。
激しい刺激じゃないのに耐えられない!
「ああっ!」
突然ドクッと何かがこみ上げてきた。
だが彼はその刺激に何とか持ちこたえた。
ここで射精したらもったいない……無意識でそう思った彼は、すでにユイの足調教で狂い始めていた。
「あら? だいたいの殿方はここでイってしまわれるのですけど、さすがですね」
感心したようなユイの言葉になぜかほっとした。
だがもちろん彼女の責めがここで終わることはない。
「でもこれでおしまい。今度は足の裏で挟みながら指先で揉んであげます♪」
股間にもぐりこんでいた彼女の両足がペニスを左右から挟みこんだ。
もはや今までの責めでヌルヌルになっている足指全てを使ってユイは彼を射精へと導いていく!
「どうですか? かなり練習したんですよ」
「うっ、はっ、あっ、いやだ……イっちゃう!!」
「クスッ……そうですよ、もうすぐイっちゃうのです」
「足でなんか……あああああぁぁ!!」
「くすっ……ヘンタイさん♪」
ユイの容赦ない足コキは彼に我慢することを許さなかった。
亀頭と棹を包み込みながらの巧みな愛撫に、とうとう彼のペニスは白い欲望を吐き出してしまう。
「あああああああああぁぁぁ! イクー!! もうっ、ああぁぁ」
何度も大きく体を痙攣させながら彼は大量の精液をベッドに撒き散らした。
「ドプドプ出てますね……うふっ」
射精直後で息も途切れ途切れの彼に向かってユイは優しく微笑む。
「じゃあもう一度搾ってあげます」
「えっ……ちょ、ちょっと待って」
「逃げたらあなたの負けですよ? 男ならこのまま耐え切ってご覧なさい」
「くそっ……」
そっとしておいてくれ、と言おうとした彼の言葉を簡単に捻りつぶす。
何も言い返せずに悔しそうに自分を見る男を見て、満足そうにユイは言った。
「そうそう……それでいいのです。もっと気持ちよくしてあげますから」
男の体の上に飛び散った精液を足先につけてローション代わりにする。
その様子を見てヒクヒク震えていた彼のペニスが硬さを取り戻し始めた。
「ねえ、私の中に入れたいですか?」
少し前かがみになって問いかけてくるユイを見て、コクコクと首を縦に振る。
こうして獲物を少しずつ従順にしていくのが彼女の常套手段だった。
「入れたい……です……」
「まだダメです。足コキにも耐え切れないのに私の中に入れたら、あなたが壊れちゃいますわ」
「そんな……あああああああぁぁ!!!」
残念そうにする彼のペニスをニチャ……っと踏みつけてやる。
予想通りもう足奴隷になりかけている相手を見て、ユイは淫らにつぶやいた。
「もう壊れかけてるみたいですけどね……」
ゆっくりした動きから徐々にペニスを擦る速度をあげていくと、さっきまでは声を押し殺していたはずの彼が喘ぎ始めた。
「ほらほら、まだ十分しか経ってませんわ。もっと可愛がってあげます」
今までは解放していた彼の両足首をユイは両手で掴んだ。
そして今までよりも少し広げることで彼をさらに辱めることにした。
「こんなにされちゃって……恥ずかしいですね?」
「おねがいします、アソコに入れてええぇぇぇ!」
「ダメですよ。今日は足だけ。あなたは私の足技の練習台なんですから」
ユイにしてみても本当は挿入したくてたまらない気分だった。
このタイミングで熱くなった肉棒を自らの中に導きいれたらどれだけ気持ちいいことだろう。
だが今日はその気持ちを押さえつけ、目の前の獲物の心を自分色の染め上げることに専念した。
「女にアソコを踏まれて喜んじゃうヘンタイさんにしてあげますわ」
快感と屈辱の中で彼は葛藤していた。
目の前の美しい女性に与えられるまま快感にふける自分を恥じつつも、逃れられないという現実。
「今度は先っぽ潰してあげます……このままイって!」
ユイの命令口調に反応するかのようにペニスの先が固くしこってきた。
射精が近い……そう感じたユイは少し強めに裏筋部分を踏みつけてやった。
「はああぁぁぁ、イクっ、あっ!!」
彼はもう全身がとろけさせられてしまったかのように我慢がきかない。
数回の痙攣のあと、あっけなく大量の精液を撒き散らした。
「もうメロメロですね……」
そして20分が経った。
結局最後まで彼は「まいった」とは言わなかった。
ルール上では彼の勝ちだが、この美しい市議は初めから負けることなど考えていない。
快感で腰も立たなくなっている彼の体と呆けた顔を枕の下に隠しておいたカメラで何枚も撮影し始めた。
「はい、チーズ♪」
「えっ……」
パシャッ、パシャッ
「あ……あああっ!」
「私の気持ち、少しは理解していただけました? フ○イデーの記者さんがフォーカスされちゃうなんてみっともないですわね」
ようやく彼も自分が何をされているのかわかったようだ。
だが思うように体は動かない。徹底的に射精させられ、体力を奪われた後のユイの反撃。
まさか性技で骨抜きにされてからこんな仕打ちをされるとは考えてもいなかったのだろう。
「これ、知り合いに売りつけます。その後どうなるのかわからないけど。ネットで出回るのかな? ふふっ」
「そ、そんな……ひどい……」
もはや是非もなかった。
彼は自分の持っているすべての写真を彼女に差し出すというしかなかった。
だがユイの静かな怒りは収まらない。
「あなたが私専属のカメラマンになってくれるなら考え直してもいいですよ? 報酬は私の足責めですけど」
ユイの言葉に彼は従うしかなかった。
どの道こんな快楽漬けにされた体ではしばらくユイ以外では満足できないだろう。
「ダブルアップ失敗ってところでしょうか?」
彼女が言うように、彼は賭けに失敗した。
そして全てを失った。
こうしてまたユイの手駒が増えていく……。
(了)
イラスト:みかみ沙更さん
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