※こちらはグッドデイズメーカー(GDM)さん作品の二次創作となります
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『レディの戯れ』 文:11-47
一瞬の出来事といっても差し支えない、本当に数秒間にも満たない時間で……
俺の束ねる特殊部隊は行動不能に陥った。事実上の壊滅だ。
何が起こったのか俺にも説明できない。
状況の分析すら不可能だ。見渡す限り息がありそうなのは俺一人。
無理やり立ち上がろうとして、歯を食いしばった途端に口の中が切れて血の味が広がる。
「ぐうぅっ! ガフッ!!」
そして俺の意思に反して全身の筋肉が全てを拒絶する。
目の中も充血しているらしく視界は赤く染まりつつある……そんな中、周囲に散らばる仲間の肉片の合間を優雅にすり抜けて一人の女声が俺の目の前で足を止めた。
「この国の男性って女性を見ると誰でも口説くって聞いてたけど、貴方たちは違うのね? いきなり襲い掛かってくるんですもの」
「……黙れ、この化け物め!」
「化け物? 私が?」
歯ぎしりしながらこいつを睨みつけるが、相変わらず体中に力が入らない。
「俺に、俺達に一体何をした!!」
呼吸するのに精一杯でまともな思考力も低下しているというのに……気を抜いたら一瞬で魅了されてしまいそうだった。
憎まれ口を叩いてみたものの、俺は物静かな目の前の敵に見とれていた。
「…おまえが『レディ』なのか」
「ふふふ、そうね」
どんな上質なワインよりも鮮やかでビロードのようになめらかな赤い髪。
強い意志を伺わせる真紅の瞳と、下手なファッションモデルよりも整っている顔立ちとグラマラスなスタイル。
知識を漂わせる口調と優雅な立ち振舞い。
悔しいけどこいつは美しすぎる。
今回の作戦コードは「ヴァンパイヤ」だったはずだ。
だからさっき口をついて出た言葉が「化け物」ではあったが、こんな美しくて無防備な存在だとは聞かされていなかった。
しかし俺達は全員、確実にこいつの持つ何らかの力によって倒されたのだ。
――レディ・バンパイヤ。吸血鬼の王、七大悪魔の一人。
その他にも忌々しい名前をいくつもつけられている人類の敵。それがこの娘だった。
「こんな小娘に…俺は、俺達は――!」
「悲しいわ」
真っ赤な瞳に睨まれているだけなのに、まるで肛門から氷柱を打ち込まれているように体の震えが止まらない。
生物として絶対的に上位の存在が下位の者に向ける威圧感。この美しく細い体から感じられるのはそれだった。
「くっ、そがああっ…」
どんなに力を込めても指先を動かすことすらほとんどできない。
(なんでこんな、う、ぐぅ、もう好きにしやがれ……!)
背中だけでなく手足全てに数百キロのおもりが乗せられているように感じる。
「貴方、今すぐにでも死にたいって表情をしてるけど……それもまた悲しいわ」
嘲笑でも哀れみでもなくレディは淋しげな顔をしていた。
絶世の美女と表現しても過言ではない。どんな彫刻よりも整った横顔が憂いに満ちたため息を吐く。
「早、く…ぉ、俺をっ、殺せぇぇ!」
「でもそれは貴方が決めることかしら?」
「ぅくっ…………」
必死の思いで絞り出した言葉もあっさりと却下される。
やはり思ったとおりだ。こいつにとっては人間を殺すことなど造作も無いこと。
俺にかぎらず人間はこいつの不気味な「力」に敵わないのかもしれない。
レディの戦闘力については全くの未知数で、とにかく近づくなという指令は受けていた。
それゆえに遠距離からの狙撃を軸に作戦を組んでみたものの、狙撃手は配置についた瞬間に何故か即死。
仕方なく近距離攻撃に移ろうとしたが、武器を構えたものは皆死亡した。
とにかく対応策がないのだ。
そして残存戦力で接近戦を選んだ時、俺達の部隊は彼女に殲滅させられた……ということになる。
「でも勇ましい男は嫌いじゃないわ。だから試してあげる」
スッとしゃがみ込むレディ。
真っ赤な髪が揺れて甘い香りが立ち込める。そして――、
「貴方の意志の強さが見たいの」
「っ!」
レディの瞳が妖しく輝いた瞬間、俺の体が勝手に動いた。
俺の心とは無関係にうつ伏せの姿勢から片膝をついてゴロンと転がる。
そこで初めて俺は悟った。この吸血鬼は血液を吸わない。その代わり人間の体を何らかの方法で操ることができるんだ!
サワ……
「なにを…………んふあああぁ!!」
レディにそっと触れられた俺の左胸が甘く疼きだす。
「私に触れようとしたものは区別なく殺すけど、私からヒトに触れるのは問題ないでしょう」
完全に人間全体を見下した発言なのに、その口調には蔑んだ節は感じられない。
その真っ白な手が胸に触れた瞬間……俺の体がビクンと跳ね上がった。
「あ、ああぁぁ……なっ、なんだこれは!」
ほっそりとした指先がゆっくりと俺の胸をなぞる。
ただそれだけなのに魂が快楽漬けにされたみたいに震えている。
レディが静かに触れるだけで、その部分は快感で切り刻まれて周囲に波紋を広げる。
皮膚の表面が敏感になり、空気が揺れるだけで前身が泡立つように心地よくなる…
「光栄に思いなさい」
レディはゆっくりと五本の指を広げてみせた。
そして俺の顔を両手で挟みこむようにして一本ずつ指先で頬をくすぐり始める。
「んあっ、あああぁぁ!?」
「不思議でしょう? 手のひらが触れてるだけなのに……」
本当にレディの言うとおりだった。彼女は指先を頬に這わせながらゆっくりと俺の顔を撫でまわす。
ただそれだけのことなのにハチミツを煮込んだように甘い快楽が俺の神経を直接刺激してきた。
ビクッ、ビクンッ!
(があ、くそっ、鎮まれ……!)
俺の上にフワリと馬乗りになってしゃがみ込むレディ。
彼女の体は触れていないものの、美しすぎる顔がすぐそばにあった。
長くやわらかい髪に体を撫でられ、目をそらしたくなくなるほど魅力的な微笑みが数センチのところまで迫っている。
「貴方はもう自分自身を制御できない」
サワ……サワサワ……
「ンあああっ、あはは、あっ!」
わけの分からない言葉を吐き出すように俺は喘いだ。
(気持ちいいっ、なんでこんな、これだけのことで俺がああああぁぁ!!)
まるで童貞にでもなったかのような、いや童貞だってここまで恥ずかしく感じたりしないだろう。
俺の体を駆け巡る血液が全て媚薬になったような感覚。息を吸っても吐いても状況は変わらず、僅かな動きが全て快感にすり替えられてる。
ドクンッ、ドクンッ!
心臓の音が今までにないほど高鳴ってる。
自分の体の中で何かが動いているだけでも快感だった。
「素敵な音が聞こえるわ」
「ぁあ、はあああぁぁ…………!」
俺を見つめたままのレディと目が合った。全てを見透かすような真っ赤な瞳が少しだけ細くなる。
(こいつに見つめられてるだけで、身体がどんどん熱くなっていくうぅぅ!)
まるで大好きな、あこがれの美少女に告白されたままセックスになだれ込むような、異常な興奮のせいで全く落ち着かない。
俺のペニスは既に限界まで張り詰めており、少しの刺激で射精してもおかしくない状況に追い込まれている。
レディは俺の上半身を丁寧に脱がせて裸にすると、再び顔を寄せて今度は俺の両脇の下から腕を通して抱きかかえてきた。
「ふふふふ……」
ギュムッ!
(む、胸があああぁぁっ!!)
服の上からでも解る極上品。
美術品のような清らかさを持つレディのバストが……俺の胸に押し付けられている。
それは潰れた楕円形のまま男の体を押し溶かすように、心地よく淫らに揺れて俺を狂わせる。
「ぎひいっ、んあっ、は、はなれ……!」
「もっと楽しませて? 体の内側から抱きしめてあげる」
チュルッ♪
「!!!」
今度は頭の中が……やられた。
静かに顔を寄せてきたレディが、ピンク色の舌先で俺の唇をゆっくりと舐め回してきたのだ。
(こ、こい……つ、ああぁぁぁ!)
とろりとした唾液をたっぷり含んだレディの舌先が、今度は俺の口の中に忍び込む。
差し込まれた瞬間、俺の全身はブルブルと震えだした。
「あ、あぁが、ぁ……」
俺の唇を犯しながらレディの両手はゆっくりとむき出しの上半身を這いまわっている。
指先が乳首をかすめるたびに俺は喘ぎ、手のひらが皮膚に吸い付くたびに俺は悶え、爪の先で細かくくすぐられるたびに俺は狂ったように痙攣した。
しばらくして脳みそまで念入りにしゃぶられたようになった俺は、思考がとろけ手足もしびれきったままになる…。
ペニスはもう破裂寸前なのに、レディは一切触れようとしない。
もしも彼女がこのまま俺の股間に腰を下ろしたら、おそらくその刺激だけで今までで一番の射精ができるだろう。
グイッ…
「うっ!」
彼女の両手が俺の方を抑える。
そして蕩けきった俺の顔を見つめながら静かに命令した。
「私に堕ちなさい」
ドクンッ!!
その瞬間、俺の魂が彼女に包まれた。
真紅の瞳に魅入られたまま腰が大きく跳ね上がる。
「ぎっ、イ、いぐううぅうぅぅ!!!」
ビクッ、ビクンッ、ビククッ!!
体も心も完璧にイかされた…それなのに…
訪れるはずの至福の時が来ない。
「残念ね。外には出せないわ」
空打ちを繰り返す俺の下半身を嘲るように、レディが無造作に腰を下ろす。
「ああぁぁ……」
美少女の細身の尻が俺を、ペニスを押しつぶす。
その幸せな圧迫感と、じんわりした重みがさらなる射精感を引き出そうとするが、やはり出ない!!
「な、なん、でええええぇ~~!!」
「貴方を征服したわ。このままゆっくり搾り出してあげる。貴方を見つめたまま」
さらに俺を地面に釘付けするように、レディは騎乗位の体勢のまま上半身を俺に預けてきた。
全身に彼女を感じることで俺の興奮は限界を突破するが、今度は金縛りにあったように身動きがとれない!
「私達は血を吸うわけじゃないの。血を操ることでヒトから自由を奪えるの」
「ッ!!」
「今は貴方の性器の周りを中心に操ってるわ。だからほら、射精できないでしょう?」
ビクッ、ビクンッ!
レディの手が俺の局部をまさぐる。
暴力的な快感が押し寄せるのに、根本が締め付けられたように発射できない。
きっと彼女の言うとおり、俺の身体は内部から操られている。
「だ、出させて! イかせてくれええええぇぇ!!」
俺が懇願すると、レディは顔色を変えないまま少しだけ目を細くした。
ジワ……
「あっ!う、ううぅぅ」
ペニスに現れた確実な変化。
レディの許しを得たのか、本当に少しずつ……俺の身体に射精の快感が広がり始める。
ポト……ポトッ……
「あ、あっ、あああぁぁ!」
しかしおそらく一滴、もしくはそれより少ない量で漏れだす精液は寸止め以上の残酷さで俺の精神を急激に蝕み始める。
数分間かけても一度の半分にも満たない射精。
レディはその様子を見て冷たく微笑んでいるのだ。
「こ、これっ! おがしくなっぢゃうううううううぅぅぅ!!」
「壊れても狂ってもいいのよ? 貴方にとってこれが最期の景色なのだから」
一瞬で俺の部隊を全滅させてしまった彼女にとっての楽しみは、俺の身体を弄んで有り余る時間を潰すだけなのかもしれない。
終わりのない射精感の中、俺の意識は……段々……薄れていった…………。
(了)
※こちらの作品に関する元ネタは、下記のリンクから覗くことができます
グッドデイズメーカー様 「ハートピストル」