「はぁ……」

 今年で社会人二年生だというのに、会社に向かう途中で思わずため息を吐いてしまった。
 もう六月だというのに季節外れの五月病まっさかりだ。
 毎朝起きるのがつらい。仕事以前に気力が半減してしまう毎日。
 
 僕の名前は伊藤修一郎(いとうしゅういちろう)。
 もともと学生のころから早起きは得意じゃなかった。
 でも会社に入ってからの一年は緊張感のせいか、そんなに起きるのは苦労しなかった。
 しかし最近は……とにかくキツい。サボりたい。でもサボれない。
 全国のお父さんたちは毎日こんな思いをしていたんだね。
 そんな僕の背後に軽やかなヒールの音が近づいてきた。





「伊藤君、おはようございます」

「あ……ども」

 フラフラとよろめく僕の脇を、一人の女性が颯爽と駆け抜けていった。
 いや、実際は早足で歩いていただけなんだろうけど……
 駆け抜けたように見えたのは僕があまりにもノロノロ歩きをしていたからだと思う。

 朝の日差しを浴びてわずかに栗色に輝く黒髪。
 透き通るような白い肌をほんのりとピンク色に染める薄化粧。
 紺色のタイトスカートからはすらりと伸びた脚が覗いている。

 彼女の名前は美咲優子(みさきゆうこ)。スタイル抜群の同期の女性だ。
 昨年入社して、研修直後から総務人事部秘書課に配属。
 先輩女子社員からのいじめにあうこともなく同期の女子社員の中ではピカイチの評判。
 もって生まれた美貌だけでなく仕事もてきぱきとこなす彼女は今では受付嬢として対外的にも受けがよく、取引先にもファンがたくさんいるらしい。
 もはや会社の顔としても有名な美人だ。
 かくいう僕もひそかに思いを寄せている一人ではあるが、まあ到底叶わぬ思いだろう。
 僕の部署(営業部)は何かと彼女が所属する部署と衝突している。
 少なくとも良い印象はないはずだ。

「あんな人と一度でいいから……してみたいな」

 まるでモテない男の独り言……そんな自分に苦笑い。
 とても同い年とは思えない理知的な彼女と、あんな場所で出くわすなんて夢にも思っていなかった…………。







 それからしばらくしたある日の夜、僕は会社の資料室に閉じこもっていた。
 先輩から依頼されたデータ収集が思いのほか難航して、結局今日もサービス残業…………

「はぁ~…………きついわ、こりゃ」

 先日の朝よりも重いため息。今日も終電なのかなぁ。

 カチャッ

「ん?」

 確かに今……ドアの開いた音がした。反対側の入り口だ。
 この部屋はたくさんの資料が収められているので会社の中でも割と広い。
 出入り口も3つある。
 普段なら人も多く小さな物音など気にならないのだが、今は夜更けだ。

(誰だろう……?)

 僕は資料室の奥のほうにいたので、誰が入ってきたのかは見えない。
 なんとなく息を潜めて様子を伺うと、なんと秘書課の美咲さんが男性と一緒に!!

(これはまさか……社内恋愛!? うわぁ……やばいところに居合わせちゃったな)

 戸惑う僕をよそに、入り口のほうから衣服を脱ぎ去る音が聞こえた。
 さらにつづく粘着質の音……

 ピチャッ、ぷちゅっ……

「あっ、あんっ!!」

「ゆ、優子さん……」

 ますますエスカレートする二人の情事を僕は遠めで見ていた。
 とにかくここから逃げ出したい……そんな思いが膨らんでいく。

(あわわわ…………でも待てよ……?)

 冷静に考えれば、同期の高嶺の花である美咲さんの裸が見えるかもしれないんだ。
 僕のスケベ心がむくむくと湧きあがり、逃げ出したい気持ちを押さえ込んだ。
 書棚につかまりながら少し背伸びをしてみる。
 美咲さんが男に覆いかぶさっているのがみえた!
 小さな手のひらが男の顔を挟み込んで固定しているところに情熱的なキスの嵐……

 相手の男は美咲さんのなすがままに唇をむさぼられている。

(うわあぁ……)

 彼女にあんなキスをされたらたいていの男はメロメロだ……
 その光景を見ているだけで僕のペニスはカチカチになってしまった。

(も、もう少し……近くに)

 そーっと近づきながら背伸びをする。
 彼女の白い太ももがはっきり見えたところで、不覚にも僕はテーブルの角に腰をぶつけてしまった!
 ガタッという物音に反応して美咲さんが振り返る。

「誰っ!?」

 しかし彼女が僕の姿を捉えることはなかった。
 僕は信じられない反射神経で身を潜め、出口から逃げ去ったのだから。








 次の日。けたたましく鳴り響く目覚まし。
 いつもならシカトだけど、今日の僕は違った。

(ね、ねむい……でも今日は早く行かないとマズイ)

 重い体を無理やり叩き起こして、僕はいつもより早く家を出た。
 いつもの通勤時間だと美咲さんに出会う可能性が高かったからだ。
 資料室で他人の情事を盗み見てしまったことへの罪悪感や、
 昨夜彼女をオカズにしてしまったことへの後ろめたさなどいろんな感情が入り混じっていた。
 もちろん目の下にはいつになく深いクマが……とにかく気まずい。
 今朝は誰にも遭いたくない。
 そんなことを気にしながら、何とか無事に会社に着いた。

 ガチャン

「……」

 社員通用門をくぐる。さすがに誰もいない。
 タイムカードを押して部屋の電気をつけると再び静寂が訪れた。

「……」

 早めに会社に到着したもののやることがない。
 話相手すらまだいない。
 しばらくは書類の整理や机の中を片付けていたのだが、始業まで一時間もある。
 会社のパソコンでエロ画像を見るわけにも行かないので僕は社内をうろうろすることにした。

(しかし……昨日の美咲さんはエロかったな)

 スカートから伸びた真っ白な太ももが脳内をよぎった。
 細く引き締まった脚と黒いサンダルのストラップ……ピンク色のブラウスからこぼれた美乳。
 いつものクールな表情ではなく、少し潤んだ色っぽい瞳。

「ゆ……優子さん……あっ、ああぁ……」

 気が付くと自然に股間をまさぐってしまう。
 いけないとわかっていても、思い出すだけで再びムクムクと興奮してきてしまう。
 そんな美咲優子の痴態を回想しながら歩いていたら資料室前にたどり着いた。
 まるで何かに導かれるように自動的に来てしまった感じがする。

「昨日の何かが残ってるかも……」

 僕はごく当たり前のように扉を開いて中に入っていった。
 股間の怒張は収まらず、相変わらず悶々としている……。
 そして昨日資料を探していた棚の前にたどり着いた。

(たしかこのへんだったな)

 資料棚から昨日の情事の現場付近に足を運んでみる。
 別に何も落し物はなかったが、気のせいか美咲さんの残り香がした。
 昨日のことを思い出しながらその場にしゃがみこんだ瞬間、ガチャリと物音がした。

「おはよう、伊藤くん」

「なっ!!」

 扉の向こうから入ってきたのは昨夜の僕の天使……美咲優子だった。
 今朝は薄いイエローのブラウスに水色のスカーフをしている。
 そして彼女の美脚を包み込んでいるのは白いストッキングとタイトスカートだった。
 まだ職場の制服に着替える前の彼女がなぜここに!?

「ねえ、何でこんなに早くここにいるの?」

 うっすらと笑みを浮かべたまま僕に問いかける彼女。
 美咲さんはその場に固まって動かない僕のほうにゆっくり近づいてきた。

「伊藤くんって見かけによらず仕事熱心なのかしら……それとも何か探し物?」

 僕の様子を興味深そうに観察する美咲さん。
 先ほどまでの残り香が実体化したことで、急に僕の鼓動が高まっていく。

「ねぇ……伊藤クン?」

 気付くと僕のすぐ隣まで彼女は到達していた。
 こ、こんなに近くで彼女の顔を見たことはない!

「き、きみこそ早いね……美咲さん」

 ちょっと引きつった感じの声を出してしまう僕。

(……やっと視線がはずせた!)

 僕のすぐ近くで彼女がフッと笑った気がした。

「私は探し物かな……昨日ここに大事なものを忘れたの」

「大事なもの?」

「そう、人には言えないものなの」

「そ、それって……なに?」

 彼女は僕の肩に手を置いてすっと立ち上がる。
 憧れの女性に触れられた……ワイシャツ越しでも感じる柔らかい手のひら。
 しかし甘い余韻を楽しんでいる場合ではなかった。
 次の彼女の質問は僕の心臓を握りつぶすかのようにドキドキさせた。


「……伊藤くん、見てたよね? 昨日携帯も落として行ったし」







(ケータイ!? バカな……な、なんでバレたんだ!?)

 しばらくの間、僕は美咲さんの視線をはずすことが出来なかった。
 しゃがみこんだままの僕を上から見下ろす彼女。
 実際の身長差はそれほどでもないのに圧倒的な威圧感。
 美咲さんのクールな視線に僕は屈服していた。

「ぼ、僕は見てないよ! な、なにも」

「本当?」

「美咲さんのことは昨日見てないし、ケータイだって仕事中は…………あっ!」

「ふーん、そう。仕事中はケータイを持ち歩かないわよね?」

 コツコツとヒールの音をさせながら僕の背後に回る彼女。
 そして僕の右頬に顔を寄せてきた。

ふうううぅぅ……

「ひゃぁ!!」

 耳元に流される甘い吐息。
 一瞬だけびくっと体を震わせてしまった。
 ますます身動きが取れなくなる僕……

「自分から言っちゃったね、伊藤くん」

「えっ」

 ハメられた……ケータイのことで彼女は僕を試したんだ……!
 さっきの問いかけを思い返していると、美咲さんが耳元でささやいてきた!

「探し物もだけど『私をここで見てない』……って、どういうこと?」

(あっ……)

「私は『ここにいなかった』かもしれないのに?」

 まだ頭が混乱していてうまくまとまらない。
 しかし彼女に気付かれたのは事実だ……昨日僕が情事を盗み見ていたことを。
 でもまだ僕は何も言ってないぞ!!

「あら……白状しない気なの?」

「……」

「じゃあ無理やりでも言わせちゃおうかな」

 唇をかみ締めてうつむく僕を見て、美咲さんがニヤリと微笑んだ。




「昨日のことは黙っていてほしいの……」

 僕の背中を抱きしめながら甘くささやいてくる。
 しゅるしゅるという布がこすれる音がする。
 器用にスカーフをはずし、ブラウスを脱いでいる!?

「ねぇ、私のお願い……聞いてもらえないのかしら?」

 背中にぬくもりと興奮を感じながら、僕はまったく動けないでいた。
 美咲さんからの問いかけにも応えられないほどの緊張で、今の自分の置かれている状況を把握できないでいた。

「けっこう伊藤くんって強情なのね。わかったわ」

 なかなか素直に要求に応えない僕を見て苛立ったのか、彼女の口調が冷たく変化する。

「じゃあ私もあなたの弱みを握らせてもらうわ」

 彼女はそういいながら手馴れた手つきで僕のワイシャツのボタンをはずし始めた!
 あっという間に僕の上半身が裸にされてしまった!!

「ちょ、ちょっと……駄目だよ、美咲さん」

 突然の展開に戸惑う僕を見て、彼女が不適に微笑む。

「別に助けを呼んでもいいわよ。でも、そうなると困るのはあなたよね?」

「な、なんで……ああああぁぁ!!」

 しゃがみこんだ姿勢を崩された僕は背後にいる彼女に身を預けている状態だ。
 すべすべの手のひらが僕の胸板を優しく揉みまわす。
 乳首を弄ばれ、きれいな指先でカリカリされる。


「くすっ、この状況をどうやって他人に説明するつもりかしら? 『資料を整理していたら美咲優子に犯されました。助けてください』って誰かに言える?」

 すでにビンビンのペニスには触れず、滑らかな手つきで僕の上半身を愛撫……いや、犯す彼女。
 息が荒くなった僕はなんとかその危険な誘惑から逃れようとするがすでに幾重にも絡みついた快感から抜け出せないでいた。


「それに伊藤くん、いつも私を見てた……」

 甘いテクニックですっかり火照った僕を見て、ゆうゆうとズボンのベルトをはずす彼女。
 相手はスカーフを取ってブラウスをはずしただけだというのに僕はすでに半裸……男として恥ずかしいし、悔しい。

「見ているだけじゃなく、夜のオカズにしてたんじゃないの?」

 いたずらな瞳が僕を覗き込む。自然に僕の顔が真っ赤に染まる。
 一番聞いてほしくなかったことを聞かれてしまった……
 僕は平常心を装うために深呼吸をしようとした。

「ん、んくううぅぅ!!!」

 しかし突然、唇が重ねられた。
 呼吸が乱され、何も考えることが出来ない。
 意識がとろけてしまいそうなキスを僕にしながら、美咲さんは僕の心の動揺を見透かしていた。

「ふふっ、図星ね……」

 細い糸を引きながら解放される唇。
 数秒間意識が途切れた僕のズボンの内部に彼女の手が侵入してきた!
 そして亀頭を探り当てると、柔らかく握り締めてきた!!

「あうっ!! 美咲さんっ……やめてぇ!!!」

 しかし彼女の指先の動きはどんどん激しくなっていく。
 それにつられて僕の呼吸はどうしようもなく乱れた。
 指先が根本のほうに降りて来て……再び亀頭に登りつめる。
 爪の先で優しく引っかかれたり、強めに弾かれたり……僕は彼女の指先に支配されかけていた。

「その声聞いてるとゾクゾクしてきちゃう。伊藤くん、絶対マゾよね?」

「そんなことないっ……ああん!!」

「ふふっ、無理やり言わせるっていったでしょう? あなたを骨抜きにしてあげる。私に逆らえないようにしてあげる。」




 パサリ……

 彼女は僕からいったん離れて服を完全に脱いだ。



(うわぁ……キレイだ……)

 無意識に息を呑んだ。男ならきっと誰だってそうだろう。
 服の上からは控えめだったバストがあらわになった。
 控えめといっても軽くEカップ以上はありそうな大きさ。

「ふふっ、そんなに見つめないで」

 そしておなかの辺りは無駄な肉が付いておらず、理想的なくびれを見せていた。
 何度もオカズにした憧れの女性……美咲優子。
 でも僕はさっきの彼女の言葉が気になってそれどころではなかった。

「さ、逆らえないようにって……?」

 いつもの彼女からは想像できない淫らな振る舞いに僕は戸惑っていた。
 しかし体は彼女の性感テクニックで熱くなっていて、頭もうまく働かない。
 まるで魅了されてしまったかのように……僕は彼女に見とれていた。

「その言葉の通りよ」

 ほっそりとした手足を僕の体に絡ませながら甘く甘く囁いてくる。
 ペニスに触れられていないのにとんでもなく気持ちいい……



「あなたを今から私の虜にしてあげる。そして昨日のことも忘れさせてあげる。」

 僕の体を軸にすべるように正面に回ってのキス。
 とろけるような舌触りにクラッときてしまう。
 今度は両腕を僕の脇の下に通して背中をさわさわしてきた。
 細い指が僕の背中を這い回るたびに、恥ずかしながら喘いでしまう。

「背中も感じやすいんだね。弱いところ全部責めてあげる……」

 ねっとりと繰り返される全身愛撫。
 張りのあるバストが僕の胸で形を変える。

「いっぱい焦らしてあげるね」

 ペニスには一切触れてもらえない……切なげにビクビク揺れているだけだ。
 対面座位の体制で一方的に責められる。

「ん……くそっ……」

 耐えられなくなった僕は思い切ってうつぶせになる。
 これでしばらく耐えられると思っていたら、今度は彼女が背中に張り付いてきた!

「こんなにしちゃって……フフッ」

 無理やり僕の片足を折り曲げさせてその間に指先を差し込んできた。


 くちゅううぅぅ!!

「あーっ!!」

 とうとうペニスが彼女の指先につかまる。

「ほーら、しこしこ……しこしこ……」

 片手で僕の背中を押さえながらの手コキに僕は悶絶した!
 たまらず体を返すと、今度は彼女が馬乗りになってきた。
 まるで僕の行動を予測した上での、詰め将棋みたいな責め方だ!

「ほら、捕まえた~」

 そして僕の両肩を抑えて膣口と亀頭をクニュクニュと擦りあわせてくる……

「あっ……そんな!!」

 ぎゅっぷううぅぅぅ

 僕は女性上位のまま彼女に犯されてしまった!!


「あはっ、一気に食べちゃった……」

 僕に向かってペロリと舌を出しながら腰をくねらせる彼女。

 くいくいくい……

 硬さを試すかのような軽いグラインド。
 しかし膣の中はすでに熱く潤っていた。
 カチカチになった僕自身を飲み込んで、ピチャピチャと音を立てながらしゃぶりつくす。

「ひっ、ふあああぁぁ!」

「なかなか美味しいよ、伊藤くん」

 余裕たっぷりの表情で僕を見下ろす美咲さん。
 僕のほうは突然の挿入で射精寸前まで高められてしまう!

 くいんくいんくいんっ!

「あああっ!!そ、それっ……!!」

「たまらないでしょう? じゃあこれは?」

 今度はグチュグチュと腰をこねくり回してくる。
 彼女の茂みが僕のペニスの根元に食いついているかのような深い結合。

「まだまだ……もっといじめてあげるぅ」

 彼女は膣をキュウキュウと締め付けたまま半分だけペニスを引き抜いた。
 ちょうど棹の真ん中あたりがキツく締め付けられているので、射精感がにわかに遠のく。
 しかし安心していたのも束の間、今度は激しく腰を前後に振りたててきた!

「あひいぃっ……す、吸い付いてる!!」

「ふふふ……」

 腰を振られるたびに少し遅れて僕の身体が吸い寄せられる。


「そろそろ射精(だ)したい?」

 甘い囁きに、僕は何度も首を縦に振った。


「もう降参しちゃうの? あっけなかったわね」

 美咲さんは膣に閉じ込めたペニスを解放して、僕に添い寝をしてきた。

「もっと私を楽しませて」

 彼女は息を弾ませる僕のペニスの先端だけ手のひらで包み込んだ。
 そして唾液を少し垂らすと、クチャクチャと音を立ててシゴいてくる!


「ひいっ、だ、だめえっ!そこは……ああああ!!!」

「ふふっ、我慢よ。ガ・マ・ン」

 弄ばれた股間が快感で波を打つ!

(こ、こんなはずじゃ…………ああっ!!)

 次は乳首を責めてくると思って股間への防御がおろそかになっていた。
 やばいっ……揉みまくられると先端から力が抜け……ちゃうよぉ……

「ほらほら、もうイっちゃう?」

 美咲さんは僕の乳首に顔を寄せてきた。

「今度はこっちよぉ」

 や、やばい……早く意識を集中しないと感じちゃう!!

「なーんてね……フェイント♪」


 しこしこしこしこしこ……


「んあああぁぁ!」

 乳首をペロペロされるとばかり思っていた僕の意表をついて、美咲さんは僕から見えなくなったペニスを優しくシゴいてきた……

「うれしい♪ もっとシコシコしてあげるわ」

 乳首責めと見せかけてのブラインド手コキのせいで一気に射精感が……!!

スチャッ、スチャッ、スチャッ、スチャッ

クチュクチュクチュ♪

 上目遣いで僕の反応をじっくり観察している。
 その視線がますます僕を快感の高みに引き上げる!!

「自分でするよりも気持ちいい……でしょ? M男クン」

「い、言わないでぇ……!!」

 僕はしばらくの間、彼女の指先に踊らされ続けた。



 美咲さんは、ふるふるしながら快感に耐え続ける僕の両足の間にしゃがみこんできた。

「ここからはじわじわと搾ってあげようか?」

「えっ……」

「我慢しててもお漏らししちゃうのよ、キミは」


くりゅっ、くりゅ……

 亀頭部分に熱い息をかけながら、僕の睾丸をグリグリしはじめた。
 手のひらで転がされている様子を見ていたら気のせいか……

「ち、ちょっ……何これ、やばい!!」

 ペニスの先端から力が抜き取られていく……
 精巣からじわじわと精子が上がってくるのを僕は感じ取れなかった。
 それほどまでに緩慢な刺激……美咲さんの恐るべきテクニック。

「な、なんだか……やばい! あっ、あああああ!!!」

 少しだけ先端から漏らしてしまった。

「くすっ、恥ずかし~~い」

「うううぅぅ……」」

「一気に決めてあげる」

 僕が悶える様子を見て、一度微笑んでから美咲さんはペニスをしっかり両手で握り締める。

 くちゅうっ!

「ぐっ……」

 愛液でヌルヌルの指先が亀頭をくすぐって気持ちいい!
 まるでペニス先端に妖精が舞い降りたかのように、指先が快感を刻み込んでくる……

 じゅぷじゅぷじゅぷっ!

「あひいいいいいいっ!!」

 突然の強い刺激に僕は悶絶した。
 そろそろフェラされると思っていたところに両手搾り……しかもヌルヌルの手で全力!
 体の芯からジワリと何かが滲み出した……


「これやると男は腰が動き出すのよ」

 僕の腰も例外ではなくカクカクと動き始めていた。
 またがったまま、覆いかぶさるような体勢で彼女が一気にしゃがみこんできた!

「ふあぁ……」

「私のおっぱい、味わってみる?」

 その言葉が終わるより早く、僕のペニスは彼女の胸に飛び込まされていた!

「あうっ! うあああ……」

 その感触は手コキよりも気持ちよかったかもしれない。
 ふわふわすべすべの肌……それもEカップバストで縛られてしまう僕の体……

「しっかり我慢しなさいよ……ふふふっ」

 視覚的な刺激と柔らかなバストによる締め付け。
 この二つが組み合わさった今、僕は限界を感じていた。

「くあああぁぁぁ!?」

「もがきはじめたね? そろそろイっちゃう? イっちゃいそうよ?」

 美咲さんの淫らな問いかけも甘い誘惑のスパイスだ。

「ほらぁ……ペロン♪」

 小さな舌先がバストから飛び出している亀頭をなぶる。

「あああっ、だめっ!!!」

 ジワリ……我慢汁ではない液体が少しだけにじみ出てきた。

「伊藤くん、少し開発してアゲル……」

 美咲さんは身体を起こすと、僕の顔を両手で挟みこんでそのままディープキスをしてきた!

「んんんー!!!」

 突然の熱いキス攻撃にドキドキさせられてしまう。
 まるで昨日の資料室での出来事を思い出させるかのような……

(伊藤くん、これで堕ちちゃうかもね?)

 キスから開放された瞬間、彼女の指先が僕の乳首をこりこりといじり始める。
 頭がぼんやりとしている僕にとっては強烈な性感攻撃だ。

「あ……いい……気持ちいいよぉ……!」

 繊細な乳首責めを受けて、僕は心から口走ってしまった。

「気持ちいいのがどんどん膨れ上がっていくでしょう?」

 僕は黙ってうなづいた。彼女の言葉通りだった。
 クネクネ動く指先に媚薬でも塗ってあるのだろうか??

「そ、そんな……たったこれだけで……!!」

 気がつくと彼女は僕の両方の乳首を責めていた。
 右と左で違う動きをしながらジワジワと快感を送り込んでくる。

「……ちくしょう! で、出ちゃうよぉ」

「ふふっ、まだダメ」

 美咲さんは僕を押し倒して、両肩を押さえ込んできた。
 女性に上になられると変な気持ちになっちゃうよ……

「閉じ込めてあげる……」

 そんな僕を無視して引き締まった太ももがペニスを挟み込んできた!

 ヌチュッ……クチュッ、クチュクチュクチュ

「こうやって擦りあわされるとたまらないでしょ?」

 不敵な笑みを浮かべながら僕を見つめてくる。

「こ、この程度で……!」

 僕は素股を甘く見ていた。
 しかし彼女が次にとった行動で自分の甘さを思い知ることになる。

 くりっ!

「うっ、ああぁぁ!?」

「ほら、ス~リスリ~♪」

 太ももをやわらかく締め付けつつ、お尻の谷間からはみ出たペニスの先端を指先でクニュクニュと刺激してきた!

「なっ! 動けないっ、ああ、ああぁぁあぁ!!!」

 ふとももでペニスを挟まれ、亀頭だけを責められる。
 しかも女性上位だから脱出できない!
 美咲さんの身体とフロアに挟まれたまま、僕はしばらくの間悶絶していた。


 美咲さんは突然僕に向かい合うようにベッドの上に座った。

「こういうのが好きなんだ?」

 対面の状態で長い脚を見せびらかすかのように動かす……
 そして、その指先が僕のペニスを優しく撫で回してきた!

「ふあああ!」

 思いがけない快感にあえがされてしまう僕。

「このままもっとシテほしいの? 変態クン」

 容赦なくペニスを踏み潰されたり、指先で器用にシコシコされているうちに変な気分になってきた。

「く、脚で踏まれてだなんて……くそ!!」

 その言葉とは裏腹に、甘い痛みが僕を包み始めていた。


「そろそろもう一度挿入してあげようか?」

 ゆっくりと美咲さんが立ち上がって、僕に覆いかぶさる。
 女性上位の体勢でなすがままにむさぼられてしまう……

「入れた瞬間に出しちゃだめだよ?伊藤クン」

 ヌチュウウウウ…………

 ゆっくりと僕をじらすかのようにジワジワと腰を沈めてくる。

(あああぁぁ! この中……き、気持ちよすぎるよぉ)

 憧れの女性が僕の上にまたがって……とびきり淫らな言葉を浴びせてくる。
 それだけでも我慢いっぱいなのに、ここで挿入とは!!

「あああぁっ、す、す……吸い込まれ……!」

 彼女の膣がズブズブ沈み込む様子だけで、僕は最高に興奮していた。

「やだ……これじゃ勝負にならないわね。ふふっ」

 なんとか挿入に耐え切った僕を待っていたのは、さらに甘い刺激だった。
 美咲さんの膣は腰を振らなくてもうにゅうにゅと蠢いて僕に快楽を与えてくれる。

「昨日の人は一分以内……」

「はぁ、はぁっ……えっ?」

「あなたはどれくらい耐えてくれるのかしら?」

 騎乗位の体勢で僕の肩を両手で押さえ込む彼女。

「あなたの強いところ……見せて?」

 僕の腰がまるで自分のものではないかのようにカクカク動き出した。

「あらあら……」

 美咲さんは笑った。もはや自分でコントロールできない!!
 彼女の膣がもたらす快楽に無意識で服従してしまったようだ……

「まだぜんぜん本気じゃないけど……そろそろトドメをさしてもいいかな?」

 快楽と屈辱で泣き出しそうな僕を見て、美咲さんは楽しそうに微笑んだ。




「気持ちよくしてあげるから、私の言うことを何でも聞くのよ?」

 その言葉にコクコクと僕はうなずいた。
 柔らかい膣の中で心までとろとろになってしまいそうだった。

「じゃあ仕上げてあげる」

 恍惚とした表情の僕を見て、美咲さんはニマッと笑った。
 そして熱くなった僕をすばやく引き抜いた。


 ジュップウゥ……ヌリュン……


 極上の膣からペニスが解放された!
 ひんやりとした空気を浴びながら、射精感がじんわりと引いていく。
 続いて彼女は両手でペニスを包み込んだ。


「ああぁぁ……」

「もうガマンしなくてもいいんだよ……」

 ふんわりとペニスを握られることで、まるで膣内に入れているような感触だった。
 くちゅくちゅと包み込んだ手のひらが石鹸をこねるような動きをする。
 パンパンに膨らんだ亀頭をいたわるように、指先がスジやカリをなで上げる。

「まとわり付いて気持ちいでしょ?」

「んっ、ああっ……ふうう!!」

 よみがえる快感に簡単に喘がされてしまう。
 膣の中にしばらく閉じ込められていたペニスが、今度は直接的な刺激にさらされて涙を流し始める。
 僕は腰をモジモジさせながら快感を逃がそうとする……


「も、もっとぉ……」

「だめ……これでト・ド・メ」

 彼女の右手が手のひら全体でペニスを絞るように愛撫し始めると、僕はもう我慢できなくなっていた。
 膝がカクカクと震え、抑えが利かない!!


「うああっ、出るっ!!」

 思わず腰を突き出す僕をがっしりと捕まえて押さえ込む。

「やっぱりだめ。イかせな~い」

 ギュチイィィ!

「ぎいいいいぃぃ!!」

 僕の根本に彼女の細い指が再び食い込んだ。
 容赦ない寸止めの痛みが股間を襲い、少し時間差を置いて精液が逆流するのを感じた。

「いっ……い、いたい……」

「うふっ、もっとしてほしいんでしょ?

 僕が苦しそうな表情をしているのを確認してから再び先ほどの指使いが開始された。
 痛みがあっという間に引いて、手のひらが極上の快感をつむぎ始める。
 先ほどよりも早く限界が訪れ、腰が跳ね上がり……


「ほらぁ、またイっちゃいそうね?」

「うっ、出るっ……今度こそ出るううぅう!!」

 腰を突き出す僕をまたもや美咲さんはがっしりと捕まえる。


「くすっ……イかせな~い」

 ギュッチイィィ!!!


「あぐうぅうっ……苦しい! 苦しいよぉぉ!!」

 この痛みが過ぎれば彼女は再び優しい指使いをするだろう。
 そしてやわやわと高められ……再び寸止め。

 い、いやだ!!

 僕はこの先も続く地獄絵図を予想して半泣きになった。


「あ~あ、泣いちゃったか。可愛そうだからイかせてあげる」

 さっきまでの力強いシゴきではなく、やわやわと体の芯をとろけさせるようなシゴき。
 これならイける!……でも、また寸止めされたら…………


「ちゃんと出させてあげるわよ、ふふっ」

 美咲さんの優しい微笑みを見た途端、とうとう僕は発射させられてしまった。



どぴゅどぴゅどぴゅ~~~

「ああああああああああぁぁぁぁ!!」

 気が遠くなるほどの長い射精が終わると、それまでの疲労感が一気にのしかかってきて僕は気を失った。








 僕が意識を取り戻したときにはすでに彼女の姿はなかった。
 代わりに僕のケータイがそばに転がっていた。着信履歴がある。
 あわててケータイを開くと、一通のメールが入っていた。

 美咲さんからだ!

 ドキドキしながらメールを開いてみた僕は、その場で固まってしまった。


『かわいい伊藤君へ。あなたの恥ずかしい写真を撮らせてもらいました。昨日のことをばらしたら……どうなるかわかってるよね?』

 可愛いデコメールとは対照的なキツい文章。
 そして添付ファイルには気を失った全裸の僕の画像があった……





(了)




イラスト担当:絵助さん
絵助さんのイラストメインのサイトです。彼は『入学おめでとう~はじめては幼馴染~』と『ベッドの上ではどうかしら?』の原画担当です。