※イラストは吉田寿庵さんによるものです
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『ほのかな一日』


昨日の夜、突然従姉妹(いとこ)が俺の部屋に遊びに来た。

「おにいちゃん、エッチしよう?」

「はぃ?」

思わず無意識に笑ってしまう。
別に何かがおかしかったわけではない。
防衛本能というやつだ。

そんな俺を見つめる彼女は、どこか不安げな顔をしている。

……だがそれがいい。

いつもこいつを見て思うのは、明るく笑う顔よりも少し物憂げな表情が似合うということだ。
今時珍しい黒髪も、泣き出しそうな大きな瞳も、思わず犯したくなる細い身体のラインも、彼女の幸薄感に一役買っている。

従姉妹の米倉穂香(よねくらほのか)は俺より5つ年下の美少女だ。

いつも会うときは決まってラフな格好なのだが、今日は違った。


 (いつもの穂香)



ゴスロリというか……黒いジャンパースカートに三つ折のソックス。
それに白いカチューシャとフリル付きのブラウス。

非常に俺の好みに合っている。

それとツヤツヤした唇に見惚れてしまうのは、薄い桃色のリップクリームのせいだ。
ごくごく薄い血のつながりは無視して、こいつとエッチしたいと思うのは男の性(さが)であろう。

(確かに、一時期はそんなことも考えたことはある。しかし――)

それは俺だけの妄想に過ぎなかったわけだ。
だから今までそういったコトには及ばなかった。
それにまさか親戚とエッチすることなど本気で望むはずが……


「私じゃ駄目ですか?」




「……」

これも回答に困る。

駄目なわけがない。

やれるものならこの場で犯してしまいたいが、本当にいいのだろうか?

「穂香からお願いしてるのに」

「ま、まて! ほのか!!」

心の準備が出来てない、などという暇すら与えてくれない。
目の前でスカートを吊っている肩紐をはずし、穂香が衣類を脱ぎだした。

何も出来ずにその光景を見つめる俺。
なぜこちらが追い詰められた気持ちになるんだ!?

ほんのりと赤く染まる少女の太ももが晒された。

「もうこんなに熱くなってるの……ねえ、いいでしょ? おにいちゃん」

「だだ、だから待てというに!」

「おにいちゃんを縛ってる何かを溶かしてあげる」

黒いふわふわのスカートはすでに床に沈んでいた。
ほっそりとした少女の太ももの白さが眩しい。
ブラウス一枚になった穂香が俺にしなだれかかってきた!

「バカ! 離れろ!!」

「本当に離れていいの?」

「うぐっ……」

痛いところを突いてきやがる。

実際は離れたくない。この温もりをもっと感じたい。

「お前、いつからそんな――」

「今は私だけを見て? 私もそうしてるんだから……」

いつからそんなに自信家になったんだ? と言おうとしたのに。
その先の言葉を飲み込まざるをえなかった。

俺を見つめる穂香の視線がいつになく本気だったから。

すりすり……

「はううぅ!!」

「おにいちゃん、なにこれ……すごく硬くなってる?」

硬直する俺の身体に擦り寄ってきた穂香が、ふとももを俺の股間に押し当てる。
さらに左手の指は亀頭付近をゆっくりなぞっている。
ジーンズ越しでも関係ない。本気の愛撫は衣類など簡単に貫通する。
ほんのりと暖かく、張りのある少女の肌はとんでもなく気持ちがいい。

「お前、なんてことを……」

「穂香の身体のせいだよね? ちゃんとお世話してあげる」

抱きついたまま、首に手を回して頬をすり寄せてくる。
すべすべした穂香の頬が心地よく、ぼんやりしてしまう。
二人分の体重を支えきれなくなった俺は、自然とベッドに押し倒されていた。

左右の頬を擦り付けられ、俺は身動きできない。
その間ずっと穂香の黒髪の匂いに酔わされる。


「ほら、腰を浮かせて? おにいちゃん」

こいつの口から俺に対する命令口調など聞いたことないのに……
なぜか拒むことも出来ず、少しだけ腰を浮かせると穂香は素早くジーンズを引き摺り下ろした。
そして俺の身体の上を滑るようにして、顔を股間に近づけてきた。

「ふうぅ~~~~」

「くあああぁぁ……」

すでに硬くなり、トランクスの下で苦しそうにしていたペニスがむき出される。
穂香は熱い吐息を亀頭に吹きかけてきた。

「元気なおちんちんを……はむっ」

「うわああぁぁぁ!」

何のためらいも無く、小さな口が俺自身を飲み込んできた。

「おつゆがいっぱい出てきたよぉ♪ もっと美味しくしてあげる」

ずちゅっ、ぷちゅっ、ずりゅっ♪

穂香の顔が浮き沈みするたびに、背筋に快感が突き抜ける。

こいつのフェラ、うますぎる!

頬の内側に亀頭が擦られ、軽く歯で甘噛みされるたびに力が入らなくなる。
唇が強く締め付けられると、身体の底から精液が搾り取られそうになる。

「くちゅくちゅされて気持ちいいんだ? もうすぐピュッピュしちゃう?」

「言うなぁ! ほ、ほのかっ! あああぁぁぁ~~」

「はしたないかな? 女の子は皆、これくらいエッチなんだよ?」

さらに激しく浮き沈みする穂香の顔……
目を閉じたまま少し赤くなって、一生懸命に肉棒をしゃぶっている。
ツヤツヤの髪が揺れる光景がたまらなくエロい。

「普段は男の子を騙してるの。エッチな気持ちを隠してるの……」

「うあああぁぁ、気持ち……いい……ほのかぁ!」

「でも、もっと大事なものも隠してるんだよ?」

ちゅぽんっ


ここでまさかの寸止め!?

もうすぐ射精できる、という段階に差し掛かったとき穂香の顔の上下運動が止まった。

「うっ、は……ああぁぁ! ぐぅぅ……」

「ねえ、おにいちゃん……穂香のこと好き?」

腰のしびれに悶えながら、俺は穂香の顔を見た。
それはいつもの気弱な穂香とはちがう、乙女の表情だった。

「ほのか……」

「好きっていってくれたら、このまま……イかせてあげる」

くちゅううぅぅ……

「ふあああぁぁ!」

こちらを見つめたまま、いきりたったペニスを右手で掴まれた。
亀頭が小さな手のひらの中に包まれて、じれったくなるほどゆっくりしごかれる。
フェラとは違う強めの快感が俺を惑わす。


「おにいちゃんの美味しいおつゆも全部吸い尽くしてあげる。だから……」

穂香が舌先で自分の下唇をペロッと舐めた。

あの口の中に出したい。

あの舌先でくすぐってほしい。

もう我慢できない……


「好きだ……」

「ふふっ、聞いちゃった……じゃあ約束を守るよ」


穂香は優しく微笑んでから、再びペニスを咥えた。
さらに根本のほうを指でしごきながら、射精を促してくる!

「い、いくっ! もう出……っ!!」


どぴゅどぴゅううううぅぅ!!

最後まで言い切ることも出来ずに俺は射精してしまった。
穂香は射精の瞬間、顔を離すことも無くフェラを続けた。

こくんこくんと音を立てながら、時間をかけて精液をゆっくり飲み込んでいった……





俺はベッドに大の字で横たわっていた。

となりでは穂香がティッシュで口元を拭いたり、身体に飛び散った液体をふき取っている。

「きゃははは! あたしの勝ちぃ!!」

身体の震えが止まり、落ち着いた頃に穂香が嬉しそうに言った。

「さっきのは嘘だよ。おにいちゃんに好きっていわせるのだけが目的だったんだもん」

「なんだと……?」

こいつ、俺のことを好きでもないのにあんなことを?

男の身体を何だと思ってるんだ!

「ねえ! 最近遊んでくれないし、さみしかったんだから!」

「たったそれだけのことで……てめぇ……」

「だから、アレは嘘」

穂香の上目遣いの視線や、情熱的なフェラ、そして可愛らしい声が俺の中でくすぶってる。
不覚にも本気になってしまった自分が恥ずかしくて情けない。


「私があんなに積極的なわけ無いでしょう?」

たしかに今までのこいつを見ている限りはその通りなのだが、どうも腑に落ちない。
今の「アレは嘘」というのが嘘で、本当は俺のことが好きだったのではないか?


「じゃあ本当は受身が好きだったりして?」

「そんなの教えてあげないっ」

穂香はもう一度振り向いて舌を出した。

女心はわからない……そして昨日はエイプリルフールだった。



(了)





※イラストは吉田寿庵さんによるものです
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