しきさんのサイト! イラスト:しき様(画像クリックで拡大)
誠樹ふぁん さんのサイト。彼女は「黒髪の誘惑#01 絵筆」に出演しております 声の出演:誠樹ふぁん様





結局自宅に戻ることにした。耳かきは自分でしよう。
僕にとっては妹みたいな存在である彼女だが、甘えるのはなんだか気恥ずかしいというか……。


「あれ、なんでうちの鍵が開いてるんだろ。締め忘れたか……」

ガチャッ!

「おにーちゃーん! お邪魔しまーすっ!!」

「うわあああああっ!!」

僕がドアノブを回しきる前に思い切り扉が開いて、元気の良い女の子が飛び込んできた。


「ふっ、文ちゃん!?」

「えへへ、今日は捕まえた……もうあたしから逃げられないんだからね?」


「ちょっと、僕から離れっ」

「あばれないでー! 逃げようったって無駄無駄ー! そんなに迷惑そうな顔したって離れないよー」


「くそっ、マジで離れないぞ……文ちゃん、一体何があったんだ!?」

「んん~~? 何かあったのか……じゃないでしょっ!」

えっ、マジギレしてる!?

彼女が嫌がるようなことを僕はしたのだろうか。


「だってだって! 最近ぜんぜんあたしと遊んでくれないじゃん!」

「は?」


「一人で何してるの? 人に言えないようなことしてるの? お馬鹿さんなの?」

「ちょ、おバカさんって……」


「こんなに可愛い妹がそばにいるのにありえなくない?」

「文ちゃんは妹じゃねえし!!」

思い切り彼女を振り払ってそう告げると、文ちゃんはその場でペタンと座り込んだ。


「ふぇ……お前は妹じゃないだろうって、そ、それ言っちゃう? ひどくない!?」

「いやそんなに深い意味じゃなくてさ。でも実際に血のつながりとか……」


「あ、あたし、ずっと昔からおにいのこと知ってるんだよ? それなのにひどいよぉ……」

ああっ、泣き始めた!


「幼なじみで1つ年下ってことは、血はつながってなくても妹同然でしょ。もっともっと大切にしてほしいよぉ……はうぅぅぅ、おにいのバカぁー!」

「ごめんね、文ちゃん」

とりあえずこの場を収めるために謝っておこう。
たしかに最近遊んであげてなかった気はするけど、それだけでキレるものか? 

俯いたままの彼女の頭に手のひらを置く。

「ふふ、えへへ、あたまナデナデ嬉しいな……今のあたしの涙を本気にしちゃった?」

「なっ」

もう立ち直ってる! というかはじめから嘘泣きだったのかコイツ。


「こう見えても演劇部の部員だからね。おにいが騙されちゃっても仕方ないよ! というわけであたしの勝ち! ねえねえ、今日は何して遊ぶ?」

「急に何して遊ぶって聞かれてもなぁ……」


「ぅあっ、あ、エッチなのはダメだからね! あたしがいくら魅力的だからって、そういうのを期待しちゃダメよ~~」

彼女に釘をさされるまでもなくその発想はなかった。
多少手足が伸びたところでこの子は僕の中ではお子様扱いなのだ。


「で、でもね……少しぐらいなら、その……うん、いいかなって……ごにょごにょごにょ」

聞き取れない声でなにかモニョモニョとつぶやく自称妹。
僕はじっと彼女の目を見つめた。


「ふぁっ! や、やだやだ! そんなマジメな顔しちゃってどしたの!?」

「せっかくだからちょっとお願いしてみようかな、文ちゃん」


「え……? あたしにお願いがある……って、なぁに? おにいがそんなふうに言ってくるなんてけっこう珍しいよねっ」

期待に目を輝かせてる所もうしわけないんだが、本当に些細な事でして。


「どんなことなのか、ちょっと興味あるかも。ええい、苦しゅうない。遠慮無く申してみよ~!」

ちょっと危なっかしいところもあるけど、とりあえず話してみようかな。








「……え? 耳かき? 耳かきってあの……こちょこちょする耳かきをして欲しいの?」

話を聞き終えてから文ちゃんが首を傾げた。
確かに自分でやればいいだけのことだけど、人にしてもらうと別物の良さがある。
それが耳かきである。

「ふーん、別にいいけど……あたし、自分の耳でしかやったことないよ……おにいの鼓膜破っちゃうかもしれないけど、いーい?」

「ごめん、やっぱり今から別の人に頼むわ」


「あぁんっ、そんなに引かないで! 今のは冗談よー!」

「あやしい……」


「でもどうやってやろうか? フツーに膝枕がいい? それとも、おにいは座ったままで、あたしがギューって抱きつきながらのほうがいいかな」

「そっ、そんな恥ずかしい耳かきがあってたまるか!!」


「うわぁ♪ 冗談のつもりだったのに……」

「この……! 僕をからかうのもいい加減に」


「あれあれ~? もしかしてホントに、あたしに抱きつかれてみたいの?」

「っ!!」


「ふふっ、いいよ。じゃあちょっとだけ試しにやってみよう!」

文ちゃんがジリジリと距離を縮めてきた。







ゆっくりと僕の首に手を回す文ちゃん。

「えへへ……こんなに近づいちゃった。おにいの体、あったかいね」

「ぅわあああ……」


「ちょっ、なんで赤くなってるの? どこか悪いの? それより早くお耳、見せて」

身動きがとれない。少しでも動こうものなら、どこか余計な場所に触れてしまいそうで。
柔らかいたてセタの感触と、2つに結んだ文ちゃんの髪の香りにうっとりしてしまう。

「う~~~」

じっとしてる僕の耳穴を覗きながら小さくうなる文ちゃん。
僕の腕を脇に抱え込むようにしながら熱心に角度を変えて観察してる。

予想外の事態になってしまった。
まさか文ちゃんがこんなにピッタリと僕に絡みついてくるとは!


「そ……少しだけ首をかたむけて、あたしに見やすくして欲しいな」

「こうかな……」


「ん~~っ……おかしいなぁ。よく見えないや。思ったよりもこの体勢、厳しいのかも」

文ちゃんは右手に握りしめた耳かきを水平に構える。

「お、おいっ! まさかこのまま」

「でもぉ……入れちゃう。えいっ♪」

ツプッ

「あひゃあああっ!」

コリコリコリコリ

「あはっ、おにいがビクってしたぁ! ねえねえ、男の子ならじっとしてなきゃダメでしょ!」

「そんな、こと、うおおぉっ」

自然と体が震えだす。
せめて膝枕でもしてくれればいいのに、なぜこんな不安定な姿勢で!?

「いいの~? 大事なところが傷ついちゃうよ~」

そんな様子を楽しむように文ちゃんが耳穴の入口あたりをくすぐってきた。
抱きしめられたままの耳かきは刺激的でドキドキする。

「あああっ、ふみちゃ、ちょっと離れて……たのむから」」

「ふぇ? もしかしてあたしの顔が近すぎて落ち着かない? でもそれって、な~んか余計なこと考えてるからじゃなぁい」


「違うよ!こちらにも事情というものがあってだね」

「あたしには男の子の事情なんて関係ないんだからね。お耳の中をお掃除してあげてるだけだもん。ほら、いくよ……」

ズプッ


「うひゃあああああっ!」

不用意に棒を突っ込まれ、背筋がゾクゾクしてきた。
幸い痛みは感じない。
その代わり純粋なくすぐったさが体中に広がっていくみたいで収まらない。

「んふ、くすぐったい? プルプルしちゃってかわいい~~」

「も、もっと優しくして、ふみちゃ……ひいいっ!」


「どお? まだ深いとこまでは入れてないけど、この辺りもけっこう気持ちいいでしょ。浅いところをコチョコチョされてるだけでも気持ちいいもんね」

一見すると荒っぽい文ちゃんの耳かきテクだが、だんだん気持ちよくなってきた。
手足に力が入らなくなった僕は彼女にもたれかかるように脱力してしまう。


「あ、あれ? なんだかおにいの体、くたくた~ってしてきたみたいよ。あたしはそのほうが都合いいけど……」

「はふうぅぅ……!」

情けないことだけど僕は彼女にすがりつくようにしなければ姿勢を保てなくなっていた。


「ふむふむ、細かいのが少しずつとれるねぇ……ティッシュ用意しよーね」

耳の中で皮がペリペリと剥がされてゆく。
文ちゃんの手で掻き出されてゆく……。

「でもさ、あたしが耳かきでコリコリするたびに、おにいの体が震えるのって面白いね。そんなに怖い? それとも気持いいの?」

もちろん後者に決まっているけど、口元が緩んでうまく回答できない。






しばらくその体勢で耳の中を覗いていた彼女が、急に僕の体を押し倒してきた。

「もうちょっと見やすい体勢になろうか。ほら、こっちにきて……おにーちゃん」

「ああっ! 今度はいったい何を」


「何をするのかって、ひざまくらだよ! ひざまくら! 恥ずかしがってないであたしのここに頭乗せて」

文ちゃんは自分の足をポンポンと叩いてみせた。
スパッツ履いてるんだな、この子は。


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(足が太いとかいったら許さないんだからねっ……!)

「ひいいっ!」

脚を見つめていたのがバレたらしい。
恥ずかしさも相まって、僕は彼女から顔を背けるように膝枕に頭を乗せた。

「あっ、そっち向いちゃダメでしょー」

ゴキキ

「うげっ!?」


「ちゃんとあたしのお腹の方に顔を向けて……そうよ、この方が奥のほうまで見えるから」

無理やり首をねじ曲げられ、柔道で抑えこみされたように身動きがとれなくなる。


「今のおにい、なんだか赤ちゃんみたいで可愛い♪ お耳だけじゃなくて、お頭もなでてあげる……ほらぁ……なでなでなで♪」

急に恥ずかしさがこみ上げてくるのだが、それを打ち消す安心感に包まれる。

年下の文ちゃんに頭を撫でられて……いるだけなのに……

「ん~、どうしたのかな? なんだかとっても素直……もしかしてこうされたかったの? あたしのほうが年下なのに、今はおねーちゃんになった気持ちがするね」

「くそっ……」

それでも頭をなでられると、もうこのままでいいやという気持ちになってくる。

文ちゃんのナデナデは男のプライドを甘やかして溶かしてしまうみたいだ……。


「じゃあそろそろお耳の中、しっかり見てあげる」

すっかり従順になった僕の耳に顔を近づける彼女。




「あれ? 思ったよりキレイっぽい。もしかして自分でやって来たの。それともアヤ姉にしてもらったとか!」

「あ、正解……こないだ絢さんに見てもらったんだ」


「うそ……ホントにしてもらったの? それどういうことなのよー! これじゃああたしが面白く無いじゃんっ」

「ああ、でもその時は奥のほうまでしてもらってないからさ……」


「そういう問題じゃなああああい! なんであたしより先にアヤ姉にしてもらってるのよっ。真っ先にあたしのところにくればいいじゃん」

まさかこれってヤキモチ!?


「もういい、怒った! 徹底的にお掃除してあげる……おにいは動いちゃ駄目だよ!」

「……」

どうやら純粋な怒りみたいだね。


「あたしが耳かきしてる間はおとなしく顔をうずめてて! もうね、今からこの耳かき棒を半分くらい入れちゃうんだから……!」

「お、おいっ!」

ズズズズズズ

「うああぁぁぁぁ……」

本当に入れてきたああああぁぁっ!!


「ふふっ、すごーい……こんなに深くまで入っちゃった。痛くない? おにい」

「ひぎいいぃぃ!」

ここまで突っ込んでから聞かれてもどうしようもない。
僕は身を硬くしてじっとしていることしか出来ない。


「きっとゴソゴソ言ってて緊張してるんじゃなぁい? お耳の中、できるだけ優しくかいてあげる……」

コリコリコリ……

ほんの少し中で動かれるだけで全身が泡立つ。
毛穴が開ききって、鳥肌が立ちそう。

確実に一番奥をいじられてる……

「ふふっ、ビクンってなっちゃう? でも……動いちゃ駄目って言ったでしょっ! おにいが悪さしないように、もっとしっかりお顔を抱きしめてあげるね」

ぎゅううううううう!

ほ、ホントに抱きしめてきやがった!

ふよふよした控えめバストが鼻先に当たってるのを感じるッ


「んん~? なんだかうっとりしちゃってる。おにいのお顔、すごく気持ちよさそう~!」

(これは気持ちいいのか!?)

自分でもわからない。でも動けない。


「このセーターの肌触りが気持ち良いから? それともあたしのひざまくらが気持ちいいから?」

「っ!!」


「クスッ、おにいのお耳、さっきよりも真っ赤になってる……なんかエッチなこと考えてなぁい?」

「ない……それは、なぃ!」


「いい子にしててね。そしたら、もっと気持よくして、よだれを垂らしちゃうくらい夢中にしてあげる」

文ちゃんの甘い声が耳の奥まで響いてくる……。








「あ、またとれた……奥の方には結構あるみたい。あとでちゃんと見せてあげるから楽しみにしててね」

それから暫くの間、文ちゃんは予告通り僕を夢中にさせた。
恐らく少しはヨダレも垂らしてしまってるだろう。

気持ちいい……何をされてるのかわからないけど、彼女の膝とたてセタと甘い雰囲気に包まれて僕は幸せだ。

「でも、あたし、ひとつ気づいたことがあるんだー。それはね……」

コリコリッ

「ひぐっ!」


「耳かきで奥のほうをこちょこちょすると、おにいの体がカチコチになるの。それから、そ~~~っと耳かきを引き抜くとき、おにいの体がプルプルプルってするのー!」

ズズズズズ……

「ぅああぁ……」

引きぬかれていく。
文ちゃんが言う通り気が遠くなるほど気持ちいい!


「さっきからこれを繰り返してるんだけど、おにいってば、あたしのテクニックに夢中だよね?」

「も、もっと……ぉ」


「うふっ、もっとして欲しい、って……そんなの言われなくてもわかってるよぉ! あたしに奥のほうをもっともっとくすぐられたいんでしょ?
 それでまた引きぬかれて、恥ずかしいお顔でプルプルしちゃうんでしょ?」

ツプププププ……

「あっ、あああぁぁぁ~~~~!!」


「ちゃんと満足させてアゲル」

「文ちゃぁん……」


「だからほら……反対側向いて? 今よりもっとよくしてあげるから」

彼女の言葉に操られるように、僕はゆらりと立ち上がった。







「んふっ、おにいもすっかりいい子になっちゃったね。耳かきされながらあたしに抱っこされるのが病みつきになっちゃったの?」

反対側の耳を掃除してもらうために立ち上がった僕に彼女は囁いた。


(じゃあ今度はお布団の中でやろっか?)

「えっ!?」

布団の中で耳かきというキーワードだけで、頭のなかに淫らな妄想が広がってしまう。


「ふふっ、ウソじゃないよ。本気だよ? お布団の中で添い寝しながら、おにいのお耳をカキカキしてあげるの。ひざまくらもいいけど、こういうのも気持ちいいかなーって」

(冗談じゃない!)

それって否が応でもセックスを連想させる。
もはや耳かきの領域を軽く飛び越えちゃってるぞ!

文ちゃんの妄想は続く。

「おにいの頭をなでなでしながら、そ~~っと耳かきしてあげる。だからほら、こっちにおいで?」

「ううぅぅ……!」

情けないことに僕も逆らえそうにない。
さっきの耳かきによって理性なんて既に飛んじゃってるのかもしれない。

導かれるままにベッドに横たわると、ほっそりした文ちゃんの体が寄り添ってきた。

さっきまでと同じ甘い香りがいっそう強くなる。

「ふふっ、何かいい匂いがする? エッチな事考えて興奮しちゃ駄目よ」

「う、うん……」


「でもね、このままあたしとお布団で眠っちゃってもいいよ? そのために添い寝してあげるんだから」

「ふみちゃ……」


「じゃあ反対側の耳かき、はじめるね?」

彼女の手が僕の頬に添えられた。



「さっきより見やすいかも。じゃあ入口の方からきれいにしちゃおーね?」

そして遠慮がちに耳かき棒が僕の中に――

「ぁうう!」


ほら、おにいの好きな入り口こちょこちょだよ……ふふふ、皮がめくれてる所あるね? 痛くないように剥がしてあげる」

「ああっ、また剥がされちゃうよぉ……」

文ちゃんは僕の耳の中を覗き込みながら、器用に垢を取り除いてゆく。


「んふ、よいしょ……ふぇ? あたしに腕枕されてるのが恥ずかしい? だってこうしないとお耳の穴が広がらないし、奥まで見えないよ」

「で、でも……」


「それに……おにいだってホントは気持ちいいんでしょ。言葉にしなくても伝わってくるよ」

やっぱりお見通しなんだ、文ちゃん。


「だからリラックスしてて? そろそろお耳の一番奥をいじっちゃうから……」

文ちゃんの言葉とともに耳かきの音が大きくなってゆく。

ズズズズズズ……

「うっ! あああぁ」

それは小さな痛みだった。

「あれ、なんかコツンってしたね……なんだろ……」

コリコリされると何かが剥がれ堕ちてゆくのを感じた。

「いぎぎぎぎっ!」

「あぁん、動いちゃ駄目だよ! ちょっと痛いかもしれないけど大きいの取れるかもよ。おにいもあたしにしっかり抱きついてていいから、じっとして?」


ぎゅううううっ

突然布団の中で文ちゃんが脚を絡めてきた。
そして腕の力で僕を引っ張って――!

「ぶあああぁ!」

「あ……ごめ……んね。こうするとお顔があたしの胸に当たっちゃうよね。でも気にしないでいいから」

(それでも僕は気になるよ!!)

さすがにこれはまずい。股間が反応してしまう。
大きくなったところを彼女に気づかれたら僕はもう立ち直れない……

しかし文ちゃんは僕の事情にはお構いなしだ。

「とにかくじっとしてて……お耳の奥を綺麗にしちゃうから」

「ふ、ふぁい……」

剥がされた何かが耳の奥で耳かき棒にぶつかってる。


「んふふ、おにいがプルプルしてる。いたい時はちゃんと言ってね? もちろんやめる気はないけど」

(だったら聞く必要ないじゃないか!)

でも今は文ちゃんに逆らえない。
仕方なく僕は心のなかで叫ぶ。

「指先に感じてるこれ、きっと何かのカタマリだと思うんだ。もう少しだけ強く耳かきの先でこすれば、きっとペリってはがれると思うんだけど……おにい、我慢できそう?」

(出来なくても剥がすくせに!!)


「あたしがギューってしてあげるから、ちょっとだけ耐えてみて。もしも痛かったら、声を出してもいいからね…………いくよ? ぎゅうううう~~~」

文ちゃんの香りが強まる。それが麻酔の役目を果たし、頭がぼんやりしてくる。

そっと手を伸ばすとナイロン生地の感触……これってスパッツかな。

「うぎっ!?」

ボリッ、という大きめの音。
耳の内側の壁に何かが触れる。

「ふふ、手応えあり……耳の中でボソボソしてる? ちゃんと取り除いてあげるからね……」

ガリゴリッ

「んふっ、んううううぅぅ!」」

おもわずジタバタする僕。


「あぁん、ごめんね! 今の痛かった? おにいがすごくビクってしたから……」

「い、いや……涙が出そうだけど、なんかスッキリしてきた」


「え? 気持ちよかったんだ……それならいいけど」

文ちゃんはさらに耳かきを続けた。
無意識に僕は彼女にすがりつくようにスパッツ越しに引き締まったお尻に指を這わせていた。





それから数分後。

「はー、すっきりした! こんなにいっぱいとれると思ってなかったし……って、おにい? どしたの。動かなくなっちゃって」

声は聞こえてるんだ。
でも動けない。

手足が疲れきっちゃって、いうこと聞かないんだ。

「っ! いつの間にか寝てる……なにこの顔、すごく可愛い! あたしの耳かきでおにいは気持ちよすぎて寝ちゃったんだ……えへへ、嬉しいかも」

寝てるわけじゃなくて意識はあるけど動けない。
文ちゃんにはもちろんそんなことは伝わらないわけだが。


「じゃあこれでおしまい。最後に耳かきのお尻についてるフワフワできれいにしてあげる」

「っ!!」

僕は大きく首を横に振ろうとした。
今はもうやめて……そっとしといて欲しいのだ。

しかし体が動かない。


「それとフーフーしなきゃいけないよね……おにいを起こさないように……ふううううぅぅぅぅぅ……」

生暖かい風に僕は悶絶した。


「んふ、くすぐったそうな顔してるぅ♪ 可愛いからもう一回するね……ふうううぅぅぅぅ……」

(あっ、あああああぁぁ~~~!!)

それは声に出せない生殺しの快感。
耳の穴を通じて全身をくすぐられているような文ちゃんのテクニック。

とにかくもう放っておいてほしい……それなのに、さらに恐るべき行動に移る自称妹。


「せっかくだから、あたしもこのまま一緒に寝ちゃおうかな。そうすればアヤ姉にも勝てる気がするし!」

そそくさと僕に寄り添いながら毛布にくるまってくる。

(絢さんとの勝ち負けだったのかこれ……)



「……おやすみのキスぐらいならしてもいいよね? おにーちゃん」

チュッ♪

「!!!!」

文ちゃんの唇の感触に体が震える。

しかもいきなり唇にですか……。

フツーはほっぺだよね? オヤスミのキス。


「またいつでも、してほしいときに耳かきしてあげるから、今度は最初にフミのほうを選んでね?」

可愛らしい声でささやいてから、文ちゃんは僕より先に小さな寝息を立て始めるのだった。





(了)