私の仕事は自宅警備員だ。体力づくりが欠かせない。
 今日も近所の土手を数十分間ウォーキングしている。

 歩くルートは見飽きた風景ではあるが、ひとつだけ楽しみがある。
 それは美少女観察。

(きた……!)

 間違いない、彼女だ。今日も同じ時刻、同じ方向からやってくる。
 毎日ほんの少しというか、一瞬ですれ違うだけの関係。
 もちろん少女が私の妄想など知るよしもない。

 基本的には三次元には興味はない。しかしこの少女は可愛すぎた。



 可愛い髪飾りに小さなカバン、そして今日は白と水色Tシャツにチェックのミニスカートをはいている。
 スカートの裾からは少女の秘密を守る黒いスパッツが見え隠れしている。
 そしていわゆる絶対領域……白い素肌が眩しい。
 短めのソックスにおしゃれなスニーカーをはいた小柄な6頭身美少女。

 土手を渡る風が彼女の細い髪を揺らす。
 JKのように脱色などしていないツヤツヤの黒髪を、今日は二つに分けていた。
 彼女のヘアスタイルは基本的にこの髪型かサイドポニーのどちらかが多い。
 たまにストレートに髪を下ろしていると、あまりの大人っぽさにドキっとしてしまう。
 全ての髪型が良く似合う端正な顔立ち。少女から大人になる直前の危うい美しさが、私を狂わせる。
 大きな黒目と長いまつげ、ほっそりとした顎のラインを見ているだけで、この少女が将来さらに美しくなることを予感させてくれる。
 手足も充分伸びきっていて、服装次第でかなり大人っぽく出来そうだ。
 そして私が何より気に入っているのは少女の胸……女性を感じさせるギリギリのラインでとどまっている控えめなふくらみだった。

(ずっとこのままでいて欲しい……)

 そんな、愚にも付かない願いを抱きつつ今日も彼女と何事も無くすれ違うはずだった。







「おにいさん、ちょっとまって」

 すれ違いざまに耳に飛び込んできた透き通った音色。
 それは初めて聴く美少女の声だった。

(まさか私に対して……投げかけられた言葉だろうか?)

 恐る恐る振り返ると、かの少女がこちらをじっと見つめていた。

「……」

 少女の表情には怒りも憂いも、笑みもなかった。
 真っ直ぐに私を射抜く視線は、まるで蛇が蛙を睨む時のそれに似ていた。
 声も出せず私が黙っていると、少女のほうから口を開いた。

「今日はどこを見てたの?」

「えっ……!?」

「とぼけても無駄だよ、おにいさん」

 少女と私の距離はおおむね3メートル。歩いて4歩程度の位置に彼女が立っている。

(目がそらせない……!)

 本当はじっと見つめたい。爪先から頭のてっぺんまで観察したい。
 こんなに近くで、正面から彼女を見つめる機会なんて今までなかった。
 しかもあちらから呼び止められるなんて考えたことも無かった。
 言いようのない期待と不安で胸がいっぱいになっていく。

「女の子はね、視線に敏感なの……しかもおにいさんみたいにじっと見つめてたら、バレバレだよ?」

 初めて彼女が笑った。そして右手の人差し指で自分の胸元を指差した。

「今日はここかな……?」

 こちらの表情を伺いながら少女が尋ねてくる。
 私の背筋に冷たい汗が流れる。

 少女の質問に対する答えを私は持ち合わせていない。
 迂闊に頷こうものなら、この後どんなことになるのか想像もつかない。

「ううん、ここだよね……?」




 固まったままの私を見つめながら、少女は指先でスカートの裾をつまんで見せた。
 決してめくり上げたわけではないのに、あまりにも色っぽいその仕草に心臓がドクンと高鳴る。

「本当にエッチなんだね。信じられない」

 わざとらしく手を広げ、オーバーアクションをしながら少女は私の目の前で赤いカバンに手を突っ込んだ。

「通報しちゃおっかな〜」

 そしてケータイを取り出すと、カチャッと開いて見せた。
 護身用のブザーが内蔵されたカラフルなケータイだった。

「ゃ、やめて……!」

 やっとの思いで喉の奥から声を搾り出す。妙に喉が渇いてくる……。

「ふふっ、本当にしたいんだけどね。お願い聞いてくれたら見逃してあげる」

 少女が私の反応を見ながら嬉しそうに微笑む。
 吸い込まれそうな笑顔を浮かべたまま、彼女は私を手招きした。

「ちょっとこっちにきてしゃがんで?」

 憧れの美少女の手招きに、私は吸い寄せられるように歩を進める。

 一歩……彼女との距離が縮まる。

 もう一歩……さらに距離が縮まる。手を伸ばせば少女に触れられるほどに。

「おにいさん、耳! 耳!!」

 彼女が左手を口の横に当てて、内緒話のジェスチャーをした。
 私は少ししゃがんで、さらに一歩近づいた。

「わたしからのお願いって言うのはね……」

 そして密やかに息を殺す少女に釣られて、私がごくりと唾を飲み込んだ瞬間――

ズムッ

「う、グッ……ぶッ……!」

 まるで心臓にくいを打ち込まれたようだった。
 次の瞬間、急に激痛が左の胸から腹にかけて襲いかかってきた。
 視線を落とすと、少女の細い脚……右ひざが私の腹にめり込んでいる。




(何が起こったんだ……!?)

 思考が全然まとまらない。
 吸い寄せられるように少女に近づいたら、激痛が襲ってきた。

 だが、そんな私の悩みを包み込むように、今度は胃の奥から何かが込み上げてきた。

「ぐむっ……んん!」

 左の手のひらで口元を塞ぎ、涙目になりながら吐き気を押さえ込む。
 その時になって初めて、私は無防備な状態で、この美少女から鋭い膝蹴りを食らったということを理解した。

「が……は……」

「きゃはははははは! 耳まで真っ赤にしてすっごい痛そう〜!」

 だが、少女のターンはまだ終わらない。

「えいっ!」

 その真っ白な手のひらを私の両肩に乗せ、今度は右足を軸にして捻りこむように蹴りを放つ。

パシィィン!

 彼女の長い左脚が私の股間に滑り込み、左の太ももの付け根にヒットした。

「いぎゃあアアアアアァッ!!」

 鍛えることが難しい脚の内側を容赦なく少女は打ち抜いた。
 思わず自分の足がもげるのではないかと錯覚するほどの激痛が私を襲った。

「まだまだ許せないなぁ……」

 少女は悶える私を掴んだまま、左足の甲で股間を突き上げた。

「がっ、あっ! ああぁぁっ!!」

 少女は器用に片足立ちのままで私を責め続けた。
 両肩を抑えられた状態で、直前の蹴りの痛みからも解放されていない上での追撃。

「プチッて潰れちゃったかなぁ〜」

 急所に加えられた痛みに対して、本能的に身を引くが逃げられない。
 こんな可憐な少女が私の股間を容赦なく責めてくるなんて……。

とんっ

 少女が私の肩を押すと、その場に崩れ落ちそうになる。力が全く入らない。
 呼吸を整えることすら容易ではない。痛みに堪えながら、顔を歪める私を見て少女は言う。

「はじめのキックで肋骨までイっちゃったかな? 油断してたから筋肉も緩んでたし」

 たしかに左の脇腹の痛みが収まらない。
 いつもの可憐な美少女からは想像できないサディスティックな表情だった。
 とても恐ろしい……でも、ある種の美しさを秘めた微笑に私は心を奪われてしまった。

「ねぇ……」

 怯えの色を目に浮かべる私に、少女が顔を寄せてくる。

「あと5発ボコらせてくれたら許してあげる」

 この激痛をあと5発も? 無理だ、耐えられない!!
 私は反射的に首を横に振った。

「あっそ……」

 すると彼女は再びケータイを開いて見せた。私に対する圧倒的な優位を示すために。

「うくっ……」

 数秒間思案した後、私は観念した。
 彼女の推測どおり、私が彼女を毎日見つめていたのは確かなのだ。
 ささやかな楽しみではあったが、彼女が不快に感じていたのなら、それなりの対価を支払わなければならないのだろう。

「わたしね、3年生の頃から空手やってるんだー。だからちょっと痛いかもね?」

 少女は顔を上げた私に向ってシャドーボクシングをして見せた。
 小さな右拳が往復するたびに風きり音が聴こえる。

「ねえ、またしゃがんで? もう一回膝蹴りしてあげる」

「……」

 しかたなく彼女の言葉に従い、少ししゃがんだ瞬間……その細長い腕が私の顔を抱きしめた。

(えっ、なんで……?)

 憧れの美少女に抱きしめられたという感覚が、先ほどの痛みを瞬時に打ち消す。
 甘酸っぱい少女の汗の香りと、シャンプーのにおいに包まれる。
 それに顔がこんなに近くに……!

「こうやって首を抱きしめてから蹴られちゃうんだよ?」

 蹴りという言葉に、思わず身体を硬くする。そうだ、私はこれからこの少女にまた――

「ほら、しっかり堪えないと痛いよ〜〜?」

 私を抱きしめた腕が、ぎゅっと頭を沈めにかかってきた。
 ムエタイでいう首相撲という技に似ている。
 このまま少女に身体を固められたまま、再びあの硬く鋭い膝蹴りが私の腹を打ち抜くのか……。

(しかし、来るのが判っていれば耐えられるはず!)

 歯を食いしばり、腹に力を込める。膝がヒットする瞬間に、少しでも身体をずらせばダメージも軽減できる。

「さあ、早くし…………えっ!」

 至近距離から少女を見上げ、攻撃を促した瞬間に彼女が首相撲を解いた。

「フッ……」

 そして素早く半歩だけステップバックした彼女の右フックが、私の顎の先を捉えた。

(なっ……)

 本当に、小指の先が触れる程度のわずかな打撃だった。
 しかしその一撃は、確実に私の脳を左右にシェイクした。

「っ〜〜〜〜!」

 視界がゆっくりと右回りにグニャグニャに歪んでいく。
 言葉を発する前に、左の肩が地面についた。
 私は少女の足元に無様に崩れ落ちてしまった。

「あははははっ、フェイントでしたー♪」

 ケラケラ笑う少女がつま先で私の肩を蹴飛ばした。ごろん、とゆっくり回転する風景。

「痛いのはこれでおしまい。そろそろ犯してあげるね?」

「っ?!」

 仰向けにされた私は自分の耳を疑った。しかし、確かに少女はそう言ったのだ。




 そして小さなお尻が私に逆向きにまたがってきた。続いて腹部にゾクゾクした感触。
 少女は事もあろうに、倒れた私のズボンからペニスを半分ほど露出させたのだ。

「ほら、美味しそうに盛り上がってるー!」

 どういうわけは私は激しく興奮していた。
 年下の美少女に倒され、馬乗りになった彼女の体温を感じているだけの事なのに……たまらなく刺激的だった。

「ねえねえ、なんでおちんちん大きいの? 女の子にボコボコにされると感じちゃう人なの?」

 何も言い返せない。頭がグラグラして首を横に振る事もできないのに、少女の罵倒する声が容赦なく私に突き刺さる。

 しかし激しい言葉とは真逆で、少女はむき出しにしたペニスを優しく扱ってくれた。ペニスにそっと触れた柔らかな手が、ゆっくりと上下するだけで切ないため息を漏らしてしまう。

「こんなので気持ちいいんだ……じゃあ目いっぱい辱めてあげるからね〜」

 少女の重みが消える。
 私の上で180度体をひねった彼女は、今度はペニスの真上にストンと腰を下ろした。

キュムッ……

「くおおおおぉ!」

 小さなお尻がペニスを押しつぶす。
 たったそれだけの事に再び私は激しい劣情に捉われた。

 感度が最高潮に達しているペニスが、スカート越し、スパッツ越しとはいえ美少女のアソコに接触しているのだ。

「おにいさん、すっごく感じてるでしょ……」

「!!」

 意地悪な目で覗き込んでくる少女が、ゆっくりと腰を振り始める。

(あひいいいいいっ! こんな、こんなことがああああ!)

 穢れを知らない少女、自分に触れる事は叶わぬ聖なる存在だと思っていたのに!

 遠くから見ているだけの存在と、今自分が接触している背徳感。

 すべすべの素肌を間近で見ているだけでイきそうになる…いや、イくしかないいいいぃぃぃ!

「出しなよ、ほらっ、ほらほらぁ!!」

 こちらの限界を察した少女は、少しだけ腰を浮かせた。
 そしてペニスに触れるか触れないかの刺激を与えながら数回ほどリズミカルに腰をくねらせた。


「うあっ、あはあ、ああああぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

ビュククッ、ビュルルルルルルル〜〜〜〜!!

 挿入すら、いや……彼女の秘所を拝む事すらなく、私はイった。イかされた。

 こんな年下の少女に弄ばれ、プライドを切り裂かれたまま何度もやってくる射精。

「あはっ、本当にイっちゃった。ドバドバ出ちゃってるー! サイテー!!」

 汚らわしいものでも見るように少女は笑う。

ギュッギュッギュ!

「んはああああああっ、やめてえええ!」

 そしてズボンの中で今も悶えているペニスを、小さな足で踏みつけてきた。

 足元でピクピクと痙攣する私を見下しながら、少女は楽しそうに笑った。
 そしてケータイを開き、素早く私の姿をカメラで保存してから、そっとしゃがみこんできた。





「今日はこれくらいにしてあげる。続きはまた明日、ね?」






(続くかもしれない)
2015.04.20 加筆

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