「妹の置き土産」







 机の上に乗っている数本の黒っぽい棒を眺めている。
 それほど太くはない、爪楊枝を束にしたみたいな物体。

 触れてみると少しザラッとしていて、束をまとめる水色の帯には毛筆体で「しらゆき」と書かれていた。

 これは昨夜、妹から貰ったお香だ。
 最近あいつの中ではブームらしい。

 一体どこで入手してきたのか定かではないが、怪しい薬の類でもなさそうだ。

 灰皿を用意してその上で火をつけてみる。
 瞬時に先端に赤い火が灯った。


「ふむ、なかなか……」

 静かに立ち上る煙に不快感はなく、ひんやりとした空気に溶けこむようだった。

 しらゆきは少量なのに良い香りがする。
 何故そんな名前にしたのかよくわからないが。








ガチャッ

「いい匂いがすると思ったらやっぱりこれか~♪」

 お香が半分くらい燃え尽きた頃、何の前触れもなくドアが開いた。


「ちゃんとノックしろよ香織」

「ごめんごめん、うっかりしてたー!」

 妹の香織が部屋に入ってきた。
 今日は白と黒のボーダーのロングTシャツに、ハーフパンツとニーソ……ありがちな部屋着姿だが悪く無い。
 
 しかし不法侵入にたいして全く反省の色はない。


「いい匂いって、お前これを試したことなかったのか?」

「ウン。だって友達からもらったばかりのやつだったから……」


「それで俺に毒味をさせようと?」

「正解! さすが兄貴!!」


「……そこに座りなさい。妹としての心得を教えてやる」

 冗談のつもりでベッドの方を指差すと、妹はおとなしくそれに従った。
 ペタンと可愛らしく女の子座りをする香織の顔色をうかがう。

 普段なら反発するだけのはずなのに今日はやけに素直だ。
 それにどことなく満足そうな表情をしている……

 小さな鼻をクンクンさせて「しらゆき」の溶け込んだ部屋の空気を吸い込んで、うっとりしている。


(まさかこれ、媚薬の成分とか入ってないだろうな!?)

 慌てて使用上の注意を読むと「必ずお一人様でお楽しみください」と書かれていた。
 この説明書きの意味がわからない。

 二人以上だとどうなるというのだ?

 実をいうとさっきから股間が少し疼いてる。

 そう、ちょうど妹がこの部屋に入ってきた時から……


「で、なぁに? いもうとのこころえって」

「うっ……」

 香織がベッドに腰を掛けたまま足を組み替える。
 ミニスカートではないけどハーフパンツから覗く白い足が今日はやけに色っぽい。

 構造上、奥まで見えるわけがないのに視線が外せない。


「お前さ、このお香ってヤバいやつじゃないのか」

「ん~? ヤバいってなぁに?」

 妹がトロンとした目でこちらを見つめてる。
 誘っているような、妙に穏やかな視線で。

「……」

 まるで吸い込まれるように俺は自然に香織の隣へ座ってしまった。

「それは……わかんないけど。ちょっと変な気持ちなんだ。何言ってるんだろうな俺」

「もしかして兄貴がヤバくなっちゃってるの?」

スッ……

「!!」

 香織の手のひらが俺の太ももにそっと触れる。
 やわらかい手のひらが心地よい暖かさを与えてくれる。

 なにより股間に響いてくる……相手は妹なのに今は駄目だ。女として意識してしまう。


「あのね」

スリ……

不意に妹の手のひらがゆっくりとうごめいた。

「んっ、な、なんだああぁ!?」

「えっとね、あたしは廊下にいた時からヤバかったよ……」

 耳元に妹の吐息を感じる。
 それが妙に熱を帯びて苦しそうにも見える。 

 しかも俺まで本気でドキドキしてきた。


「ごめんね。兄貴の体で試すようなことしちゃって」

フウウウゥゥゥゥゥ~~~~


「ぅああっ!」

 突然耳の穴に暖かい風を送り込まれてビクッとしてしまった。

 その隙に香織の手のひらがゆっくり移動する。
 まるで全て見透かしていたように、窮屈になった俺の股間をズボンの上から優しく撫でさすり始めた。


(ひいいい! あ、あああぁぁぁ~~~~~!)

 手のひらのくぼみが隆起した部分に添えられる。
 焦らすような愛撫に全身が泡立つ。


クリュ、クイッ!

 敏感になっている先端部分がジワジワと心地よくしびれ出す。
 ズボンの厚い生地越しなのに妹の指先が奏でる快楽が貫通してくる。

 特に指先でツンツンされると気持ち良すぎる。これは我慢なんてできない!
 自分で触れる時の何倍もの快感を与えられた俺は次第に身動きが取れなくなっていった。


「目、つぶってていいよ兄貴。恥ずかしいんでしょ」

チキキキ……

 細い指先が優しくファスナーをおろして、二本の指がトランクスの内側に侵入してくる。

 あああ、拒めない……それどころか――、


「あー、やっぱり。ねえねえ、すっきりしちゃお? お手伝いするから」

クニュッ、クチュ……♪

「んあああああっ!!!!」

 うっとりした様子で妹がさらに身を寄せてきた。
 同時に不器用な手つきで亀頭がこね回され、体が浮きあがるように感じた。

 そんな俺を香織はしっかりと細腕で抱き寄せる。

 薄手のシャツに隠されたふっくらしたバストが強く押し当てられ、ますます身動きが取れなくなってしまう。


「ぐうう、うあああぁぁ、ま、待ってくれ……!」

「待つ? 何を?」


「そ、それは……」

「うふふ、ダメ。兄貴も感じてるくせに」

 自分でもわかる。妹の人差し指が裏筋を軽く引っ掻いたせいで、さっき我慢汁が決壊した。
 トランクスの中を見るまでもなく俺は妹を汚してしまったんだ。

 あっという間に差し込まれた香織の指先がネトネトになって、それがさらなる快感を生み出してくる。
 しかも抗えないほどの心地よさを伴って。


「すごい……もうこんなにしてる。エッチなんだね兄貴」

クチュクチュクチュクチュクチュクチュ!

クチュクチュクチュクチュクチュクチュッ!!

クチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュ!!!

クチュクチュクチュクチュクチュクチュ♪


「ひ、うあっ、ああああ、ああああ!!!」

「自分に嘘ついちゃダメだよ。それにあたしにもね!」

クッチュウウウウ!!

 見えない場所を這う、妹の指先がピンと俺自身を軽く弾いた。
 そして次の瞬間、蛇のようにまとわり付いてクネクネと動き出す。

「ふああああっ!!」

 気が付くと俺の腰に香織の腕がしっかりと巻き付いていた。
 さらにあのニーソ足が俺の左太ももの上に乗せられて、身動きできないようにやんわり拘束されていた。

 妹の太ももという極上の暖かさと柔らかさを意識した途端、我慢はついに限界を迎えた。


(ああああぁぁ、出ちまう……妹の手で、こんな簡単にいいいぃぃぃぃ!!)

 スーっと力が抜けていく。いや、力が入らない。我慢する力が溶けていく。


「いいよ。出して」

 さらに甘ったるい声で囁く妹に、耳の中から脳みそを犯された俺はもう何も考えられない――。


チュクウウッ!!

 再び絡みついた指先が、裏筋を何度も優しく引っ掻いてきた。
 駄目だ、これされると……弱いんだ……

「ほら、イって!」

クキュウウウッ! キュ、キュッキュ!

 ズボンの中で二本指の間にカリ首を引っ掛けたまま、香織は優しく振動を加えてきた。


「あ、ああ、あっ!」
 その指バイブのリズムに誘われるように俺はカクカクと腰を震わせてしまう。


「兄貴、かわいい♪」

 香織がうっとりした声で囁いてくる。

 ああぁ、出る! こんなに優しく弄られたらもうッ!!


「うああああ、イッ――」

ビュクッ、ビュルルルルル!!




「ッ~~~~~~~~~~~~~~!!!!」

 家の中で大声を出さないように、口を抑えながら香織の指先に大量の精液をぶちまけてしまった。

 射精が終わってからも妹の指先がしつこく亀頭を這いまわったおかげで、俺は連続で何度もイかされてしまった……











「しらゆきにはね、ちょっとだけ大胆になれる薬が入ってるんだってさ」

 頬を上気させたまま、俺にギュッとしがみつきながら香織が呟いた。

 こちらを見つめたままで手のひらや指先にねっとりとこびりついた精液に舌の先を伸ばしてペロリと舐めてみせる。

(エロすぎるだろお前……)

 まさかこいつ、本当はこの効果を知ってて……? しかし射精の余韻のせいでうまく考えがまとまらない。

 それを問いただす間もなく、俺の股間や自分の指を綺麗にしたティッシュを丸めて香織は立ち上がった。



「また明日も使おうね、兄貴♪」

 静かに閉まる扉と、妹の後ろ姿を見ながら俺は心地よい疲労とともにベッドに倒れこんでしまうのだった。



(了)




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 深谷トーナ氏のサイト。女の子可愛いです。




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