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 豪州代表女子と日本代表男子の親善試合も残すところあと一組。
 オリヴィアとの試合を終えた御柱はこれまでの流れを振り返り落胆しているばかりでもなかった。

(今日の負け越しは確定だが課題が見えた。来週までにやるべきことは多い)

 江ノ島、伊賀、朝霞の三人は全力を出す前に相手に完封されたが最善は尽くしたと考える。
 それぞれ後悔も反省もあるだろう。豪州女子選手との相性の善し悪しもあった。
 来週の本番へ向けてそれらを修正していけばいい。

 自分たちの未来へ思考を巡らす御柱の隣で、副将・宇垣は現在を見つめていた。
 最終戦となる次の試合に向けて彼はすでに臨戦態勢だ。
 負け越しが確定した今となっては開き直るしかなかったが、それでも勝ちを拾いたい。
 日本代表の中で「寝技師」の異名を持つ彼は速攻を好む。
 有名な格言である「攻撃こそ最大の防御」を座右の銘とする彼は、相手に反撃の機会を与えずに勝つことこそ最善と常に考えている。
 そして今、彼は相手陣地にいる長身のソフィーをじっくり観察していた。




(かなりの美人だ……特に筋肉が素晴らしい。さて、手強い相手をどう攻めるか)

 彼はひと目見てそう思った。
 まずは爆乳。巨乳揃いのあちらのチーム内でも目立つ大きさだ。
 挟み込まれたらただでは済まない。
 水着の跡が妙にエロく見えるがそれに惑わされてはいけない。
 かなり鍛え込まれた下半身の筋肉に自然と目が行く。
 これは欲情ではなくリスペクト。
 相手の良いところを素直に認めてこそ直前の対策が役に立つのだ。

 もう一度彼はソフィーを分析する。
 文句なしの美巨乳……そして下半身の安定感が半端ない。
 事前情報によれば元陸上競技出身だという。
 どのような理由でバトルファックに転向したのかまでは分からない。
 だがあの強靭な足腰には注意せねばなるまい。
 ソフィーには失礼な言い方になるが、余計な色気を感じないのは救いだった。
 これで誘惑技まで駆使してくるようなら手に負えなくなる。

 柔道四段の実力者でもある「寝技師」は無骨に見えて知性派だ。
 詰将棋のような戦略を構築してから試合に臨む。
 すでに彼はいくつかのプランを頭の中で練り上げていた。


 一方、豪州女子代表のベンチでは……

「ではいってきます。クロエさん」

 にこやかに振る舞いながらもソフィーは緊張していた。
 無理もない。ここまで自軍はほぼ全勝。
 自分だけが負けるなんてことがあってはならない。

「ソフィー、がんばってね。あなたなら心配いらないわ」

 そんな彼女に向かってクロエは肩の力を抜くようにと指示を出す。
 勝ち負けに拘る必要もない……と、リラックスさせるつもりのひとことがソフィーをますます緊張させてしまうとは思いもせずに。

 やがてレフェリーからセコンドアウトの指示が出た。

「相手のサムライボーイは寝技師(グラウンドマスター)……得意のグラウンドに持ち込む前に壊されなきゃいいけど」

 クロエはソフィーの背中に向かってつぶやく。
 負けず嫌いの彼女がどれくらい健闘するのかを期待しながら。


 宇垣がコーナーを離れる寸前に御柱が彼に告げた。

「これで今日はラストだ。お前が締めてくれ。その……すまん」

 唇を噛み締め自分に詫びる御柱を見て宇垣は小さく笑う。

「なぜ謝るのですか。
 第四試合は最後までキャプテンが粘り強さを見せつけたいい試合でした。
 自分もその奮闘に続きます」

 静かに背を向け戦地へ赴く仲間に御柱は安心する。
 彼との信頼関係は揺らいでいないようだ。
 あとはキャプテンとして彼の勝利を祈るだけだ。

 試合開始一分前。リング中央でソフィーと宇垣が向かい合う。

「よろしくデス。グラウンドマスター」
「ナッ、ナイストゥミーツユー……あれっ……」

 宇垣は最初くらいは相手に確実に通じる言葉で挑発するつもりだったのだが、

「オウッ! サンキュー、ミートゥ♪」

 逆にソフィーの可愛らしい笑顔を正面から受けとめることになってしまった。

(ばっ、馬鹿か俺は! カウンター技を食らっちまった……)

 微妙な表情でコーナーへ戻ると彼は全力で自分の顔をバチバチと張ってみせた。
 御柱の目にはそれが己を律する姿に映り、この上なく気合が入った様子に見えた。

 そしてついに試合開始となる。
 気合を入れ直した宇垣に向かってソフィーが全力でダッシュ。

(はっ、速い!)

 気づけば彼女の右肩が宇垣の胸部へヒット、そしてタックル成功に見えたが――、

「ふんっ!」

「ワッツ!?」

 ソフィーは驚く。宇垣はまったく動じていない。
 彼にとってこれは予想していたとおりの展開だった。
 いきなり突っ込んできたソフィーをしっかり受け止め足払いをかけ、転がして抑え込む流れ。

 だが彼の足が空を切る。
 ソフィーが自分から両手で彼の体を押して距離を取ったのだ。

(判断力と全身のバネがすごいぞ……俺のホールドを外してくるとは……)

 数秒前とは逆に宇垣が驚いていた。
 瞬時にプランを立て直す。がっちり受け止めるべき相手ではない。
 短距離走のように速いソフィーの動きを止めるためには前に出るしかない。
 しかしいちいち受け止めていたらダメージがたまってしまう。

 宇垣の考えをよそにソフィーは自らロープに駆け寄り、その反動を使って再び彼に襲いかかる!

「うおおおおおっ!?」

 加速した動きに対して半身になって回避する。が、すぐに彼女が背中に迫ってくる。
 宇垣はヒットアンドアウェイで全身タックルしてくるソフィーに一瞬だけ反応が遅れてしまう。
 ロープだけでなくコーナーポストまで使ってソフィーはロケットのようなダッシュで彼に何度もアタックしてくるのだ。

 やがて七度目の突進でソフィーがついに宇垣を捉える。
 回避して振り返った瞬間、彼はもろにタックルを受けてしまった。
 鈍器で思い切り殴られたような衝撃にむせながら宇垣は懸命に受け身を取って立ち上がろうとするが、素早く馬乗りになったソフィーに阻止されてしまう。

「アッハ♪ イッツ、ショーターイム♪」

 ソフィーは淫らな笑みを浮かべ上半身を倒して爆乳で彼を抑え込もうとした。
 だがそれを黙って見過ごす寝技師ではない。

 倒れ込んできた美肌の壁に押しつぶされることなく首をひねってソフィーの左脇へエスケープ。
 二人の間にわずかに生じた隙間に右腕を差し込み、体の捻りを利用して反転した。

「エ、エエエッ、ドウシテ!?」

「おりゃあああああああああっ!」

 ソフィーの臍の下へ滑り込ませた右手と背中へ回した左手で彼女の体を強引にひっくり返す。

「キャアアッ! ア、アアアーーーッ!?」

 わずか1~2秒程度の攻防で天井を仰ぐことになったソフィーは変化に対応できない。
 状況が理解できずに硬直、その間に宇垣は左腕を彼女の首に巻きつけ、さらに左腕をキャッチ。
 一瞬で変型肩固めを決めた。

「……反撃させてもらう」

「ノオオオォォォー!」

 もがいて抜け出そうとするソフィーを左手一本で抑えつつ、寝技師は右手を下方へ滑らせて乙女の秘部を弄び始める。ゴツゴツした指が少しずつ埋め込まれてゆく。

「ア、ノ、アアアーーー! ヒッ、そこは弱いデス……」

「そういうことは自分から言わない方がいい」

 冷淡にアドバイスをつぶやきながら中指を膣内へ突き刺す宇垣。
 ソフィーの膣質を確かめるようにクリトリスの裏側あたりをグリグリ刺激してやると、官能的な喘ぎ声とともに内部が侵入者を強く締め付けてきた。

(不用意に挿れたらまずいな。かなり強い締まりだ……)

 責めながら宇垣は素早く弱点を探ろうとした。指先を抜き取りクリトリス周辺を責める。
 ソフィーも脚を閉じて抵抗を試みるがそこは寝技師、多少の抵抗など関係なく自分が攻められるルート(=隙間)を確保していた。
 そして宇垣の小指がかすかにソフィーのアナルに触れた時、彼女は大きめの反応を示した。
 だが不運なことに、膣へ意識を集中していた彼はそれに気づけなかった。弱点を敵に悟られたくないソフィーは比較的動かせる左足を振り上げ、マットを強く蹴って体を右へ捻った!

「ヤアッ、ハアアアアアァァァッ!」

「くっ! うっ、うおおおぉぉぉっ!?」

 関節技を外そうとして無理をすれば腕が折れる。
 動けないはずの相手が予想以上の力で反抗してきたことに宇垣は驚嘆する。

 その隙にソフィーがうつ伏せになった。

「フゥ……」

 両腕で自分を抱きしめるようにしながら長い足を伸ばして秘所をガードするソフィー。それが腕関節を取らせないためなのかバストを隠すためなのか判断がつかないまま宇垣は彼女の背中に張り付いた。

(これで防いでいるつもりか……)

 少なくとも相手は格闘技の専門家ではない。
 そう断じた宇垣が太い腕を彼女の首へ回そうとした時だった。

「ヘイ、カモン! グラウンドマスター」

 なんとソフィーは自分から仰向けになり、笑みを浮かべて彼を手招きしてきた。

「舐められたものだ。俺を誘っているのかっ!」

 余裕たっぷりの様子が気に入らなかったのかも知れない。宇垣はソフィーの片脚を持ち上げると、先ほどまでの愛撫によって潤っている膣内へ一気に肉棒を差し込んでしまった!

ずちゅうううううっ!!

「アハァッ! ハアアァンッ! 正常位、ですカ?」

「ああ、望み通りセックスで勝負してやる」

 彼の判断は正しい。
 ソフィーは格闘技の駆け引きができないしバトルファックの経験も浅い。
 注意すべき膣内の締りも事前に把握しているので締め付けを半減させるための足を持ち上げる体位で責めるのがセオリーだ。
 さらに宇垣は片方の手を彼女の指にからませ抵抗を封じていることで、膣内同様に注意するべき爆乳にも触れずに済む。

 しかしここで予想外のことが起きる。ペニスを挿入する際に一番奥までたどり着かないのだ。
 陸上で鍛えたソフィーの下半身の筋肉が膣奥への挿入を阻んでいた。

(大きな、尻が邪魔だ……だがこのままイかせる!)

 手応えの浅さに動揺しながらも力強いピストンを繰り返す宇垣。
 腰を突き刺す時にソフィーのお尻が、太ももが肉厚のクッションとなりダメージを緩和していた。

(おかしい……この責め方は違う、のか……なら彼女の弱点とは一体……?)

 尻肉や太もものせいで正常位の効き目が薄く感じる。しかもソフィーの呼吸が整い始めていた。
 だが騎乗位をためすのは主導権を渡すことになり危険すぎる。それなら四つん這いにさせてバックにするかと彼が考え始めるのとほぼ同時にソフィーが動き出す!

「フゥ……私、リベンジしますネ」

 ピストンのリズムに合わせて彼女は腹筋を使って上体を起こし、空いている手を伸ばして宇垣の首へ巻き付けてしまった。
 その引きの強さはすさまじく、当然バランスを崩すことになり宇垣は前のめりになる。

「ぐああああああぁぁ、くそっ、う……うぷうぅぅっ!?」

 無理やり爆乳に導かれた宇垣はその圧巻の柔らかさに呼吸を乱すことになる。見た目以上に柔らかく肌にぴったりと吸い付いてくる感触は男心を惑わす以上に物理的な脅威を秘めていた。

(息が吸えなくな……んあっ! それに単純に強いっ……寝技で俺が抑え込まれる!?)

 自分の胸でジタバタする彼の後頭部を両手で押さえながらソフィーは笑う。
 ペニスも同じようにしっかりと膣口で締め付け逃亡を許さない。
 ここまで彼の好きに責められ、弱点のアナルに触れられた危機もあったが快感の蓄積以上にスタミナを回復することができた。ここからは彼女のターンだ。

(お返ししますね。快楽と引き換えに頭の中をめちゃめちゃにしてあげます♪)

 正常位からゆっくりと体を傾けて側位へ、そして騎乗位へと移行するソフィー。
 酸欠状態で弱々しくもがき続ける宇垣はそれに気が付かない。

 マウントを取りバストの圧力だけで寝技師を制圧した彼女が不意にバストに埋もれた彼の顔を持ち上げた。

「いいお顔になりましたネ。アイウィルラブユー、グランドマスター♪」

 ソフィーは彼に十分な酸素を吸わせる機会を奪うように唇を重ねて微笑んだ。

ちゅうううっ!

「んうううっ、うううーーーーーーっ!?」

「フフフ……プリーズ、ラブミー……んちゅううぅぅ♪」

 目を白黒させている宇垣を抱きしめ再びディープキス。
 技巧など殆ど感じさせないこの口づけが今の宇垣にとっては凶悪な責めだった。
 キスの間に舌先をねじ込まれながら強制的にソフィーの唾液と吐息を味わい、不規則に息を送り込まれるのが特に辛かった。

(意識が、まずい、頭がぼやけて……)

 送り込まれるのは酸素よりも圧倒的に多い二酸化炭素。僅かなキスの隙を見つけて顔を離そうとしてもソフィーの長い腕がしっかりと彼を押さえつけられているのだ。

「あむっ、んうう、くっ、はぁぁぁ!」

「ぷはぁっ、フフッ、アハァッ♪ そんなに、苦しいですカ?」

 たっぷりとキス責めで彼を痛めつけて抵抗力を奪ったソフィーは腰を持ち上げ、ギンギンにそそり立ったペニスを膣内へと飲み込んだ!

ぐちゅううううううううううぅぅぅっ!!

「くはああっ、あ、あがっ、はぁっ、は……締め付けるなあああああ!!」

 宇垣は悶える。
 酸欠からの解放と同時に味わわされたソフィーの膣内が容赦なく彼を喜ばせにかかってきた。

「はぁ、はぁ、はぁっ……騎乗位!? 何故だ……責めてたのは俺、なのに……」

 ようやくここで自分が正常位でないことに気がついた彼が現状を理解する前にソフィーは全身で彼に抱きつき甘くささやいた。

「ウフフフ……これがアンサー! 私、負けるのは嫌いデース」

グチュグチュグチュグチュッ、ギチュウウウウ!

「ぐああああああっ!」

 マットの上で貼り付けにされたまま宇垣が喘ぎだす。全身で感じるソフィーの極上ボディに押しつぶされながら膣内で激しくシェイクされる肉棒からも悲鳴が上がる。

(こ、こいつは、強い……強すぎる! 怖い、でも気持ちいい、こんなに綺麗で、くそっ、くそおおお!)

 男性の肉体は悲しいことに危機を感じるほどに固くなってしまうのだ。
 単純で力強い騎乗位のピストン運動が否応なしに彼の性感を高めてゆく。

「ショータイムアゲイン……愛し合いましょう? グランドマスター」

タンタンタンタンッ!

 ソフィーの腰使いが奏でる射精へのカウントダウン。陸上競技で鍛え込んだ下半身は短距離だけでなく長距離もこなす万能を与えられていた。

「ハァッ、ハァッ、ハァン! これでフィニッシュ、デース……」

 ソフィーが腰の動きをピタリと止めて全身で彼を抱きしめる。
 極限状態での寸止めは激しいピストンに備えていた宇垣の全身を急速に蝕み、必死で我慢していた彼の精神を内部から崩壊させた。

「う、うっ、うううああああ、こんなっ、こんなことでっ! くそおお、出るううううぅぅぅ!!」

「イエス、カモン♪」

 全身を震わせながら耐える彼の頬にソフィーが優しく口づけした瞬間、

ドピュウウウウッ、ビュクビュクビュクビュクンッ!!

「~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」

 褐色の肌に包まれたまま寝技師が爆ぜた。
 自らソフィーを求めるように両手の指を美尻に食い込ませながら、何度も何度も精を放つ。

「ハァァンッ! グッドテイスト……もっと、もっと出して、プリーズ」

 中出しの感触に気を良くしながらソフィーも喘ぎ、軽く絶頂してしまう。
 その影響で膣内が急激に彼を締め上げ、宇垣は気絶するほどの快感に押しつぶされた。


 レフェリーが宇垣とソフィーの同時絶頂を示す判定を下し、両者を引き離す。

 しかし自ら立ち上がることができたのはソフィーのみ。

 この瞬間、宇垣の……日本代表の第五試合敗北が確定した。


 リング上で自分の勝利に喜ぶソフィーを満足そうに見つめながらクロエはつぶやく。

「やはり寝技師は寝技に持ち込めなかった……私の予想通りね」

 こうして親善試合は幕を閉じた。


「今日はありがとうございまシタ」

「……こちらこそ。来週は今日と違う自分たちの姿をお見せしよう」

 憮然とした表情の御柱にクロエは微笑みを浮かべる。


「それはとても楽しみデース」

 キャプテン同士、御柱とクロエが固い握手を交わす。

 来週の本番を前に、お互いの心に「必勝」の二文字を刻みつけながら。





第5話 ~ 宇垣VSソフィー戦  ~(了)





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