『不滅の赤』のうわぬりさんからいただきました!
R-18ですので苦手な方は避けてください。










『戦焔の灯』





息も出来ぬ、とはまさにこのことだと周瑜は思い至った。


戦とは血生臭いものだと、実感したのはいつだったろうか。
少数で夜襲をかけてきた相手を撃退し、勢い本陣を潰してしまったこの戦の勝利の最中、周瑜はそんなことをぼんやり思った。
「周瑜様、お怪我は?」
「大事ない」
腿をかすめた矢は幸い毒もなくさほど痛みもなかった。
若い、否幼いとさえいえる周瑜の怪我はしかし痛ましくもあり、周りの一回りは年上であろう兵や将校は心配顔だ。
「伯符は?」
「若は兵と語らっております」
最近は孫堅について一緒に出るようになった孫策は早くも兵に馴染み始めているらしい。慕われるのは血筋か人柄か。
「周瑜様、やはりお怪我を放置されると危のうございます。どうか手当てを」
そんな将校に笑って周瑜は腿を剥いてみせた。
「ほら、かすり傷だ。そう心配しないでくれ」
露になった白い腿に一筋の血が流れている様に、一種異様な空気が満ちる。
あまりにも白。あまりにも映える赤。
見てはいけないわけではないのに、なぜだか見てはいけない気がして、それなのに視線を外せないそれに兵や将校は息を呑んだ。
「これは眼福だな」
そんな空気を壊す一声に、ようやく我に返った将校が居住まいを正す。
「孫堅様!」
「皆、ご苦労だったな。宴の準備をしている。まずは身を清め怪我を手当てせよ」
そうして気付いた肉を焼く匂いにつられるように、兵たちは一つ礼をして歓声を上げながら駆け出していった。
「周瑜を借りるぞ」
「は」
察した将校が下がったのを見送ってから、孫堅は周瑜を抱き上げた。
「罪なことをしたな」
「仰る意味がわかりませぬ。それより、どうかお降ろし下さい」
もちろん周瑜の言葉に孫堅が意に介するわけもなく、あっという間に孫堅の天幕へと連れられてしまった。
「あのような場所で肌をさらすとは命知らずとでもいうか」
戦装束を脱ぎ、周瑜の鎧も外させ、それから剥き出しにされた足を丁寧に検分する。
「戦で兵は気が昂ぶる。ましてや勝利の後は尚更だ。そのような時にこのようなものを見せられては堪ったものではなかろう?」
意味深に笑われて、周瑜はカッと頬を赤らめた。辱められる言葉であり、また眼福といった孫堅の言葉の意味に気が付いたからでもある。
「殿!」
「本当のことだ。お前は男を惑わすことを自覚しなければならん」
「惑わすなど…あ」
言い募る周瑜の言葉は、腿を辿った熱い感触に遮られた。
「ふむ、甘いかと思ったがそうでもないな」
「おおとの…お止めください」
垂れた血を拭い終わった舌が、多少強く傷口をなぞる。痛みに周瑜は呻き声をあげるが孫堅は楽しそうに唇をゆがめるだけだ。
「俺も例外ではない。言ったであろう?気を付けよと」
そなたが悪いのだと意地悪く笑われて、周瑜は唇を噛み締めるだけしかできない。
異様に昂ぶっているのは兵だけではない。
孫堅も、そして周瑜も一緒なのである。
「文台さま」
熱い吐息に気が付いた孫堅が唇を歪める。一息に己の衣服を脱ぎ去ると、やや乱暴に周瑜を寝台へと押し倒した。
「自覚はしたか?」
「惑わされぬくせに、酷いことを仰います」
拗ねたような周瑜に可愛いものよと、ぎらついた瞳を隠そうともせず口付けを一つ落とした。
「惑わされておらぬとでも思ったか?」
くっくっくと咽喉で笑い、孫堅が今度は荒々しく口付けた。
貪るというより、奪うような激しさに周瑜は一気に思考を飛ばす。
「あっ」
性急な手が乱暴に周瑜の肌を這いまわり、熱い舌が執拗に絡みついた。息つく間もないような、それは嵐に似た愛撫であった。
「存分に乱れよ。人払いはしてある」
「ぶんだ…さま」
腿に当たる孫堅の雄の証に周瑜も熱を急速に高めていく。触れられるまでもなく己の雄が昂ぶるのを周瑜は自覚していた。
揺れる腰に孫堅が笑ったことも気にならない。今は早く交合したいとそのことに頭が一杯になってそれどころではない。
「早く…」
「珍しいな。お前が強請るのは」
悪い気はしないと強請られるまま後腔に手を伸ばす。たっぷりと軟膏をつけた指を探りながら差し込めば、周瑜の秀麗な顔が歪められた。
苦悶な顔のそそられ具合といったら、さすがの孫堅ですら無体を働いてしまいそうなほどである。
「そう誘うな」
締め付ける中の熱さや悩ましげな視線、赤い唇が喘ぐ様子は視界にダイレクトな精神的快楽を与え、もっと弄ってもっと乱してやりたいと本能へ強烈に訴えかけてくる。
猛る己を上手くコントロールしながら、孫堅は些か乱暴に周瑜の中をかき回した。
「文台様、もう…もう」
それから小さく欲しゅうございますと呟いた周瑜に、さすがの孫堅の理性も平静を保っていられなかった。
「まったく」
「ふ…ああっ」
「お前というやつは…」
ぐっと一気に押し当てた腰を推し進めながら、孫堅は苦々しく息を吐き出す。
「とんでもないな」
このように溺れる予定ではなかったのに、凄まじい周瑜の媚態に気がつけば引き込まれている。
「俺を惑わすなどと」
「申し訳ありませ…」
健気な周瑜に気をよくして、孫堅はぐいぐいと中をかき乱す。
「よい。俺の手で存分に乱れてみせよ」
「あっ、あっ」
容赦ない抽挿に周瑜は息も絶え絶えに声を上げる。狂おしいほどの快楽と、孫堅という人物に抱かれているというその事実、見透かされる本心に、そして熱を孕んだ視線にわけのわからない熱が周瑜を満たしていた。
そうして蕩けるような快楽の果てに。
「文台さまっ、もう…」
「果てるか?」
「はい…んっ」
そう素直に頷いた周瑜に優しく微笑んで、孫堅は裏腹に激しく腰を突き上げた。
「あっ、あっああっ…」
それから腕を伸ばした無意識の周瑜の行動に可愛いものだと笑いながら強く抱きしめてやる。そして引き込むような媚肉の動きに逆らわず、大きくつきこんだ。
ぐうっと、一際強く抱きしめあって。
頭が真っ白になるような快楽と、珍しく内部にへと放出される熱に魘されながら。

息も出来ぬ、とはまさにこのことだと周瑜は思い至った。



-終-


もっ…もういいのですかいいのですか…!!!!!!
鼻血だくだくです。。ぐっは…!!!!
いやー健気な周瑜がたまらないです…+*+*エロス!エロス!!
ああ、私も大人になったんだなぁとふと思いました。怪しいの描きたいよぅ。