無題


白。

昨夜のうちに積もったのであろう雪がいつもより青白い朝を生み出している。こんなにも澄んだ空気の中で気だるさばかりが押し寄せる。
しかし長居をするわけにはいかない。
そのまま朝を迎えた冷たい衣を拾い、袖を通す。ふと手首に浮かぶ朱に目がとまった。ああ人目につくだろうかとどこか他人事な自分に虚しさを感じた。

情事の名残が瘡蓋のようにうっとおしい。満たしていたはずなのに今この体に残るモノたちはどこかよそよそしく、何処へともない微かな苛立ちを感じた。

振り返りもせず淡々と衣を纏う。
また朝が来、この天下に仕えるのだ。そして孫家の名をもって食らうのだろう。

それでも…と現実に戻されている手を止める。耳に残る声、余裕のある視線。体を這う硬く優しい感触。まだ生々しく思い出す事ができる。その記憶にどこか手を引かれているのだ。

だが執着もしない。するりとほどけてどこかへ行ってしまいそうだ。
成程、懐かないはずだ。自分も、貴方も。

明るい日と夜との生活を繰り返す。
振り返らないのはこの均衡を守るため。

だから…これ以上手を引こうとしないでほしい。


メガ周瑜と屍です。
メガだとこんなイメージ。
EXを思いつくまでは実は屍はこうかなーと言ってました。
まぁ、EXに目覚めてからはあれが公式であることに気付きましたが。