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2002/04/01

 身内TRPG。

 ダメなマンネリ。

 RP面の向上、特に役割としてのキャラクター間の位置付けについて考えることを反省。

2002/04/02

 『マリア様がみてる』の最新刊『レイニーブルー』を読むとピザトーストがピザ面を下にして落ちる。

2002/04/03

> やきたてでーす♪

 悶死。

2002/04/04

 毎日更新メイドサイト

 何がすごいって、勢いでぶち上げた(と思われる)「メイドサイトになる」を、メイドさんへの愛も大して無い(と思われる)のに、きちんと実行し続けていることが衝撃的。

2002/04/05

 アンテナ

2002/04/06

( struck out )

2002/04/07

「蟹臭い味噌臭い。臭いがうつるから寄らないで」
「すぐにお洗濯いたしますので……」

 寝惚けた頭で昼食をとっていたら味噌汁をこぼしたことが原因だったのか。
 偶々精神状態の波が低調だっただけなのか。
 それとも己には知れぬ原因だったのか。

 高校時代の仲間と飲み会があったのだが、一向に楽しい気分にならなかった。

 しかし、僕以外全員は実に楽しそうだったので、これはあくまでも僕自信だけの原因で僕だけが楽しめなかっただけのことに違いない。

 2次会はカラオケだと盛り上がる一同に別れの挨拶も満足にせずに去った。

 これ以上、こんな陰気な輩の声を聞かせたら申し訳ない。

(卑屈だ)

 変わりたい。変わりたい。変わりたい。
 ある時からずっと願っていた。
 もっと尖りたい。

(……何か、ずれが生じているのだろうか)

 帰宅途中、友人の言葉を思い出していた。終始ほとんど言葉を交わさなかったが、そのやりとりだけは胸に引っ掛かっていた。
 友人はほろ酔い加減で僕の隣に腰掛けると、唐突に切り出した。

「小説、進んでる?」
「……いや、全然」
「そうだよねー。なんか駄目だよね、最近」
「…………」
「何で昔はあんなに書けたんだろう。わからん」

 点と点が線にならないとか何とかぼやき合いつつ、その話題は有耶無耶のままに終わった。

 嗚呼、迷っている。

 ……本当は変わりたくないのかもしれない。

2002/04/08

 ぴたテンを見た感想を書こうと思ったけど、なんだか悲しい気持ちになってきたのでやめた。

 コメットさーん……。

2002/04/09

 86段の石段を見下ろすとそれは絶壁に見えた。



 古い地下鉄からは昭和の匂いがする。

 ひび割れて漏水している通路とか扇風機が首を回している車内とか。

2002/04/10

 目覚めると白いシャツが用意してあった。
 さらさらとした生地を確かめながら袖を通す。

 春が来た。



 軽快に台所へ行くと、メイドが微笑んで挨拶をする。

「丁度薄手のシャツが着たいと思ってたんだ」
 そう伝えると、くすくすと笑った。
「昨日はお久しぶりの遠出でしたでしょう。陽気より厚着で、よく汗を掻いていらっしゃいましたから……」

 程なく柊柯が食堂に現れた。こちらは相変わらず布地を多量に用いた装いだった。

「お前は衣替えしないのか?」
「紫陽花の咲く頃にね」

2002/04/11

 何気なく鼻毛を抜いたら白髪だった。

 神秘。

2002/04/12

 コーヒーに牛乳を注ごうとしたら望む量の4分の1も出ずになくなってしまったので、冷蔵庫の奥から新しいパックを引っ張り出していると、メイドがエプロンで手を拭いながらやってきた。

「カフェオレですか?」
「うん」
「お淹れします」
「いや、いいよ。もう」
「でも」
「いいってば」
「ダメです」

 ……取り上げられた。

 仕方がないので、大人しく椅子に座って出来上がりを待つことにした。
 メイドが牛乳パックを開けて、コーヒーに……

「うっ」

 僕は不意に声を上げていた。
 メイドの手が止まる。

「もう一度やってくれ」
「……は?」
「もう一度牛乳パックを開封する動作をしてくれ」
「はぁ」

 屋根の折り目をなぞり、あけぐちの方向を確かめる。
 くぼみに指を挿し入れ、あけぐちを破る。
 広げた屋根を挟み、注ぎ口を開く。
 注ぎ口を摘んで折り目をつける。
 指の付け根で再び注ぎ口を開く。

「……こうですか?」

 この間、約2秒。

「うああっ」
「…………」
「も、もう一度やってくれ」
「……ご自分でどうぞ」

 怒られた。

2002/04/13

> 俺はユユゆゆの方が好き。

 多数決により戦術的後退。

2002/04/14

 NetHack病が再(以下略)

2002/04/15

 身内TRPG。

「一体感が無い」
「無いねえ」
「楽しみ方がワガママなのかね」
「相性かなあ」
「……昔からこんなだったっけ?」
「いや、違うね。昔はさあ。開始前にルーズリーフ一冊分、資料を用意してたりしてたんだ」
「そうだったんだ。そりゃすごいな。やっぱり時間かけないとだめなのかなー」
「だめなんだろうね」
「昔が良かった理由はなんなんだろう?」
「……初心?」
「なんとも憂鬱な結論だな、それは」
「ハハハ」
「昔は良かった、って言ってるだけの年寄りみたいだもんなー。TRPG歴何年って言ったって」

2002/04/16

 エコー

 口太郎画伯へ。

2002/04/17

 起きたら右の手首が痛かった。
 ……寝相が悪かったのだろうか。
 手首を曲げるだけで痛い。

 手首をさすりながら降りてくると、掃除機を持って移動中のメイドに出くわした。

「なあ。湿布か何か、ある?」
「え……どうかなされたのですか?」
「……捻挫、かな」
「捻挫!?」
「あ、いや。寝て起きたらなんかちょっと手首が……」
「たいへんっ」

 メイドは掃除機を放り出して台所へ駆けて行った。

 ……捻挫は大袈裟だったのだろうか。

 遅れて台所に着くと、メイドは冷蔵庫の奥から小さな紙袋を出し、テーブルに放り出したかと思うと、息をつく間もなく台所を出て行く。

「あ……ええと」
「お待ちください。今、包帯を」

 包帯……。

 仕方がないので、大人しく椅子に座って待っていると、救急箱を携えて戻って来た。

「あのさあ……」
「さあ。どちらですか?」
「……ここ」

 表側、右の手首の真ん中を指し示しながら差し出す。
 メイドは「外用薬」と書かれた白い袋から湿布を取り出すと、患部に翳して見てから、鋏でそれ半分に切る。伸縮性が強い素材のせいで、細かく器用に鋏を動かさなければならないようだった。

「はい。ひんやりしますけど、我慢してくださいね」

 手首がひんやりしたくらいで悲鳴でも上げると思っているのか。

 患部に湿布が乗せられる。
 ひんやりした。

 手首を中心にくるくると公転させて包帯を巻く。
 何周かした後、鋏で包帯をばっさりと裁つ。
 ……手首の近くで鋏を使わないでほしい。湿布がひんやりするよりずっと怖いじゃないか。

 それにしても、鮮やかな手付きだ。
 まるで看護婦のように。
 ……看護婦……。

「はい。終わりました」
「…………」
「あの……?」
「……はい?」
「終わりましたよ?」
「ああ……ああ。うん。ありがとう……ございます」
「……は?」
「いや。その。べつに……」

 照れてない。

 断じて照れてなどいない。



> ねんざ 【捻挫】
>
> 手や足などの関節をくじくこと。関節に無理な力が加わって、はずれそうになるほど曲がり、関節包や靭帯(じんたい)が損傷された状態。

 そりゃタイヘンだ。

2002/04/18

( struck out )

2002/04/19

 現在21日23時。若竹の会より帰還直後。

 これよりネタ放出開始。



「ゆゆさんゆゆさん」
 ん?
これどうですか?」
 どう、って?
「メイドCafe・居酒屋ですよ。メイドさんですよ。どうです? 行きたいでしょ?」
 お前は2つの過ちを犯している。
「えっ?」
 彼女らはメイドさんじゃないし、僕は別に行きたくない。
「メイドさんじゃないって……メイド服が気に入らないんですか?」
 違う。いいか。彼女らはメイド服を着たウェイトレスであって、メイドさんではない。
 彼女らなんかどうだ。カメラに対して明らかにポーズを取っている。コスプレイヤー以外の何者でもないじゃないか。
 メイド服を楽しみに行くと割り切って考えるのならまだいい。だが、メイドさんが居る、などと思って行くのはいただけない。真実を見なければ嘘だ。
「メイドにおける、メイド服が占める割合というのはどのくらいなんですか?」
 関係ない。
 メイド服姿だとメイドさんに見えるのは見る側の問題だ。ただメイド服を着たからと言って、その人がメイドらしくなる要素はない。メイド服を着れば猫も杓子もメイドさんだと思ったら大間違いだ。
 メイドらしい装いであることと、メイドらしい技術を持っていることと、メイドらしい心を持っていることは、それぞれ別の軸の話なのだ。そのうちのひとつだけをほんの少し得たからといってメイドと呼ぶなど勘違いも甚だしいと言わざるを得ない。

2002/04/20

 テレビ放映が始まっているあずまんが大王のキャストについて論争。

「大阪の声は変だ」
「でも大阪在住の人曰く、大阪弁は合格らしい」

「ちよの声は媚びすぎだ」
「しかし小学生の声というのはあんなところではないのか」

 よみの声が気に入らない。
「そう?」
「じゃあゆゆ的には誰を希望?」

 ……誰だろう。

 ・・・・・・・。

 ごめんなさい撤回します暫定的に「よみ声はOK」ということで。



 周囲によみファンがいないのは良いやら悪いやら。

「よみってなんか名場面あったっけ?」
「つっこみばっかりだもんなあ」
「誰がやってもいいつっこみをやる役?」

 ・・・・・・・。

 「にが」とか。

 「小倉……」とか。

 ・・・・・・・。

 君達、とりあえずそこに正座しなさい。

 よみのよさがわかるまで正座しなさい。

 よみの背中から漂う哀愁に涙がにじむまで正座しなさい。

2002/04/21

> ゆゆさんのメイド好きはどこから始まったの?

 以前から幾度となく脳裏に浮かんでは形を成さないまま消えていった疑問がついに外より投げかけられた。
 悩むことしばし。
 結局、その場では答えを返すことはできなかった。



 物心がつく頃には「黒い姿」に対する憧憬が芽生えていたような気がする。
 学生服に始まり、メイド服はもちろん、時に魔女であったりした。
 しかしそれらはどれも突出するものではなかった。

 やがてメイドの波が訪れた。

 訪れすぎた。

 メイドは氾濫した。
 多様化。多用途化。大量生産大量消費。
 次第にメイドという存在は、その境界を失って行った。

 これは、違う。
 僕はそう思った。
 その思いは日々募っていった。

 そしていつしか僕の心はメイドの魂を探求する旅に出ていた。



 星を目指したわけじゃない。

 沼から這い上がりたかったんだ。

2002/04/22

「お金ください」――マサキ

 若竹の会。

 自分のキャラが初めてまともに剣を振ったり、初めて普通の人間を剣で切り伏せたり。
 しかしながら剣に頼って生きるにはやはり資質があまりにも足りないらしいということを確認。

 気力抜群、それ以外は平均以下という能力だからなあ。

2002/04/23

 ザルデシュト2の11111HITを踏む。

「本気メイド本気小説」をリクエストしてやった。

 嗚呼、楽しみだなあ。

2002/04/24

 風邪をひいた。

 いつもより鼻が詰まって、少し喉が痛くて、なんだか寒気がするのでひょっとするとこれは風邪なんじゃないかと思い始めた頃ついに頭が痛くなってきたので確信するに至った。

 薬を探しに降りる。
 メイドの姿は……ない。

 納戸で内服液を見つけたのでそれだけ飲んで寝床に潜り込んだ。

 眠くもないのに寝ようとするのは存外辛い。
 いろんな思考が交錯して収拾がつかない。
 そして何度も何度も寝返りを繰り返した。

2002/04/25

 ノックの音で目が覚めた。
「……あ?」
「ご主人様、お水をお持ちいたしました」
「ああ……入っていいよ」
「失礼いたします」
 ドアを開けてメイドが入ってくる。
 そう思い込んでいた。
 だが、入ってきたのは別の人間だった。
「似てた?」
 薄笑いを浮かべた柊柯が現れた。さっきのは声真似だったようだ。
「……さあ。ドア越しだったし、寝惚けてたし」
「そう」
 柊柯は黄色っぽい液体の注がれたコップを無造作に机に置いた。
「それなに?」
「りんごジュース」
 水を持ってきたというのは本当だったらしい。
「起きられるでしょう? それとも吸い飲みで飲ませてほしかった?」
「……スイノミ?」
「病人が寝たまま水などを飲むのに使う細長い口のあるきゅうす形の容器。飲めないのならこれは私があなたの目の前で美味しそうに飲むけど」
「……飲むよ」
 のそのそと起き上がって未だに出してある半纏を羽織り、席に着く。
 柊柯は勢い良くカーテンを開けてから窓際の揺り椅子を占領した。白いドレスに昼の陽射しが反射して眩しい。
 ああ。昼か。
 ……メイドはどうしたんだろう。
「どうしてメイドが来ないんだろう、って思っているでしょう?」
「……なんでだよ」
「顔に書いてあるもの」
「…………」
 ひりひりするほどにすっかり乾いた喉にりんごジュースを流し込む。じんわりと甘い後味が舌の上に残る。
「たまよにはね。病人のことは気にせず普段どおり仕事をするように言ったの」
「……なんでだよ」
「だってあなた、メイドが看病に来たりしたら甘えるでしょ? 付きっ切りになったりしたら、家の中が荒れるじゃない」
「そんなこと……」
 そんなことは無いと言えるのだろうか。付きっ切りで看病をしろなどとは言わないが、もし付きっ切りで看病をされたら拒む自信はない。
「食欲は?」
「あんまりない」
「じゃあ少しは食べたら?」
「……うん」
「待ってて」
 取り立てて急ぐわけでもない足取りで柊柯は出て行った。

 部屋の中が急に静かになった。
 コップは既に空になっている。
 柊柯はなかなか戻って来ない。

 どうにも手持ち無沙汰なので窓から庭を眺めた。メイドが居ないかと思ったのだが、やはり居なかった。
 いつもこうだ。気が付けば自分はメイドの姿を追っている。その声を待っている。そばにいてほしいと願っている。
 甘えているのだろうか。
 甘える、か……甘える……甘える……甘えたい……甘えさせてほしい……?

 駄目だ。急速に自分が嫌になってきた。死にたい。ひっそりと。

 力なく、どっかりと椅子に腰を下ろす。程なくして柊柯が盆を手に戻ってきた。
「ただずっとそこに座ったまま待ってたの?」
「……まあね」
「それにしては辛そうじゃない? 寝ていてもよかったのに」
 運ばれてきたのは白米、味噌汁、納豆、海苔。実に簡素な取り合わせだが、弱った心身にも気が楽な量だった。
 柊柯は盆を机に置くと、再び揺り椅子に納まった。
「……まだ居るのか?」
「邪魔?」
「邪魔……じゃないけど……食べにくいじゃないか」
「あなたのごはんなんだから堂々と食べればいいのに」
「……なんだそれ」
「そうそう。お味噌汁、こぼさないようにね」
「うるさいよ」
 仕方がないので我慢して食事を始める。しばらく自分の控えめな食事の音だけが部屋に漂う。
「それ、誰がつくったと思う?」
「……メイドじゃないのか?」
「メイドじゃないのだ」
「…………」
「私」
「……ふぅん」
「それだけ?」
「……ありがとう」
「…………」
 柊柯は目を見開いて黙った。不思議なものを見るような顔だが、睨んでいるようにも見えた。
「もしも私がメイドだったら……」
「……はぁ?」
「あなたの態度も違うのかしらね」
 そんなことを言われると、もう僕の脳は自動的にメイド服を着た姿を思い浮かべてしまう。
「……同じだよ」
「そう?」
「そっちの態度が同じならな」
「メイドになったらメイドらしくするけれど」
「メイドらしくってなんだよ」
「それはあなたの方がよく知っているんじゃないの?」
「違う」
 箸を置き、柊柯に体を向ける。
「普遍的なメイドらしさなんてものはない。そんなものは幻想だ。それぞれが自分らしくメイドというものに対して真正面から向かい合うところにそれぞれのメイドらしさと呼べるかたちが生まれるんだ。傅いても敬っても、その人間自体が別の何かになるわけじゃない」

 それっきり会話は途切れた。

 僕が食事を終えると、ずっとうつむき加減で揺り椅子を揺らしていた柊柯が静かにやってきて盆を下げる。
 ごちそうさまを言おうと思ったけれど、なんだか気まずくて言い出せなかった。
 結局柊柯も何も言わずに部屋を出て行った。

 余計なことを言ったか、間違ったことを言ったか、無意味なことを言ったかとしばらく思い悩んだ後、上手く答えが出ないのでそれらを投げ出してまた寝床に戻った。
 寝てしまおう。もう一眠りして目覚めればきっと体調も気分も元通りになっているだろう。

 ……眩しい。
 カーテンが開かれたままだ。
 閉めたいけれど1度布団に潜ったので、もう起きるのが面倒になっている。

 どうしようかと迷っていると不意にドアが開いて、三度柊柯が現れた。茶色の液体の注がれたコップを持っている。
「麦茶と薬」
 何かと問おうとする前に答えられた。
 差し出された左手には小さな袋が乗っている。
「粉薬か……」
「これが効くらしいから」
 覚悟して袋を開け、毒々しくもあるピンク色の粉末を含み、麦茶で一気に流し込む。それでも舌の上にじんわりと苦い後味が残った。
 こんな時こそ甘い飲み物にしてくれればいいのに。それともこれは嫌がらせなのだろうか。
「もしも自分を捨ててもあなたが望むようなメイドになりたいって言われたら……」
「……はぁ?」
「あなたは怒るのかしらね」
 怒るのだろうか。自分を捨てて僕が望むようなメイドになれなんて言わないが……もし言われたとしたら、拒む自信はない。

 駄目だ。急速に自分が嫌になってきた……

2002/04/26

 今日も柊柯がやってきた。
「どう?」
「熱は下がったけど、喉と鼻がまだちょっと」
「ふぅん……相変わらず夜遅くまで遊んでいるからなかなか治らないんじゃないの?」
「……夜中に目が覚めたんだからしょうがないだろ」
「病人って、目が覚めても大人しく寝てるものじゃないの?」
 柊柯はふわふわと歩み寄ってくると、ベッドの縁に腰掛けた。
「おい」
「何?」
「ベッドに座るなよ」
「どうして?」
「どうして、って……それは、ほら。風邪がうつるといけないし」
「私に床に座れって言うの?」
「椅子に座ればいいだろ?」
「でも、あなたってぼそぼそ喋るから離れると聞き取り辛いんだもの」
 どうして人が気にしていることをこうも遠慮なく言えるのだろう。
「……悪かったな、声が汚くて」
 壁に向かって寝返りを打ち、柊柯に背を向けた。
 ふぅ、と、柊柯は小さくため息らしきものを漏らした。
「明後日は出掛けるとか言ってなかった?」
「ああ……出掛けるけど」
「その次の日も予定があるんでしょう? 早く直さないとね」
「そうだ、思い出した」
 背を向けたのも束の間、上体を起こして柊柯に向き直る。
「人から聞いたんだけどな。麦茶で薬を飲むのはよくないって言われたぞ」
「そうなの?」
「お茶と一緒に薬を飲むと、成分が変化して良くないんだって」
「ふぅん」
「……それだけか?」
「だって。知らなかったんだもの」
 柊柯は拗ねるようにそう言った。
「いいけど……べつに」
 予想外にしおらしい反応をするので、すっかり気勢を削がれてしまった。再び横になって目を閉じる。
「もうだいぶ良くなってはいるし。明後日には治るだろう。きっと」
 起きた際に撥ね退けた布団がそっと掛け直された。
「楽しみ?」
「楽しみだね」
「週末になると時々そうやって嬉しそうに出掛けて行くけれど。何なの?」
「何って……人と会ってるんだけど」
「人と、ね。普段は面倒がって外に出たがらないのに。余程素敵な人と会うんでしょうね」
「……何が言いたいんだ?」
「別に」
 目を開けて見た柊柯は、いつものように僕を睨んでいるように見えた。
「誰とも会えずに部屋の中で腐っている方があなたには似合うのに、と思っただけ」
「なんだよ、それ……」
「そのままの意味」
「そうじゃなくて。なんだってわざわざそんなことを……」
 思わず顔を上げると視界の端に何やら見慣れぬ白いものがあることに気が付いた。しかし、眼鏡を掛けていないので瞬時に何か判断できない。
 言葉を切り、目を凝らして見ると、柊柯もつられてその方向、部屋の入り口のドアへ顔を向けた。
「何?」
 柊柯が見るよりも僅かに早く、微かに開いていたドアが静かに閉まった。
「ドアがどうかしたの?」
「いや……なんでもない」
「何よ」
「なんでもないってば」
「言いなさい」
「だから気のせいだったんだ、きっと」
「言わないと殴るわよ。時計の角で」
 そう言いつつ傍らの目覚まし時計に手を伸ばす。本当に殴られそうだったので観念した。
「……ドアが少し開いてて、誰かが覗いているような気がしたんだよ」
 聞くや否や、柊柯は時計を放り出してベッドから飛び降りた。スカートを翻して入り口へ向かうと、開けたドアの隙間を滑る様に出て行く。
「何奴!」
 ふたつの足音が騒がしく遠ざかって行く。気のせいではなかったらしい。



 しばらくして、柊柯が何かをやり遂げた顔で戻ってきた。
「やったわ」
「……何を?」
「ご主人様の部屋をこっそり覗き見るとは何事だと言って折檻をしてやったの」
「おい」
「何?」
「もしかして僕の病気で遊んでないか?」
「気のせいよ」
 そう言って今まで見たことがない爽やかな笑顔を見せた。

2002/04/27

 居間を通りすがると、メイドと鉢合わせした。何だかずいぶんと久しぶりに顔を見るような気がする。
「あ……おはようございます。おか……」
「お体の調子はもうよろしいのですか」
 メイドの言葉は突如飛んできた声により捕らえられた。
「……柊柯様?」
「そうですかそれはようございました」
 振り返るとそこに奴は居た。
「ですがくれぐれも油断はなさらないようにしてくださいましね風邪は引き始め治りかけが肝心と申しますから」
 次々とメイドの言いそうな言葉を取り上げては投げつけてくる。
「そうだ今日の夕餉はご主人様のお好きなものを用意いたしましょう何がよろしいですか」
「……鰻」
 柊柯は黙って歩み寄ってくると、僕の足を蹴り付けてきた。
「痛っ!」
「承知いたしましたそれでは早速買って参りますね」
 終始無表情のまま柊柯は去って行った。恐らく鰻を買いに行ったわけではないと思う。
 メイドは思いつめた顔をしていた。
「私は何か間違っていたのでしょうか?」
「いや、そんなことはないと思うけど……」
「……買って参りますね」
 俯き加減のままメイドは台所へと消えていった。

2002/04/28

「……時刻表を見てよく考えたら、どうやっても家まで帰るのは無理そうだってわかったんだ」
「それでどうしたの?」
 近くに引っ越してきた友人のために新居で歓迎会をしてきたことを話せと柊柯がうるさいので顛末を簡単に話している。
「3人で喋りながら川崎まで歩いてね。駅前に着いたんだけど、0時を過ぎたのにゲーセンが開いてたから入ってみたんだ。しばらく遊んだんだけど1時には閉店になった。その後CINE CITTAへ行ってスケジュールを確かめてみたらE・Tをやるみたいだから見ようかという話になったんだけど、なんとなく次の日がつらそうだとかなんとかいう理由でやめて、結局居酒屋に入って5時まで喋りながら酒を飲んだ」
「それから?」
「電車で帰ったよ」
「ふぅん……」
 柊柯はソファーにもたれて物憂げにうなる。
「楽しかった?」
「楽しかったけど……」
「そう」
 喋るだけ喋らせておいて、柊柯は立ち上がって居間を出て行ってしまう。
「……のくせに」
 去り際に柊柯が何かを呟いたが、よく聞き取れなかった。

2002/04/29

( struck out )

2002/04/30

 『朝霧の巫女』を買った。

 だって黒髪の人がたくさん出てくるみたいだったんだもん。

 最近ちょっと巫女装束に惹かれつつあるし。



 このコンテンツは来月からものすごくとんがる予定なので乞うご注意。


> いや、もう必要ないって。
> 十分とんがってる。
> 面白い。

 ……へ?

Elbereth

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