Elbereth

 自室でひっそりと生きていると、あまり鳴らない携帯電話が鳴った。

 これは、登録されている番号。
 相手は……。
 ……家?

「もしもし? 私わたし」

 柊柯だ。

「僕なら部屋にいるぞ」
「知ってる」
「じゃあなんで……?」
「あなたの携帯にかけたことなかったから」
「ふぅん」
「じゃあ、代わるから」
「……は?」

 問い質す間も与えず、会話がずっと遠くなり、そしてまた近くに聞こえてきた。

「……あの、お電話代わりました」

 今度はメイドだった。

「ああ」
「…………」
「…………」

 なんと言えばいいのか。面白いほどに言葉が出てこない。

「……なあ」
「……はい」
「何か喋ってくれ」
「……はい」
「…………」
「…………」

 僕は脊髄を締め付けられるような焦燥感を覚え、耐え切れずに椅子から立ち上がった。

「居間だな?」
「……あ、はい、そうですが……」
「今から行くからそこを動くな」

 返事を待たずに通話を切り、全速力でメイドのもとへと走った。



 電話の前にメイドと柊柯の姿があった。

「いた……」

 肩で息をしながら小さく呟いていた。

「いるに決まっているでしょう。そんな勢いで飛んで来られたら、逃げようと思ったってできやしない」

 柊柯が早速嫌味を飛ばしてくる。メイドは、眉尻を下げて僕を見ている。

「……なあ」
「……はい」

 そして僕は大きな安堵の息が吐いた。

Elbereth

 [ →メイド、似顔絵を描かれる。 ]

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