第四十五話『さくらと図書館島の地下の人』






注)今回は少しネタバレ要素を含んでいますので単行本派の皆様は注意してください。







5月6日火曜日の夕方、麻帆良学園内の誰もいない廃墟のような場所でエヴァによる本編以上のネギの修行が始まっていた。
ネギは普通のパーカーの付いた服を着て、両手で杖を持っていてその前には刹那・明日菜・知世・のどか・木乃香の五人がごく普通に自然と立っていた。

「よしでは始めろ、刹那『気』は抑えて置け相応の練習がなければ『気』も『魔力』も相反するだけだ」
「はいエヴァンジェリンさん」

エヴァの言うとおり、『気』と『魔力』は水と油みたいに相反するらしく一度にどちらも使うとバチっと相反して打ち消しあってしまう様だ。

「いきます」

するとネギは自分のポケットにしまってあった明日菜達5人の仮契約カードを取り出し呪文を唱えた。

「システィス・メアエ・ハルナテース ベル・ケントウム・オクト・ギンタ・セクンダース(契約執行180秒間)!」

呪文を唱えるとネギの持つ5枚の仮契約カードはネギと共に魔力の光に包まれ、またネギが次々と5人の名前を呼ぶと5人とも魔力の光に包まれる。

「うひゃひゃこそばー」
「あう〜」
「始めてですが何か気持ちいいですわね」
「慣れないのよねこれ・・・」
「そうですか・・・私はそれ程・・・」

契約執行した時のそれぞれの感想、知世は今回契約執行初めてであるが、明日菜曰くまったく慣れないとの事であった。

そして次にネギはエヴァの支持によりアンチ・マテリアル・シールド(対物・魔法障壁)をしてなおかつ次にアンチ・マジックシールド(対魔・魔法障壁)を全力展開するとそのまま3分間持ちこたえ、北の空へ魔法の射手199本を放った。

魔法の射手はエヴァの張った結界により花火の様にキランと光ながら消滅していく。
ネギは全力で魔法を出し尽くすと、そのままふらりと気絶しぶっ倒れてしまった。

「せんせー!」
「ネギ君!」
「ふん、この程度で気絶とは話にもならんわ。いくら奴譲りの桜には劣るが巨大な魔力を持っていたとしても使いこなせなければ宝の持ち腐れだ!」

ぶっ倒れ木乃香に罵声を浴びせるエヴァ、するとエヴァは横を向いた。

「おい・・・桜どうしたんだ昨日から元気ないようだが・・・・」

桜は暗い顔をしてエヴァの横で突っ立っていた。
いつもはネギが倒れたら介抱するのであるが、今日はその余裕すらないようである。

「桜ちゃんは昨日また学園長さんから今度はAランクの魔物、報奨金100万円貰いまして・・・」
「またか・・・」
「またかって、桜ちゃんまたお金貰ったの?・・・私もやってみようかな?」
「いや、それはダメですよ、明日菜さんは言ってみればネギ先生の契約者、ですから報奨金はもらえませんし、今の明日菜さんではとてもじゃありませんがAランクの魔物は倒せそうにありません、今のネギ先生以上ですから」

明日菜はまたお金を貰った桜の話を聞くと自分もやってみようかなと考えるが、刹那にそれは無理だと説明される。

「・・・所でエヴァンジェリンさん「私の事はマスターと呼べ」はいマスター・・・であの、ドラゴンを倒せるようになるにはどれ位修行をすればいいですか?」
「なに?・・・もう一回言ってみろ」
「ですからドラゴンを・・・」
「ほうほうドラゴンか・・・」
「はい・・・」



「アホか〜〜〜!!!」
「ぺぷぁっ!」

エヴァの右ストレートがネギに炸裂した。

「21世紀の日本でドラゴンなんかと戦う事があるかーあほな事言ってる暇があれば呪文の一つでも覚えとけ!」
「まあまあエヴァちゃん・・・」

桜はエヴァの横にいたのでネギの胸倉掴んでいるエヴァをなだめる。

「まあ良い今日はここまでだ解散」

そして桜になだめられると今日はもう夕方になってきているのでこれ位で終わらせるエヴァ、すると古菲とのどかと夕映は寮へと帰っていき、桜はその場に残った。

「ねえ、茶々丸さんドラゴンってどう言う事か知りませんか?」

桜はさっきのネギのドラゴンの話を茶々丸に聞いてみた。

「あ・・・はい、それはかくかうしかじか・・・」

茶々丸は知っていたので桜達に説明する。
茶々丸が言うには、昨日の朝、図書館島の地下に行こうとしていたネギ達を茶々丸が後ろから付けてみると、大きな門のある前で巨大なドラゴンが姿を現したというのであった。

「ど・・・ドラゴンなんているの・・・?」

桜は茶々丸に怯えながら聞く。

「そんなに怖がらなくても桜さんのレベルなら今日のドラゴンと対決した場合楽勝だろうと思われますが?」
「え・・・そうなの?」

桜の力はパワーアップした鬼神レベルの魔物の胴体も貫く程の力を持っている。
茶々丸の言葉の意味はそれと比べればたかがドラゴンの1匹や2匹出てきた所で楽勝だろうと言う意味だ。

「じゃあ明日の放課後にでも行ってみるケロちゃん?」
「そうやな・・・「アホーーー!!!」なんや?」

桜達が話してると聞こえてきたハリセンの音と桜の大声、振り向くと明日菜が走って逃走していて、ネギはフラフラになっていた。


―――そしてエヴァがネギ達に話があると言う事でエヴァの別荘に向かう最中聞いてみると、明日菜と喧嘩してしまったと言う事であった。

「――― お前達二人の魔力容量は桜と同じくして巨大だ、これはトレーニングで強化しにくい天賦の才ラッキーだったと思え、ただしそれだけでは只魔力のデカイだけの 魔力タンクだ。使いこなす為には『精神力の強化』とあるいは『術の効率化』が必要になってくるどっちもトレーニングだな。ちなみに『魔力』を扱うためには 主に精神力を必要とし、『気』を扱うのは体力勝負みたいなものがあるんだが・・・」

「人の話を聞け貴様等―――!!!」
「あうう〜明日菜さんと喧嘩しちゃった〜(泣)」
「まーまーネギ君」
「そうだよ元気だしてよ」
「このお菓子うまいな〜」

エヴァの長々となる魔力や魔法についての説明をまったく聞いてもいないネギ、木乃香も桜もネギを慰める方に気を取られ、ケロちゃんにいたっては茶々丸の出したお菓子へ一直線、聞いているのは刹那と知世ぐらいである。

「全く、・・・木乃香お前には詠春からの伝言がある」
「父さまから?」

エヴァは一回息を吐くと唐突に木乃香に話しかけ詠春からの伝言を話す。
それは望んで目指したいなら魔法を教えてやってほしいとの事、木乃香なら『偉大な魔法使い』を目指す事も可能であろうと言うことだった。

「うーん・・・むむむ・・・」
「お嬢様」

話を聞くと少し悩みだす木乃香、するとエヴァは次にネギに話しかけた。

「ぼーや、これからの修行の方向性を決める為、お前には自分の戦いのスタイルを選択してもらう」
「戦いのスタイルですか?」
「そうだ、大体お前の進むべき道は二者択一に考えられるが、先ずは『魔法使い』、前衛をほぼ完全に従者に任せ、自らは後方で強力な魔力を放つ安定したスタイルだ」
「そして『魔法剣士』魔力を付与した肉体で自らも前に出て従者と共に戦い速さを重視した術も使う 変幻自在のスタイルだ」
「修行の為のとりあえずの分類だが、どちらも長所短所がある小利口な坊やには『魔法使い』タイプだと思うがな」
「こ の分け方はレベルが高くなるとあまり関係なくなってくると、桜の戦い方はあえて言うなら『魔法使い』タイプだな、前衛をそこにいるぬいぐるみとユエに任せ て自分は後方でデカイ魔法をぶっ放す。・・・だが『剣』(ソード)や『闘』(ファイト)のカードを使って自分自身も敵に近づいて一緒に戦う事も可能だ」
「あの・・・サウザンドマスターのスタイルは?」

長々と説明するエヴァにネギが一つ聞いてみる。
するとエヴァは聞くと思ったよと言う顔になり、サウザンドマスターの戦闘スタイルを説明した。

エヴァ曰く、サウザンドマスターの戦闘スタイルは従者を必要としない程の『魔法剣士』だと言う。
これにはなぜかネギはやっぱりと言った顔になる。

そしてエヴァは木乃香に話があると言って木乃香を下の階へと連れて行く。
桜と知世は上の階に残り、ネギが中国拳法の練習をして『魔法使い』と『魔法剣士』に関して悩んでいると、忘れていたのか唐突に明日菜との喧嘩の事でうじうじし始めた。

「あああ〜どうしたんですかあれ〜」
「あ・・・葉加瀬さん」
「実はネギ先生と明日菜さんが喧嘩を・・・」

刹那は今日のネギと明日菜の喧嘩の話を葉加瀬に説明した。

「明日菜さんはなんで怒ったんですか?」
「ううう〜それがわかんなくて・・・」
「アホナガキダナ、アヤマッチマエバイイダロ・・・モシクハヤッチマエ」
「ゼロちゃん、やってどうするのよけいこじれるよ・・・」
「で でも僕は何も悪い事をした覚えが・・・」

桜はさらりとゼロの言葉に突っ込みを入れるが、一方ネギは悪い事を覚えが無いという。
すると葉加瀬がその時の音声データが桜と話しながらも茶々丸に残っていたようで、葉加瀬ちゃっちゃとパソコンでその音声を文章化した。

「プリントアウト終了―さあ皆さんどうですか?」

文章を紙に出力すると桜達はそれを見ながら相談を始めた。

「・・・ネギ君、これはひどいよ女の子の身体的特徴を挙げるなんて」
「あうっ」
「ですがこの文章からするとその前から明日菜さんは怒ってないですか?」
「う〜ん、ここで仲間はずれにされた事を怒っているようですが・・・」
「でも危険な目にあわせたくないって気持ちは伝えてますよ〜」
「しかしこの「おさる」というのもひどいのでは?」
「いやいや、それはいつも言われている事だろ、今更そんな事ぐらいで姐さんは怒らねぇよ」
「今カモ君さらっと明日菜さんに酷い事言わなかった」
「いや・・・すまねえ桜嬢ちゃんちっと口がすべっちまった」
「・・・あれ?・・・知世ちゃん」

桜が気がつくと全員相談に参加しているのに知世だけが参加してなかった。

「知世ちゃん、何しているの?」
「―――桜ちゃん、明日菜さんが何故怒ったのか・・・私はすぐにわかりましたわ」
「え・・・」
「本当ですか知世さん!?」

もうすでに明日菜が怒った理由を分かった様で、ネギはすぐに知世にその理由を尋ねる。
だが―――

「ですが、これはネギ先生がご自分でお分かりになった方がよろしいかと思われますので・・・」
「はい・・・?」

そ の言葉を言っ後、知世はもう明日菜とネギの喧嘩の事に対して桜が聞いても一切助言もせず、ネギや桜達は結局事の理由をわからなかったのだが、とりあえずネ ギは明日菜に謝りに行くと、なぜか裸の明日菜が泣きながら別荘内へ入ってきて、後からまた泣きながら入ってくるネギに聞いてみると間違って入浴中に召還し てしまい、明日菜はタカミチにも裸を見られてしまったと言い、桜はあまりの運の悪さにネギには何も言えなかった。


次の日の放課後・・・

「知世ちゃん、私今から図書館島の地下に行くんだけど、やっぱり知世ちゃんも昨日言ってた図書館島の地下に行くの?」
「はい、たりまえですわ桜ちゃんが行こうとしている所ならばどんな場所であっても着いていきますので」

桜は一応昨日の通り図書館島の地下に行く気で、これまた一応知世も行くかどうか尋ねるがやはり知世は行く気満々、しかも待ってましたとばかりに鞄の中から何かを取り出そうとしているではありませんか。

「知世ちゃん・・・」
「はい・・・、桜ちゃん今回のコスチュームですわ」
「やっぱり着るの・・・(汗)」

毎度毎度お決まりのこのパターン、桜はもうすでになれているのでこれ以降何も言わない。

そして桜は話も決まると、茶々丸に図書館島の地下の大きな門までの地図を紙に出力してもらい、久々登場のユエを連れて図書館島の地下へと向かった。



「・・・茶々丸さんの地図によればこの辺だよね?」

桜は『翔』(フライ)のカードを使い背中に羽を生やし、背中に知世を乗せたケルベロスとユエと共に図書館島の地下を地図片手に飛んでいる。

「しかし、今回も桜ちゃん可愛らしいですわ〜」
「そ・・・そうかな?」

桜の姿は今回知世曰くこの世界に存在したアニメ、確か『魔法少女・ビブリオン』に存在する魔法少女を見本に製作されたコスチュームであると言う。
その桜の服はミニスカートの真っ黒ならノースリーブのどこかの学校の制服みたいな漢字で、知世も同心に帰るのはすばらしいと桜をうっとりした目で見ている。

「あ・・・あれっ、あそこかな?」
「ああ、言ってみよか〜」

知世と喋っている間に、目的地近くになったのか桜は遠くの方に良く見えないが巨大な門の様な扉を見つける。
そしてケロちゃん&ユエと共にその門らしき方向へ飛んでいくと、桜の目の前にやはり数十メートルはありそうな位の大きな門(扉)が姿を現した。

「ほぇ〜この扉大きいね〜」
「そういや茶々丸の姉ちゃんが言っていたドラゴン見たいなん見かけんな〜」
「いや・・・本当に出て来れられたら困るからケロちゃん・・・」

桜はその大きな門を見上げケルベロスは話に聞いていたドラゴンがいないかキョロキョロ と周りを見渡している。

「グルルルルーーーー」
「ほぇ?・・・なにか言ったケロちゃん?」
「いんやなんも言ってないで〜」

ふと桜の耳に太い泣き声の様な太い音が聞こえ、桜は首を傾げながらケルベロスに聞くが、この音はケロちゃんではなかった。

「「じゃあこの声は・・・」」

ネタがベタだが桜とケルベロスは二人そろって一緒に後ろを振り返る。

「ぐるるるるるーーーー!」
「ど・・・ドラゴンさん?」
「やな〜」

すると桜とケルベロスの目の前に巨大な数十メートル級のドラゴン発見、二人は一瞬確認した後、桜は大声を上げて驚いた。

「ほぇ〜〜〜〜で・・・でた〜〜〜!!!」
「うわ〜ほんまにドラゴンやな〜ドラ●エとか思い出すわ〜」
「驚いた桜ちゃんも可愛らしいですわ♪」

桜はいつもの様に驚いているのだが、ドラゴンが出ているというのにケルベロスはしみじみドラ●エの事を思い出し、知世にいたっては顔色一つ変えず桜にビデオカメラを向けている。

「キシャ〜〜〜〜!!!」
「ほぇ〜こっち着たよ〜〜〜!」
「桜何驚いとんねん、あん位のドラゴン桜の力やったらすぐ倒せるやろ。『火』+『土』一発でもぶちかませばそれだけで終了やないかい!」

奇声を上げながらこっちへ向かってきたドラゴンに、そのドラゴンをぶっ飛ばせる力を持ちながらもそれに驚き震えながら一歩下がる桜、そこへケルベロスが桜にツッコミを入れた。

「え・・・そうなの?」
「そうや、あのドラゴンの強さをこの世界のランクにしてみたらAAクラスや、桜が勝
へんどうりはないやろ!」

ドラゴンが向かってきている最中にも関わらずケルベロスのツッコミが桜に炸裂中、すると桜は2枚の『火』と『土』のカードを取り出して唱え始めた。

「火炎を纏う龍となり我を阻む敵を粉砕せよ・・・」
「が・・・!?」

桜が呪文を唱え始めるとドラゴンは桜の巨大な魔力を感じ取り急ブレーキを掛けた。
それからさっきとは反対に呪文を唱えている桜に少しずつ後ろへ交代しているドラゴン、ドラゴンは桜の巨大な魔力を感じただけで桜を自分には勝てない人物・・・だと痛感したようだ。

「よっしゃ〜桜ぶちかましたれ〜!」

ケルベロスがそう言うと桜は2枚のカードを頭上に投げ桜は最後に2枚のカードの名前を大声で読んだ。

「『土』(アーシー)+ファイア(お待ちください!)・・・ほぇ?」

桜が2枚のカードの名前を読み終わる直前に聞いたことがある様な誰かの声が聞こえ桜はカードを使うのを途中で止める。

「だ・・・だれや!?」
「あれ・・・この声どこかで聞いた事があるような・・・?」
「本当ですか桜ちゃん?」

どこかから聞こえて来た聞いた事のある男の人の声、それはどこから聞こえてきているのかまったく分からないので、桜達はキョロキョロとあたりを見回し、その間にドラゴンはどこかへ飛び去っていった。

(取りあえず、その門から中へ入ってきてください・・・)
「ほぇ・・・中にですか?」
(そうです)

唐突にまた聞こえてきた男の人の声、桜が聞き返すと向こう側にも聞こえているようで返してくる。

「ちょいまてや、あんさんなにもんやねん、その前になんか答えんかい!」
(そうですね、今はネギ君の父親・・・ナギ・スプリングフィールドの親友とだけ言っておきましょう)
「え、ネギ君のお父さん・・・まさか!?」

桜はネギの父親の話を持ち出されると驚いたような顔になる。
話に聞いていたこの世界で桜の世界の魔術師クロウ・リードと同じ様に世界最強といわれる程の魔法使い、ネギの探しているサウザンドマスター、桜達にさっきから聞こえる声はその親友となのっている。

「あの・・・この門の向こうに行けばいいんですね」
(そうです・・・)
「・・・なんやほんまかいな、なんかあやしいな」
「罠なら突破すれば良いだけの事・・・行くぞ」

・・・ユエがしゃべった!?
そんな事は置いておいて、聞こえてくる言葉通りに門を開けて入っていく桜達、門の向こう側に入ってみると、地下だというのにものすごく日の下みたいに明るく、周りからは滝の音が聞こえ、一本道の向こうには魔法使いの住居といった感じの建物があった。

「うわ〜大きな建物〜」
「こんな地下やのになんでこんなに明るいんやろ?(魔法の力か?)」
「まあ今は気にせずあの建物に行ってみましょう桜ちゃん」
「うん」

とりあえず、目の前の建物の前まで言ってみるとまた男の人の声が聞こえそのまま入ってきてくださいとの事、桜達は建物に入ると男の人の支持に従い、建物内を移動すると一人の綺麗な顔をした男の人が桜達を待ち構えていた。

「あ・・・あの・・・」
「分かっています。麻帆良学園女子中等部3年木之本桜さんですね「あ、はい」」
「そのまえにあんさんなにもんやねん、魔法使いみたいやけど?(な〜んやこの兄ちゃんのしゃべり方クロウと同じ様な感じがすんな〜)」

桜は男の人の姿を見るとなんの警戒もせずに答えるが、ケルベロスの方はクロウと感じが似ている為、余計に警戒した。

「そうですね、私の名はクウネル・サンダースと申します。先程念話で申し上げた通りサウザンドマスター、ナギ・スプリングフィールドの親友です」
「クウネル・・・さんですか「もちろん偽名です」・・・ほえ?」
「って偽名かい、あんさんは侑子姉ちゃんか!?」

背に白髭のおじさんを背負いながら名を名乗るクウネルと言う男性、もちろんそれは偽名でありケルベロスはすかさずツッコミをいれる。

「本当の名はアルビレオ・イマと申しますが、これからもクウネル・サンダースと及びくださいね。この名を気に入ってますので」
「はあ・・・」
「愉快な方ですわね」
「な〜んやこの兄ちゃんクロウと同じ陰険魔術師みたいな匂いを放っとるな」
「ケロちゃん!」
「いえ、良いですよ・・・陰険魔術師ですか、その人と会ってみたいものですね仲良くなれそうです」

ケルベロスはクウネルがクロウと同じ匂いを放っているからこそ嫌味たらたらに喋っているのだが、それを聞いてクウネルはふふふと笑いながら本当に会ってみたいような顔をしながら返す。

「あ・・・あの、そう言えば前に私達が図書館島の地下に来た時聞こえた声はクウネルさんの・・・」
「はい、私の声ですよ。訳合って私はこの10年間図書館島の司書としてここでくっちゃねしてまして」
「あの時はありがとうございます」
「いえいえ・・・」

桜はあの時のお礼にと頭を下げる。

「まあ他にもお話する事がありますが、ここではなんですからこちらへ来てください。美味しいお茶もフルーツも用意してありますので」
「あ はい」
「なんやて、フルーツやて!?」
「ケロちゃん!」

桜がお礼を言い終わると、クウネルは桜達をフルーツやお茶の用意されたテーブルまで誘導した。

「わ〜いわ〜い、フルーツやフルーツや兄ちゃん嫌味言ってすまんな〜!」
「ケロちゃん!・・・すみませんケロちゃん食い意地が張ってまして」
「いえ・・・」

フルーツを目の当たりにすると仮の姿に戻ってイキナリがっつくケロちゃん、桜はテーブルに座りながらわびているがクウネルはそれを身ながら笑っている。

「これは、この梅の香の様な甘くてさわやかな味は龍井紅九曲紅梅ですか?」
「他にも色々ありますよ」
「本当に美味しい・・・」

知世の舌をもうならせるクウネルの出した紅茶、知世は目をキラキラさせながらクウネルに話かけている。

「・・・それでは話に移ります、桜さん達はネギ君に聞いてこの図書館島の地下に参られたのですか?」
「ま・・・まあそうですが」

正確には茶々丸から聞いた事だがネギから聞いた事も同じなので取りあえず頷く桜。

「そうですか、それにしても桜さんは大変巨大な魔力をお持ちで、私が止めなければ危ない所でしたよ」(ドラゴンが)
「すみません・・・」
「いえいえ、良いんですよ私は桜さん達が異世界の住人である事等はすでに知っていますし、あのキティを従者として仮契約しているのもご存知です」
「キティ・・・って」
「桜ちゃん、エヴァンジェリンちゃんの事ですわ(エヴァンジェリン・アタナシア・キティ・マクダウェル)」

エヴァの事を話し出すとこれはもう頭からでもふふふの文字が噴出している位楽しそうに笑っているクウネル、エヴァもエヴァでリボンを付けた猫を想像させるような可愛らしい名を持っているものである。

「あの・・・ところでネギ君の話なんですが・・・」
「はいわかっています、ナギ・スプリングフィールドの行方ですね」
「はい・・・」

やっぱり全ておみとうしなのか桜の言う前に質問の内容を言うクウネル、するとクウネルは話す為の条件を挙げた。

「話すのも良いですが、その前にこれだけは守ってください。今から私が話す内容は誰にも他言無用だと・・・」
「他言無用・・・なぜですか?」
「この話を今のネギ君に話すのは少々早すぎる事、もう少しネギ君が成長してから・・・そうですね今年の学園祭に私が参りますので、最低その時私ともう一度会うまで秘密にしておいてくだされば結構・・・」
「「はい、わかりました」ですわ」
「では話に入りましょう・・・」

桜達はクウネルに注意事項を言われると二人そろって了承する。
ケロちゃんはと言うと、フルーツに気を取られて食べてばかりで話を全く聞こうともしていないし聞いても居ないし、ユエは・・・言うまでもなく無言のまま目を瞑りじっとしている。

「今、彼サウザンドマスターは魔法界では正式記憶では1993年死亡となっております」
「・・・でもネギ君に聞いたんですけど一回だけ6年前に合った事があると」

ネギから聞いていた6年前にサウザンドマスターと一回だけ会った事があると言う話、だがそれはネギが3・4歳位の頃の事なので本当にサウザンドマスターかどうか疑わしい話だ。

「そうですか、6年前にね・・・ええ彼は今も生きています。私が保証しましょう」
「そうですか・・・ネギ君(良かったねお父さんが生きていて・・・)」

桜はクウネルに話を聞くと頷きながらポツリとネギの名前を小さな声で呼び心の中で喜ぶ。

「ではネギ先生のお父さんが今どちらに・・・「申し訳ありません、私にはそれ以上はわからないのです」」
「え・・・?」

サウザンドマスターが生きているのを完全にご存知なのにその居場所を分からないと言うクウネル。だが生きて今居る場所を知っているからこその完全に生きているといえる筈なのに、完全に生きていると断言しているのにその場所は分からないと話が矛盾している。

「それではクウネルさんは何故ネギ君のお父さんが生きているとご存知なんですか?」
「それは・・・」

クウネルは桜に聞かれるとごそごそと懐に手を入れて何かを取り出した。

「これです」
「クウネルさんの仮契約カード・・・いや本契約カードですか?」

クウネルが取り出したのは自分の本契約カード、カードにはクウネルの姿が描かれていて、その後ろには大量の本が螺旋を描いていて、そのカードからそのカードはサウザンドマスターとの契約カードであると言う事は想像できた。

「これは私とサウザンドマスターとのカードです。このカードは生きている これが彼の生存の証拠です。・・・・ちなみに」

また自分の懐にカードを持つ右手とは違う左手でなにかを取り出そうとするクウネル。
するとクウネルは数枚に及ぶ契約カードを取り出した。

「カ−ドが死ぬとこうなります」

桜はクウネルの右手持つサウザンドマスターとのカードと左手に持つ他のカードを見分ける。

「あ・・・本がない」
「分かりやすい違いでしょう、契約者が死ぬとカードの本が消えますが私が右手に持つサウザンドマスターとのカードは絵が消えていません。ですからサウザンドマスターは生きているのです」

分かりやすい違いにクウネルの分かりやすい説明、すると桜はサウザンドマスターが再度本当に生きている事を自覚する。

「・・・私がサウザンドマスターに関して言える情報と言うのはこれ位の事です。後出来たとして彼との昔話だけですので今回はこれ位にしておきましょう」
「あ・・・はい」

サウザンドマスターが本当に生きている事だけでも分かれば桜達にとっては上出来な事、今日はもうクウネルと話す事もあまり無いので桜達は少しお茶を楽しんでから図書館島の地下を後にした。



<第四十五話終>



『ケロ&クウネルによる次回予告コーナー』

「ふ〜今回は美味しかったで〜フルーツ」

「お気に召しましたかケルベロスさん、それよりももう次回予告コーナーが始まっておりますよ」

「おおそうやったそうやった、久しぶりやからな〜わいが司会すんのも」

「・・・と言うわけでこにゃにゃちわ〜今回ひさびさにわい事ケロちゃん司会の次回予告コーナーがやってきたで〜!」

「今回で3日連続の魔術×魔法の更新や、作者もそろそろ干からびとるで」

「そうですね、でも私としてはできるだけ早く学園祭編へ進んでもらいたいものです」

「そうやな、兄ちゃんの次の出演は学園祭編までなさそうやし・・・」

「いえ、早くキティを困らせたり等して遊びたいだけです」

「おいおい・・・ほんまに陰険なやっちゃな・・・」

「まあそんな事はええ、それじゃあ久々にわいの次回予告いくで〜!」

「さて次回のタイトルは・・・」

「『さくらとエルダーお姉様』です」

「桜達が朝ネギ坊主が委員長の姉ちゃんに誘われているのを見かけると自分達も行くことに」

「放課後、水着を買いに少し急いで原宿へ行ってみると凄く綺麗な姉ちゃんとあった」

「その綺麗な姉ちゃんとは一体誰なのか〜!」

「・・・が次回の見所です」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・って違うやろこれ嘘やろ!」

「ええ違いますよ、これは私が適当に述べた嘘ですから」

「ったく2回も同じネタをやんなよな〜」

「ふふふふふ・・・・」

「ほいじゃあ今度は本当の次回予告いくで」

「本当の次回のタイトルは『桜の南国夢ロマン』です」

「委員長の姉ちゃんの南の島へ行く事になった桜」

「だがまだネギ坊主と明日菜姉ちゃんは喧嘩したままだった」

「果たしてこの二人は仲直りする事ができるのか〜〜〜!!!」

「・・・が次回の見所のようですね」

「・・ったくいらんネタするからもう次回予告の時間がなくなってもーたやないか」

「それでは次回の司会者はネギ君と明日菜さんです」

「・・・って勝手に進めんなそれ言うのわいの役目やないかい!」

「まあまあ細かい事はお気になさらず、そろそろこの今回のコーナーも終了なさいますよ」

「あ・・・勝手に終わらそうとすんなや!」

「では次回も魔術×魔法ご期待くださいね」

「だから兄ちゃん!」「それでは(ふふふふふふ)」


<終>


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