第四十六話『さくらの南国夢ロマン』




今回も少しネタバレ要素を含んでいますので注意してください・・・



金曜日の麻帆良学園女子中等部3−A教室、平日の中学校であるから今日もごく普通に授業が行われていた。

「この式の答えをそうだな〜・・・」

授業科目は数学、教壇の前に立っているのは雪兎で自分で黒板の書いた数学の式を誰に解いて貰おうか考えていた。
雪兎があたりを見回すと若干名目線をそらしているのがバカレンジャーと数学が苦手な桜、やさしい雪兎はその事を知っているからこそこの6名に当てるのは避け、前の方に座っていた一人の人物に解いてもらう事にした。

「じゃあ亜子ちゃんに解いてもらおうかな」
「あ はい分りました」

亜子に当てると先に述べた6名の方からほっとした溜息の様なものが聞こえてくる。

「え〜っと、3x^2+6x+3=0やから、3(x^2+2x+1)=0となって、3(x+1)^2=0、やから答えは    x=−1や」
注)^はべき乗の事です。

亜子は黒板の前に出て行くとぶつぶつと喋りながらチョークを持って問題が簡単だった事からスラスラと答えを書いていく。

「これでどうですか先生?」
「正解、亜子ちゃん偉いね」
「え・・・(///)」

雪兎は亜子に答えると亜子の頭を自分の右手で撫でる。

「あ〜亜子ずる〜い」
「先生私も撫でて〜!」
「え・・・じゃあ次当ててあげるからその問題が解けたらね」
「は〜い」

それを見て裕奈やが席から立ち亜子に野次を入れたり、その間も雪兎は亜子の亜子を撫でていたが、亜子は雪兎の顔を見上げ顔を真っ赤にしながら月城先生近くで顔見るとカッコええ顔がよりカッコ良く見えるわ〜・・・と心の中で考えていた。



その放課後、桜はエヴァ達と共に下校しようとしていた。

「桜、そう言えば茶々丸から聞いたが図書館島の地下には行ったのか?」
「あ・・・うん一応行ってみたよ・・・」

下校中ふとエヴァが思い出し桜に聞いたのは図書館島の地下の事、エヴァも茶々丸から桜にドラゴンが現れたと言うその場所までの地図を紙に出力して渡していた事を話して居たのだ。

だがエヴァはこんな時代にしかも日本でドラゴン等と信じてはおらず、この時ふと思い出したので一応桜にその事を聞いていたのだ。

「なら坊やの言っていたドラゴンとかにでも会ったか? まあ桜からしてみれば本当に会ったとしてもなんら障害にもならんと思うが・・・」
「え・・・え〜っと・・・」

実はそのドラゴンはクウネルの飼いドラゴンでそのクウネルからナギの生死まで聞いていたが口止めをされている為桜は本当の事が言えずに嘘を考える。

「な・・・なにもなかったよ・・・」
「そうか」

何も嘘が思いつかないので一応何もなかったと答える桜、エヴァはそんなに気にしている事でもなかったのでそれ以上の追求はしなかった。

―――トゥトゥトゥトゥートゥ〜トゥトゥトゥトゥートゥ〜
「ほぇ・・・誰からだろ?」

そしてふと桜の携帯に掛かってきた電話、あたりにその携帯のメロディーが流れると桜はポケットから携帯を取り出し見てみるとそれはメールで、着信名の所に『ハルナさん』と名前が乗っていた。

「ハルナさんから・・・え〜っと・・・」

ハルナ
『桜ちゃん、委員長がネギ先生を連れて南国へ行くもよう、ただちに女子寮前に集合せよ』

「ほぇ? 南国・・・どういう事かな?」
「私が知るか」
「ハルナさんに掛けなおしてみてはどうですか桜ちゃん?」

桜が携帯のメールを確認してみると訳のわからない文章、桜は知世に助言されるとハルナに掛けなおしてみた。

―――トゥルルルルル・・・トゥルルルル・・・プツッ!
「あ・・・ハルナさんですが、さっきのメールって・・・」
「桜ちゃん、説明は後々早く来ないと南国へ行きそびれるよ早く女子寮の前へ来て!」
「え・・あ・・・ハイ」
「じゃ・・・プツッ!―――ツーツー・・・」
「切れちゃった・・・」

その後、桜がエヴァ達を連れて女子寮に言ってみると無理やりネギを南国に委員長に無理やり付いていくと言う事、桜はそんな迷惑になりませんかと言ったのだが、エヴァは南国と聞いてゆっくりするのも良いものだと桜は無理やり南国へ行く事になってしまった。






―――そして南国、到着してすぐに桜達は着替え南国の孤島の浜辺へ出てみる。
すると桜の目の前で3−A生徒達の大部分は一斉に海へ向かって突撃していった。

「・・・幼稚園児かこいつら?」
「あはは・・・」

それを見ていた中央にえヴぁと書かれたスクール水着・・・ではなく普通の花柄のフリルの付いた水着を着ていたエヴァは毒を吐き桜は笑っている。

「皆すっごく元気だね、南国なんて僕も初めてきたよ」
「そうですね」

桜が横を向き返事をすると雪兎の姿、南国へ着いてきていた雪兎はいつものニコニコ顔で桜と話す。
そしてふと桜から見て雪兎と同じ方角に居たネギの方にも視線をやると、まだネギと明日菜は喧嘩中だったのか、明日菜はネギにツンツンネギの事を完全に無視していた。

まだ喧嘩してたんだあの二人・・・

「あれっどうしたの桜ちゃん?」

雪兎のより先向こう側に居るネギ達をぼ〜っと考えながら見ていた桜に気づき雪兎は桜に話しかける。

「え・・・いや別に・・・(でもこの事相談してみた方が良いかな・・・)」

桜は一瞬何もと首を横に振りそうになるがふと雪兎にも相談してみた方が良いのかと考えた。

「あの・・・雪兎さん、ネギ君と明日菜さんの事何ですけど・・・」
「ネギ君と明日菜ちゃんの事、何かあったのかな?」
「はい、二人ともちょっと喧嘩してまして、それでネギ君が明日菜さんに謝ろうと話しかけても明日菜さん無視しちゃって怒ったままで・・・」

喧嘩の内容は魔法に関係する事の為言えないが、今のネギと明日菜の状況を桜は説明する。

「そうか・・・でも僕はあの二人ほっといても自然と仲直りすると思うな」
「え・・・どうしてですか?」
「う〜ん、僕の感・・・かな?」
「感・・・ですか・・・」

雪兎の変な発言で目が点になる桜、その時はそれでその話を終え、それから少し時間がたった後桜達はビーチバレーに誘われていた。

「よっしゃ〜やるアルよ〜手加減しないアル〜」
「桜ちゃん運動神経抜群やからな〜勝てるかな〜」

桜の対戦相手は古菲に亜子、古菲は前にボーリングで引き分けていた事からかなり意気込んでいる。

「桜ちゃん、頑張ろうね」
「はい」

そして桜と同じコート内にいるのは雪兎、雪兎にアタックを任せるのはちょっと反則な様な気がした桜は、雪兎の前に立ちアタックの方に回っている。

「それでは開始ですわ〜」

知世が試合開始の合図をビデオカメラ片手に出す。
この時、古菲は桜相手に意気込んでいるが知らなかった。
桜の後ろにいる雪兎はどんな運動種目でも全国レベル並みにこなす運動神経の持ち主、桜は当然その事を知っているが、近頃数学教師でその運動神経を見せていなかったので古菲や亜子はまったく雪兎が桜以上の運動神経の持ち主だと言う事を知らなかったのだ。

よっ て、桜だけでも運動神経が良すぎで走れば明日菜や美空と肩を並べるくらい、バスケットでは裕奈よりうまく、泳げばアキラと同じ位の速さで泳ぎ、体操では軽 々とまき絵見たいな宙返り等を軽々とやってしまう運動方面に向けては無敵超人並なのだから、桜と雪兎この二人がそろっては大げさではあるが、例えると古菲 と亜子はビーチバレーの日本代表クラスを相手にやろうとしている様なもの、そんな者に到底勝てる筈もなく、結果は・・・

「ピピーー!   15対2で桜ちゃんチームの勝利ですわ」
「か・・・完敗アル・・・」
「月城先生・・・むっちゃ運動神経良かったんですね・・・古菲のアタック殆ど全て拾ってたし・・・」

やっぱりズタボロに負けてしまった古菲・亜子チーム、15対2の2点と言うのも0点で終わらせては可哀想だと雪兎がわざとミスして点数を入れてあげたものでもあった。

「うう〜桜ちゃんもそうやけど月城先生があんな運動神経よかったやなんて・・・アキラウチもうダメや変わって〜な」
「あ・・・分った、勝てるのかな・・・?」

亜子はズタボロに負けたショックと疲労でフラフラとアキラにバトンタッチをしてアキラと交代して休みに入る。
そして亜子の周りにいるのは目の前にビデオカメラを持って審判をしている知世でコートを挟んだ向こう側で裕奈が古菲とアキラを応援している。

「あ〜疲れた〜ビーチバレーであの二人相手にやりあえるとしたら楓さんと龍宮さん位やで・・・」

亜子はすでに疲労によりぐったり砂浜に倒れこむ。
するとケロちゃんがふと知世の所から亜子の方へやってきた。

「まあ気を落とすなや亜子っち、桜も雪兎の兄ちゃんも運動においては誰も勝てるもんはおらんぐらいの運動神経の持ち主や、勝てるとしたらわいの知っとる範囲でやと小僧か桜の兄ちゃんの桃矢兄ちゃん、後桜の父ちゃん位やで」
「小僧・・・?」

小僧と言えばケロちゃんが小狼を呼ぶときの口癖、亜子はその小僧の意味を知らなかったのでケロちゃんに聞く。

「あ・・・すまんすまん、小僧言うのはな李小狼言うてわいは好かんが桜は好いとる奴のこっちゃ」
「ああ・・・そういや聞いた事あるわ、たしか桜ちゃんの彼氏さんやったな」

前から桜には小狼の名前位は聞いていたので亜子はケロちゃんの話を聞くとすぐに誰の事なのかひらめく。

「あっ!・・・そういや桜ちゃんの魔法の事知ってから聞こう思うててんけど、月城先生も桜ちゃんと同じ世界からきたんやねんな?」

そしてふと前から考えていたのか亜子は思い出したかのように手を口にあてちょっと大きな声を出してからケロちゃんに聞く。
まあ言うまでもなく亜子の質問は正解だが、理論的に言うと桜は異世界から来た住人、それならばその兄と親友である雪兎もまた異世界の住人と言う事になるからだ。

「そうや雪兎(ゆきうさぎ)の兄ちゃんもわいらの世界の者やで、でも亜子っちも気ぃつけてな、雪兎の兄ちゃんは魔法の事や魔術の事まったく知らんから」
「え?・・・どないして、月城先生も異世界からきたんやろ? せやったら魔法の事知っとるんが当然やん?」

まったくもって亜子の言うとおり、だが月城雪兎=ユエな訳でその事をケロちゃんは説明した。

「ま あその事やねんけどな、亜子っちにはまだ言うてなかったけど雪兎の兄ちゃんの姿はわいと同じクロウカードの守護者『ユエ』の仮の姿や、やけど雪兎の兄ちゃ んとユエは違う人格やしユエのときの記憶を雪兎の兄ちゃんもっとらんしこっちの世界に来た時もユエの姿やったから魔法の事とか知らんねや」
「・・・・・・・・・」
「ん?・・・なんや亜子っちどないしたんや?」

ケロちゃんの長ったらしいこの説明・・・ふとケロちゃんが気づくと亜子は真っ白になっていた。

「月城先生人間やなかったんか・・・人間やなかったんか・・・」

もうすでに雪兎が人間ではなかったという事実がショック過ぎたのか、亜子は真っ白になったまま同じ言葉を繰り返す。

「おい亜子っちほんまどないしたんやなあ亜子っち!?」
「はっ・・・ケロちゃんウチ・・・」

ケロちゃんは亜子の身体を揺さぶり亜子を現実へと引き戻す。

「ケロちゃん、月城先生人間やなかったんか? 本来の姿ってどんな姿なん!?」
「わぁぁぁぁ〜〜〜何すんねん亜子っち、ちょい離・・・目・・・目が回る〜」

現実から亜子は戻ってくると半分涙目になりながら亜子はケロちゃんに迫り揺さぶりかけている。
今亜子の頭の中にある『ユエ』の創造図は今のケロちゃんの仮の姿の白いバージョン、丸で白熊のヌイグルミに羽が生えたような可愛らしい創造であった。

そして亜子はケロちゃんのヌイグルミみたいな身体を四方八方右へ左へ上へ下へ前へ後ろへと揺さぶり倒し、ケロちゃんの目はだんだんナルトの様な目へと変わっていってしまった。

「うわぁぁぁぁぁ〜〜〜〜ん!!!」
「あれはれほれはれ・・・亜子っちどこ行く・・・どこ行く〜」

そのまま泣き出しながらビーチをまっすぐ走り始めてしまった亜子、ビーチバレーをしている桜達や応援している裕奈は集中しているのか全く亜子の事に気づかず、ケロちゃんの目はぐるぐるのナルト、追いかけようにも追いかける事ができなかった。




「うっひグスッ・・・月城先生が人間やなかったやなんて・・・裕奈や柿崎にどない言うたらええんやろ・・・」

亜子がたどり着いた場所はがけ下は海で、下まで30mはあろうと言う崖の上だった。
今亜子はなんとか泣き止んでいるが頭の中にあるのは雪兎が人間ではないという事と、それを知らないで雪兎に行為を抱いている者達の事だった。
だが・・・亜子は一つ気づいた。
雪兎に頭を撫でられて赤くなっていた自分、雪兎の顔を眺めてカッコええなと思いまた顔を赤くしていた自分・・・

ウチも・・・月城先生に惚れとったんやな・・・

こうなってから自分の心に気づいてしまった亜子、だが雪兎は人間ではなく、亜子の恋が成就する事は絶対にありえないと自分自身そう考えてしまい余計に涙ポロポロ落ち込んでしまう。

「亜子ちゃん!」
「え・・・」

亜子が振り返るとさっきまでビーチバレーをしていたであろう雪兎の姿だった。

「月城先生・・・ど・・・どうしてここに・・・」
「バレーしていたらふと走り去っていく亜子ちゃんが見えてね、亜子ちゃんどうしてこんな所で泣いているのかな?」

雪兎は浜辺を泣きながら走っていく亜子の姿が見えて付いてきていた。
雪兎は亜子が心配になりゆっくりと近づくが、亜子は自分が崖の上にいて下は海だと言う事も忘れているかのように後ずさりし始めた。

「先生には関係ありません・・・」

亜子の頭の中にあるのは『雪兎は人間ではない・・・』と言う大きな文字、亜子は崖の上であるのになおも後ずさりする。

「亜子ちゃん。どうして僕から逃げ様としているのか分からないけど・・・それ以上下がると後ろ危ないよ」

そう言いながらも後ずさりする理由が自分にある事も知らない雪兎がまた不用意に近づいたその時、亜子は足を踏み外しがけガクンと下の方へ落ち始めた。

「きゃあ〜〜〜〜!!!」
「亜子ちゃん!!!」

雪兎は亜子の方に大きく手を差し伸べるが、それはもう一歩遅く亜子は30m位下の崖へと落下し始めた。

ウチ・・・死んだ・・・・?

その時そんな言葉がふと亜子の脳裏に浮かび亜子の身体は荒れ狂う海に真っ逆さま。
そのまま亜子は落下していき、海にザバーンと着水する瞬間、亜子はもう終わったと強く目を閉じた。

・・・あれ?

目を閉じたが一向に自分の身体が海に着くことはなく、誰かに抱かれている感覚が亜子を襲う。

なんなん・・・これ?

訳が分らない亜子、そう思い目を開けてみると自分の身体は誰かにお姫様抱っこされている様で空中散歩をしていた。

「あ・・・あの・・・(か・・・カッコええ〜・・・(///))」

亜子はその誰かの顔を見た瞬間あまりの美しい顔に心を射抜かれたようにぼ〜っと顔を赤くしながら思わず見とれてしまった。

「大丈夫か・・・」
「はっ・・・あ・・・はい大丈夫ですって・・・」

亜子はその誰かの声で我に返るとその誰かの背中に白く美しいような翼が生えている事に気づいた。

「ま・・・まさか・・・あなたは?」

それだけで誰なのか予想は着いたが、確認の為に一旦聞いてみる。

「我はクロウカードの守護者ユエだ・・・」

その後ユエは無口であるがゆえに口を重く閉じるが亜子は質問した。

「あの・・・なんでウチを助けたんですか?」
「主の友人だからだ・・・」

主・・・それは桜ちゃんの事、でも亜子はちゃんと分かっていた。
ユエはそれだけで自分を助けた訳ではない、雪兎と同じ心優しい持ち主だから自分を助けたのだと。

「あの・・・ありがとうございますユエさん・・・」
「当然の事をしただけだ、感謝される覚えはない・・・」

雪兎とは違い冷たく硬い言葉、だが根っこの方は雪兎と同じ優しい人、亜子はユエからそんな印象を感じ今まで落ち込んでいた心が一瞬にして晴れていった。

「「亜子ちゃ〜ん!」(っち〜!)」
「あ・・・桜ちゃんにケロちゃん!」

ユエにお姫様抱っこされたまま空を飛んでいると翼を生やした桜ちゃんと知らないライオンさんが飛んできた。
注)亜子はケロちゃんの本来の姿を見るのはこれが初めてです。

「・・・桜ちゃんそれも魔法?」
「うん、『翔』(フライ)のカードさんだよ」
「まったく心配させよって、一体なんやったんや亜子っち?」
「なあ桜ちゃん・・・このライオンみたい何ってなんなん?」
―――ひゅ〜〜〜〜〜!

亜子が指差しながら桜に聞くと、ケルベロスは海へ向けて落下した。

「・・・ってわいやわいケルベロスや、なんで毎回毎回誰もわいの本当の姿始めてみた時気づかへんのや!?」
「え・・・ケロちゃんなん桜ちゃん?」
「う・・・うんそうなんだ、説得力ないけど・・・」

桜は額に汗を流しながら亜子の問いに答える。

「って桜も説得力ないってどう言う事やねん!?」
「あ・・・ごめんごめんケロちゃん、・・・で本当に大丈夫亜子ちゃん?」
「あ・・・うんもう大丈夫や、なんやさっきまで泣いとったウチが馬鹿みたいやったわ」

そうやなんたってウチ・・・好きな人がもう一人出来てしもたんやから・・・これから月城先生にするかユエさんにするかむっちゃ悩むかも知れんけど・・・まあ二人とも同じ人物やからどないかなるやろ・・・
桜に答えると亜子はユエに抱かれながらその顔を見上げてそう考える。

そして桜達は亜子が居た崖上の方へと戻ってみると、遠くの方で海が二つに割れる様な音が聞こえた。


<第四十六話終>





「・・・ってまだ終わってないですよ、僕と明日菜さんまだ仲直りしてないですから」

あ・・・すまんすまん忘れとった・・・私亜子っち大好きだからね〜亜子っちに気を取られちゃってつい・・・テヘッ♪

「・・・テヘッ♪ じゃありませんよ、これじゃあネギま!シーズンと同じネタじゃないですか」

ネタは使いまわししないとね〜別にいいじゃんネギっち、違う作品なんだから

「・・・はい、分りました」
「あれっ・・・ネギ先生何さっきから独り言をぶつぶつと言っているのです?」
「え・・・夕映さんはさっきの作者さんの声聞こえませんでしたか?」
「あ・・・はい、これは小説ですのでキャラクターが作者に答えるというのはあまりにも痛いネタですから聞かなかった、あるいは聞こえなかった事にするのが一番かと・・・」
「聞こえてたんですね・・・」


「・・・と話は戻しましてネギ先生、明日菜さんとの喧嘩の権なのですが」
「はい、夕映さん」

ネギは今夕映やのどかと共に海の上に立てられた屋根付き休憩所みたいな所で明日菜との喧嘩の権について夕映に3日前の明日菜との口論の紙を見せていた。

「・・・と夕映さん、この問題はあくまでネギ先生の問題ですのでここは黙っておいてくださいな」
「え・・・いつの間に知世さん!?」

夕映がネギに明日菜との喧嘩理由を話そうとした時、ちょうど知世が現れ夕映に話さないよう釘をさす。

「しかし、ネギ先生は10歳です、10歳のしかもネギ先生は外国人ですからこの問題を理解しろと言うのは少々酷と言うものでは?」
「それはそうですわね、私はネギ先生の試練の為黙っておいたのですが、もう3日も喧嘩なされた理由に気づいてませんし・・・」
「す・・・すみません知世さん・・・」

知世はネギの試練の為に自分で気づく様に今まで言わなかったのだが、3日たってもまだ事の理由に気づかない、これはもうそろそろ答えを教えてあげても良いのではと知世は夕映の言葉により考え直す。

「・・・ではネギ先生、明日菜さんとの喧嘩の権なのですがこの部分が問題ではないですか?」
「ど・・・どこですか?」

夕映はネギに渡された紙の問題の部分を指差しネギはその部分を覗き込む。

「ネギ先生はおそらく『明日菜さんは元々「ファンタジーな世界」とは関係のない人間だからあまり危険な目に会わせて迷惑をかけたくない』と言いたかったのだと思いますが」
「この言い方では『明日菜さんは無関係な只の中学生だからもう首はつっこむな』・・・と言う風に聞こえてしまいますわ」
「ええ!僕はそんなつもりは全然」
「つもりはなくてもそう聞こえてしまえばショックでしょう」
「桜ちゃん達と友に戦った中ですから」

事の問題のどこがいけないのかを説明すると、ネギはビックリした様な反応を示す。
その時ネギはガーンガーンとショックを受けた。

「ありがとうございます夕映さん、知世さん!」
「女心分ってんなさっすが知世嬢ちゃんと夕映っちだ」
「いえいえ、常識の範囲内ですわ」

「ねぇ、知世ちゃん夕映ちゃんネギ君と何話してるの?」

ネギが知世と夕映二人にお礼を言った時にふと現れた桜、桜は知世の右肩に自分の右手を置いている。

「桜ちゃん、ちょっと『ネギ先生と明日菜さんの喧嘩の件』の相談を受けていただけですわ」
「そうなの、・・・でネギ君どうなの?」
「はい、もう何がいけなかったか分りましたから後は謝りに行くだけです」
「良かったねネギ君」

ネギは桜の前でガッツポーズをとっている。

「・・・所で亜子さんの方はもうよろしいのですか桜ちゃん?」
「うん、よくわかんなかったけど亜子ちゃんもう大丈夫だって」
「それは何よりですわ桜ちゃん、さぞかし亜子さんはユエさんを前にして顔を赤らめていた事でしょう」
「え・・・どうして知っているの知世ちゃん?」
「ほほほほ・・・それは秘密ですわ♪」
「そうなの???」

もう何もかも見透かした様に不敵な笑みをしている知世、桜はそんな知世をみながら首を傾げているが、実はビーチバレーをしていた時、ケロちゃんと亜子のやり取りを知世は聞いていた。

そ の時、亜子が浜辺を走っていった事を桜達は気づいて居なかったので知世は自分が後を追おうとしたが、先に雪兎が気づき亜子を追いかけていったので、その後 の展開を瞬時に大体の推察で先読みし、今のこの時ちらっと桜に自分の先読みしたものを言葉に出し、そしてそれを聞いた桜の反応を見て自分の推察が正解した のかどうかを確認したのだ。

「・・・ところで話は変わりますが、折り入って先生、もしくは桜さんに相談があるのです」

そんな知世の考えもつゆ知らず、違う話を持ってきた夕映、この後夕映とのどかが魔法使いになりたいだの仮契約がどーのこーのと言った話になった。



「・・・知世ちゃん、ネギ君と明日菜さん仲直りできたかな?」
「そうですわね、それよりも桜ちゃん千雨さんの件いつになさいますか?」
「あ・・・そう言えばそうだったね、千雨さんとパソコン買いに行くんだったけどこっちに着ちゃったからな〜、来週の日曜日や土曜日千雨さん暇だったら良いんだけど」

そして夜になり桜は雪広家の水上コテージで桜は乾いた水着を着たまま今日自分が寝るであろう布団に包まっていた。
実は一人一人水上コテージが用意されていたのだが、桜は一人で広い部屋を取るのもなんだからと言う訳で知世と一緒の部屋と言う事になっていた。

「なんだ桜、パソコンでも買うのか?・・・私はその手の物は苦手でよくわからんが」

そして桜達に話しかけているのは隣のコテージに泊まる事になったエヴァ、エヴァは机で茶々丸の出したお茶を飲みながら桜と話をしている。

「うん、千雨さんがパソコンに詳しいから実は言うと今日一緒に買いに行く事になってたんだけどね・・・」

昨日の夕方はうむを言わさずに南国へ行く事になったので、千雨には悪いけど約束を破ってしまう形になった桜、千雨はこのクラスだから気にしては居ない様だったのだが、桜はその事をちょっと気にしていた。

「パソコンですか、それなら葉加瀬に頼めば私みたいなAIを搭載したアンドロイド型のガイノイド(注:アンドロイドの女版の事です)パソコンを用意できますがどういたしますか?」
「茶々丸さん、私達が欲しいのは普通のパソコンですから・・・(汗)」
「ほほほ・・・でもそう言うのも面白そうですわ」

茶々丸の後ろには黄色い長髪の髪の毛をした人みたいな可愛らしい女の子パソコンが居る様に見え桜は欲しいのは普通のパソコンであるから・・・と言うよりそんなもの貰っても使い方に困る事から遠慮する。

「桜ちゃん トランプでもしよ〜♪」
「あ・・・まき絵ちゃん」
「佐々木まき絵、貴様はノックや確認と言う動作を知らんのか?」
「エヴァちゃん別に良いじゃん、桜ちゃんと私達の仲だし〜」

イキナリ唐突にノックも何もなしでドアを開け、話をしていた桜達をトランプゲームに誘いに来たまき絵達、でも桜は快くその誘いに応じ、その後夜遅くまでペチャクチャ話したり遊んだりしたのは言うまでもなかった。




―――その次の日の夜明け頃、桜のコテージまで明日菜とネギの喧嘩する声がまた聞こえてきたりしたが仲直りした後のちょっとした勘違いの口論だと言う事で、その日の朝方にはその勘違いも解消し、ネギと明日菜は本当にちゃんと仲直り出来たのであった。



<今度こそ第四十六話終>

『ネギ&明日菜による次回予告コーナー』

「ちょっとネギ、今回の話って私とあんたが主役の話じゃなかったの?」

「え・・・そう言えばそうですね、前回のケルベロスさん司会の次回予告コーナーを見る限り僕と明日菜さんが主役の筈ですが・・・」

「でも今回の話、半分以上亜子ちゃんの主体になっちゃってるわよこれ?」

「本当だ、どう言う事ですか?って作者さんに聞きたいんですけど聞くネタは痛いですしどういう事なんでしょう?」

「私に聞かれても知らないわよ、どうせこの小説の作者亜子ちゃんが大好きでつい亜子ちゃんを半分以上主体で書いちゃったんだわ」

「そうですか?」

「きっとそうよ、あんの作者め・・・」

「まあまあ明日菜さん・・・で今回の司会者ですが僕ネギ・スプリングフィールドと神楽坂明日菜さんでお送りします」

「所でネギ、前から言おうと思ってたんだけどあんたそんな謙虚で本当に良いわけ?」

「イキナリなんですか明日菜さん?」

「今回もそうだけど前々からこの小説においてあんたぜんっぜん主人公らしい扱い受けてないわよ」

「う・・・そう言えば」

「ほら現実を見てみなさい、次回だってあんたまったく登場できる話じゃないじゃない」

「え・・・本当ですか、どれどれ・・・」

「え〜っと次回は『さくらとちうのパソコン教えまちゃいましょう』・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・本当ですね」

「ほらっ前に千雨ちゃんの話が出てきてからまた千雨ちゃんの話、はっきり言えるわ・・・この小説の作者は『気に入っているキャラクターを優先的に出しまくっている!』・・・と」

「・・・ならその場合僕はどうやって出番を獲得する事ができるのでしょうか?」

「う〜んそうね、やっぱり狐娘に女装するしかないんじゃない?」

「ええ!!?・・・そんなのいやですよ!」

「仕方ないじゃない、この作者可愛い子が好きなんだから、確か瑞穂お姉様も可愛いからOKとか言ってたし」

「あれっ?・・・明日菜さん、瑞穂お姉様って誰ですか・・・女の人ですか?」

「そう言えば・・・なぜ私お姉様って言ってるんだろ?」

「ああ・・・そう言えば明日菜さんの声y―――ズコーン!!!」

「ネギ危険な事言っちゃダメよ、頭上からタライが落ちてくるから」

「そ・・・それは先に言ってくださいよ明日菜さん・・・」

「・・・ってこんなボケやっている間に時間がなくなっちゃったじゃない!?」

「あ、本当だ早く次回の司会者を紹介して終わらな」

<終>(注:ちなみに次回の司会者は桜と千雨です)


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