第1話



惑星J。

この星では二つの国が争い起こしている。

アルサレア帝国とヴァリム共和国。

ともにPF(パンツァーフレーム)と呼ばれる、人型兵器を使い、激しい戦いを繰り広げた。

そして、その争いの火は、あらぬ方へ飛び火しようとしていた。


「ふ〜〜………パトロール終了。異常なしっと」

[お疲れさまです、少尉]

哨戒任務をおえて一機のJフェニックスが基地へと帰還した。

ハッチが開き、パイロットが降りてくる。

それと同時に整備員たちが機体の整備を始める。

それを背にヘルメットを取るパイロット。

黒い髪をちょうど好い長さで切りそろえ、するどいがどこか優しげな黒い瞳の地球で言うなら、日系の顔立ちの青年が現れる。

「お疲れ様です、神薙少尉。」

整備員の一人が機龍に声をかける。

「お疲れ」

「司令が後で部屋まで来てほしいと言ってました」

「司令が? わかった、後で行く」

「それでは失礼します」

機体の方へと走る整備員。

それを見ると機龍は格納庫を後にする。


軍服に着替え、司令官室へと向かう機龍。

(いったい何のようだろう………直々に呼び出すなんて………)

などと考えているうちに司令官室の前に着く。

ノックする機龍。

「神薙機龍少尉、ただいま参りました」

「うむ、入りたまえ」

「失礼します」

司令官室へと入る機龍。

奥の机の方まで歩みよるとその向こうの司令官用椅子に座っている初老の男に敬礼する。

「司令官殿、自分にいかなる御用でしょうか?」

「うむ、まあ、楽にしたまえ」

「はっ!!」

きょうつけの体制から休めの体制になる機龍。

「さて、神薙少尉」

「はっ!!」

「君に転属を命ずる」

「転属………でありますか?」

「うむ、君には特殊追撃部隊、セイバー小隊の小隊長の任についてもらう」

「小隊長!! 自分がでありますか!?」

驚く機龍。

「不服かね?」

「い、いえ! ただ、自分は部下の命を預かる立場に就くにはまだ未熟かと・・・」

「謙遜するな。それに、この配属には二人の人物の強い推薦があってな」

「推薦? 自分をですか? いったい誰が?」

「君の友人と………グレンリーダーのだ。」

「!! グレンリーダー! あのグレンリーダーがですか!?」

グレンリーダー………

アルサレアに止まらず、ヴァリムにもその名を知らぬ者無しと言われる、言わずと知れたグレン小隊の小隊長であり、現アルサレア軍の将軍だ。

「なぜグレンリーダーが自分のことを?」

「たまたま君が出た士官学校を視察したとき、優秀な成績を残した君の話を聞いたらしい。それでだそうだ」

「しかし………」

「神薙少尉。君は君を推薦してくれたグレンリーダーと友人の気持ちを無駄にする気かね?」

その言葉にハッとする機龍。

「司令官殿………了解しました。神薙機龍少尉、特殊追撃部隊セイバー小隊小隊長の任を拝命します」

「うむ、では早速準備に入ってくれたまえ」

「はっ!!」

敬礼し、司令官室を出ようとする機龍。

ふと立ち止まり、司令官の方を見る。

「あの………司令官殿、自分を推薦した友人というのは?」

「君との古い付き合いのだそうだ。配属先で会える手筈になっている」

「はあ?………了解しました。失礼しました」

疑問に思う機龍だが準備があるためそれ以上は詮索せず、司令官室を後にする。


[まもなく、目的地に到着いたします。乗員は席におつきになってお待ちください]

「まさか宇宙に上がることになるとわな………シード・ラボか………」

シード・ラボ………

アルサレアが宇宙にもつ最大の兵器開発・研究施設である。

開発途中に事故が発生し、建設が中断されたと言われていたが、秘かに再建されていた。

その存在はアルサレアの中でも一部の者しか知らされていない。

機龍は愛機とともにシャトルに乗せられ、ラボへと上げられた。

(なぜこんな機密の塊の場所へ上げられたんだ?………ここの守りにはレガルド小隊という部隊がいると聞いたが………そもそも配属されるのは追撃部隊のはずだ………)

詳しいことは施設の主任に聞いてくれ、そう言われた為、機龍の頭は疑問でいっぱいだった。

シャトルが軽く揺れ、ドッグ入りしたこと知らせる。

疑問を解決するため機龍は早足にシャトルを降り、主任に会いに向かった。


「ようこそシード・ラボへ。私が主任のリーネ・フォルテです」

主任室へと訪れた機龍を緑髪の少女が迎えた。

「あなたが………主任ですか?」

まだ、子供じゃないか。

それが最初に機龍が思ったことだった。

「意外そうですね。私みたいな子供が主任がだなんて」

それを見透かしたようにリーネが言った。

「い、いえ!決してそのようなことは・・・」

「いいんですよ。初めて知った人はみんな驚きますから。・・・さて、本題に入らせてもらいますね」

「は、はい!」

「神薙少尉。あなたはこの間のヴァリムが打ち上げた謎のシャトルのことをご存知ですか?」

「はい、それでしたら存じております。ヴァリム本国から打ち上げられた謎のシャトルのことですね」

数日前………

ヴァリム本国より謎のシャトルが打ち上げられた。

高度なステルス機能を持ち、宇宙に出ると同時にその行方をくらませた。

アルサレア宇宙軍の必死の捜索にもかかわらず、その正体と行方は謎に包まれたままだった。

「その後の調べでそのシャトルは侵略偵察部隊を積んでいることがわかりました。」

「侵略偵察部隊? 一体どこの侵略偵察を?」

「………地球です。」

「地球!? そんな馬鹿な! 今のヴァリムの戦力で地球が落とせるとは思えません」

「正確には地球であって、地球ではないのです。」

「どういう意味ですか?」

首を傾げる機龍。

「太陽系はもう一つ存在するのです」

「太陽系がもう一つ!?」

「ちょうど、惑星Jからみて我々が移民してきた太陽系の反対側にもう一つの太陽系………第二太陽系が存在し、第二の地球があり、同じように人類がいるのが天文研究所の調べでわかったのです」

機龍は絶句した。

太陽系がもう一つ存在するなど驚きの事実だった。

大宇宙の神秘としか、言いようがない。

「しかし、第二太陽系は我々の来た太陽系よりだいぶ後にできたようで、推測した文化および技術レベルはこちらの地球で言う西暦2000年代初頭ぐらいかと思われます」

「なるほど、その時代の地球なら容易く侵略できる………と言うことですね」

「はい、ヴァリムは第二太陽系の存在を知り、第二の地球を侵略し、そこを拠点にアルサレアに攻勢にでるつもりでしょう」

「しかし、ヴァリムはどうやって第二太陽系へ? どんなに速い星間宇宙船でも太陽系と同じ距離でしたら一年以上はかかるはずです」

「ワープ航法です」

「ワープ!? ヴァリムはもうそんな技術を開発したのですか!?」

「もし、第二の地球が侵略されれば、第二の地球の人々は悲劇にあうでしょう。そうならないために、神薙少尉。あなたの力が必要なのです」

「なるほど。自分の追撃部隊が追撃する敵というのはその第二の地球侵略偵察部隊なのですね」

「こちらで開発したワープ装置であなたの部隊を第二の地球へと送ります。ヴァリムの陰謀を食い止められるのはあなたのセイバー小隊だけです」

「了解!!神薙機龍少尉、粉骨砕身の覚悟で任務につきます。」

敬礼する機龍。

「では、セイバー小隊のメンバーを紹介しますね。入ってきてください。」

「「失礼します」」

部屋の横側の扉から機龍と同い年ぐらいの二人の男女が入ってくる。

男の方はロングの銀髪に赤と青の碧眼。

女の方は桜色の髪に翡翠色の瞳。

「本日よりあなたの指揮下に入るジン=ミスラトル准尉です。」

「同じく、サクラ=キサラギ准尉です」

機龍に向かい敬礼する二人。

「こちらこそ、よろしくお願いする。指揮をとるのは始めてなんでな。だが、最初にこれだけは命令しておく………死ぬな!」

「「!!」」

「軍人の言うことではないかもしれんが、俺は部下が死ぬとこなんて見たくない。どんなすばらしい戦果を挙げても、死んでしまったら意味がない。だから、絶対死ぬな!」

以外な命令に戸惑う二人。

「ふふふ………」

と、リーネが笑い声を挙げた。

「リーダー君から聞いたとうりの人ですね」

「リーダー君? レガルドリーダーのことですか?」

「はい。リーダー君がよくあなたの話しをしてました」

「レガルドリーダーが? 自分のことをご存知なんですか?」

「ああ、よく知ってるぜ」

不意に男の声が聞こえ、部屋の横側の扉から一人の男が現れた。

「リーダー君」

「お前は!?」

「久しぶりだな、機龍。」

「ブレッド!!ブレッドじゃないか!?士官学校以来じゃないか。久しぶりだな、おい。」

「お知り合いですか?」

機龍に尋ねるジン。

「ああ、士官学校の同期さ。」

ガッチリと握手しながら答えるブレッド。

「まさかお前がレガルドリーダーだったとはな。なるほど、推薦してくれた友人っていうのはお前か」

「まあな」

と、その時、警報が鳴り響いた。

[緊急事態発生!! ヴァリム軍の強襲を確認!! レガルド小隊、緊急出動してください!!]

「何!?」

「クソ、こっちの動きをよんでいたのか? 出撃します!」

「ブレッド、俺たちも………」

「機龍たちには大事な任務が控えてるだろう。大丈夫だ、任せておけ!」

ブレッドは駆け足で部屋を出て行く。

「オペレータールームに行きましょう。あそこなら戦況がよく分かります。」

「お願いします。」

残された機龍たちはオペレータールームへと向かった。


戦闘開始から数十分後………

戦況はレガルド小隊が優勢だった。

「さすがだな、ブレッド………いや、レガルドリーダー」

感嘆の声を洩らす機龍。

「思ったよりも敵は小規模ですが、何か罠があるかもしれません。油断しないでください」

[[[了解!!]]]

(確かに敵の動きが散発的すぎる………何が狙いだ………まてよ?………奴等は俺たちが地球侵略を妨害することを知ってしかけてきた………そして、それを邪魔するには………)

と、機龍が思案していると、

「ああ!?」

「どうしたの?」

「新たな機影が一機、第3研究施設近くに出現!!」

「第3研究施には確か………ワープ装置が!!」

「やはりそれが狙いか!!」

言うがいなや飛び出していく機龍。

「リーダー!?」

「神薙少尉!!」


「ジェイス、フェニックス緊急起動!」

[OK!!]

愛機、赤色のJフェニックスカスタムに乗り込み、緊急発進する機龍。

第3研究施に接近するヌエに迫る。

「やらせん!!」

ヌエに組み付くフェニックス。

だが、ヌエはフェニックスごと第3研究施に落下する。

「ぬお!?」

天井を突き破り、施設内へと落下した。

そして、ワープ装置の上に墜落する。

「ぐおっ!!」

と、その時、突如としてワープ装置が眩い光を放ち始めた。

「これは!?」

[WARNING!! ワープ装置内のエネルギー置上昇!!装置が起動します!!]

「何だと!?」

次の瞬間、第3研究施は光に包まれた………


夜の空に光が溢れ、やがてそれは人型となり、地へと落下する。

「ぬおおおおお〜〜〜!!」

重力に引かれ加速するフェニックス。

やがて眼下に巨大な樹木が現れる。

「くっ、バーニア全開!!」

[YES!!]

寸前のところでバーニアを吹かし、軟着陸する。

「ここは・・・」

モニターに映った映像にはレンガ造りのモダンな町並みと自分が今いる巨大な樹木があった。

「どこだ?」

自分のいる場所に混乱する機龍。

その混乱は二人の少女の登場によってさらに深まった。

「ほう、変わった侵入者だな」

満月を背に浮かぶ黒マントを羽織った金髪の少女と背のバーニアで飛ぶメカニカルな緑髪の少女がモニターに映った。

「………これは夢か?………それとも幻か?………あるいはヴァリムの新兵器か?」


遥かなる宇宙を越え、今、鋼の不死鳥が麻帆良に降り立った。


NEXT


オリジナル主人公&PF紹介

名前:神薙 機龍 (かみなぎ きりゅう)

性別:男

年齢:18歳

階級:少尉

武器:ショットガン、リボルバー式マグナム、日本刀×2(二刀流用、刀名 右手・龍虎 左手・雀武)

所属:アルサレア特別追撃部隊セイバー小隊小隊長

趣味:漫画、アニメ、特撮鑑賞

備考:身長195センチの巨漢。

家は先祖代々の武家。

アルサレアで苗字が前にきて、全て漢字で書かれているのは彼の家だけ。
   
幼いころより自家の流派を叩き込まれ、今やその腕は免許皆伝。
   
拳銃はリボルバーだという拘りをもつ。
   
幼いころを修行に明け暮れたため、漫画などを見たことがなく、第二地球のそれらにはまってしまう。


機体名:Jフェニックスカスタム

動力:魔力転換機関

装甲:マジックコーティングメタル

基本武装:頭部バルカン砲

肩部マシンキャノン

ウイング・ファミリア(背部装備、遠隔操作式攻撃機)

90ミリ・リボルバー式マグナム(右腰携帯)

ショットガン(後腰携帯)

マジックコーティングシールド(左腕装備)

日本刀×2(二刀流用、左腰携帯)

備考:従来のJフェニックスを機龍に合わせて、カスタマイズしたもの。
   
基本のものに比べ、全能力が30%向上している。
   
後に超とハカセにより装備された魔力転換機関とマジックコーティングメタルにより魔法戦に対応できるようになる。

さらに状況において、武器を基地より転送してもらい、使うことができる。
   
サポ−トAI『ジェイス』により、ある程度の自立稼動を可能とする。

さらに出力を高め、一時的に機体性能を大幅に上げる『ハイパーモード』時には余剰エネルギーを機体全体に纏い、敵に体当たりする『エネルギークラッシュ』を使うことができる。

ただし、連続使用時間は3分が限界。

それ以上連続使用すると、フェニックス自体が爆発するか、オーバーヒートを起こしてしまう。

また、一度使用するとしばらくの間、冷却が必要となる。


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