第44話


その頃、異変を感じ取ったネギは………

「確か、こっちの方から一番高い魔力が………」

パトロールに出たのだったが、彼方此方から魔力を感じ、どうしたものかと思っていたところ、一番強い魔力が現れ、そこへと向かっていた。

そして、ドアが開いたままになっている665号室を発見する。

「!! あそこは………いいんちょさんと那波さんと村上さんの部屋!!」

慌てて中へと踏み込むネギ。

「やあ、思ったより早かったね、ネギ・スプリングフィールドくん」

「ビショッーーーーープ」

そして、リビングで気絶した千鶴を抱えたヘルマンと、同じく気絶した夏美を抱えたビショップに遭遇する。

「!? な………那波さん!? 夏美さん!?」

「て、てめえ等は!?」

見知らぬ謎の人物に驚くネギ(+カモ)。

「その人達を離してください!!」

「うむ………ポーン達とルークは失敗したか………まあいい………君の仲間と思われる8人の方もすでに預かっている。無事返して欲しくば私と一勝負したまえ」

「え………!?」

「何だと!?」

驚くネギ(+カモ)。

「学園中央の巨木の下にあるステージで待っている。仲間の身を案じるなら助けを請うのも控えるのが賢明だね………」

「ビショッーーーーープ」

そう言うヘルマンとビショップの周りを水が取り巻いていく。

「あっ、待て………」

追いかけようとしたネギの目の前でヘルマンとビショップは水と共に消えた。

「くっ………」

「ネギくん!! 何があった!?」

「ネギくん!! 大丈夫!?」

「………どうした?」

そこへ、真名を抱きかかえた機龍と楓達を連れたジンとサクラが現れる。

「た、大変です!! 僕の生徒が!!」

「落ち着くんだ、ネギくん!!」

慌てるネギを落ち着かせようとする。

「オイ! 兄貴!! こいつは!!」

「………え? あ!!」

そこでカモが、気絶している小太郎を発見するのであった。












その後、さよも合流し、機龍達は状況のまとめる。

「つまり、ヘルマンという謎の男と、その手下と思われる液状の何かと、チェスの駒のような者達が3−A生徒を連れ去った、と」

「攫われた生徒はガイアセイバーズメンバーからは、神楽坂さん、近衛さん、桜咲さん、古菲さん、宮崎さん、綾瀬さん、朝倉さんの7人。それから、3−A生徒は雪広さん、那波さん、村上さんの3人です」

機龍の説明をさよが捕捉する。

「手下と思われるポーンのような軍団は俺とサクラ、ルークのようなヤツはリーダーが撃破しました」

「こちらの被害は、真名ちゃんが負傷。楓ちゃん、ザジちゃん、千雨ちゃんが疲労困憊状態です」

敵に与えた被害とこちらの被害を挙げるジンとサクラ。

「なあ、こんなことボソボソと言ってるより、早くあのおっさんを追いかけた方がいいんとちゃうか?」

「状況判断は大切だよ、小太郎くん」

意識を取り戻した小太郎が出撃を急かすが、ネギが抑える。

「いや、ここは兎に角、学園中央の巨木の下にあるステージに行くしかないだろう、出撃する!!」

「機龍殿、学園長に報告は?」

「人質の安全が最優先だ。学園長への報告は最終手段とする」

楓の質問にそう答えると、サクラの方を向く。

「サクラくんはここに残って、負傷者達の手当てと残りの生徒達を警護してくれ」

「了解!!」

敬礼するサクラ。

「すまない、今の私じゃ、足手まといにしかならないな………」

負傷により、一線から退けられることを悔しがる真名。

「心配するな、今回は俺達だけで十分何とかできる………任せておけ」

ソファーに座らされている真名の頭を優しく撫でる機龍。

「ほほう………」

「…………」

「ふ〜ん………」

楓達が注目する。

「(赤面)!! バカ!! 恥ずかしいからやめろ!!」

「おっと、スマンスマン」

慌てて手を離す機龍だったが、

(………もう少しやっててもらえばよかったかな)

それを見て、真名は少し後悔するのだった………

「とりあえず、残りのメンバーは2手に別れていく。ネギくんと小太郎くんに正面から攻めてもらい、俺とジンが裏から回りこみ、人質を救出。しかるのちに、敵を撃破する!!」

「「了解!!」」

ネギとジンは敬礼で返すが、小太郎は少し視線を逸らしている。

「犬神小太郎」

「な、何や!?」

「元は敵だったとはいえ、今は君の力が必要だ………協力してくれるな?」

小太郎は少しの間、沈黙して言った。

「あんたに仕切られるのは何かイヤやけど、ちづる姉ちゃんには恩がある………協力させてもらうで!!」

「結構!!」

ニヤッと笑う機龍。

「あ、そうそう、忘れとった。ネギ!」

ネギに呼びかけながら、小太郎は髪の毛の中から星のマークの入った瓶を取り出した。

「この瓶があれば、呪文を一言唱えるだけで、奴らを封じられるハズや。お前に預けとくわ」

「ほう、そんな物があったのか?」

「ああ、学園に来る前にあのおっさんからかっぱらったんや」

覘き込む機龍に答える小太郎

(!? この瓶は…………?)

と、ネギはその瓶に見覚えがあったが、時間がないので疑問を後へと押し遣る。

「わ、わかった! ありがとう!」

「よし、準備は整ったな………出撃!!」











雨の中を杖で飛ぶネギと小太郎。

その下では、機龍の乗ったジープと、ジンの乗ったバイク………クラウドナイン(超&ハカセ製)が走っていた。

「よし、我々はここで別れて裏へと廻って人質を救出する。ネギくん達はそれまで、敵の注意を引いてくれ」

ネギの腕時計型通信機に通信を送る機龍。

「了解しました!!」

「任しとき!!」

ステージの方向へと直進するネギ達と、裏側へと廻り込む機龍達。

果たして、無事に人質となった生徒達を救出できるのか!?











そして、ヘルマンが指定したステージでは………

「ん………アレ? ここは………?」

意識を取り戻したアスナは、ここが自分の部屋でないことを認識する。

「ここって………学祭で使うステージ? 大学部の………」

動こうにも腕を水のようなロープで拘束されて、吊り下げられている。

そして、雨の中にしても、やけに肌寒さを覚えて、自分の姿を見てみる。

「………って、きゃああ〜〜〜〜〜っ!? なな何よ、この格好は〜〜〜〜〜っ!!」

アスナはやや変わった下着姿にされていた。

「ハッハッハ、お目覚めかね? お嬢さん」

そんなアスナの前に姿を現すヘルマン。

「誰!?」

「囚われのお姫様がパジャマ姿では雰囲気も出ないかと思ってね、少し趣向を凝らさせてもらったよ」

「何なのよ、このエロジジィーーーーーッ!!」

「ろもっ!?」

問答無用でヘルマンに蹴りをお見舞いするアスナ。

「いやいや、ネギくんのお仲間は生きがいいのが多くて嬉しいね。 ハッハッハ………」

「鼻血流して何気取ってんのよ!! おろしなさいよっ!」

喚き立てるアスナ。

「!? 今、ネギの仲間って言った?」

「アスナーーーーッ!!」

「アスナさん!!」

声のした方を振り向くアスナ。

そこには、他の3−Aメンバーが水の塊のような物に捕らえられていた。

「アスナ、大丈夫ー!?」

「コラーーーー!! エロ男爵!!」

「ここから出すアルヨー!!」

「アスナさん!! これは一体どういうことなのですか!?」

「みんな!? それにいいんちょ!? あ!! 夏美ちゃんに那波さんまで!! 何で!?」

このか達はいいとして、ガイアセイバーズの隊員でないあやか、夏美、千鶴までいることに驚くアスナ。

「観客は多い方がいいと思ってね。………それから、退魔師の少女は危険なので眠ってもらっているよ」

「え!? あ!! 刹那さん!!」

ヘルマンの視線の先に、1人だけ別の水の塊に閉じ込められて、眠らされている刹那を見つける。

「のどかさん! 一体何が起こっているのですか!?」

「ええっと、それは、その、あの………」

事情の説明をのどかに求めるあやか。

「あやか、落ち着いて」

「委員長さん! 今はそれどころじゃないです」

「速くここから出ないと!!」

それを抑える千鶴と夕映に、脱出手段を探す和美。

「アータタタタタタッ!! オワッタッ!!」

水の壁に攻撃を加えるクー。

しかし、水の壁はビクともしない。

「なーなー、そこのちびちゃん達!!」

「ここから出してよーーーー!!」

近くにいた3人の液体色の少女に助けを求めるこのかと夏美。

だが、その少女達こそヘルマンの部下、スライム達だった。

「私達特製のその水牢からは出れませんヨ。ちなみに、私、あめ子」

あめ子と名乗る、眼鏡を掛けた少女。

「溶かして喰われないだけ有り難いと思いナ。ちなみに、アタイはすらむぃ」

すらむぃと名乗る、両側頭部の髪を縛った少女。

「ぷりん………」

ぷりんと名乗る、ロングヘアの少女。

「く! 助けを待つしかないですか………」

悔しそうにする夕映に無言で賛同する一同。

こうなれば、頼みの綱は機龍達とネギだけだ。

「こんなことして、何が目的なのよ!」

ヘルマンに問い質すアスナ。

「なに、大したことではない、仕事でね。「学園の調査」が主な目的だが………「ネギ・スプリングフィールドと」とキミ………「カグラザカアスナが今後どの程度の脅威となるかの調査」も依頼内容に含まれている」

「え………わ、私!?」

自分が目的の内に入っていると知って驚くアスナ。

「ど、どういうことよ!!」

「………ふむ、来たようだ」

ネギの接近に気づくヘルマン。

「ただ………ネギくんには個人的にも思い入れがあってね。彼があの時からどの程度使える少年に成長したかは、私自身、非常に楽しみだ」

「え………?」

その直後、客席の2人の影が舞い降りた。

「ネギ・スプリングフィールド………定刻どうりにただいま到着!!」

「犬神小太郎、参上や!!」

「待っていたよ、少年達」










麻帆良の長い夜が始まった………










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