第45話


ヘルマンと対峙するネギと小太郎。

「来たで、おっさん!!」

「みんなを返してください!!」

ヘルマンに言い放つ2人。

「ネギ!」

「アスナさ………あっ!? アスナさんがエッチなことに!!」

「違ーーーーーーーーうっ!! 違わないけどっ」

ガビーンとなるネギにつっこむアスナ。

「ネギくーん!!」

「ネギせんせーー!!」

「ネギ先生!! 私を助けるために態々!! この雪広あやか!! 感激です!!」

ネギの出現に騒ぎ立つこのか達。

「あれ………あの子………」

「確か修学旅行の時の………」

「小太郎くん!!」

そして、ネギの隣に立つ小太郎の存在にも気がつく。

「ちづる姉ちゃん、待ってろや!! 今助ける!!」

「小太郎くん………」

千鶴の無事を確認して、闘気を上げる小太郎。

「あなたは一体誰なんです!? こんなことをする目的は!?」

「いや、手荒な真似をして悪かった、ネギくん。ただ、人質でも取らねば、君は全力で戦ってはくれないと思ってね」

ネギの怒りもどこに吹く風といった感じに答えるヘルマン。

「私は、ただ君達の実力が知りたいだけだ。私を倒すことができたら彼女達は返す。条件はそれだけだ。………これ以上、話すことはない」

「はん! それだけでええんか、楽勝や!!」

「小太郎くん、抑えて………機龍さん達が来るまでは、時間稼ぎに徹しなきゃ」

「んなもん、ここでケリをつけたればいいことやろ!!」

早速、作戦を無視してヘルマンに突っ込む小太郎。

「ああ!! 小太郎くん!!」

「段取り滅茶苦茶だぜ!!」

カモの零すした愚痴を聞きながら、ネギもヘルマンに突撃する。

「フフ、元気がいいな………行きたまえ!!」

「「「らじゃー!!」」」

ヘルマンの命を受け、スライム達がネギ達へと襲い掛かる。

「!! 女!?」

「ありゃスライムって奴だぜ!!」

「何か全然イメージと違うね。おジャ魔女ど○みのキャラみたいなのもいるし………」

ドラ○エに出てくるようなスライムしかイメージのないネギが言う。

「ヘッ!! ほんもんの女やないんやったら、遠慮なくブッ飛ばしたる!!」

右ストレートであめ子を弾き飛ばす。

「それって差別ーーーー」

吹っ飛んだあめ子をぷりんが受け止める。

(う………やっぱ、やりにきぃ………)

その様子にやはりやりにくさを覚える小太郎。

「戦いの歌!!」

そして、ネギの方は、自分への魔力供給を使い、すらむぃの相手をする。

「兄貴!! 来るぞ!!」

繰り出されたすらむぃの拳を取ると、脇固めを決める。

「おっと!!」

だが、あっさりとそれから抜け出すすらむぃ。

「くっ!! やっぱり、軟体生物に間接技は効かないか!!」

「くらえ!!」

すらむぃの突進をジャンプしてかわす。

………と見せかけて、マーシャル・○ーツ・キックをお見舞いする!!

「おお!」

吹き飛ばされるが、すぐさま体勢を立て直すすらむぃ。

「やるネ」

その隙に、ネギは小太郎と背中合わせになる。

「相変わらずいい動きするやないけ!」

「小太郎くんこそ!」

互いにニッと笑う。

埒が明かないと思ったのか、一斉に掛かってくるスライム達。

だが、2人は繰り出される攻撃を全て受け流し、テキサス・コ○ドル・キックとト○ホークチョップでスライム達を弾き飛ばす。

「奴等は相手にすんな! 打撃は効いてねェぞ!! 狙いはあのおっさん1人だ!!」

「うん!」

「ここは任しとけ!!」

小太郎が分身し、スライム達を足止めする。

その間にネギがヘルマンへと突進する。

「!」

「はああ!!」

そして、殴りかかると見せかけ、クーや楓から見様見真似で覚えた瞬動術で背後に廻り込む。

「む!?」

そのまま、ネギはヘルマンに封魔の瓶を向けた。

「僕達の勝ちです!」

「ネギ!」

「な、何ですの!? この戦いは!?」

「お芝居みたい………」

「まあ………」

非現実的な戦いを繰り広げるネギ達に驚愕するあやか、夏美、千鶴。

「封魔の瓶!!」

魔法が発動し、ヘルマンを封じ込めようとする瓶。

しかし………

「えっ………」

突然、アスナの首から下げられていたペンダントが輝きだす。

「ひゃ………ああああっっ!!」

そして、アスナの身体が激しく痙攣する。

「!? アスナさん!!」

「何!?」

「アスナーッ!!」

「今度は何ですの!?」

すると、封魔の瓶にパシィッと電撃のようなものが走ったかと思うと、地面に転がった。

「え………な!?」

「封印の呪文がかき消された!?」

それと同時にアスナの痙攣も治まる。

「ふむ………実験は成功のようだね。放出型の呪文に対しては完全だ」

ネギの方へと向き直るヘルマン。

「さて………そろそろ私も本気でやらせてもらうとしよう。まさか、これで終わりではあるまい? ネギ・スプリングフィールドくん」

「くっ!!」

機龍さん達はまだか!?

ネギの表情に焦りが見え始める。

「ああ、それから………君の仲間のサムライくん達にも期待しないことだ。彼等も今頃、私の放った足止めに遭遇している頃だろうしね」

「なっ!?」

最悪………ネギの頭にそんな言葉が過ぎった。











一方その頃、機龍達は………

突如として現れたチェスの駒軍団に足止めを喰わされていた。

「クソ!! 作戦を読まれていたか!?」

ショットガンを振り回して、手当たり次第にチェスの駒軍団を吹き飛ばす機龍。

「ハッ!! フッ!!」

クラウドナインに乗ったまま、バスターブレードを振り回し、チェスの駒軍団を斬り裂くジン。

だが、次々とチェスの駒軍団は湧いて出てくる。

「キリがない………ジンくん!! ここは俺に任せて、君はネギくん達の方へ言ってくれ」

「しかし!!」

機龍がジンに命令を飛ばしたそこへ、ポーンがタックルを掛けた。

「ぐおっ!!」

「リーダー!!」

だが、機龍はタックルを掛けてきたポーンをガッシリと捕まえる。

「行け!! 命令だ!! 君の方が速い!!」

機龍のジープはチェスの駒軍団に破壊されてしまったので、クラウドナインに乗っているジンの方が機動力があった。

「………了解!!」

そう言ってジンは、チェスの駒軍団を蹴散らし、世界樹の方へと向かった。

「よし、後は………うおおぉぉぉぉぉぉっ!!」

捕まえていたポーンをブレーンバスターで粉砕する。

「雑兵の掃除だ!!」

群がるチェスの駒軍団を睨みつける機龍。

闘志に漲った目は燃え出さんばかりだった。











「さて………行くとしよう」

ヘルマンは一瞬にして、ネギの後ろに廻り込み、ネギと小太郎を直線上に捉える。

「!!」

「何!」

「悪魔パンチ!!!」

まるでビーム攻撃のような物が、ヘルマンの右腕から放たれる。

「うわあっ!!」

「うおお〜〜〜!!」

「ちっ!!」

直撃こそしなかったが、その威力はステージ客席の一部を吹き飛ばした。

「この威力………!! へっ、これが本気か、おっさん!!」

さらに今度は、左腕から同じ攻撃が連続で放たれる。

「ネギ先生!!」

「小太郎くん!!」

爆発が連続して起きる。

「クソ!! 瓶が使えんならしゃあない! ネギ、ゴリ押しや!!」

「く………それしかないね」

気合を溜める小太郎と呪文詠唱に入るネギ。

「犬上流・空牙!!!」

「ラス・テル マ・スキル マギステル 闇夜切り裂く 一条の光 我が手に宿りて 敵を喰らえ 白き雷!!!」

気弾と白き雷がヘルマンへと放たれる。

しかし、それは、ヘルマンに届く前に雲散霧消した。

「あ!! はああ!!」

それと同時にアスナに掛けられているペンダントが輝き、アスナの身体が痙攣する。

「アスナさん!!」

「!? また消された!? とっときの気弾まで!!」

「マジックキャンセル………魔法無効化能力という奴だよ」

驚く2人にヘルマンが説明する。

「一般人のはずのカグラザカアスナ嬢………彼女が何故か持つ魔法無効化能力………極めて希少かつ極めて危険な能力だ………今回は我々が逆用させてもらった」

「な、何やて!? 魔法無効化………!?」

「ど、どうしてアスナさんがそんな力を!?」

(姐さん………只者じゃないと思っていたが、そんな力があったとは………)

「さて、私に対して、もう放出系の術や技は使えないぞ。男なら………拳で語りたまえ」

一気に距離を詰め、至近距離から悪魔パンチを繰り出すヘルマン。

「うわっ!!」

「いいコト言うね」

どうにかかわす2人。

(ふむ………あのペンダントか………!!)

カモは、マジックキャンセルのガード機能の秘密がアスナに掛けられているペンダントにあると気づく。

「兄貴!! 俺も何とかやってみる、持ちこたえろ!!」

そう言って、ネギの頭から飛び降りるカモ。

「カモくん!?」

「隙ありだぞ」

そこへ、ヘルマンの左ストレートが炸裂する。

「ぐっ………」

「ネギ先生!!」

「ネギくぅん!!」

「キャアーーーー!! ネギ先生!!」

悲痛な叫びを挙げるのどか達。(特にあやか)

「ネギ………!」

「姐さん、姐さん!」

と、アスナの足元から声がする。

「カ、カモ!?」

ネギの頭から飛び降りたカモが、いつの間にか、アスナの足元まで来ていた。

「今、その胸のペンダント、取ってやるぜ! そうすれば兄貴達も………」

と言いかけたところで、あっさりあめ子に捕まった。

「つかまえマシター」

「うおお、しまった!? 離しやがれーーーーっ!!」

「アホガモーーーーーッ!!」

そして、すらむぃによって、水牢に放り込まれる。

「てめーも、この中入ってナ」

「むおっ!!」

「カモさん!」

「カモくん!」

「役立たずアル」

「「しょ、小動物が喋ってる!?」」

「まあ!」

事情を知らないあやか、夏美、千鶴がカモを見て驚く。

「ククク、あのガキ2人、もうダメダナ」

「もったいないデスケドネー」

「!? どういうことです!」

「安心シナ、お前らは無事に返してヤル。タダノエサダカラナ」

次の瞬間、スライム達の口から衝撃的な言葉が飛び出す。

「調査の結果がどうあれ、ネギくんはしばらく戦えないようにしとけって命令が出てマス」

「しかしヘルマンのおっさんの石化は強力だカラナー。まぁ悪くすると片手か片足、永久石化かも知れネェナ」

「!? そんな!!」

「ネギくん!!」

「ネギ先生!!」

ヘルマン相手に防戦一方のネギと小太郎。

自分達へのダメージばかりが蓄積していく。

「………やれやれ、この程度かね」

心底呆れたように言うヘルマン。

「先程の動きはなかなか良かったが………どうやら私が手を下す程ではなかったようだね………? 残念だよ、ネギくん………ふぅ」

タメ息まで吐かれている。

「クソーー!!」

「小太郎くん、こうなったらツープラトンで攻撃しよう!!」

「しゃーない!! やるか!!」

ヘルマンを挟み込むように移動する2人。

「む?」

「行くよ!! 小太郎くん!!」

「おっし!! 行くぜーー!!」

そして、ラリアットを掛けるように飛ぶ。

「クロスボ○バー!!」

見事、ヘルマンの首をラリアットで挟み込む。

「決まった!?」

「どうや!?」

しかし………

「ふむ、クロスボ○バーとは恐れ入った」

「なっ!?」

「何やと!?」

ヘルマンは全く答えていない。

「悪魔パンチ!!」

「ごはっ!!」

悪魔パンチで吹き飛ばされるネギ。

「ネギ!!」

「悪魔アッパー!!」

「がばっ!!」

小太郎は悪魔アッパーを喰らい、血を吐いて空中に舞い上がる。

ヘルマンはそれに追従して飛び上がり、真っ逆さまに落ちる小太郎の首を脚でロックする。

「地獄の断○台!!」

そして、そのまま地面にクレーターができるほど強く叩き付けた。

「ご………あ………」

苦しさから空へと伸ばされた手が、力なくパタリと落ちた。

「小太郎くん!!」

「キャアーーーッ!!」

ネギの叫びと千鶴の悲鳴が木霊した。

「さて………次は君の番だ、ネギくん」

「くっ!!」

身構えるネギ。










小太郎すら容易に撃破したヘルマン。

果たしてネギは、この強敵にどう立ち向かうのか!?










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