第80話


ヴァリム要塞島内………

「来たか………ガイアセイバーズ!!」

モニターに映る要塞島内へ突入してきたPF部隊を見て言うフラットエイト。

と、突入してきたPF隊は、途中にて二手に分かれた。

「フン、中核部分を叩くつもりか………小賢しい!!」

フラットエイトが、パンッと手を叩くと、モニターにヴェルとフォルセアの顔が映し出される。

「ヴェル! フォルセア! 準備は出来ているな!!」

[ハイ、大将殿]

[万全ですわ]

不敵な笑みを浮かべて答える2人。

「よーし、お前達は『あの2人』と共に、中核部分に向かった連中の相手をしてやれ! それから、エン!!」

[何か用か?]

モニターに新たに、エンの姿が割り込んでくる。

「貴様は私と共に来い!! あの小生意気な若造を叩き潰すぞ!!」

[断る。俺が今殺したいのは、ジン1人だけだ]

上官の命令をさも当然に跳ね除けるエン。

「そのジンとやらをやらしてやる! お前は神薙 機龍以外の連中を始末すれば良いんだ!! 神薙だけは私が殺す!!」

[ほう………良い憎しみだな………良かろう、神薙とやら以外は引き受けよう]

そう言い残し、エンは通信を切った。

[では………]

[我々も失礼します]

ヴェルとフォルセアも、通信を切り、モニターはブラックアウトした。

「よし………後は………」

フラットエイトは、別な場所に通信を入れた。

モニターに、今度は千草の姿が映し出された。

「天ヶ崎、用意は出来たか?」

[はい、お望み通りにしてはりますわ]

そう言って、千草がカメラの前から退く。

するとそこには………



まるで生物のような壁に身体を半分埋め込まれ、虚ろな瞳をした真名の姿があった………



[しかし、驚きましたわ。この女が贄に適合するとは………]

「ヴェルの報告では、その女は特殊な能力の持ち主らしいからな。それが作用したのだろう………しかし、好都合だ」

フラットエイトは、邪悪な笑みを浮かべる。

「聞くところによれば、この女は神薙にとって特別らしいからな………アイツの顔に絶望に染まるのが浮かんでくるわ。アーハッハッハハハハッ!!」

[そうですなわな、ホーーーーッホッホホホホホッ!!]

高笑いを挙げる2人。

「…………」

千草の後ろで、真名はまるで人形のように、ただ虚ろな瞳で虚空を見つめているのだった。











要塞島内部………

アーノルドの指揮する中核部分破壊部隊………

「大佐! 中核部分は本当にこっちで良いんですか!?」

「事前に超くんとハカセくんがスキャンしたデータでは、こっちの方向に高いエネルギー反応が感知された。恐らく間違いない!」

中核部と思わしく場所へ向かって急ぐアーノルド、レイ、レッディー、ゼラルド、シリウス。

「アレ? レッディーさん」

ふとシリウスが、とある事に気づき、レッディーに声を掛ける。

「ん? 何だい、シリウス?」

「いや、今気づいたんですけど、カタナを装備してるなんて、珍しいですね」

シリウスの言うとおり、レッディーのJエアロの左腰に、1本の鞘付きのカタナが附けられていた。

「ん、ああ、まあ………秘密兵器ってやつさ」

「へぇ〜〜、凄いッスね」

感心するように言うシリウス。

(レッディー………お前、まさか………)

しかし、ただ1人、ゼラルドだけは、嫌な予感を感じていた。

暫く進むと、機械が集中する開けた場所に出る。

中央に置かれた機械に、太いパイプのようなものが何本も繋がれていた。

「ここは?」

「ヴォル。調べてくれ」

[了解、大佐。スキャン開始]

ヴォルが、空間をスキャンし始める。

[スキャン完了。ここはこの要塞島の動力部です]

「すると、アレは動力炉か!?」

中央に置かれた機械を見ながら言うゼラルド。

「よーし! だったら、アレを破壊すれば………」

「待て! 何かいるぞ!!」

動力炉に突撃しようとしたシリウスを、レッディーが制す。

よく見ると、動力炉の前に、2機のオードリーが立っていた。

「来たわね………」

「態々殺されるためにね………」

ヴェルとフォルセアだった。

「ヴェル・へラーにフォルセア・エヴァか」

「やられるのはそっちじゃないのか? 手数が違うぜ」

2機のオードリーの前に展開するJヘル、Jクーロン・アーノルドカスタム、Jエアロ、Jスパイラルパワード、Jギルダー。

「フフフ、どうかしら?」

「本当にそう思う?」

それに対して、不敵な笑みを浮かべるヴォルとフォルセア。

「? どういう意味だ?」

と、アーノルドが言った時!!

2機のオードリーは、PFサイズの呪札のような物を取り出した。

「呪札?」

「「出でよ!! 黄泉路よりの還りし魂よ!!」」

ヴォルとフォルセアは、そう言って、呪札を投げる。

すると、呪札を中心に呪法陣が展開する!!

「!? コレは!?」

そして、呪法陣が紫色の怪しい光を放ったかと思うと、その光が収束し、2つの人型を形成した。

やがて、光が弾けると、そこには2機のPFの姿があった。

片方は、黒く染められ、手にカタナとマシンガンを持ち、左肩にAFFミサイル砲を装備したオニ。

もう片方は、緑色に染め上げられ、両手に馬鹿でかい鉄槌………X・ハンマーを装備したタルカスのカスタム機だった。

「なっ!? アレは………」

「まさか………」

その2機を見て、驚愕するレイとシリウス。

「ヴァリムの猛牛………バール・アックス」

緑色のタルカスを見て言うアーノルド。

「そして………黒夜叉………グリュウ・アインソード!!」

黒いオニを見て言うゼラルド。

そう………2機は、戦死したはずのヴァリムのエースパイロットの機体だった。

「フフフ、どうかしら?」

「これで勝負は分からなくなったわね」

「クッ!!」

蘇ったヴァリムのエースパイロットを前に、アーノルド達は冷や汗を流すのだった。











一方、龍宮 真名救出及びフラットエイト討伐部隊の機龍達は………

「真名ーーーーっ!! どこだーーーーっ! どこにいるーーーーっ!!」

真名の名を叫びながら、要塞島内を飛び回る機龍のゴッドJフェニックス。

「リーダー、どうか冷静に………」

「焦ったらダメですよ」

そんな機龍に、ジンとサクラが心配そうな声を掛ける。

「分かってる………しかし!!」

「おい、前方に光が見えるで!」

と、何か言い掛けようとした機龍を制して、小太郎が声を挙げた。

小太郎の言う通り、通路前方から光が差しこんでいた。

用心しながら、光の中に入ると、ドーム状に広がった空間に出た。

上部に上に続くと思われる通路の入り口があった。

「ここは?」

「………待っていたぞ」

不意に声が響いたかと思うと、何処からともなく黒い羽根が舞い散ってきて、やがて一箇所に固まると漆黒鬼が現れた。

「!! エン!!」

その姿を見るがいなや、ハイパーバスターブレードを構えるJブレイダー。

「不出来なる弟よ………やっと地獄へ送れる時がきたようだな」

「それはこっちの台詞だ!! お前との決着だけは、俺が着けてやる!!」

「フッ………来い」

漆黒鬼が手招きするような動きをする。

「リーダー。ここは俺………」

「と私に任せて、行ってください!」

1人と言おうとしたジンより先に、サクラが機龍に言った。

「!! サクラ!! お前………」

「ジン………私は何時も………貴方と一緒よ」

「…………分かった」

ジンはそう言って、Jブレイダーに構えを取り直させる。

そして、その隣にJランチャー・サクラスペシャルが武装を展開し並ぶ。

「2人供、大丈夫なのか? 」

「「…………」」

機龍の問い掛けに、2人は無言で頷いて見せる。

「………頼んだぞ。ネギ! 小太郎! 行くぞ!!」

「「了解!!」」

機龍は、ネギと小太郎を引き連れ、上部の通路の入り口へと飛ぶ。

「………悪いが。神薙以外は通すなと言われているのでな」

と、そこへ、漆黒鬼が、GウィザードとGウルフに無数の幻影剣と飛ばした!!

しかし………

「やらせないよ!!」

Jランチャー・サクラスペシャルが、両肩の8連式ミサイルポットを発射して迎撃する。

「ハアァァァーーーーーーッ!!」

さらに、その隙にJブレイダーがソニックブーストで距離を詰め、漆黒鬼に斬り掛かる!!

「ぬう………」

漆黒鬼は、難なく黒炎で防ぐが、その隙に機龍達は通路の中へと消える。

「チッ………抜かったか………まあ、良い。貴様等を殺してから追いかけて殺せば良いだけの話だ」

「やってみろ………」

「出来るものならね!!」











そして、要塞島外では………

3−Aメンバーとガーディアンエルフが、要塞島内へと戻ろうとする敵部隊を食い止めていた。

「全隊員! 神薙総隊長達が戻るまで、何としても敵を食い止めてください!!」

「「「「「「「了解!!」」」」」」」

アキナの激励に、全員が力強く答える!!

その中心となっているのは、Gギガブラスターだ。

「でやぁぁぁぁーーーーーっ!!」

その手に収まったハマノツルギ(超巨大サイズ)の一振りで、何十機もの敵機が斬り裂かれる!

「負けてらんないのよぉぉぉぉーーーーーっ!! アンタ達なんかにぃぃぃぃーーーーーーっ!!」

気合の掛け声と共に発射されたブラスターレーザーが、敵陣に爆炎の嵐を巻き起こす!!

「アスナさん!! 後ろです!!」

と、あやかの声が響く!

発射態勢中の隙を狙って背後から、飛行GFが3機迫る!!

「クッ!!」

振り向きながらハマノツルギを振ろうとするアスナだったが、ワンテンポ間に合わない!!

しかしそこへ、轟音と共に地上から巨大な弾丸が、後ろから迫ってきていた飛行GFに命中すると、大爆発を起こした!!

「「えっ!?」」

「見たか! 炸裂弾頭『クラックヘッド』の威力を!!」

それは、地上のヤマト・ザ・ケルベロスからの援護射撃だった。

「狛牙さん! ありがとう!」

「助かりましたわ、勇輝さん!」

「へへ、じゃあ、コイツは貸しって事で良いな」

「ええ、後で嫌と言うほど返させて貰いますわ!!」

「そいつは楽しみだな!!」

ミサイルとメタルシザース内のガトリング砲で地上部隊を排除しながらも、3門のレールキャノンで空中部隊を援護するヤマト・ザ・ケルベロス。

その援護を受けながら、Gギガブラスターは一層大暴れする。





「神鳴流奥義!! 百烈桜華斬!!」

Gウイングが、円を描くように剣を振ると、花びらのようなものが舞い散り、周りの敵機が一瞬で斬り裂かれ、爆散した。

しかし、またも新たな敵機部隊が、Gウイングの周りを取り囲む。

「クッ………キリがない」

「せっちゃん、頑張ってや!」

疲労の色が見え始めている刹那に、激励を飛ばすこのか。

「分かっています! でやあぁぁぁーーーーーっ!!」

自らを鼓舞するように、刹那は声を挙げて、接近したアシュラに斬り掛かる。

しかし………その刃は、アシュラの左肩口から食い込んで、途中で停まってしまう。

「!! しまった!!」

慌てて刃を引き抜こうとするが、アシュラが左手でそれを押さえ、動きを封じる。

そして、右手のスマートガンを突き付けた!!

「!!」

「キャアァァァーーーーッ!!」

2人は、死を覚悟した!!

が、その時!!

突如、アシュラの後ろの何も無い空から、巨大なハサミのような物が出現し、アシュラの腰間接を挟み込んだ!!

「「えっ!!」」

鋏まれた所からスパークを発しながら悶えるアシュラ。

「危なかったね、桜咲ちゃん、このかちゃん」

[MCS、解除するよ]

と言う声と共に、何も無い空からシャドウレイヴンが現れた。

「!! シュルトさん!!」

「ゼオくん! ありがとう!!」

「離れて!」

ゼオに言われたとおりに、Gウイングは長刀を引き抜いて、アシュラから離れる。

「よし! うおおぉぉぉぉーーーーーーっ!!」

それを確認すると、シャドウレイヴンはアシュラを右腕に装備した超硬度斬鋏盾『キャンサークロー』で鋏んだまま頭上に持ち上げた。

「量産機とは違うんだよ!! 量産機とは!!」

そう言ってパワーを上げると、アシュラは腰間接を分断され、真っ二つとなった。

「凄い! 流石ゼオくん!」

「まだ敵は残ってるよ、このかちゃん」

他の敵機が、2機を取り囲むように展開する。

「ゼオくん! 後ろお願い!!」

「了解!!」

シャドウレイヴンとGウイングは、背中合わせに構えを取る。

「せっちゃん! 後ろはゼオくんがフォローしてくれるから、前だけ考えてればええで!!」

「分かりました、お嬢様!」

このかにそう答えると、刹那は一瞬、要塞島に目をやる。

(シリウスさん………貴方も頑張ってくださいよ)

そして、心の中でそう思うのだった。





その頃、ビリーブでは………

「バーバリアン! 1番、2番、撃てえぇぇぇーーーーっ!!」

「対空迎撃!! もっと弾幕を張って!!」

主砲、副砲の攻撃で、敵艦及びGF部隊を次々に撃墜し、近づく敵PF隊を対空対艦ミサイルと対空迎撃機関砲で撃ち落としていく。

[こちら機関室のハカセです!! 機関の温度上昇!! 冷却システムを20%引き上げます!!]

[格納庫、那波です!! 第2ジムサラマンダー隊が補給に帰艦して来ます! 格納庫を開けてください!!]

そして、脱出艇をビリーブに回収されたガイアセイバーズ・バハムートクルーも、各所で手伝いに走っている。

「了解!! 朝倉さん! 左舷格納庫ハッチを開いてください!!」

「了解!! 左舷格納庫ハッチ、オープン!!」

バハムート・オペレーター組も、予備オペレーター席に着いて、オペレートを行なっている。

開いた左舷格納庫ハッチから次々に帰艦してくるジムサラマンダー部隊。

と、その時!!

対空迎撃網を抜けた1機のカルラが、左舷格納庫に接近した!!

「ああ!! 左舷格納庫にカルラが1機接近!!」

「急いで格納庫ハッチを閉じてください!!」

「ダメです!! 間に合いません!!」





ビリーブ左舷格納庫………

「急いで!! 奥へ詰めてください!!」

次々に着艦してくるジムサラマンダー部隊を奥から順にハンガーへと誘導するビリーブ、ガイアセイバーズ両整備員。

と、そこへ、激しい衝撃が格納庫全体に走った!!

「うわっ!!」

「キャアァァァーーーーッ!!」

「何々っ!?」

見ると、閉まりかけている格納庫ハッチの間に、マニュピレーターを突っ込んで、ハッチを抉じ開けようとしていた。

「なっ!! 敵に取り付かれた!?」

「ヤロウッ!!」

「よせっ!! こんなところで撃ったら整備員達が危険だ!!」

1機のジムサラマンダーがビームライフルを向けるが、隊長機に制される。

「退避!! 全員、退避ーーーーっ!!」

慌てて全整備員達が退避していく。

しかし………

「キャッ!!」

夏美が転んでしまい、取り残される。

「!! 夏美!!」

「ダメです、危険です!!」

千鶴が慌てて戻ろうとしたが、ガーディアンエルフの整備員に制される。

「でも、夏美が!!」

と、その横を擦り抜けて、1人の人物が夏美へと駆け寄った。

〈しっかり! 掴まって!〉

「!! さっちゃん!!」

四葉 五月だった。

「危ないぞ! 戻れーーーっ!!」

ガーディアンエルフの整備員の声を無視するように、夏美を助け起こす五月。

だが、その瞬間………

遂にカルラは、ハッチから腕を差し入れ、マシンガンの銃口を2人へと向けた。

〈!!〉

「キャアァァァーーーーッ!!」

無駄だと思いながらも、夏美を守るようにカルラに背を向ける五月。

カルラの指が、マシンガンの引き金に掛けられる。

と、次の瞬間!!

何処からとも無く、鎖が伸びてきて、カルラを雁字搦めにした!!

「「「「「「えっ!!」」」」」」

そして、鎖が引っ張られ、カルラはビリーブから引き離されたかと思うと、鎖に千切り潰された!!

「い、今のは………」

「分からん! しかし、今は補給が先だ!! 作業に移れ!!」

ビリーブ整備班長の号令と共に、全員が帰艦したジムサラマンダー部隊の補給へと戻って行く。

〈ありがとう………ハクヤさん〉

そんな中、五月は助けてくれた人物へお礼を呟くのだった。





「フン………手間取らせやがって」

ビリーブの近くに陣取っていたシロヤシャのコックピット内で呟くハクヤだった。

[ハクヤ少尉………私は少尉が今のような行動を取ってくれたことを嬉しく思います]

「煩い!! そんなことより、レーダー、センサーに気を配れ!!」

[了解!!]

ハクヤは、敵軍を見据える。

「来い………悪いが、この喧嘩………絶対に負けられんのでな!!」

そう言うと、敵軍へと突撃していくシロヤシャ。

………漢は、『勝つため』ではなく『負けないため』に戦うのだ!!











再び要塞島内………

上に続く通路を登り続ける機龍、ネギ、小太郎の3人。

「どこまで続くんや、この通路は?」

「もう10分近くは登ってますよ?」

ネギと小太郎が、怪訝な声を挙げる。

「いや、何か見えてきたぞ!」

機龍が言ったとおり、通路の先に光が見え初めていた。

その光の中へと入ると、再びドーム状に広がった空間が現れ、通ってきた通路の出口がシャッターで閉められた。

先ほどエンがいた空間と同じように、上部に上に続くと思われる通路の入り口があった。

「また誰かが待ち伏せしているんじゃないだろうな?」

「よう気づきましたな〜、隊長はん」

機龍が皮肉るように言うと、千草のロキが現れた。

「何だ、お前か。天ヶ崎 千草」

「そんな口が敲けるのも今の内どすえ」

「やめておけ。お前じゃ、俺達の相手にはならん」

「………これを見ても、そう言えまっか?」

千草がそう言うと、突然、ロキが怪しげな光を放ち始める。

「!! 何っ!?」

「コレは!?」

「何やっ!?」

やがて光が収まると、そこにいたのは………

「なっ!?」

「そんな………」

「リョウメン………スクナノカミだと!?」

そう………そこにいたのは、かつて、京都にて撃破した筈のリョウメンスクナノカミだった。

ただ、以前と違うのは、京都で戦った時に与えた損傷の部分を機械に置き換えていた。

「どうや!! これぞ、ウチの呪術とヴァリムの科学力の結晶!! サイボーグ・スクナノカミや!!」

そして、その頭部には、千草のロキが填め込まれていた。

「チッ!! 厄介な物を造りやがって!!」

「死ねやあぁぁぁーーーーーっ!! 神薙 機龍ーーーーーーっ!!」

千草の叫びと共に、サイボーグ・スクナの4本の腕が、ゴッドJフェニックスに迫る。

「クッ!!」

零式斬魔刀(二刀形態)を抜き、迎え撃とうとするゴッドJフェニックス。

しかし………

「えいやあぁぁぁーーーーっ!!」

「どりゃあぁぁぁーーーーっ!!」

GウィザードとGウルフが、その腕を押さえ込んだ!!

「何やてっ!?」

「ネギ!? 小太郎!?」

驚く千草と機龍。

「機龍さん! 行ってください!!」

「アンタは龍宮の姉ちゃんを助けなアカンのやろ!!」

「ええいっ!! 放さんか、クソガキ共!!」

2人を引き離そうと腕を振り回すサイボーグ・スクナ。

「しかし! お前達は!?」

「僕達を見縊らないで下さい!!」

「こんな奴ぐらい、俺等2人で十分や!!」

「………分かった! 頼んだぞ!!」

2人を信じ、機龍は更に上へと向かった。

「ああ!! しもうた!!」

「よし! 小太郎くん!!」

「おうっ!!」

それを確認すると、GウィザードとGウルフは、サイボーグ・スクナの腕から離れ、距離を取る。

「………まあ、ええか。どうせ奴の相手は大将はんがするって言うてはりましたからな」

「機龍さんは絶対に負けない!!」

「そうや!! そして、俺等もな!!」

2人はそう言いながら、構えを取った。

「憎ったらしい西洋魔法使いのガキに、裏切り者の小太郎め! アンタ等もウチ敵や!! 叩き潰したる!!」

「やってみいや!!」

「行きますっ!!」

2人の叫びと共に、GウィザードとGウルフは突撃した。











そして、機龍は………

上へと続く通路を、ひたすら上り続けていた。

「皆………負けないでくれよ」

自分を送ってくれて者達の身を案じながらも、真名を助けるため、機龍は進み続けた。

やがて、通路の先に、シャッターが下りているのを見つける。

「チィッ!! ボルテック………キャノォォォォォーーーーーンッ!!」

ボルテックキャノンでシャッターを破壊し、またも広い空間へと躍り出るゴッドJフェニックス。

しかし………その空間は、エンや千草がいた空間の数十倍の広さを誇っていた。

「何だ? やけに広い空間に出たな?」

機龍は、辺りを警戒しながら、ゴッドJフェニックスを床に着陸させる。

「フフフ………貴方の死に場所を見た気分は如何ですかな?」

と、そこへ、不意に声が響いてきた。

「!! その声は………フラットエイト!!」

「まったく………私の作戦をここまで邪魔されたのは初めてですよ、神薙 機龍くん」

「貴様、どこにいる!? 大人しく真名を返して、投降しろ!! さもなくば………」

「さもなくば?」

「アルサレア帝国の名に於いて………お前を討伐する!!」

「ほぉーう。さしずめ君は囚われのお姫さまを救いに来た王子様。そして私は、それを邪魔する悪い魔法使い………か」

皮肉めいた台詞を吐くフラットエイト。

「ならば………精々物語を盛り上げさせてもらおうか!!」

フラットエイトの叫びが木霊した瞬間、激しい振動が空間内に走った。

「おおおっ!? 何だ!?」

そして、次の瞬間!!

床が開き、全長600メートル以上は有ろうかという超巨大人型兵器が現れた。

「これは!? オーガル・ディラム!?」

そう………それは、かつてアルサレア戦役で、グレンリーダーに撃破された超巨大可変空中空母、オーガル・ディラム(GF形態)だった。

しかも、以前グレンリーダーに撃破されたモノは未完成で、動くことさえままならなかったが、今回のは完成しているようで自在に動いている。

「覚悟は良いですか? セイバーリーダー」

その頭部から、フラットエイトの声が響いてくる。

「それはこっちの台詞だ!! 行くぞぉ!!」

機龍は、臆することなく、オーガル・ディラムに向かって行った。










それぞれの思いを胸に、今、本当の決戦は始まった………










NEXT


前へ 戻る 次へ