第82話


バトルフィールド、エンVSジン・サクラ………

ガキィン! ガキィン! という金属音がドーム状の空間に木霊する。

Jブレイダーと漆黒鬼が、超スピードで飛びまわりながら、ハイパーバスターブレードと黒炎で斬り結んでいた!!

時折、Jランチャー・サクラスペシャルが援護射撃を入れるが、依然として漆黒鬼に損傷は与えられなかった。

対するJブレイダーとJランチャー・サクラスペシャルには、細かなダメージが所々に蓄積されていた。

「どうした? まだ私に一撃も叩き込んでいないじゃないか?」

「クッ!!」

Jブレイダーは、漆黒鬼へと突撃した!

ハイパーバスターブレードが黒炎と切り結ぶと、重量を掛けて押し合いに持ち込む。

「無駄だ………」

しかし、漆黒鬼は、あっさりとJブレイダーを弾き飛ばす。

「グワッ!!」

[漆黒鬼のパワーが以前より増しています!!]

ミスティが警告を発する。

「ジン!! えーーーーいっ!!」

サクラが掛け声と共に、Jランチャー・サクラスペシャルが、両肩の8連式ミサイルポットと両足の6連式マイクロミサイルポットを発射した。

「フン………」

しかし、漆黒鬼が振った右手から放たれた黒い炎によって、着弾前に爆発させられてしまう。

「あ〜〜ん、もう!! また!?」

[8連式ミサイルポット、6連式マイクロミサイルポット、残弾数0!! パージします!!]

弾がなくなってしまったミサイルポットをパージするラン。

「小賢しい………」

漆黒鬼が、片翼に包まれたかと思うと、黒い羽根を撒き散らしながら、その場から消えた。

「!? 消えた!?」

と、サクラが思った瞬間!!

突然! 漆黒鬼は、Jランチャー・サクラスペシャルの前に出現し、黒炎を振り下ろした!!

「ッ!!」

咄嗟に、シールド付き2連ビームガトリング砲のシールド部分で防ごうとしたが………

黒炎は、そのシールドごと、Jランチャー・サクラスペシャルの左腕を切断した!!

「キャアァァァーーーーーッ!!」

残っていた弾薬に火が点き、その爆風で吹き飛ばされるJランチャー・サクラスペシャル。

桜色の装甲が、所々黒く汚れる。

「!! サクラ!! コイツゥゥゥーーーーーーッ!!」

それを見たジンは、激昂しながら漆黒鬼に斬り掛かる!!

「ほう………成程」

その斬撃を捌きながら、エンは何かを感じたように言う。

「あの娘は、お前の大切なものか………」

「何っ!?」

「ならば………それを奪う喜びをくれないか?」

「!! 貴様ッ!!」

「………幻影剣………」

漆黒鬼は、無数の幻影剣を、まだ体勢の整え直しきれていないJランチャー・サクラスペシャルへ向かって飛ばした。

「!! ランくん!!」

[ダメです!! 回避できません!!]

「!! クッ!!」

Jブレイダーは漆黒鬼から離れると、全速で飛び、防御姿勢を取りながら、幻影剣とJランチャー・サクラスペシャルの間に割り込んだ!!

幻影剣が次々に、Jブレイダーに直撃する。

「ぐうぅぅぅーーーーーっ!!」

「!! ジン!!」

それでも、決して膝を着かないJブレイダー。

「………ミスティ! ウイングカッター発射!!」

[Yes、マスター]

反撃とばかりに、Jブレイダーのウイングがバラけ、鋭利な刃物となって漆黒鬼に向かって飛ぶ。

「………無駄だ」

しかし、漆黒鬼は黒炎を回転させ、全て砕き落としてしまう。

「ジン!! 退いて!!」

[マキシマムシュートッ!!]

と、サクラの声がして、Jブレイダーが離脱すると、後ろにいたJランチャー・サクラスペシャルが、ツインバスターランチャーをフルパワーで放った!!

「ぬうっ!………」

光の波に飲まれる漆黒鬼。

「まだまだーーーーーっ!!」

しかし、なおもJランチャー・サクラスペシャルは、ツインバスターランチャーをフルパワーで放射し続ける!!

段々とツインバスターランチャーは赤熱化していく。

[ツインバスターランチャー、オーバーヒート!! 緊急パージ!!]

あわや爆発寸前のところで、危機一髪、ランがツインバスターランチャーをパージした!

パージすると同時に爆発するツインバスターランチャー。

さらに、漆黒鬼がいた地点からも爆発が起こる。

「キャアァァァーーーーッ!!」

爆風に吹き飛ばされるJランチャー・サクラスペシャル。

「サクラッ!!」

それをJブレイダーが受け止める。

「イタタ………ありがとう、ジン」

ジンに礼を言いながら、Jランチャー・サクラスペシャルの体勢を立て直すサクラ。

相変わらず、漆黒鬼がいた地点からは、炎と共に、黒煙が上っていた。

「………やったの?」

「だと良いんだがな………」

2人が、警戒しながら話していると………

黒煙の中から、2つのカメラアイの光が出現した!!

「!!」

「クッ!! やはりまだか!?」

[敵機健在です、マスター!!]

やがて、ガシャンッ、ガシャンッと音を立てながら漆黒鬼が、黒煙の中からゆっくりと姿を見せた。

流石に無傷というわけではなく、装甲が所々融解を起こしていた。

「今のは、ちょっと効いたぞ………だが、それで終りのようだな」

嘲笑うかのように言うエン。

「そんな………今のもダメなんて………」

[ごめんなさい、サクラさん。今の一撃で、僕のエネルギーも残り少なくなってしまいました]

[ジンマスター。私の損傷も、もう無視できるレベルではなくなってきました]

「分かっている………」

形勢は、ジン達にとって極めて不利だった………

「………お前達への贈り物を考えていた」

エンは、ジン達に向かって静か………無慈悲に言う。

「絶望を送ろうか?」

そう言うと、黒炎を片手で振りかぶる。

「跪き、許しを請う姿を見せてくれ………ハッ!!」

そして、振り下ろすと、衝撃波が発生し、ジン達に真っ直ぐ向かってくる!!

「クッ!! でやぁぁぁーーーーーっ!!」

それに対して、Jブレイダーもハイパーバスターブレードを振り下ろし、衝撃波は起こして相殺する!!

衝撃波同士がぶつかり合って、激しい暴風が巻き起こる。

と、それが納まらぬ内に、突っ込んで来た漆黒鬼が、Jブレイダーを斬り付けた!!

「のあっ!!」

ハイパーバスターブレードで防御したものの、衝撃を殺しきれず、Jブレイダーは後ろの壁まで吹き飛ばされた!!

「ジン!! この………キャアァァァーーーーッ!!」

反撃を喰らわせようとしたJランチャー・サクラスペシャルも、キックを受けて、Jブレイダーのところまで弾き飛ばされた!!

「………では、トドメを刺させてもらおうか?」

黒炎の切っ先をJブレイダーとJランチャー・サクラスペシャルに向ける漆黒鬼。

「クソッ!!………ここまでなのか………」

「………ジン。私に考えがあるんだけど」

「えっ!?」

珍しく弱気な言葉を呟いたジンに、サクラが話しかけた。





「………というのどう?」

「馬鹿な!? 危険過ぎる!!」

サクラから告げられた作戦内容に、驚愕するジン。

「下手をしたらお前が………」

「ジン!!」

サクラは、通信モニター越しにジンを見つめる。

「私を………信じて」

「………分かった」

ジンはそう言うと、Jブレイダーを立ち上がらせる。

「………最後の語らいは済んだか?」

ご丁寧に、話し合いが終わるまで待っていてくれたエン。

「…………」

ジンは、無言でJブレイダーに構えを取り直させる。

「安心しろ………2人纏めて殺してやる………他の連中も後から送ってやる………寂しくはないぞ」

「俺は………サクラも………仲間達も………そしてこの地も………この星も………大切だ! 絶対に守ってみせる!!」

「フッ………守れもしないくせに………そんなに大切なものを持ってどうするつもりだ?」

「………哀れだな………やっぱりアンタは何も分かっちゃいない」

嘲笑するエンに反論するジン。

「大切じゃないものなんて………何もない!!」

ジンがそう叫ぶと、Jブレイダーが金色のオーラに包まれる。

「ぬうっ!?………」

[ハイパーモード! 発動開始!!]

「必殺!! 刀気乱舞!!」

Jブレイダーの切り札、『刀気乱舞』が発動した!!

超スピードで、漆黒鬼へと突撃するJブレイダー。

「無駄だと言ったはずだ………」

だが、漆黒鬼はすぐさま反応し迎え撃つ体勢を取る。

そこへ!!

「行っけえぇぇぇーーーーーーっ!!」

Jランチャー・サクラスペシャルが、残った展開式電磁レールキャノンで、援護射撃を掛けた。

弾丸が床に着弾し爆煙を立て、漆黒鬼とJブレイダーを包み込む。

「何っ!?………」

エンが驚いた瞬間!!

爆煙が揺らめき、Jブレイダーが姿を見せたかと思ったら、ハイパーバスターブレードで漆黒鬼を斬り付けた!!

「のおぉっ!!」

そして、再び爆煙の中に消えたかと思うと、別の方向から現れ、またもハイパーバスターブレードで漆黒鬼を斬り付けた!!

「ぐあっ!!」

さらにそのまま3撃、4撃、5撃と連続で斬り付ける!!

「おのれっ!! 好い気になるな!!」

エンは、そう叫ぶと、全神経を集中させる。

「………!! そこか!!」

そして、漆黒鬼の後ろの爆煙が微かに揺らいだところへ、振り向きながら突きを放った。

そして、黒炎は、爆煙の中に影の見える機体の右肩に突き刺さった!

爆煙の中に影の見える機体のハイパーバスターブレードを持った右腕が、力なく降ろされる………

「フ、フフフ………残念だったな、我が不出来なる弟よ」

勝ち誇るように笑うエン。

しかし………

「………残念だったのは、アナタよ! エン!!」

「!? 何だと!?」

エンは、聞こえてきた声に驚愕した。

爆煙の中から現れた、黒炎を右肩に突き刺した機体は、ハイパーバスターブレードを持った桜色のカラーリングのPF………Jランチャー・サクラスペシャルだった!!

「!! 馬鹿な!! では、ジンは何処に!?」

その時、エンは、ハイパーバスターブレードの一部が、欠けている事に気づく。

「本物のジンは………」

「コッチだあぁぁぁーーーーーーーっ!!」

その瞬間!!

雄叫びと共に、漆黒鬼の後ろから、ハイパーバスターブレードの一部を持ったJブレイダーが突撃してきた。

「!! しまっ………」

「これで終りだあぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

そして、Jブレイダーが繰り出した突きによって、ハイパーバスターブレードの一部は、漆黒鬼の背中………脱出ポット射出口に突き刺さった!!

「!! ぐわあぁぁぁぁーーーーーっ!!」

その一撃は、コックピットにまで到達し、エンの背中に、ハイパーバスターブレードの先端が深く突き刺さった!!

しかし、最後の力を振り絞るように、JブレイダーとJランチャー・サクラスペシャルを弾き飛ばした!!

「うわっ!!」

「キャアッ!!」

2機を弾き飛ばすと、漆黒鬼の背中から爆発が起こり、ハイパーバスターブレードの一部が抜け落ちる。

それでも膝を着かず、黒炎を杖代わりにして立ち続ける漆黒鬼。

それと、同時に、要塞島にも激しい振動が走り、バトルフィールドの彼方此方でも爆発が巻き起こる!!

「!! アーノルド大佐達が動力炉の破壊に成功したのか!?」

と、ジンが言った時、天井部分でも爆発が起こり、炎に包まれた瓦礫が漆黒鬼を囲むように落ちてきた。

「キャアッ!!」

「ぐっ!!」

「………強くなったな、ジン」

その時、エンがこれまでにない穏やかな口調で、話しかけてきた。

「!! エン………兄さん!!」

「どうやら、また俺の負けのようだ………俺は自分の為の力を得たが、お前の他人の為に得た力には適わなかったようだ………」

漆黒鬼の周りに燃える炎が、一層激しくなる。

「!! 兄さ………」

「さらばだ、ジン………我が優秀なる弟よ」

Jブレイダーが、軋む機体を奮い立たせ、漆黒鬼へと手を伸ばしながら飛ぶ。

しかし、漆黒鬼は、その手を黒炎で斬り付けて弾き飛ばした。

その次の瞬間!!

漆黒鬼がいた場所から爆発が巻き起こり、漆黒鬼は炎の中に消えた………

「に、兄さん………兄さあぁぁーーーーーーーんっ!!………う、ううぅ………」

ジンの叫びが木霊した後、微かな嗚咽が通信機越しに聞こえてきた。

「ジン………」

サクラは、ジンの気持ちを察し、敢えて黙っていた。

だが、爆発は2人に悲しみにくれる暇も与えず、次々に巻き起こっていく。

「………脱出するよ、ジン」

「………ああ」

2人は、短く言い合い、脱出していくのだった………











バトルフィールド、千草(サイボーグ・スクナ)VSネギ・小太郎………

「喰らいなはれっ!!」

千草がそう言うと、サイボーグ・スクナのサイボーグ化された腹部から、無数のミサイルが発射された。

「闇夜を切り裂く 一条の光!! 我が手に宿りて 敵を喰らえ!! 白き雷!!!」

それをネギのGウィザードが、白き雷で薙ぎ払う。

「スラッシュブゥゥゥーーーーーーーメランッ!!」

そこに続いて、小太郎のGウルフが、サイボーグ・スクナに向かってスラッシュブーメランを投げつける。

「無駄やっ!!」

しかし、それは、サイボーグ・スクナのサイボーク化された腕によって弾かれ、Gウルフの手元に戻る。

「チッ!! やっぱ、サイボーグ化してるだけあって堅いわっ!!」

「御返しや! 受け取りなはれっ!!」

今度は、サイボーグ・スクナのサイボーク化された頭部の前側の口が開き、レーザー発射口が出現したかと思うと、そこから光が発射される。

「おっと!!」

「危ないっ!!」

上に飛んでかわす2機。

「ハアァァァーーーーーーッ!! 桜華槍衝っ!!」

「でりゃあぁぁぁーーーーーーッ!! ギア・ドリル!!」

そして、左右に分かれ、2方向から同時に攻撃を仕掛ける!!

しかし………

「甘いっ!!」

何と!!

サイボーグ化された右の下の手がチェンソー、左の上の手がトゲ付き鉄球、下の手が巨大なドリルに変形した!!

「兄貴! 危ねー!!」

カモが叫ぶ。

「えっ!?」

「何やてっ!?」

しかし、間に合わず、チェンソーによってGウィザードのマジックスティックが真っ二つにされ、巨大なドリルによってGウルフのギア・ドリルが砕かれた!!

「何やソレは? 攻撃ってのはこうやるんどすわ!!」

さらに反撃に、トゲ付き鉄球を叩き込まれ、弾き飛ばされる2機。

「うわあぁぁぁーーーーーーっ!!」

「ぐわあぁぁぁーーーーーーっ!!」

床を転がるGウィザードと、壁に叩き付けられるGウルフ。

「な、何て奴や………」

「あんな装備があるなんて………」

「どうや? ウチの力を思い知ったか? 糞餓鬼共」

勝ち誇ったように言う千草。

「へっ!! 冗談を!!」

「例えどんなに強い敵でも、僕は負けません!!」

しかし、2人は諦めずに、機体を立て直す。

「うおぉぉぉーーーーーーーっ!! 闘魂!! 絶唱!!」

Gウィザードが、真っ二つになってしまったマジックスティックを切断面を上にして持つと、ネギが叫んだ!!

すると、マジックスティックを切断面から、炎が吹き上がり、それはやがて三又に分かれた槍を模った!!

「ハンマァァァーーーーー、コネクトォォォーーーーーッ!!」

Gウルフも、右手をマニュピレーターに戻し、メテオハンマーを転送する。

「火焔車ぁぁぁーーーーーーっ!!」

「無に帰せえぇぇぇーーーーーーっ!!」

激しく回転して炎の竜巻となって突撃するGウィザードと、メテオハンマーを上から振り下ろすGウルフ。

「ぬうっ!!」

障壁を展開して防ぐサイボーグ・スクナ。

「うわあぁぁぁーーーーーーーっ!!」

「うおおぉぉぉーーーーーーーっ!!」

しかし、2人は攻撃を継続し、障壁を削っていく。

遂に! 2人の攻撃は、障壁を突き破り、サイボーグ・スクナ本体へと到達した。

「ぬおおっ!!」

火焔車がサイボーグ・スクナの身体の生身の部分にダメージを与えていき、メテオハンマーが同じく生身の右の上の手を分子分解していく。

「ぐあぁぁぁーーーーっ!! 舐めるなぁぁぁーーーーーっ!!」

だが、サイボーグ・スクナは、Gウィザードに前の顔の口からレーザーを、Gウルフに後ろの顔の口から溶解液を浴びせた。

「ぐふっ!!」

「があぁぁぁーーーーっ!!」

またも弾き飛ばされる2機。

Gウィザードの方は咄嗟に障壁を張って防いだが、Gウルフはまともに溶解液を浴びてしまい、メテオハンマーが完全に溶かされ、ボディの装甲も所々融解していた。

「ぐううっ………小太郎くん、大丈夫?」

「あ、ああ………何とかな」

「こっちの損傷もやばいぜ、兄貴」

カモが機体の状態を調べながら言う。

「小賢しい真似しおってからに………もう許さへんで!!」

サイボーグ・スクナの前の顔の口から、再びレーザーが放たれる!!

「うわっ!!」

「クッ!!」

左右に分かれてかわす2機。

「そこやっ!!」

と、その瞬間を狙って、サイボーグ・スクナの左の上の手のトゲ付き鉄球が射出され、腕に鎖で繋がったまま、後部からブースターの火を上げながらGウィザード目掛けて飛んできた!!

「!! ネギ!! 危ない!!」

「兄貴!! 避けろーーーっ!!」

「えっ!!………」

避ける間もなく、Gウィザードは鉄球によって、床に押し潰された………

「ネギィィィーーーーーっ!!」

「まずは1匹………ってとこかいな」

鎖を引き戻して鉄球を回収するサイボーグ・スクナ。

その後の、球形にへこんだ床の中心に、Gウィザードが大の字に埋没していた。

各所からスパークが走っている。

「ネギ!! しっかりしろ! オイ!!」

Gウルフが慌てて駆け寄ってきて、Gウィザードを掘り起こす。

「…………」

しかし、ネギは夥しい量の血を流しながら、ぐったりとシートに項垂れていた。

「ハーハッハッハッハッハ!! いい様やな〜、サウザンドマスターの息子が」

「チキショウッ!! 敵は取ってやるで!! うおぉぉぉーーーーーっ!!」

Gウルフは、溶けかけたスラッシュブーメランを手に持って、サイボーグ・スクナに突撃した。

「次はお前や。裏切り者!!」

サイボーグ・スクナは、全武装でGウルフを迎え撃つ。

「オイ、兄貴! 兄貴!! しっかりしてくれ!!」

カモが必死でネギに呼び掛ける。

「………の………ど………か………さ………ん………」

そんな中、ネギは最愛の人の名を、息も絶え絶えながら呟いた。











バハムート・ブリッジ………

「!!………ネギせんせー?」

「のどか!? ネギ先生がどうしたですか!?」

突然、愛する人の名を呟いたのどかに、尋ねる夕映。

「今………ネギ先生に呼ばれたような………!! まさか!?」

のどかの頭の中に、最悪の事態が過ぎる。

(ううん!! そんなことないよね、ネギせんせーは帰ってくるって約束してくれたもの………でも、ひょっとしたら………)

ネギを信じながらも、不安が隠せないのどか。

ふと、ブリッジの窓の端に、世界樹の姿を見つける。

「…………」

それを見たのどかは、以前、ハルナが話していた噂を思い出した。











のどかの回想………

「ねえねえ、のどか。ネギくんとの仲は順調?」

図書館島で、図書の整理をしているのどかに尋ねるハルナ。

「!! う、うん………この間、またデート行ったんだよ」

それに顔を赤くしながらも答えるのどか。

「へえ〜〜、良い感じじゃん。どう? ここは1つ、世界樹の神様に、これからも仲が続くようにお願いしたら?」

「世界樹の神様?」

のどかは、聞き慣れない言葉に、首を傾げる。

「小耳に挟んだ噂なんだけどね、世界樹には実は神様が住んでて、純粋な願い事なら何でも叶えてくれるんだって」

「へえ〜〜」











回想が終り、現実へと意識を戻すのどか。

「…………うん!」

そして、世界樹の方に向かって手を組むと、目を閉じて、一心不乱に願い始めた。

(世界樹の神様………もし居られるのでしたら、お願いです!! ネギ先生を助けてください!! 一生のお願いです!!)

すると………

突如! 世界樹が淡い光を発し始めた!!

「えっ!?」

「な、何っ!!」

これには、のどかだけでなく、ブリッジにいた全員が驚きの声を挙げた。

「状況を確認してください!!」

そんな中、アキナは冷静に指示を飛ばす。

「「「「「「は、ハイ!!」」」」」」

それを聞いて、ブラウニーとオペレーター組は、慌てて解析に入る。

「分かったぞ! 魔力だ!! 途轍もない魔力が、世界樹から溢れ出してるんだ!!」

千雨が叫ぶように報告した。

「魔力が!?」

アキナが驚いた瞬間!!

世界樹から一条の光が発射され、要塞島の内部へと入っていった。

「な、何が起こってるの!?」

(まさか!? 世界樹の神様!?)











バトルフィールド、千草(サイボーグ・スクナ)VSネギ・小太郎………

「ぐわあぁぁぁーーーーーーっ!!」

スラッシュブーメランごと左腕をチェンソーで切断され、床に転がるGウルフ。

「ハア………ハア………手子摺らせおってからに………」

しかし、サイボーグ・スクナも無傷というわけではなく、左の下の手のドリルが破壊され、前側の顔の2本角の片方も、切り落とされていた。

「クソォ………」

機体を起き上がらせようとする小太郎だが、Gウルフはスパークを発しながら、鈍く動くだけだった。

「どうやらそこまでのようやな、小太郎………元仲間の好みや。一撃で殺してやるわ」

前側の顔の口が開き、レーザー発射口にエネルギーが集まる。

「ぐう………アカンか………」

小太郎が諦めかけたその時!!

突如!! Gウィザードが横たわっていた床から、淡く輝く一条の光の柱が立ち上がり、Gウィザードを包み込んだ!!

「な、何やっ!?」

「どないしたんや!?」











Gウィザードのコックピット内………

「な、何が起こってるんだ!?」

カモは、真っ白になっているモニターに目をやりながら、状況の確認を急ぐカモ。

「カモくん………心配ないよ」

「!! あ、兄貴!!」

後ろから声を掛けられて、驚きの声を挙げるカモ。

何故なら、そこには、先ほどまでの重症が嘘であるかのように、ケロッとしているネギの姿があった。

「い、一体どうやって!?」

「のどかさんが、助けてくれたんだよ………」

「宮崎の嬢ちゃんが? そうりゃ一体どういう………」

「それよりも今は………目の前の敵を!!」











バトルフィールド、千草(サイボーグ・スクナ)VSネギ・小太郎………

「クッ!! 一体何が起こってるんや!!」

「ネギ!! オイ、ネギ!! 返事せい!!」

千草と小太郎は、謎の現象に戸惑っている。

やがて、光は収まり、修復されたGウィザードが姿を見せた。

「ネギ!!」

「ハン………なんや、妙な手品つこうたみたいやけど、またやられるだけでっせ!!」

千草がそう言った時………

「ハアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!」

ネギが気合の雄叫びを挙げた!!

「うおっ!!」

「こ、今度は何やっ!?」

その気迫に押される小太郎と千草。

そして、次の瞬間!!

Gウィザードが、金色に輝きだした!!

「な、何っ!?」

「アレは!?」

「ハアッ!! フンッ!! デイッ!! トアッ!! デリャァァァーーーーーッ!! Gウィザード!! スーパーモード!!」

Gウィザードは、拳法の型のように拳と蹴りを2、3発ずつ繰り出し、ポーズを取った。

「スーパー?」

「モード?」

思わずボケッとする小太郎と千草。

「行くぞっ!!」

そんな千草のサイボーグ・スクナに、Gウィザードは突撃した!!

「!! うぬっ!! 生意気な!!」

サイボーグ・スクナは、チャージしていたレーザーを、Gウィザード目掛けて発射した!!

しかし!!

「僕のこの手が真っ赤に燃える!! 勝利を掴めと轟き叫ぶ!!」

Gウィザードの右手が赤く発熱し始める!!

「ばぁぁぁくねつぅ!! ゴッドッ!! フィンガァァァァァァァァァァァ!!!」

その右手を前に突き出すと、レーザーを切り裂いて突き進む!!

「な、何ぃぃぃぃーーーーーーっ!!」

そして、レーザーの中を突っ切ると、サイボーグ・スクナの頭部に填め込まれたロキの腹部に突き刺さり、動力炉を鷲掴みにした!!

「ヒィィィーーーーートッ!! エンドォォォーーーーーッ!!」

叫びと共に、ロキの動力炉を握りつぶした!!

「ギヤアァァァァーーーーーーーッ!!」

千草の叫びが木霊して、爆散するロキ。

グガアァァァーーーーーッ!!

主を失ったサイボーグ・スクナが、狂ったように暴れる。

そこへ!!

「ネギばっかりにええ格好させんで!! レオキィィィーーーーーックッ!!」

Gウルフが、上方から急激な速度で降下しながら飛び蹴りを繰り出す!!

あまりの速度に、突き出した右足から大気との摩擦で炎が巻き起こり、宛ら隕石の落下を思わせる。

「エイヤァァァーーーーーーーッ!!」

その凄まじい蹴りは、サイボーグ・スクナの身体に、巨大な風穴を開けた!!

グガアァァァーーーーーッ!!

爆発、四散するサイボーグ・スクナ。

それと同時に、フィールドの彼方此でも小爆発が起こる。

「!! レッディーさん達が中核部の破壊に成功したんだ!!」

「急げ!! 脱出するで!!」

GウルフとGウィザードは、来た道を戻り、脱出して行った。










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