ブレイブIV 地下の悪人を鎮圧する勇気



よく晴れた日、2−Bでは期末テストが近いにも関わらず、相変わらず何か企みごとにふけっていた。

「う〜む。あの憎き2−Aを潰さないと腹の虫が収まらないぜ」
「確かに前のドッチじゃ完璧に負けたからね・・・・私たち」
「言うな松田!!我らに敗北は許されないのだ!!」

仲丸は叫びながら松田に食って掛かる。すると、2−Bのドアが開き、メモ帳を持った浮気の姿があった。

「浮気、一体何をしていた?」
「いや・・・・2−Aを潰せるかもしれない情報を盗聴してきたんだよ」
「何!?それはなんなんだ浮気!!」
「・・・お前が現在保有する株の何%か貰うが、それでもか?」
「く・・・・・・いいだろう。背に腹はかえられん!!頼む」
「商談成立だな。じゃ、まずこれを見てくれ」

浮気はそう言うと、持っていたメモ帳を見せた。そこには、学園長のネギ先生への実習課題について(魔法の部分抜きで)の会話の記録があった。

「これは・・・」
「どうやらあの2−Aの実習生であるネギ・スプリングフィールドは、次の期末テストで最下位から脱出しないと、正式な教師にはなれないそうだ」
「ほぅ・・・だがこれだけでは2−Aは潰せないぞ」
「確かにな・・・だが、あの学園長をちょっと脅せば、2−A解散・・・てのも可能なはずだ」
「・・・・・おお!!その手があったか。さすが浮気!!」

そう言って笑い出す仲丸。それはネギにとって、最初の苦難が始まりであった・・・。

「はぁ・・・・先手を打っておくかな・・・」

しかし2−Bのバカどもは忘れていた。教室内には2−B鎮圧最終兵器がいる事を・・・。


「失礼します・・・・なんでしょうか学園長先生?」

ノックをして、学園長室にネギは入った。そして学園長室の奥には・・・なにやら青ざめた学園長の姿があった。

「ど、どうしたんですか学園長先生!?」
「フォフォ・・・フォ・・・ネギ君か?」
「だ、大丈夫ですか?」
「・・・・実はの・・・大変な事になりそうなんじゃ・・・」

学園長はそう言うと、一枚のファックスをネギに見せた。それを見た瞬間、ネギもまた青ざめた。

「『2−Aが最下位を脱出出来なかった場合、ネギ実習生の教師への着任を不可にするだけでなく、2−Aのクラスを解散させよ。そうしなければ、図書館島を爆破する』・・・・・なんですかこれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

ネギが驚くもの無理はなかった。自分の先生になるための課題についてを知っており、尚且つ脅迫してきているのだ。

「そうなんじゃ・・・・・さすがにこれを受け入れる訳にはいくまい。じゃが、もしこれを行わなかったら、図書館島が大変な事になる。あそこには貴重な魔法の書が置かれておるんじゃ!!」
「ええ〜〜〜〜〜〜!?ど、どうしましょう!?」
「そこでじゃ・・・・・なんとしても2−Aには最下位を脱出してほしいのじゃ!!君には図書館島の命運もかかっておるんじゃ!!頼んじゃぞ」
「ふ・・・ふえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」

ネギはプレッシャーに耐え切れなかったのか、泣きながら出て行ってしまった。

「むぅ・・・・さすがにネギ君だけに負担はかけられんの・・・・・しょうがない」

学園長は机に置かれていた電話の受話器をとると、誰かに電話を掛け始めた。すると数分後、学園長室をノックする音が鳴った。

「開いておるぞ」
「「失礼します」」

学園長が許可の声を上げると、ドアが開き二人の男女が入ってきた。女性は肩までの黒いショートカット、男性は髪が短めで、そして二人の共通点は顔が瓜二つという事だった。

「よくぞ来てくれたぞ。暁君に黄昏君」
「お呼びですか、学園長?」
「俺たちに何の用事でしょうか?」
「うむ・・・実はな・・・」

学園長はそう言うと、二人に手紙の内容を明かした。すると暁は怒り心頭、黄昏はやれやれとため息をついたのだった。

「どこの馬鹿なのよ!!図書館島爆破なんて企てるのは!!」
「姉さん落ち着いて。この文から察するに、これは中等部の2−Aに恨みを持つ者と読み取れるよ」
「って事は・・・2−Aに対して恨みがある奴らに関する情報を調べればいいって事ね」
「そういう事。それは俺の担当分野だから、姉さんは今夜辺りから夜図書館島の護衛をしてくれる?」
「そうね。分析や調査は私の担当じゃないからね」
「決まりだね。学園長、とりあえず俺は調査してみるので」
「了解したぞぃ。じゃが一つ不安があるんじゃ」

学園長はそう言うと、2−Aのバカレンジャーが今夜あたりに図書館島の地下に潜る可能性がある事を話した。

「なるほど。あの高い運動能力を持つ2−Aなら最深部への侵入は可能ね」
「って事は、最悪彼女たちの護衛もしなきゃならないって事ですよね?まいったな〜・・・俺たち二人だけじゃさすがに・・・」
「そうか・・・・困ったのぅ」

学園長が髭をいじりながら考える。しかし二人は互いに顔を見合わせると強引に納得した。

「とりあえず、出来る事をやってみます」
「ま、なんとかなると思います」

そう言うと、二人は苦笑しながら学園長室を出て行った。

「うむ・・・・しょうがない。また2−Aの二人にも援護を頼むかの・・・」


「ええ〜〜〜〜!?私たちが最下位だったらネギがクビになって私たちのクラスが解散〜〜〜〜!?」

大浴場に明日菜の声が響き渡った。

「そうなのよ!!なんだかかなり確実な噂らしいからね」
「だからネギ君あんなに落ち込んでたんか〜」

ハルナの言葉を聞き、このかは今朝のネギの青ざめた感じの表情に納得していた。

「はっきり言って、私たちが足引っ張ってるよね・・・」
「そうでござるな・・・」
「でも今から必死に勉強したところで間に合わないアルよ〜〜」

バカレンジャーの面々が唸る中、夕映が抹茶コーラを飲みながら呟く。

「・・・・とうとう、“アレ”に頼らざると得ない状況になりそうですね」

この言葉を聞いた後、バカレンジャー+3+ネギ(魔法封印状態)のメンバーが深夜の図書館島に臨む事になった。それと同時刻、真名と刹那は互いに武器の手入れをしながら図書館島近くに潜んでいた。

「さ〜て、学園長からの依頼がクラスメイトの護衛か」
「・・・このかお嬢様」
「刹那。このかを守るにしても、そんなに気を張りすぎると後が保たないぞ」
「分かってる!!だが・・・この図書館島が爆破となると・・・」
「だな。もう直ここに学園長が他に依頼した魔法生徒が来る、来たらすぐにでも作戦会議にかかるとしよう」

そう言っていると、二人のもとに風が舞い、暁が姿を見せた。

「こんにちは。君たちが学園長から頼まれた二人かな?」
「そうだ。私は龍宮真名」
「私は、桜咲刹那と申します」
「私は神風暁」

黄昏が自己紹介をした瞬間、刹那が反応した。

「・・・もしかして、貴方は神風心刃流の後継者の?」
「ええ。と言っても、弟もだけどね」

そう言うと黄昏は苦笑した。

「今、弟が地下に侵入して爆弾の調査にあたっている所よ。とりあえず私たちは2−Aの生徒が侵入したら追跡、護衛にあたる事にしましょう」

そうしてバカレンジャーたちが図書館島に入った瞬間、真名たち三人は別ルートで追跡を開始した。

「くっくっく、のこのこ入ってきたじゃねーか」
「だな。あの2−Aがここに来るってのはなんとなく予想がついたからな」
「ああ。この図書館島の地下にあるっていう魔法の本・・・・これを手に入れて闇の市場に売りつければ・・・・」
「金持ちなんてレベルじゃないわね」

図書館島に入ってきたバカレンジャーを、浮遊型の監視カメラで監視する者たちがいた。仲丸・浮気・松田である。

「今は邪魔をせず、本を手に入れたら即刻奪取して逃走。更にここを爆破すれば邪魔者は消えるのだ〜!!」
「でも仲丸。さすがに死亡とか行方不明になったらシャレにならないわよ」
「そんなもの気にするな!!大きなものを手に入れるためには大きなリスクが存在するものだ」
「それに爆破と言っても、地下と地上を繋ぐルートに仕掛けただけだ。あくまで2−Aの足止めのための爆薬だからな」

浮気はそう言ってずれたメガネを直す。

「それにもしもの時を考え、最新の護衛メカも用意してある。これなら完璧だ」

仲丸はそう言うと、笑いが止まらないというほど笑い出したのだった・・・。


それから少し時間が流れ、バカレンジャーたちは最深部の広間に出た。そこには二体の大きな巨像が二体置かれており、その奥には一冊の本が置かれていた。

「あ、あれは!?」
「ど、どうしたのよネギ?」
「あれは伝説のメルキセデクの書ですよ!!信じられません!!僕もあの本を見るのは初めてです!!」

興奮するネギを見てこれと確信したバカレンジャーたちは本へ向かって走りだした。しかし次の瞬間、明日菜たちが走っていた地面が二つに割れ、落下した。そして落下した地面には“英単語ツイスターと書かれたものが存在していた。

「ふむ・・・また学園長も何してるんだか・・・」

真名はゴーレムを演じる学園長に呆れながらその光景を見ていた。

「学園長先生・・・・お嬢様になんて事を・・・」
「まぁまぁ、落ち着きなさいよ」

刹那がツイスターであられもない姿になってるこのかを見て頭痛を起こしているのを見て、暁はなだめるのだった。

「ん、どうやら次が最後の問題のようだな」

真名がそう言うと、ゴーレムは最後の問題を出した。

「最後の問題じゃ!!DISHの日本語訳は?」
「分かった!!アレね!!」
「多分アレだよ!!」

明日菜とまき絵は頷くと、三文字の単語を押した。

「「お・さ・る!!」」

二人はそう言って押したのだが・・・最後の“る”を“ら”と押していた。

「ぐう・・・・正解じゃ・・・」
「や・・・・やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

なんと、奇跡的に全問正解という奇跡を起こしてしまったのだ。そしてゴーレムが本の入ったケースを開いた瞬間・・・・本は消えた。

「え!?」
「な、なんで!?」
「フォ・・・フォ!?」

明日菜とまき絵とゴーレムが驚く中、突如三つの影がさきほど明日菜たちがいた地面に降り立った。

「ふふふ・・・・・はっはっはっはっはっはっはっはっは!!残念だったな!!この魔法の本は、俺たち2−Bがいただいた!!」

そう、その三人とは、仲丸・浮気・松田だったのだ。

「あ、アンタたち!!何すんのよ!!」
「返すアル!!」
「ふん。苦労せずに奪い取る。これそこ策士の戦法だ!!」

仲丸はそう言ってふんぞり返った。それを聞き♯マークを浮き出すバカレンジャー。

「ち、2−Bのバカか・・・」
「お嬢様たちの苦労を・・・・よくも」
「二人とも落ち着いて。あの2−Bの事よ、あの2−Aを相手に何も用意していない訳がないわ」

暁の言葉に無理やり納得する二人。すると、仲丸は突如懐からリモコンを取り出した。そしてそれを押すと、突如地面が割れ一体の蛇を擬人化したような生物が姿を現した。

「ふははははは!!これぞ大学部の研究棟から持ち出した生物。ヘビスネークだ!!」
「まんまじゃない・・・」
「やかましい!!」

明日菜のため息に似たツッコミに仲丸が怒る。

「ふっふっふ・・・・やれ!!ヘビスネーク!!」

仲丸が指示すると、ヘビスネークは両手から赤いビームを放った。そしてそれはバカレンジャーたちの周りに落下し、火花を散らす。それにより、このか・夕映・まき絵の三人が気を失ってしまった。

「お、お嬢様!!おのれーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「ま、待ちなさいって!!」
「やれやれ」

刹那がついにブチ切れてヘビスネークに飛び掛っていくのを見て、仕方なく真名と暁も互いの武器を持って飛び出す。

「さ、桜咲さん!?それに龍宮さんまで!?」
「神楽坂さん!!このかお嬢様を連れて離れてください!!」
「下がったほうがいいぞ神楽坂。あの化け物・・・・シャレにならないぞ」

そう言うと、刹那は夕凪を構え、真名は両手に拳銃を構えた。すると、気を失わなかった楓とクーも前にでた。

「お、おのれ!!だがいざとなったら爆薬で「無駄だよ」・・・何!?」

仲丸が爆薬のリモコンを取り出すが、一陣の風が吹き黄昏が現れ、リモコンを愛刀『風雪』で切り払った。

「爆弾なら解除した・・・無駄な抵抗はやめたほうがいいよ」
「く・・・・・ま、まだまだ!!」

そう言うと、仲丸は突如懐から黒い昆虫の形状をした何かを取り出した。そしてそれを天に掲げると、突如闇に包まれ・・・・黒き鎧を持った機械戦士の姿に変わった。

「どうやら・・・・・マジで戦うしかないみたいね」
「同感・・・・姉さん、いくよ」

そう言うと、二人はそれぞれの武器を取り出した。暁は炎を宿した薙刀、黄昏は風を纏った槍を取り出した。

「ふっふっふ・・・・俺たち2−Bの力甘く見るなよ」
「そうよ!!」
「まぁ、潔く負けてくれ」

三人はそう言うと、それぞれ各々の武器を取り出し構えた。そして戦いが始まると思われた次の瞬間・・・・突如何かが飛来し、ヘビスネークを踏み台にして真名たちの前に降り立った。

「な、何者だ!?」
「・・・・・お仕置きだね。仲丸」

その言葉を聞き青ざめる仲丸。

「ま・・・まさか」
「あら、やっぱり来てたんだ」
「遅いよ、和樹」

暁の言葉を聞きギョッとする皆。そう、そこに立っていたのは、両目を蒼に染めた、式森和樹だったのだ。

「ゴメン。暁、黄昏」
「いいわ。別に来てくれただけでも十分なくらいだし」
「そうそう。2−B鎮圧最終兵器の登場だからね。どんとこいって感じだよ」
「そっか。・・・・じゃぁ、鎮圧させてみせるよ」

そう言うと、和樹は仲丸たちと対峙するのだった。


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