ブレイブXXV ヒーロー大集合な勇気(後編)



「さぁ!龍騎の力・・・・見せてやるアル!!」

龍騎は左腕に装備された【ドラグバイザー】を開くと、ベルトから一枚のカードを引き抜き、バイザーに差し込んだ。

【ソードベント】

機械音が響くと、無双龍の尾から刃が零れ落ち、龍騎の手に収まる。

「青龍刀アルか・・・・ばっちしアル!!」

龍騎は軽くドラグセイバーを振ると、そのままフェイトめがけて駆け出した。

「単純だね・・・」

真っ直ぐに突っ込んでくる龍騎を見たフェイトは、水曜陣を発動させた。そしてそれを、龍騎めがけて放つ。

「舐めないでもらいたいアルな!!」

しかし、そんなフェイトの攻撃を青龍刀で一閃していく。その姿は、まるで演舞としかいえないほど、華麗な動きだった。

「な・・・・!?」
「喰らうアル!!」

一気に近距離まで近づいた龍騎は、瞬間的にデッキからカードを引き抜き、バイザーに差し込んだ。

【ストライクベント】

機械音と共に、無双龍の頭が拳に装着される。そのまま、龍騎は足を地面に強く踏み込ませ、崩拳の体勢に入る。そのあまりの踏み込みに、地面が砕け・・・・・拳が爆ぜた。


「炎龍崩拳波!!」


ドラグクローの口から灼熱の炎が爆ぜ、フェイトの腹部に喰らいついた・・・。


「行くぞ、トォ!!」

スピルバンと化した黄昏は建物から飛び降り、その体勢から巨大戦闘員に蹴りを叩き込む。それにより、反動でバランスを崩し、戦闘員は後ろに倒れてしまった。

「姉さん!!その奥にいる子を!!」
「任せなさい!!」

暁は建物の奥に寝かされていた少女を抱きかかえると、素早くその場を離れた。それを確認したスピルバンは、再び戦闘員と対峙する。

「ギギギ!!」
「お前の悪事・・・許すわけにはいかない!!」

スピルバンは跳躍すると、右腕に風を収束させ始めた。そしてそのまま、撃ち出すように右腕を戦闘員に向けた。


「ウインドバレル・オールブレイク!!」


スピルバンの右腕から高密度の風弾が発射され、戦闘員の身体に向けて掃射された。それにより、戦闘員の身体が凸凹の状態になる。しかし・・・。

「ギ、ギギギ!!」

すぐに身体をバラバラにし、違う形の戦闘員へと変貌した。その姿は、先ほどの戦闘員の外見とは違い、両腕がハンマーの如き形状へと・・・。

「く、再生能力か!!」

スピルバンが身構える中、ハンマーマン(仮)はスピルバンめがけてハンマーを振り下ろした。スピルバンは咄嗟にそれを回避し、スピルバンが先ほどまで居た場所にハンマーがめり込む。その箇所は、まるでひしゃげたような無残なものとなっていた。

「なんて力だ・・・うわっ!!」

あまりの破壊力に驚いているスピルバンに、ハンマーマンの追撃が迫る。

「ギ・・・ギギ!!」
「く・・・くそ・・・・がはっ!!」

何度かは避けたものの、最後にはメタルのアーマーにハンマーが叩き込まれる。その瞬間、スピルバンの身体は建物に叩きつけられ、めり込んでしまった。

「く・・・」
「ギ〜ギギギ!!」

まるで喜びの声を上げるようなハンマーマンの様子に、スピルバンの脳裏に先ほどの少女のイメージが流れ込んだ。その瞬間、スピルバンは壁を砕き立ち上がる。

「お前を・・・倒す!!スピンブレード!!」

叫びと共に、スピルバンの腕には両刃のレーザーソードが握られる。そしてそれを思いっきり振りながら、周囲に存在する風の魔力を纏わせる。

「俺の放つ風刃が、お前の悪意を断絶する!!」

スピルバンはその刃を振り上げた。そして・・・。


「エアーフィールドスラッシュ(風陣斬撃)!!」


神風の奥義とヒーローの意思の融合した技が、ハンマーマンの身体を×字に切り裂き、辺りに漂っていた悪意を薙ぎ払ったのだった・・・。


「ちょ、ちょっと早すぎませんか!?」
『気にするな。いいか、獣王を駆使するには、心で感じなければならない』
「心ですか・・・」
『そうだ。やってみろ』
「は、はい」

撃龍剣に言われ、リュウケンドーは瞳を閉じ精神統一に入った。しかし・・・。


『馬鹿者!!前を見ろ!!』
「え?あ・・・あああ〜〜〜〜〜〜!!」


見事なまでに、お土産屋に突っ込んでしまった(笑)。皆もバイクの運転中に目を瞑ってはダメだ、お姉さんとの約束だ(by真名)。話を戻し、店の中から出てきたリュウケンドーは品物を片付け、お土産を一つ買って再び追跡を開始した。この時、店のおばちゃんが買わなくてもいいと言ったが、刹那はそれを押し切って一つ買ったのである(爆)。ちなみに購入したのは甘食である。

「急がないと、このままじゃこのちゃんが」
『心配するな相棒。あの茶々丸という少女の速度に、通常の魔物では追いつけはしない』
「ですが、もしもという事が・・・」
『相棒、お前は少し頭が固すぎるぞ。もっと物事を柔らかくしてみたらどうだ?』
「柔らかくですか?」
『そうだ。あの魔物と年増の眼鏡性悪女を引き離すにはどうすればいい?』
「え・・・・えっと」
『シンプルに考えろ。アイツ等があの娘たちを追いかけるなら?』
「・・・私たちが追いついて、ぶっ飛ばせばいいと?」
『そうだ』
「・・・単純明快ですね(汗)」

撃龍剣の即答に、さすがの刹那もといリュウケンドーも汗をかく。

『よし、一気に加速し、あの魔物を叩くぞ!!』
「はい!!頼みます、ブレイブレオン!!」

刹那の言葉に、ブレイブレオンも咆哮で答えた。そして、一気にスピードが上がる。そして、視界に千草たちを捉えた。

「天ヶ崎千草!!」
「な、なんや!?もう追いついたんかいな!!」
「このちゃんの所へは行かせはしない!!」

そして、リュウケンドーは再びホルダーから鍵を引き抜く。


「ファイナルキー!!」


鍵を撃龍剣に差し込むと、撃龍剣が蒼く輝きだす。

【ファイナルブレイブ】

声と共に、リュウケンドーはブレイブレオンから跳躍した。そして、そのままルビカンテへと真っ直ぐに降下する。

「に、逃げるで!!」

千草は札で脱出したが、ルビカンテまでは逃がせはしないと判断したリュウケンドーは、必殺の一撃を与えた。


「撃龍剣!!魔弾斬り!!」


その完全な一撃が、ルビカンテを真っ二つに切り裂いた。それにより、ルビカンテは浄化され、天へと帰っていく。


「闇に抱かれて・・・眠ってください」


リュウケンドーの最後の言葉の瞬間、完全にルビカンテは天へと昇っていった。


「ぐは!!」

龍騎の攻撃を受け、障壁でもカバーできなかったフェイトは吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられながら転がった。

「や・・・やるようだね。障壁以前に、物理攻撃の効かない僕の身体に直接叩き込むなんて・・・」
「当たり前アル!!私は和樹の許婚アルよ!!そう簡単に負けるほど、やわじゃないアル!!」

胸を張って答える龍騎に、フェイトはジリジリと後退し始める。

「いいだろう・・・今回は僕の負けを認めよう。だけど、とりあえず手傷だけは与える」

そう言うと、フェイトは突如宝珠を取り出した。そして二つある内の一つを向こう側の世界に投げた。

「な、何をしたアルか!?」
「何、“悪なる存在”を向こう側の世界に送ったんだよ」
「どういう事アルか!!」
「簡単に言えば、“君の好きな人と相対する能力”を使ったまでだよ」

それを聞き、満身創痍だった和樹が尋ねる。

「ど・・・どういう事だ?」
「いずれ分かるよ。少なくともいえるのは、これは僕の能力ではなく、僕が仕える御方から貰い受けただけだから」
「なんだと・・・・」
「僕は力を召喚出来ないから逃げるけど、置き土産くらいは置いてってあげるよ」

そう言って、フェイトは宝珠を地面に投げつけた。すると、宝珠が暗く輝き、中から何かが出てきた。

「じゃ、せいぜい苦戦するといいよ」

フェイトはそう言って、鏡の世界から消えた。そしてそこに出現したのは、まるで龍騎そっくりの存在。しかし、その全身を纏うのは漆黒。暗い闇からの使者とも思わせる闇色だった。そう、その存在の名は・・・【仮面ライダーリュウガ】。


「このちゃん、無事ですか?」
「あ、せっちゃん♪」

リュウケンドーはこのかたちとなんとか合流していた。すると、突如空にヒビが割れ、そこから一つの存在が降りてきた。それを見たリュウケンドーが再び身構える。


―――全身を鎧のような身体で多い


―――背中には幾戦もの戦いの勲章の如きマントを羽織り


―――その手には、一本の大剣が握られていた。


「お前は・・・?」

リュウケンドーが問いかけると、その戦士は答えた。


「我が名はジャークムーン。リュウケンドー、お主と戦いたく参上した」


ジャークムーンはそう言うと、大剣をリュウケンドーに向けて突きつけた。

「お前も・・・このちゃんを狙っているのか?」
「別にその娘などどうでもよい。私は強い者と戦う事が出来ればそれでも構わん。生憎、召喚ばれた身だが仕える気もないのでな。ただ、お主との戦いが望みだ」

ジャークムーンの言葉に偽りがないと感じたリュウケンドーは、撃龍剣を構える。

「行くぞ!!」
「こい!!」

先に動いたのはリュウケンドーだった。刃を振り上げ、ジャークムーン目掛けて振り下ろす。しかし、それを軽く受け流すと、リュウケンドーの背中を切りつけた。それにより、火花が散りながら吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。

「せっちゃん!!」
「大丈夫ですこのちゃん。少し、油断していました」
『気をつけろ刹那!!こやつ、只者ではないぞ!!』
「ええ・・・・分かってます!!」

リュウケンドーは突きを放つと、ジャークムーンが避けるとの予知していたように突きの加速力に回転力を加え、背中に向けて逆胴を放った。

「決まった」
「おしいな」

リュウケンドーのタイミングのいい攻撃は、まるで更に予測していたように背中に剣を向け防いでいたのである。

「そんな!!」
『油断するな!!』

撃龍剣の声も虚しく、リュウケンドーは刃で再び吹っ飛ばされてしまう。

「くぅ・・・・・まだまだ!!」

リュウケンドーは再び刃を叩き込もうとするが、また軽々と止められ、弾き飛ばされてしまった。それでも直、リュウケンドーは立とうとする。

「どうすれば・・・」
『刹那。“ファイヤーキー”を使え』
「ふぁいやーきーですか?」
『そうだ。リュウケンドーの新たなる力を引き出すんだ』
「で、でも・・・」

そう言いながらリュウケンドーはジャークムーンを見た。その姿にはいっぺんの隙もなく、キーを差し込む事すら出来そうになかった。

「油断だぞ!!」

そう言って、ジャークムーンが刃から斬撃を放とうとした・・・その時。


―――ターン


一発の銃弾が、ジャークムーンの身体に命中した。ジャークムーンや皆が振り向くと、そこには・・・。


「全く。これで貸しが増えたな、刹那」


不敵な笑みを浮かべた、真名の姿があった。

「た、龍宮!!」
「ほら、早くファイヤーキーを差し込め。時間なら、私が稼いでやるから」

そう言うと、真名は左腰に手を伸ばした。

「剛龍銃(ゴウリュウガン)!!」

声と共に真名の手には、一つの大型拳銃が握られていた。そして、真名の右手には・・・。


「リュウガンキー!!」


鍵が握られていた。そしてそれを、剛龍銃に差し込む。


【チェンジ・リュウガンオー】


機械音と共に、銃身が紅く光りだした。そして、そのまま天へと向ける。


「剛龍変身!!」


そして、銃口から紅い龍が放たれた。そして、そのまま紅い龍は真名の身体に降りた。その瞬間、真名の身体を紅い光が覆う。そして・・・その中から現れるのは・・・。


「リュウガンオー!!ライジン!!」


魔を弾く銃士が降り立った。

「刹那!!これ以上戦うと周囲に被害が広がる。一気に決めるぞ!!」
「分かってる!!ファイヤーキー!!」

リュウケンドーは即座にファイヤーキーを撃龍剣に差し込んだ。

「発動!!」

スライドを下ろすと、撃龍剣が赤く燃え始める。


「火炎武装!!」


そして、撃龍剣から炎の龍が現れ、リュウケンドーの身を包む。そして、そこから現れたのは・・・。


「ファイヤーリュウケンドー!!ライジン!!」


赤き炎を身に纏った、リュウケンドーの姿だった。

「行くぞ、龍宮!!」
「ああ!!」

二人は同時にファイナルキーを差し込む。

「二人同時か・・・いいだろう!!」

ジャークムーンは間合いを取ると、刃に魔力を込め始めた。そしてそれが最大になった瞬間、刃を斬撃にして放った。


「三日月の太刀!!満月の太刀!!」


三日月と満月の形をした斬撃が、二人に向かって放たれる。しかし、二人には恐れが全くなかった。そして、こちらも最大の力で迎撃する。


「撃龍剣!!火炎斬り!!」
「ドラゴンキャノン!!」


二つの相対する力がぶつかった瞬間、その場には閃光が放たれた。そして光が収まると、そこには力を使いすぎて、変身が解除されて倒れた刹那と真名がいた。それに比べ、ジャークムーンは胸に傷を負っていたが、致命傷とはほど遠かった。

「あれだけダメージを受けて、これだけの斬撃を放てるとは・・・鍛えれば、無限の可能性を持つ剣士になれるだろう」

そう呟くと、ジャークムーンは大剣で空間を切り裂き、異空間を作り出した。そしてそこから去る寸前、このかたちに一言こう言った。


「リュウケンドーに伝えておいてくれ。また会おうと」


そう言い残し、ジャークムーンは姿を消したのだった。


「はぁ!!」
「・・・」

その頃、龍騎とリュウガは熾烈を極める戦いを行なっていた。龍騎が崩拳を放てば受け流され、リュウガが蹴りを放てば叩き落す。まさに二つの究極が、ぶつかり合っていた。しかし、わずかに龍騎のほうが押されており、リュウガの冷静な攻撃が続いていた。

「く・・・・何にも感じないアル。殺気も、闘争心・・・何アルかこいつは」

しかし、その思考を考えた瞬間、リュウガの拳が龍騎の腹部を襲った。

「うぐ!!」
「・・・」

しかし、無言で更なら追撃が龍騎を襲った。回り蹴りを叩き込まれ、ふらついた所にで拳の連打が襲い掛かる。それにより変身が解け、クーは壁まで追い込まれてしまっていた。

「しまったアル!!」

その瞬間も隙とみなされ、リュウガの拳がクーを・・・襲うはずだった。その場に、イレギュラーがいる事を忘れてなければ・・・。


「僕の大切な人を・・・・傷つけされてたまるか!!」


その拳を、和樹が受け止めていたのだ。そしてそのまま、握った腕を捻り上げ、もう片方の腕でリュウガの仮面を殴りつけた。

「・・・!!」

さすがに驚きを見せたリュウガを尻目に、和樹は落ちていたデッキを手に取った。

「和樹・・・」
「クーちゃん、後は僕に任せて。ヒーローの戦い方、見せてあげるよ♪」

そう言って、余裕の笑みを浮かべる和樹。しかし、その表情の奥には肉体の痛みを我慢しているのがすぐに分かった。でも、クーには止める事が出来なかった。その瞳に込められた決意が、想いで支えられていると分かったから・・・。


「変身!!」


そして、和樹は龍騎へと変身する。

「しゃっ!!」

拳を軽く振り、リュウガへと突貫する龍騎。リュウガがそれを迎え打つが・・・。


「うあああああああああああああああああああああああああああああああ!!


和樹の想いが篭った拳のラッシュが、リュウガの自由を奪う。


「トドメだ!!」


ドロップキックでリュウガを吹っ飛ばすと、龍騎はデッキからカードを引き抜き、バイザーに差し込んだ。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


まるで気合溜めのように腰を落とすと、無双龍が龍騎の周りをグルグル回りそのまま天へと昇った。そして、龍騎もまた跳躍する。そして・・・。


「たああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


ドラゴンライダーキックが、リュウガの全てを消し去った・・・。


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