ブレイブXXVIII 光を走りきる勇気



「・・・アレはいったい?」

スーパーライダー月面キックで敵を一掃したスーパー1が光の柱が上がっている方角を見ていた。そこからは、顔が二つ存在する巨大な鬼が出現した。

「・・・遂に、始まってしまいましたか・・・」
「茶々丸ちゃん!!危ない!!」

誰かの声を聞き振り返ると、そこには棍棒を持った鬼がそれを振り下ろそうとしていた。

「・・・!!」
「グヘヘ・・・・ジネ!!」

鬼が振り下ろした次の瞬間、鬼の身体に何百発の弾丸が叩き込まれた。それにより、鬼は地へと沈む。スーパー1が振り返ると、そこにはGX−05を構えたG3- Xの姿があった。

「・・・ネカネさん、ありがとうございます」
「いいわよ、気にしないで。それより・・・アレはちょっと反則じゃない?」
「・・・確かに」

G3-Xとスーパー1は遠くに見える巨鬼を見つめながら、僅かにため息をついた。

「ネカネさん!!茶々丸ちゃん!!ため息ついてないでこっちもなんとかして!!」
「こいつ等雑魚だけど、数だけは異常に多いんだ!!」

そう言いながら、一号と二号はダブルライダーキックででかい鬼を蹴り飛ばした。

「その意見には、拙者も賛成でござるよ〜〜!!」

カリスもまた、両刃剣を手裏剣の如く投げつけ、敵を切り裂いていく。

「ため息は、コイツらを倒してからにしてアルよ〜!!」

ザビーもそう言いながら敵を殴り飛ばすと、左腕に付いていたザビーゼクターを回転させた。



【キャスト・オフ】



それにより、マスクドフォームのアーマーが弾けとび、中からライダーフォームのザビーが姿を見せる。



「どうやら、皆の意見が正しいっぽいわね」
「・・・ですね」
「んじゃ、さっさと一掃しましょ!!」
「了解です!!」

そう言って、G3-Xとスーパー1は再び戦いへと身を投じていった・・・。










「はぁ!!」
「たりゃぁ!!」

ネギと小太郎は同時に刃を牙へと打ち込むが、軽々と弾かれて吹き飛ばれていた。ネギたちの視界にも、あの大きな鬼が見えており、正直焦り始めていた。

「小太郎君!!こうなったら鎧を召喚して一気に決めよう!!」
「そうやな・・・よし!!」

そう言うと、ネギと小太郎は魔戒剣を空に掲げ、円を描いた。そこから、黄金の銀の光が漏れ、ネギを牙狼へと、小太郎をゼロへと変える。すると、それを見た牙が刃を天に掲げた。そして、そのままネギと同様に円を描く。すると、そこから漆黒の輝きが漏れ、牙の身体を暗黒の鎧が纏った。






「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「だりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」






ネギは牙狼剣を振りかざすと、縦一文字に振り下ろした。牙はそれを軽く防ぐがそれはフェイク。牙狼の後ろにいたゼロの攻撃を通らせるための。



「喰らえや!!」



ゼロは二刀を逆手にして跳躍から振り下ろした。しかし、牙は牙狼の身体を蹴り飛ばすと同時に跳躍し、ゼロの鎧を切り裂く。

「がはっ!!」

あまりのダメージにゼロが動きを止めたのを見て、牙はそのまま刃の柄でゼロを殴り飛ばした。それにより、ゼロは岩場に激突し、鎧が解除された。

「小太郎君!!」

牙狼が振り返るが、その隙を突いて牙の刃が牙狼の背中を切り裂いた。それにより、黄金の鎧が砕け散る。



「く・・・・・ま、負けるもんかーーーーーーーー!!」



激痛に耐えながら、牙狼は振り向き様に刃を横に一閃した。しかしそれすらも容易に止められ、そのまま顔面に拳を叩きこまれた。それにより牙狼もまた吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられると同時に鎧が解除されてしまった。

「く・・・・かはぁ・・・・」

ボロボロになりながら立ち上がるネギ。そんなネギを見ながら、牙が歩み寄る。しかし、それを一つの影が遮った。



「ネギに手を出すんじゃないわよ!!」



破魔の剣を構えた明日菜が、身体を震わせながらもその場に立っていた。牙から放たれる邪気に恐怖を覚えているが、ネギを傷つけさせないという決意だけが彼女を支えていた。

「だ、ダメです明日菜さん!!逃げてください!!」
「嫌よ!!ネギを殺させるなんて・・・絶対にさせないんだから!!」

明日菜はそう言うと、破魔の剣を大きく振りかざした。そしてそのまま、地面を蹴る。そしてそのまま、牙へと刃を突き出す。しかし・・・・それは届かなかった。






・・・・・・ザシュン






明日菜の胸を、牙の刃が貫いていた。

「あ・・・・明日菜さん?」

呆然としているネギが見ている中、牙がためらいなく刃を引き抜いた。すると、明日菜の胸に六亡星で出来た光の紋章が浮かび上がり、それが見えない鎖となって明日菜の身体を縛りつけたのである。そしてそのまま、明日菜は地面に倒れこんだ。

「明日菜さん!!」

ネギが慌てて明日菜に近づくと、明日菜はまるで魂を失った虚ろな人形と化していた。ネギはそんな明日菜を抱きしめながら、キッと牙を見据える。そんな中、何も語らなかった牙が語りだした。



「・・・その者には、魂を封印する呪いを与えた。その状態が一ヶ月続けば・・・その者は死ぬ」



それを聞き、ネギが絶望に打ちひしがれる。しかし、牙の言葉は続いた。



「しかし、お前が百の魔の陰我を断ち、己が一番恐れる恐怖を乗り越えた時、お前には黄金の騎馬が手に入るだろう・・・その騎馬を呼ぶ事で得られる剣ならば、呪いの陰我を断ち切る事が可能だ」
「・・・なんで、僕にそんな事を」
「フ・・・・ただの気まぐれだ」



そう言うと、牙は振り返って去っていく。そんな中、風に流れてきた言葉をネギは聞いた。






「黄金騎士・・・・その力の真価を見せろ・・・・・・・・・・・・・・・・ネギ」






そう言って、牙は姿を消した。










「な、なんだアレは!?」

湖に到着したリュウケンドーが見たものは、巨大な鬼【スクナノカミ】。その余りの大きさに、リュウケンドーも呆然としていた。しかし、すぐに意識を上空にいるこのかへと向ける。

「このちゃん・・・・」

リュウケンドーはどうすればいいか悩んでいると、ウルフバイクで追いついてきたリュウガンオーが側に立った。

「これはまた・・・・・でかいのが相手だな」
「ああ・・・・・・シャレにならない」

二人がでかい相手を見ながら困惑していると、突如二人の前に一陣の風が吹いた。するとそこには、身体をボロボロにしたZX(頭部のみ解除)が姿を見せた。

「「先輩!!」」
「く・・・・二人とも・・・無事だったんだね」
「私たちはなんとか・・・しかし、その傷は」
「かなり・・・・やられたんですね」

リュウケンドーの問いに、苦しいながらも頷く和樹。そんな中、どんどんスクナがドシンドシンと歩き始める。

「こうなったら・・・・刹那ちゃん、なんとかこのかちゃんを助けられる?」
「え・・・ええ、なんとか」
「刹那ちゃんがこのかちゃんを助け出したら、真名ちゃんはあれ目掛けてドラゴンキャノンを叩き込んで!!その隙に、僕が決める」
「はい・・・でも、これで多分お別れです」
「え・・・?」

刹那の言葉に疑問を思った和樹が振り返ると、そこには銀色の翼を羽ばたかせたリュウケンドーの姿があった。

「こんな姿・・・・・化け物ですよね」
「絶対に違う!!刹那ちゃんのその翼は、未来へと進む純白の羽だ!!そんな羽を持った刹那ちゃんが、化け物なんて絶対にありえない!!」

和樹のまっすぐな言葉に、リュウケンドーは思わず涙を流す。しかしそれをぬぐい、今は目の前の鬼へと向ける。

「では・・・行きます!!」

そう言うと、リュウケンドーは翼を羽ばたかせて跳躍する。スクナが叩き落そうとするのを避け、千草のもとへと向かう。



「天ヶ崎千草、このちゃんを・・・返してもらうぞ!!」



千草の放つ式紙を全て叩き斬り、リュウケンドーはこのかを抱きかかえて離脱した。






「喰らえ!!ドラゴンキャノン!!」






その時を待っていたように、リュウガンオーはドラゴンキャノンを放った。それはまっすぐに、スクナの顔に直撃した。それにより、スクナはもがき苦しみだす。

「今だ!!」

和樹は再度顔を仮面で覆いZXへと戻ると、一気に空高く飛び上がった。そしてそのまま、身体を真紅に輝かせ始める。更に、ZXの身体からは膨大な魔力が放たれていた。

「ま、まさか先輩は!!」

真名がすぐに真意に気づいたが、もう遅い。ZXは二回分の魔力を全身に込めると、そのままスクナ目掛けて落下する。そしてそのまま、キックの体勢に入った。





「砕け散れ!!ゼクロス・・・・キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーック!!」






真紅の流星と化したZXのキックが、スクナの身体を粉々に粉砕するのだった・・・・。










「はぁ・・・・はぁ・・・・」


着地と同時に変身を解いた和樹は、そのまま膝をついて荒い息を吐く。そんな中、粉砕したスクナの身体から、赤い宝玉が浮かび上がったのだ。

「あ、アレは?」
「アレは、スクナの体内にある中心核(コア)だよ」

突然の言葉に真名が振り返ると、そこには和樹との戦いをしたにも関わらず無傷のフェイトが立っていたのだ。

「・・・・お前は・・・」
「式森和樹、今こそお前を・・・・・完全に殺してあげるよ」

そう言うと、浮かんでいるスクナのコアをフェイトは手に取った。そしてそれを・・・自身の体内に押し込んだのでる。

「な!?」
「見るがいい・・・全ての闇を集合させた魔獣の誕生を!!」

叫びと同時に、フェイトの身体はブクブクと液体が蒸発するような状態になり、そのままはじけた。しかし次の瞬間、強大な負の魔力が結合し、瞬時に巨大な怪獣へと変貌する。
その姿を見た瞬間、和樹はその怪獣の名を上げた。



「闇の集合体・・・・・イズマエル」



和樹は何かを決意するように、懐に忍ばせていたギアを変化させた。そしてそれは、小さな鞘へと変化する。

「ダメだ先輩!!あんなのが相手じゃ・・・・先輩が・・・・」
「そうです!!私たちが頑張って戦います!!」

真名と刹那が泣きながら和樹を止める。しかし、和樹はそれをやんわりと止め、決意の言葉を口にした。






「真名ちゃん・・・・刹那ちゃん・・・・・。僕は・・・・僕の光を走りきる!!」






そしてそのまま、和樹は駆け出した。そして、その鞘【エヴォルトラスター】を引き抜いた。その瞬間、辺りを輝くような青い光が覆う。そして、そこから現れるは、銀と蒼の巨人【ウルトラマンネクサス・ジュネッスブルー】。しかし、もう命を伝えるエナジーコアは赤色に点滅していた。

「ジュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

ネクサスは命を投げ出すように、その場から駆け出す。そして、イズマエルに向けて光弾を放った。しかし、それをイズマエルは全く苦にしなかった。しかし、ネクサスはそのまま一気に跳躍すると、右腕に光の力を集中させ、弓を作り出した。そしてそこから最強の必殺技【オーバーレイ・シュトローム】を打ち出す。

「が・・・・・これで・・・・・まだ死なない」

しかし、イズマエルはしぶとくその攻撃に耐えていた。ネクサスのエネルギーもあと僅かという状況の中、遂にネクサスは最後の魔力を発動させた。そして再び、【オーバーレイ・シュトローム】の体勢に入る。






「ジュワ(喰らえ!!)!!ヘアアアアアアアアアアアアアアアアア(オーバーレイ・シュトロームフェニックス!!)」





オーバーレイ・シュトロームは形状を炎の不死鳥へと変化させ、イズマエルを包む。イズマエルは業火に焼かれる中、心底嬉しそうに微笑んでいた。



(式森和樹消去・・・・・僕は・・・・・やり遂げました)



そう思った瞬間、フェイトの意識は途切れた。






こうして、京都においての戦いが終わった。しかし、残ったのは絶望のみ。一人の少女は魂を封印され、少年は・・・・この世から姿を消した。








あとがき
あ〜ねむw何せ書き終わったの朝の5時くらいっスw
さて、遂に修学旅行終了と共に和樹消滅という事態になりました。しかし、まだ終わらず絶望が悲しみにくれる皆に襲い掛かる。果たして、悲しみの中少女たちは戦えるのか!?そして、黄金騎士であるネギに降りかかる試練とは!?
次回、楽しみにしててください!!


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