ブレイブXXVII 闇に挑む勇気



闇に沈む大地を月光が照らす中、一つの影が呪術協会の門前に立っていた。漆黒の外見の戦士・・・ジャークムーンである。

「フン・・・見張りすら付けないとは、嘗められたものだな」
「その代わり、私たちが」
「お相手をしようじゃないか」

その声にジャークムーンが前を向くと、月明かりに照らされた大地にリュウケンドーとリュウガンオーが立っていた。(ちなみに変身者は刹那と真名)

「二対一か・・・いいだろう、かかってくるがいい」
「あまり嘗めていると、足元をすくわれますよ」
「フン・・・・そう言っていられるのも今のうちだ!!三日月の太刀!!」

ジャークムーンはそう言いながら、三日月状の斬撃をリュウケンドー目掛けて放った。しかしそれは、リュウガンオーのマダンナックルにより相殺される。

「ふ・・・前衛と後衛・・・なめるなよ」
「・・・いいだろう。こい!!」
「いくぞ!!」

リュウケンドーはそう言って走り出し、リュウガンオーは剛龍銃を構えるのだった・・・。






刹那たちがジャークムーンと交戦し始めている頃、屋敷の一室ではこのかが布団の中で眠っていた。すると、畳の下からまるで液体のように、フェイトが這い出てきたのである。

「油断だね・・・さて、君には来てもらうよ」

フェイトがこのかに触れた瞬間、突如このかの体が破裂し、中から捕縛結界が発動したのだ。

「な、何!?」
「油断大敵って・・・奴だよね?」

フェイトが声のした方向を向くと、そこには両眼を蒼く輝かせる和樹の姿があった。

「・・・とんだ罠を仕掛けてくれたね」
「お前がここに侵入してまず最初にやる事は、このかちゃんの奪取しか考えられなかった。故に、裏をかいたって所だよ。今頃、このかちゃんはネギたちと一緒に逃げているはずだからね」

和樹の言葉を聞いた瞬間、フェイトはクククと不敵な笑みを洩らす。

「・・・何がおかしい?」
「君も大きな間違いをしたと考えてね」
「何?」
「一つ言っておくよ。僕はネギ・スプリングフィールドのところにも刺客を送り込んだ。それも・・・・彼では絶対に勝てない相手をね」
「絶対に勝てない・・・存在だと?」
「黄金騎士が唯一敗北を喫しているのは・・・・何故かな?」

それを聞いた瞬間、和樹はハっとした。



「・・・まさか」
「そう。黄金騎士の・・・天敵さ」



フェイトはそう言うと、捕縛結界を打ち破った。



「さぁはじめよう・・・狂気の戦いを」
「そんな物には興味ないよ・・・戦いを終わらせて・・・平穏を取り戻すだけだ!!」



和樹はそう言うと、下腹部にベルトを出現させた。そして・・・神の力を宿し身体へと変化させる。



「変・・・・・・・身!!」



その瞬間、彼の身体は赤と銀のカラーで構成されたボディを持つ戦士へと変身した。



「君は・・・?」
「仮面ライダー・・・ZX(ゼクロス)!!」



今、壮絶な戦いが始まる。






「はぁ・・・はぁ・・・ここまで来れば、問題ないでしょう」

ネギ・明日菜・このか・エヴァ・茶々丸・楓・クー・ネカネ・千鶴・詠春の10人は、和樹の指示で既に本陣を離れていた。

「おそらく、千草たちの狙いは石に封印された鬼神の復活でしょう。そんな事をされては、我々も勝ち目が薄い」
「だけど、今回はエヴァちゃんだっているじゃない」
「フン、私は最強最悪の魔法使いだ。鬼神程度に、苦戦などせん」

エヴァがフンとそっぽを向いたその時、皆の前に突如黒いフードを被った者が現れた。右手には漆黒の魔戒剣が握られていた。

「な・・・この人も魔戒騎士!?」
「き〜つけやネギ!!コイツ・・・ただもんじゃあらへん」

フードの男に対し、ネギと小太郎が前に出る。そしてそのまま、二人は魔戒剣を引き抜いた。

「たぁーーーーーーーーーーーーーー!!」
「おりゃあああああ!!」

小太郎は逆手持ちで上から突き刺すように跳躍し、ネギは自身を回転させながら横に一閃した。しかし、男は小太郎の刃を剣で弾き、ネギの刃を素手で受け止めたのである。

「え!?」
「な、何!?」

二人が驚く中、男は小太郎を剣の腹で殴り飛ばし、ネギの胸部に拳を叩き込んだ。それにより、二人は吹っ飛ばされてしまった。

「くっっっっ!!」
「がはっ!!」

地面に倒れこみ、血を吐き出すネギと小太郎。そんな中一陣の風が吹き、男の被っていたフードがめくれた。すると、そこから露になった顔に皆が驚愕する。



「父・・・さん?」
「な、ナギ!?」
「そ、そんなバカな!!何故ナギが!!」



ネギ・エヴァ・詠春が驚く中、ナギは物凄いスピードで移動し、このかを捕縛した。

「嫌や!!離して〜〜〜・・・・」

拒絶するこのかを眠らせ、ナギはこのかを抱きかかえた。そしてそのまま、宙へと浮かび始めた。

「ま、待てナギ!!」

エヴァの悲痛な叫びに、ナギが僅かながらエヴァの方を見た。

「どういうことだ!?貴様、何故あんな下種どもの一緒にいる!!答えろ!!」

エヴァが必死に問いかけるが、ナギは無表情のまま、こう答えた。



「我が名は牙(きば)・・・暗黒に堕ちし・・・騎士」



そういい残し、ナギ・・・いや、牙はその場から離れていった。

「ど、どういう事だ詠春!!何故ナギが奴らと一緒にいる!!」
「そ、そうよ!!なんでネギのお父さんが生きてて、尚且つこのかを攫うのよ!!」

エヴァと明日菜の追求に、詠春も答えようがなかった。

「と、とにかく!!後を追わないと!!このかさんが!!」

ネギに促され、皆は牙の後を追い始めた。






「おお、あんさんがフェイトの呼んだ援軍かいな。このかお嬢様を奪取するとは・・・中々やるやないか」

千草が待機していると、そこに一陣の風が吹き、このかを抱きかかえた牙が姿を見せた。

「さてお嬢様・・・心配せんでもええからな。ウチは復讐さえ終わればそれでいいんやから・・・さぁ、あの場所まで行きますえ「待てーーーーーーーーーーーーー!!」・・・ほう」

突如の声にその方向を向くと、ネギたちがその場へとたどり着いていた。

「そこの年増!!このかを返しなさいよ!!」
「そうよ。その娘は私達ラヴァーズの一員なのよ!!」

破魔の剣を構えた明日菜と、ガトリンクを構えたネカネが前に出る。

「フン・・・・お嬢様の力の一端、見せてあげるわ!!」

そう言って、千草はこのかに一枚の札を当てた。すると、このかを中心に辺りが光に覆われはじめた。そしてそこから、数百もの鬼が召喚された。

「・・・バカな年増がおるな」
「全くですね」

そう言って、詠春が刀を引き抜き、エヴァが魔力を全開させる。

「雑魚どもは我々が殺る。上級鬼はお前らに任せた。そしてぼうや・・・・お前はナギを」
「・・・分かりました」
「ワイも・・・やるで」

そう言うと、ネギと小太郎は刃を構える。

「では・・・・私もスキルを・・・使わせていただきます」

そう言うと、茶々丸は初めてギアに力を込めた。すると、茶々丸の下腹部に一本のベルトが召喚された。そしてそのまま、キーワードを言い放つ。

「変・・・・・・・身」

その言葉と同時に、ベルトの中心部が右と左に半円となって分かれた。その瞬間、ベルトの中心部が回転を開始し光が溢れる。そしてそこには、全身を銀と黒で統一した【惑星開発用改造人間】が降り立つ。



「マスクドライダー・・・スーパー1」



宇宙の仮面ライダー・・・スーパー1が大地に立った。

「それじゃ、私もかな」

ネカネもギアを握り締めた。するとネカネの身体の周りに蒼い装甲がパーツに分かれて浮かび上がった。そしてそれは、ネカネの身体に装着されていった。



「仮面ライダーG3・・・戦闘開始しちゃうからね」



武装系ライダーもまた、地に立つ。

「こういう展開だと」
「俺たちも・・・だね」

暁と黄昏もまた、技と力の戦士へと変身する。

「ライダー・・・」
「変身!!」
「「トゥ!!」」

そして、大地に銀の拳と赤い拳の戦士が立ち上がる。



「仮面ライダー一号!!」
「二号!!」



技の一号・・・力の二号・・・降臨。

「拙者も・・・・使うでござるか」

楓もまたギアに力を込めた。すると、楓の下腹部に、ハート型の中心部を持ったベルトが巻かれた。そしてそのまま、一枚のカードをベルトの中心にスラッシュさせる。

「変身・・・でござる」

これにより、楓の身体は全身漆黒・・・目が真紅のハート型のライダーへと変化する。



「カリス・・・参る」



孤高の戦士・・・参戦。

「私のやるアル!!」

クーもまた、ギアに力を込める。すると、左手首に黄色のリストが巻かれた。そして空を裂き、蜂型のメカ昆虫【ザビーゼクター】がクーの手のひらに降りる。そしてクーはザビーゼクターを手に取る。

「・・・変身アル!!」

そう言って、クーはリストにザビーゼクターを装着した。すると、粒子状の装甲が身体に装着され、重装な戦士が立ち上がる。



「私は・・・・・・・変身したアル!!」



仮面ライダーザビー【マスクドフォーム】・・・戦闘開始。今、ライダー対鬼の戦いが始まる・・・。






「ハァ!!」
「フン」

ZXとフェイトは森の駆け抜けながら、幾度か忘れるほどに激突していた。

「喰らえ!!マイクロチェーン!!」

ZXの手首から、チェーンが放たれ、フェイトの身体を縛り上げる。しかし、フェイトは自身の身体を液状化させ、それをすり抜けた。

「くっ!!」
「僕を束縛させようなんて・・・百年早いよ。水曜陣」

フェイトの言葉に従うように、地面から水で出来た腕が出現し、ZXに襲い掛かる。しかしそれを、ZXは分身によって回避した。

「こうなったら」
「決着をつけようか・・・式森和樹!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「はあああああああああああああああああああああああ!!」

二人は同時に間合いを取ると、ZXは身体を赤く発光させ始め、フェイトは身体を蒼く輝かせ始めた。そしてそのまま、二人とも空高く跳躍した。



「喰らえ・・・ZX」
「ミストルティン・・・」



二人はそう言いながら、拳にエネルギーを集中させた。



「パンチ!!」
「ランス!!」



そして、その場は閃光に包まれた。






「く・・・!!」
「中々の強敵だな・・・・」

リュウケンドーとリュウガンオーは、ジャークムーン相手に激しい攻防を広げていた。

「喰らえ!!ドラゴンショット!!」
「そんなへなちょこ弾、私に効くと思うな!!」

リュウガンオーの放つ弾丸を、ジャークムーンは柔らかい太刀筋で外す。しかしその瞬間を狙って、リュウケンドーがリュウガンオーの肩を踏み台にして跳躍した。

「何!!」
「喰らえ!!神鳴流奥義・・・斬岩剣!!」

ジャークムーンの肩口目掛けて、撃龍剣が叩き込まれた。それにより、火花を散らしながらジャークムーンは吹っ飛ばされる。

「ぐっ!!」
「今だ!!刹那!!」
「分かった!!」

リュウケンドーがそのまま、ファイナルキーを差し込んだ。

『ファイナルブレイク』

撃龍剣の声と共に、刀身に高い魔力が収束した。そしてそれを、振り上げる。






「撃龍剣・・・魔弾斬り!!」






収束させた魔力を爆発させ、撃龍剣を振り下ろした。そしてそれは、ジャークムーンの身体を一刀両断にした。



「がはっ!!・・・見事」



そう言い残し、ジャークムーンは爆発した。

「やったか?」
「よし、刹那。今すぐ私たちも後を・・・」

リュウガンオーがそう言った瞬間、遠くから光の柱が天目掛けて昇っているのが見えた。そこからは、巨大な鬼がのっそりと姿を見せていた。

「あ、アレは!!」
「くっ!!間に合わなかったのか!!刹那、アクアリュウケンドーですぐに向かえ!!」
「分かった」

リュウケンドーはそう答えると、ホルダーを回転させ一本の鍵を取り出した。

「アクアキー!!」

アクアキーを装填させ、撃龍剣を空に掲げる。


「氷結武装!!」


言葉と共に、青い水の龍がリュウケンドーの身体を覆った。そしてそこから、青い甲冑のリュウケンドーが姿を見せる。



「アクアリュウケンドー!!ライジン!!」
『刹那よ。獣王【アクアシャーク】を呼べ!!』
「はい!!」



アクアリュウケンドーはそう言いながら、シャークキーを装填させアクアシャークを召喚した。そしてアクアシャークに乗ると、そのまま一気に千草たちのもとへと向かうのだった・・・。








あとがき
だい〜ぶ時間が開いてしまったネギまぶ!でございます。しかし、なんとか厄介ごとを片付け、執筆に入れました。さて、次回はついにあの巨鬼との戦い!!果たして、このかの運命は!?そして、ライダー達は生き残れるのか!?


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