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「ん、っ………」
女性が感じるほどではないにせよ、
的確に責め立てる愛の指は拓也にとって充分に心地よく、身体を軽く反らせて愛に身を委ねた。
愛はまるでそうして欲しいかのように目の前に差し出された
拓也の鎖骨に口付けると、ゆっくりと舌を這わせる。
「ぅ……ん……」
かすれた声で快感を口にする拓也を、更にしな子の舌が弄る。
拓也の服の中に潜りこんだしな子は、はじめは恐る恐るつつくように、
といった風に舌を動かしていたが、
時折直接触れる拓也のペニスの熱さが心を蕩かせたのか、
徐々に大胆な動きで拓也の下着をさまよわせていく。
「榎木君……の……」
舐めているうちに下着越しでは物足りなくなったしな子は下着に手をかけると、
舐める動作を中断させる事無く巧みにずり降ろしていった。
改めて間近でみる物をどう扱ってよいかわからず、しな子は途方に暮れたが、
とりあえず下着越しの時と同じように舌先だけで舐めていく。
始めは腰に手を回すが、すぐに舐めにくい事に気がつくと片手でペニスを軽く押さえた。
しな子は過去一度だけ拓也の物を触った事があったが、その時は怖くてじっくりとは見なかったし、
なにより無我夢中でその時の事はあまり良く覚えていない。
それと較べて今は、はっきりとした意識の中で見て、触り、舌先で感じとっている。
(熱い……けど、これが、あたしの中に入るんだ……)
そう考えると、自然に舌の動きが丁寧になっていく。
唾液で全てを包み込もうとするかのように、根元から先端まで丹念に舌を這わせる。
(そういえば…これ、くわえるって書いてあった)
一通り舌を動かし終わったしな子は、突然、本に載っていた事を思い出した。
(歯は立てちゃだめなんだったっけ……)
一度舌を離して、書いてあった事を詳しく思い出すと軽く目を閉じて、ゆっくりと先端を口に含む。
「な……なに……?」
上と下と、二人から愛撫を受けている拓也は、既に身体を快楽の波に呑みこまれていて、
わずかでも身体を動かすと弾けてしまいそうになっていた。
そこにしな子が咥えたのがとどめとなって、拓也の限界を超えてしまう。
「っ……深谷さん……!」
拓也の口から小さな呻き声が漏れると、それをきっかけに腰が快楽に打ち震え、精液を吐き出す。
ペニスを半分ほど咥えこんでしまっていたしな子は避ける間もなく口腔内で欲望を受け止めてしまった。
「………!」
口の中にまとわりつく奇妙な感触に顔を離すと、
まだ収まらない拓也のペニスが、残った精液をしな子の顔に放つ。
「きゃっ……!」
タイミング悪く中と外で受け止める事になってしまったしな子は、漂ってくる異臭に顔をしかめた。
「なに、この匂い……」
自分がひどく汚された気がして、顔にかかってしまった精液を手でぬぐうが、
気持ち悪い感触が増すばかりで中々拭き取る事ができない。
これ以上手を汚したくない、と思ったしな子は、
口の中に残っている精液を、思いきって飲みくだしてみた。
ほとんど固体に近いそれは、中々喉を通らず、何度か試す事でようやく滑り落ちていったが、
喉に貼りついたような感じが残り、軽くむせてしまう。
(榎木君のが……あたしの……お腹の中に……)
それでも、食べ物と同じ所に辿りついた、という事実は、子宮に精を受けると言う普通の行為よりも、
まだその方面の知識に乏しいしな子には却って羞恥と興奮をそそる。
そっとお腹の辺りをさすりながら、しな子はゆっくりと余韻に身を浸していった。
(深谷さん……やるわね)
拓也の服の中から出てきたしな子の顔を見て、愛はしな子が精液を飲んだ事に気付く。
(飲むと男の人喜ぶとか書いてあったけど、拓也君はさすがにそれはないわよね。
……でも、どんな味だったのかしら。今度聞いてみよう)
そんな事を考えながら、自分も身体が火照っているのに気がついた愛は、
拓也を求めて正面に回り込んだ。
「ね……私にも」
拓也はまだ軽く肩で息をしていたが、愛はそれに構わず唇を奪うと、舌を絡めていく。
興奮している愛の乱暴な舌の動きに拓也は苦しそうに呻き声をあげるが、
若い身体は意思を裏切って反応し、ひとたび力を失ったペニスはすぐに再び勃起してしまう。
「横になってくれる?」
そう言いながら半ば強引に拓也を床に横たえると、愛はその上に跨ってドレスをたくしあげた。
拓也の、既に充分な硬さを取り戻したペニスを掴むと、
自らの下着をずらしてゆっくりと腰を落としていく。
粘り気のある音を立てて膣口に触れると、愛は一度動きを止めて軽く目をつぶり、
ひと息に拓也を迎え入れた。
「つっ……」
微かな痛みが愛の身体を貫いたが、ドレスを着ている自分が、女装している拓也を犯す、
という普段に無い状況が愛の興奮を増幅させて、すぐに快楽が痛みにとってかわる。
「ん……拓也、君……」
熱く濡れた愛の蜜壷が拓也のペニスを柔らかく包み込むと、
その刺激に愛の膣内で更に大きさを増していく。
「っ………ぅ……ぁ……」
快感に耐えかねた愛は、バランスを崩して拓也の胸に倒れかかった。
「槍溝さん…?」
絞り出すような拓也の声に、愛はやや落ちつきを取り戻すと、安心させるように微笑む。
「大丈夫……少し、気持ち良すぎて」
それを聞いた拓也の顔が、一気に真っ赤になる。
「拓也君……顔、真っ赤よ」
愛が可笑しそうに拓也の頬に手を当てながら言うと、拓也は珍しく反論した。
「だって……」
「だって、何?」
「槍溝さん……エッチなこと平気で言うんだもん」
愛はまじまじと拓也の瞳を覗きこむと、次の瞬間、身体を大きく震わせる。
「なっ何?」
「拓也君があんまり可愛いこと言うから」
「それって」
どういうこと、と聞こうとした拓也だったが、途中で愛の唇に阻まれてしまった。
思うままに弄ぼうとする愛の舌に、拓也は半ば無意識ながら、初めて応じる。
愛は驚きと喜びの混じった表情になると、拓也に手ほどきをしてやるように
ゆっくりと舌を絡めていく。
「ふ……ぁ………」
結局、途中からはいつもと同じように愛のなすがままになってしまった拓也に、
愛はストレートに問いかけた。
「どう? 気持ち良かった?」
いつもなら絶対に反対するであろうその質問にも、思考が定まらないのか、ぼんやりとした目で頷く。
「やっぱり、キスでこれだけ感じちゃうなんて、拓也君って女の子っぽいわよね」
耳元で嬲るように囁いても、いやいやをするように首を振るのが精一杯だ。
しかし、そういう愛も、キスの最中から自分の膣内で大きさを増していく
拓也のペニスに支配されてしまっていてほとんど余裕は無かった。
少し身体を動かしただけで痺れるような快感が下半身を満たす。
もう限界が近い事を感じた愛は、足の角度を変えてより深く拓也を挿入ると、軽く腰を前後に動かした。
「ぁ……っ、拓也……君……っ!」
愛の柔肉が収縮すると、拓也のペニスがそれに応じて爆ぜる。
下腹部が熱くなるのを感じながら、愛はゆっくりと崩れ落ちていった。
愛がシャワーから戻ってくると、さすがに疲れたのか、眠ってしまった拓也の頭を、
先にシャワーを浴び終わったしな子が膝の上に乗せてやっていた。
それを横目で見ながら愛は衣服を整える。
「……服、しわになっちゃったわね」
「うん……お母さん上手くごまかさないと」
自分と愛、そして拓也の服を見比べたしな子は苦笑いを浮かべて同意する。
「……でも、楽しかったわね」
「うん。榎木君のこんな格好、もう見られないもんね」
「あ、そうだ」
しな子の言葉に何かを思い出したように手を叩くと、愛は軽快な足取りで部屋を飛び出す。
ほどなく戻ってきた愛の手にはカメラが握られていた。
「今のうちに撮っちゃいましょ」
意図を理解したしな子は、拓也の髪を軽く整えてやると、愛の方に軽く顔を傾ける。
「だけど……本当に、髪型変えたら女の子みたいよね」
「そうね。まだ毛も生えてないし」
愛の言葉に思わず拓也の全身に毛が生えている所を想像してしまったしな子は、
慌てて首を振って妄想を打ち消した。
「榎木君も、いつかは生えちゃうのかなぁ……」
「そうね……」
心底悲しそうなしな子の呟きに愛もしみじみと同意して、二人で顔を見合わせると深々とため息をつく。
そのため息に反応するように拓也は身じろぎすると、ゆっくりと目を開けた。
「榎木君、おはよう」
「ん……おはよう」
まだ事情が飲みこめていない拓也だったが、カメラに気が付くと身体を跳ね起こす。
「槍溝さん……もしかして、写真撮った?」
「撮った」
「かっ……返してよ!」
「大丈夫よ。私達のも拓也君にあげるから」
「そっ、そういう問題じゃなくって!」
「あら……榎木君、あたし達の写真なんかいらないってこと?」
口で対抗できない事を悟った拓也は二、三度空しく口を開くと、がっくりと肩を落とした。
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