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「もういいかしら?」
拓也がしぶしぶながら着終わる直前、
どこかで見ていたかのような絶妙のタイミングで愛が入ってきた。
「うわっ、ノ、ノックくらいしてよ」
「あ、ごめん」
全然悪びれた様子もなく愛は口だけ謝ると、拓也の全身を舐め回すように見る。
「ふーん……」
「あ、あの…」
遠慮の無い視線に恥ずかしくなった拓也が身体を縮こまらせようとすると、
愛はやや声を低めて命令するような口調を作った。
「拓也君」
「な、なに」
「気をつけ」
いつのまにか身体が受け入れてしまったのか、拓也は考える間もなく反射的に従ってしまう。
愛は満足そうに頷くと、拓也の右側に回りこみ、
それにあわせるようにしな子が左側から拓也を観察した。
「さすがに肩幅はちょっと広いわね」
「……でも、良く似合ってる」
「ええ。竹中君も似合ってたけど、拓也君も同じ位似合ってるわね」
「……竹中君にもこんなことしたの?」
言いながら、拓也はやきもちに似た感情を抱いていた。
それは自分では気付くことの無いほどわずかなものだったが、その名残が語尾に滲み出ていた。
それを敏感に感じとった愛は少しからかうような口調で拓也に言う。
「竹中君の女装、見たかった?」
「そ、そんなんじゃないけど」
「そう……ま、いいわ。あとは」
愛はそこで言葉を切ると、じりじりと拓也に近づいていった。
不穏な気配を感じた拓也は愛が近づく分だけ下がろうとするが、再びしな子に両肩を掴まれてしまう。
愛は素早く動きの止まった拓也の服の中に潜りこむと、両足を抱えこんだ。
「な……なにするの?」
「いいからいいから」
裾に阻まれて何をされているのか全く判らない拓也は、
下着に愛の指が触れる感触を感じて、軽いパニックに陥る。
「痛っ」
もがくように暴れた拓也だったが、自分の腰の辺りから聞こえる愛のくぐもった声に一瞬動きを止めた。
「あ、あの……槍溝さん?」
自分がどこか蹴ってしまったか、不安に駆られて愛の名前を呼ぶ。
「うそ」
声と共に、一気に足首まで下着を引き降ろす愛。
また愛に引っかかってしまった事に気が付いた拓也は、
身体の力が抜けてしまい、しな子にもたれかかった。
「ちょ……榎木君?」
しな子は慌てて抱きとめるが、
拓也の呆けたような顔を見ていると愛おしさがこみあげてきて、
自分の頬を拓也のそれに擦りつけながら、唇を這わせていく。
愛は今拓也がどんな表情をしているか気になったが、
やろうとしていた事を思い出すと、用意した下着を手際良く履かせた。
「深谷さん深谷さん」
愛は立ちあがると正面から拓也を抱き締めて、後から裾を持ち上げて尻を丸見えにしてしまう。
「うわ、すごーい……」
「前も見てみる?」
愛の言葉にしな子は生唾を飲み込んで頷いた。
「じゃ、場所交代」
場所を代わってもらったしな子は興味津々といった面持ちで拓也の服の中に潜りこむ。
「うわぁ……」
まだ勃起していない為にかろうじて下着の中に収まっているものの、
面積も小さく、更に透けている部分の方が多い下着は、
本来の役目をほとんど果たさず拓也のペニスを所々覗かせている。
それは女物の下着から覗く男性器、というアンバランスさと相まって、
ひどく劣情をそそる光景だった。
もちろんしな子はまだ劣情を抱く、という所まではいかなかったが、
それでも視線を固定させてまばたきもせずに見続けている。
背後に回った愛は拓也の体を支えてやりながら、
むきだしになっている尻に手をあてがうと、そっと撫でまわした。
少し冷たい愛の手の刺激で我にかえった拓也は、反射的に腰を前に突き出すが、
それは必然的に反対方向から少しずつ近づいていたしな子の顔に
思いきり押しつける格好になってしまう。
「きゃっ……!」
驚いたのは、むしろしな子の声を聞いた拓也の方だった。
自分が何をしてしまったか気付いた拓也は、しかし、何をどう謝ったものか悩んでしまう。
「あ、あの、その……ごめんね」
「う……うん」
「深谷さん、いい機会だから、挑戦してみたら?」
消えいるような拓也の声に、更に消えいりそうな声でしな子が答えると、
それに被せるように愛がしな子を誘った。
目的語を省いた愛の言葉を正確に理解したしな子は軽く息を呑むと、
裾の中から顔を出して拓也の顔を見上げる。
肩越しに顔を覗かせた愛は、拓也に見えないように笑みを浮かべると、小さく頷いた。
「ちょ、挑戦って……」
「すぐに解るわよ」
一人解らない拓也は、不安を覚えて後の愛に尋ねるが、
愛ははぐらかすように拓也の頬に軽く唇を触れさせると、拓也の尻に当てていた手を動かし始める。
「んっ……」
ほとんど掴むようにしながら、大きな円を描くような動きで揉みしだく。
自分の物とは違う、筋張った感じが愛には興味深い。
「こうやって触ってると、いま拓也君女の子の格好してるし、なんだか痴漢してるみたいよね」
「嫌……だ……、そんな、の……」
しかし、拓也はくすぐったそうに身をよじっているが、
気持ち良さそうにはしていない事に気が付いて、耳元で疑問を口にした。
「拓也君…あんまり、気持ち良くない?」
「う……うん。くすぐったいけど、気持ち良くは……」
「そう……じゃ、これは?」
耳たぶを軽く咥えて、舌先で突っつくようにすると、すぐに拓也は声と身体の双方で反応する。
「っ……少し……気持ち、いい……」
「……そういうものなのかしらね」
実体験で男女の性感帯の違いに気が付いた愛は、好奇心に駆られて拓也の全身を愛撫し始めた。
再びドレスの中に潜りこんだしな子は、拓也の股間に顔を寄せると、下着の上からそっと触れてみる。
拓也の視線を感じる事のない、という状態がしな子の気を大きくしたのか、
半ば握るように掌全体で覆ってゆっくりとさすると、
まだ性の入り口に立ったばかりの若いペニスはすぐに反応して熱を帯び、大きくなり始めた。
「おっきく……なった……」
完全に勃起したペニスは、下着の中で窮屈そうにその存在を誇示していたが、
しな子は初めて自分の手で大きくしたそれを愛しそうに潤んだ瞳で見やると、そっと口付ける。
「うぁっ………!」
生暖かい舌先が己の屹立に触れると、思わず拓也は近くにあった愛の手を握り締めた。
その手を握り返してやりながら、愛はもう片方の手を拓也の胸元へと忍ばせる。
「……どうしたの?」
拓也が答えられないのを解っていながら、愛はあえて尋ねる。
「あ、あの……っ、ん」
案の定答えに詰まってしまった拓也の乳首を優しくつまむと、
しな子にしてやる時のように指腹でさすり始める。
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