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「いいなぁ……あたしも見たかったなぁ、それ」
「ごめんなさいね。深谷さんまでいたら、いくら拓也君でも絶対やってくれないと思ったから」
「うん……そんな感じよね……しょうがない、か。でも、後でその下着見せてね」
「ええ。それにしても……アレは絶対共犯者がいたわね」
「共犯者?」
「だって、私ずっと見張ってたのに見失っちゃたし、
それなのに下着はちゃんと、それもすっごいの買ってきてるんだから」
あまりに力説する愛に、しな子は思わず吹き出してしまう。
「んあ?」
「な、なんでもない」
「そう……ま、いいわ。はい、次腕ね」
意外なほどあっさり愛は引き下がり、しな子の腕を洗い始めた。
さっきの会話で緊張もほぐれたのか、しな子は軽く目を閉じて愛が洗うのに身を任せていたが、
やがて愛がスポンジを使わず、手に直接石鹸をつけて擦っているのに気がつく。
(でも……気持ちいいから、もう少しだけ黙ってようかな)
しな子がうっとりとしてしまうほど、愛の洗い方は情感にあふれていた。
掌を押し付けて泡を伸ばして、指先で擦りこむ様に腕全体を這いまわしていく。
少しずつ、快楽になる一歩手前のやわやわとした刺激に、
しな子はいつのまにかすっかり虜になってしまっていた。
愛は手首まで洗うと一度肩の方へ戻って、二の腕の内側から腋の下の、
特に刺激に弱い場所を触り始める。
「ん……」
しな子の口から軽い吐息が漏れる。
愛はその事に満足を覚えたが、それ以上本格的に快感を与える事はせず、
簡単に洗い終わるとすぐに手首から先へと移動させた。
力無く開いていたしな子の手を取ると、手の甲から指先まで、優しく、丹念に洗う。
じわじわと押し寄せる快感の波に、しな子は呼吸が大きく、深くなっていき、
下腹部が熱を帯び始めるのがわかって、愛に気付かれないように膝をすりあわせた。
(もっと……指、触って欲しいな……)
もどかしい愛の指に耐えかねたように、しな子は自ら指を動かして求め始めるが、
再び愛は逃げるように指を引いて、反対側の腕へと行ってしまう。
ようやく焦らされていることに気が付いたしな子だったが、
自分からそれを告げるのはまだ恥ずかしく、愛の思惑に素直に乗ってしまうのもしゃくだったので、
この場は我慢を続けることにした。
愛はそんなしな子の忍耐を試すように、指先を集中して愛撫し始めた。
両手でしな子の手を挟みこむと、爪と指腹を同時に撫で上げる。
「……!」
さっきの倍以上の快感がしな子の腕を駆け上り、手のほうを振り向きたかったが、
振り向いた先で愛がこちらを見ていると思ったしな子は、顔をそむけて必死に耐えた。
そうすると自分の手に何をされているのか全く判らなくなってしまい、
余計に自らの快楽を煽ることになってしまう。
掌に指を押し当てながら、もう片方の手で指先をしごきたてる。
ひねりを加えながら上下する指先に、しな子は思わず声を上げそうになってしまい、
とっさにごまかした。
「や……槍溝さん」
「何?」
「いつも……そんな風に洗ってるの?」
「そんな訳ないじゃない」
「!」
あまりにも正直な愛の答えに言葉を失うしな子。
「今日はもう、あなたを愛する一心で」
愛が本気で言っているのか否か、顔をそむけているしな子には判らない。
それでも、夕刻の教室の中での言葉と、
今の言葉が混ざり合って、しな子の心を暖かく満たしていく。
「それじゃ……前も、洗うわね」
だから、愛がそう言った時、しな子はほとんどためらわずに頷いていた。
愛はしな子の足の間で両膝立ちになってしな子と向き合う。
「槍溝さん……」
想いが昂ぶったのか、しな子は瞳を潤ませて愛に顔を近づけていく。
愛はそれを逆らわずに受け入れて、唇を重ねた。
「ん……」
しな子の方から舌を伸ばして唇に触れさせると、愛も口を開いて応じ、
すぐに舌が絡み合いだし、しな子はぎこちないながらも一生懸命動かして愛を求める。

決して短くはない時間、二人はキスを続けていたが、
愛が顔を離してもしな子はまだ物足りなそうに愛を見た。
「まだ……キスしたいの?」
「………うん」
しな子が照れてうつむいてしまうと思っていた愛は、
予想外の返事に面食らいながらも、しな子を優しく諭す。
「でも……だめよ。身体洗わないと」
愛はスポンジを手に取ると、しな子の身体を泡だらけにしていった。
首筋から鎖骨へと、少しずつ洗う手を下に降ろして行き、まだ固さの方が強い胸に触れる。
「ぅ……ぁ……」
スポンジで片方の胸を擦りながら、もう片方の胸も掌で押し付けるように洗いだした。
掌の真中にしな子の乳首が当たり、そこを中心に円を描くように掌を動かすと、
だんだん硬さを帯びてくるのが伝わってくる。
愛がしな子の顔を見上げると、しな子はもう欲情しているのを隠そうとせず、
物欲しそうに愛の顔を見つめていた。
「気持ちいい……の?」
しな子の顔を見ている内に自分も興奮して来た愛は、声をかすれさせながら尋ねる。
「うん……泡で滑って、いつもと違う……感じ……」
「じゃあ……これは?」
愛はすっかり硬くなったしな子の乳首をつまむと、指先で擦り上げる。
「やっ……ん、……っ……」
しな子は気持ち良さそうに声を上げて愛に続けるよう促すが、
愛は数回擦るとすぐになだらかな丘を下ってしまう。
腹部へ辿りつくと、肌触りを楽しむようにわき腹から身体の中心へと手を滑らせた。
へその周りを人差し指だけでなぞると、しな子はそこが弱いのか、
踵を浮かせて身体をのけぞらせる。
「っ、ねぇ、槍溝……さん……もう……」
「もう……こんなに……なってるのね」
愛が指先をスリットに潜りこませると、熱い液体が指にまとわりつく。
「だって……槍溝さんに、触られてるって、そう考えると…どんどん、熱くなって……」
(……ま、いいか)
愛は軽く笑うと、しな子の膣に指を差し込んだ。
「やっ、あっ……」
散々焦らされていたしな子は、愛が数回指を動かしただけで切なげに喘ぎ、
限界が近い事を愛に伝える。
「やり……みぞ、さん、あたし……も、だ、め……!」
しな子は愛の肩を掴むと、大きく身体を痙攣させて絶頂を迎える。
倒れないように支えてやりながら、愛はさりげなくしな子の身体を抱き締めていた。



「結局、最後までしちゃったわね」
愛は浴槽に浸かりながら、身体を流しているしな子に話しかける。
「……槍溝さん、最初からそのつもりだったんじゃない?」
「だって…深谷さん、こんなに感じやすいとは思わなかったんだもの」
図星をつかれたしな子は悔しそうに黙り込んでしまう。
(今度こそ……今度こそ、あたしが主導権握るんだから)
しな子は決心も固く愛の顔を見つめる。
「深谷さん?」
愛は自分の顔を見つめたまま動こうとしないしな子を、のぼせたのかと思って心配する。
「……え? あ、なんでもない。あたし、もう出るね」
しかし、しな子はそう言うと勢い良く浴槽から上がって、さっさと風呂場から出て行ってしまった。
愛はしな子が怒っているのかと思ったが、妙に張りきっている様子を感じて、
不思議そうに首を傾げた。



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