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縄に引きずられるように寝室に連れてこられたエリーとアイゼルを待っていたのは、
腕組みをして立っている全裸のマリーだった。
たった今までシアと愛し合っていたばかりのマリーの肌は薄朱く染まり、
下腹部は濡れて妖しい光を放っていて、否が応にも二人の視線は惹きつけられてしまう。
「どう? 縄の感じは」
髪の毛と同じ色をしている恥毛と、それに覆われた密やかな場所を、
隠すどころか見せつけるようにしながら、マリーは二人にそう切り出した。
自分の身体を見下ろしたエリーは、外では暗くて判らなかったが、
生きてる縄が自分の身体の隅々まで千年亀の甲羅のように張り巡らせれている事を知る。
更に、アイゼルに破かれた部分から素肌が覗いてしまっていることにも気付いて、
さりげなく両足を閉じてばれないように祈ったが、
幸運にもマリーの顔はアイゼルの方に向けられていた。
「いい訳ないでしょう。早くほどきなさいよ」
気丈に突っ張って見せるアイゼルだったが、マリーは軽く笑みを浮かべると
身体を縦に走っている縄の一本を引っ張る。
「そんな事言わないでさ、せっかくだからもう少し味わってみてよ。
こういう風に縛る動きをするようになるまで、結構苦労したんだから」
「やっ……、止め……なさいよ……」
マリーが縄を引く度、ついさっきまでエリーが触れていた、
敏感になり過ぎている場所に縄が食い込んで激しい痛みをもたらす。
アイゼルは踵を浮かせ、膝をすり合わせてなんとか少しでも痛みを和らげようとするものの、
マリーが容赦なく縄を引き上げると、遂に耐えきれなくなって床に崩れ落ちてしまった。
「あら? まだ全然力入れてないんだけどなぁ?」
「マ、マリーさん……」
昨日までとは打って変わったようなマリーの態度に怯えたエリーは後ずさりする。
そんなエリーを、マリーは彼女の身体に張り巡らされている縄を掴んで自分の方に引き寄せ、
お尻の肉を乱暴に握った。
「痛っ……!」
「勝手に覗くなんてさ、エリーったら本当にいけない子なんだね」
「それは……あの、ごめんなさい……」
エリーは柔らかい部分に爪を立てられて顔をしかめるが、マリーの手は緩む様子もなかった。
「マリーったらね、最初から気付いていたけどあの子達に見せてあげましょうって」
「そ、それはシアが言ったんでしょ!」
「あら、だってマリー見られながらするの好きでしょう?」
「それは……ってそう言う事じゃなくって」
マリーの後ろで申し訳程度にシーツを纏ったシアが、
毒の無い口調でさらっと彼女の性癖を口にすると、余裕だったマリーの表情が途端に崩れる。
「と、とにかく、勝手に覗いたあなた達には罰を受けてもらわないとね」
「マリー、私こっちの子がいいな」
少し脅してやるつもりでしかつめらしく言おうとしたマリーだったが、
あくまでもマイペースで勝手に話を進めるシアに恨みがましい視線を向けた。
「シア〜。せっかく雰囲気出してるんだから、ちょっとは付き合ってよ」
「いいじゃない。どうせする事は同じなんだし」
動じる事なく笑ったシアは、アイゼルの前に立つと彼女と同じ、薄く透き通った緑色の瞳を向けた。
「あなたがエリーのお友達ね。私はシア。よろしくね」
穏やかな笑みをたたえながら、こんな状況で場違いな挨拶をするシアに、
アイゼルはわざとらしくそっぽを向いたが、シアは気にした様子も無かった。
「ふふっ、口の聞き方を知らない子にはおしおきしてあげないとね」
「い、嫌、何するのよ、止めなさいよ!」
傍らに置いてあったはたきを手にすると、アイゼルのスカートを捲り上げる。
抗おうとしたアイゼルは、シアに腰を抑えつけられただけで身動きが取れなくなってしまった。
「離して! 離しなさいったら!」
「あら、こう見えても私、結構力強いのよ」
「そうそう、冒険の時も、シアのおかげで随分助けられたもんね」
よつんばいにされて、お尻を高々と持ち上げられたアイゼルは必死で身をよじるが、
両腕をしっかりと縛られてしまっていてはどうすることもできなかった。
にこやかに笑いながらお尻に狙いを定めるシアの言葉に、
マリーはエリーのうなじに吸い付きながら頷く。
「いくわよ」
勢い良く腕が振り下ろされると、布で出来ているはずのはたきが乾いた音を立てた。
小さな寝室の中に響きわたったその音に、エリーは思わず首をすくめてしまう。
「きゃぁあっ……!」
アイゼルの悲鳴が消える前に二撃目が加えられ、白いお尻に赤い腫れが醜く跡を残す。
シアがその跡を愛おしげに指で辿ると、アイゼルの口から苦痛と、
過敏になっている場所を触れられたくすぐったさめいた物が混じった悲鳴が上がった。
「痛い? でも、もう少し我慢してね」
「や……やだ、止めて……あぁぁっ!」
更に三度、シアの手が打ち下ろされると、
アイゼルのお尻はほとんど全体が真っ赤に染まっていた。
ひくひくと蠢くお尻を軽く撫でると、シアはアイゼルの身体を起こしてやる。
「名前を聞いてもいいかしら?」
「ア、アイゼル……ワイマール……です……」
子供の頃でさえされたことの無いお尻たたきに、
痛みと恥ずかしさで何がなんだか判らなくなってしまっているアイゼルは、
シアの問いに涙混じりの声で素直に答えていた。
「ワイマールって……あのワイマール家の?」
自分の家を知っているらしいシアの言葉に、アイゼルの顔が青ざめる。
ザールブルグで有数の富豪であるシアがワイマール家の事を知っているのは当然だったし、
もう少し考えればこんな事情を知られてまずいのはシアの方なのだが、
今のアイゼルにそこまで気付く余裕は無かった。
「あ、あの……家には、言わない……で……ください、お願い……します……」
もとよりシアは言うつもりなど無かったが、アイゼルがそう望むのなら従ってやることにした。
ただし、条件をつけて。
「そうね、それじゃあ……これから私の事、お姉様って呼んでくれるかしら?
そうしたら、あなたの事は黙っていてあげる」
シアの申し出はどう考えても奇妙なものだったが、アイゼルはほとんど反射的に頷いていた。
「わ、わかった……わかり、ました……」
「それじゃ、早速呼んでみてくれる?」
「……シ、シア……お姉……様……」
「ふふっ、ありがとう。改めてよろしくね、アイゼル」
優しくアイゼルの肩を抱くと、安心させるようにキスをする。
「ん……っ、ぁふ……ん……」
壊れ物を扱うように抱きすくめられて、恐怖に満ちていた心が溶けていく。
アイゼルはわずかに身じろぎしただけで、初めてのエリー以外の他人とのキスを受け入れた。
身体は縄でがんじがらめにされていたが、その事も忘れてシアと舌を絡め始める。
「う〜ん、すっかりシアの言う事聞くようになっちゃったね」
あっという間にアイゼルを篭絡してしまったシアの手練手管に、
感歎しながらもどこか呆れたような口調でマリーが呟いた。
「でもあの子、少し痛いのが好きみたいね……あなたが教えたの?」
「あ……はい……」
そう尋ねながらマリーはエリーをベッドに組み敷く。
アイゼルがあっさりとシアとキスした事に少なからずショックを受けていたエリーは、
マリーの問いにも心ここにあらずと言った風だった。
「ふーん、どうりで昨日もすぐ感じた訳だ」
「あら、マリーったら浮気してたのね」
目も口も呆けたように開きながらアイゼルの方を見ているエリーが可愛く思えて、
マリーは後輩の少女のすべすべした頬を人差し指で撫でながら呟いたが、
耳聡くそれを聞いていたシアが会話に割りこんできた。
エリーの上でしまった、という顔をしたマリーは、しどろもどろになって言い訳を始める。
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