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ささやかな望みも断ち切られたエリーは哀しげに目を伏せると、ゆっくりと服を脱ぎはじめた。
もどかしい程ゆっくりと姿を現す彼女の肌を、アイゼルは瞬きすら惜しむように凝視する。
全て脱ぎ終えたエリーは、アイゼルが何も言わなくても自慰を再開した。
エリーの胸はその体付きに相応しく小ぶりなものだったが、
その中央にある突起は既に硬くしこっていた。
指先でひっかくように乳首を刺激するのが彼女のやり方らしく、
時折親指を添えて摘み上げるようにしながら自らを慰める。
やがてそれだけでは物足りなくなったのか、もう片方の手を自分の下半身にあてがうと、
すぐに蜜をかき混ぜる淫らな音がアイゼルの鼓膜を叩きはじめた。
彼女は初めて見る他人の自慰に、ひどく興奮してしまい、
半ば無意識に、エリーの指先をまねるように自分の秘所をまさぐる。
(やだ……わたし、まで……こんな……気持、ち……)
最初は遠慮がちに手を動かしていたエリーも、アイゼルに見られているのが興奮を増幅させるのか、
いつしか大きく足を開いて腰を浮かせるようにしていた。
しかし陰核をゆっくりとこすりながらも、なかなか奥までは指を挿入しようとしないエリーに、
アイゼルは何か引っかかる物を感じて尋ねてみる。
「どうして欲しいのか言ってごらんなさいよ」
「アイゼルの……ゆび……入れて……」
「その前に教えてもらおうかしら。あなた、私に何飲ませようとしたの?」
秘密を暴かれたエリーの瞳が瞬時に恐怖に満ちる。
「あ、あの……」
「言ってごらんなさいよ。私は媚薬を友達に飲ませようとしたんです、って」
「ごめん……なさい……わたし……お願い、嫌いに……」
媚薬は性欲以外の感情をも増幅させるのか、
エリーは目に涙を浮かべながらうわ言のように謝り続けた。
「どうしても……アイゼルに……アイゼルのこと、好きだった……から……」
予想はしていても、その言葉はアイゼルの胸を激しく撃った。
同性からとは言え、こうもはっきりと想いを伝えられたのは初めてと言うのもあったが、
それよりも、自分こそが彼女に焦がれていた事を再確認させられたからだ。
それが嗜虐的な物であったとしても、欲しいと思う気持ちは嘘ではなかった。
「わかったわよ。そんな恥ずかしいこと平気で言う変態のあなたには、おしおきしてあげないとね」
言い終えるのとほとんど同時に指を埋めた。
半分ほど膣内を進んだ指先が急に狭さを感じるのと同時に、
熱い肉壁が、侵入してきた異物を食いちぎろうとするかのように締めつける。
「うぁっ……!」
逃れるように腰を浮かせたエリーは、短く叫び声を上げるとぐったりとしてしまった。
「あなた……挿れただけでイッちゃったの? ……でも、まだよ」
自分の太腿を伝い出した蜜の熱さを感じながら、
アイゼルは達したばかりのエリーを容赦なく再び責める。
「や……お願い、それ……だめ……」
自分の膣内で折り曲げられるアイゼルの指が苦痛にも似た快楽を与え、
エリーは逃げるように腰を引こうとした。
「こんな……いやらしい……だめよ……わたし……」
アイゼルは熱にうなされたように呟きながら、エリーの体内に埋めた指を出し入れさせ、
足の上に跨ると、自分の疼いている場所を押しつけて前後させる。
「く……ぁ……」
もうその程度では全然物足りなかったが、それでもしないよりはまし、
とばかりに次第に腰の動きを速め、床をかきむしるようにしているエリーの手を掴むと指先を絡めた。
その手が握り返された時、アイゼルは自分の中で何かが弾けるのを感じて、
一際深く指を突きいれる。
「……アイ、ゼルぅ……!」
か細く叫ぶ声を遠くに聞きながら、アイゼルはゆっくりと崩れ落ちていった。
エリーは床に突っ伏したアイゼルの頭を腕枕で支えてやりながら、
もう片方の手で髪の先端をそっと掴んだ。
「アイゼル……」
「あなた……そんなに私のこと好きなの?」
「うん……好き……好き、なの……」
「そう……じゃあ、これから、私の言うこと聞ける? 私だけのあなたになれる?」
求めていた言葉にエリーは少しの迷いもみせずにこっくりと頷くが、
アイゼルはそれでは満足できず、耳たぶに爪を立てて命令する。
「ちゃんと口で言いなさいよ」
「うあっ……! ご、ごめんなさい……聞きます、言うこと、聞きます……から……」
「……わかったわ。あなたはもう、私の物よ。いい?
男でも女でも、他の人のこと好きになったりしたら、許さないから」
アイゼルが言った言葉の意味を噛み締めるように数秒沈黙した後、
エリーは耐えかねたようにアイゼルに抱きついた。
「うん……わたし……アイゼルの物になるよ……だから、だから……」
それ以上は言葉にならずに、アイゼルの肩越しに泣き始めてしまう。
多分、薬の効果が切れたらさっきのことなど忘れてしまっているだろう。
そしてこれからも変わらない関係が続くに違いない。
それでも、一時だけは。
誰の物でもない、自分だけのエリーに出来たことに、深い満足感に包まれたアイゼルは、
まだ泣き止まない彼女をそっと抱きかかえ、静かに眠りに落ちていった。
「ん……」
アイゼルが目を覚ますと、辺りは薄暗かった。
どうやらすっかり眠ってしまったらしい。
目をこすりながら身体を起こしたアイゼルは、傍らに人の気配を感じて置かれた状況を思い出した。
(多分……覚えてないわよね)
残念そうに首を振ると、彼女が裸なのを思い出して上着をかけてやる。
彼女が目を覚まさない内に帰ろうとしたが、床に足を着いた所で裾を掴む手の気配を感じた。
「アイゼル……」
「起こしちゃったわね」
「……ごめんね、アイゼル」
「何を謝っているのか判らないけど、今日はもう寝なさい。
それで明日はアカデミーに来るのよ。ノルディスが随分心配してるわよ」
心にも無い事を言いながら、アイゼルはエリーの顔を見ないように立ちあがる。
しかし、エリーは握った裾を離そうとはしなかった。
「ノルディスなんて……どうでもいいよ……だって……わたし、もうアイゼルの物……だし……」
恥ずかしそうに、消え入るような声でエリーが告げるのをアイゼルは呆然と聞いていた。
散々に泣き腫らした目で自分一人を真摯に見つめるエリー。
その顎を、震える手で触れる。
「……本当に、いいの? 私、あなたが思ってるよりずっとひどいことするかもしれないのよ」
「うん……いいよ。アイゼルがする事だったら……我慢できると……思うから」
「……そう。気が変わったわ。今日は泊まっていくわ。いいでしょ?」
「うん!」
アイゼルはもう服が乱れるのも構わずエリーの上に覆い被さると、
彼女の唇に長く、激しい誓約のしるしを与えはじめた。
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