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「いいわ。あなたも仲間に入れてあげる」
顎の先端に辿りついた指先を唇へと這わせ、こじ開けるようにミルカッセに含ませる。
されるがままに薄く開かれた口に軽く唇を触れさせると、優しく吸い上げた。
少しからかってやればもう自分達につきまとおうとはしないだろう。
そう思ったアイゼルだったが、
ミルカッセの口内に舌を滑りこませた時その表情が一変した。
もちろんキスには自信があったからこういう手段に出たのだが、
ミルカッセはそれ以上の動きでアイゼルの舌を絡め取る。
慌てたアイゼルはなんとか反撃に出ようとするが、
ミルカッセの舌は彼女の動きを封じるように巧みにくねり、翻弄する。
防戦一方になってしまったアイゼルは快感の波に呑まれるのを必死で耐えながら
なんとかミルカッセから口を離すと、肩で大きく息をしながら尋ねた。
「あなた……こういうの初めてじゃないの?」
「はい。修道院にいた時に」
ミルカッセの声は弾んでいて、今にも踊り出しそうなくらいだった。
「私、前からエリーさんとアイゼルさんの仲が良いのを羨ましく思っていたんですけど、
仲間に入れて頂けるなんて嬉しいです!」
アイゼルは作戦の失敗を悟ったが、今更邪険にする訳にもいかなかった。
態度をどうしようか決めかねているうちに、
ミルカッセは積極的にエリーの方に顔を寄せる。
「エリーさん……」
ミルカッセは事態の急展開についていけず呆然としているエリーの頬を優しく撫でると、
軽く唇を触れさせた。
「あ……ぅ……ミルカッセ……さん……」
その穏やかな顔立ちからは想像も出来ないほど強引なキスでエリーの舌を貪る。
アイゼルでさえも囚われてしまいそうになったその技巧に、エリーが抗えるはずはなかった。
あっという間にぐったりとしてミルカッセにしがみつくエリーを見て、
アイゼルは嫉妬の視線をミルカッセに向ける。
(負けるもんですか)
焦りを感じたアイゼルはミルカッセに対抗するようにエリーの下半身に手を伸ばした。
剥き出しの足を開かせると、太腿を激しく吸い上げる。
「ん……んむぅ!」
あまりに強い刺激にエリーがくぐもった声を上げるが、
ミルカッセは口を離そうとせず、
暴れようとするエリーにのしかかって抑えこむと更に激しいキスを始めた。
(何よ、エリーったら)
自分以外の人間に感じている事に腹を立てながら、
アイゼルはエリーの弱い所を集中的に責める。
逃れようとするエリーの足を抱え込んで歯を立てると、
エリーが自分の所有物である事を告げるかのようにその柔らかい腿を強く噛んで歯型を残す。
「んっ! ……ん……む……ぅ……」
悲鳴を上げるエリーに構わずしばらく噛み続けていたアイゼルは、
口を離すとくっきりと歯型がついているか舌先で確認していく。
軽く窪んでしまった肌に走る、痛みに被さるような優しい舌の感触に、
エリーの呻きが鼻にかかった甘い物に変わる。
その声を満足そうに聞きながら、
アイゼルは自分が付けた痕を飽きることなく舐め続けていた。
「お願い……アイゼルも、ミルカッセさんも……ちょっと、待って……」
ようやく口を離してくれたミルカッセに、エリーは息も絶え絶えになって哀願するが、
その声は二人を興奮させるだけだった。
ミルカッセはエリーを抱きかかえるように起こすと、
背後から腕を回して胸の大きさを確かめるようにゆっくりと撫ではじめる。
アイゼルはエリーとキスがしたくなって顔を上げたが、
ミルカッセの視線を正面に感じて動きを止めた。
「エリーは私の物ですからね」
「はい。私はエリーさんもアイゼルさんも好きですから」
意識してか否か、アイゼルのとげとげしい言葉も柔らかく包むように受け止めると、
ミルカッセはアイゼルに場所を譲るように頭を下げ、
エリーの首の裏側にキスを浴びせはじめた。
軽くかわされた気がしてアイゼルは気に入らなかったが、
今は目の前のエリーの唇を奪う方が大事だった。
「ん……」
ミルカッセとのキスで既に柔らかくとろけているエリーの舌を奥深くまでねぶる。
口をぴったりと塞がれて苦しそうな呻きが漏れたが、構わず続ける。
口の中に広がる快感に対して習慣として身についてしまったのか、
エリーの手が背中にしがみついてくるのを感じると、
アイゼルは少しだけ満足してエリーにひと息つかせてやる事にした。
「ぅ……ぁ……ひどいよ、アイゼル……! やっ、ミルカッセ……さん……?」
唇の周りを妖しく光らせながらエリーは抗議の声を上げようとしたが、
途中で息を吸いこむような、奇妙な声に変わってしまう。
アイゼルが視線を下げると、エリーの夜着の中で胸がいびつに盛り上がっていた。
「エリーさんの胸……柔らかいんですね」
胸を揉む時の動きなどそうはあるはずも無いのだが、
ミルカッセはキス同様こちらの方も経験豊富であるらしく、
エリーはたちまち胸がもたらす快感の虜になってしまった。
「もう、こんなに硬くなってますよ。ほら」
エリーの服の中で、ミルカッセの指が何かをつまむような形になる。
「あ……そ、こ……」
「気持ちいいんですか?」
「……うん……あっ、それ……」
「ね、今度、エリーさんのおっぱい、吸わせてくださいね」
「そんな……の……はずか……やぁっ、やめ……わかり……ました、から……」
ミルカッセの胸に頭を預けて快楽に身を浸すエリーに、
アイゼルの心に再び嫉妬心が巻き起こる。
エリーの、もうすっかり濡れてしまっているところに指をあてがうと、
吸いこまれるように入っていった。
奥深くまで埋めた指を掻き回すと、腰がひくついてアイゼルに感じている事を示す。
いつもはもっとゆっくり、お互いに昇りつめていくのが二人のやり方だったが、
今日はそんな気になれなかった。
指を中ほどで折り曲げて、エリーの一番弱い所を刺激する。
途端に腰が浮いて、逃げるように身体を上にずらすエリーだったが、
アイゼルは容赦なく指を押しこむと内壁に擦りつけて責め立てる。
「だめ……わたし……ゃ、ぁ、……もう、だめ……!」
エリーの足はつま先まで伸びて、腕はミルカッセの身体を掴む。
ほとんど一気に絶頂を迎えてしまったエリーは、そのままぱったりと気を失ってしまった。
自分の身体の疼きを持て余したアイゼルは、一人で慰めようかどうか迷っていたところを、
突然背後から抱きすくめられて草むらに押し倒されてしまった。
そのまま唇を奪われて、舌を差し入れられる。
さっき危険を感じた舌の動きが再びアイゼルを襲った。
先手を取られてしまったアイゼルに抗う術はなく、ミルカッセが満足そうに唇を離した時は
もう全身の力が抜けてしまっていた。
「ふふ、アイゼルさんも可愛がってあげますね」
「い、いや、待って……んっ……」
ミルカッセは妖艶な笑みを浮かべると、アイゼルの首筋に吸いつく。
すぐにアイゼルの悲鳴とも嬌声ともつかない声が、誰も聞くもののいない草原に響きはじめた。
「エリーさん、アイゼルさん、早く行きましょう!」
朝の心地良い風が吹き抜ける草原に、ミルカッセの声が響き渡る。
その後ろを昨日よりも更に疲れた様子でエリーがついていく。
「……アイゼル、何とかしてよ〜。あれじゃ身体が持たないよ」
「……知らないわよ」
結局あのまま気を失ってしまったエリーは、まぶしさを感じて恨めしそうに太陽を見上げた。
アイゼルは昨日あんなに激しかったのに何故か今日も機嫌が悪いままで、
エリーは途方に暮れたように地面に視線を落とすと歩き始める。
ふと目の前に人影を感じて顔を上げると、いつのまにか戻ってきたミルカッセが立っていた。
肩を貸してくれる物だと思って近づいたエリーだったが、
ミルカッセはそのままエリーの横に立っている少女の腕を取る。
「行きましょう、アイゼルさん」
「そ、そうね。エリー、私達先に行っているから後からおいでなさい」
アイゼルは照れたように答えると、ミルカッセの腕を振り払うどころか、
自分から身をよせていく。
「……アイゼル? ミルカッセさん?」
エリーは自分を置いて、
まるで恋人のように腕を絡めて歩き出すアイゼルとミルカッセを呆然としながら見送っていた。
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