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それは、唐突に俺の目の前に現れた。
白い絵の具で塗ったような肌、まだ東京が球体で無かった頃に数度だけ見たことのある、
日の出の太陽のような淡い金色の頭髪、そして、背中から生えた大きな翼。
見る者に天使以外の何者をも想起させない、神性。
しかし俺がひれふすことなく拳を固めたのは、彼女が纏う衣服によってだった。
俺とさほど背丈の変わらない、宙に浮いていることで俺よりも頭ひとつ高い天使は、
衣服と呼ぶのさえはばかられる、胸と下腹部に巻いただけの黒い、帯状の布。
顔にも同様の目隠しを巻き、そして首にはやはり黒の、長い鎖の付いた首輪を嵌めていたのだ。
無条件に神を信じるにはいかがわしすぎるその格好に、俺は警戒を解かない。
だがエンジェルは、恐れる風もなく近づいてきた。
敵意を持っていないのではない、最初から俺など眼中にないといった態度だ。
そのあまりの無防備さに、俺は悔しいが気圧されていた。
エンジェルは眼帯をしているが、俺の姿が見えるのだろう、仔細ありげに顔を動かしている。
俺が緊張に唾を飲み下すと、遂に神の御言葉が放たれた。
「この世界を創る力を持つという人修羅とやらがどんな物か見に来たのですけれど……この程度だなんて」
それは声こそまさしく天上の音色だったが、内容は、
神のしもべが言うにしては随分と毒の篭もった言葉だった。
反応に戸惑う俺に、更に御言葉が投げつけられる。
「悪いことは言いませんわ、創世などという叶わぬ夢など捨て、われらが主に魂をお捧げなさい」
自らを疑わない傲慢さに、俺はかっとなった。
幾度か聞いたことのある、このボルテクス界は創世
──平たく言えば、思い通りの世界を創ることらしい──
の為に生み出された巨大な依代よりしろに過ぎず、
しかも、なんと俺はその創世とやらを行うことの出来る資格を持っているらしいのだ。
創世などというものを信じていた訳ではないし、俺にそんなものを成す資格が本当にあったとしても、
どうにかこのボルテクス界を自由に歩き回れるようになっていた俺は、
日々の刹那的な生活をこそ愉しむようになっていたから、
危険を冒してまでそんなものを目指すつもりはほとんどなかった。
だがそれは、エンジェルの言う通りに誰かに己の生き様を委ねるということではない。
誰かに従うなど、絶対に御免だった。
この時点で既に、俺は彼女に見切りをつけていた。
この場を立ち去らなかったのは、目の前に浮かぶエンジェルの、
まさに神に愛された身体の方に関心を奪われていたからだ。
乳房こそ俺の理想には届かないものの、
しなやかな身体は俺が人間だった頃にはお目にかかったことのない均整の取れたものだ。
見れば見るほど征服したくなる姿に、俺はかつてない興奮を覚えた。
以前──人間であった頃なら抑制しなければならなかったその感情は、今やその必要もない。
続いているたわ言を聞き流していた俺は、彼女が口を閉ざしたのを機に一歩詰め寄った。
彼女は気配を察し、後退しようとしたが、その前に素早く腕を掴む。
それでも狼狽したりしないのは、さすが神の僕といったところだった。
「お止めなさい、主の代理たるわたくしに狼藉を働くなど、
死して後も永遠の業苦に苛まれるべき下劣な行い。主は全てを御覧になっていますよ」
心底軽蔑したようにエンジェルは吐き捨てた。
俺は、その高慢な態度をぼろぼろにしてやりたいという欲望にどうしようもなく取り憑かれた。
捕まえた手首に力を加え、更に膝の当たりまで垂れ下がっている鎖を手にする。
すると、掌に棘が刺さり、そこから電撃を流しこまれたような激痛が襲った。
神経を直接弄られたような痛みに、ぶざまに悲鳴をあげてしまう。
たまらず鎖を離すと、ますます勝ち誇ったエンジェルの哄笑が、鞭のように俺を叩いた。
「この鎖はわたくしを導く方のみが手にすることを許されるもの。
あなた如きが触れることは決して適いませんわ」
その台詞が自らの首を締めることになるとは、彼女も思いもしなかっただろう。
彼女を解放し、逃げ出そうとすらしていた俺は、その一言で思い留まり、深く息を吸う。
加えられるであろう痛みに備え力をたわめると、一気呵成に鎖を握り締めた。
一瞬のうちに全身を疾る痛み。
流すこともなくなっていた涙さえこぼしそうになりながら、
俺は目の前の女を屈服させたいという一心で堪えてみせた。
その覚悟があってさえ天罰は容赦無く俺の身体を滅ぼそうとしたが、
突然、首の後ろから何かが弾けるような感覚と共に、苦痛を乗り越える力が俺の中に生まれた。
苦痛の源を力強く握り締め、ねじ伏せる。
首筋から生まれる力と神の怒りとが俺の身体を介して繰り広げる争いは、
随分と長い間行われていたが、遂に宗教家を嘆かせる結果に終わった。
「馬鹿な……」
呆然としているエンジェルを尻目に、鎖を手首に巻きつけて外れないようにする。
乗り越えたといっても痛みは絶え間なく身体を蝕んでいたが、俺は耐えてみせた。
具合を確かめるように鎖を手繰り寄せ、引き寄せられたエンジェルの髪を掴む。
「ああっ! ……や、止めなさい……このような……」
「鎖を手にすれば導けるんだろう? 導いてやるよ、俺がな」
勝利を確信した俺は、狂おしいほどに昂ぶっていく心の、最後の自制心を解き放つべくそう囁いた。
間髪入れずに胸に巻かれた布に手をかけ、一気に引き千切る。
無論その布にも祝福は授けられており、鎖を握った時とさほど変わらない痛みが
俺を襲ったが、もはやとぐろを巻いた俺の欲望を減じることは出来なかった。
腰に巻きついている布も剥ぎ取り、エンジェルの裸体をボルテクスに晒す。
今更ながらに乳房と下腹を隠そうとする彼女を尻目に、最後に残った目隠しをも力任せに取り去った。
純度の高い水色の瞳に、はっきりと恐怖が浮かんでいるのを見て、俺はわらう。
所詮頼れるものは己の力だけであり、他人など、神の威光ですらこの地では何の役にも立たないのだ。
この天使に、それを充分に思い知らせてやる必要があった。
鎖を使って彼女の片足を吊り、大きく開かせる。
エンジェルは抗うが、もはやこの女は男に征服される運命を背負った哀れな存在でしかない。
俺は残った片足を引っ掻けて彼女を倒すと、その足をも大きく開かせた。
解剖される蛙のようにみじめな姿にされ、エンジェルは慌てて秘部を隠す。
その無様な格好は鏡で見せてやりたいほどだったが、あいにくと今はそんなものはない。
代わりに俺は、カグツチの光に照らされる裸体を隅々までじっくり見てやることにした。
染みもほくろも一つとてない美しい肢体は、確かに現実離れしたものだった。
控えめながらもはっきりと膨らみを形作っている乳房から、
腰へと流れる曲線は、どれほどの芸術家でも生み出すことは出来ないだろう。
この躯が今日から俺のものだと思うと、早くも股間に血がたぎりだした。
しかし、それが収まる場所へと視線を移そうとすると、さすがに激しい抵抗に遭った。
「止めなさい! 下種な……このような下種な振る舞い、決して許されません」
許すも許さないも、俺が決めることだ。
この後に及んでそれがまだ解っていない彼女に、俺は現実を教えてやることにした。
エンジェルの腰を持ち上げ、尻を俺の顔の位置まで持ってくる。
暴れる彼女を鎖を使って巧みに操り、両手を足で押さえつけると、
ようやく隠すものもなくなった彼女の性器が俺の前に露になった。
生えているのかさえ一見判らない淡い色の恥毛は量も少なく、上品に三角形を作っている。
その下にある性器そのものも控えめな縦筋に過ぎず、
わずかなピンク色によってその形を確認出来るに過ぎなかった。
それでも俺の欲望を刺激するには充分過ぎるほどで、俺は魅せられて顔を近づける。
さすがと言うべきか、彼女の性器からはどんな臭いも漂ってはこなかった。
今更ながらに彼女が本物の天使であることに感動した俺は、
更にそれを確かめようと舌で触れてみる。
「止めなさい、今ならまだ主は……ひぃっ!」
生まれて初めて愛撫などという代物を受けたのだろう、エンジェルの口かららしからぬ悲鳴が上がった。
それを聞くことこそが目的だったから、俺は本格的な愛撫を行う為に、
口で性器全体を塞ぎ、じっくりと舌を這わせ始めた。
「こ、この……冒涜者……っ、め……し、主……の……裁き、っ、が……っうっ」
柔らかな襞、そしてその奥に息づく媚肉の感触、どれもがまさしく女だった。
神とやらが良く今まで我慢してこれたものだと思いながら、俺は存分に秘裂を舐める。
すると驚いたことに、次第に愛液が俺の舌を濡らし始めた。
天使は人の似姿というだけではなく、生殖機能までついていたのだ。
滑稽さを隠しきれず、俺は女の股に口を付けたまま笑いそうになった。
それを踏まえて見てみれば、確かに淡いピンクだった陰唇は、その色合いを強めている。
まだ感じてはいないようだが、身体が反応し始めているのは間違い無かった。
ならば、と、俺は彼女に悦びを教えてやるべく舌を躍らせた。
「くっ……うぁっ、あ、ぁ……っ」
エンジェルは暴れるが、腰のくねらせ方が妙に艶めかしいものになっている。
口から垂れ流していた御言葉も、いつしか劣情をそそる音色の淫声へと変わりつつあった。
隙あらば閉じようとする足をもう一度、無駄な努力だと開かせる。
最初よりも大きく、ほとんど真横まで開かされた足は、
当然股間も完全に露出させることになり、より奥へと舌を入りこませることになった。
「い……やぁ……あっ、あ……ぅっ」
中に溜まった蜜を掻き出してやると、か細い腰が面白いように跳ねる。
掻き出された透明な粘液は筋となって彼女の身体を伝っていき、
胸の辺りまでぬらぬらと光る道を作った。
俺はその蜜を思いきり音を立てて吸いながら、何も知らない天使に尊い知識を授けてやる。
「良く濡れるじゃねぇか。こういう事、しょっちゅうしてんじゃねぇのか」
「馬、鹿な……か……っ、主に仕えるわっ、わたくし達が……こんな……事を、
すっ、する……はずが……っん」
エンジェルは健気に首を振るが、少し愛撫を強めてやるだけで簡単に言葉が途切れた。
感じていることを認めようとしないエンジェルに、俺は強いだけの愛撫を止め、
文字通り撫でるような弱い刺激に切りかえる。
「あ……? んっ、あ、うぅ……ん……」
肌はその見た目に劣らず素晴らしい触り心地を俺にもたらし、
熱を帯びていく陰部はおびただしく蜜を吐き出す。
ひそやかに刻まれた裂け目を舌でなぞりながら、俺は時折動物のようにその蜜を掬い、飲んだ。
「あ、はぁ……っ、止め……んうぅっ、あぁ……」
エンジェルの声は舌に絡む蜜のように語尾を引くようになっていた。
硬質の音色も程よくほぐされ、牡への賛美歌を歌い始めている。
頃合いだと見てとった俺は、再び強い刺激を与えるべく、
すっかりおとなしくなっているエンジェルの、
女にとって急所とも言うべき柔突起が隠れているフードを思いきり上から摘まんだ。
「ひ、ん……っっ!!」
効果は劇的だった。
エンジェルは勢い良く愛液の飛沫を噴いたかと思うと、がっくりと俺に身体を預けてきたのだ。
彼女が生まれて初めての絶頂を迎えたのは間違い無かった。
淫らにひくつく陰部をまじまじと眺め、更なる欲望を漲らせた俺は、
次に、目の前で揺れる小ぶりな尻の間にある、汚れなき穢れた場所に興味を移した。
まだぐったりとしたままのエンジェルの尻肉を指で押し割る。
恐らく一生──天使の一生がどれくらいあるのか知らないが──使われることのないであろう
小さなすぼまりは、人のそれと同じように皺が刻まれ、薄く色づいていた。
エンジェルを犯すこと自体が美しい物を汚すという快感に満ち満ちているが、
その中で更にこの、禁断の聖域を侵すという行為はまた格別のものだった。
みずみずしい弾力で元に戻ろうとする尻たぶを指で固定したまま、俺は彼女の尻孔に舌を這わせる。
「ひぃっ……!? な、なにを……っ、ひっ、あぁっ」
まだ初めての絶頂の余韻に戸惑っているエンジェルは、
自分の身体にそんな場所が存在することすら知らないに違いなく、
突如もたらされた未知の感覚に戸惑っているようだ。
尻孔がせわしなく開閉し、腰そのものをも前に泳がせて逃れようとする。
俺は三度鎖を用いて動きを封じこめると、残虐な心に衝き動かされるまま尻の孔に指を突き刺した。
「あっ……がっ……」
数限りない闘いで鍛えられた俺の指は、慌てて門扉を閉ざそうとする孔よりも速く彼女の腸に潜りこむ。
凄まじい勢いで締めつける括約筋に、俺は失笑寸前だった。
いったい神は何を考えて彼女にこんな筋肉を持たせたのだろうか。
もしかしたら神とやらもアナルが好きなのではないか。
俺は彼女が聞いたら失神しそうな冒涜を思いながら、彼女の尻孔に突きこんだ指を抉り回した。
温かな腸が、何とも言えない快感をもたらす。
「はっ、ひ、ひっ……止め……や……」
腹をいじられて、エンジェルはもはや言いたいことも言えないようだった。
逆立ちした女の尻に指を突き立てるという異常な状況に俺も興奮が止まらず、
根元まで指を沈め、闇雲に掻き回す。
たまに指を抜き、また沈めてやると、面白いように愛液が噴いた。
それは猥雑なポンプを思い起こさせ、
俺はおもちゃを見つけた子供のように何度も単調な動作を繰り返す。
強引に塞がれたエンジェルの孔は、これもやはり主とやらの戯れなのか、
刺激に反応して腸液を分泌させ、うねるような締めつけの中、俺の指を熱く濡らしていた。
身体の奥深くをいいように掻き回されて、エンジェルは足をばたばたともがかせる。
その度に形を変える彼女の尻肉、そしてその間に刺さっている俺の指は、
神の御使いどころか堕落しきった売女とでさえ滅多に見ることの出来ない光景だったろう。



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