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 闇から、薄闇へ。
夜の地上にいるときはさほど気にならなかった服も、地下に潜ると途端に恥ずかしくなってくる。
九龍に続いて学校の地下に広がる遺跡の入り口に降り立った亜柚子は、
あまりにも場違いな自分の服にいまさら後悔した。
地下における主ともいえる九龍の命令とはいえ、教師たる者がなんと破廉恥な格好をしているのだろう。
数年前なら気にならなかった肌の露出が、当時は可愛いと思っていた、
少し動かしただけでめくれそうなくらいに舞いあがる短いスカートが、今ではいかがわしいとしか見えない。
おまけに、あの時はどうかしてしまっていたのだろう――きっと恥ずかしさが判断力を狂わせてしまっていたのだ――
一緒に着用するスパッツは履かず、それどころか上下の下着も亜柚子は身につけていない。
学園の地下に広がる遺跡の奥に眠る秘宝を手に入れたいという九龍と、学園の闇を払いたいという亜柚子。
多少角度にずれはあっても、目指す方向はほぼ同じであるはずの二人だが、
九龍は単独でも目的を遂行できるのに対し、亜柚子はもっとも浅い階層ですら突破できない。
つまり九龍にとって亜柚子は負担でしかなく、亜柚子も充分にそれをわきまえていた。
だから、彼の要求にはできる限り従うつもりだった。
 だが、それが度を超えていると感じてからも、亜柚子は九龍を拒めなかった。
「先生にも何かを賭けて欲しい」と言われた時、反論できなかったのだ。
以来亜柚子は探索の都度彼に身体を弄ばれ、欲望のはけ口にされることに甘んじた。
この服装もその一環で、今日は亜柚子が学生時代に行っていたラクロスの制服を着て探索に赴くことになっていた。
「へえ」
 軽薄な口笛を吹いた九龍が、遠慮のない視線で亜柚子を舐めまわす。
九龍と同じ年頃の時でさえ、こんなに足を出したスカートを履いたことはない亜柚子は、
慣れない視線に身を縮めるばかりだった。
スパッツを履いていればまだ耐えられただろうが、抜け目ない九龍に履くことは禁じられていたし、
ラクロスの時に使っていたスパッツは先日破かれてしまっている。
 やや童顔である亜柚子は、本人が思っているほど足と二の腕を露出した服装が似合っていないわけではなく、
彼女を知らない者にはおそらく通用するだろう。
だが張りよりも柔らかさへとシフトしつつある肌は、まとう衣装に可愛らしさよりも色気を与えていたし、
女としてよく熟した肉体は、さらに色気を醸しだす効果をもたらしている。
 並々ならぬ亜柚子の色香を一身に浴びる立場の九龍は、
彼女の肉香に惑わされていることを隠そうともしない。
すでに彼女そのものを何度となく堪能してはいても、味付けが変われば別腹であるとばかりに興奮している。
建前である「探索の代償としてのセックス」すら忘れかけ、彼女ににじり寄ろうとしたが、
一歩踏み出したところで何かを思いだしたのか立ち止まった。
無念の表情もあらわに亜柚子の後方に目をやり、指を鳴らす。
亜柚子が振り向くと、そこには一人の女性が居た。
「や、八千穂……さん……?」
 物陰から現れたのは、九龍の同級生であり亜柚子の教え子でもある、八千穂明日香だった。
彼女は教室と同じ、人懐っこい笑顔を向けて二人に近づいてくるが、
亜柚子は彼女の異質さから目が離せない。
明日香は学校の制服でもなく、こういった探検に赴くような服装でもなく、
今の亜柚子と同じ、半袖のポロシャツにプリーツスカートを身にまとっていた。
ラケットこそ持っていないが一見してテニスウェアと判る服を、明日香は恥ずかしげもなく着ている。
 だが、似たような服装でも決定的に違うのは着る人間の年齢で、
若さにあふれ、テニスウェアが輝いてさえ見える明日香に対して、
亜柚子の方は、似合ってこそいるものの、どこか浮いた感じがしている。
それは亜柚子の錯覚にすぎないとしても、こんな形で比較されてしまっては、
劣等感を抱かずにはいられなかった。
「こんばんは、せんせー」
 一方の明日香は優越感を抱くでもなく、亜柚子がここにいることにも何の疑問も呈さず親しげに挨拶する。
「え、ええ……こんばんは、八千穂さん」
 お互いの服装について明日香が何も言わないので、亜柚子もあえて口にはせず、忘れようと意識した。
「へえ、二人とも似合ってんな」
「もー、寒かったんだからね。でもせんせー、ラクロスってこんな可愛い服着てやるんだ」
「え、ええ……八千穂さんも、可愛いわ」
「えへへッ、ありがと」
 明日香は悪意のない眼差しでウェアを観察する。
その視線から身体を隠すように亜柚子は手足をさりげなく曲げたが、突然明日香が大声をあげた。
「あれ、せんせー……もしかして、ブラしてないの?」
「ち、違うの、これは……」
「へー、せんせーってそういう趣味なんだ」
 悪戯を共有するような口調に、亜柚子は泣きそうになった。
いくら学園を救うという大義名分のためとはいえ、九龍にこんな恥ずかしい格好を命じられ、
それに従ってしまった自分がいかにも明日香の言うとおり、破廉恥な人間であると思われたのだ。
「えへへッ、ウソウソ、わかってるよ。九ちゃんにやらされたんでしょ? スパッツも履いてないし」
 同情的な明日香の発言に、もしかしたら彼女と協力して九龍の目を覚まさせることができるかもしれないと
亜柚子は期待するが、それは一瞬の幻だった。
さりげなく亜柚子のスカートを指し示す九龍に、明日香が気づく。
そこに見た目上の変化はなかったが、明日香は鋭く九龍の意図を察知した。
「え、もしかして下も履いてないの?」
「きゃっ! や、やめて、八千穂さんっ……!」
 スカートを捲りあげようとしないのは救いだったが、
あるいはそれよりも始末に負えないというべきか、明日香は身体を折り曲げ、下から覗きこもうとする。
もともと肌を見せるのがあまり好きではない亜柚子は必死にスカートを押さえた。
九龍と違い、明日香は力づくで欲望を充たそうとはせず、亜柚子のガードが固いと見るや、
素早く攻撃目標を変え、がら空きになっている太股に取りついた。
「初めて見たけどせんせーの肌ホントきれいだよね。すべすべで真っ白で」
「やっ、あ……!」
 冷涼な空気にさらされていた肌は、亜由子の思っていた以上に鋭敏さを増していて、
明日香に軽く撫でられただけでも快美なさざ波を伝えてしまう。
思わず漏らしてしまった吐息を慌ててこらえ、短いプリーツスカートの裾を押さえるものの、
「はー、あったかい……」
 亜柚子の太股をすっかり気に入った明日香にほおずりされ、さらにくちづけまでされると、
どうしようもなく力が抜けてしまうのだ。
九龍とは違う微弱なタッチは甘くくすぐったいほどで、そのくせ唇は熱く、舌はさらに熱い。
早くも感じさせられてしまった亜柚子は、九龍に支えられてようやく立っているありさまだった。
 その九龍はいつのまにか背後から亜柚子を抱き、無遠慮にポロシャツの中に手を入れ、
剥きだしの乳房をまさぐっている。
良く熟れた肉果を、その大きく筋張った手からは想像もつかないほど繊細に撫で、揉みしだいた。
「だ……駄目……駄目よ……っ……!」
 幾重にも重なった異常な状況に、亜柚子は半ば恐慌に陥る。
九龍か明日香か、胸をまさぐる手か太股を這う舌か、どれから止めさせればよいのか
判らないでいるうち、その全てに蹂躙されていた。
「お願いよ、二人とも……探索に、行きましょう……」
 二人に同時に愛撫され、未知の波濤になすすべなく浚われそうになりながら、亜柚子は懸命に訴えかける。
だが九龍も明日香も、善良な教え子だと思っていた二人の生徒は、手頃なおもちゃを見つけたかのように
亜柚子を弄び、感じるさまを愉しんでいた。
「って言われてもな、もう勃っちまったし」
「んじゃさー九ちゃん、あたしでする?」
 ところが、亜柚子が抗う気力も尽きかけ、もはや快楽に身を任せる寸前まで来たところで、
二人はあっさりと亜柚子を解放してしまった。
スカートの中に頭を潜らせ、亜柚子の内腿を付け根のあたりまでしゃぶりたてていた明日香が
立ちあがったかと思うと、亜柚子の眼前でためらいもなく下着を脱ぐ。
次には九龍までもが放りだしこそしなかったものの最低限の冷たさで亜柚子を放置すると、
スカートの裾を少しまくってみせる明日香にふらふらと近づき、尻を撫でた。
「お、いいね」
「えへへッ、せんせーのエッチな声聞いてたら興奮してきちゃったんだ」
「じゃそういうことで、ちょっと先生待っててよ」
 呆然とする亜柚子をよそに、二人は手早くセックスの準備を整える。
とはいっても自分で語ったとおり明日香はすでに濡れているようで、
壁に手をついて腰を突きだしただけだ。
九龍もズボンを脱ぎすてると明日香のスカートを捲りあげる、その動きに迷いはない。
「おい、ちょっと濡れすぎじゃねぇか?」
「だって先生の声、すっごく可愛いんだもん」
「ッたく……ほれ、挿れるぞ」
「うん……あ、ん……ッ……!」
 亜柚子の眼前で二人は、あっけないほど簡単に繋がってしまった。
自分たちの世代とは貞操観が違う、などと納得させようとしても、言葉を失ってしまう恥じらいのなさだ。
そして、結果的に危機を回避できたにも関わらず、亜柚子は惨めな気持ちになっていた。
「九ちゃんだって……いつもよりおっきー……よ、奥まで……あぅ、入って……ぇ……!」
 明日香の喘ぎ声が響き渡ると、亜由子の気持ちはいっそう落ちこんでいく。
学園の闇を払うためなのだ、と己を鼓舞してみても、教え子たちが奏でる淫らな音楽は
それを打ち消す音量で響き渡っていた。
「あっ、ん、九ちゃん、九ちゃんっ……! うっ、あ……あぁんっ……!」
 快楽のリズムを隠そうともせず、九龍の腰の動きに合わせて淫らに叫ぶ明日香。
その音色に少し幼ささえ感じさせる元気な少女の面影はなく、ともすれば亜柚子よりも年季の入りを思わせる、
性の悦びを知った女のものだ。
小刻みに揺れるテニスウェアから覗く若々しいヒップはその大きさに反して跳ねるように揺れ、
彼女の快楽を余すところなく見る者に伝えていた。
 そして、背後から明日香を犯す九龍は、どこで覚えたのか、滑らかなグラインドで快楽を貪っている。
亜柚子が見ているのにも構わず、むしろ見せつけるように肉柱を引き抜き、また深く埋める。
それが独りよがりな動きでないのは、明日香の甘い悲鳴を聞けば明らかで、
聞いているだけでも亜柚子は下腹が疼いてしまう。
まして時折姿を覗かせる、亜柚子も幾度となく貫かれたシャフトの偉容を目の当たりにしてしまえば、
中断された愛撫の燠火がじゅくじゅくと点り、知らず太股を擦りあわせているありさまだった。
股間が濡れているのに気づき、いそいそとスカートの裾を直してみたりもするが、
九龍と明日香は目もくれずにセックスに熱中している。
「ねえ、抱っこしてよ」
「……いいけどよ、疲れるんだよなあれ」
「あー、重いって言った!」
「言ってねぇよ、わかったからほら、掴まれ」
「うんッ。んー」
「馬鹿野郎、いきなりキスすんな。息が詰まるかと思ったじゃねぇか」
「えへへッ、九ちゃん大好き」
 仲睦まじい会話も、あてつけにしか聞こえない。
そして、そんなふうに考えている自分に愕然として、いったいなぜこんなところに居るのだろうかと
悲嘆にくれてしまう亜柚子だった。
「あっ、あ、あ、あんっ、九ちゃんっ、あたしもうっ」
「ああ、俺も……ッ!」
 亜柚子の見ている前で、二人は絶頂を迎える。
膨張していた淫気が弾け、しおれていく生々しさは想像を遥かに越えていた。
どこか滑稽ささえ感じさせながらも、それ以上に魅かれてしまう。
愛の営みというものの激しさに亜柚子は圧倒され、生唾を飲みくだした。
「はぁ、気持ち良かった……後でまたしてね」
「探索がうまくいったらな」
 若さのなせるわざか、激しいセックスの直後だというのに、
少し抱きあっていただけで、二人は驚くほどの短時間で探索に赴こうとしている。
事後の余韻などというものはまるでなく、亜柚子の方が火照りを冷ませないくらいだった。
「待たせたな、先生。行こうか」
 遺跡の奥へと向かう九龍に、明日香がついていく。
その後ろを数歩遅れて、様々な葛藤を抱えながら亜柚子もついていった。

 探索が始まってからの九龍は、別人のように精悍だった。
地図を読み、罠を外し、敵を倒す。
本能で動いているかのようにあらゆる動作に淀みがなく、足手まといでしかない明日香と亜柚子に対しても、
不平や愚痴をぶつけたりはせず、気遣いも行き届いていた。
まったく、こうして探索を行っている九龍は、大抵の大人よりもよほど職業意識に燃えた、
十歳近くも歳が離れている亜由子から見てさえ憧憬の対象となる男性なのだ。
硝煙の臭いを焚いた肌は、亜柚子の知らない世界の香りがして、時に陶酔してしまうほどだ。
だが、探索以外の彼となると、尽きることのない欲望に憑かれた好ましくない男性と言わざるを得ない。
亜柚子のみならず明日香にまで手を出し、あまつさえ教師の眼前で不純異性交遊に及ぶなど、
到底許容できるものではなかった。
 それなのに、彼に従ってしまう自分を省みると、亜柚子の口の中には苦味が広がる。
彼の言うとおり、肉体を彼に捧げることが、「テーブルにつく」ことだとしても、
無節操に肉欲を求める彼を褒めることなどできはしないし、
崇高な目的のために自己犠牲を払うか、良心を封じて学園の荒廃を見て見ぬふりをするか、
不毛な二者択一に亜柚子の胸は張り裂けそうだった。
願わくば一日も早く九龍がこの遺跡の最奥部に到達し、同時に亜柚子の望みである学園の闇を払って欲しい。
そうすればこんな恥ずかしい格好や、教師にあるまじき痴態を晒す必要もなくなるのだから。
「? どしたのせんせー?」
 亜柚子が考えに耽っていると、いきなり明日香の顔が目の前に現れた。
「い、いえ、なんでもないの」
 軽く微笑んでみせると、明日香も満面の笑みで応える。
けれども興味が湧いたのか、顔を引っこめようとはせず、器用に横を向きながら亜柚子をしげしげと眺めはじめた。
「い、いえ、なんでもないのよ、少し考え事をしていただけで」
「ならいいけど、具合が悪くなったらすぐ言った方がいいよ。九ちゃんがおんぶしてくれるから」
「人を便利屋みたいに言うな。お前が腹壊したっておぶってはやらねえからな」
「えーずるい、差別だ、あたしもおんぶしてよ……あ、わかった、せんせーノーブラだからおんぶするんだ。エッチ」
「アホかお前は、少し黙ってろ」
「ねー、おんぶしてよ、ブラ外すから」
「うるせえ、いいかげんにしろよ」
 一喝された明日香だが、九龍の背中に舌を出すと、懲りずに亜柚子の方を向いた。
「よそ見していると危ないわよ」
「へーきへーき。九ちゃんがいるもん」
 全幅の信頼を置いた返事に、前方から反論が返ってくる。
「矢が飛んできたら俺は避けるぞ」
「えー、身体で受けとめてよ」
「自分の面倒を見られない奴は宝探ししちゃいけねえんだよ」
 明日香は頬を膨らませたものの、顔は亜柚子を向いているので、誰に対して不満なのかわからない。
思わず亜柚子が吹きだすと、明日香も嬉しそうに膨らんだ頬をしぼませた。
「せんせー、その服着てたのどれくらい前?」
 明日香に悪意がないのは判っていても、答えにくい質問ではある。
亜柚子の返答が少し小声になったのは、やむを得ないかもしれなかった。
「えっと……四年くらいかしら」
「そうなんだ−」
 相づちを打ちながら明日香は顔を上下に動かす。
同性とはいえ舐めるような視線に、亜柚子は恥ずかしさを感じてしまう。
ただでさえ年相応でない膝上丈のスカートで、そのうえ下着をつけていないのだからなおさらだ。
彼女の興味を他に向けようと、亜柚子はぎこちなく話題を変えた。
「八千穂さんも……その服装、九龍さんに言われたの?」
「うん、九ちゃんすっごいエッチだから。でもせんせー見たらちょっと納得しちゃった。すっごく可愛いんだもん」
「うふふ、ありがとう」
「でもあんまり九ちゃん調子に乗せちゃだめだよ。そのうち裸で歩けとか言いだすんだから」
「言わねえよ!」
「あれ、九ちゃんは裸より半脱ぎの方が興奮するタイプ?」
「ああもう、少しは黙れねえのかお前は!」
 言い争いでは明日香は九龍にまったく引けをとらず、むしろやりこめてしまうほどだ。
その積極性には感心するが、同時に、いくら若いとはいってももう少し慎みを持つべきだとも思う亜柚子だ。
九龍は悪人というほどではないが、世間には女性を都合の良い性の道具としてしか見ないような男性も確かにいるのだから。
「ねえせんせー、なら脱いじゃおっか」
「え?」
 少し会話に加わらなかっただけで、とんでもない方向に話が行ってしまったようだ。
てっきり冗談だと思っている亜柚子に、明日香は自分をさておいて服を脱がせようとする。
「ま、待って、八千穂さん待って……!」
 不意をつかれて胸のあたりまで脱がされてしまった亜柚子は必死に抵抗するが、
明日香の力は思いの外強く、剥ぎとられそうになってしまった。
予想だにしなかった窮地に亜柚子の目に涙が浮かぶ。
「いいかげんにしろ、この馬鹿!」
 だが、ほとんど失われかけていた亜柚子の貞操は、思いもよらぬ形で守られた。
九龍よりも性質が悪いことが判明した明日香の、頭にある髪をまとめたふたつの団子の、
ちょうど真ん中にげんこつが落ちる。
三つめのこぶができた明日香はたまらず手を離し、亜柚子はようやく解放された。
いそいそと服を直しながらも意外さを禁じえない亜柚子に目もくれず、九龍は明日香に怒鳴る。
「探索中はエロいことすんなって言っただろうが!」
「うう……だって……」
「だってじゃねえっつーの!」
「……はーい……」
 しゅんとした明日香にフン、と鼻息を鳴らした九龍は先頭に戻り、探索を再開する。
暴力、といえなくもないおしおきを咎める気にはなれない亜柚子は、
泣きださなければ良いがと明日香をそっと見た。
「てへへ、怒られちゃった」
 頭を押さえつつ舌を出す明日香に、もう少し大きめのこぶができても構わなかったのに、
と内心でため息をつく亜柚子だった。



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