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三人は困難らしい困難にも出くわさず、順調に遺跡の奥へと向かっていた。
探索を始めた当初はあれこれ喋っていた明日香もげんこつ以後さすがに反省したのか、口数が少なくなっている。
若い二人に遅れないよう歩いていた亜柚子は、見つめていた数歩先を行く九龍の踝が止まったのに気づき、
自分も立ち止まって顔を上げた。
「どうしたの?」
隣の明日香が生じた疑問を口にする。
振り返った九龍の顔には驚きや焦りはなく、前方に向けて顎をしゃくってみせた。
先に明日香が行き、亜柚子が続く。
彼が立ち止まった理由はすぐに判明した。
九龍の先で通路は切り落とされたように終わっていた。
行き止まりに見えたが、直角に切削された岩の床は下方に向かって伸びており、
そこにはご丁寧にはしごまであった。
「降りるしかない……だろうな」
呟いた九龍がライトを照らす。
はしごは五メートルほどの長さで途切れており、その先にまた通路が続いているようだ。
はしごが人の手による以上、これが順路であるのは確実であり、他に選択肢はなかった。
「そんじゃ俺が最初に降りるから、やっちーで先生の順番で来てくれ」
ことさらに順番を指定するのが、亜柚子には引っかかった。
しかし生徒を守って最後に降りるのは順当ではあるし、プロである九龍の判断に口を挟むのは、
彼の機嫌を損ねてしまうかもしれない。
それにここまでの疲労が薄く積もっていて、わざわざ口にするまでの疑問でもないと亜柚子は判断した。
「んじゃ、ゆっくりでいいからな」
そう言い残すと九龍は軽やかに身を翻し、はしごを降りていく。
数分もしないうちに到着し、上に向けてライトを振った。
「それじゃね、せんせー」
「気をつけてね」
にっこりと笑った明日香は、臆する色もなく九龍に続いた。
九龍のように軽やかにとはいかなかったものの、あぶなげなく降りきってみせる。
いよいよ自分の番となった亜柚子は、改めて下を見た。
はしごは古くてもしっかり据えつけられていて壊れる心配はなさそうだ。
ただ、高さがもたらす恐怖感は避けられず、たかだか五メートル程度とはいっても、
一歩を踏み出すのには相当の勇気を必要とした。
「せんせー、がんばって」
明日香の声に後押しされ、亜柚子は降り始める。
思っていたよりもずっと疲れていたらしく、意識して段を握らないと手を滑らせてしまいそうだった。
一歩一歩を慎重に進め、下は見ないようにして降っていく。
かなりの長い時間がかかったが、どうにか二人の居る場所までたどりついた。
「はあ、はぁっ……」
足を引っ張ってしまうのは嫌だったが、少し休まないとついていけそうにない。
喋れるだけの呼吸を整え、亜柚子は顔を上げた。
九龍と明日香は亜柚子を横目で見ながら話していた。
「な、凄ぇ眺めだったろ?」
「うん、あたし女だけどドキドキしちゃった」
はじめ、二人が何を言っているのか判らなかった。
疲れた頭で考え、やがて会話の内容に思いあたって絶句する。
二人は亜柚子が降りるところを、下からずっと見ていたのだ。
下着を履いていない、生まれたままの、というには生々しい女の部分を、
亜柚子はたっぷりと見せつけながら降りてしまったのだ。
淫靡な笑いを浮かべる二人に、亜柚子は身も世もなくうつむくほかなかった。
降りるのに必死で気づかなかったとはいえ、先に思い至って釘を刺しておけば牽制できたはずで、
自分のあさはかさが恨めしくなる。
前に見られたことがある九龍のみならず、明日香にまで秘部を見られたことで、亜柚子の羞恥は限界に達していた。
ここが教師であるとか大人であるとかいったものがまるで通用しない地下世界であると改めて思い知らされ、
亜柚子はその場にくずおれてしまった。
「ねえ、九ちゃん」
「ああ」
欲望を顔に貼りつけ、二人が迫ってくる。
それを押しのけるだけの気力は、亜柚子には残されていなかった。
「お願い、二人ともやめて……探索中はしないって言ったでしょう?」
「ま、ちょっと休憩ってところかな」
背後から亜柚子を抱きかかえた九龍は哀願を一蹴し、下半身に手を入れる。
ヴァギナはほどなく愛蜜を滲ませ、亜柚子の抵抗が口だけであるのだと知らしめた。
「うッ、ん……だ、駄目……駄目よ……」
ぬるりと侵入してきた指が、亜柚子の弱いところを責め苛む。
たった今羞恥に落ちこんだばかりなのに、少し愛撫を受けただけで身体が目ざめてしまう。
数十分前の生々しいセックスが、まだ記憶の片隅に残っているとしても、
こんな場違いな場所で感じてしまうとは、いかにも自分がふしだらに思えてならなかった。
「せんせー、いい匂い」
「ちょっと汗かいてるからな」
「い、嫌っ、嗅がないでっ……!」
嗅ぎまわる二人の鼻の音から逃げるように亜柚子は耳を塞いだ。
すると必然、他の部分は無防備になり、四本の手に好きなように触られてしまう。
「せんせーのおっぱい、おっきーね……やわらかいし、あたしこれ大好き」
いつのまにか開かされていた足の間に陣取った明日香が、ポロシャツをたくしあげて乳房を揉む。
柔らかく、優しい揉みかたに亜柚子は翻弄され、息を弾ませた。
「や、八千穂さん……いけないわ、こんなこと……」
「でもせんせー気持ちよさそう。ほら、硬くなってきたよ、ちくび」
明日香の指摘は正しく、亜柚子の乳首は双つとも明日香の指の狭間でしこり立っている。
薄いあずき色の部分は明日香に片時も間を置かず弄ばれていて、亜柚子にたまらず甘い息を漏らさせるのだ。
「ね、せんせー。せんせーもあたし達とエッチなこといっぱいしようよ。
ここなら絶対バレないしさ、九ちゃんとあたしとせんせーで、これから毎日集まって」
「だめ……私、そんなこと……できないわ……」
脳髄まで浸しつつある快楽に溺れそうになりながら、亜柚子は必死でうめく。
しかしそんな努力も明日香は意に介さず、狙いを定めた乳首に絶妙の痛痒感を与え、
さらには唇で咥えてみたりもするのだ。
「ん、んっ……! 駄目……ぇっ、八千……穂さ、ん……っ」
九龍とは違う、禁断の蜜の愛撫に亜柚子は蕩けていく。
柔らかな唇で甘く、軽やかに敏感な突起を吸いたてられ、唾液を乗せた舌で刺激されると、
思わず満足の吐息がこぼれた。
「ああ……んっ……ふ、駄目……駄目……よ……」
うわごとのように繰りかえしても、スカートが乱れるのも気づかずぐったりと足を開き、
九龍に背を預ける姿ではまるで威厳などない。
胸と秘唇とを同時に弄ばれ、あまりに心地よい快感に浸かって、
亜柚子はどこへ漂うともしらずただ流されている小舟だった。
「んっ! う、ん……あぁ、あふ……ん、んぁ、ん……」
昂ぶった明日香にいきなり唇を奪われ、口腔をかき回されても、
散々に応えて舌が離れたあとでキスされたと気づく始末だ。
しかも、九龍とは違うアプローチで快感を植えつける明日香のキスに、
名残惜しげに唇を追い求め、明日香に優しくあやされている。
「ね、せんせー。気持ちいいでしょ? 探索は九ちゃんがしてくれるから、
あたし達は気持ちいいこと、いっぱいしよ?」
それでは意味がない、実務は九龍に頼るとしても、九龍と並んで歩くという意思こそが大切なのだ。
そう思ったからこそ亜柚子は、九龍の過大な要求に応え、身体を差しだしたのだ。
なのに明日香の舌は、九龍の指は、そんな亜柚子の決意をあざ笑うように身体の内側をかき混ぜていく。
懸命に亜柚子が保とうとする理性を、生地を捏ねるようにもみくちゃにしてしまうのだ。
「こいつは俺のことをエロいって言うけどな、先生。こいつの方がよっぽどエロいんだぜ。
わかるだろ? 正直一人だと保たなくてさ、先生が手伝ってくれると助かるんだよな」
「あー、あたし一人悪者にして。いいよ、そんなこというならせんせーもらっちゃうもん」
明日香による有無を言わさぬキスの嵐。
それに負けじと九龍が激しく膣内を掻きまわす。
小さな絶頂がたびたび亜柚子を襲うが、二人は止める気配もない。
ただ暴風が過ぎ去るのを待つしかない亜柚子の中で、淫らな花が開いていく。
その芽を摘みとるには、もう遅すぎた。
「んふぅっ……はぁ、あんっ……っう、あぅぅぅ……」
緩急を交えて腹の中をかき混ぜられると、次第にどうでも良くなる瞬間が増していく。
唇と乳首を甘噛みされると、その気持ちよさに身悶えしてしまう。
教え子二人の巧みな責めに、亜柚子は陥落寸前となっていた。
「ほら、先生。いいかげん我慢できないだろ? チンポが欲しいだろ?」
九龍に囁かれた途端に、脳裏に男性器の形が浮かぶ。
それはそのまま身体を舐めながら中心を降り、女性器へと挿っていき、下腹を満たした。
想像にすぎない快楽に対して欲望への飢えは頂点に達し、ついに亜柚子はうなずいた。
「そうこなくちゃな。ほらやっちー、ちょっとどけよ」
「ちぇっ、いいな。あたしもおちんちん生えないかな」
唇を尖らせながらも明日香は九龍に協力して亜柚子を立たせる。
とはいっても亜柚子はもう一人では立っていられないほどなので、二人で相談し、
九龍が寝て、その上に亜柚子を跨らせることにした。
「ほらせんせー、こっち……って、せんせーすっごいね。びしょびしょ」
すでに小さな波に何度も浚われている亜柚子の股間は、明日香が驚いたとおり愛液にまみれていた。
たくしあげられたポロシャツからまろび出た双乳は大きく弾み、蜜がそこまで来ている膝も頼りなく震えている。
自力では挿入もおぼつかなかったが、九龍と明日香が手伝ってなんとか結合を果たした。
「うっ……はぁぁ……ん……!」
下腹を貫く剛直に漏れた歓喜の悲鳴は、この分野に関しては亜柚子よりはずっと経験豊富な二人をも驚かせた。
「うわぁ、せんせー、やらしい声……!」
「凄えな、こんなエロい声初めて聞いたぜ」
異口同音にはやし立てた二人は、それぞれ欲望を刺激されて亜柚子に群がる。
九龍はより深く、より奥までペニスを届かせようと腰を突きあげ、
明日香は背後から乳房を揉みながら、背中にやみくもにキスを浴びせる。
そのどちらもがたまらない快感を亜柚子にもたらし、どうしようもなく溺れさせてしまうのだ。
「あぅ、んっ、はっ、はぁ、うぁぁ、あんっ、ああん……!」
脳裏に繋ぎとめていた探索への義務感は今や切れかけた電灯さながらに瞬くだけで、
どんな義務があったのかなど思いだせない。
ぐつぐつと沸き立つ腹の疼きを抉り、また植えつけて去っていく肉柱の熱さに酔いしれ、
愉悦を求めて自分から腰を振りたてた。
結合部からは多量の愛蜜が飛沫をあげ、九龍の腰を濡らす。
上下動のたびに捲れあがるスカートは、その内側に広がる淫靡な光景を、観察する人間に断片的にしか見せない。
だがそれは一層の欲情を煽る効果でしかなく、唯一その恩恵にあずかる九龍は、目を細めて満足げに笑った。
「あー、この服めちゃくちゃエロいな。なあ先生、次からもこの格好で来てよ」
「あ、それあたしもさんせー」
首筋に舌を這わせながら明日香が囁く。
力なくうなずく亜柚子の耳に、二人の声が届いていたかは怪しい。
快感が皮膚のすぐ下にまで膨れあがっていて、破裂寸前だったからだ。
それを察知したのは同性である明日香で、亜柚子が絶頂を迎えそうだと見るや、彼女の前に回りこんだ。
頬を紅潮させ、虚ろな目で快楽に浸る亜柚子に頬擦りし、くちづけを交わす。
「ねー、あたしの舐めてよ」
「お前のケツで先生が見えなくなるだろ」
「いいじゃん、あたしもイキたいし」
「しょうがねえな」
九龍が秘裂を舐めはじめると、いかにも心地よさそうに腰を震わせ、亜柚子の乳房を掴む。
淫らな熱量はいよいよ高まり、爆発の時へと向かっていた。
「せんせー、凄くエッチな顔してる……イキそうなの?」
「え……ええ……私、もう……!」
明日香の卑猥な問いにも羞恥を覚える余裕などなく、
豊かな栗色の髪を頬に貼りつかせ、亜柚子はしきりに頭を振る。
明日香に髪を払ってもらうと自分から顔を寄せ、キスをねだった。
「いいよ、せんせー……一緒、に、イこ……っ!」
明日香が応え、激しいキスを与えると、間髪おかずに九龍が、明日香のクリトリスを吸う。
それはまさに明日香が望んだタイミングで、明日香は一気に頂へとのぼりつめた。
「ひゃんっ、イッ、く……!!」
明日香の絶頂が九龍と亜柚子に伝わり、絶頂が連鎖する。
幾重にも、何倍にもなった快感は、三人をまとめて打ち倒した。
「ああっ、あ、あぁッ――!!」
「う……ッ……!!」
同時に達した三人は、狂おしいまでの恍惚に身を震わせる。
亜柚子と明日香は互いに手を握りしめ、身体を寄せて咲かせた淫花の大きさを競いあった。
その下では九龍が、二人分の愛蜜の飛沫を受けながら、自分も亜柚子の膣内で欲望を爆ぜさせている。
迷宮の奥深くまで届く、大きな波が去った後も、三人は立ちあがることもできず、
身を寄せあって余韻に浸り続けたのだった。
遠くで二人の声が聞こえる。
本当なら起きなければいけないところだったが、その気になれず亜柚子はうたた寝を続けた。
「せんせー寝ちゃったのかな」
「みたいだな」
「どうするの?」
「背負っていくしかないだろ。まだ探索終わってねえし」
「いいなー、あたしもおぶってよ」
「お前元気一杯じゃねえか。バックパック持ってってくれよ」
「えー、人使い荒い」
「先生が目を覚ますまでだって」
「とか言ってずっとおぶっていたいって思ってるでしょ」
「そりゃまあ、ノーブラだしな」
「あー、やっぱそうなんだ! 次からあたしもブラしない!」
「勝手にしろよ。ほれ、行くぞ」
軽妙な会話に思わず口をほころばせかけると、ふわりと身体が軽くなる。
急いで表情をくらませ、九龍の背に負った。
気だるい身体にはあまりにも快適で、迷惑をかけていると知りつつも、亜柚子は目を覚ます気にはなれなかった。
遺跡はまだ底を見せず、辿りつくまでにどれだけこんな爛れた時間が費やされるか、想像もつかない。
それでも亜柚子は、探索を二人に任せて自分は地上に残ろうとは思わなかった。
だが、それが教師の責任感によるものか、それとも別の理由によるものなのかは、亜柚子にも判然としなかった。
ただ言えるのは、九龍と明日香と一緒ならば、負っている義務の重さを多少なりとも軽く感じる。
だから亜柚子は、彼らと共に歩き続けるつもりだった――今しばらくは九龍に背負ってもらうとしても。
「ねー九ちゃん、せんせーのおっぱいどう?」
「どうってお前、気持ちいい以外になんて言えばいいんだよ」
「だよねー。ああ楽しみだな、これからずっと先生来るんだよね」
「お前のスケベさに嫌気がさして来ねえかもよ」
「エッチなのは九ちゃんじゃない! 下着なしとか思いつかないよ、ふつー」
「大興奮して鼻血出したの誰だよ」
「違うもん。あれはチョコレート食べたからだもん」
「はいはい。ほれ、ちょっと先見てきてくれよ。敵がいたら教えろよ」
「うん。……あ」
「なんだよ」
「せんせーのお尻、大福に見える。食べてもいいかな」
……亜柚子は急いで目を覚まし、自らの足で歩きはじめた。
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