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その、見た目は幼女の殺戮兵器は、九龍を前にしてさらなる進化を遂げる。
「九龍さん」
「なんだ」
「私達、乱れ牡丹を見てみたいです」
何を見たいと言ったのか訊きなおそうとした九龍は、唐突に理解して絶句した。
「お前ら……」
天使のような顔でとんでもないことを言い出す小夜子と真夕子に、
とびっきりの罵声を浴びせてやろうと思った九龍だが、
あの脳に直接くる攻撃はいかんともしがたいので黙っていた。
この遺跡でも様々な強敵と闘ってきた九龍だが、この攻撃はそれらを遥かに上回る。
どうしてこいつらが長脛彦を倒さなかったんだ、ともっともな疑問を九龍がやはり黙っていると、
幽花が困惑気味に訊ねてきた。
「九龍、乱れ牡丹……って?」
「ああ、いや、その……」
齢十八にして世界を飛びまわり、数多の知識と類稀な知恵を併せ持つ九龍にして、口を濁す。
それほど、言葉の響きからは想像もつかない淫らがましい意味がそこには込められていた。
お前らが説明しろよ、と九龍は視線で訴えかけたが、
小夜子と真夕子は天使そのものの笑顔でたたずんでいる。
全ての罪を押しつけられた九龍は三人に凝視されて逃げ場を失ってしまい、
遂にやけになって幽花を押し倒した。
「幽花」
「はい」
これまでにない強い勢いで急に迫られ、幽花の口調もおかしくなっている。
このおかしさから醒めたら負けだ──何に対する勝ち負けなのかはわからないまま、
九龍は驚きのあまり目がいくらか寄っている幽花に語りかけた。
「俺が今からすることは」
双子に脅されて仕方なく、と一気に言い切ろうとした九龍は、
尻に走る強烈な激痛によって中断させられてしまった。
それを予想していた双子によって、両方の尻を同時につねられたのだ。
「……!!」
双子のつねりは先ほどの九龍に較べて容赦がなく、
九龍が叫ばなかったのは幽花の上でみっともないところは見せられない
という最後の意地がこらえさせたに過ぎなかった。
「どうしたの……?」
「い、いや、なんでもない」
臀部の痛みに耐えながら、幽花を起こす。
なにか彼女を生贄に差し出すような気分がして申し訳なく思った九龍だったが、
凶暴な双子に逆らう気力はもはやない。
こうなったらせめて気持ち良くしてやろう、と、
被害者どころか共犯のくせに勝手なことを考えた九龍は、
結局事情を何一つ説明されていない幽花に、小夜子と真夕子と共に群がった。
双子はどうやら胸がお気に入りらしく、小夜子が左の、真夕子が右の乳房に吸いつく。
必然的に九龍は、残されたところを受け持つことになった。
「ねぇ、九龍、説明を……や……っ、あ……」
三人がかりで責めたてれば、その気がなくてもさせられてしまうというところに、
少なくともそのうちの二人は達人となれば、この道にはまるで疎い幽花などには抗う術もなかった。
「んっ……は、ぁ……」
小夜子と真夕子に別々の刺激を与えられ、たちまち幽花はぐったりとしていった。
小夜子が音を立て、乳首だけを集中して甘噛みすれば、
真夕子は周りにくちづけを落としつつ、慎ましく膨らんだ蕾に舌を絡ませ、いつまでもねぶり続ける。
さらに空いている、小夜子は左手、真夕子は右手を用いて細やかな愛撫を施すことも忘れておらず、
すでに幽花は声も出せなくなって、快感に身体を震わせるばかりだった。
まだ女として成熟を迎えたとは言いがたい、ほっそりとした肢体に二人の幼女が抱きついている。
親愛的なものではなく、乳房を吸い、身体の各所の敏感なところをまさぐる、
目の当りにしても到底信じられない情欲的なものだ。
「あ……あなた達……っ、はぁ……ぁっ……」
この期に及んでも、まだ幽花は事態が把握しきれていないようだ。
普段は寡黙で、快感すら目立って表には出さない彼女なのに、
小夜子と真夕子の手が敏感な部分を過ぎるたび、上ずった声がこぼれ落ちてくる。
もしかしたら自分は下手だったのではないか、と自己嫌悪に陥りかけた九龍だったが、
今はそんなことを気にかけている場合ではない。
小夜子と真夕子に負けじと指を動かすことにした。
愛撫の必要もないほど潤っている肉唇は、すぐに求めに応じて新たな露を吐き出す。
双子から幽花を奪うように身体を引き寄せ、腰を浮かさせた九龍は滴る蜜を掬い、彼女の膣へと返した。
「あ……っ、あぁっ……!」
抵抗もなく沈んだ指を、ゆるやかに掻きまわす。
早くもひくひくとうねっている媚壁を意識し、指腹を擦りつけると、
ひときわ高い叫びが幽花の口を衝いた。
「ん……ぅぁっ……!」
身体を叩く黒糸に快さを覚えながら、反応の良かったところを再び責める。
根元まで挿しこみ、釣り針のように曲げた指が当たる位置が幽花は弱いようで、
軽く触れるだけで面白いように身体が跳ねた。
薄い背中にやみくもにくちづけながら、もう片方の手も股間に伸ばした九龍は、
慎ましく尖っている肉芽を探りあて、上から撫でる。
「んぅ……!!」
一瞬、上半身をぴんと伸ばした幽花は、直後にくずおれてしまった。
九龍が支えていたから倒れはしなかったが、その後も腰が彼女のものとは思えないほど痙攣している。
初めて挿入の前に幽花を絶頂に導くのに成功した九龍が、
いささかならぬ感動をしていると、同時に顔を覗かせた双子が、意味ありげに笑っていた。
「九龍さん」
「そろそろ」
「あ……ああ、そうだな」
巫女を──見た目的には自分達よりも年上の女性をイカせておいて、
こともなげに続きを促す二人に恐ろしさすら感じつつ、
既に準備が整っている九龍は、幽花を背後から抱えた。
華奢な身体は力が抜けていても労せずして持ち上がり、咲き誇っている牡丹はたやすく肉茎を迎えいれた。
「あ、ぁっ……九、龍……」
下から剛直に貫かれ、まだ虚脱から抜け切っていない幽花は、
ややろれつの回っていないまま仰け反らされてしまう。
すると九龍と幽花を遮る黒い壁が艶やかに乱れ、芳しい匂いが散った。
九龍はさらに幽花の足を開かせ、この体位の名の由来となった部分を、
リクエストに応じて良く見えるようにしてやる。
生々しく泡立っている結合部を、小夜子と真夕子は顔を寄せ合って覗きこんだ。
こいつらに恥じらいはないのか、と思いつつも九龍はより結合部が見えるよう身体を後ろに倒し、
幽花を下から突きあげてやった。
「あぁっ……!」
腹を抉られ、幽花が艶美に悶える。
薄朱に染まったくねる肢体の中心には、卑猥に開かれた淫裂と、
そこをこじ開けている黒い肉杭があり、とめどなく滴る雫がぬらぬらと辺りを飾り立てていた。
「凄い……」
「こんなにしっかりと咥えこんで」
妙に老成した台詞を言ったのが、小夜子か真夕子のどちらなのか九龍にはわからなかった。
ただその一言で、幽花の膣が急激に締まる。
先端から根元まで、痺れるような圧力に包まれ、九龍は熱い呼気を幽花の背中に浴びせた。
他人に関心を持っていないように見えた幽花も、見られれば人並みに恥ずかしいのだ。
どちらかというと淡白であった幽花との行為に、新たな可能性を見出した九龍だった。
九龍は幽花の両足を抱え、上下に揺する。
本来この体位は女性が自分で動く体位なのだが、
幽花にそれを求めても無理なので、九龍が動かしてやらねばならなかった。
大きくは動かせなくても、背後から開かせた腿を抱えるというだけで充分に興奮はそそられ、
九龍の快感が損なわれることはなかった。
双子はそこだけならばグロテスクですらある性器の結合にも臆することなく、
足の間に陣取って、鼻もつかんばかりの距離で咲いた牡丹を見ている。
しかし、やがて見ているだけでは物足りなくなったのか、裂かれた花の周辺に触れはじめた。
「んぅ……っ、あぁ、あっ、いやぁっ、あ、あ……っ!」
ただでさえ常にない快感が押し寄せているところに新たな刺激を与えられ、
幽花はたまらないようで、喘ぎ声がほとんど嗚咽に変わっている。
小夜子と真夕子はそれでも愛撫の手を止めず、肉杭によって分かたれた秘唇の、
小夜子は左側を、真夕子は右側を、幽花の愛液で濡らした指で丹念になぞっていった。
「あ……っ、はぁ……っ……、っっ……!」
九龍の肩に頭を預けた幽花は、絶え間なく唇から悩ましい音色を奏でる。
下半身は少しの間二人に任せることにして、
今や鮮やかな朱に彩られた白皙の頬を、九龍は手繰り寄せた。
「んっ……! っは、んむっ……ぅ、う……んむっ」
火照った唇を塞ぎ、強引に舌をねじ込む。
粘度の増した唾液を絡め、啜り、存分に唇を重ねた。
「っ、ふ……は、ぁ……あぁ……」
荒い息をつく幽花は、目がうつろになっている。
閉じることを許されない唇も、わずかにふくらんでいる鼻腔も、
彼女が持つ雰囲気とはまるで異なり、扇情的ですらあった。
呆けた表情に昂ぶりを感じた九龍は、幽花を下ろし、ベッドに組み敷く。
「いよいよ最後ですか」
「最後はやっぱり揚羽本手なんですね。ちょっと普通すぎる気もしますけれど」
「うるさいな」
特等席に陣取って勝手なことを言う小夜子と真夕子に一瞥をくれ、
萎えかけた気持ちを抑制して幽花に告げた。
「いくぞ」
「きゃー」
「きゃー」
騒がしい雑音はもう無視することにして、ゆっくりと挿入する。
焦らされていた幽花の女の部分は、先端をあてがっただけで待ちきれないとばかりに
咥え、誘いこんできた。
「あ……っ、九、龍……!」
早くも締めつける肉路を、ひといきに奥まで貫く。
熱と粘液に満たされた洞に屹立を全て埋めると、それだけで感極まったように幽花は咽(いだ。
ひとつになった実感を抱きながら、九龍はそろそろと動きはじめる。
「ん……あ……っ……」
見られているから上品に、と思ったわけではないが、
あまり下品な音を立てないようにしようと思ったのは確かだった。
しかし、まとわりつくような切ない喘ぎと、物足りないと言わんばかりに腕を掴む幽花の手が、
細い糸をたやすく断ち切った。
身体を倒した九龍は、抽送を早める。
聞かせないようにしていた肉のぶつかる音を、今度は聞かせるように強く、激しく腰を打ちつけた。
「うっ…………ぁぁ……あ……」
根元まで沈めるごとに、白い肉体が赤みを増していく。
舞うように身体をくねらせる幽花に、九龍は杭を打ち、我がものにしようと体重を乗せた。
騒がしかった小夜子と真夕子も生命の営みに圧倒されたのか、おとなしく両側から幽花を見守っている。
九龍ももはや二人は視界に入っておらず、迎えつつある絶頂を、
幽花に先に与えようと抽送を繰りかえしていた。
「はぁっ、あ……! 九龍……、九龍……っ!!」
名を呼ぶのが、幽花の合図だった。
九龍はすでに痺れ、いつ果ててもおかしくはない腰を懸命に突きこむ。
形を保っているかさえわからない屹立を、肉路の深奥にまで届かせたと思った瞬間、
幽花の媚壁が急激にせめいできた。
まるで罠にかけたかのように捕らえて離さぬ羨道は、
こらえようもない快感をあらゆる方向からもたらしてくる。
襲いくる快楽に、一瞬、呼吸を止めた九龍は、一気にそれを解き放った。
裡からのぼる凄まじい快感と共に、欲望を幽花の中に注ぐ。
「っ…………ぁ…………っ!!」
限界まで反った肢体が、一気に弛緩していく。
声にならない悲鳴を弾けさせて、幽花ものぼりつめた。
これまでにない深い満足を覚えた九龍は、
まだ脈動を続ける己を引き抜くと、束の間、幽花の傍らに倒れこんだ。
小夜子と真夕子はいつのまにか消えていた。
せっかく希望を叶えてやったのに礼の言葉もなしかよ、と憤った九龍だったが、
どうせまたあの、本性は明日香よりも騒がしそうな双子はひょっこりと現れるに違いない。
その時は彼女達も知らないようなプレイを見せてやろうと考え、
きっとそこらにいるであろう二人に呼びかけることはしなかった。
大きなあくびをした九龍は、幽花に触発されたからか、随分と疲れていることに気づいた。
いつもなら自室に帰るのだが、明日の朝早いうちに戻れば良いと思い、
今日は幽花と共に寝ることにした。
幽花はささやかな儀式も忘れてしまったのか、
薄く唇を開いたまま一足さきにまどろみに落ちているようだ。
少し思案した九龍は、頬にそっと触れて幽花が起きていないことを確かめると、
彼女の手を取り、小指を優しく絡めた。
急速に訪れる睡魔に逆らうようなことはせず、目を閉じる。
囁くような笑い声が、どこか遠くから聞こえたような気がした。
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